ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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未来が俺たちにくれた物
日時: 2011/12/14 22:58
名前: ケンチン (ID: r1bsVuJn)

どうも、ケンチンです。
前作で知っている人もいるかと思います。
今回は「未来が俺たちにくれた物」という題名で作っていきたいと思います。題名に特に意味はないんですがね。

よかったら1作目のDifferent Worldsも見てくれるとうれしいです。
といっても、まだ完結してないんですがね。執筆中ですが、ほぼ終わりに近づいています。no=16760だったかな。

さて、本作では3つの架空の国が登場します。

アリビオ
マタン
クルトゥス

スペイン語、フランス語、ラテン語からとりました。

メインはアリビオという国で、この中で主人公や他の登場人物があれこれやります。
位置は南ヨーロッパ、ギリシャあたりだと思ってください。

それではよろしくお願いします。

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第17話:逃げ道 ( No.32 )
日時: 2012/03/24 00:31
名前: ケンチン (ID: O67kmMkJ)

ホテルの庭に見えたのは複数台のUCS。
対人から対戦車車両まで目白押しだ。
距離を詰めるように全車両がこちらに向かってくる。

「相手にするのはむりだ。裏から外へ出るぞ!」

軍曹が真っ先にむかったのは厨房だった。
そこの荷物搬入口から外へ出られるのだ。
だが、軍曹ドアを開けた瞬間

「軍曹!!」

ドアが爆発した。物凄い衝撃と爆風が襲いかかり、
俺はとっさにディアナをかばう。

軍曹はどこにもいなかった。ドアごと吹き飛ばされたのだ。
そして、爆発で出来た大きな穴からは84㎜対戦車砲を搭載したUCSが姿を現す。
そう、ホテルごと囲まれていたのだ。

「くそ、足が!」

トッド上等兵が足を押えて倒れている。破片が足に深く刺さっていた。

「引き返せ少年、別の出口から外へ出ろ!」

「トッドさんはどうするんですか!?」

「俺は動けない。このミニミで時間稼ぎをするから早く出ろ!」

そういうとトッド上等兵はM249軽機関銃をかまえ

「きやがれクソマシンども!弾はたっぷりあるぜ。しばらく遊び相手になってやる。」

外のUCSに銃撃を加える。
トッド上等兵は歩けない。数的にも不利だ。しばらくすればUCSにやられる。
おいておけない。肩を貸せば何とか一緒に逃げられるのでは

「早く行け。足手まといにはなりたくないんだ。頼むからそのまま逃げてくれ」

「わかりました・・」

俺はディアナの手を引き走り出す。後ろからは絶え間なく銃声が響き渡る。
厨房から出ようとしたときだった。

「少年!」

その声に後ろを振り向くと

「死ぬなよ」

「はい」


厨房をでて左に曲がり、非常階段で下へ降りて地下駐車場へと出る。
UCSの攻撃が始まった時、急いで車で逃げようとしたのか、
何台もの車同士がぶつかっていた。混乱していたのがよくわかる。
みんな一斉に逃げようとしたのだ。無理もない。
結局そのまま走って逃げたという感じだろうか。キーの刺さった車両がいくつかある。

「車使って外に出るの?」

後ろからディアナの震えた声が聞こえてくる。

「いや、街中はとても車で走れる状態じゃない」

「どうするの?」

「こいつを使う」

俺は倒れていたホンダ CBR1100XXバイクを立て直す

「だけど、外にUCSがいるよ?」

「そうだな。とりあえず待ってて」

コンクリートの車止めを持ち上げ、近くで事故っていたBMW M3に乗る。
キーを回すとエンジンがかかった。まだ動くみたいだ。
そいつを出口まで移動させ

「わるいね、持ち主の人」

アクセルにコンクリートを載せると、BMW M3は無人で勢いよく出口の坂を駆け上がる。
車が出口を出た瞬間だった。一斉に銃声が鳴り響く。出てきたM3を撃っているのだろう。

「出るぞ、乗れ!」

CBR1100XXバイクにまたがる。ディアナも後ろに乗り

「しっかりつかまっててくれ」

そういってアクセルを踏む。
直列4気筒エンジンがうなりをあげて一気に加速する。
出口を出るとUCSがいなかった。先に飛び出して直進していったM3を追ったのだろう。
なので、俺は出てすぐ右折した。
車道は破壊または放置された車で通れず、歩道を使って進むしかなかった。

第18話:希望 ( No.33 )
日時: 2012/04/07 00:13
名前: ケンチン (ID: O67kmMkJ)

「電気つかねーな」

ホテルを出た後、西に5キロほど離れた住宅街までバイクで逃げてきた。
今はそのうちの一軒にお邪魔している。

日はすでに落ち、外は暗闇に包まれ、静寂が支配していた。
玄関から入ろうとしたが鍵がかかっていたため、持ってきたG3ライフルで鍵を破壊して中に入った。
電気がつかず、部屋の中は真っ暗だ。

「ねぇ、こんなの見つけたんだけど」

ディアナの声で振り返ると

「うぉ、まぶしい」

「ハンディライトよ。玄関にあったわ」

「真っ暗なのに、よく見つけたな」

「携帯のライトを使ったの」

「ああ、携帯か。そういえばずっと圏外だよな。まあ使えたところでどうにかなるわけでもないが」

軍隊も手に負えない事態だ。誰に助けを呼べばいいのだか

「まさかホテルに帰ってきて攻撃されるとは・・」

俺はソファにすわり、来ていたベストを脱ぐ。

「帰る途中でUCSに見つかったとか?」

ディアナもその隣に腰を下ろし、ハンディライトを机の真ん中におく。

「いやそれはないと思う。これまでのやつらの行動をみると、もし見つかっていたらその場で即攻撃を受けていたはずだ。
おそらく、DLSを使ったんだろう。」

「でぃーえるえす?」

「そう。UCSに搭載されている機能の一つでね。敵や仲間の位置情報などをすべてのUCSで共有できるシステムだ。
俺たちは一度基地でUCSに見つかったんだ。だが伍長のおかげでなんとか振り切ったんだけど、その時DLSを使って
俺たちの情報を周囲のUCSに送信したんだろう。『3人を取り逃がした』とね。」

「つまり、初めに私たちを襲ってきたUCSがその情報を受信して『もしかしたらここに戻ってくるかも』と判断して
待っていたってこと?」

「おそらくね。だからバイクも隠してきた。ここに来るまでの間にもし見つかっていたらバイクの情報もすべてのUCSが把握しているからね」

「私たち、どこにも逃げ場はないのね」

少しでも見つかったらアウト。つまりいつ襲われてもおかしくはないのだ。

「ねぇ、これからどうするの?」

「そうだな。しばらくここで様子見だな」

「だれも、助けにきてくれないよね・・」

「あぁ・・ 軍はすでに撤収しているし。この事態が収まるのを待つしかない」

「他のみんなはどうしているのかしら・・・ お父さんやお母さん無事だといいのだけれど」

両親か。そういや考えたことなかったな。
俺は大学に入学したとき寮で一人暮らしを始めた。
それ以降あまり連絡を取っていない。

「とりあえず今日はもう寝よう。疲れた・・・」

「そうね」

体力的にも精神的もいっぱいだ。ディアナは寝室にむかい、
俺はそのままソファーで寝ることにした。




「ねぇ!起きて!」

翌朝、ディアナに起こされて目が覚める。

「ん?どうした?そんな慌てて」

「これ、聞いて」

ディアナはどこかから持ってきたラジオを手にしていた。

「ラジオ?どこにあったんだ?」

「私が寝ていた寝室よ。朝起きたら見つけたの」

ラジオから何か聞こえてくる。誰かが話しているみたいだ

「えー我々はクルトゥス国軍だ。これはラジオの全周波数に流している。生存者がいたら聞いてほしい。
我々は現在アリビオ南部のプラカ地区に軍を展開させ、生存者の救出にあたっている」

第19話:絶望 ( No.34 )
日時: 2012/04/19 00:22
名前: ケンチン (ID: r/aDEmsN)

ラジオから聞こえた情報はこうだ。
まず、クルトゥスの軍がアリビオに上陸。
アリビオ政府の要請により生存者救出に力を貸しているらしい。
クルトゥスとはここから西に500キロ離れた国で、エーゲ海の先にある。

現在、プラカという街に軍を展開させているためそこまで来てほしいとのこと。
また、最近ではUCSの活動が弱まったらしく、少人数の部隊を各地域に送り込んでいるため、
もし我々を見つけたら声を掛けてほしいとのことだった。
助かった・・・ 最初は脱出のめどすら立たなかったが、
まさか隣国の方が助けに来てくれるとは。
これで生き残るチャンスができたわけだ。
だが最後に衝撃的な報告がはいる。

UCSが小型核弾頭を搭載したミサイルを使用したらしい。
アリビオ南部の町クレタが消滅した。

「うそだろ・・・?」

UCSの中には小型の核ミサイルを搭載できる機体がいくつかある。
しかし核を使用するとは想定外だった。
いくら小型といえど街を消滅させることができる威力をもっている。
それにあと何発もっているかもわからない。

「まずいな、早くここからでないと。」

「プラカってここから結構離れているわね」

「そうだな。だけど捜索のために部隊が来ているっていってたからな。もしかしたら途中で見つけられるかも」

「そうね」

「とりあえず出発だ。軍の気がかわって撤収されるまえに。水を取ってくるよ。」

俺たちは水や食料などを家の倉庫から調達し、出発する。
脱いだベストを着直し、G3ライフルをかついで借りたバイクを使ってプラカまで目指す。



20分後、ガス欠で止まりやがった。

「くそ、ガス欠とかついてねぇ・・・」

「ガソリンスタンドを使えば?」

「電気が来てないから動かないよ」

「あ、そっか」

「道が通れる状況じゃないから車は難しいし、それにでかいから目立つんだよな」

「そうね。歩くしかないわね」

「歩くしかねーな」

UCSが核を使った以上、じっとしていては危険だ。
とにかくいち早くこの国からでないと。
しかしプラカまでは遠く、歩いて何日かかることやら。
バイクをすてて歩こうとしたときだった。

「ねぇ、あれ!」

ディアナがいきなり前を指さす
よく見ると迷彩服を着て武装した兵士2名が警戒しながら歩いている

「もしかして、クルトゥス軍か!?」

俺とディアナは彼らに向かって走り出した

「おーい!こっちだ!」

すると兵士二人がこちらに振り向く
一瞬銃を向けられたが、こちらを確認すると銃をさげて向かってくる。

「おどろいた、生存者がいたとは。二人だけか?」

兵士の一人が俺に話しかけてくる

「はい、ラジオの放送を聞いてプラカまで向ってたところです」

「そうか。怪我はないか?」

「大丈夫です」

「わかった。近くにAPCを用意してある。ついてきてくれ」

そういって兵士二人が歩きだそうとしたその時

ターン

遠い銃声が鳴り響き、兵士一人の頭が吹き飛んだ。

「!!?」

頭を撃ち抜かれた兵士はその場に倒れ、もう一人は銃声のした方角にAK-74を向ける

UCSの攻撃?いや違う。
あきらかに狙撃された。人の手によって。

第20話:謎 ( No.35 )
日時: 2012/05/03 00:17
名前: ケンチン (ID: 8cMze6mt)

「狙撃だ!散れ」

そういって生き残ったクルトゥス陸軍兵士が走ろうとしたときだった。

「動かない方がいいぞ、ルーキー」

突然、俺たちの右側から男性が一人現れた。
彼はH&K Mk23をこちらに向けている。
青のジーンズに紺色のコートを着ている。30歳後半ってところか。
どうみても民間人だ。

「妙なまねはしないほうがいい。おまえらはすでに囲まれている」

男が左手を高く上げる。
その合図と同時に男女4人がすばやく俺たちを囲いこむ。
全員銃で武装していた。格好は皆普通だ。

「銃と無線をこちらへ投げろ。」

クルトゥス軍兵士が持っていたAK−74と無線を投げ渡す。
さらにコートの男が俺を睨みつけ

「おまえもだ少年。」

俺も同じく持ってきたG3ライフルを彼に投げ渡す。

「よーしいいこだ。おまえら、こいつらを連れてこい」

俺たちは全員彼らに両手を拘束され、そのまま近くのオフィスビルの中に連れて行かれた。



「よおデュラント。おつかれさん」

ビル2階のオフィスに入るや金髪の男が皆を出迎えた。
ずいぶんと若い。どこかの学校の制服を着ている。高校生ぐらいか?

「おう、捕まえてきたぞ。」

「げ、マジでやったの?これで俺らも後戻りできねーな」

「こうでもしない限りわからねえだろ?」

「まあ確かにそうだけどさー」

どうやら初めから俺たちを捕まえる気でいたらしい。
しかし、なぜそんなことを。しかも救出に来たクルトゥス軍の兵士を一人殺したんだぞ。
敵に回したようなもんだ。

「デュラントの言うとおりよ。私も確かめたいわ。」

俺を拘束していた女性が前に出る。白のダブルトレンチコートを着ている。
20代前半で赤茶系のショートヘヤーだ。

「なにかあるわよ絶対。さっさとはじめましょ」

そう言って俺たちを睨みつけてくる。
さらに後ろから男性の声がした。

「僕もミーナに賛成だな」

アリビオ国防陸軍のデジタル迷彩を着た男が入口に立っていた。
初めの5人の中にはいなかった人だ。
レミントンM700ライフルをかついでいる。

「おいダニエル!いきなり頭撃ち抜くなよ。話がちがうだろ」

「ああわるいわるい。間違えちゃってね」

「間違えたじゃねーだろ。だれが殺せっていった」

どうやらこのダニエルとかいう男が狙撃したらしい。
しかし、国防陸軍の兵士がなぜここに?こいつらは一体・・・

「マジ!?ダニエルの兄貴、相手殺しちゃったの?やばいよそれはー」

金髪高校生が座っていた机から飛び降りる。

「ったく、ダニエルは。もう済んだことは仕方がない。一応死体も隠ておいたしな。
 おいミーナ。とりあえずそこの少年と女は解放しろ。ただの生存者だ。問題はない。」

「わかったわ」

ミーナとかいう短髪女が俺とディアナの拘束をとく。

その時だった

「シュタール!」

いきなり俺の名前がよばれた。聞いたことがあるぞ。この声まさか

「ウィット!おまえか!」

「おおシュタール久しぶり!よかった生きてたのか」

「おまえこそ、途中で見失ってから心配したぞ」

俺の親友、ウィットが目の前にいた。

「あの後俺もお前を探したんだけど結局見つからなくて、携帯も使えないじゃん。
 だからとにかくあの街から出ようとずっと西に向かってたんだよ。そしたらこの人たちに
 出会ったんだ。」

「そうか。とにかく無事でよかった」

久しぶりに見る親友の顔だった。

「何だお前ら、知り合いか?」

デュラントがウィットに問いかける

「はい、俺の大学の友達です。ここで会えるなんて奇跡だ」

「そうか、そいつはよかったな」

するとミーナやダニエル、その他数名がデュラントに寄り

「そろそろはじめましょうよ」

「そうだな」

Re: 未来が俺たちにくれた物 ( No.36 )
日時: 2012/05/05 08:49
名前: 時橋 翔也 (ID: ffzF7wsd)


こんにちは!小説読みました!

スッゴく面白いです。速く続きが見たいです


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