二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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とある魔術と科学の十字路
日時: 2010/10/13 02:24
名前: 泉 海斗 (ID: B240tmf4)

こんばんは??おはようございます??泉海斗です。
禁書についての作品を書いていましたが、データが吹っ飛び消えてしまうということで投稿ができなくなっていました。そこで今一度新しく書こうと思いこの作品を投稿します。皆様からのコメントが執筆の力になります。たくさんの閲覧・コメント待ってます。
それではとある魔術と科学の十字路をどうぞ!!
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第1章 朝のやり取り
 ピピピっと目覚まし時計がなる。
「うーん」
この部屋の主である少年がうめき声を上げて起き上がる。しかし少年が眠っていた場所はなぜか風呂場だった。まだ眠いのか目が半開きである。特徴としてはファッション雑誌でも参考にしたのかツンツンヘアーである。身長は170の中であり、中肉中背の少年。彼の名は上条当麻。かつておきた第3次世界大戦を止めた陰の立役者である。しかしそれを知る者は少ない。まあ、彼にとっては誰も死ぬことなく集結したので自分の功績などどうでもよかった。上条は洗面所で顔を洗い、すっきりとした状態で居間へと移動する。そこにはやりかけの宿題の乗ったテーブル、本棚、テレビ等がある。さらに彼のものであるはずのベッドの上には銀髪の少女がすやすやと眠っていた。
「もう食べられない・・・むにゃむにゃ」
「まったくどんだけ食べる夢見てんだか・・・」
上条はあきれながらもほっとしている。彼は記憶喪失である。それも一昨年の夏休み前の記憶がまったくないのである。それは目の前で幸せそうに眠っている少女を悪しき鎖から救うためにとった代償であった。しかし少年はそれを知ってもけして彼女に文句を言わなかった。むしろそれだけで彼女を救えたのなら本望だと思っていた。他人のために自身を投げ出せるくらいの覚悟が彼は常に持っているのだ。今日から新学期。つまり上条当麻最後の高校生活が始まろうとしていたのだ。
「今日はさすがに遅刻できませんよね・・・」
遅刻したくてしているわけではなかった。彼の右手に宿る・・・そう皆には知られているが彼はそうではないと思っている幻想殺し(イマジンブレイカー)のせいで彼は不幸体質なのだった。今のところ何もおきていないが、逆に何もないことが彼を不安にさせていた。
宿題をさっさと終わらせようと座り込む。すでに炊飯器にはスイッチを入れているために適当な時間になったらおかずを作ろうとしていた。昨年は特に大きな事件に巻き込まれることなく過ごすことができた。まあ、魔術関係でいろんなところに飛ばされたことはあったがかつてほどの大きな事件ではなかった。そんなわけでいろんな国を回り、旅行できた。そのときいつもくっついてくるのが今眠っている少女である。彼女の名はインデックスといい、イギリス正教のシスターである。必要悪の教会(ネセサリウス)に所属している。それと同時に上条勢力という一部の者にしか知られていない組織に所属していた。上条勢力・・・それはけして合間見えることのない科学と魔術を扱う人々を合わせた組織だった。その名のとおり上条当麻がその組織のリーダーだった。彼にはまったくそんな組織があることをまだ自覚しているわけではないが、それを知る者たちからは恐れられていた。何とか終わらせ似かかる宿題。順調に進む宿題。これは何とかなると心中喜びに浸っていた。
「にゃー」
突然現れた猫。上条が住んでいる部屋で飼っている猫である。名前はスフィンクスといい、インデックスが拾ってきたのだった。すっかり子の家にいついて早3年。すっかり慣れてしまっていた。そんなスフィンクスが突然テーブルをジャンプでまたいだのだ。そしてテーブルにはコーヒーの入ったコップがあった。そして上条は不幸体質である。結果は自明だった。がっちゃーんっというコップが倒れる音がした。それと同時に。
「ぎゃああぁぁぁぁ!!俺の終了まじかの宿題がああぁぁぁ!!」
頭を抱えて嘆く上条。スフィンクスはしてやったりという顔である。まったく飼い主に申し訳ないという気持ちは持っていなかった。
「不幸だ・・・」
いつもの常套句が飛び出す。仕方なく見えるところをルーズリーフに写すことにした。謝れば担任も許してくれるだろうっとそう思う上条だった。何とか写し終えた上条は早速朝食を作ろうと冷蔵庫を開ける。しかしそこにあったのは調味料だけだった。確かにここにおいていたつくり置きのおかずがなくなっていた。
「なんで何もないんでせう??」
「おはよーとうま。お腹すいたー」
「インデックス・・・お前起きてからの最初の一言がそれなのか??それとお前ここにおいてあった物、どうした??」
「昨日の夜小腹が空いたから食べちゃった」
かわいく舌を出して言う。お前はペコちゃんかと突っ込みたかったがお腹の虫がそれをさえぎる。
「腹減った・・・」
仕方なくご飯だけのチャーハンを作ることとなった。インデックスは文句を言っていたが。
「あなたのせいでおかずがなくなってしまったのですから少しは申し訳ないと思いなさい!!」
「だったらもっと買いだめするべきかも。お金だったらたくさんあるでしょ??当麻だって学園都市からたくさんお金貰ってるし、私だってイギリスから貰ってるもん」
「いくら買いだめしてもあなたがすぐに食べてしまいますから困ってるのですよ。もう少し抑えることを覚えなさい」
「それは私にとって苦行かも」
「それでも少しは上条さんの家計を考えてくださいよ。食事以外にもいろんなことに使いたいだろ??インデックスだって欲しいものあるんだしさ」
「それもそうかも。また新しいマンが欲しいかも」
「だったら今日は入学式だけだからごごはどっかに遊びに行くか??」
「行きたいかも!!」
上条の提案に身を乗り出して賛成するインデックス。帰ってくるまでおとなしくしているようにと言い残し、上条は高校へと向かった。

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Re: とある魔術と科学の十字路 ( No.70 )
日時: 2010/11/26 08:16
名前: 泉 海斗 (ID: B240tmf4)

冷たい床にはいつ配った京介。
目の前では何やら陣を描く佑介の姿。
その中央には彼らが所持していた魔道書の二冊があった。
「もうすぐだ・・・もうすぐ俺達が求めていたすばらしい生活が手に入る」
ふざけるなとようやくすべきことを思い出す。
先ほどまでの自分が馬鹿みたいに思えた。
しかしまったくからだに力が入らない。
隣には同じく倒れた愛華がいた。
どうやら演算をしていないためにか、はたまた彼女が人間の姿になっているのか。
目の前でまばゆいほどの光がほとばしる。
壊させたくねえ。
自分を信じてここまで送り出してくれた彼らのためにも。
そして今日まで必死に生きてきた過去の自分のためにも。
そして、こんな自分のために犠牲になった姉のためにも。
こんな自分を好きになってくれた女の子のためにも。
「さあ!!世界の破滅と誕生が今!!」
手を広げ、まるで来る何かを受け止めようとしているかのようだ。
しかし京介にとってはそんなことは関係ない。
力が入らないからだに無理やりにでも動かす。
いうこと聞かないなら、心で動かせ。
よろよろと情けなく立ち上がる。
それに気がついた佑介。
弟がようやく自分のことを受け入れてくれたのかと思い、喜ぶ。
「京介!!もう少しだ!!もう少しであの頃に戻れる。そうしたらまた飛鳥ネエに甘えようぜ」
「それもいいかもな・・・」
右手を出しながら言う。
「しかし断るよ佑介兄さん」
驚愕の表情となる。
すでに世界の書き換えは始まっている。
もう数分もすればすべてが終わり、始まる。
「おまえが何を言っているのか・・・分かっているのか??」
「分かってるさ。たくさんの人を傷つけ、たくさんの人を殺し、そしてそんな彼らも救われるこの魔術。それを否定するんだからね」
右手には銀色の光があった。
「奇跡の精霊・オルフェウス!!我の生命を生贄に!!奇跡の力を与えたまえ!!」
銀色の光が京介を包み込む。
そしてからだから何かが抜けていくのを感じた。
これが生命。
暖かく、そしてどこか冷たいもの。
明るいようで、どこか暗いもの。
それは光であり、闇である。
人の本質・・・。
それを操る力を持つ存在を人々はこういう・・・神。
光がたった一本の腕に凝縮される。
「神の手(ゴッド・ハンド)・・・。これで世界の運命を変えてやる!!」
世界が変わるまで後数分・・・。

Re: とある魔術と科学の十字路 ( No.71 )
日時: 2010/11/27 08:18
名前: 泉 海斗 (ID: B240tmf4)

第22話 十字路の果てにて
 『上条当麻・・・貴様本当によいのだな??』
竜王の言葉に無言で頷く上条。
するとすぐにからだに痛みが走る。
からだだけではない、背中、そして目にも一気に痛みが走る。
「があああっぁぁぁっぁ!!」
思わず叫んでしまう上条。
背中から勢いよく噴出す黒い物質。
それが徐々に形作られ、翼となる。
からだは黒い物質によって黒く塗りつぶされる。
そして目は真っ赤に燃えるような紅蓮の瞳。
もはや以前の上条の姿はどこにもなかった。
体中から発するは生きとし生きるものを超越する威圧感。
そこにいるのは・・・上条当麻(りゅうおう)。
『久しぶりにこの地に足を置いたな』
感触を確かめるようにスニーカーを土にこすり付ける。
声色は上条だが、もはや口調は竜王のものだった。
大きく羽ばたかせる両翼。
それだけで地がまるでアイスクリームをスプーンですくったかのような状態になる。
『今宵、この世界が終わるか否か。この目でしかと確かめてやろう。その前に上条当麻との約束でも果たしに行くとしよう』
大きく羽ばたかせる翼による風が、一気に雪を吹き飛ばす。
そして大きく踏み込むと空高く跳躍した。
色鮮やかに飛び交う魔術と超能力。
しかし神(竜王)にとってはそんなものはどうというものではなかった。
ゆっくりと翼を動かし、今まさに戦っている仲間たちを高みの見物していたのだ。
飛び散る鮮血。
響く泣き声と爆音。
上がる黒煙。
まさに下は地獄だった。
『何故人はこうも争うのか・・・』
上条の声で竜王は憂う。
下からは上条(竜王)を見つけた者たちが攻撃を仕掛けてきた。
しかし魔術も超能力も所詮はいのうの力。
今の上条(竜王)にはもはや右腕を出す必要性はなかった。
『余に下等な攻撃が通用するとでも思っているのか・・・』
嘆息しながらその攻撃を受ける。
しかし傷一つつかない竜王の皮膚。
それを見て驚愕の表情となり、さらに仲間を呼ぶ魔術師たち。
そして科学側もまた上条(竜王)の存在に気がつく。
目の前の少年だった姿は異形。
もはや人間ではない存在と化していた。
そんな存在に対して無謀にも戦いを望む上条を知らない人々。
右腕である竜王の顎からは青白い竜王の殺息を吐き出し、人々を吹き飛ばす。
雪と土煙がはれたそこには気絶して倒れこんだ人々がいた。
『仕方ない・・・これも上条当麻との約束か・・・』
仕方ないとめんどくさそうに右腕の顎を消し、右腕を倒れた人々のほうに向ける。
『凍死するという幻想を破壊する・・・』
バギンという音とともに、その場だけ気温が変化したのを確かめる。
これで凍死だけはしないだろうと思う。
すぐにさらに激化した戦地へと翼を動かす上条(竜王)。
竜王の脚を使えば一瞬のことだった。
突然現れたかつての仲間たち。
彼らもまた上条(竜王)の突然の登場に驚く。
しかし異形と化した彼をすでに上条当麻と思えるものたちは一体どれくらいいただろうか。
それよりも彼がここに何をしに来たのかというのが大きかったに違いない。
皆困惑顔。
それは魔術師たちだけではなく、科学側のものたちもまた然りだった。
「とうま・・・なの??」
そこに現れたのは白い修道服を着たシスター・・・インデックスだった。
しかし彼女の表情にも不安が色濃くあった。
『確かに余は上条当麻(竜王)。それは姿だけでも分かろう・・・インデックスよ』
フルフルと首を振る。
「あなたはとうまなんかじゃない・・・」
『しかし、まがいにも我は上条当麻と契約したものだ。我を上条(竜王)と呼ばずしてなんという??』
沈黙するインデックス。
いつの間にか停戦状態が続いていた。
誰もが攻撃しようとしなかった。
やればできるはずだった。
しかし上条の登場で何もできなくなっていた。
否できなくしていたのだ。
『攻撃するという幻想を破壊する』
攻撃しあうという幻想はとうの前に破壊されていたのだ。
「あんた・・・本当に当麻なの??」
恐る恐る聞いてきたのは今度は美琴だった。
彼女もまた戦争に参加していた。
しかし彼女が戦い始めたのはついさっきである。
『まだ人を殺めていないようだな御坂よ』
それを聞いてびくっと反応する科学側の少年少女たち。
本心で殺し立ったわけではない彼ら。
しかし、やらなければ死んでいた。
「当麻・・・あんた一体何をしたの??」
『ほう??知らないとは言わせんぞ御坂美琴。貴様は見たはずだ』
「知らないわよそんな姿!!あんたは当麻なんかじゃない!!」
ぎろりと睨みつける上条(竜王)。
血で真っ赤に染められたような瞳で見られる美琴を含む目の前の人々。
『余がこれから見せるのはすべて真実である。そして御坂美琴、お前の記憶になくとも心は知っているはずだ』
赤い閃光が彼らの視界を染めた。

Re: とある魔術と科学の十字路 ( No.72 )
日時: 2010/11/28 08:59
名前: 泉 海斗 (ID: B240tmf4)

おはようございます、泉海斗です。
寒い毎日ですがまったく雪が降る気配がなく、たすかっているところです。
そんなことよりもいよいよ終盤に入ったこの作品、最後までお付き合いしていただければ幸いです。
それではどうぞ!!
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「その手を使い・・・何をしようというのだ??京介・・・」
銀色に光る右腕。
それが自分の魂だというのは感じ取れていた。
魂の消費は肉体の消費。
徐々にからだの自由が消えていた。
「まさかその力を使うとは思わなかった・・・しかしそれを使ったということは自身の命はどうすることもできないのだぞ??」
そんなことは分かっていた。
自身の命を操作できない・・・それでいて神の手といえるのか疑問が残るが、運命を捻じ曲げることができるなら十分神の手だと思っていた。
これだけは死守しようと己の右手も光らせる佑介。
「!!」
瞬間的に間合いをつめた京介。
急のことに反応ができなかった佑介。
拳を右手で止めようとする。
しかし右手に衝撃はなく、それどころか腹に拳が突き刺さっていた
どういうことだと吹き飛ばされながも考える。
壁に激突し、ずるずると床に倒れる。
すぐに立ち上がるも、休む隙を与えずに京介の攻撃は続く。
「ぐああぁぁ!!」
体中に無数の切り傷ができる。
地が何かを伝っていた。
「これは・・・ワイヤー!?」
「七閃・・・」
京介の手には神裂の愛刀・・・七天七刀が握られていた。
さらに鞘に戻すと、再び目の前に瞬間移動する。
予想していた技に対して光の粒子で壁を作る。
「唯閃!!」
刃と壁が激しく激突する。
壊されはしなかった外力を吸収しきれずに壁に再び激突する佑介。
背中を負傷し、さらに口には鉄の味がした。
対する京介は激しく嘔吐し、さらに先ほどの七天七刀もまた、消えていた。
「ハハ・・・やはり相当の負担があるんだな・・・魂の消費って言うのは」
「そんなことは百も承知さ・・・だが兄さんを止めるにはこれしかない」
右腕に紅蓮の炎を生み出し、それを剣へと変える。
それだけでなく、周りには怪物もぞろぞろと現れる。
「魔女狩りの王・・・イノケンティウス!!」
魔術師ステイルが従える怪物・・・。
紙の力があればいくらでも召還できると感じた。
しかしそれの代償は魂。
一体自分はどこまで生きる運命にあったのだろうとふと思ってしまう。
負けじと光の粒子を集め、何かを形作る。
見る見るそれは異様な形へと変わる。
「天使・・・。どこまでゆがみを作れば気がすむんだよ・・・」
「この世界は結局後数分で終わり、新たな世界が始まる」
ゆがみが広がればそれだけ早まる。
「それならまずはゆがみをこれ以上広げるわけにはいかない」
炎剣を持ちながら佑介の元に走る。
怪物たちは真っ先に天使へと攻撃を始める。
天使もまた怪物たちに攻撃を始まる。
神が創りし・・・天使。
人が創りし・・・怪物。
イノケンティウスは消されてもそのたびに復活する。
京介の魂を消費して・・・。
天使もまた回復する。
佑介の持つ光の粒子によって・・・。
炎剣とロンギヌスの槍(神殺しの槍)が火花を散らす。
剣が肉を焼ききり、槍が肉をえぐる。
鮮血がお互いの汗とともに床に滴る。
息も絶え絶えな2人。
すでに魂も光の粒子もつきかけているのか天使もイノケンティウスもいなくなっていた。
先ほどまで地を揺るがすほどの地響きと炎による熱が二人を襲っていたというのに。
一気に気温が下がる。
吐く息が白い。
しかしそんなことはもはや関係なかった。
「来た・・・」
「く!!」
ひざを折る京介と天を仰ぐ佑介。
この対称がすべてを物語っていた。

Re: とある魔術と科学の十字路 ( No.73 )
日時: 2010/11/29 01:13
名前: 泉 海斗 (ID: B240tmf4)

第23話 願い
「未来・・・娘たち・・・当麻・・・実験・・・」
美琴の口から出てくるのはこの戦いの前に起きたちょっとの期間の思い出だった。
確かに未来から上条が来たのは覚えている。
しかしあのときもまた、上条があんな姿になっていたなんて。
それだけではない、このままではどちらが勝ってもこの世界は崩壊するという未来。
ほかの人々も同じだった。
そのことに恐怖するものもいれば、あきらめたのか奇声を上げて泣き出すものもいた。
「ち!!なんですカァ??これじゃあ、俺達がただ踊らされているだけじゃネエカヨォ!!」
吐き捨てるようにいう一方通行。
確かにかつてこのように戦争になったのは2年前のフィアンマの仕業だったことを一部の科学側と魔術師側全体は知っている。
そのときのように何かをしようとたくらみ、戦争が起こされる。
今回は世界の書き換えがそれだと思われるが、なぜかしっくりこないところもある。
しかし戦わなければ生き残れないこの状況。
国の間での争い。
再び空に上がっている要塞『アトランティス』。
もはやあの場所までいけるのは数が限られている。
あのゆがみを何とかすることができればというのがそれを知ってるものたちの考えだ。
「あの複雑な魔道書を止めるにはどうすればいいのですか??」
「とうまの右手で壊すか・・・。それ以上の解除魔術で打ち消すしかないけど・・・」
後者の対抗魔術が見つからない。
実際にどのように組まれているか、魔道書自身をインデックスは読んでいないのである。
神裂の疑問の答えは出たが、実行は難しそうだ。
さらに上条の手を使うという手だが、先ほどの大きなゆれと閃光からして。
『もう・・・手遅れなのだ』
絶望を宣言する上条(りゅうおう)。
その瞬間武器を取り落とすものやへたり込むものが続出した。
「何言ってんのよ当麻!!あんたらしくないじゃない!!」
叫ぶのは美琴だ。
いつもの彼なら最後まであきらめない。
しかし今の彼はなんだ、まるでもはや抜け殻である。
『余は上条当麻(りゅうおう)であって上条当麻(かみじょうとうま)ではない』
「でも結局は当麻なんでしょ!?だったらまだ何かが・・・」
引き下がらない美琴。
「は!!もうこの世が終わりなんでしょ??だったらやることはこれしかないんじゃないの!?」
そういうと麦野は狂ったようにアームを魔術側に放つ。
食らったものたちが悲鳴を上げて倒れる。
向こうからも何するんだという抗議が飛ぶがまったく聞く気は科学側にはない。
「それしかないな、俺も最後は派手に暴れるか」
垣根もまた背中から白い羽を作り出し、上空からの攻撃に入る。
「同感!!すごいパアァァァァンチ!!」
ドゴォォォンという大きな音を立て、地面を吹き飛ばす削板。
「同士討ちの最後って言うのも面白くなくて??」
心理掌握の力によって、いやいやと震えながらお互いに最大級の魔術を放ち、散っていく魔術師たち。
「こちらもやられてばかりでは無駄死にです」
「分かってるのよな女教皇。俺達天草式の力を見せ付けるときだのよ」
建宮の言葉に続き、天草式の面子はおのおのの武器と術式を使い、学生たちを蹴散らす。
炎を操るのはインデックスを守っているステイル。
イノケンティウスに挑む学生だが、天草式の力を借りて広範囲の行動が可能なイノケンティウス。
さらに多くの霊装の力でかなりの数を出現させていた。
燃えていく学生。
砕け散る魔術師。
もう生き残っても死、あきらめても死。
「七閃!!」
ワイヤーで見えない攻撃にて息絶える学生たち。
「最後まで騎士としての名を汚すわけには行かないのである」
巨大メイスを振り回し、数をまとめて吹き飛ばすアックア。
「最後の最後で科学に復讐できるとは・・・神のご加護か??」
見えないハンマーを振り回すヴェント。
まさに憎しみの塊と化しているこの地で、彼女の力は増すばかりだ。
アニェーゼ部隊も数と魔術の効率性で科学側を押している。
「終わりがあるのは仕方ねえですが、こんなふざけた死だけはごめんです」
「あらあら、あなたはもうあきらめたのでございますか??」

Re: とある魔術と科学の十字路 ( No.74 )
日時: 2010/11/29 01:14
名前: 泉 海斗 (ID: B240tmf4)

「何をいってるのですか??シスター・オルソラ。もはや前も後ろも死だけです」
「そうですシスター・オルソラ。シスター・ルチアの言うとおりです」
「皆さんの言うことも確かですが、あの人が簡単のあきらめるとは思えないのですよ」
「あの上条当麻ですか??確かにそうですが、今のあのものは上条当麻じゃねえといってますが」
望みを捨てきれていない顔になるアニェーゼ。
それを見てくすりと笑うオルソラ。
「見てください、まだ魔術師たちは学生を殺していません。こちらも最小限の怪我で抑えられているようですね」
そうは言うが大怪我というものもいる。
しかし何故これだけの戦いで死人が出ないのか。
「どういうことなの・・・??」
目の前の惨劇の中、まだ誰一人死んでいないというまさかの展開。
けしてお互いに手を抜いていないわけではない。
どこからか攻撃が流れてきた、避けきれないと思ったが誰かに吹き飛ばされる。
誰かと見るとそこには。
「一方通行??」
「ああん??テメエにしなれるとクソガキたちに顔向けでキネエだろうガァ」
「まあ、ちょっとは感謝してあげるわよ」
「へー、あれだけのことでちょっとですカァ??」
「それよりもこの状況って一体・・・」
ふと上を見れば上条の姿をした上条(りゅうおう)がいる。
『どうするのが上条当麻・・・。そろそろ結論が出てもいい頃だとは思うが』
———最初からこうすればよかったのかな・・・。
『それは余にも分からぬ。しかし、誰かの言いなりでこの戦争が起きたのは間違いない』
———誰もが笑っていられた世界なんだ・・・。ここで終わらせるわけには行かないな。
『どうやらあちらでもまた立ち上がったようだな』
———この右手が変に光ってるのは・・・??
『どうやら無理やり神の力を持ち出したようだな。敵対する展開の神が今、この地に下りているのだ』
———俺達の敵のか・・・??
『余にとっては敵である天界の神。貴様にとってはまったくの無縁の存在よ』
———でも俺とお前がこうしているってことは・・・。
『馬鹿なりにも分かるのか??貴様は地上の神に等しい存在よ。人間であり、人間を超えた存在』
———くくりがわからねえ。
『人の脳で考えたところで定義づけるものなどない。神とは所詮人が届かぬ存在よ』
———神が定めた運命の黙示録に書かれたものは、いくらでも書き換えられるんだろ??どれでいて神には届かないのか??
『書き換えられることもすべて書かれているから神なのだ。ふとした行動一つで幾多にも分かれる・・・それが運命。残ったその運命がもしもの世界として形成される。それがパラレル』
———今回のゆがみの行き着く結果というのはそれらというか、黙示録そのものを・・・。
『破壊することにある。神なる存在のところに人の身で踏み込もうとしている愚か者が起こしたこと』
———なら・・・このまま変わってしまうという世界もあるってことか??
『・・・』
———ん??どうしたんだよ黙ったままなんて。
『くっくっくっく』
———なんだよ・・・そんな不気味な笑い方。
『喜べ上条当麻、書き換えられることなどありえぬぞ』
———まじか!?ならあっちの問題は何とかなるんだな・・・。よかった。
『だが、そうも喜んで入られぬぞ??』
———どういうことだって・・・まさか。
上条の考えてしまった最悪の終わり方。
それは上条(りゅうおう)が予知したものと寸分狂わないことだった。
それは彼らにとってはバッドエンドでしかない幻想。
今まさに目の前で行われている戦い。
彼らから死人が出ないのは、幻想殺しの力によって抑えられているからだ。
“この戦いで死人が出るという幻想を破壊する”
そう言って破壊した幻想。
しかし書き換えられると上条の力もまた上書きされてしまう。
そうなれば二通りの最後ままっている。
『科学側の勝利・・・そうなれば魔術側のほとんどは殺されるだろう。魔術師側の勝利・・・そうなれば科学側のほとんどは殺されるだろう。どちらにせよ、待っているものたちに不幸が訪れるのは必至だろうな』
———させるかよ・・・。
『・・・上条当麻』
———そんな悲しい幻想(バッドエンド)で終わらせてたまるかって!!ふざけるな!!
———俺を出せ・・・。お前に任せていてもただ傍観するつもりなんだろ??
『やはり、一心同体というのは時には厄介なものだな』
———まだこの手が役に立つなら・・・俺がこのふざけた幻想(最悪のバッドエンド)をぶち壊す!!


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