ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 未来が俺たちにくれた物
- 日時: 2011/12/14 22:58
- 名前: ケンチン (ID: r1bsVuJn)
どうも、ケンチンです。
前作で知っている人もいるかと思います。
今回は「未来が俺たちにくれた物」という題名で作っていきたいと思います。題名に特に意味はないんですがね。
よかったら1作目のDifferent Worldsも見てくれるとうれしいです。
といっても、まだ完結してないんですがね。執筆中ですが、ほぼ終わりに近づいています。no=16760だったかな。
さて、本作では3つの架空の国が登場します。
アリビオ
マタン
クルトゥス
スペイン語、フランス語、ラテン語からとりました。
メインはアリビオという国で、この中で主人公や他の登場人物があれこれやります。
位置は南ヨーロッパ、ギリシャあたりだと思ってください。
それではよろしくお願いします。
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- 第1話:はじまり ( No.1 )
- 日時: 2011/12/20 01:26
- 名前: ケンチン (ID: r1bsVuJn)
2020年12月10日 南ヨーロッパ アリビオ。
「はぁ・・・はぁ・・・」
ヨーロッパ大陸の南に位置し、総人口は2300万人。
「はぁ・・・はぁ・・・」
気候の変動が激しく、夏は30度を超え、冬は0度近くまで冷えこむ。
「くそ!もうここまできてるのか。こっちだ!」
機械や精密機器、半導体製品が主な産業で、世界最大の半導体メーカーや電機メーカー
などが数多く存在する。
「あたしもう走れない!ちょっとやすませてよ」
また原油産出国であり、広大な油田を所有。
「馬鹿いうな!こんな所で休んでたら死ぬぞ!」
国の南側は地中海に面しており、夏はリゾート地として多くの観光客が国を訪れ、
「はぁ・・だけどあたし、もう無理・・・」
北側は広大な森林地帯で、その先には「マタン」という国との国境がある。
「わかった。背中を貸してやる。乗れ」
IT産業ではトップを走り、観光名所として有名。そんなアリビアが今
地獄と化していた。
俺はディアナを背負って腕や足、胴体など肉片が散らばり、血で真っ赤に染まっている大通りを走り始めた。
「ねえ!後ろから来るわよ!」
彼女が背中で叫ぶ。風を切り裂くいやな音が近づいてくるのが聞こえた。
俺は方向をかえ、建物の間の狭い道に逃げ込む。
後ろから来ていたUCSはそのまま通り過ぎていった。
「はぁ・・・はぁ・・・俺も・・・やばい」
大学に入ってからというものまったく運動をせず、体力には自信がない。
ずっと走りっぱなしだった俺もそろそろ限界だった。
「大丈夫?」
ディアナが声をかけてくる。
「この中にはいって隠れよう」
そういって俺は近くにあったコンビニの中に入り、一番奥の外からは見えない位置まで移動する。
店の外では爆発音や銃声、逃げ惑う人たちの悲鳴やグシャリという人肉が引き裂かれる生々しい音、
子供が泣き叫び、誰かを呼ぶ声など阿鼻叫喚、地獄絵図が広がっていた。
ディアナは耳をふさぎ、
「もう嫌!どうなってんのよ!」
身体的、精神的にも限界のようだった。
無理もない。俺と逃げている最中、彼女は死体を見ては何度も嘔吐していた。
おまけに殺されるかもしれないという状況。普通の人なら気が狂ってしまう。
俺も頭が痛い・・・
「飲んで落ち着け」
冷蔵ショーケースの中にあった水を手に取り彼女に渡す。
ディアナはそれを受け取ると一気に飲み干した。
しばらく店の中で隠れていると外が静かになった。
すこしだけ顔を出し、外を伺ってみるが誰もいない。
あるのは死体の山と大量の薬きょう、燃え盛る車。
ディアナもだいぶ落ち着いたようだ。
彼女は陳列棚にもたれかかるように座る。
「ここで助けを待ちましょうよ」
「ああ、しばらくここで様子を見よう」
しばらくすれば事態も収まり、助けが来る。
と言いたかったが、どういう状況なのか、なぜこのようなことになったのかまるでわからない。
まず事態が把握できていないのに、助かるなんて断言できなかった。
唯一わかることは、”無人ロボットが無差別に人を殺し、破壊を繰り返している”いうことだけだ。
「あたし、あのロボットをテレビで見たことがあるわ。たしか・・UCSがどうのこうのって」
「そう。あいつらはUCSと行って、近いうちに軍隊に配備される無人戦闘用ロボットだ。」
「よく知ってるわね。さすがはオタク」
「わかることは、なぜかそいつらが俺たちを攻撃してくるということ・・・」
バキッ
俺が考え込んでいると、店の入り口辺りでドアが壊れる音がした。
そして何かが入ってくる。
嫌な予感がした。軽いキャタピラの音・・・・
UCSの一体が店内に入ってきたのだ。
ディアナもそれに気づいたらしく、立ち上がろうとしたが
「静かに!見つかるよ」
口を押さえ彼女を座らせる。
だがキャタピラの音はどんどん近づいてくる。
ここにいても見つかるか。
俺たちは静かにUCSのいる反対側の通路から逃げ出そうと移動したが
ガシャン
何かにぶつかった。下を見るともう一体のUCSがそこにいた。
もう一体・・・いたのか・・・。
俺は後ずさり、キャタピラの上にあるM240機関銃の銃口が突きつけられる。
どうして。
どうしてこうなったんだ。
朝起きて、大学いって、講義寝て、昼に友達と話して、
2時間前にはいつもの日常があったはずなのに。
- 第2話:変化 ( No.2 )
- 日時: 2012/01/20 01:50
- 名前: ケンチン (ID: r1bsVuJn)
2時間前・・・
12月10日12時40分。
俺の名前はシュタール
アリビオ国立工科大学情報科学部に二年通っている。
「おお!これはいいな」
俺の隣にいる雑誌を見ながら興奮している野郎はウィット。俺の友達だ。
俺たちは大学の10号館402号室で次の講義までの空き時間を過ごしていた。
「戦場から人が消える日も遠くはないよな。シュタール」
ウィットはミリタリー雑誌のUCS特集というページを俺に見せながら聞いてくる。
この雑誌は俺が貸したものだ。
「まあ本格的に各国に出回れば、そういう未来も近いな」
「もう受注した分はできてるらしいぞ。ロボット同士の戦争かぁ」
こいつと会ったのは入学してから1ヶ月たった時のことだった。
俺の趣味は軍事系、いわゆるミリタリーオタクってやつだ。
昼時の暇な時間に書店で買ってきた軍事雑誌を開けては読んでいた。
その時、それをみたウィットが俺に声をかけてきた。
こいつもかなりの軍事オタクってわけだ。
その後、俺とウィットは意気投合。戦車、戦闘機、銃から爆弾の話までいろいろ話したっけ。
周りの連中は軽く引いてたが、そんなの気にしなかった。
それ以降、1週間ごとに出る様々なミリタリー雑誌を買っては暇な時間にウィットと見たり、
週末の休みにはサバイバルゲームをやったり、軍事話で盛り上がったり、
まあこいつとはいろいろやってきた。
同じ学部のやつらのほとんどは俺たちがミリオタであることを知っているだろうな。
「みろよこれ、VO-301の高高度爆撃テスト、誤差は2メートル以内だってさ。すごいな」
雑誌の白いUCSの写真を見ながらウィットが言う。
UCS。Unmanned Combat System の略で戦闘用無人兵器の総称をいう。
このUCSを制作している会社はいくつもある。
VO-301とはアリビオに本社を構える半導体メーカーASMC社の無人戦闘攻撃機のことだ。
「ああ知ってる。ASMCがUCSの公開テストしたんだろ?期待以上の結果だったらしいな」
ASMC社はUSCの開発を行っている企業のひとつで、アリビオ政府からも制作依頼を得ている。
また各国に輸出するためのUCSも製造しており、世界から注目を受けている企業だ。
「はじめるぞ。全員座れ」
13時。講師が来て授業開始。
俺とウィットは講義室の中央の席に座る。
「えー、前回はトランジスタの微細化に伴う問題点を説明したが、今回は3次元トライゲートトランジスタについて説明する」
講師が黒板になにやら書き始めた時、
「なあシュタール、俺この講義の単位取れる自信ないわ」
ウィットがシャーペンで俺をつつきながら言う
「お前、毎回寝てるだろ。いい加減俺もノート貸すのめんどくさいんだが」
「普通寝ちまうだろこの講義。話わかんねーし」
「あー、まあそうだけどさ。」
この講義の講師であるクロノス教授は、わからないで有名だ。
専門用語をバンバン使い、おまけに説明もわかりにくい。
質問の時間もくれずにとにかく話しまくるため、おいていかれたら終わりだ。
「まあ正直、俺もノートはとってるけど理解はしていない」
「だろ?あのはげオヤジ嫌いだ」
だが、単位がギリギリなためこの講義の単位も落とせない。
授業開始から20分、とりあえずノートだけはとっているが、眠い。
昨日徹夜で課題のレポートをまとめていたのがこたえたのか、激しい眠気に襲われる。
隣のウィットはすでに夢の中だ。
以前、眠気に襲われながらも無理やりノートをとったが、後々それをみたらヒエログリフを酔っ払って書いたかのような
とにかく意味不明なページが出来上がっていた。
俺は睡魔に対抗するのをあきらめ、そのまま目をつぶった。
「なんだあれは」
「浮いているぞ」
教室がひどくざわめいていたため、目が覚めた。
前を見ると、黒板消しを片手に窓側を見ているクロノス教授が見えた。
俺も同じ方向に首を動かしてみる。
窓の外に白い物体が浮遊していた。
ゴォーとジェットエンジンの轟音を鳴らしながらこちらを見ている。
俺は目を疑った。なぜなら浮遊していたそれは、さっき写真で見たUCS、VO-301であったからだ。
- 第3話:攻撃 ( No.3 )
- 日時: 2012/01/04 21:22
- 名前: ケンチン (ID: r1bsVuJn)
「おいウィット!起きろ」
俺は隣で寝ているウィットを起こそうとした
「なんだよ、せっかく敵のMig-29のケツを捕らえたところなのに」
「んな夢よりも、もっと面白いものが見られるぞ」
そういいながらウィットの首を無理やり窓側へと向ける
「うお、あれってさっきの!」
目が覚めたようだ。
しかし、なぜこんな所にUCSが。
VO-301はホバリングを続けたまま、まるでこちらを観察するかのように機首を左右に振っている。
「なあシュタール、あいつバルカンつけてるぞ」
ウィットがそう言ったので、確認してみる。
確かに、機体の先端には20mmバルカンがついていた。
通常、VO-301はステルス性を確保するため、攻撃目的以外はバルカンを取り外している。
それをつけているということはつまり、なにか攻撃目標があるということだが。
ということは、攻撃訓練中ということか?
考えながら見つめていると
"20mmバルカンが回転し始めるのが見えた。"
銃身が回転する。つまり・・・
「伏せろウィット!」
とっさにウィットの頭を押さえつけ机の下に潜りこんだ。
その直後、ガッーーというけたたましい銃声と同時に、大量の銃弾が講義室を横切った。
俺たちのすぐ上を銃弾が掠めていく。
十数秒後、銃声はおさまりジェットエンジンの音も消えていた。
VO-301がどこかに行ったようだ。
「なにが・・おきたんだ?攻撃された?」
ウィットはガクガク震えながら頭を抑えていた。
VO-301は明らかに俺たちを攻撃してきた。
伏せていたから何とかミンチにされずに済んだのだが、
潜り込んでいた机の上部は跡形もなく無くなっていた。
俺は立ち上がって辺りの様子を伺おうとした。
「おぉえ・・・まじかよ・・」
吐きそうになった。
周りは血で真っ赤にそまり、腕やら首やら臓物やらがあたり一面に散らばっている。
さっきまで講義を受けていた人たちのものだ。原型をとどめていなかった。
撃ってきたのはライフルの銃弾とは違う。
20mm弾だ。当たればその部分がバラバラになる。
対人用の銃弾ではない。
とにかくここを出よう。
「ウィット、行くぞ・・・」
俺は友人の手をつかんで無理やり立たせ、なるべく周りを見ないように出口へと向かった。
そのまま建物の外まででると、多くの人でごった返していた。
みんなキャンパスの正門へと向かって走っている。
空はさっきのVO-301や、それ以外のUCSで埋め尽くされ、
地上にはキャタピラに軽機関銃や対戦車火気を搭載したUSCが走り回り、
ところかまわず撃ちまくっていた。
ここに来たのは、さっきの1機だけではなかったようだ。
「とにかく大学の外まで逃げようぜ」
そういってウィットは周りの連中とおなじ正門に向かおうとしたが
「ウィット、正門から出るのは無理そうだ。人が多すぎるし広いから目立つ。裏からでよう」
姿勢を低くしながら俺たちは裏の出口へと向かった。
- Re: 未来が俺たちにくれた物 ( No.4 )
- 日時: 2011/12/23 18:18
- 名前: 電磁メイド ◆acqkduEpzY (ID: zist1zA5)
読みました!!
すっごい面白いです!!
設定とか神です
ファンになってもいいですか?
- Re: 未来が俺たちにくれた物 ( No.5 )
- 日時: 2011/12/24 16:00
- 名前: ケンチン (ID: r1bsVuJn)
電磁メイドさん。コメントありがとうございます。
そこまでほめられるとはずかしい///
記念すべきファン1号です。わーい!!
すでに完結までのシナリオができているので、なるべく早く更新していこうと思います。
是非、最後までよろしくお願いします。
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