ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 未来が俺たちにくれた物
- 日時: 2011/12/14 22:58
- 名前: ケンチン (ID: r1bsVuJn)
どうも、ケンチンです。
前作で知っている人もいるかと思います。
今回は「未来が俺たちにくれた物」という題名で作っていきたいと思います。題名に特に意味はないんですがね。
よかったら1作目のDifferent Worldsも見てくれるとうれしいです。
といっても、まだ完結してないんですがね。執筆中ですが、ほぼ終わりに近づいています。no=16760だったかな。
さて、本作では3つの架空の国が登場します。
アリビオ
マタン
クルトゥス
スペイン語、フランス語、ラテン語からとりました。
メインはアリビオという国で、この中で主人公や他の登場人物があれこれやります。
位置は南ヨーロッパ、ギリシャあたりだと思ってください。
それではよろしくお願いします。
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- 第6話:どこに行っても ( No.16 )
- 日時: 2012/01/04 22:09
- 名前: ケンチン (ID: r1bsVuJn)
15分後、中学校から北に約1キロほど離れたコンビニの中に俺たちは隠れていた。
店内に入ってからしばらくすると外が静かになる。
「私、あのロボットをテレビで見たことがあるわ。たしか・・UCSがどうのこうのって」
「そう。あいつらはUCSと行って、近いうちに軍隊に配備される無人戦闘用ロボットだ。」
「よく知ってるわね。さすがはオタク」
「わかることは、なぜかそいつらが俺たちを攻撃してくるということ・・・」
バキッ
俺が考え込んでいると、店の入り口辺りでドアが壊れる音がした。
そして何かが入ってくる。
嫌な予感がした。軽いキャタピラの音・・・・
UCSの一体が店内に入ってきたのだ。
ディアナもそれに気づいたらしく、立ち上がろうとしたが
「静かに!見つかるよ」
口を押さえ彼女を座らせる。
だがキャタピラの音はどんどん近づいてくる。
ここにいても見つかるか。
俺たちは静かにUCSのいる反対側の通路から逃げ出そうと移動したが
ガシャン
何かにぶつかった。下を見るともう一体のUCSがそこにいた。
やばい・・殺される。
俺は後ずさり、キャタピラの上にあるM240機関銃がゆっくりと俺に向けられようとしていた。
「くそ、こうなったら」
銃口が俺の顔を捉えた時だった。
右にあった商品の陳列棚に手を掛け、思いきり横に引っ張った。
棚にはガムや飴など比較的軽い商品ばかりが載っていたので、簡単に倒すことができた。
UCSはそのまま倒れてきた商品棚の下敷きとなる。
「走れ!」
棚の上を飛び越え、一気に出口へと向かう。
コンビニを出てすぐ左に曲がり、そのまま北の方角へ走る。
どこにいってもUCSばかりだ。
陸からも空からも、建物の中に隠れても見つかる。
店を出てからわずか数分で飛行していたUCSに捕捉された。
距離はそれほど離れていない。
さらに近には公園しかなく、すぐに隠れられそうな場所が見つからなかった。
もう避けられない。ここで終わりか。
そう思った時。
ババババッ
俺たちの後ろでライフル弾特有の重い銃声が響いた。
同時に接近していたUCSが進路を変える。
振り向くと、デジタル迷彩の服を着た男性数名がG3ライフルでUCSに向かって銃撃していた。
UCSは多数の銃弾を受け、ターボファンエンジンから煙を出しながら離れていく。
「君たち、大丈夫か?」
一人が俺に声をかけてくる。
彼らの腕にはアリビオ国防陸軍のエンブレムが付けられていた。
軍隊が展開していたのだ。
- 第7話:移動 ( No.17 )
- 日時: 2012/01/08 22:40
- 名前: ケンチン (ID: r1bsVuJn)
アリビオ国防軍兵士3名とともに俺たちは電車の駅の中に逃げ込んだ。
「ここで待ってろ」
無線を持って、軍曹の階級章を付けたチームのリーダーが離れていく。
「こちらオスカー。HQ応答願う。」
無線で本部と通信するみたいだ。
「こちらHQ。どうした」
「現在、回収地点の手前に来ている。ヘリを1機こちらにまわりてもらいたい」
「HQからオスカーへ、残念だが、今そちらにまわせるヘリがない。それに飛行UCSが多すぎる。空域の安全が確保できない限り回収はできない。」
「なら、近くのコンボイをこっちへ回してくれ。」
「車両部隊は先ほど引き上げた」
「なんだと?そんなことは聞いてないぞ。」
「とにかく、今は無理だ。必ずそちらに回収部隊を向かわせる。指示があるまでそこで待機だ。以上」
それを最後に無線はきられた。
「ヘリはこない。しばらくそこでまてだと。コンボイも引き上げた。」
「なんだって!?おれたちゃおきざりかよ」
「どうするんです?これから」
ほかの二人もひどくあわてていた。
片方は伍長、もう片方は上等兵の階級章を付けている。
どうやら本来ならこの近くからヘリで帰れたらしい。
だが、本部がそれを拒否。
さらにこの地域に展開していた地上部隊もほとんどが引き上げたようだ。
M249機関銃を持った上等兵が弾薬を確かめ始める。
「もう弾も水もほとんどないですよ。機械どもに襲撃されたらおわりです。」
「そうだな。とりあえず残っている部隊を探して合流する。それでどうだ?」
「OK,わかりました。」
再び無線をつかって話そうとしている。
今度は別の部隊と連絡をとるようだ。
「オスカーからエンフィールドへ。聞こえるか?」
しばらくして無線から声が聞こえる。
「こちらエンフィールド、聞こえるぞ。」
「エンフィールド、残念なお知らせだ。車両部隊が知らないうちに引き上げやがった。ヘリもこれる状態じゃないそうだ。俺たちは帰れない」
「あぁ、まじかよ・・まあこうなるんじゃないかと少し予想はしてたんだけどな」
「とりあえず、そちらと合流したい。エンフィールド、現在位置を知らせてくれ。」
「俺たちは今ホテルのロビーにいる。ロイヤルガーデンホテルだ。わかるか?」
「ああ、確かレニバー通り沿いの、橋を渡ったすぐ近くだろ?そこまで遠くはないな」
「そうだ。こっちは負傷者を多数かかえていて動けない状況だ。そちらからホテルまで来てほしい」
「わかった。すぐに出る。また後で連絡をする。アウト」
軍曹が無線を切り、立てかけてあった銃をとる。
「よし、全員移動だ。」
そういって軍曹は駅の出口から外へとでる。
ほか2名と俺とディアナも彼の後に続いた。
- 第8話:エンフィールド分隊 ( No.18 )
- 日時: 2012/01/12 18:17
- 名前: ケンチン (ID: r1bsVuJn)
日が落ち、外はすっかり暗くなっていた。
駅を出てから20分、別の部隊と合流すべくロイヤルガーデンホテルを目指していた。
レニバー通りを北へまっすぐ進めばすぐ着くのだが、
道幅が広く、UCSに見つかる危険性が高い。
そのため大通りを避けるように迂回して進む必要があった。
「やつら、こないですね。」
上等兵が前を警戒しながら歩く軍曹と話している。
夜で暗いおかげか、UCSをあまりみない。
「おそらく燃料と弾薬の節約だろう。」
UCSには暗視装置が搭載されている。
しかし、昼の明るい時間帯よりは目標を捕捉しづらい。
そのため夜間は燃料節約のため、あまり動いていないらしい。
「だったら、止まってる機械どもをつぶすのは?」
ひらめいたかのように上等兵が軍曹に話す。
「そんなマヌケなやつらじゃない。移動していないだけで、UCS自体は起動している。近づけば死ぬぞ」
だが、明るい時間帯と比べるとUCSの数は少なくなっている。
大学から逃げ出してきた時はすぐに捕捉されてしまった。
一応今は開けた場所は避けて移動しているが、すぐに見つからないだけ気が楽である。
「あの、すみません。国防軍は今どのような状態なんですか?」
俺は後ろを警戒していた伍長に聞いてみる。
「おそらくもうこのあたりからは撤退しているだろうな。」
はぁー
伍長が深いため息をつく
「異変が起きてからすぐ戦闘機がUCSの迎撃にむかったが、数分でやられた。UCSは無人だから機動能力が雲泥の差だ。その後、滑走路を爆撃され戦闘機は飛べず、空からの支援は無しだ。」
そういえば、国防空軍の戦闘機を見かけなかった。最初に離陸したのは全て撃墜されたのか。
「俺たちにはグレインベルト地区の生存者の救出および、脱出路の確保が命じられたが、UCSの猛攻に太刀打ちできず、失敗に終わった。」
グレインベルト地区とは俺たちが今いるここら一帯のことをさす。
「そしてこの有様だ。仲間は殺され、部隊はバラバラとなった。最初、この分隊は13人いたんだ。」
ということは、10人もやられたということか。
「残りの軍隊は、政府要人の身柄保護やホットゾーン近くの住民の退去で忙しいみたいだ。つまり、俺たちやここらホットゾーンにいる生存者は見捨てられた。おそらく救助にはこないだろうな。」
ここで黙っていたディアナが伍長に詰め寄る。
「じゃあ、私たちはどうなるんですか!?周りにはたくさんUCSがいるし、助けも来ないなんて、死ぬしかないじゃないですか!!」
「おちつけお譲ちゃん。俺だって殺される気はない。いろいろ考えてはいる。」
しかし現状は最悪だ。軍はすでに撤退している。日が上れば再び攻撃も始まるだろう。
そうなれば一歩も動けない。
50分かかってようやく目的のホテルについた。
中にいたエンフィールド分隊の人たちが出迎えてくれる。
「よくきたな、アルディ。入ってくれ。」
軍曹の名前はアルディらしい。
「今の状況は?」
ホテルのロビーを見渡しながら、軍曹がエンフィールド分隊長にたずねる。
「見てのとおりさ。負傷者がおおい。一般人も多くいる。俺たちがここに逃げ込んだ時にはすでにこんな状態だった。」
床は血で真っ赤にそまっていた。衛生兵があちこち手当てしてまわっている。
最悪の状態だった。
- Re: 未来が俺たちにくれた物 ( No.19 )
- 日時: 2012/01/14 18:09
- 名前: 電磁メイド ◆acqkduEpzY (ID: zist1zA5)
お久しぶりです
まさかの展開です!!
や・は・り
『面白いです!!』
- 第9話:経緯 ( No.20 )
- 日時: 2012/01/17 00:01
- 名前: ケンチン (ID: r1bsVuJn)
今回はUCSについてのお話。
(この小説内の時期は2020年です。)
1997年9月7日、米国ロッキード・マーティン社とボーイング社が共同開発した第5世代戦闘機、F-22が初飛行に成功する。
高いステルス性と機動力をもち、世界最強の戦闘機とよばれるようになった。
世界各国の政府がこのF-22の販売を希望したが、元々輸出向けにつくられていないため米国が販売を拒否。
1998年にはF-22の海外販売を禁止する法律を期限付きで制定させる。
そして時が経ち、9年後の2007年。世界の軍事市場は以前よりも盛んになっていた。
アメリカやロシア、そして中国が次世代戦闘機の配備を進める中、
他国もそれに対抗して旧世代の戦闘機や攻撃機の入れ替えに力を入れていた。
ロシアでは次世代戦闘機、MIG-35の輸出を開始。
またヨーロッパではユーロファイター・タイフーンを開発参加国以外にも販売すると発表。
そしてアメリカでは、海外販売禁止期限の切れるF-22を輸出向けに改良し、販売すると発表した。
そんな中、この次世代戦闘機が起こした一大軍事ビジネスに注目したのが、
アリビオに会社を構える航空機開発製造メーカー「アウィス」だった。
アウィスは小型の民間機から戦闘機まで様々な航空機の製造及び開発を行っている。
世界が軍事力強化のために大金をつぎ込もうとしているこの時期に、アウィスは「第6世代戦闘機」の開発を発表した。
戦闘機の名前はUFA-1。多用途型の戦闘機で、コンセプトは”無人化”だった。
またデータリンクシステムを搭載し、味方の戦闘機と敵の位置情報や天候などのデータをやり取りすることができる。
さらにこのAIを搭載した完全無人戦闘機を各国に販売すると発表。世界から注目を浴びるようになる。
この動きをみた同じくアリビオに会社を構える世界最大級の半導体メーカー「ASMC」も軍事産業に介入。
しかしASMCは航空機開発の経験がないため、重機械コングロマリットであるGDC、General Dynamics Corporationと共同開発することになる。
ASMCも多目的戦闘機の開発を発表。AIやアヴィオニクス、無人機同士の通信などシステム全般はASMCが担当し、
機体の設計、製造はGDCが請け負うことになった。
アウィス社、ASMC社ともに導入を希望する国に出資を呼びかけた。その結果、世界各国から開発資金が送られることとなる。
そのため開発はすぐに始められ、資金源に困ることはなかった。
また航空機だけではなく、陸上兵器までもが無人化されることとなる。
アリビオ国防陸軍が使用している国産戦車を製造している重機械メーカー「クラウス」社が対人または対戦車無人兵器の開発を開始。
T-72やM60などの旧式戦車から買い替えを検討しているいくつかの国がこれに注目する。
各メーカーは競い合うかのように無人兵器の開発に全力を注いだ。
そして、それらの無人化された兵器を総称してUCS、Unmanned Combat Systemと呼ぶようになる。
驚異的なスピードで開発は行われた。そして2012年、アウィス社が手がけていたUCS、UFA-1が初飛行に成功。
続いてASMC、GDC共同開発UCS、VO-201も初飛行に成功する。
その後何度もテストが行われ、問題点を徹底的に修正。また速度や機動性、ステルス性や攻撃能力などのデータ収集も行われた。
これを元に2社は世界に向けてUCSの発表を行った。
その結果、アウィス社のUCS、UFA-1のほうが高い評価を得ることとなる。
しかし性能面、攻撃能力ともにASMC、GDCのVO-201のほうが高かった。
それなのにUFA-1のほうが高評価なのは”コスト、生産性”の面で違っていたからだ。
UFA-1は総合的にみてVO-201よりも劣るが、1機あたりの生産コストおよび製造スピードがUFA-1のほうが上であった。
つまり、次世代戦闘機をほしがる各国は性能よりも数を優先したのだ。
この評価をうけASMC、GDCは1機あたりのスペックを下げ、値段を安くし、量産できるように改良を加えた。
さらに派生方の開発を開始。無人の偵察機や電子戦略機などにも手を出した。
一方クラウス社は開発していた対人UCS、ウォートホッグが完成する。無人化は当然なのだが、
アウィス社、ASMC社と協力し、戦闘機UCSとのデータ通信を可能とした。
空から見た地上の状況を受信し、それをコンピュータが解析して最適な行動をとるのだ。
またその情報を地上UCS内で共有できるようになっている。
クラウス社は海外の様々な武器展示会でこれを宣伝。
性能面ではよかったのだが、それで安価に抑えるため装甲に関してはそこまで考慮されていなかった。
しかし地上と空、UCS同士で通信し協力できるということもあって、UFA-1やVO-201を発注した国からも注文が殺到した。
すぐにウォートホッグの対戦車版を開発。
またクラウス社はUCSのためのUCS、つまり弾薬や燃料を補給させるためのUCS、またはデータリンクシステムの中継基地用のUCSまで作り始める。
アウィスやASMCのUCSはヨーロッパ各国からアジア、中東、アフリカまたはアリビオ国防軍からも発注が来るようになる。
早くも2500機の製造の開始。配備開始予定の2021年までにはあわせて6000機製造される見込みであった。
クラウス社に関してはUCS製造数は1万台以上に上ると発表。
そして2020年12月10日、これらUCSが謎の暴走をはしめたのだ。
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