ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

未来が俺たちにくれた物
日時: 2011/12/14 22:58
名前: ケンチン (ID: r1bsVuJn)

どうも、ケンチンです。
前作で知っている人もいるかと思います。
今回は「未来が俺たちにくれた物」という題名で作っていきたいと思います。題名に特に意味はないんですがね。

よかったら1作目のDifferent Worldsも見てくれるとうれしいです。
といっても、まだ完結してないんですがね。執筆中ですが、ほぼ終わりに近づいています。no=16760だったかな。

さて、本作では3つの架空の国が登場します。

アリビオ
マタン
クルトゥス

スペイン語、フランス語、ラテン語からとりました。

メインはアリビオという国で、この中で主人公や他の登場人物があれこれやります。
位置は南ヨーロッパ、ギリシャあたりだと思ってください。

それではよろしくお願いします。

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17



第47話:戦争 ( No.72 )
日時: 2012/09/20 22:17
名前: ケンチン (ID: KOGXbU2g)

「俺もお前に謝れとはいわない。相手を殺して
 仲間を殺されて、それが戦争だ。今頃実感したのか?」

「くっ・・」

「そもそも、この戦いを始めたのはお前らだろ。
 自業自得だ」

彼はエリックを解放する

「・・・すまん」

「気にするな。それよりそいつだ。なんとかなるのか?」

裏のカバーを開けて、数字を打ち込む。

「こいつは全て同じ暗証番号で動くようになってる。
 電源が切ってあったのは、警戒していたからだろう。
 もし取られても動かせないようにね」

当然ながら動いていないと機能しない。
敵が電源を切った状態で持ち歩いていたのは、
もし襲撃されて取られても、使わせないために、
あえてそうしたんだとか。
元々、攻撃を受けたと偽の情報を送ったからな。
警戒されてもおかしくはない。

「これでよし。内部バッテリーもフル状態だ。
 壊れない限り動かなくなることはない」

エリックにマーカーを返す。
他のやつも全て電源をつけてくれた。

「ありがとうございます」

俺はお礼をいってひとつマーカーをもらう

「しかし、こんな雑な計画でアリビオを落とそうだなんて。
 完全に無差別だろ。何考えてるんだお前らの国は」

「とにかく急いでいたんだ。経済制裁で石油が輸入できなくなった。
 石油の8割は輸入に頼っていたからね。供給が経たれると、
 軍は1週間で完全に動かなくなる。その前にやってしまおうという考えだ」

「たかが資源欲しさにこうも簡単に殺戮できるとは。恐ろしいな」

「この計画自体、知らされたのはUCS暴走の1日前だった。
 それまでは実弾を使った大規模演習をやるから、準備して
 待機しろとのお達しだった。まさかこんなことの準備だなんて
 誰も知らなかったよ」

「そういや、反対した連中もいるんだってな」

「ああ。反対していた一部の仲間は、動こうとしなかった。
 こんなのはおかしいってな。結局、そいつらは反逆罪という形で
 刑務所にぶち込まれた。上からの命令は絶対だからね。
 だから、反対してるやつはもういない」

「お前は?」

「俺は・・・」

そこで彼は黙った

「俺は、許せないよ。こんなの。だって、家族を殺されたから」

「家族を?なぜ?」

「暴走が始まる3日前、俺の両親がここに旅行に来てたんだ。
 俺は、意図的にUCSを暴走させる計画なんて知らなかったし、
 1日前に知らされたときも、このことは外部に漏らしては
 いけなかったから、何もすることができなかった」

彼は銃を置いて座り込み

「ここに上陸して三日目、俺は両親の遺体をみつけた。
 国に家族を殺されたんだ」

第48話:if ( No.73 )
日時: 2012/09/29 01:23
名前: ケンチン (ID: KOGXbU2g)

「国のために命かけてやってるのに、結局このざまだ。もう疲れた」

彼は立ち上がり

「いまUCSは北部に移動しているが、そのマーカーを持っていれば、
 攻撃されない。この戦いを終わらせてやってくれ」

そういって店から出ようとする。

「あの!」

ドアを開けようとしたところを呼び止める

「最後に聞きたいんですけど」

「何を?」

「この国は、どうなるんですか?」

「どういうこと」

「もし俺たちが失敗したらということです」

彼はしばらく考えたあと

「予定では、今後様子をみてUCSのシステムを止めることになってる」

UCSを止める!?
っていうことは、UCSにアクセスすることができるってことか。

「元々、油田とかアリビオの資源を狙った作戦だ。UCSを止められるようにも
 してあるらしい。殺しが第一目的じゃないからね」

「どうやって?」

「システムのホストコンピュータから停止コマンドを一斉送信するんだ。
 W&CSを通じて全機体に送られる」

「なら俺たちが————」

「それは無理。機密事項だからね。ごく一部の人しか具体的なやり方を知らないから。」

そんな・・・
知っているやつから聞き出すにも、当然リスクが大きい。
誰が知っているのかもわからないしな。システムを止める
という考えは諦めるしかないか。

「止めたあとはどうなるか知らないが、まあ恐らくアリビオ復興のためとかいって
 自分たちが都合のいいように改造するんじゃないかな。油田とかを中心にね。
 今のこの国に復興の力はないから、俺たちに従うしかないんだよ」

ずっと騙され続けたままってことか

「あとは、作戦の証拠が残っていないか調査、及び隠滅だろ。あと全面的に協力したいから
 とかいって、クルトゥス軍隊の正式受け入れに関する復興一時条約を無理やり結ばせたり。
 まあ、その条約にはどうせ裏があるだろうけどね」

今のアリビオはボロボロだ。
何も知らない政府はクルトゥスに頼るしかない。

「国はいいなりってことか」

苛立っているのか、エリックが眉間にしわを寄せている。

「まあね。それに一応、アリビオ国民はクルトゥスが最初に助けにきて、問題解決して、さらに
 復興まで手伝ってくれるスーパーヒーローだと思い込んでる。当然世論はクルトゥスを支持、
 そうなれば疑う者も出てこなくなるし、政府も俺たちを支援せざるおえなくなる」

何も知らずに主犯格を支持するってか。
最悪のシナリオだよまったく。

第49話:飛行場 ( No.74 )
日時: 2012/10/05 21:46
名前: ケンチン (ID: KOGXbU2g)

「しっかし、敵に頼みこむとは、突拍子もねえことするなお前」

「あはは、自分でもそう思います」

ランスに言われて苦笑いする俺

「笑いごとじゃないわよ。もし捕まってたらどうするの?」

「わるいわるい。でも、使えるようになったんだから、結果オーライだ」

ディアナやランスが降りてきて、
俺たち4人はテーブルを囲んで話していた。

「早朝にそんなことがあったとはなぁ。俺も聞きたいことあったのに。
 爆睡だったぜ。」

「大勢で囲んでも不安にさせるだけだからな」

「でもこれで、UCSを気にせず堂々と歩けるわけだ」

「ああ」

なんとかマーカーの起動に成功した俺たちは、全員にそれを一つずつ渡す。

「で、これからどうすんの?エリック」

「もちろん出発だ。国外脱出を試みる」

「っていっても、ここから国境まで相当距離あるぞ」

というか、今俺たちはどのあたりにいるのだろう。
やみくもに逃げてきたからな。

「とりあえず北部のクラークまで行くのはどうだ?」

「え、歩いて?」

「ああ。交通は完全にマヒしてるからな」

「ええええ!!」

嫌そうな表情のランス
車は使えないことないが、どうせ途中で道がふさがってたりして
行くことができなくなる。それこそ、敵の包囲網を突破した時
みたいに、頑丈なハンヴィーや装甲車が必要だ。だが、そう都合
よく置いてあったりしない。

「クラークまでどれだけあると思ってんだよ!
 今ここがどこかよくわかんねーけど!」

「おそらく、ここはクラークの街中だろうな」

「あのー」

ディアナが手を挙げる

「提案なんですけど、飛行機で逃げるのはどうでしょうか?」

「飛行機?このあたりに空港なんてあったか」

「隣町のザンブルクにAASの飛行場があるはずなんです」

「AAS?聞いたことないな」

「アリビオエアサービス。航空サービスを提供している会社なんですよ」

第50話:両親 ( No.75 )
日時: 2012/10/13 00:07
名前: ケンチン (ID: KOGXbU2g)

「きゃっ」

躓いて倒れそうになるディアナをそっと支える

「おっと、大丈夫か?」

「ありがとう」

「気をつけろよ」

俺たちは隣町ザンブルクの飛行場を目指していた。
ディアナがAASという航空会社を知っていたのは、
彼女の両親がそこで働いているからだそうだ。
父親はパイロットとして活躍し、母親はそこで
事務の仕事をこなしているという。

「私が飛行機を提案したのは、逃げたいというよりも」

彼女はさみしそうな目をしていた。
それを隠そうとうつむく。

「もしかしたらお父さん、お母さんがそこにいるんじゃないかって
 そう思ったから。」

両親が無事か確かめるために、職場である会社に行こう
と提案したわけか。
しかし、もし民間機が残っていたらラッキーだ。

「無事だといいな」

「うん」

先頭のエリックが急に立ち止まる

「どうした?」

「ウォートホッグだ」

目の前には機銃搭載の対人UCS、通称ウォートホッグがいた。

「なに、もう攻撃されることないんだろ?びびることねーって」

「まあな。だが目の前にするとちょっとな・・・」

すると、ウォートホッグのカメラがこちらを捕えた。
すかさず俺はG3ライフルを構える。
だが、なにもしてこない。
識別マーカーのおかげで味方と判断したようだ。

「よかった。ちゃんと機能してるんですね」

ほっとして銃をおろす。
俺もあいつらをみるとこしがひける。
まともにやりあって勝てる相手じゃないからな。




「あれか?」

「そうだな」

目の前には広大な敷地があった。
その中には滑走路と駐機場。
2時間かけて目的地にやっとついた。

「あれ、あかねえな」

アリビオエアサービスと看板がついた建物に入ろうとするが
どうやら鍵がかけられているらしく、あかない。

「どけ、破壊する」

ランスをどかしてエリックが銃で撃って鍵を破壊する。
中はかなり暗かった。窓は閉め切ってあり、カーテンや
ブラインドもすべておろしてある。

「誰もいないわ、お母さんどこ?」

彼女が真っ先に入っていく。
周りを見渡すが、だれもいない。
エリックがテーブルを越えて、さらに奥の部屋へ行こうとした時

「エリックあぶねえ!!」

ランスが叫ぶ。
同時にエリックが体をひねらせ、何かをかわす。
誰かが鈍器で襲ったのだ。
エリックはそいつを床に押さえつけ、頭部にハンドガンを突きつける。

「なにしやがる。なぜ襲った」

襲ったのは中年の男性だった。
ランスが駆け寄って男から武器を取り上げる。

「君たちこそ何なんだ!」

腕から逃れようと必死にもがくが、無駄な抵抗だった。
エリックは男性を無理やり立たせる。

「もしかして、ディアナちゃん・・・!」

男はディアナの存在に気づき、目を見開く

「リアンさん!よかった」

ディアナは男性に駆け寄り

「この方、私の父の同僚なんです。悪い人じゃないので、
 解放してください」

そう言われてエリックは彼を解放した。

第51話:再会 ( No.76 )
日時: 2012/10/18 22:31
名前: ケンチン (ID: vAHEHJN2)

「こっちだ」

リアンさんに事務所奥の部屋へと案内される。
部屋の中は薄暗く、なにもない。
そこで10名程度の人が座ったり寝そべったりしている。
だが、俺たちを見た瞬間、彼らは立ち上がり駆け寄ってきた。

「助けだ!よかった」

「おい、救助がきたぞ!」

瞬時に俺たちは囲まれる。
どうやら助けにきたと思っているらしい。
逃げるためにここに来たのにな。
なんか申し訳ない気分になる。

「離れてくれ、ほら」

エリックが両手で引き離す。
そんな中に

「ディアナ・・!!」

ディアナの名前を呼ぶ者がいた。
50歳の女性だった。

「お母さん!!」

ディアナはその女性を見つけると、
駆け寄り、そして抱き合った。母親のようだ。

「ああ、ディアナ!よかったわ無事で、本当によかった!」

「お母さんこそ、怪我とかしてない?」

「私は大丈夫よ」

「もう、泣かないでよお母さん」

母親の方は泣いていた。相当うれしかったのだろう。


Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17



この掲示板は過去ログ化されています。