ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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モノクロⅡ  完結
日時: 2010/08/28 09:04
名前: アキラ (ID: STEmBwbT)

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未熟者です(-_-)



お客様
      白兎様  ミコト様  神無月様
      くろうさぎ様  風水様 スペシャル様
      出雲様

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Re: モノクロⅡ ( No.6 )
日時: 2010/08/06 16:21
名前: 神無月 (ID: XOYU4uQv)


ああああああああ!!!!!!!

続編とか!!!ちょ、まっ!!!!!!(落ち着け


めっっっっちゃ楽しみにしてますよ!!初めのシーンとか、モノクロの最後の話と一緒だし!?

この繋がってる感がなんともいえない・・・!!!


興奮してしまいすみませぬ。

Re: モノクロⅡ ( No.7 )
日時: 2010/08/06 17:29
名前: ミコト (ID: 8hgpVngW)

なんか、色とかで言ってるのがいいっっっ♪
愛娘とかww
「私にリリーを下さいっっ」

失礼なんですけど、シロって何歳だったんですか?
めっちゃ幼子の気がしたんですけど。。。

Re: モノクロⅡ ( No.8 )
日時: 2010/08/07 08:48
名前: アキラ (ID: STEmBwbT)

おおっ。 そうです、最後のシーンです
ちょっと変えてますが、最後のシーンです!!笑
>神無月さん


当時13歳ですが、その何年後かにリリーが生まれたんです(^u^)
13歳でそんなっ……そんなねぇ笑
>ミコトさん

Re: モノクロⅡ ( No.9 )
日時: 2010/08/07 09:02
名前: アキラ (ID: STEmBwbT)

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        †第1章†
        安らかな休息 




魔法がいきかう、ハーデル王国。
その王国の東にある、大都市ピアシスタは、古くから『神』 の存在を信じ、信仰が深く根付いている町だった。

その都市の中央には、今は立ち入り禁止の、崩れかけた一つの塔がある。

「……………」

その塔を、どこか怒りのこもった目で見つめている一人の男がいた。
貧富の激しいこの街では珍しい、整った身なりをした男。

容姿も整っており、黒い髪に大きく精悍な双眸が美しい男だった。

男はかつて、囚人304番と呼ばれていた。
一人の愛らしい、真っ白な少女のおかげで、その呼び名は愛称に変わったけれど。

「あの、もしかして “黒の魔術師様” ですか?」

異名を呼ばれ、振り向くと貧しそうな親子が自分を見上げていた。
無言で頷くと、握手を求められる。
黒い手袋をはめた右手を差し出すと、女性は嬉しそうに微笑んだ。

「ありがとう。 あなたのおかげで、私の母の病気が治ったのよ」
「……そうか」

精悍な双眸が、フッと優しく細められる。

「魔術師様は、これからどちらに?」
「……」

男は、ほんの少し苦笑し、塔を見上げる。

「おてんばの遊び相手に」

Re: モノクロⅡ ( No.10 )
日時: 2010/08/07 12:42
名前: アキラ (ID: STEmBwbT)

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そこは、白い部屋だった。

大理石も白く艶やかに磨かれており、置いてある高価も全て純白だった。
ハーデル王国の一族。 トルバート家の寝室の一つである。

その白い部屋で、少し離れて見ればまったく分からないほど、同じように白い女性がいた。

白い髪に、白い服。 透き通るような肌に、薄いアイスブルーの瞳。
まだ幼さの残る容姿だが、ベッドの上で絵を描いている。

その部屋の扉がノックされ、入ってきたのは先ほど魔術師様と呼ばれ、慕われていた男だった。

「今思ったのだけれど。 ノックしたら、相手の返事を待ってから入るべきだと思うわ」

愛らしい容姿に、生意気な口調。
その女性──シロは、男の方を見ずに言った。

「かく言う私も、あまりマナーを守った事はないのだけれど」

男は何も言わず、シロに近寄る。
白い空間に黒があるという光景も、不思議なものだった。

「久しいな」
「ええ。 何か月ぶりだったかしら」
「リリーは?」
「あの子、また石碑を見ているのよ」

シロはもう、昔の13歳の少女ではなかった。
幼さは残るけども、どこか妖艶な気品を漂わせる。

「飽きないのかしら」
「飽きてないんだろ」

シロはようやく振り返り、何カ月ぶりかに見る愛しい男の顔を見た。

「クーも、私の遊び相手によく飽きないわね」

どこか呆れた風に、だけどそれがとても嬉しい事だから。
クーはそっと、シロを抱きしめた。




今から20年前、シロは 『神の生贄』 として、塔の白い部屋にいた。
生まれた時から。 自分の存在価値も知らず。

自分が、トルバート家の長女だとも知らず。

クーは、その時連行された死刑囚だった。
目の前で愛する人を守れず、穢れた所で働かされていた。


二人とも、会う事のない存在だった。 お互いに。


愛する事など、本当に無理なはずだった。 


だけど。
クーはシロを愛し、シロもまた、初めて 『愛しい』 という感情を知った。
いつのまにか、もう分かっていた。

どうしてこの人を守りたいのか。


「ねえ、クー」
「なに」
「おなかすいたわ」

雰囲気ぶち壊しのシロの発言にも、クーは慣れていた。

「行こう。 リリーも待ってると思う」
「そうね。 久しぶりの家族水入らずなのだから、楽しまないとね」

楽しそうスキップしながら、シロが扉に手をかける。
クーは慌ててシロの手を抑え、

「城の外に行く時は、俺は “魔術師” だ」

と念を押した。
シロは一瞬、哀しい表情になったが、頷く。

元死刑囚のクーが、ハーデル王国の国王になるなど、もってのほか。
王家の信用できる者でしか、リリーの父親がクーである事は知らない。

クーは、シロの側近の魔術師として健在しているという事になっていた。

「でも、中ならいいでしょ?」
「中なら、だ」
「了解」


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