ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- モノクロⅡ 完結
- 日時: 2010/08/28 09:04
- 名前: アキラ (ID: STEmBwbT)
.
未熟者です(-_-)
お客様
白兎様 ミコト様 神無月様
くろうさぎ様 風水様 スペシャル様
出雲様
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- Re: モノクロⅡ ( No.46 )
- 日時: 2010/08/11 08:20
- 名前: アキラ (ID: STEmBwbT)
モーゼスはいいの! でもシロとリリーはダメなのっ!!笑
可愛いんだものあの子たち!
クーならいいですよ←おいっ
>ミコトさん
- Re: モノクロⅡ ( No.47 )
- 日時: 2010/08/11 08:40
- 名前: アキラ (ID: STEmBwbT)
.
「………いいわね、アンソニー」
「はい」
「絶対に寝顔とか見るの禁止だし、寝込みを襲うのも禁止ねっ」
「………はい」
夜深く。 闇が街に染み込みだした頃。
同室になったリリーとアンソニーは、広いベッド一つの事で相当モメていた。
リリーが一方的に緊張していただけなのだが、アンソニーから、一人で使ってもいいと言われ、落ち着いた。
「アンソニーはどこで寝るのよ」
「私は、ベッドの傍で」
「襲わないでよねっ。 ま、ままま間違いとかあったら、母さまに申し訳ないからっ」
「はあ……」
さっきからずっとこの調子。
アンソニーがちょっと動くだけですぐ戸惑うため、やりづらい。
「じゃあ、寝るわよっ」
「おやすみなさい、お嬢様」
「ええ、おやす………、」
リリーの言葉が止まる。
不審に思ったアンソニーが、電気を消さずにリリーを見る。
「なに……この音」 「音?」
耳を澄ませても、そんなものは聞こえない。
「気のせいでは?」
「だってほら。 綺麗な……音、じゃないわ。 歌かしら」
リリーの表情から、嘘ではないらしい。
ベッドから起き上がり、リリーが部屋から出る。
「お嬢様、お部屋にお戻り下さい」
「……アンソニー、少し探検しない?」
「はあ?」
リリーの提案に、アンソニーが思わず腑抜けた声を出す。
好奇心で目が輝いているリリーは、アンソニーの返事を待たずに廊下を走って行った。
「ちょっ、お嬢様」
「歌の正体が知りたいの」
「そんなもの、私には聞こえません」
「私には、聞こえるわ」
闇の、声。 ラプソディー。
音の波は揺らいで、リリーの鼓膜に妖艶に響く。
「お嬢様、戻りましょう。 リアナイトは危険です」
「ちょっとだけだったら」
「ダメですっ」
やけに必死になるアンソニーに、流石にリリーも足を止める。
「どうしたの、アンソニー。 何かここにはあるの?」
「それは……っ」
言ってはいけない。
昔、シロに言われた言葉を思い出す。
──私は愚かな母親だわ。
アンソニーは唇を噛みしめ、言葉を呑みこんだ。
まっすぐに自分を見てくるリリーに嘘を、つく。
「……このリアナイト家は、魔物の血を受け継いでいます。 万が一の事があったら、奥さまにも旦那様にも顔向けできません」
直感的に、嘘だと思った。
リリーもそこまで馬鹿じゃない。 長年連れ添っていれば相手の微妙な変化にも気づく。
「……そう。 でも、私は行きたいわ。 危ない事があったら、アンソニーが守ってね」
「お嬢様」
今度は、彼の手をとって。
廊下を走り、階段を下りて、小さい扉を開ける。
歌を、たどって。
近づいてくる、近づいてくる。
出会ってはいけない二人が。
薄汚れた扉を前にして、リリーは立ち止る。
「この中から、聞こえるの」
「…………っ」
中に、入ってはいけない。
アンソニーは、纏わりつく結界の忠告に気づいていた。
「お嬢様、いけませんっ」
「え?」
扉を、開ける。
リリーはもう、歩き出していた。
その瞬間。
扉がバタンッと閉まる。 アンソニーは慌てて扉を開けようとするが、何故だか開かない。
「くそっ」
紋章の描かれている右手を扉の前にかざし、頭の中で開けと命じた。
結界の力が強く、それなりに手間取ったが、なんとか魔術で開ける事ができた。
「お嬢様っ」
躊躇わず、中に入る。
闇の王の居場所へ。
そしてそれは──、
「………」
間違いだった。
- Re: モノクロⅡ ( No.48 )
- 日時: 2010/08/11 09:05
- 名前: アキラ (ID: STEmBwbT)
.
扉の向こうにつながる廊下。 行き当たりは階段になっていた。
リアナイトの地下室につながる階段。
そこを下り、アンソニーは、
「………っ」
気を失った。
多大なる結界の魔法と、何者かの魔力により、意識を保てなくなったのだ。
「アンソニーっ」
先にここに来ていたリリーは、アンソニーに駆け寄り、体を起こす。
「……なに、ここ。 どこ……」
リリーは感じていた。
そこに、何かがいると。
「………………っ」
息を呑む。 それさえも、凍ってできないほど。
魔力のせいか、頭が物凄く痛む。
リリーの目の前にあったのは。
フードを深くかぶった、美しい闇の王だった。
「………え?」
その禍々しくも、儚くも、恐ろしくも、美しい姿に、リリーは呼吸を忘れた。
闇はどんどん近付いてきて、リリーの額にそっと触れる。
「誰なの……あなた……」
震える声。 なんとかそれだけ聞いた。
フードの男は、そっとフードをとる。 そして。
片方は月のような金色、もう片方はリリーによく似た灰色の目を、彼女に向けた。
「キミは……トルバートの子だね」
闇は、そう言った。
低く安定感のある声。 安らぎ。
囁くようなその声に、リリーはやっと、自分に話しかけられているのだと気づく。
「そうよ」
「名前を聞かせてくれないかな」
「リリー・トルバート」
闇の王は微笑んで、リリーと呟いた。
「いい名前だね」
「ありがとう……」
そこで初めて、リリーは彼が結界魔法によって動きが止められているのだと知る。
「捕まっているの?」
「俺の魔力が……強いだけだよ……」
「あなた、なに? アンソニーはどうしちゃったの」
闇の王はじっと、横たわる彼を見つめ。
「俺の魔力と結界のせいで、気を失っているんだよ。 大丈夫。 ここから出ればいいだけだから」
「そう。 ……もしかして、あなたが魔物?」
闇の王はそれを聞いて、微かに微笑んだ。
「おいで、リリー」
「………」
リリーはそっと、彼に近寄る。 しかし、鉄格子が邪魔をして、近づけない。
すると。
「そのまま、来ていいよ」
「でも、これにぶつかるわ」
「俺は、少しの魔術なら……大丈夫だから」
彼の言葉を信じ、そっと足を一歩進めてみる。
「………っ」 「ね?」
振り返ると、鉄格子とアンソニーが見える。
本当に、自分は鉄格子をすり抜けてきたのだ。
「リリー……キミは俺が怖くないの?」
「怖くないわ」
むしろ、吸いこまれそうなほど。
愛しくさえ感じた。
「キミみたいな子は、初めてだ」
「そうかしら。 あ、そういや名前をまだ聞いてなかったわ。 名前を教えて」
闇の王は、思わずこの少女を抱きしめたくなった。
自分をはじめて怖くないと言ってくれた彼女を。
「ヒース」
闇の王、魔物としてではなく、人間として与えられた名。
そしてこれが、
闇の王と、一人の王国の王女である少女の。
狂わしき人生の始まりだった。
- Re: モノクロⅡ ( No.49 )
- 日時: 2010/08/11 12:19
- 名前: ミコト (ID: 8hgpVngW)
ひぇ〜どうなっちゃうんですかぁ・・・
あっリリーを変な目に会わせないで下さいよっ!?
(もうあっとるっちゅーねん笑)
いいですよ!
クーでもいいですから下さい!!
だってクーかっこいいもんっっ
そりゃあシロとリリーのほうがいいけど
「お父様!クーを私に下さい!」
- Re: モノクロⅡ ( No.50 )
- 日時: 2010/08/11 13:55
- 名前: 風水 (ID: STEmBwbT)
ヒース、素敵です。
アンソニーの慌てるカッコがほんとに
可愛いです…っ
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