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未来が俺たちにくれた物
日時: 2011/12/14 22:58
名前: ケンチン (ID: r1bsVuJn)

どうも、ケンチンです。
前作で知っている人もいるかと思います。
今回は「未来が俺たちにくれた物」という題名で作っていきたいと思います。題名に特に意味はないんですがね。

よかったら1作目のDifferent Worldsも見てくれるとうれしいです。
といっても、まだ完結してないんですがね。執筆中ですが、ほぼ終わりに近づいています。no=16760だったかな。

さて、本作では3つの架空の国が登場します。

アリビオ
マタン
クルトゥス

スペイン語、フランス語、ラテン語からとりました。

メインはアリビオという国で、この中で主人公や他の登場人物があれこれやります。
位置は南ヨーロッパ、ギリシャあたりだと思ってください。

それではよろしくお願いします。

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第25話:攻守交替 ( No.42 )
日時: 2012/06/13 16:39
名前: ケンチン (ID: lmeOXcX7)

日も落ちかけようやくララから解放された俺は、メインフロアーに出てみる。
そこでは、3人が机を囲んでいだ。

「どうしたんですか?」

「おまえ、人を殺したことはないよな?」

こちらに気づいたデュアラントが唐突に聞いてくる

「え・・、はい。ないですが」

「そっか。そうだよな」

「なんでそんなこと聞くんです?」

「なんでって、今までUCSだけが相手だったが、これからは一国の軍隊も相手にする。
 俺たちは奴らにとって脅威だ。真実をしっているからな。おまけにレコーダーでジェフ
 の発言も録音した」

そういえば昨日、デュラントが問い詰めて吐かせた時、
ジェフの言っていたことを録音していたな。全部。

「まあ、今のところ気づかれてはいないが、もしバレたとき、
 奴らは俺たちを殺しに来る。その時、お前はあいつら、つまり
 人間を撃たなければならない。自分や仲間を守りたければ
 殺るしかないんだ。できるか?」

『場合によっては射殺してもいいとか』こんなことをあいつらはいっていた。
当然、おれは人を撃ったことはない。もしもの時、撃てるかどうかもわからない。

「戦場では新兵が敵を殺す時、初めはかなりためらう。まあ当然だよね。」

デュラントの右側に座っていたダニエルが席を立つ。

「だけど、一人殺せば不思議となれてしまう」

「慣れたくないですよ。そんなことに」

「そっか。まあ1週間前は普通の大学生だったもんな」

UCSは機械だ。撃って壊したって誰も死なない。
だから撃てたんだ。普通に。

ダニエルがデュラントに話しかける

「なあデュラント、彼はやめといたほうがいいんじゃない?」

「だが、人が足りない」

「そうだけど、むりにやらせる必要はないよ」

何の話をしているのだろう。
するとミーナが俺の前に来て

「ねえシュタール。あなたも協力してくれないかしら?」

「ミーナ、無理はよくないって」

ダニエルがミーナを止めようとしている

「何をですか?」

だが俺はミーナに聞き返した。

「クルトゥス軍のやつらはどうしてUCSの攻撃されないか、覚えてる?」

「はい、たしかIRストロボを付けていれば問題ないとか・・」

「ええそうよ。しかもそのストロボは奴らが持っているものじゃなきゃだめらしいの」

なんとなくわかってきた。つまり・・・

「つまり、彼らを襲撃してIRストロボをいただくの」

やっぱりそうか。確かにあれがあれば攻撃されない。
これは大きなメリットだ。

「そこで俺に協力してほしいってことですか?」

「その通りよ」

正規軍相手にどんぱちやろうってことだ。
死ぬ可能性もある。

「すこし考えさせてください」

俺はそのまま自室に戻った。




その翌日、異変はおきた。
やたら外が騒がしい。

「おいジェフがいないぞ、どうなってる!!」

デュラントの怒鳴り声が聞こえてきた。

第26話:取引 ( No.43 )
日時: 2012/06/19 20:49
名前: ケンチン (ID: lmeOXcX7)

どうやらジェフが夜中に逃げ出したらしい。

「まったく動けないようにしたはずなのに、なぜだ・・」

ジェフを拘束していた部屋の中は見事に誰もいなかった。

「見張りとか誰もいなかったんすか?」

金髪の高校生が解かれたロープを片手に持っていた
確か彼はショーンとかいったかな。

「ああ、特に見張らせてはいない」

「ちょっとまって」

ダニエルが何かに気づいたようだ

「よく見ると、ロープ切ったりとかされてないよね。きれいに拘束を解いたみたいだ」

そういえばそうだ。無理やり解いた感じがない。

「謎を考えるのは後だ。もしかしたらまだ近くにいるかもしれない。
 とにかく探すぞ。あとUCSに気をつけろ」

デュラントが先に外へと出て行った

「確かにそうだ!あいつが生きて帰ったら俺たちやばい!」

ショーンが後へと続き、他のみんなも外へ探しに行く。

「ああ、なら俺も」

自分も捜索のため外に行こうとしたら

「まって。私もいく」

「ディアナ、君は待ってて。外はUCSがいて危険だ」

「私にも協力させて。もう守られてるだけってのは嫌なの」

「・・・わかった。なら一緒にいこう」

「あたしもー。一緒に行きたい!」

さらにララが加わり3人で行くことになった。
そういえば、ウィットがいない。

「ウィットはどうしたんだ?」

「え、私は見ていないわ」

「もう外に探しに行ったんじゃないかな??」

「そうか」



俺たちは手分けして周囲を捜索した。
だが結局ジェフの姿はなく、時間だけが過ぎていく。
無線で一度集まるように言われ、元の場所に戻ってきた。

「みつからねーな、くそ」

デュラントはすごくいらだっていた

「なにか痕跡とか見つけたか?」

「はぁ、はぁ、俺のところは、さっぱりだぜ」

ショーンもかなり遠くまで探したのか、息切れしている

「そうか。そういやダニエルがいないぞ、どうしたんだ?」

「まだ探してんじゃねーの?」

「ったく、集まれっつったろ」

デュラントは無線を取り出し

「おいダニエル。戻ってこい」

しばらくしてからダニエルが応答し

「デュラント、今から言うところに来てくれないか?」

「なにかあったのか?」

「とにかく来てくれ」

それを最後に無線は切られた。
指定された場所に向かうとダニエルが道脇の花壇に座っていた。

「どうしたんだ?ダニエル」

「やばいことになったよ・・・」

「何が?」

「あれを見てくれ・・」

ダニエルは道の中央を指さした。そこには何かが横たわっている。
よく見えないので近づいてみると、

「!!?」

それを見た瞬間、心臓が飛び出そうになった

「お、おい、うそだろ・・?」

俺はよろめきながら、横たわっている物に近寄る。

「ああそんな・・・。こんなことって・・」

手前で力が抜け膝をつく
後ろのディアナやララも目の前の光景にショックを隠しきれないでいた。

「おいウィット、起きろよ・・・」

ウィットが死んでいたのだ。頭部を銃弾で撃ち抜かれていた。
おそらく即死だろう。
なんでこんなことに。突然の出来事に俺は混乱していた。

「そういうことか・・・」

隣でデュラントがつぶやいた。どうやら何かわかったらしい。
すると後ろでショーンが

「はっ、死んだのか。自業自得だな」

鼻で笑いやがった。
その時、俺は自分の中の何かが切れる音がした。

「んだとテメェ!!」

気づけばショーンの胸倉をつかんでいた。

「おいおい、だってそうだろ?もしかしてお前、まだわかってねーの?」

わかってない?何をだ。

「わかってねーようだから教えてやる。ジェフを逃がしたのはそいつだ。
 そしてそのジェフに殺された。つまり自業自得。おわかり?」

「ウィットが逃がしただと?」

「ああそうだよ。それならつじつまが合う」

そういえば朝、すでにウィットの姿がなかった。

「どうせジェフにこう言われたんだろ。”俺を逃がしてくれれば、お前だけは助けてやる。
 一緒に逃げよう”とな。あいつはかなりびびってたからなー。その取引に乗ったわけだ。
 そして拘束を解いた。だからあんなきれいに解けてたんだよ。手錠も壊れた形跡がなかったからな。
 鍵を持ち出してはずしたんだ。だが武器まで返したのがまずかった。一緒に逃げだした
 途中でジェフに撃たれて死んだ。そんなとこだろ」

確かにウィットはジェフから真実を聞いた直後、かなり取り乱していた。
もう助からないとか。方法がないとか。
そんな状況での取引だ。助けてやるから逃がしてくれと。

「それにそいつは俺たちを売ったんだ。死んで当然だよな」

「売った!?なんでそうなるんだ!!」

「いやそうだろ普通。なあデュラント」

振られたデュラントが答える

「まあな。ジェフが生きて仲間のところに戻れば、俺たちのことを報告するだろう。
 そうなれば、向こうは総出でこっちを殺しに来る。一国の軍隊を敵に回したってことだ。
 ウィットはそれをわかっていながら奴を助けたんだ。まあ俺たち売られたようなもんだよな」

「くっ!・・」

俺は反論できずにいた。言っていることは確かだ。

「どうせそのまま行ったとしても、向こうで殺されていたさ。ほら、ショーンをはなしてやれ」

デュラントに言われ、俺はショーンをはなした。

「よし。お前ら全員きけ。もうあの場所はやつらにばれた。軍の連中が来る前にここを出るぞ。
 急いで戻って仕度しろ」

第27話:約束 ( No.44 )
日時: 2012/06/20 22:47
名前: ケンチン (ID: lmeOXcX7)

「ねえお兄ちゃん、戻らないの?」

「ウィットをこのままにしておけないよ」

俺とディアナ、ララの3人以外はすでに戻ってしまった。
仲間が死んだというのに、俺たち以外は誰も気に留めていない。
ショーンにいたっては、裏切り者、お前のせいだと罵っていた。
他のみんなもそう思っているのだろうか・・・。

「二人は先に戻ってて」

「あなたはどうするの?」

「俺はこいつをうめてやろうと思う。それから行くよ」

ちょうど近くに小さな公園があったため、そこに埋めようと思った。
何かスコップの代わりになるようなものがないか探していた時

「あたしも手伝うよ」

「危険だよララ。作業中UCSに見つかったら————」

「恩返しがしたいの」

「え?」

「ウィットは頼りなかったけど、だけど、初めて会った時あたしを励ましてくれた。
 何度もお話してくれた。そのおかげであたしも気持ちが楽になったの」

ララは最初、学校で襲撃され精神的にかなり追いつめられていた。
そんな彼女をウィットが支えてくれたという

「だからあたしにも手伝わせて」

「・・・わかった」

ディアナも手伝ってくれるといい、3人でスコップを使って穴を掘る。
俺は土を掘り起こしながら

「なあディアナ、君は今回のこと、どうおもう?」

しばらく沈黙が続いた後

「仕方がないと思うわ。生き残るための具体的な策がないもの。
 私だって助けてもらえるなら・・・。」

「そうか。昨日、デュラントに言われたんだ」

「なんて?」

「君は相手を殺せるかって」

「・・・」

「その時は答えられなかった。だけど、今なら言えるよ。
 自分や仲間を守るためなら、殺せると」

「シュタール、あなた・・・」

これ以上仲間を失いたくない。向こうが平然とこちらを殺せるのなら、
俺はそいつらを撃つまでだ。

「お兄ちゃん、無茶するのはヤダよ」

「無理はしないよ。だけど、ただ殺されるだけってのはごめんだね」

「じゃあ約束しよ!お兄ちゃんとディアナお姉ちゃん、そしてあたしの3人
 みんなで生きてここを出るって。絶対死なないって」

「そうだね。約束だ」

これまでにないぐらい真剣な表情だった。彼女も思うことは同じだ。
もう誰かが死ぬのはみたくないと。

Re: 未来が俺たちにくれた物 ( No.45 )
日時: 2012/06/21 15:59
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

何か凄いなぁ・・・この小説!

あっ、挨拶が遅れました。
初めまして、レッドです。

私もシリアス・ダークで【翔太青年と漆黒の追跡者】の小説を書いています。推理小説ですけどね!

この小説、ホント凄いなー!
ストーリーも物凄い展開になってきているので、面白そうだなって思いました。

それに大学生という設定ですが、ウィットが授業中に居眠りしている姿を見て・・・2次で書いてた小説のキャラクターを思い出しました(笑)

あ、ついでに言うと・・・2次でも推理小説を書いてます。
今はダンボール戦機Wの小説書いてるんで、暇な時にいらしてくださいね!

また遊びに来ます♪

Re: 未来が俺たちにくれた物 ( No.46 )
日時: 2012/06/21 16:42
名前: ケンチン (ID: lmeOXcX7)

レッドさん、ありがとうございます。

いやあ、うれしいですね。そこまで評価していただけると
書いてる私もテンションあがりますわw

ゆっくりではありますが、最後まで更新していきますので
よろしくおねがいします。


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