二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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とある魔術と科学の十字路
日時: 2010/10/13 02:24
名前: 泉 海斗 (ID: B240tmf4)

こんばんは??おはようございます??泉海斗です。
禁書についての作品を書いていましたが、データが吹っ飛び消えてしまうということで投稿ができなくなっていました。そこで今一度新しく書こうと思いこの作品を投稿します。皆様からのコメントが執筆の力になります。たくさんの閲覧・コメント待ってます。
それではとある魔術と科学の十字路をどうぞ!!
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第1章 朝のやり取り
 ピピピっと目覚まし時計がなる。
「うーん」
この部屋の主である少年がうめき声を上げて起き上がる。しかし少年が眠っていた場所はなぜか風呂場だった。まだ眠いのか目が半開きである。特徴としてはファッション雑誌でも参考にしたのかツンツンヘアーである。身長は170の中であり、中肉中背の少年。彼の名は上条当麻。かつておきた第3次世界大戦を止めた陰の立役者である。しかしそれを知る者は少ない。まあ、彼にとっては誰も死ぬことなく集結したので自分の功績などどうでもよかった。上条は洗面所で顔を洗い、すっきりとした状態で居間へと移動する。そこにはやりかけの宿題の乗ったテーブル、本棚、テレビ等がある。さらに彼のものであるはずのベッドの上には銀髪の少女がすやすやと眠っていた。
「もう食べられない・・・むにゃむにゃ」
「まったくどんだけ食べる夢見てんだか・・・」
上条はあきれながらもほっとしている。彼は記憶喪失である。それも一昨年の夏休み前の記憶がまったくないのである。それは目の前で幸せそうに眠っている少女を悪しき鎖から救うためにとった代償であった。しかし少年はそれを知ってもけして彼女に文句を言わなかった。むしろそれだけで彼女を救えたのなら本望だと思っていた。他人のために自身を投げ出せるくらいの覚悟が彼は常に持っているのだ。今日から新学期。つまり上条当麻最後の高校生活が始まろうとしていたのだ。
「今日はさすがに遅刻できませんよね・・・」
遅刻したくてしているわけではなかった。彼の右手に宿る・・・そう皆には知られているが彼はそうではないと思っている幻想殺し(イマジンブレイカー)のせいで彼は不幸体質なのだった。今のところ何もおきていないが、逆に何もないことが彼を不安にさせていた。
宿題をさっさと終わらせようと座り込む。すでに炊飯器にはスイッチを入れているために適当な時間になったらおかずを作ろうとしていた。昨年は特に大きな事件に巻き込まれることなく過ごすことができた。まあ、魔術関係でいろんなところに飛ばされたことはあったがかつてほどの大きな事件ではなかった。そんなわけでいろんな国を回り、旅行できた。そのときいつもくっついてくるのが今眠っている少女である。彼女の名はインデックスといい、イギリス正教のシスターである。必要悪の教会(ネセサリウス)に所属している。それと同時に上条勢力という一部の者にしか知られていない組織に所属していた。上条勢力・・・それはけして合間見えることのない科学と魔術を扱う人々を合わせた組織だった。その名のとおり上条当麻がその組織のリーダーだった。彼にはまったくそんな組織があることをまだ自覚しているわけではないが、それを知る者たちからは恐れられていた。何とか終わらせ似かかる宿題。順調に進む宿題。これは何とかなると心中喜びに浸っていた。
「にゃー」
突然現れた猫。上条が住んでいる部屋で飼っている猫である。名前はスフィンクスといい、インデックスが拾ってきたのだった。すっかり子の家にいついて早3年。すっかり慣れてしまっていた。そんなスフィンクスが突然テーブルをジャンプでまたいだのだ。そしてテーブルにはコーヒーの入ったコップがあった。そして上条は不幸体質である。結果は自明だった。がっちゃーんっというコップが倒れる音がした。それと同時に。
「ぎゃああぁぁぁぁ!!俺の終了まじかの宿題がああぁぁぁ!!」
頭を抱えて嘆く上条。スフィンクスはしてやったりという顔である。まったく飼い主に申し訳ないという気持ちは持っていなかった。
「不幸だ・・・」
いつもの常套句が飛び出す。仕方なく見えるところをルーズリーフに写すことにした。謝れば担任も許してくれるだろうっとそう思う上条だった。何とか写し終えた上条は早速朝食を作ろうと冷蔵庫を開ける。しかしそこにあったのは調味料だけだった。確かにここにおいていたつくり置きのおかずがなくなっていた。
「なんで何もないんでせう??」
「おはよーとうま。お腹すいたー」
「インデックス・・・お前起きてからの最初の一言がそれなのか??それとお前ここにおいてあった物、どうした??」
「昨日の夜小腹が空いたから食べちゃった」
かわいく舌を出して言う。お前はペコちゃんかと突っ込みたかったがお腹の虫がそれをさえぎる。
「腹減った・・・」
仕方なくご飯だけのチャーハンを作ることとなった。インデックスは文句を言っていたが。
「あなたのせいでおかずがなくなってしまったのですから少しは申し訳ないと思いなさい!!」
「だったらもっと買いだめするべきかも。お金だったらたくさんあるでしょ??当麻だって学園都市からたくさんお金貰ってるし、私だってイギリスから貰ってるもん」
「いくら買いだめしてもあなたがすぐに食べてしまいますから困ってるのですよ。もう少し抑えることを覚えなさい」
「それは私にとって苦行かも」
「それでも少しは上条さんの家計を考えてくださいよ。食事以外にもいろんなことに使いたいだろ??インデックスだって欲しいものあるんだしさ」
「それもそうかも。また新しいマンが欲しいかも」
「だったら今日は入学式だけだからごごはどっかに遊びに行くか??」
「行きたいかも!!」
上条の提案に身を乗り出して賛成するインデックス。帰ってくるまでおとなしくしているようにと言い残し、上条は高校へと向かった。

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Re: とある魔術と科学の十字路 ( No.65 )
日時: 2010/11/21 01:42
名前: 泉 海斗 (ID: B240tmf4)

おはようございます、おねむの泉海斗です。
次話投稿しましたので、たくさんのコメント・閲覧をお待ちしております。
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第20話 奪われる力
京介と愛華はひたすら走って頂上を目指していた。
その間、言葉を交わすどころか顔も合わせなかった。
それは2人の間にある過去が原因だった。
京介は今まで愛華のことを幼馴染だとしか思っていなかった。
いつあったのか、どのような出会いだったのかは一切記憶になかったと言う状態。
それは飛鳥の力によって枷がはめられていたからだった。
しかし佑介との出会いでそれがはずされ、すべてを思い出す。
それをきっかけに思い出してしまった少女の正体。
暗く、肌寒い空間を走る二人。
緊張が高まる。
そしてとうとうたどり着いた最後の大きな扉の部屋。
「この奥に・・・」
「うん、きっといるよ」
ようやく口を開いた2人。
しかし彼らは話しかけたつもりはない。ただ口にしただけだ。
炎の宿る右手で扉を開ける。
向こうにはスクリーンを見ながら、ソファーで悠々自適名時間を過ごしている佑介がいた。
真っ白なスーツ姿。
まるで穢れを知らないとでも行っているようだ。
対照的に真っ黒なロングコートをまとった京介。
こちらは穢れきったと象徴しているように見えた。
お互いの右腕が光り輝く。
しかし対照的な輝き方だ。
「よくここまで来たね、京介。やはりあの頃の戦い方がからだになじんでいるのかな。なかまを踏み台にするという戦いが」
「・・・」
自分から彼らを置いてきたわけではない。
しかし結果的に今まさにスクリーンに移っている状態は見捨ててきたといっても過言ではなかった。
響いてくるシスターたちの悲鳴。
まさに裏社会で戦っていたときのものであった。
「京介はそんなことはしない。みんなだってきっと助かる!!」
「君は何故こんなところに来たんだい??霧崎愛華・・・いや別名で呼んだほうがいいかな??」
佑介の言葉に思わず身震いする。
彼もまた、愛華の正体を知っていた。
「人間に恋した精霊・・・ウィンディーネ」
「・・・」
愛華の正体を佑介に告げられ、それを知っている京介は何も言わなかった。
愛華はただ呆然としているだけだ。
「小さい頃にただかわいそうだと思い、人の形になって現れ、慰めようとしたんだろう」
しかし成長していく仲で、男の子から男性へとなって行く彼に惹かれてしまったのだ。
そしていつの間にかいつもそばにいるという構造になる。
いつかは振り向いてもらえるのではないか、そしてあの記憶は消して思い出させたくない。そうなると自分のこの思いは報われなくなるから。彼女のわがままだった。
「醜いものだな、ウィンディーネよ。素直に言えばまだ違ったかもしれないのに。今となっては衝撃というのが大きいぞ??」
「・・・」
ぐうの音も出ない愛華。
京介はただただ黙認を決め込んでいる。
 ただ佑介のことを睨んでいるだけだ。
 「さっさと水へ帰ればよかったものを。何故ここまで京介についてきたのだ??よく傍にいようと思ったものだ」
あきれたように愛華を見る佑介。
悔しくて、悲しくて、後悔の念に押しつぶされそうだった。
しかしそんな彼女を見捨てるものはいなかった。
「あの時・・・俺の前に現れてくれたのは・・・お前なんだよな??」
ようやく口を開いた京介の言葉は愛華の向けられたものだった。
ただウンというだけだ。
「嬉しかったよ・・・」
顔は見えないが、はっきりと京介は言った。
思わず目を見開く愛華。
「あんな苦しい生活・・・もう嫌だって思ってた。そんな時、励まして、元気付けてくれたのが・・・お前だった」
「お前がいてくれたから俺は逃げずに立っていられた」
「お前に会うのが本当に楽しかった」
「お前が話してくれる世界が本当に楽しかった」
「毎回俺にとっては驚きの連続だったよ」
ただ嬉しくて、涙が止まらなかった。
自分のしてきたことは何も無駄ではなかった。
ちゃんと彼に届いていたのだ。
いつも傍に立って一緒に戦ってきた二人。
今まさに今までの敵よりもはるかに強い相手を前にしている。
「一緒に戦ってくれないか・・・愛華」
彼は佑介のように愛華のことをウィンディーネと精霊として呼ばずに一人の人間として呼んでくれた。
ただウンと頷くだけだ。
右腕の赤い炎が消える。
それを見てやるべきことは一つだと思った。
一緒に戦う。
それは愛華が京介の右腕として戦うということ。
初めてだった。
「我の前に姿を現し、力を貸したまえ。我の右腕に宿りし、闇とともに、喰らい、浄化せよ!!ウィンディーネ(水の精霊)!!」
愛華の姿が青い光に包まれ、京介の右腕の闇と合わさる。
黒青色の光をほとばしらせる。
「用意はいいぜ??佑介兄さん。始めようぜ。世界が変わるか・・・それとも変わらずに続くか!!」
「いいだろう。どうせ結果は見えている。誰がなんと言おうと俺はこの世界を変える。こんな腐った世界なんぞ興味もない」
白くまぶしく輝く右手を突き出す。
光の粒子が弾け飛び、背中に翼が一対現れる。
さらに瞳は赤く染まり、心を見透かすようにしてくる。
「力の差を見せ付けてやろう・・・竜王の瞳(ドラゴン・アイ)と竜王の両翼(ドラゴン・ウィング)でな」
天界の神の力と地上の神の力を併せ持つ佑介。
精霊の力を持つ京介。
お互いの右手で拳を作り、殴りかかる。
拳同時が触れ合った瞬間、光と闇がぶつかり合った。

Re: とある魔術と科学の十字路 ( No.66 )
日時: 2010/11/22 01:45
名前: 泉 海斗 (ID: B240tmf4)

おはようございます、泉海斗です
次話投稿しましたので、たくさんの閲覧・コメント待ってます!!
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2人同時に後方へと後退した。
「水球体で閉じ込めろ!!」
佑介の周りを無酸素の水球体が覆った。
ぶくぶくと息が漏れる。
しかし無酸素の中、長時間息が続くことはないと思った。
しかしそれだけで終わるような敵ではない。
右腕が光、水球体が粒子に変わった。
「物質がすべてそんなことをできるのかよ・・・。反則だ」
「これが俺の力だ。それを己の魔力として使うこともできる。破壊するだけの闇の地価Rとは違うんだよ」
「ほざけ!!」
そう言って再び右腕を構える。
「くらえぇぇぇ!!」
勢いよく青白い水流波(アクア・ブラスト)を放つ。
しかし。
「だから何度やっても同じだ。お前の攻撃はこの右手に通用しない」
右手に触れた瞬間から粒子と化する攻撃。
愕然とした表情。
水の力をつかさどるウィンディーネの力を利用し、空気中の酸素と水素の割合を変化させる。
そして、更なる精霊を呼び出す京介。
「我の前に現れ、その烈火のごとき炎にて、悪しきものを焼き尽くせ!!イフリート(炎の精霊)!!その聖なる炎で悪しきものを浄化せよ!!フェニックス(炎の精霊)!!」
現れたのは人型の炎神人と炎の不死鳥。
彼らをさらに自らと同化させる。
フェニックスは羽となり。
イフリートはからだを覆う、防御装甲となった。
それを見てフット笑みを作る佑介。
じっと見つめあう二人。
そして満を持して飛び立つ。
天井を勢いよく突き破る。
それと同時に先ほど仕掛けておいた水素爆弾が大爆発する。
もはや先ほどの部屋は跡形もなく、消滅していた。
「まったく大それた曲芸を仕掛けてくれるじゃないか、弟よ」
「あれであんたが粉々になってくれれば良かったんだがな」
「なると思ったか??」
「その表情からして、むかつくけど無理だっただろうね」
空を旋回し、お互いの拳をぶつけ合う。
光と闇が工作し、黒と白の粒子が飛び散る。
水流波が羽に向かって放たれるも、羽を折りたたみ、自らを覆うようにして、重ねて防御をあげて防ぐ。
反撃として、光球を放つ。
それを光速旋回してかわす。
「まったくどうすればいいんだ!!」
「おらおら、逃げてばかりだと、俺には勝てないぞ!!」
光の粒子で作り出した槍・・・ロンギヌスの槍。
それを京介めがけて投擲する。
それも一個ではない。
何個も連続で投擲される。
羽が削られ、バランスを崩す。
そのたびに焦りが不安定を呼び、防戦一方へと誘う。
「しまった!!がはぁ!!」
バランスを崩し、体勢が変わったところに、数本の槍が突き刺さる。
口には何やらどろっとした鉄の味のするものが広がる。
傷口からもちが流れ出る。
神も殺す槍。
精霊による防御装甲など簡単に突き破ることができた。
さらにその部分から黒い闇が流れ出る。
まずいと思ったときにはすでに佑介は準備ができていた。
佑介の手には一冊の魔道書。
それをみてゾクっと怖気を感じる。
カッと目を見開き、それを凝視する。
京介には何をしようとしているのかが理解できた。
しかしそんなことを簡単にされてたまるかというものだ。
それをやるのはこちらであり、倒されるのもそっちだった。
まずいと思い必死に抵抗を試みる。
何とかそれに抗おうとする京介。
それにより、流出は止まる。
しかしそれでもあきらめない佑介。
虫のようにあがき続ける京介を見下しながら佑介はゆっくりとその瞳を閉じる。
そして右手を空へと向ける。
それに急激に集まり始める粒子。
何をしようとしているのかと思う京介。
しかし、それだけで何か危険なことをしようとしていることだけは感じ取れた。
それが右手を多い始め、なにかの形をるくり始める。
それは巨大な腕。
まさに天に突き刺さらんとする、神の腕だった。
「神の右手より下される裁きを受けよ!!神の怒りは雷なり!!」
「最大防御幕を張れ!!」
ふさぎきれるかどうかよりも、こんなところで負けるわけにはいかないという気持ちで最大防御を展開する。
黒青色の防御幕を生成し、自身は羽根に隠れる。
そして青白い閃光が空から京介に向かって落とされた。
世界にまばゆい閃光がほとばしった瞬間だった。

Re: とある魔術と科学の十字路 ( No.67 )
日時: 2010/11/23 12:32
名前: 泉 海斗 (ID: B240tmf4)

光が部屋を白く彩っていた。
佑介はびっしょりと濡れたスーツの上着を脱ぎ捨て、粒子によって新しいものを作り出した。
「まったく力のさっていうのは悲しいものだな・・・弟よ」
「ぐ・・・ぅ。ちくしょう・・・」
佑介の目の前に倒れているのは上着を吹き飛ばされ、弱弱しく仰向けに倒れていた。
右腕は黒青色のオーラが弱弱しく灯っている。
からだには無数の傷と・・・穴。
その部分からは光の粒子がもれている。
「ごあぁぁ・・・」
光とともに、闇もまた漏れ始めている。
倒れながら京介は絶望していた。
これほどまでに力の差があるのかと。
あれだけ強化された防御コートがまったく意味を成さなかった。
自分はこのあとどうなるだろうかと考えていた。
佑介の手には一冊の本が握られていた。
それに向かって漏れ出した闇が吸い込まれ、文字となっていく。
魔道書生成・・・。
闇の書の力から、再び再生成しようとしているのだ。
そのために使われているのが・・・竜王の瞳(ドラゴン・アイ)。
心の奥底に眠り、刻まれている文字を読み取り、それを取り出す。
痛みなどなかった。
むしろ心地よい。
眠ってもいいかもしれないと思った。
『だめだよ京介!!それじゃあみんなの世界が壊されちゃう』
頭に響く声・・・愛華だった。
水の精霊・ウィンディーネである彼女と同化した右腕だが、力を合わせて戦った結果がこのざまだ。
まったく歯が立たなかった。
闇は光に切り裂かれ、浄化される。
「もともと闇が光に勝とうってのがおこがましい話だったんだ・・・」
何のためにここに来たのだろうかという話になる。
この世界の崩壊を止めるため。
この大好きな世界を守るため、皆が作ってくれた道。
しかしその道の向こうにあったのは・・・絶望と敗北。
「ふふふ、もうお前が戦う必要はない。もうすぐ完成だ」
すでに最終章に入っている魔道書生成。
見る見る右手の黒い光が失われていく。
魔術師としての力が奪われていく。
そしてとうとう右手には青い光だけが残っているだけだ。
「完成だ・・・。ここに光と闇の魔道書が揃った」
『そんな・・・これじゃあ』
喜びに満面の笑みを見せる佑介と姿はないが、愕然とした声色の愛華。
そしてもう好きにしてくれと虚空を見つめる京介。
魔道書に目を通す佑介。
見る見る喜びが顔いっぱいに広がる。
そして最後の文字を読み終わった瞬間、バシッと魔道書が消滅した。
否、取り込まれたのだ。
右手には光と闇が反発することなく、交わってらせん状の縞模様を作り出していた。
「世界の終焉よきたれ!!」
この世の終わりを知らせるかのごとく、世界が揺れた。

Re: とある魔術と科学の十字路 ( No.68 )
日時: 2010/11/24 01:01
名前: 泉 海斗 (ID: B240tmf4)

第21話 崩壊の始まりと阻止
 世界規模で異常現象が起き始めていた。
世界が崩壊する見たく、地が割れ、草は枯れる。
水は引き、人々は混乱の渦に巻き込めれた。
国家間の間でもこぞって物資の奪い合いが始まる。
世界規模の戦争・・・第4次世界大戦が起きようとしていた。
魔術側と科学側の戦い。
学園都市は世界中を敵に回すこととなり、さらに強力な魔術師がいるイギリス・イタリア・ロシアはその力を遺憾なく発揮し、次々と勝利を重ねる。
もはや世界は地獄と化していた。
人びとは泣き叫び、助けを求める。
そんな彼らに無情にも攻撃が飛び、はかなく命が消えていく。
戦闘機が飛び交い、戦車が走る。
魔術の詠唱が叫ばれ、科学の演算が走る。
学園都市からはレベル5と4の学生たちが戦争へと送り出されていた。
もはや生き残るために立ち止まることは許されなかった。
泣き叫ぶ傷ついた学生たち。
精神的にも成熟していない彼らがこんな地獄にポイッと置かれて冷静でいられるはずがない。
現在は夜で停戦状態だが、食事に手をつけるものはいなかった。
かつて暗部で活躍していた彼女たちもまた然りだった。
「顔色が超悪いのですよ麦野」
「当たり前よ、こんな地獄みたいなところに置かれたらさすがの私でもこうなるっての。前みたいに浜面だけを追っかけてるのなら気にしないんだけどね」
確かにと苦笑いする絹旗。
彼女たちがいるのは小さなテントの中であり、わずかな食事を取っている最中だった。
レベル5と4である彼女たちは当然のように送られた。
センチではたくさんの人々を倒してきた。
「倒したというより・・・超殺しちゃったのです」
自らの手を見る絹旗。
震えるその手は見た目は変わらずとも、べっとりとついた人の血はけして取れることがない。
あのときの感触がまだ生々しく残っていた。
麦野もまた、アームによって人々のからだを吹き飛ばしていた。
飛び散る鮮血と肉片。
それに触れるたびに何かが胸の奥で生まれるのを感じていた。
しかしそれにとらわれてはいけないと無意識的に感じていた。
とらわれたらけして戻ってこれないと感じたからだ。
「邪魔するぜ??」
「失礼するわ」
「何で俺まで??」
中に入ってきたのは3人の少年少女たち。
彼らは学園都市が誇るレベル5の面子だった。
「あら、垣根、鏡子(心理掌握)と削板(念動砲弾)じゃない。雁首揃って何か酔うかしら??」
冷静な表情でいる垣根と鏡子だが、やや硬くなっているのは確かだった。
ただ1人元気な削板だが、彼もまた空元気だったのだ。
「何まだチマチマ飯食ってんだよお前ら。いつ攻撃が来るかも分かったもんじゃないぞ」
「そんなことあなたに言われなくても百も承知よ垣根」
「それにしても静かよね。さすがにこんな地獄見たら仕方ないってものかしら」
「そりゃそうですよ。私でも超怖いですから」
一気に顔色が悪くなる絹旗、
若干15歳の彼女にとっては恐怖のほかに何者でもない。
彼女よりも年上の麦野たちでも恐怖する戦争。
すると向こうのほうで爆発音が響く。
多くの学生たちの叫び声、なきごえが響く。
とうとう来たかと立ち上がるレベル5たち。
平然としているが内心逃げ出したかった。
手と足はがくがくと惨めなほど振るえ、歯はがちがちとなっている。
まともに演算できるかどうかも分からないほどに疲弊した精神。
ここにいるのは7人中5人。
一方通行と御坂美琴は何らかの理由で行方不明。
2人がいたらまた楽に戦えたかもしれない。
しかしそんなことを言っている暇はなかった。
魔術師や、彼らに加勢している国の兵たちがやってきたのだ。
殺してやる、そして生き残ってやる。
それだけが彼らを突き動かしていた。

Re: とある魔術と科学の十字路 ( No.69 )
日時: 2010/11/25 08:22
名前: 泉 海斗 (ID: B240tmf4)

かなたから聞こえてくる爆音を聞き、愕然としている上条たち。
まさに下で起きているのは・・・。
「戦争・・・」
一面白い銀世界だったロシアの大地が真っ赤に燃え、黒い黒鉛が上がっていた。
まさに下を戦闘機が飛んでいき、その音に耳をふさいでしまう。
そして落とされる爆弾の数々。
それによって一体どれくらいの人の命が消されるだろうか。
飛び交う色鮮やかな光。
魔術と科学が抗戦している証拠だった。
やめてくれと叫ぶ上条だが、その言葉が聞こえるはずがなかった。
「こんなのってありかよ・・・」
「とうま・・・」
うなだれる上条を心配そうに見つめるインデックス。
「最悪だ・・・。必要悪の教会もまた戦争に加担しているらしい」
なにやら紙から連絡を受けていたステイルが吐き捨てるように言う。
そうなれば今後ろにいる魔術師たちは科学側の学園都市と戦わなければいけない。
それはつまりここで上条たちと別れる・・・交渉決裂ということになる。
彼らにとってもそれは避けて通りたいことだ。
しかしそれを世界は許さない。
この理不尽な世界はそれを良しとしないのだ。
「ここから降りることはできますか??」
「なぜかこれも高度を下げてるのよな。もう少しすれば何とかなるでしょう女教皇」
「そうとなれば私たちは・・・」
神裂の質問に冷静に判断する建宮と、これから起きる戦いに不安を覗かせる五和。
そんな彼女を心配する天草メンバー。
アニェーゼたちもまた、次の戦いに向けての準備を始めていた。
「こうなったら仕方ねえのですよ。私たちは所詮魔術師。科学側とは相容れないのですよ」
その言葉は上条を突き放す言葉でもあった。
そうなればインデックスもまた魔術側に加担することになる。
直接は戦いに参加せずとも、その禁書目録の力で協力するのは目に見えていた。
そしてそんなインデックスの保護者代わりであった上条。
自動的に魔術師側に取り込まれる可能性もあった。
「とうまは魔術師側に来なくてもいいんだよ」
インデックスの言葉は意外なものだった。
しかしそれは彼女と敵対することになる。
「でも・・・そうなれば俺達」
「分かってるんだよ」
悲しそうな表情で見つめる。
しかしこれ以上何を言ってもきっと同じだというのは分かっていた。
そしてとうとう要塞はそれほど高度のないところまで来ていた。
それでも十分高いが、魔術師たちのとってはどうとないものだった。
次々と戦いへと向かっていく魔術師たち。
残された上条はただひざを折ってうつむくしかできていない。
「け!!さん下はそうしてずっと腐ってヤガレ。俺様はまだやることがアルカラナ」
そう言ってベクトル操作を使い、降りようとする一方通行。
そのとき一緒に美琴も連れて行く。
「ちょっとなにすんのよ一方通行!!」
「ギャーギャーうるせえな!!テメエも科学側の人間だろうガァ」
「そういうことだぜい。悪いが土御門様は今回ばかりは科学側につくぜい。舞夏を守らなきゃいけないにゃー」
そう言って3人もまた上条の前から姿を消した。
たった一人、どこにもつかずに見つめているしかできない上条。
『弱くなったな偽善者』
右腕の竜王の顎がささやく。
うるせえと小さく反論する上条。
しかし、実質何もできないことには変わりない。
どちらにも大切な人たちが居るのだ。
どちらかを見捨てるなど、彼にはできなかった。
『欲張りだな、上条当麻。大罪の一つ、強欲ってもんだ』
確かに自分は欲張りを通り越して、強欲なのかもしれないと思った。
『人は自らを守るために他者を踏み台にする。そんな光景を余は何度も見てきた』
ただ独り言のように言う。
しかしその言葉一つ一つに憂いが含まれていて、そして疲れているようにも感じ取れた。
『しかし貴様のように周りのために自身を犠牲にする愚か者は少なかった』
確かに自分のように場か見たく、危険につっこんでいくのは少ないだろう。
周りがそんなんばかりだったら恐ろしいくらいだ。
『それで貴様は何を望む??上条当麻。今なら余が力を貸さんでもないが??』
それを聞いて沈黙してしまう上条。
なんとしてでも戦争を終わらせたい。
しかし終わらせたからといってこの世界が書き換えられてしまえば何もならない。
「京介・・・あいつはどうなったんだ??」
『やつなら負けた。あの兄の力に勝てるとは到底思えない。神の力に精霊如きが敵うはずがない』
「それならこのままじゃ世界は・・・」
『ああ、終わるだろうな。だが余の力なら世界を飛び越えることができる。貴様の記憶そのままを別世界に移すことが可能だということだ』
それでも移すことができるのは上条のみだけ。
ほかの皆の世界はすべて奪われるのだ。
それはあらゆる未来が破壊されるということ。
誰かと出会わないこともある。
誰かが死ぬかもしれないこともある。
誰かが悲しむこともある。
誰かが苦しむこともある。
誰かが恨みを持つこともある。
誰かが誰かが誰かが・・・。
あらゆるIFが出てくる。
頭がはちきれそうだ。
『辛いだろう上条当麻。科学側の人間でありながら、禁書目録という魔術の荷物を担がされた哀れな偽善者』
「インデックスを荷物とかいうんじゃねえよ」
怒りを含む声色で言う。
『でも事実はそうであろう上条当麻。彼女がいるから貴様は科学側としてたつこともできない。だからといって科学側には貴様が守るべき御坂美琴がいる。八方塞だな』
歯噛みする上条。
確かに双方に自分が守るべき者たちがいるのだ。
どちらも選べない理由があり、それらが上条をがんじがらめに身動きをできなくする。
「俺は・・・どうしたいんだ・・・」
うつむく上条の耳に、戦争の響きが責めるように聞こえていた。


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