ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- マイナス ちょっとした番外編
- 日時: 2010/06/28 15:53
- 名前: アキラ (ID: PA3b2Hh4)
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まだまだ未熟者ですが、頑張ります。
登場人物>>2
お客様リスト
ユエ様 白兎様 神無月様 風水様
くれは様 結羽様 月兎様
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- Re: マイナス ちょっとした番外編 ( No.119 )
- 日時: 2010/06/30 18:30
- 名前: アキラ (ID: PA3b2Hh4)
黙れよ。
息子である俺も、母さんの嫌味にかなり腹が立つ。
「それは、ぼくがかなりの美形という事ですか?」
「……そうね。 兄さんも綺麗な顔だったし」
「それなら、ようやく誉められたという感じがします」
サラリと、何でもない事のように流す夕衣。
その隣で、いろはは無表情に箸を運んでいる。
「そういうサラッとしたところもね」
「ありがとうございます」
「ロリコンな所も」
「ありがとうございます」
「………そういう、バカなところもっ」
「ありが、」
とうございます。
そう続けようとしたんだろうけど。
夕衣は最後まで言えなかった。
いろはが。
いろはが、物凄い勢いでコップを床にたたき付けた。
割れた音がして、母さんが振り向く。
一瞬だった。
フォークを持ったいろはが、ソファに座る母さんの髪を掴み、引っ張る。
あまりの力に、ソファから母さんが転がり落ちた。
「いろはっ」
夕衣の怒鳴り声に、いろはが、母さんの喉元に刺そうとしていたフォークを、ギリギリで止める。
「………なに?」
「止めろ、いろは。 フォークおいて」
「いや」
答えは短かった。
母さんはフォークに怯えて抵抗しない。
「こいつ……バカにしたんだよ」
いろはは無表情で続ける。
「信じらんない。 いろはの夕衣をバカにしたんだよ。 あんなにバカにされて、これ以上バカにされるの? 許さない。 そんなの絶対、許せない」
フォークが、柔らかい皮膚に触れる。
「夕衣には聞こえないから分からないんだよ。 いっつもバカにしてる声。 うるさい、うるさいって言っても止まないの。 ……コイツも同じ。 あの汚い大人と同じッ! 気持ち悪い、虫唾が走る、吐き気がする!!」
鈍い音がして。
フォークは母さんの腕を刺した。
- Re: マイナス ちょっとした番外編 ( No.120 )
- 日時: 2010/07/02 20:45
- 名前: 神無月 (ID: XOYU4uQv)
久しぶりに来たら、かなり進んでました・・・(汗
いろんな人目線なんですねぇ。
二人の様子はあんまり変わってないんですねw
私はココロさん結構好きですね^^
優しい大人がもっと近くにいてくれてれば・・・と思いました・・・。
- Re: マイナス ちょっとした番外編 ( No.121 )
- 日時: 2010/07/02 21:41
- 名前: 風水 (ID: PA3b2Hh4)
お久しぶりです(^_^)
ナギサは、夕衣たちのいとこですか。
そういや、夕衣視点のときに、いろはが叔母を
殺そうとしたのを止めたって言ってましたな。
ほほー。
- Re: マイナス ちょっとした番外編 ( No.122 )
- 日時: 2010/07/02 22:20
- 名前: アキラ (ID: PA3b2Hh4)
二人は全く変わってません。
かなり性格そのものです。
ココロさんみたいな大人ラブです(#^.^#)
>神無月さん
おおっ、随分前のチョロッとした台詞を覚えてくれていましたか(^^ゞ
そうです、その時止めに入ったのが彼です。
>風水さん
- Re: マイナス ちょっとした番外編 ( No.123 )
- 日時: 2010/07/02 22:50
- 名前: アキラ (ID: PA3b2Hh4)
.
どうしたらいいのか、分からなかった。
目の前で、母さんが刺されているのに。
悲鳴をあげて、母さんが虫籠に入ったゴキブリのようにジタバタもがく。
いろはは顔色一つ変えず、フォークを抜いた。
「…………ッ、ぐ」
夕衣が屈みこむ。
思い出した。 コイツ、血見るとダメなんだ。
「…………ゆーちゃん?」
不意に態度を変えた夕衣に、いろはが怪訝そうな顔で見る。
母さんからのけ反り、夕衣に近づく。
不安、というより、玩具が壊れてしまったというような表情で。
「ゆー、ちゃん?」
「………っ、だいじょ、ぶ」
そっと。
夕衣が手を伸ばす。
「け、警察! 警察に電話……ッ」
母さんが必死で受話器を掴もうとする。
だけど、手が震えて、出血していて、思うように受話器を押せない。
「ナ、ナギサ……ッ、警察呼んで、きなさっ」
「うるさいッ!! 」
いろはが持っていたフォークを床と水平にして母さんに投げる。
見事フォークはストッと足に刺さった。
「いろはッ」 「黙って。 バカにしたそいつが悪い! いろはは何もしてないのにッ。 お前ら嫌いだ。 大嫌いッ! 死んじゃえ」
夕衣がムクリと起き上がり、いろはを抱きしめる。
起きてたんだ。
「……ッ、大丈夫だから」
「ゆーちゃん」
手を肩にまわして。
兄妹じゃない、兄妹が。
「大丈夫。 ぼくは、ここにいるから」
「……夕衣」
宥める。 必死で。 壊した罪を、背負って。
生きてる。
初めて、コイツらを異質に感じた。
「な、なに……ッ、この精神異常者!! 」
ジリリと、心が捻る音がした。
振り返る。
母さんが腕を抑えて、怒りの表情でこちらを見ている。
「さっさと病院に行っちゃいな! 狂ってる! お前狂ってる!! 」
バカだ、お前。
夕衣が、せっかくいろはを沈めたのに。
「バカ! お前らはただの頭のネジがイカれた、糞ガキだッ」
ああ、もうダメだ。
「いろ「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ、ああッ」
音のような叫びをあげて。
いろはがその場でうずくまる。
両手で頭を抱え、掻きむしる。 長い髪が散る。
それほど距離は近くないのに、心が割れそうな音だった。
「うがああああああああああッ、あああッ」
「いろは! しっかりしろ!」
「やああああああああああああああああああああッ」
泣いて鳴いて啼いて。
いろはがパニックになり、立ち上がったと思うと窓ガラスを思い切り割った。
その破片で、喉を斬り裂こうとする。
「ぐあっ、ああッ」 「いろは!」
やばい。 本気で。
俺は携帯で警察に連絡した。 声が震えて、何を言っているのか分からない。
あとは………病院? 精神科か?
「ゆーちゃん」
必死で名前を呼んで。
首から血を流しながら、いろはが力尽きる。
「ゆーちゃん」
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