ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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未来が俺たちにくれた物
日時: 2011/12/14 22:58
名前: ケンチン (ID: r1bsVuJn)

どうも、ケンチンです。
前作で知っている人もいるかと思います。
今回は「未来が俺たちにくれた物」という題名で作っていきたいと思います。題名に特に意味はないんですがね。

よかったら1作目のDifferent Worldsも見てくれるとうれしいです。
といっても、まだ完結してないんですがね。執筆中ですが、ほぼ終わりに近づいています。no=16760だったかな。

さて、本作では3つの架空の国が登場します。

アリビオ
マタン
クルトゥス

スペイン語、フランス語、ラテン語からとりました。

メインはアリビオという国で、この中で主人公や他の登場人物があれこれやります。
位置は南ヨーロッパ、ギリシャあたりだと思ってください。

それではよろしくお願いします。

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第32話:守るために ( No.57 )
日時: 2012/07/03 23:03
名前: ケンチン (ID: lmeOXcX7)

ディアナに銃を渡した後、角を曲がって正面の出入り口へと走り、
入ってきた方とは反対側の車道に出る。

放置してある車の間を縫って、そのまま北へと向かう。
だが、

「いたぞ!こっちだ」

後ろからクルトゥス軍兵士が姿を現す。結構な人数だ。
そして彼らは躊躇することなくこちらを撃ってきた。
銃弾が飛び交う中、ララとディアナを近くのでかい円形の街路樹花壇に隠れさせ、
俺もその中に入る。

「いいか?俺が援護するから、そのすきにあそこの駐車場まで走ってくれ」

「そんなのやだよ!一緒にいこ」

「ララ、言うことを聞いてくれ。俺もあとで行くから」

ここで誰かが足止めをしないと。そのまま逃げるのはリスクが大きすぎる。
とりあえず二人だけでも先に行ってもらわなければ。

「姿勢を低くするんだ。ほら、行って!」

彼女たちが出た後、俺は花壇から銃撃を加える。
向かってきた敵兵は一斉に散開し、車やビルの陰に隠れ応戦してくる。
猛烈な銃撃戦だ。俺一人対6名ほどの軍人。
敵を殺さなくてもいい。牽制することで少しでも足止めさせればそれでいい。
マガジン交換のため再び花壇に隠れる。
弾幕がすごい。あっという間に花壇は穴だらけだ。
コッキングレバーを引き、ベストから新しくマガジンを出して装填する。
彼女たちを確認すると、どうやら無事駐車場まで行けたようだ。
俺も移動しなければ。だが今出るのは危険だ。
相手の弾倉交換を待って、その時を狙う。

「リロードだ!援護を」

そう聞こえた瞬間俺は出た。
こちらに向かって銃弾が飛んでくる。
姿勢を低くし、全力で走って一つ先の花壇までたどり着く。
ここは並木街道だ。一定間隔で同じような木が植えられている。

「はぁ、はぁ、こえぇ・・・」

全力疾走と緊張で心臓がバクバクだ。
呼吸を整え、再び銃撃を加える。
ダニエルさんの言っていた通りだ。一人殺せば慣れてしまうと。
初めはそんなの嫌だったけど、今は躊躇なく撃てるおかげで
彼女たちや自分を守ることができる。

「よし、行ける。大丈夫だ。弾は当たらない・・」

自分に言い聞かせて自信をつける。こうでもしないと体が動かない。
再び相手のリロード時を狙って一気に駐車場まで向う。

「待たせたな」

なんとか彼女たちのところまでたどり着くことができた。
するとディアナが寄ってきて、俺に抱きついてきた

「無茶しないでって言ったじゃない!バカ!」

「あ、ああ。悪い。だけど俺は生きてるから」

「あんなの死んでもおかしくなかったわよ!」

彼女は泣いていた。すごく心配していたみたいだ。

「そうだな。だが俺は今、君の目の前にこうして立っている。
 もう大丈夫だから、な。さぁ行こう」

第33話:包囲 ( No.58 )
日時: 2012/07/07 22:05
名前: ケンチン (ID: R3ss0lfj)

俺たちは大型複合商業施設の駐車場を横切るようにして走る。
かなりのスペースがあり、第一駐車場を出て第二駐車場に入り、
反対側の出口まで突っ切って別の道に出る。

後ろを振り返ると、追手がいない。
うまく撒けたのか?だが安心したのもつかの間。
正面から敵兵が姿をあらわしたので、とっさに左の銀行施設へと身を隠す。

だめだ。この状況、完全に囲まれている。
俺たちが襲撃される前に、すでに包囲されていたんだ。
このまま逃げ続けてもいずれ力尽き、捕まる。
あいつらから逃れるためには、包囲網を突破しなければならない。
だがどうやって突破する?はっきり言って無理だ。
戦えるのは俺一人。弾もそんなにないし、
まともにやりあったら絶対負ける。絶望的だ。

1階つきあたりの階段まで行き、2階へとあがる。
そこから非常階段を使って裏手に回ろうと思ったのだが

「うわっ」

角を曲がろうとした時突然、何かにぶつかった。
反動で俺は後ろに下がって尻餅をつく。
何にぶつかったのか確認しようと顔をあげると

「!?」

目の前に都市迷彩の服を着たクルトゥス陸軍の兵士がいた。
互いに目があう。
相手はぶつかった衝撃で銃を落としていたため、
肩にかけていたショルダーナイフを抜き取り、こちらに迫ってきた。
俺は慌てて立ち上がり、銃を構えようとしたが間に合わない。
とっさにG3ライフルを横に持ち、
振りおろされたナイフをなんとかブロックする。
顔面5センチ手前で刃が止まる。
必死におさえてはいるが、敵は両手でさらに力を加えてきた。
無言のまま至近距離で睨みあう。敵の目は本気だ。
刺すことを全くためらっていない。
おまけに軍人なだけあって、すごい力だ。
少しずつ、ナイフが近づいてくる。抑えきれない。
このままじゃ確実に殺される。

だが

パンッ

突如、銃声が響いた。
それと同時に目の前の敵兵が横に倒れる。

「あ・・ああっ・・・」

そしてすぐ隣には、震えた手で銃を構えたディアナがいた。
前に渡したトカレフを持っている。
そう、敵を撃ったのは彼女だった。

「わ、わたし・・・ひと・・・ひとを・・・・」

返り血で手は赤く染まり、足はぶるぶる震えている。

「ひとを・・撃った・・・」

第34話:結果 ( No.59 )
日時: 2012/07/15 22:09
名前: ケンチン (ID: zMX5dSoz)

「助かったよディアナ、もう大丈夫だから落ち着いて」

俺は彼女の手を取り、返り血を拭き取りながら落ち着かせようとする。

「殺したんだ・・・私が・・」

ひどく混乱している彼女に俺は

「考えるなそんなこと!!」

強くそう言った。

「気にしたって仕方ないだろ!だって撃たなくても君は人を殺していた」

「えっ?」

「俺が死んでいたよ確実に。助けられたのに何もしなのは、
 間接的に人を殺したのとかわらないだろ。違うか?」

「それは・・・」

敵を殺すか俺を見殺しにするか。そしてどちらの命を奪うかはディアナが決めたことだ。

「問題はそこじゃない、結果として何を得たかだ。俺が死ねば君とララも殺される」

彼女は自分が殺したというところしか見ていない。

「ディアナは仲間全員を守ったんだ。それは後悔することなのか?」

「守った・・私が?」

「そうだ。だからそんなに気にすることじゃない。ほら、しっかりしろ」

そういうと彼女は少しずつ落ち着きを取り戻していく。

「ありがとうシュタール。すこし気が楽になったわ」

「そうか、よかった。つらいかもしれないが、一緒に切り抜けようぜ」




非常階段を使って外に出る。
敵の姿は見当たらない。なんとか撒けたようだ。
だが安全なのも一時的。囲まれている以上見つかるのは時間の問題だ。

「とりあえず少し休もう」

そういって俺はつきあたりの住宅の玄関を蹴り破って中に入ろうとした
その時

「動くな!」

家の中にいた男性2名に銃を突きつけられる。
俺もとっさに構えるが

「銃を下せガキ」

「お前らこそ捨てろよ」

「いいから下せ!」

俺たちは互いに銃を向けあい、至近距離で言い合う
こいつら、クルトゥス軍の装備じゃない。
敵なのか?何者なんだ。

「見えないのか?2対1だぞ。どう考えても不利だろ」

「俺だってお前らのうち一人は確実に殺せるが?」

ん?待てよ
この装備見たことある。

「もしかして・・・ あんたらSTFなのか?」

「ほぉー、よくわかったな。ほめてやる」

男は腕につけているPOLICEと書かれた腕章を見せてくる。
やっぱりそうだ。
National Police Special Task Force 国家警察特別機動隊
アリビオ警察の特殊部隊だ。

第35話:協力 ( No.60 )
日時: 2012/07/21 21:05
名前: ケンチン (ID: zMX5dSoz)

「STFの人がこんなところで何をしてるんですか?」

ここで後ろにいたもう一人が

「暇してた」

と、なんと酒を飲みながら返答

「やることねーし、外にもでられねーし、救出くるまで
 ここでダラダラ過ごしてたわけ。飲む?」

「いえ、結構です」

相当酔ってるぞ。何本目だよあれ。

「こいつの言うとおりだ。作戦が失敗におわって、俺たち孤立した。
 外は危険だし、クルトゥス軍が助けに来てくれるっていうから
 ここで待っているんだよ」

そうか、この人たちはまだクルトゥス軍が味方だと思っている。
教えておいたほうがいいのかな

「で、お前らは何なの?」

「俺たちは生存者です」

「後ろの女性もか?」

「ええ」

ララとディアナが前に出た瞬間

「え、まじ!?女の子キター!!」

酒臭いおっさんがララの方へ急接近

「君、名前なんていうの?あと結婚してください」

「ちかいよー!やだはなれてー!」

ララが押し返そうとするが、一向に引かない。
仕方なく俺がおっさんを引きはがす。
ほら、怖がって後ろに隠れちゃったじゃないか。

「なにやってるんですか!」

「あぁ、すまない。かわいかったらつい」

「わるいな。こいつはロリコンなんだ」

「・・・は?」

「16歳以下の少女にしか興味ないんだよ。な?」

「ああ、わるいか!?」

まじかよ・・・ 変な人と出会っちゃったなー。

「あともう一つ聞いていいか?少年」

「なんすか?」

「外のドンパチはなんだ?さっきからたまに聞こえていたが」

クルトゥス軍と俺は何度か銃撃戦になった。
その時の銃声なんだが

「俺、クルトゥス陸軍の人と撃ちあってたんですよね」

「なにやってんだ・・・おまえ」

意味がわからないという顔だ。そりゃそうか。
彼らは奴らを味方だと思っている。

「あの、暇なら手伝ってもらえませんか?」

「なにを?」

「ここから脱出するのを」

ここで俺は全てを打ち明けた。
信じてもらえるよう、デュラントからもらった
メモリーカードを携帯を使って再生した。

「俺たちは囲まれてます。だから包囲網の突破を手伝ってほしい」

「なるほどな・・・嫌な話だが、実際の会話録がある以上真実だよな。
 おいランス、お前どう思う?」

「どう思うって、ふざけてるだろそんなの!一気に酔いがさめたぜ」

酒をあおっていたロリコン(ランス)が空になったビンを放り投げる

「確かに、ふざけてるよな。それに知ってしまった以上、俺ら二人も
 狙われるってことか」

「時間がないんです。もうすぐそこまで来てる」

「OK、わかった。協力しよう。いい方法がある」

第36話:突破 ( No.61 )
日時: 2012/07/26 01:09
名前: ケンチン (ID: zMX5dSoz)

「あの」

「どうした?」

「いい方法って言ってましたよね」

「ああ、そうだが?」

「俺にはいい方法とは思えないんですが・・・」

俺たちは家屋近くに乗り捨ててあったアリビオ軍のハンヴィーに搭乗していた。
彼が提案した方法とは、このハンヴィーで一気に包囲網を突っ切るというもの。

「確かに、安全とはいえないな。だが、すでに囲まれているとなると
 これぐらいしか有効的な手段が思い浮かばん」

いや、もっと考えるべきでは

「さて、行くか」

「ちょっとまってください!」

「なんだ?別に嫌なら乗らなくてもいいぞ」

「危険すぎですよ」

「考え方を変えよう。絶対に死ぬか、死ぬかもしれないが生きるチャンスがある。
 どっちがいい?俺は後者を選ぶが」

そんな両極端な。
UCSはもうここら一帯ではあまり活動していない。
だから、このやり方は無理ではないんだが、
かわりにクルトゥス軍に蜂の巣にされる・・・
仕方ない、イチかバチかの賭けに出てみるか。

「あと少年、運転中に色々支持を出すかもしれん。
 銃はすぐ撃てるようにしておけ」

「はい、わかりました。えーっと・・・」

「エリックだ」

「はい、エリックさん」

エリックが運転し、その隣に俺。
銃座にはランスがつき、その両隣にディアナとララが座っている。

「ランス、準備はいいか?」

「いつでもOK。早くビッグママぶっぱなしてぇ!」

ビッグママ?ああ、M2ブローニングのことか。
しかし、この状況でなんというハイテンション。
怖くないのだろうか。銃座は一番被弾しやすいのにな。

「行くぞ!」

そういってハンヴィーは勢いよく飛び出す。
はじめは何事もなく静かに行けたのだが

「そろそろ来るぞ少年、スタンバイ」

正面建物3階からRPG-7対戦車ロケット弾が飛んできた。
車体すぐ手前のコンクリートをえぐる

「生きてるか?ランス」

「全然問題ねえ!!」

「いるぞ。右側建物2階」

「ハッハッハ!50口径で粉砕してやるぜ!」

左右にビルが立ち並ぶ4車線道路を突っ切る。
ランスが必死に応戦しているが、銃撃は止むことなく、
いたるところから撃ちこまれる。

「大丈夫、大丈夫。きっと成功するわ・・・」

ディアナは両手を合わせてなにやらつぶやいている。
ララは耳を塞いで、うずくまっていた。
車内はガンガンと被弾した音が鳴り響き、
後ろの防弾ガラスには次々にヒビ割れができていく。
ていうか、これだけ銃撃されているのに臆することなく
撃ちまくっているランスがすごい。しかも車体がこれだけ
揺れているのに的確だ。

「あーくっそ、ブーツが熱いぜまったく!お嬢ちゃんたちもっと
 離れて!薬莢で可愛いお顔が火傷したら大変だ」

発射直後の薬莢はとても高温になる。
それがあれだけ足下に転がっていればブーツが熱くなるのも当然。

「少年、右の角にRPGだ。やれ」

「了解」

ハンヴィーが+字交差点を通過した直後、右側の死角に隠れていた
敵兵を撃ち殺す。通ったあとに後ろから撃つつもりだったんだろう。

「いいぞ」

「よくわかりましたね」

「先端が少し見えた。あと勘だ」

突き当たりを左に曲がる。
直後、RPGが前方から飛んでくるが、
それをハンドルを切ってかわす。

「2時の方向に敵」

俺もドアから銃だけだして必死に応戦する。

「弾切れだ!そこの弾薬箱とってくれ!」

「うわぁ、これ重いよ!」

ディアナとララが二人がかりで50口径の弾薬箱を持ち上げ
ランスがそれを受け取り、すばやく装填したあと再び撃ちまくる。

「曲がるぞ、掴まれ」

エリックがハンドルを大きく右に切り、遠心力で体が傾く。
だが曲がった直後、嫌なものを見てしまう。

「T-72だ!さすがに俺でもあいつは無理!」

戦車はやばい!っと思ったが

「大丈夫だ落ち着け。まだこっちに気づいていない」

T-72の砲塔は俺たちから見て90度左に向いていた。
しかし、すぐに砲塔は旋回し始める。

「早く曲がれってエリック!」

だがエリックは曲がろうとしない。

「まだだ」

その間にもゆっくりと砲身はこちらに向き、
さらに角度を修正して、まさに戦車が俺たちを捉えたその時

「振り落とされるなよ」

「うおおっ!」

そういってハンドルを左にいっぱいに切る。
それと同時にT-72が主砲を発射。
すぐ脇を125mm戦車砲がかすめていく。
うっは、かなり近い!一瞬弾頭が見えたぐらいだ。

「再装填まで7秒だ。それまでに戦車の死角に入る」

再び角を曲がり、戦車からは俺たちが視認できないところへと入る。

「おいエリック、新しいパンツくれ!チビっちまったぜ!ハッハッハ」

「無事に出られたら俺のと交換してやる」

「そいつはありがてぇ!!」

冗談を言いながらランスは再びM2ブローニングを撃ちまくる。
ここまで来てやっと銃撃が収まってきた。
これなら行ける。そうおもった時

「ケツから何かくるぞ!」

後ろからジェットエンジンの音が近づいてきた。


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