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モノクロⅡ  完結
日時: 2010/08/28 09:04
名前: アキラ (ID: STEmBwbT)

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未熟者です(-_-)



お客様
      白兎様  ミコト様  神無月様
      くろうさぎ様  風水様 スペシャル様
      出雲様

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Re: モノクロⅡ ( No.141 )
日時: 2010/08/27 16:35
名前: アキラ (ID: STEmBwbT)
参照: http://yaplog.jp/akirahayate/

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「………母さん?」

一拍遅れて。
リリーが口にした。

「ヒース、あなたはリアナイトの子でしょう?」
「俺は紛れもない、シロとクーの子供だよ。 そして」

嗚呼、それはあまりにも酷い話。

「そして、キミの双子の兄なんだけど」
「嘘よ」

ヒースが、双子の兄。 血の繋がった、家族。
闇の王が。
リリーは顔を横にふって、否定する。

「嘘っ、どうして? どうして言ってくれなかったの!? どうしてっ」
「…………っ」

シロが、薄い唇にギュッと歯を喰い込ませる。
その目はヒースに向けられており、キツく睨んでいた。

「リリーから離れて」
「母さん、俺はあなたの息子なのに、やけに怖い顔をなさる」
「決めたの。 私は子供は一人だと! 今のあなたは闇に溺れる魔物だわ」

その言葉に。
明らかにヒースの表情が怒りに変わる。

「よくもまあ……俺を王の器に差し出した分際でそんなしゃあしゃあと」

抑えきれない殺意が無意識に魔術を発動させたのか、シロの頬に痛みが走り、薄く傷ができる。
シロは生贄となった時、全ての魔力を封じられている。 彼女が王に勝とうなどと、戯言に過ぎなかった。

「やめて、ヒース!」
「ごめんね。 愛しいキミの願いでも、これは聞き入れられない」

嗚呼、シロが殺されてしまう。 もう、終わりだ。
必死で叫ぶ。 助けを呼ぶ。

「                  」

魔術を使ったのろうか。
凄まじい突風が吹き荒れ、部屋の窓ガラスが割れる音がした。
なにかが崩壊する音も、聞こえていた。
響いていた。

「………っ!」

目を開くと、そこにはシロの首を絞めているヒースと、彼の喉元にナイフを突き付けているクー。
そして、クーの腕に蝋燭を刺しているモーゼスと、自分を抱きしめているアンソニーだった。

「お前はやはり……殺すべきだった」
「俺を殺す? やってみてくださいよ、父さん」

にらみ合う、親子。
こんな事があっていいのかと。
全てを恨みながら。 それぞれの想いが交差する。

Re: モノクロⅡ ( No.142 )
日時: 2010/08/27 16:40
名前: アキラ (ID: STEmBwbT)
参照: http://yaplog.jp/akirahayate/

ヒースもリリーも双子です。
ただ、顔はそれほど似てません。 そこはただの二卵性とか一卵性とかの違いです。
辛かったと思います(>_<)
>白兎さん

Re: モノクロⅡ ( No.143 )
日時: 2010/08/27 17:05
名前: 水妖 (ID: 8hgpVngW)

ひぃぃぃぃぃ
やめなさい!!
ヒース!!そのてをどけろぉ!!
シロの敵は俺の敵!!
俺の敵は俺の敵だぁぁぁぁぁぁぁ

Re: モノクロⅡ ( No.144 )
日時: 2010/08/27 17:19
名前: アキラ (ID: STEmBwbT)
参照: http://yaplog.jp/akirahayate/

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「アンソニー、リリーを連れてここから逃げろ」
「っ、旦那様!!」

それはつまり。 
リリーの目から、涙がこぼれる。

「早く逃げろッ!! 」 「ですがっ」

嗚呼、終わりなのだ。
もう二度と、彼らと共に笑い合う事もないのだと。 リリーは察していた。

「行けと言っている!! 」

もう何も、失いたくないと。
クーは誓った。 あの日。 シロに会ってから。
アンソニーは血が出るほど唇を噛みしめ、リリーを抱いて部屋から出ようとする。

「させませんヨ」 「!」

モーゼスがクーの腕からナイフを抜き、勢いよくアンソニーに投げつける。
素手でそれを受け止め、リリーと部屋から出る。

「くそ……っ」 「モーゼスいい。 追うな」

ヒースはシロの首に込める力を弱める事なく、淡々と命令を下した。

「まずは、コイツらを殺せ」




   
           †




「俺が、その器になる」



城に戻ってきたクーは、シロから全てを聞き、そう言った。
クーの答えを聞いて、シロは愕然とする。

「嫌よ……っ、クーが居なくなるなんて嫌だわ」
「俺は、お前らを護りたい。 俺がその器になればいい」

この優しい男は、自分の犠牲など問わないのだろう。
シロは涙を流し、クーに抱き付いた。
そうしなければ、彼は消えてしまいそうだったから。

「他に方法があるわよ! そうだわ、貧しい子供を私たちの子供として差し出しましょう?」
「ふざけた事言うなっ。 その子にだって、家族がいるだろ」
「じゃあ……どうすればいいの?」

あの愛らしい子の、“どちら” を器として出しだせばいい?

「俺がやはり 「それは無理よ。 王の力と同化させるには、魔力のまだ弱い赤子が先決だもの」

なんとかそう言い、クーを引きとめる。
必死だった。 
シロにとって、クーは世界と同じようなものだったから。

「私は酷い母親よ。 自らを王の器として差し出せる勇気なんて、どこにもないわ」

まだ幼い彼女にとって。 母親としての荷はあまりにも、重すぎた。

「私は弱いもの! クーがいないと、あなたがいないと私の世界は終わってしまうっ」

そして、次の言葉が。 精一杯の彼女なりの脅しだった。

「“命令” よ、クー! あなたは私を護るのでしょうっ!? 私を護らなければあなたは、後悔するのでしょうっ!?」

クーは、そっと震えるシロを抱きしめて。
涙を流した。
選ぶ事など不可能だった。 だから。



だから、せめて──。          




「やだ……、父さま……母さま……っ」

一人欠けた家族で、幸せになろうと。
誓ったのに。

「離して……っ、アンソニっ……」
「…………………」

腕の中でリリーはもがく。
戻らなければ。 彼らは、きっと。





もう二度と、彼女の前で笑う事など、ないのに。

Re: モノクロⅡ ( No.145 )
日時: 2010/08/27 17:20
名前: アキラ (ID: STEmBwbT)
参照: http://yaplog.jp/akirahayate/

こちらも地味に戦闘シーン……笑
でも、全然はぶきますがねっ(^<^)
今日で終わらせたいな、この小説。
>水妖さん


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