ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- マイナス ちょっとした番外編
- 日時: 2010/06/28 15:53
- 名前: アキラ (ID: PA3b2Hh4)
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まだまだ未熟者ですが、頑張ります。
登場人物>>2
お客様リスト
ユエ様 白兎様 神無月様 風水様
くれは様 結羽様 月兎様
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- Re: マイナス 最終話完成☆ ( No.109 )
- 日時: 2010/06/27 08:03
- 名前: 風水 (ID: PA3b2Hh4)
まずは、最終話完成おめでとうです(#^.^#)
凄く最後の夕衣(蛍)の言葉が心に響きます。
サイドストーリー、まだ病院に居る頃の話ですか。
楽しみです(#^.^#)
- Re: マイナス 最終話完成☆ ( No.110 )
- 日時: 2010/06/27 08:20
- 名前: アキラ (ID: PA3b2Hh4)
おおっ、コメありがとうございます☆
サイドストーリーも頑張りますんで、しばらく
応援よろしくです。
- Re: マイナス ちょっとした番外編 ( No.111 )
- 日時: 2010/06/28 17:05
- 名前: アキラ (ID: PA3b2Hh4)
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いろはちゃんと会えなくて、どこかホッとしてる自分がいる。
なんでだろ。
やっぱり、最後にいろはちゃんを痛くしたのはぼくだからだろうか。
あれ以来、なんだか自分の体を見るのもいやで。
病院のお風呂でも、吐いたりしている。
汚くて、しばらくは体を拭くだけになった。
「じっとしてろ、キミ。 まだ腕が治ってないんだから」
心林さん。 本名、心林ココロさん。
見るからに二十代で、髪がキレイで、お姉さんって感じ。
「ココロさん、いろはちゃん、どうしてるかな」
「アーシは、寝てると思うよ」
「寝てる?」
「うん。 いろはちゃんは、ずっと眠ってる。 嫌いな事から目を背けて」
言って。
ココロさんは笑った。
「だけど、アーシは別に嫌いな事から逃げる事が卑怯、とは言わないさね。 逃げて何か得るモンあるなら、それは収穫。 逃げてオーケー」
けらけら。
空っ風を吹き飛ばすような笑い声。
少し心は重荷を捨てて、とても身軽になった気がする。
病院のテレビコーナーで、自動販売機でココロさんに買ってもらった野菜ジュースを飲みながら、昼ドラを見ていた。
「キミ、よくこんなドロドロしたの観れるね」
「……愛憎模様が、なんかよくて」
「Мだね。 うわーどんな大人になるんだろう」
ココロさんが想像したのか、ふふと笑う。
大人。
ぼくも大人になったら、お父さんみたいになるんだろうか。
………げげ。
振り払ってテレビをぼんやり見る。
どうやら、家庭内で事件が発生したらしい。
あ、大人の人が子供、
を、
「見ちゃダメ」
後ろからココロさんがぼくの目をふさぐ。
でも、音は正常に鼓膜に入り込んで、振動する。
テレビから聞こえる、子供の泣き声。 女の人の叫び声。
これ、テレビの中の話じゃないヨ。
ぼくたち、出演者でしタ。
一瞬、視界が明るくなって、テレビの画面が消えた。
ココロさんが消したらしい。
目が合うと、ニマッと子供らしい笑みを浮かべた。
「キミは、世の中の事を深く知り過ぎた。 アーシは少し休んでもいいと思うよ」
「……ココロさん」
「なんじゃ?」
昔口調で、ココロさんの綺麗な手が、ぼくの頭を撫でる。
それは気持ちいい。
「ぼく、大人になりたくないです」
「ピーターパンかい、キミは」
くしゃくしゃ。
うー髪が。
「でもね。 いずれは大人になるんだよ。 キミも、いろはちゃんも」
「………ちょっと、怖い、かも」
「怖くない奴なんていない。 アーシも震えるほど怖かったけど、こうして生きてる」
そんなものなのか。
だとしたら、あいつらは大人になって良かったのか?
やりたい事、いっぱいできて。
死ぬまで。
「ココロさ、」
ザーザーザーザーザーザーザーザーザー、
あ。 いろはちゃんだ。
あれ、いろはちゃんがいる。なんでどうしてここにあーそっか同じ病院にいるからか。
ああ、そういうことか、 「夕衣くん?」
ココロさんの顔がぼくを覗きこむ。
視界が、ハッキリした。
「………………いろ、はちゃ、」
「あ?」
いろはちゃんがいた。
痩せた体。 肩までの髪。 無機質なクセに人形みたいな顔。
点滴をぶち破ってきたのか、手首から血が出ている。
ぼくを、見ている。
ぼく、を、
「
」
崩れる。 いろはちゃんが。
あーなんでかな。
ぼくを見たから?
だって、ぼくがいろはちゃんを壊したから。
蛍が助けたのに。
いろはちゃんのくせに。
「先生呼んでッ」
ココロさんが駆け寄る。
どうしてあんなに慌ててるんだろ。
吐いてるだけなのに。
いろはちゃんは数人の先生に囲まれて、立たされる。
だけど、抵抗して、
「ゆ……ゆいはぁ?」
いろはちゃんがぼくを探していた。
耳鳴りがする。
「ゆいは? ゆいのクセにゆいいないじゃんッ、嘘つき! ゆいゆいゆい」
血走った目でぼくを呼ぶ。
……いやちがう。
なんだ、ぼくじゃないじゃん。
いろはちゃんが求めてるのは、「夕衣」 だ。
「ああああああああああああああああああああっ」
「色影さん、落ち着いて!」
いろはちゃんが、求めてるのはぼくじゃないけど。
ぼくは 「夕衣」 で、いろはちゃんの兄だから。
「ぼくが、夕衣だよ」
.
- Re: マイナス ちょっとした番外編 ( No.112 )
- 日時: 2010/06/28 17:19
- 名前: 月兎 (ID: iEydDqYB)
アキラ様
番外編更新おつかれでっす!!
もう流石アキラ様です、マイナス私の中では本にしてほしいくらいサイコー傑作なのだ!
ということで何度も読み返しちゃったりしてます!
そして、過去があきらかになる番外編!
なんともいえませぬ。。。
なんだか、うぅ・・・言葉にできない何かが!!
それが言葉にできるようになるまでしばしお待ちを><
更新がんばです!
- Re: マイナス ちょっとした番外編 ( No.113 )
- 日時: 2010/06/28 17:27
- 名前: アキラ (ID: PA3b2Hh4)
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「ゆ…………い…………?」
うん、夕衣だよ。
キミの頭の中にいる、夕衣。
「本当に本当に本当? ゆい?」
「本当だよ。 いろは……、」
いろはちゃんが、飛び込んでくる。
見ると腕はカッターか何かの切り傷が物凄くついている。
先生も、ココロさんも呆気にとられて。
いろはちゃんはぼくに頬をこすりつけた。
「大大大好き♪ やーっと会えたね、夕衣」
「……いろは、ぼくの事覚えててくれたの?」
「だってねー悪い大人みーんな、夕衣が殺したんだもん」
ぐえっと喉から吐き溜めた音が出た。
ぼくは、いろはちゃんを助ける為に、両親を殺してしまったけど……、
それ、いろはちゃんは覚えててくれてたのか。
「いろはを助けるために、ザックザクにしてたもーん。 忘れるわけないよ」
すりすり。
蛍にした時みたいに、擦り合わせてくる頬。
まるで、蛍になったみたいだ。
「バッカだよねー、あいつら。 いろはにあんな事して、夕衣が黙ってるワケないもん」
「そうだね」
「夕衣はいろはのヒーローだよー」
ぼくの腕をぐっぐっと引っ張って、歩き出す。
「さっ、おうち帰りましょー」
「お、おうち?」
「いろは、夕衣だけ居ればいいから。 夕衣ラブなのだよー」
ぼくらを見ている患者さんや、先生は無視して。
ココロさんが心配そうにしているけど、今声をかけたらいろはちゃんが怖いから、止めておいた。
いろはちゃんの病室は、一人部屋で、お姫様みたいだった。
「ね、ね。 夕衣は今までどこに行ってたの?」
「えっと……一日の国?」
「うそ、そんな国があるの?」
嘘を本気にした。
いろはちゃんの目は輝いていて、ビー玉みたいに大きい。 吸いこまれそうで、怖くなる。
「そっかー。 夕衣は一日だけの夕衣になっちゃったかー。 そっかー、じゃあ毎日は居られないの?」
「居られるよ。 ……ずっと、いろはの傍に居るから」
はじけたように笑い、いろはちゃんがまた抱きつく。
「だーいすきっ。 もうずっと好き。 だから、お願い。 ここに居ようぞっ」
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