二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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とある魔術と科学の十字路
日時: 2010/10/13 02:24
名前: 泉 海斗 (ID: B240tmf4)

こんばんは??おはようございます??泉海斗です。
禁書についての作品を書いていましたが、データが吹っ飛び消えてしまうということで投稿ができなくなっていました。そこで今一度新しく書こうと思いこの作品を投稿します。皆様からのコメントが執筆の力になります。たくさんの閲覧・コメント待ってます。
それではとある魔術と科学の十字路をどうぞ!!
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第1章 朝のやり取り
 ピピピっと目覚まし時計がなる。
「うーん」
この部屋の主である少年がうめき声を上げて起き上がる。しかし少年が眠っていた場所はなぜか風呂場だった。まだ眠いのか目が半開きである。特徴としてはファッション雑誌でも参考にしたのかツンツンヘアーである。身長は170の中であり、中肉中背の少年。彼の名は上条当麻。かつておきた第3次世界大戦を止めた陰の立役者である。しかしそれを知る者は少ない。まあ、彼にとっては誰も死ぬことなく集結したので自分の功績などどうでもよかった。上条は洗面所で顔を洗い、すっきりとした状態で居間へと移動する。そこにはやりかけの宿題の乗ったテーブル、本棚、テレビ等がある。さらに彼のものであるはずのベッドの上には銀髪の少女がすやすやと眠っていた。
「もう食べられない・・・むにゃむにゃ」
「まったくどんだけ食べる夢見てんだか・・・」
上条はあきれながらもほっとしている。彼は記憶喪失である。それも一昨年の夏休み前の記憶がまったくないのである。それは目の前で幸せそうに眠っている少女を悪しき鎖から救うためにとった代償であった。しかし少年はそれを知ってもけして彼女に文句を言わなかった。むしろそれだけで彼女を救えたのなら本望だと思っていた。他人のために自身を投げ出せるくらいの覚悟が彼は常に持っているのだ。今日から新学期。つまり上条当麻最後の高校生活が始まろうとしていたのだ。
「今日はさすがに遅刻できませんよね・・・」
遅刻したくてしているわけではなかった。彼の右手に宿る・・・そう皆には知られているが彼はそうではないと思っている幻想殺し(イマジンブレイカー)のせいで彼は不幸体質なのだった。今のところ何もおきていないが、逆に何もないことが彼を不安にさせていた。
宿題をさっさと終わらせようと座り込む。すでに炊飯器にはスイッチを入れているために適当な時間になったらおかずを作ろうとしていた。昨年は特に大きな事件に巻き込まれることなく過ごすことができた。まあ、魔術関係でいろんなところに飛ばされたことはあったがかつてほどの大きな事件ではなかった。そんなわけでいろんな国を回り、旅行できた。そのときいつもくっついてくるのが今眠っている少女である。彼女の名はインデックスといい、イギリス正教のシスターである。必要悪の教会(ネセサリウス)に所属している。それと同時に上条勢力という一部の者にしか知られていない組織に所属していた。上条勢力・・・それはけして合間見えることのない科学と魔術を扱う人々を合わせた組織だった。その名のとおり上条当麻がその組織のリーダーだった。彼にはまったくそんな組織があることをまだ自覚しているわけではないが、それを知る者たちからは恐れられていた。何とか終わらせ似かかる宿題。順調に進む宿題。これは何とかなると心中喜びに浸っていた。
「にゃー」
突然現れた猫。上条が住んでいる部屋で飼っている猫である。名前はスフィンクスといい、インデックスが拾ってきたのだった。すっかり子の家にいついて早3年。すっかり慣れてしまっていた。そんなスフィンクスが突然テーブルをジャンプでまたいだのだ。そしてテーブルにはコーヒーの入ったコップがあった。そして上条は不幸体質である。結果は自明だった。がっちゃーんっというコップが倒れる音がした。それと同時に。
「ぎゃああぁぁぁぁ!!俺の終了まじかの宿題がああぁぁぁ!!」
頭を抱えて嘆く上条。スフィンクスはしてやったりという顔である。まったく飼い主に申し訳ないという気持ちは持っていなかった。
「不幸だ・・・」
いつもの常套句が飛び出す。仕方なく見えるところをルーズリーフに写すことにした。謝れば担任も許してくれるだろうっとそう思う上条だった。何とか写し終えた上条は早速朝食を作ろうと冷蔵庫を開ける。しかしそこにあったのは調味料だけだった。確かにここにおいていたつくり置きのおかずがなくなっていた。
「なんで何もないんでせう??」
「おはよーとうま。お腹すいたー」
「インデックス・・・お前起きてからの最初の一言がそれなのか??それとお前ここにおいてあった物、どうした??」
「昨日の夜小腹が空いたから食べちゃった」
かわいく舌を出して言う。お前はペコちゃんかと突っ込みたかったがお腹の虫がそれをさえぎる。
「腹減った・・・」
仕方なくご飯だけのチャーハンを作ることとなった。インデックスは文句を言っていたが。
「あなたのせいでおかずがなくなってしまったのですから少しは申し訳ないと思いなさい!!」
「だったらもっと買いだめするべきかも。お金だったらたくさんあるでしょ??当麻だって学園都市からたくさんお金貰ってるし、私だってイギリスから貰ってるもん」
「いくら買いだめしてもあなたがすぐに食べてしまいますから困ってるのですよ。もう少し抑えることを覚えなさい」
「それは私にとって苦行かも」
「それでも少しは上条さんの家計を考えてくださいよ。食事以外にもいろんなことに使いたいだろ??インデックスだって欲しいものあるんだしさ」
「それもそうかも。また新しいマンが欲しいかも」
「だったら今日は入学式だけだからごごはどっかに遊びに行くか??」
「行きたいかも!!」
上条の提案に身を乗り出して賛成するインデックス。帰ってくるまでおとなしくしているようにと言い残し、上条は高校へと向かった。

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Re: とある魔術と科学の十字路 ( No.25 )
日時: 2010/10/27 05:40
名前: 泉 海斗 (ID: B240tmf4)

おはようございます、泉海斗です。
次話投稿したいと思います。
たくさんの閲覧・コメント待ってます。
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第10話 心糸操者(ハート・コマンダー)&音響狂者(ボイス・マッダー)VS風紀委員(ジャッジメント)&警備員(アンチスキル)
 学園都市での革命の被害を聞きつけた風紀委員と警備員は対策に乗り出していた。ここは第117学区風紀委員主要拠点。ここでは頭に花飾りをつけた少女が多くのパソコンを操作してなにやら捜索していた。ものすごい速さで学園都市中の地図を詮索する。そこには赤い店が点滅していて、それらは広範囲にわたっていた。
「白井さん、どうやら敵は第23学区に向かっているようです」
「なんですってえぇぇぇ!?そこって常盤台などがある学区ではありませんの!!」
「悪いことに常盤台の近くに主要ビルがあるようでして・・・」
そのことを聞いた白井は絶叫に近い叫びを上げて一瞬にしてその学区へとテレポートしたのだった。とはいえすでに警備員が配置されているために心配は要らないのだが。
「嫌な予感がします・・・」
なぜだかその地図には映し出されていないが不気味な感じがしてならない。そんな不安を感じる初春の後ろに迫る黒い影。その影から手が伸びる。しかし初春はまったく気がつかない。
「初春・・・」
影の手の上には何やらコップらしきものがある。それがゆっくりと机の上に・・・置かれた。
「根つめすぎはよくないよ初春」
「佐天さん・・・すいません集中するとどうしても手が離せなくて」
影の正体は初春飾利の親友佐天涙子だった。置かれたカップにはコーヒーが入れられており、受け取った初春の目のしたには大きな隈ができていた。一大事なために学校は急遽休みとなっていたために徹夜でここまで監督していたのだ。佐天は風紀委員ではないが学校が休みなために親友のために何かできないかと協力しに来ていたのだった。できることといえば調理など体調管理ぐらいだが、それでも十分助かっていたのだ。
「それよりも物騒だよね・・・革命だなんて」
「そうですね・・・何に不満なんでしょうか。これで十分いい学園都市だと思うんですけど」
かつては超能力のレベルは最初から決められているとされていて、多くの学生たちに絶望を与えた学園都市。しかしある組織がそれに文句をつけ、さらにその組織とひそかに手を組んだ暗部組織たちが上層部と掛け合って現在のカリキュラムが完成していた。そのため最初は無能力だとされていても、高校に上がるくらいにはほとんど学生が能力のレベル1を持っていた。それはかつてならありえないことだったが、さらに進化した科学の力で成功したことだった。かつては無能力者で幻想御手に手を出してしまった佐天も今ではレベル2になっていた。初春も同様にレベル2.そのときの佐天の喜びようはすごかった。初春は佐天に抱き疲れて慌てて、それを見ていた白井・美琴・上条はほほえましそうに見ていたのだ。そうは言ってもまだまだ無能力者は多い。しかし上層部は必死にその学生たちに手を差し伸べているのだった。そのようにうまくいっているはずの学園都市に革命・・・。一体何をしようとしているのか、まだ誰にも分からなかった。

Re: とある魔術と科学の十字路 ( No.26 )
日時: 2010/10/28 04:24
名前: 泉 海斗 (ID: B240tmf4)

おはようございます、泉海斗です。
次話投稿したいと思います。
たくさんのコメント・閲覧待ってます!!
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そして第23学区の拠点ビル内では今まさに戦闘が開始されていた。警備員とガードがゴム弾による発砲で気を失わせようとしている。殺傷能力はなくともひびが入るくらいの威力はあった。しかしそれを食らって倒れていくのは同じ仲間だった。意識がない状態の警備員や風紀委員がふらふらと『ハンター』の盾となっていたのだ。彼らを盾に取られた警備員たちはまったく手の出しようがなかった。そしてその隙に『ハンター』の攻撃が来る。
「YO—YO—なんだYOこいつら超弱いじゃんかYO 」
藤巻圭吾が弾くギターからは恐ろしいほどの音が響く。それによって鼓膜から直接脳に響く音でまともに立っていられる人は皆無だった。それでも何とか抵抗しようと立ち上がる警備員もいるが操られた警備員にゴム弾を発砲されて気を失う。操られた彼らも必死に抵抗しようとしているがまったく体が言うことを聞かない。仲間同士を打ち合い、絶望を与えられる。そしてけしてしてはいけない学生への発砲・・・。悲鳴を上げて自分のしたことを悔いるものもいる。それを見て悪魔の笑いを上げる少女・・・鬼崎千尋がいた。
「あはははははは、みんな千尋の玩具なんだよ!!もっとダンス踊ってよ!!圭吾!?もっと音楽流してよ!!」
「わかったYO−!!レッツミュージックスタート!!」
流れる音楽はまさに激しい戦闘ものばかり。それに合わせて次々に警備員と風紀委員が同士討ちを繰り返す。泣き叫ぶものもいればもうやめてくれと懇願するものもいる。
「あきらめるな!!ここは死守するじゃん!!」
ぼろぼろの黄泉川が立ち上がりざまに発砲する。学生に向けて売るのは木がひけるがここまで甚大な被害を出されるとほっておくわけにはいかなかった。しかしその球も操られた風紀委員の学生が盾にされて遮られる。それを見て悔しさを隠し切れない。ガクリと倒れる風紀委員をただ呆然と見ているしかできない。
「初春・・・、このものたちの能力は一体なんなのですの??」
『それがまったく倉庫の中に入ってないんです』
「そんなこと・・・あるはずはありませんわ。このものたちは学園都市の学生ですのよ」
『そんなこと言われても、まったく見つからないんです。それにこっちもパソコンに親友を許してそれの処理に手間取ってそれどころじゃないんです』
「守護神(ゴール・キーパー)のあなたなら何とかなるんじゃないですの??」
『それが相手もかなりの手誰で苦戦中です』
まさかの展開に歯噛みする白井。自身も瞬間移動したくても敵のかく乱させる音によって演算がめちゃくちゃにされていた。そもそも仲間が多く操られては同士討ちで倒されていくのを黙ってみているしかできない自分が情けなかった。気づかないうちに周りには倒れた人たちでいっぱいだった。それでも抵抗しようしようとしているのは黄泉川愛穂だった。片手はだらりとたらして反対の手で拳銃を構える。満身創痍でも意地にかけてここを通さないつもりらしい。白井もふらふらと立ち上がりスカート下から金属棒を取り出し構える。瞬間移動ができるのは圭吾の演奏が終わらない限り無理であった。しかし操りたいにも2人以外はもう気をうしなって動くことはできていない。先ほどから意識があるものしか操れていないためにこれはチャンスだと思った。
「行くじゃんよ!!」
黄泉川は響く音に耐えながらも発砲する。それが圭吾に向かって飛ぶ。ヤバイと感じたのかい回避する構えを取る。交わせばその間演奏は切れる。その隙に金属棒で攻撃する算段だった。しかしゴム弾は圭吾に当たることなく突然立ち上がった意識のない警備員に命中した。そのままふらふらと再び倒れる。その時ゴキリと骨が折れる音がしたのは間違いなかった。想定外のことに唖然とする2人。そして気づいたときにはお互いの武器をお互いに向けていた。向こうにはフフッと笑みを浮かべる千尋がいる。まさに悪魔・・・だった。
「みんな千尋の玩具—」
「俺の音楽を聞けーYO」
白井の脳内で勝手に演算が始まる。金属棒が黄泉川の持っていた拳銃に突き刺さり使い物にならなくなる。次の瞬間黄泉川の拳が白井の腹をえぐっていた。お互いに何が起きたのか分からないという表情。しかしその衝撃で白井は吹き飛ばされる。壁に激突し、激しく咳き込む。しかし顔を上げるといつの間にか目煮の前には黄泉川の姿があった。その顔にはもはや冷静さはなかった。そして勝手に振り上げられる腕、瞬間移動で加速した白井の拳が黄泉川の腹をえぐる。一気に空気が吐き出されながら後ろに転ぶ。しかし無常にも操られる彼女たちに休みというものはない。
「もっともっとあそぼー」
「踊れYO!!踊れYO!!」
「これでは・・・」
「やばいじゃんよ・・・」
しかし千尋の遊戯は終わらない。心身を操る彼女に抗うすべを彼女たちは持ち合わせていない。さらに響く音楽は彼女たちから罪悪感というものを消し去り、ただ目の前のものへの敵意だけを生み出していた。もはやお互いを仲間と認識できていたかった。悪魔の脚本どおりに惨劇は進んでいた・・・ここまでは。
「黒子ぉぉぉぉ!!」
名前を呼ぶ叫び声とともに向こうから一気に場度やらを突き破ってくるものが音速を超えた速さで飛んできた。反応できなかった千尋はしゃがんでかわす。それによって心身の呪縛が解かれる。しかし感情まではどうしようもない。今まさにお互いに殴りかかろうとしたとき。
「こんだけ見晴らしよくすればいいでしょ??」
「十分だ御坂!!」
そう叫んで飛び込んできたのは私服姿のツンツン頭の少年だった。少年は自身の右手を千尋たちに向けていた。そして目の前にいた白井と黄泉川に向かって手を伸ばす。その瞬間ガラスが割れるような音が響く。正気を取り戻した黄泉川はわざと空振りし、白井は瞬間的に演算をして回避した。そこに現れた少年を見る2人。そして『ハンター』にとっては厄介な人物が現れたのだった。
「何でこいつがいるんだYO!!」
「上条・・・当麻」
苦々しげに見る千尋。先ほどまでの笑顔(げんそう)は吹き飛ばされていた。
「お前らのふざけた革命(げんそう)をぶち壊す!!」
上条は己の右拳を握り締めて宣言した。

Re: とある魔術と科学の十字路 ( No.27 )
日時: 2010/10/29 02:08
名前: 泉 海斗 (ID: B240tmf4)

おはようございます、泉海斗です。
次話投稿したいと思います。
たくさんの閲覧・コメント待ってます!!
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第11話 来る『ドラゴン』
突然現れたのは上条当麻だった。そのあとに遅れて現れたのは超電磁砲こと御坂美琴だった。美琴はぼろぼろの白井を見つけると急いで駆けつける。白井自身美琴が来てくれたことに感激して笑顔で気絶した。
「先生、ここからは俺達がやりますので下がってください」
「それはできないじゃん。あんたたち学生を守るのが私たちの役目じゃんよ」
後ろからカツカツと靴が床に当たる音が聞こえてくる。そして現れたのはサングラスをかけた軍事服姿の京介と私服姿の愛華だった。
「黄泉川、お前は俺に取っちゃあ足手まといだ」
「ちょっとあんた確か小萌先生とこの生徒じゃん??何でこんなところに??」
「ごちゃごちゃうるせえな・・・。寝てろ少し」
手套で気絶させた。一撃であの警備員最強の黄泉川を気絶させたのだから上条と美琴は驚きを隠せない。愛華は当然といわんばかりに平然としている。気絶した黄泉川をそっと寝かせた京介。あたりには大勢の人々が倒れていた。
「厄介な能力者がいたものだ・・・」
嘆息して言う京介。しかしそこにはまったく不安は含まれていない。
「それでどうするんだ??俺の幻想殺しは効くようだけど」
「だったら俺とお前が先頭で突っ込む。後方支援は御坂・愛華に任せる」
「仕方ないわね。それが最善かしら」
「了解」
「話はまとまったのかな・・・せっかくの遊戯の邪魔をしてくれちゃって・・・千尋怒ってるんだから」
「俺もせっかくの演奏の邪魔されたYO!!」
「ガキ共が・・・少し黙ってろよな」
そう言って一歩前にでる。すかさず圭吾の音響狂者が発動する。上条は幻想殺しで効果はないが、レベル5の3人はかなりのダメージを受けた。
「何これ・・・演算の邪魔がはいる」
頭を抱える美琴。脂汗を流しながらきっと睨みつける京介。そして彼のもう1つの顔が現れる。
「oscurità777(世界を創造し闇、人々の絶望を呑み込め)」
それは相崎京介の魔法名だった。

Re: とある魔術と科学の十字路 ( No.28 )
日時: 2010/10/30 07:56
名前: 泉 海斗 (ID: B240tmf4)

おはようございます、泉海斗です。
次話投稿したいと思います。
コメント・閲覧待ってます!!
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ごうっと京介の右腕を包んでいた服が飛び散りそれの代わりに右腕を漆黒の闇が包み込む。漆黒のオーラが右腕を包んでいたのだ。超能力が使えなくても魔術は使える。常識を覆した存在の京介。それは愛華以外に衝撃を与えていた。それは科学では証明できない存在・・・魔術だった。
「さっさと終わらせるぞ・・・」
ひどく冷たい声が響く。演算に狂いが出ていては作戦が機能しない。そのために恭介と上条で千尋たちの攻撃を止める必要があった。彼らの力にも弱点はある。それをつく作戦が事前に立てられていた。体を沈ませたかと思いきや、床を大きくへこませて千尋たちに突撃した。オーラをまとった右腕を構えて京介は圭吾に向かって拳を放った。慌てた圭吾は横に飛ぶことでそれをかわす。しかし拳が突き刺さった床が激しい闇の浸食され、それによって床がまるでスプーンでアイスをすくったような形で消えていたのだ。それに驚愕する千尋。そんな隙ができたところを上条が迫る。無能力者であり、何よりあらゆる異能の力を打ち消す幻想殺しにはまったく千尋の力も圭吾の力も作用していなかった。上条の姿に気づいた千尋は能力を使って警備員たちを壁にす上条はそれに驚き拳を下ろしてしまった。しかし勢いはそのままに、警備員ごと千尋に激突してきた。まさかのことにすっとんきょんな声を出して倒れる。
「ふへぇ!?」
「あだああぁ!!何でいきなり警備員が??それよりあいつはどこに??」
一番下で警備員に埋まっている千尋を探す上条。小学生くらいしか背丈がないためになかなか見つけられない。千尋自身も重い警備員のせいで演算どころではなかった。
「あ、いた!!」
ようやく千尋を見つけた上条。とうの千尋はようやく重い警備員の下から這い出てきていたところだった。顔には怒りでなのか青筋があらわになっていた。それを見た上条は思わず下がってしまう。
「よくもやってくれたわね・・・千尋怒ったんだから」
目は虚ろで、機会のように無機質な声で言葉がつむがれる。そして周りにはまるで見えない糸で操られたようにぐったりとしながら立ち上がる警備員と風紀委員がいた。彼らは皆上条に向かって拳銃を構えたりしている。それをまさかという顔をしながら見ている上条。風紀委員は能力を使う構えを取る。そしていきなり炎が上条を襲う。それが風紀委員の1人から出されたものだということで右手を出して打ち消す。それから次々と能力とゴム弾が乱れ飛んでくる。能力は消せてもゴム弾は消すことはできない上条はそれらを受けるではなくかわすことで何とかやり過ごす。しかしどこに逃げても数が多いためにすぐに攻撃される。
「どこに逃げればいいんだよ!!逃げ場ないじゃないか!!」
叫びながら再び転がる上条。隣では圭吾を追い回す京介の姿があった。しかし余裕のない上条。後ろからも千尋に操られた美琴たちが必死に抗おうとしている。上条が触れることで一時的に効果が消えてもすぐにぶり返してしまう。やはり核を叩かなければいけなかった。一瞬の隙ができればよかった。一瞬でも警備員たちの壁がなくなればよかった。千尋を捕まえれば能力は使えない。あとは戦力的に上の彼女たちが何とかしてくれると思った。ちらりと後ろを見る上条。ふと美琴と目が合う。上条の目を見て何を考えているか察したようで、にっと笑う美琴。辛い顔は見せずにポケットから取り出すコイン。それを空中に弾く。それは重力に従ってゆっくりと降下する。
「いっけええぇぇぇ!!」
そして美琴はそれを震える手で弾いた。学園都市第3位御坂美琴の『レールガン』だった。音速の3倍で飛ぶそれは千尋の足場を崩す。舌打ちをしながら後方へと飛ぶ。それにより美琴の攻撃に意識が言った千尋の演算が泊まる。それによって操られた人々は床に伏す。そして道ができたことを確認するまもなく上条は走る。
「うおおおぉぉぉ!!」
拳を構えてつっこむ上条。はっと気がつき演算を開始する千尋。しかしその前に上条の拳が突き刺さっていた。千尋は何が起きたのか分からないという表情で後方へと吹き飛ばされる。そのまま壁にもたれかかる状態で震えていた。ゆっくりと顔を上げると、苦痛に顔をゆがめる少女の顔があった。思いっきり腹を殴ったために痛みが残っているのだろう。まだ腹を抱えていた。
「痛い・・・なんてことしてくれるのよ!!千尋はただ遊びたかっただけなのに!!」
「たくさんの人を傷つけることが遊びだってのかよ!!」
「そうだよ??」
「なに・・・」
上条が説得するように言った言葉に当たり前だといわんばかりにさらりと言ってのけた。それにはさすがの上条も唖然とするしかなかった。千尋はけらけらと笑いながら話し始める。
「千尋はもっとひどいことされた・・・千尋はもっと怖いことされた・・・千尋はもっと痛い思いした・・・千尋はあいつらに玩具にされた・・・だから今度は千尋がみんなを玩具にするの」
「何よそれ・・・そんなのただのあてつけじゃない」
美琴が叫ぶ。しかしそんな言葉は千尋には返って逆効果だった。さらに狂ったように叫び続ける。次第に吐き叫ぶ始末だ。ただ自分がされたからやり返す。それが自分にとっては遊びなのだという。
「ふざけるな!!」

Re: とある魔術と科学の十字路 ( No.29 )
日時: 2010/10/30 07:57
名前: 泉 海斗 (ID: B240tmf4)

上条はじっと聞いて我慢していた怒りを爆発させる。これまで多くの人を自分の右手(ふこう)で救ってきた。上条は自分のおかげなどとは思っていないが、ほかのものたちから見れば彼の功績が一際目立っていた。ただ笑顔を守りたいから。そのために彼は走り続けてきた。傷つく人を頬って置けない。それによって笑顔を失いそうになる人を頬って置けない。しかし目の前にいる少女は自分の自己満足のために人々から笑顔を奪い、絶望を与えていた。それを上条は許せなかった。
「何がふざけるなよ!!まったくあなただって自分のために他人を踏み越えてきたでしょ??千尋はそれをしているだけなんだから変わらないでしょ??それでも自分は違うって言うの??自分は他人を踏み越えずにしてきたって言うの??他人を踏み越えずに自分のために生きてきたって言うの??」
「そいつはね!!他人の笑顔を守るためなら自分を投げ出すようなやつなの!!そんなやつが他人を犠牲にして満足を得るとでも思うの??」
美琴は叫んだ。かつて自分はとある実験のために笑顔を失い、さらに命までも失うところだった。しかし目の前の少年が彼女が持っていた意志(げんそう)をいとも簡単に破壊してくれた。自分を犠牲にしてまで、その右手(ふこう)で美琴を救い、さらに1万人近い妹たちを救ってくれた。そんな彼が他人を犠牲にしているところなど想像できなかった。
「それってたがの偽善じゃない??偽善で何でも解決できるって言うの??千尋はそうは思わないな!!」
狂ったように叫ぶ千尋。いつの間にか体が鎖で捕まっていた。上条と美琴が愛華を見ると愛華の体の周りには霧みたいな靄があった。どうやら霧で構築したものらしい。現実にはないもの(幻想)を作り出し幻想(うそ)を現実にあるもの(リアル)であると思い込ませているのだった。必死にはずそうともがくがまったくびくともしない。本当は何もないのだが、完全に思い込んでしまっていた。これで話しやすいでしょとでも言いたげな表情だった。
「それで悪いかよ・・・人の為に善いと思ったことをして何が悪いってのかよ!!」
「それって結局自己満足にしかならないんじゃないの??それにたかが赤の他人に命張るのはおかしいんじゃないの??」
「その行動が自己満足ならそれでもいい。それで誰かの笑顔が守れればそれでいい。そのためならいくらでも命を張ってやるぜ??そうやって今まで戦ってきたからな。それでもこうして生きてる。俺の不幸は時には不幸(こうふく)になるんだぜ??」
ギリッと歯ぎしりする。すると横から何かが飛んできて壁に激突した。カランと何かが床に落ちる音。それがギターだということに、煙が晴れてから気がついた。そしてそれの持ち主がたった一人しかいないことも彼らは知っていた。
「圭吾!!」
千尋が叫んだ先にはぐったりと意識のない圭吾の姿があった。服は上半身が吹き飛ばされ、無数の傷があった。火傷もあり、ひどい怪我だった。その愛用のギターもすぐに風化するかのように存在を消した。その時漆黒のオーラがギターをなでたのを見た。こつこつと靴を鳴らした音が聞こえてくる。千尋は怒りを目に宿しながらその方向を向く。そこには黒紅色のオーラを持つ京介がいた。
「さあ、裁きの時間だ・・・」
煉獄での裁きを行う執行人がそこにいた。


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