ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 未来が俺たちにくれた物
- 日時: 2011/12/14 22:58
- 名前: ケンチン (ID: r1bsVuJn)
どうも、ケンチンです。
前作で知っている人もいるかと思います。
今回は「未来が俺たちにくれた物」という題名で作っていきたいと思います。題名に特に意味はないんですがね。
よかったら1作目のDifferent Worldsも見てくれるとうれしいです。
といっても、まだ完結してないんですがね。執筆中ですが、ほぼ終わりに近づいています。no=16760だったかな。
さて、本作では3つの架空の国が登場します。
アリビオ
マタン
クルトゥス
スペイン語、フランス語、ラテン語からとりました。
メインはアリビオという国で、この中で主人公や他の登場人物があれこれやります。
位置は南ヨーロッパ、ギリシャあたりだと思ってください。
それではよろしくお願いします。
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- 第12話:フォートラン陸軍基地 ( No.26 )
- 日時: 2012/02/03 23:07
- 名前: ケンチン (ID: r1bsVuJn)
「ここだ・・・」
弾薬や水などの物資を回収すべくホテルをあとにして30分後、
俺たち4人はフォートラン陸軍基地の手前まできていた。
基地に向かっている最中、何度かUCSと遭遇したが、戦闘をさけるため向こうがどこか行ってくれるまで隠れては進むの繰り返しだった。
「はぁー、見つからずに何とか来れましたね・・・」
軍曹の後ろにいたトッド上等兵が安堵していた。
「ああ、場合によっては仲間を呼ばれるからな。」
UCSはデータリンクシステムを搭載しており、敵を発見すると場合によっては近くの仲間に応援を要請する。
例えば、相手が分隊規模のグループで動いていた時、又は装甲車に乗っていた場合など1機で対処できない時などは判断して、他のUCSに座標データや敵の情報を送信するのだ。
「中に入るぞ」
軍曹がそういって基地の中に入っていく。
メインゲートは攻撃されたのか、吹っ飛んでいて簡単に入ることができた。
中は爆撃の後や弾痕が生々しく残っていた。
そしてその上に死体の山が気づかれている。
「ひどいな・・・」
俺は吐きそうなのを押さえながらそう漏らした。
基地内の戦車や装甲車はすべて破壊され、ユーロコプター社から購入したティーガー攻撃ヘリは無惨な姿だった。
もうここは全く機能していないな。
「まだいるかもしれん。警戒を怠るな」
軍曹がそういって注意深く進んでいく。
そしてそのまま俺たちは「武器管理棟第1」と書かれた白い建物の中に入る。
「あったぞ。こっちだ」
そして建物の中、廊下の突き当たりにある分厚い扉の前にアルディ軍曹が立っていた。
扉は既に開かれている。
「全然残ってるじゃないですか。かなりありますね」
トッド上等兵がそういいながら武器庫の中にはいる。
襲撃されて急いでいたのか、中は様々な武器や弾薬が散らばっていた。
俺以外の3人はすぐにバックパックの中に弾や手榴弾などを詰め込み始める。
「おいシュタール」
「はい」
軍曹に呼ばれ振り向いたときだった。
「これをつかえ」
「うおっ」
長い黒緑色の物を投げられた。
H&K G3A3アサルトライフルだった。
「え、これいいんですか?」
「それで自分を守れ、いいな。俺もお前を守りきることはできんからな。使い方わかるか?」
「あ、はい。大丈夫です」
「わかった。ならこれもやる」
再び何かを投げられ、あわてて受け取る。
マルチカム迷彩のベストだった。
「ありがとうございます」
もらったベストをさっそくつけ、サイズを合わせる。
おお、これはピッタリ。
しかしG3の方は弾がなかった。
G3A3は7.62x51mm弾だったはずだ。中央にある作業テーブルの上を探すと
7.62mm NATOとかかれた長方形の弾薬箱とマガジンがずらりとあった。
とりあえず5つのマガジンに弾を込め、ベストの中にしまい100発はすぐにうてるようにしておいた。
残りは持ってきたバックパックの中に詰め込んだ。
正直もうすこし軽い銃がよかったが、相手は戦闘ロボットである。
7.62mm弾が使える銃の方が威力があって頼もしい。
「よし、これだけあれば十分だろう。シュタール、運んでくれ」
「わかりました」
軍曹が詰め込んだバックパックを背負おうとしたが。
重い・・・
「どれだけいれたんですか?」
何とか担ぎながら聞いてみると
「とりあえず弾薬は223と308をありったけだ。あとアップルをいくつか。」
223は5.56mm、308は7.62mm弾を指す。アップルはM67グレネードのことだ。
「あとここで銃もかえていく。」
そういって立てかけてあったHK 417を手にする。
最初に持っていたHK 416とはちがって、417は口径がでかい。
当然威力もあがるため、対UCSを意識してのことだろう。
「よし、早くつぎにいくぞ。長居は危険だ」
- 第13話:脱出 ( No.27 )
- 日時: 2012/02/10 22:19
- 名前: ケンチン (ID: O67kmMkJ)
弾薬を詰めたあと、俺たちはすぐ隣の病棟へと向かった。
そこでは止血剤や包帯など、必要な医療物資を詰め込んだ。
「OK,ここをでるぞ」
軍曹がバックパックを背負って立ち上がる。
「トッド、外を見てこい」
「はい」
指示されたトッド上等兵が姿勢を低くしながら廊下の窓辺へと向かう。
「様子はどうだ?」
「特に問題ありません。UCSもいないですし、いまがチャンスかと」
「わかった。このままメインゲートまで移動するぞ」
病棟を出た俺たちは最初にはいったメインゲートまで直行する。
その途中、ちょうどタワー(管制塔)の手前に差し掛かった時
「タワーの中に入れ!早く!」
軍曹が空を見上げて叫んだ。
よく見ると何かが近づいてきている。
「やつらがきたぞ!」
戦闘攻撃UCS、VO-301が上空からこちらに向かって飛んできたのだ。
全力で管制塔まで走る。
ガァァァ
VO-301の20mmバルカンが火をふき、すぐ後ろをかすめていった。
管制塔に入ったトッド上等兵がM249軽機関銃でUCSに銃撃を加えている。
UCSはそのまま旋回し、
「伏せろ!」
俺たちの正面から再び20mm弾の雨を降らせる。
壁を貫通してきたが、伏せていたおかげで被弾せずにすんだ。
「軍曹、地上からも来てます・・・」
顔を少し出し、伍長が外の様子を見ていた。
「バレてたのか。俺たちが基地に入ったことが。」
何体もの地上UCSを前に身動きがとれなかった。
基地にはいった所を見られたのだろう。
UCSは俺たちが出てくるのを待っていたのだ。
「どうします?軍曹」
トッド上等兵が軍曹に判断を促すが
「そうだな、まともにやりあっても勝てるかどうか」
軍曹も判断に困っていた。4人で10体近くの機械化兵器に勝てる方法
なんでそう思いつくものではないだろうな。
だが悩んでいる間にもUCSは近づいてくる。
その時だった。
「俺がやつらを引きつけます。その間に基地から脱出を」
伍長がそんなことを言い出した。
- 第14話:反撃 ( No.29 )
- 日時: 2012/02/17 00:28
- 名前: ケンチン (ID: O67kmMkJ)
「どうやって?」
軍曹が聞き返す
「すぐそこのハンヴィーの銃座でやつらを一掃します」
管制塔の隣にはM2ブローニング重機関銃を付けたハンヴィーが止まっていた。
「お前、死ぬぞ!」
軍曹が伍長を止めようとしたが
「このままじゃ全員死にます!俺たちは何が何でも物資を届けないと。
大丈夫です。後で落ちあいましょう。」
「っ・・・!わかった」
軍曹がバックパックからM67グレネードを取り出し、トッド上等兵に渡す
「俺たちが援護する。その間にハンヴィーまで走れ」
「わかりました」
「トッド、さっき渡したグレネード、カウント3で一気になげるぞ!」
「了解!」
二人がグレネードの安全クリップを抜く
「シュタール、お前もそのG3で援護してくれ」
「わ、わかりました」
まじか・・・
どうやら俺も機械あいてにドンパチしなければならないらしい。
いちばん避けたかったが、この状況だ。仕方がない。
俺はマガジンをはめ込んで、弾を装填する。
この型の銃の扱いならわかるので、困ることはなかった。
「3、2、1、投擲!」
ピンッ
グレネードの安全ピンの外れる音がしたのと同時に、
2つの手榴弾が宙をまう。
ドンッ
5秒後、爆発したのと同時に
「援護射撃!」
軍曹が叫ぶ。
二人は壁から身を乗り出してUCSに向かって銃撃する。
グレネードの爆発で1台が大破していた。
いきなりの反撃にUCSは一度散会する。
「ああ、くそ!」
怖かったが、俺もUCSに向かってG3ライフルを構え、引き金を引いた。
7.62mm弾が銃口から飛び出す。
しかし、思っていた以上に反動が大きく、銃口が上を向いてしまった。
3発目からはかなりずれた所を狙っていた。
再び構えなおそうとしたとき、地上UCSがM134ミニガンで反撃してくる。
毎分3000発の銃弾に俺たちは再び壁にへばりつく。
まったく身動きがとれなかったが、
ドドドドッ
隣から12.7mm大口径重機関銃特有の重い銃声が聞こえてきた。
伍長がハンヴィーの銃座からUCSを銃撃していた。
なんとかハンヴィーまでたどり着いたみたいだ。
装甲貫通弾を前に2体のUCSが破壊されたが、まだ数が多い。
しかし、ほとんどが伍長の方に気を取られていた。
「ゲートまで走れ!」
軍曹の掛け声を合図に俺達3人は一斉に走り出す。
背負っている弾薬満載のバックパックが重い。
走りずらかったが必死に軍曹の背中を追いかけた。
後ろではまだ伍長が銃撃を加えている。
だが、ゲートを出たその直後
ドゥゥン
ハンヴィーのほうから轟音が響きわたる。
振り返ってみると、伍長の乗っていたハンヴィーが跡形もなく吹き飛んでいた。
その数秒後、遅れてVO-301が俺たちの上空を通過した。
上から空対地ミサイルで攻撃したのだ。
軍曹もそれを見ていたのだが
「止まるな!走れ!」
とにかく基地から遠ざかった。
UCSは追ってこない。おそらく見失ったのだろう。
- 第15話:襲撃 ( No.30 )
- 日時: 2012/02/23 21:43
- 名前: ケンチン (ID: O67kmMkJ)
「無茶しやがって、あの野郎・・・」
呟きながら俺の前を軍曹が歩いている。
フォートラン陸軍基地を後にして20分後、俺たち3人はロイヤルガーデンホテルに向かっていた。
USCの追撃はなく、なんとか基地から離れることができたのだが、
メンバーの一人を失ってしまった。
「とりあえず、こいつを持って仲間のところまで帰るぞ」
基地から拝借した弾や止血剤などをかついでホテルを目指す。
橋を使って川の向こう側に渡り、初めの交差点を左折すると
目的のホテルへと到着する。
外は危険なので早く中に入りたいのだが、ここで軍曹が
「まて!こっちに来い」
そういってホテル中庭の花壇にまで俺たちを移動させ、姿勢を低くした。
「どうしたんですか?」
軍曹に尋ねると
「入口をみろ」
言われて花壇越しにホテルの正面玄関を見て愕然とする。
正面入り口は回転扉ごと吹き飛ばされ、壁にはいくつかの弾痕がみられた。
さらに、その手前には大量の空薬莢が散乱しており、
入口付近はめちゃくちゃになっていた。
「まさか、攻撃されたんですか!?」
「おそらくな」
中にいた人たちとUCSが交戦したようだった。
そうなると・・・
「ディアナ・・!?彼女は・・」
彼女はどうなったんだ?ホテルの中にいたはずだ。
無事なのか?それとも・・
「まて、まだ出るな」
ディアナが心配で出ようとした俺を軍曹が止める
「まだいるかもしれん。トッド、双眼鏡を貸せ」
「はい」
トッド上等兵が双眼鏡をわたす。
「中が暗くてよく見えないな・・」
軍曹が双眼鏡で様子をうかがう。
ここからでは中の状態がよくわからない。
「だがおそらく、もう撤収しただろう。行くぞ」
穴だらけのホテル入口へと向かう。
「薬莢でころぶなよ少年」
後ろからトッド上等兵に注意される。
周りに散乱している薬莢で足を取られそうになるのだ。
「くそ、遅かったか・・」
ホテルの中に入り、中の様子がはっきりと見えるようになる。
しかし、周りは死体だけだった。
一般市民から、エンフィールド分隊長のジョシュや、
負傷者の手当てをしていた衛生兵まで、床に横たわっている。
必死に反撃したのか、周りには薬莢や空のマガジンが大量に転がっていた。
さらに対戦車HEAT弾を撃ち込まれたのか、壁に大きな穴が開いており、隣の部屋が見えている。
「なんてこった・・」
上等兵が生存者がいないか周りを見て回っている。
「くそっ!ディアナは・・・」
おれは彼女の無事を確かめたかった。
この状況なら彼女も犠牲になっていると考えるのが普通なのかもしれないが、
まだディアナ自身を見ていない。つまり、彼女の死体がないのだ。
- 第16話:生存者 ( No.31 )
- 日時: 2012/03/08 22:12
- 名前: ケンチン (ID: O67kmMkJ)
民間人ふくめ全滅の状態だった。
俺は中にいたはずのディアナがどうなったのか、心配だった。
しかし、彼女自身を見つけることができず、ロビーから客室の方へ向かおうとしたときだった。
ガタッ
受付カウンターの方から何か音がした。
軍曹と上等兵も気づいたのか、音のした方向に銃を向けている。
もしかしたら・・
「おい少年、近づくなって!危ないぞ」
トッド上等兵が止めようとするが、俺は躊躇なくカウンターへと向かう。
そしてその裏側、机の下には
「うぅ・・・」
目を閉じ、両手で耳をふさいでうずくまっているディアナがいた。
「問題ないよ、生存者だ。」
そう言うと二人は銃を下した。彼女はひどくおびえていた。
カウンター下に隠れていてなんとか生き延びたようだった。
「もう大丈夫だから、出てきなよ」
手を差し伸べると、彼女がこちらに気づいたのか、振り向いて手を取る。
「怪我してない?」
「う、うん。大丈夫・・・」
「そうか、よかった」
この状況だ。彼女が生きていただけでも奇跡だろう。
カウンターにもいくつか弾痕が見られたが、貫通はしていなかった。
ひとまずほっとした。
「他に生存者はいないのか?」
「こっちには誰もいないです・・」
「はぁー、なんでこうなるんだよまったく」
「これからどうします?」
「今から考える。とりあえず水を持ってくる」
軍曹がロビーから離れようとしたときだった。
ドンッ
風を切る音と同時に正面入り口で爆発が起きた。
「トッド!大丈夫か」
「ええ、なんとか!」
衝撃でトッド上等兵が吹き飛ばされたが、生きていた。
「やつらがきたぞ・・」
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