二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- とある魔術と科学の十字路
- 日時: 2010/10/13 02:24
- 名前: 泉 海斗 (ID: B240tmf4)
こんばんは??おはようございます??泉海斗です。
禁書についての作品を書いていましたが、データが吹っ飛び消えてしまうということで投稿ができなくなっていました。そこで今一度新しく書こうと思いこの作品を投稿します。皆様からのコメントが執筆の力になります。たくさんの閲覧・コメント待ってます。
それではとある魔術と科学の十字路をどうぞ!!
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第1章 朝のやり取り
ピピピっと目覚まし時計がなる。
「うーん」
この部屋の主である少年がうめき声を上げて起き上がる。しかし少年が眠っていた場所はなぜか風呂場だった。まだ眠いのか目が半開きである。特徴としてはファッション雑誌でも参考にしたのかツンツンヘアーである。身長は170の中であり、中肉中背の少年。彼の名は上条当麻。かつておきた第3次世界大戦を止めた陰の立役者である。しかしそれを知る者は少ない。まあ、彼にとっては誰も死ぬことなく集結したので自分の功績などどうでもよかった。上条は洗面所で顔を洗い、すっきりとした状態で居間へと移動する。そこにはやりかけの宿題の乗ったテーブル、本棚、テレビ等がある。さらに彼のものであるはずのベッドの上には銀髪の少女がすやすやと眠っていた。
「もう食べられない・・・むにゃむにゃ」
「まったくどんだけ食べる夢見てんだか・・・」
上条はあきれながらもほっとしている。彼は記憶喪失である。それも一昨年の夏休み前の記憶がまったくないのである。それは目の前で幸せそうに眠っている少女を悪しき鎖から救うためにとった代償であった。しかし少年はそれを知ってもけして彼女に文句を言わなかった。むしろそれだけで彼女を救えたのなら本望だと思っていた。他人のために自身を投げ出せるくらいの覚悟が彼は常に持っているのだ。今日から新学期。つまり上条当麻最後の高校生活が始まろうとしていたのだ。
「今日はさすがに遅刻できませんよね・・・」
遅刻したくてしているわけではなかった。彼の右手に宿る・・・そう皆には知られているが彼はそうではないと思っている幻想殺し(イマジンブレイカー)のせいで彼は不幸体質なのだった。今のところ何もおきていないが、逆に何もないことが彼を不安にさせていた。
宿題をさっさと終わらせようと座り込む。すでに炊飯器にはスイッチを入れているために適当な時間になったらおかずを作ろうとしていた。昨年は特に大きな事件に巻き込まれることなく過ごすことができた。まあ、魔術関係でいろんなところに飛ばされたことはあったがかつてほどの大きな事件ではなかった。そんなわけでいろんな国を回り、旅行できた。そのときいつもくっついてくるのが今眠っている少女である。彼女の名はインデックスといい、イギリス正教のシスターである。必要悪の教会(ネセサリウス)に所属している。それと同時に上条勢力という一部の者にしか知られていない組織に所属していた。上条勢力・・・それはけして合間見えることのない科学と魔術を扱う人々を合わせた組織だった。その名のとおり上条当麻がその組織のリーダーだった。彼にはまったくそんな組織があることをまだ自覚しているわけではないが、それを知る者たちからは恐れられていた。何とか終わらせ似かかる宿題。順調に進む宿題。これは何とかなると心中喜びに浸っていた。
「にゃー」
突然現れた猫。上条が住んでいる部屋で飼っている猫である。名前はスフィンクスといい、インデックスが拾ってきたのだった。すっかり子の家にいついて早3年。すっかり慣れてしまっていた。そんなスフィンクスが突然テーブルをジャンプでまたいだのだ。そしてテーブルにはコーヒーの入ったコップがあった。そして上条は不幸体質である。結果は自明だった。がっちゃーんっというコップが倒れる音がした。それと同時に。
「ぎゃああぁぁぁぁ!!俺の終了まじかの宿題がああぁぁぁ!!」
頭を抱えて嘆く上条。スフィンクスはしてやったりという顔である。まったく飼い主に申し訳ないという気持ちは持っていなかった。
「不幸だ・・・」
いつもの常套句が飛び出す。仕方なく見えるところをルーズリーフに写すことにした。謝れば担任も許してくれるだろうっとそう思う上条だった。何とか写し終えた上条は早速朝食を作ろうと冷蔵庫を開ける。しかしそこにあったのは調味料だけだった。確かにここにおいていたつくり置きのおかずがなくなっていた。
「なんで何もないんでせう??」
「おはよーとうま。お腹すいたー」
「インデックス・・・お前起きてからの最初の一言がそれなのか??それとお前ここにおいてあった物、どうした??」
「昨日の夜小腹が空いたから食べちゃった」
かわいく舌を出して言う。お前はペコちゃんかと突っ込みたかったがお腹の虫がそれをさえぎる。
「腹減った・・・」
仕方なくご飯だけのチャーハンを作ることとなった。インデックスは文句を言っていたが。
「あなたのせいでおかずがなくなってしまったのですから少しは申し訳ないと思いなさい!!」
「だったらもっと買いだめするべきかも。お金だったらたくさんあるでしょ??当麻だって学園都市からたくさんお金貰ってるし、私だってイギリスから貰ってるもん」
「いくら買いだめしてもあなたがすぐに食べてしまいますから困ってるのですよ。もう少し抑えることを覚えなさい」
「それは私にとって苦行かも」
「それでも少しは上条さんの家計を考えてくださいよ。食事以外にもいろんなことに使いたいだろ??インデックスだって欲しいものあるんだしさ」
「それもそうかも。また新しいマンが欲しいかも」
「だったら今日は入学式だけだからごごはどっかに遊びに行くか??」
「行きたいかも!!」
上条の提案に身を乗り出して賛成するインデックス。帰ってくるまでおとなしくしているようにと言い残し、上条は高校へと向かった。
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- Re: とある魔術と科学の十字路 ( No.60 )
- 日時: 2010/11/16 02:19
- 名前: 泉 海斗 (ID: B240tmf4)
上条が沈黙を破って言う。
ほかに何かできることはと考えたが、まさか子と広々とした雪野原を詮索するわけにも行かないと思い、上条の提案を呑むことにした。
雪はそれほど積もっていることはなく、足がぬかるむことはなかった。
それにステイルの炎で、一気に進む道ができたために、楽に進むことができた。
歩いている最中も回りに警戒しながらの進行だった。
何事もなく、扉の前につくことができた。
「こんなでかい扉どうするのよ」
人の力では到底開かないだろうという扉を前に美琴が言う。
確かにと、ためしにアックアが扉を押してみるも、なにやら細工されているようで、びくともしなかった。
「細工だったらおそらく魔術だろう。当麻、お前なら何とかなるんじゃないか??」
京介の言葉に頷く上条は右手を扉に触れさせてみた。
バギンっという音とともに、大きな扉は跡形もなく、霧散した。
何とか抜けることができ、奥へと進む。
そこには雪などはまったく積もっていない、まるで春の庭園という状態であった。
色とりどりの花が植えられており、小鳥など、動物たちも生息していた。
まさかのこの光景に呆気に採られる上条たち。
こんなことがあっても言いのだろうかと思わず思ってしまう。
「ようこそ、みなさん。我が要塞、アトランティスへ」
二階の窓から顔を出した佑介。
白いタキシード姿、瞳はいつもの状態で、竜王の瞳ではなかった。
「佑介兄さん、今日は兄さんのやることを止めにきた」
一歩前に出た京介が叫ぶ。
それを聞いてぽかんとしている佑介だったが、すぐに笑みを浮かべて言う。
「京介・・・君の考えはすぐに変わる。こんなふざけた世界(げんそう)はいらないんだ」
手を大きく広げて言う佑介。
上を見れば白い羽を生やした天使たちが飛んでいる。
まさかのことに唖然とするしかない上条たち。
すばらしい自然、動物たち、天使、何一つ不自由のないこの要塞・・・まさに楽園だった。
「今から新世界の楽園に誘ってあげるよ京介・・・そして聞いてるよね??飛鳥ネエ」
ドクンと大きく心臓が跳ねたのが分かった。
否、心が。
心の半分は飛鳥のものであるために、佑介の言葉に反応したのだろう。
しかし出てこようとする飛鳥を必死で押さえ込む京介。
まだだ・・・まだあの力は使えないと必死で飛鳥の叫んでくる言葉を押しとどめる。
京介はこの戦いに命をかけるつもりであった。
元はといえば自分たち兄弟が起こしてしまった問題。
であるから自分たちが解決しないでは意味がなかった。
魔道書を消滅させるのは任せるほかないが、佑介の野望(げんそう)を止めるには自分しかないと思っていた。
「ふざけるな!!」
上条が佑介をにらみつけながら叫ぶ。
それを見た佑介は一気に歪んだ笑みを作る。
「何がふざけるなだ・・・。俺達の苦しみを知らない・・・ただの能力者が」
笑みを作っているが、思いっきり見下したような眼をしながらいう。
そして着ていたマントを翻して中へと戻っていく。
待てと上条が叫ぶがまったく戻ってくる気配はなかった。
それと同時に中へと続く、扉が開けられたのだ。
まるで追ってこいとでも言うかのように。
「終わらせてやる・・・」
そう呟き、走り出そうとする京介。
しかしがちっと誰かに肩をつかまれた。
- Re: とある魔術と科学の十字路 ( No.61 )
- 日時: 2010/11/17 06:55
- 名前: 泉 海斗 (ID: B240tmf4)
なんだと思いながら振り向くと、愛華が京介の肩をつかんでいたのだ。
「1人先走らないの。戦っているのは京介だけじゃないんだから」
「だがこれは俺達兄弟がまいた種だ。俺達が解決しなきゃ意味がない」
「誰が全部やれっツッテンダヨ・・・三下がァ」
いらいらしながら言うのは一方通行だった。
打ち止めはつれてくるのは危険だと判断し、学園都市に先に返しておいたのだった。
「確かに僕たちは君に協力するなんて一言も言ってないんだよね」
ステイルがタバコを吸いながら言ってくる。
彼らは魔術的な問題を処理する組織・・・必要悪の教会であるために、魔術師でもある佑介の世界的ゆがみの発生を食い止めるのが今回の任務だった。
「僕たちは僕たちで勝手にやらせてもらうさ。君の家庭問題なんて眼中にないのさ」
そうぶっきらぼうに言っているが、裏を返せばお互いの目的は同じだということで共闘するということになる。
やり方に多少の違いはあるかもしれないが。
「1人で抱えることなんてないんだぜ??何かあったら俺達に頼れよ」
「そうよ、あんただけ先走ってとんでもないことになったらこっちだって困るんだから」
上条と美琴も協力するといってくれる。
たくさんの人たちが自分に協力してくれる。
これは自分たちがまいた種だというのに何故こんなにも馬鹿なことに付き合ってくれるのだろうかと思う。
「簡単なことだ、俺達は俺達の世界を守りたい。ただそれだけだ」
簡単なことだと上条は言う。
そうだとようやく気がついた。
京介はこの世界が好きだ。
同じくらい彼らもこの自分たちが居る世界がすきなのだ。
大切に思っているのだ。
「京介・・・あなたは1人じゃないんだから。もっとみんなに頼らなきゃ。いつまでもお姉さんに心配かけてちゃだめなんだよ??」
京介自身は知らないが、いつも任務において傷ついたとき、心の中で行き続ける飛鳥は自分のことのように心配していたのだ。
それは気を失っている間、人格を現し、愛華と会話しているからだ。
たくさんのことを聞き、話した。
自分が彼の記憶に枷をはめたこと。それが光の書と出会うことで外れるということ。だからあの時愛華は必死になってとめようとした。結果は外れてしまったのだが・・・。
「こんな俺達兄弟の問題に首をつっこませたことは悪いと思っている・・・。でも、どうか力を貸してほしい」
ようやく素直になった京介に、皆は笑顔で力強く頷いた。
要塞の天辺に居るだろう兄を睨みつけ、中へと走り出す。
「oscurità777(世界を創造し闇、人々の絶望を呑み込め)」
防御性に長けた右腕の部分が吹き飛び、闇が腕に現れる。
鈍い輝きを増していたことを、まだ誰も気づいていなかった。
暗い部屋にあるソファーに座りながら佑介は悠々とワインを飲んでいた。
目の前には魔術によって上条たちの姿がスクリーンに映し出されていた。
完全彼らの行動を監視していたのだ。
徐々に近づきつつあるのを感じ取っている。
右腕がうずくのを感じていたのだ。
光る粒子がふわふわと右腕の周りを浮遊している。
したから次々と爆発音やガラガラと建物が崩れる音が聞こえる。
「始まったか・・・せいぜい体力等を消費してくれたまえ」
にやりと笑いながらスクリーンを見つめる佑介。
そこには何やら黒い床から這い出てくる人型の何者かと戦っている上条たちだった。
いくら倒してもうじゃうじゃと床から這い出てくる。
まるで湧き上がる水のように・・・まるでゾンビのように・・・。
「禁術・・・冥界の亡者(リビングデット)たち。くっくっく、どこまで耐えられるかな??」
暗い部屋に、佑介の低い笑い声が静かに響いていた。
- Re: とある魔術と科学の十字路 ( No.62 )
- 日時: 2010/11/18 04:52
- 名前: 泉 海斗 (ID: B240tmf4)
おはようございます、泉海斗です。
次話投稿しますので。たくさんのコメント・閲覧待ってます!!
この作品の後のお話のタイトルが決まりました。
『とある魔術と科学のコンダクター(運命操者)です。こちらもお楽しみに!!
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上条たちは今まさに亡者たちと戦っていた。
いくら倒しても後ろからあふれ出してくる亡者。
どこかに術式があると思われたが、それを一向に見つけることができていない。
「七閃!!」
神裂の七天七刀から放たれる七本のワイヤーによる斬撃。
亡者たちのからだを細切れにしていく。
「ちっ!!まったく面倒なことになったな。ここは一気に片をつけたほうがよさそうだ」
そういうとステイルは壁一面にルーンを張り巡らせる。
それを手伝っていたのは天草式のメンバーたち。
わずかな空間で広大な行動範囲を作り出した。
「魔女狩りの王・イノケンティウス!!」
烈火の炎をほとばしらせ、亡者たちを燃やし、叩き潰していくイノケンティウス。
わずかにできた隙間。
空に浮かぶ城塞。
今にも空は漆黒の夜の世界に変わりつつあった。
先ほどまで押していたイノケンティウスの攻撃を食らっても崩れなくなってきた亡者たち。
後方で戦っているアニェーゼ部隊からも悲鳴が聞こえ始める。
どうやら本格的に亡者たちの不死の力が目覚め始めたことを予兆させた。
この機会を逃せばきっと二度と奥へとこれ以上は進めない。
京介も迷っていた。
こんなところで迷う必要はないはずなのに。
今まさに自分のために進むべき道を提供してくれた彼らを置いてなどできないと思ってしまった。
仕事になれば冷徹になれていたのに・・・。
彼らと過ごしてきた日々が、偽りの京介も、本物の京介も変え始めていた。
「何やってんのよあんた!!さっさと行きなさいよ!!」
コインがなくなり、超電磁砲(レールガン)を放てなくなった美琴は伝記のやりを放ったり、砂鉄の剣で亡者たちを切り倒していた。
「俺達のことなら心配いらねえ!!お前はとっとと兄弟げんかを終わらせて来い!!」
ライフルをぶっ放す浜面。
「三下の癖して俺の心配カァ??ふざけたこと抜かしてんじゃネェゾ!!さっさと行きやがれ眼ざわりダァ!!」
天使の羽を存分に使い、回りの被害などお構い無しに暴れる一方通行。
「貴殿は早く目的を果たすが良い。ここは我々に任せろ」
巨大メイスを聖人の力で振り回し、一気に亡者たちをなぎ払うアックア。
「君がいれば邪魔になるからさっさと行ってくれないかな??それについては君が解決しなきゃ意味ないんだろ??」
タバコをくわえながら、炎剣を振り、亡者を焼き切り、イノケンティウスを操って道を確保しているステイル。
「早く行こう!!京介」
腕を引っ張る愛華。
されるがままに皆が作ってくれた隙間をぬって走っていく。
後ろを振り向くとまだ皆が戦っていた。
通り過ぎると先ほどまであった道が一気に亡者たちに押しつぶされ、阻まれた。
もはや彼らに残されたのは先に進むという選択肢だけ。
今ここで何かを言っても彼らの努力を踏みにじることになる。
そう思った京介は唇をかみながらも心の中で言う。
“ありがとう”
黒紅色の炎を宿し、兄・佑介の待つ部屋へと急いだ。
- Re: とある魔術と科学の十字路 ( No.63 )
- 日時: 2010/11/19 07:00
- 名前: 泉 海斗 (ID: B240tmf4)
おはようございます、泉海斗です。
次話投稿しますので、コメント・評価待ってます!!
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「行ったか・・・」
「行っちゃったんだよ、当麻」
インデックスを庇いながら、自身も亡者たちと戦っていた上条。
しかし生身で戦うためか、やはり体力にも限界がある。
それは皆も同じで、魔術師も超能力者も同じだった。
ライフルはたま切れ、魔力は尽きつつあり、皆追い詰められていた。
冥界が開ききった今、そして彼らにとって無敵の時間帯である夜・・・。
なすすべなく追い詰められる。
次々と仲間たちを襲い始める亡者。
それを阻止しようと、無理やり力を発動させ、戦う神裂。
もはや腕に力も入らず、大太刀が持ち上がることなく虚しく弾き返される。
仲間たちが襲われ始めた。
悲鳴が上がり、次々と冥界へと引きずり込まれる。
それを阻止しようにも万力のような力には敵うはずがない。
無力感だけが浸透し始める。
「ぁァ、まだ死ぬわけにはいかネェ・・・」
あいつが待っていると誰にも聞こえない、小さな声で言う一方通行。
学園都市できっと今でも自分の帰りを待っていてくれているだろう、小さな少女。
泣きながら最後までついていくと駄々をこねた少女。
いつもはうっとうしいくらいじゃれてくるが、それはそれで嬉しかった。
そんな小さな彼女が愛おしかった。
今も自分はそんな彼女とつながっている。
この首にあるチョーカーがそれだ。
一万の妹たちを殺した彼を好きでいてくれるその少女。
チャラリと鳴るは一緒におそろいのものとしてせがまれて買った、ちょっと大人向けのペンダントだった。
中を開くとそこには笑顔の少女・・・打ち止め。
その隣で不器用な笑顔を作っている少年・・・一方通行。
2人でとった初めてのプリクラが張られていた。
そして裏にはアルファベットでUidimeと書かれていた。
学園にいる打ち止めの持つペンダントには一方通行の名前が刻まれているのだ。
生きて戻りたいと思った。
しかし。
もう充電の残りがスクねえ・・・と絶望的な状態だった。
切れてしまえば自身の力でたつこともできない。
杖をつけば立っていられても戦闘はできず、逃げもできない。
彼の心に冷たい闇が押し寄せていた。
- Re: とある魔術と科学の十字路 ( No.64 )
- 日時: 2010/11/20 07:09
- 名前: 泉 海斗 (ID: B240tmf4)
おはようございます、泉海斗です。
次話投稿しましたので、たくさんの閲覧・コメント待ってます。
この作品の執筆も大詰めを向かえ、いよいよクライマックスが近づいております。
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「女教皇(プリンエステス)!!早く逃げるのよな」
「こちらです!!手が空いているものは肩を貸してください!!」
道を作り、避難を開始している天草式。
彼らの形を借りて、もはや力尽きそうな神裂も避難を開始する。
皆を守れていないことへの悔しさからか、そんな色が表情に現れていた。
部隊も避難を開始する。
何とか間に合わせるかのように、イノケンティウスを操るステイルとメイスを振るうアックア、そして電気を放つ美琴。
3人で何とか時間稼ぎをしていた。
そんな間にも何人もの仲間が冥界へと連れ去られる。
悲鳴が耳にこびりつき、後悔を生む。
「何でだよ・・・」
拳を握り締め、悔しさのあまり、唇を噛み切る上条。
血が地面に落ちる。
「とうま・・・今は逃げなきゃだめだよ。いくらと馬の右手でも、あんな数まで増えた亡者は消せないんだよ・・・」
インデックスもまた悔しそうな表情だ。
今までの戦いで、こんなにも人が消えていったことはあっただろうか。
なかっただろう・・・。
だからこそ上条は悔しかった。
何故自分に力がないのだろう。
握り締めた拳に爪が食い込み、血が出る。
しかしその血が下に滴り落ちることはなかった。
『力がほしいか??』
みるみる血が上条の右腕を染めていく。
何だこれはと慌てる上条とインデックス。
燃えるような熱さとそれによる痛みを腕に感じ、表情が歪む。
「ぐああぁぁぁぁぁぁ!!」
「とうま!!」
見る見る腕が赤から黒へと変わる。
ブシャアアァァァっという音とともに、黒い何かが上条の右腕を覆う。
それを目の当たりにした皆は唖然とした表情。
得体の知れないものが上条の右腕の代わりとして現れる。
それだけではない、上条の背後にあるもの。
それを皆は知っていた。
2年前に第三次世界大戦を引き起こした、神の右席最強の右方フィアンマが所持していたもの・・・第3の腕。
またの名を・・・『竜王の爪(ドラゴン・クロー)』。
かつてインデックスを操るのに使われたそのものが今再び目の前に現れたのだ。
それも所持者はそのフィアンマを破った上条当麻。
そして彼の右腕はもはや、人のものではなかった。
それを知るは魔術師のみ。
一気に場が冷え上がる。
それは冥界が開いているときのものとは計り知れないもの。
『余を使いこなせるか??人の姿をなしている地上の神よ・・・』
上条の右腕の代わりに現れた異形のものがそう呟く。
まるでそれ単体で意識を持ち合わせているようだ。
いきなりのことに言葉が出ない上条。
しかし彼もまた、このものを知っていた。
かつて錬金術師と戦ったときに、右腕を切断されたとき現れたそれ。
ようやく震える口から出てきたかすれた声。
「竜王の顎(ドラゴン・アギト)・・・」
そして振り返るとそこにある、見覚えのある第3の腕。
「これって・・・フィアンマの。竜王の爪(ドラゴン・クロー)・・・」
絶望に打ちひしがれそうな彼らの前に現れたのは、竜王だった。
それがもたらすのは光か、はたまた更なる闇か・・・。
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