二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- とある魔術と科学の十字路
- 日時: 2010/10/13 02:24
- 名前: 泉 海斗 (ID: B240tmf4)
こんばんは??おはようございます??泉海斗です。
禁書についての作品を書いていましたが、データが吹っ飛び消えてしまうということで投稿ができなくなっていました。そこで今一度新しく書こうと思いこの作品を投稿します。皆様からのコメントが執筆の力になります。たくさんの閲覧・コメント待ってます。
それではとある魔術と科学の十字路をどうぞ!!
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第1章 朝のやり取り
ピピピっと目覚まし時計がなる。
「うーん」
この部屋の主である少年がうめき声を上げて起き上がる。しかし少年が眠っていた場所はなぜか風呂場だった。まだ眠いのか目が半開きである。特徴としてはファッション雑誌でも参考にしたのかツンツンヘアーである。身長は170の中であり、中肉中背の少年。彼の名は上条当麻。かつておきた第3次世界大戦を止めた陰の立役者である。しかしそれを知る者は少ない。まあ、彼にとっては誰も死ぬことなく集結したので自分の功績などどうでもよかった。上条は洗面所で顔を洗い、すっきりとした状態で居間へと移動する。そこにはやりかけの宿題の乗ったテーブル、本棚、テレビ等がある。さらに彼のものであるはずのベッドの上には銀髪の少女がすやすやと眠っていた。
「もう食べられない・・・むにゃむにゃ」
「まったくどんだけ食べる夢見てんだか・・・」
上条はあきれながらもほっとしている。彼は記憶喪失である。それも一昨年の夏休み前の記憶がまったくないのである。それは目の前で幸せそうに眠っている少女を悪しき鎖から救うためにとった代償であった。しかし少年はそれを知ってもけして彼女に文句を言わなかった。むしろそれだけで彼女を救えたのなら本望だと思っていた。他人のために自身を投げ出せるくらいの覚悟が彼は常に持っているのだ。今日から新学期。つまり上条当麻最後の高校生活が始まろうとしていたのだ。
「今日はさすがに遅刻できませんよね・・・」
遅刻したくてしているわけではなかった。彼の右手に宿る・・・そう皆には知られているが彼はそうではないと思っている幻想殺し(イマジンブレイカー)のせいで彼は不幸体質なのだった。今のところ何もおきていないが、逆に何もないことが彼を不安にさせていた。
宿題をさっさと終わらせようと座り込む。すでに炊飯器にはスイッチを入れているために適当な時間になったらおかずを作ろうとしていた。昨年は特に大きな事件に巻き込まれることなく過ごすことができた。まあ、魔術関係でいろんなところに飛ばされたことはあったがかつてほどの大きな事件ではなかった。そんなわけでいろんな国を回り、旅行できた。そのときいつもくっついてくるのが今眠っている少女である。彼女の名はインデックスといい、イギリス正教のシスターである。必要悪の教会(ネセサリウス)に所属している。それと同時に上条勢力という一部の者にしか知られていない組織に所属していた。上条勢力・・・それはけして合間見えることのない科学と魔術を扱う人々を合わせた組織だった。その名のとおり上条当麻がその組織のリーダーだった。彼にはまったくそんな組織があることをまだ自覚しているわけではないが、それを知る者たちからは恐れられていた。何とか終わらせ似かかる宿題。順調に進む宿題。これは何とかなると心中喜びに浸っていた。
「にゃー」
突然現れた猫。上条が住んでいる部屋で飼っている猫である。名前はスフィンクスといい、インデックスが拾ってきたのだった。すっかり子の家にいついて早3年。すっかり慣れてしまっていた。そんなスフィンクスが突然テーブルをジャンプでまたいだのだ。そしてテーブルにはコーヒーの入ったコップがあった。そして上条は不幸体質である。結果は自明だった。がっちゃーんっというコップが倒れる音がした。それと同時に。
「ぎゃああぁぁぁぁ!!俺の終了まじかの宿題がああぁぁぁ!!」
頭を抱えて嘆く上条。スフィンクスはしてやったりという顔である。まったく飼い主に申し訳ないという気持ちは持っていなかった。
「不幸だ・・・」
いつもの常套句が飛び出す。仕方なく見えるところをルーズリーフに写すことにした。謝れば担任も許してくれるだろうっとそう思う上条だった。何とか写し終えた上条は早速朝食を作ろうと冷蔵庫を開ける。しかしそこにあったのは調味料だけだった。確かにここにおいていたつくり置きのおかずがなくなっていた。
「なんで何もないんでせう??」
「おはよーとうま。お腹すいたー」
「インデックス・・・お前起きてからの最初の一言がそれなのか??それとお前ここにおいてあった物、どうした??」
「昨日の夜小腹が空いたから食べちゃった」
かわいく舌を出して言う。お前はペコちゃんかと突っ込みたかったがお腹の虫がそれをさえぎる。
「腹減った・・・」
仕方なくご飯だけのチャーハンを作ることとなった。インデックスは文句を言っていたが。
「あなたのせいでおかずがなくなってしまったのですから少しは申し訳ないと思いなさい!!」
「だったらもっと買いだめするべきかも。お金だったらたくさんあるでしょ??当麻だって学園都市からたくさんお金貰ってるし、私だってイギリスから貰ってるもん」
「いくら買いだめしてもあなたがすぐに食べてしまいますから困ってるのですよ。もう少し抑えることを覚えなさい」
「それは私にとって苦行かも」
「それでも少しは上条さんの家計を考えてくださいよ。食事以外にもいろんなことに使いたいだろ??インデックスだって欲しいものあるんだしさ」
「それもそうかも。また新しいマンが欲しいかも」
「だったら今日は入学式だけだからごごはどっかに遊びに行くか??」
「行きたいかも!!」
上条の提案に身を乗り出して賛成するインデックス。帰ってくるまでおとなしくしているようにと言い残し、上条は高校へと向かった。
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- Re: とある魔術と科学の十字路 ( No.50 )
- 日時: 2010/11/11 06:13
- 名前: 泉 海斗 (ID: B240tmf4)
おはようございます、泉海斗です。
とうとう投稿回数が50というくじりのいいところに来ました。(実際は51??かな)
これからも続きますのでコメント・評価お待ちしております。
平行して展開されております、とある魔術と科学の二重奏もお楽しみください。
時系列は革命を止めた後です。
それでは続きです。
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第17話 明かされる十字路の正体
そこにいたのはまったく瓜二つの京介の姿だった。
「あの人は・・・」
愛華には見覚えがあるようだった。しかしその姿を見た藍かは震えが止まらなかった。
あのときの光景。
彼がしてきた悪逆非道なさまざまな行い。
そしてそれの片腕として動いていた煉獄の執行人・・・それが京介だということを彼女は知っていた。
しかし京介自身はまったくそのことを知らない。
その理由は彼女がよく知っていた。
だが今は言うときではない。明らかに京介の表情に異変が起きていた。
「なんだ・・・これ??」
頭の中に入り込んでくる莫大な量の情報。それに移るのは二人の京介・・・否片割れはきっと目の前で自分の拳を握っている男に違いないと思った。
頭の情報がなにかの形を作っていく。
見る見る出来上がっていくそれは・・・カギだった。
そして己の中の奥底にある扉の鍵穴にそれがカチリと当てはまり、開けられる。
「あああぁぁっぁァァァぁっぁぁぁぁっぁっぁぁぁぁぁっぁ!!」
扉の奥から幾多もの闇が押し寄せる。闇が教えてくれる。自分の知らない・・・否追いやった小さい頃の記憶を・・・。
それは今から15年も前のことだった。
イギリスのとある家には両親に3人の子供がいた。
そのうち双子の男の子と、その2人の姉。
いつも広い庭で遊ぶ三人を両親は笑顔で見つめていた。
そんな普通の家庭のように見えていた。しかしそこの父親はとある科学者で、己の実験があまりにも無謀だということを承知で行ったことで学園都市を追い出された者だった。その実験でたくさんの子供たちが植物状態となった。
そして母親のほうもまた、魔術界から追われている身だった。
奥の書斎に保管されている二冊の魔道書。それらは魔術界でも危険視されている魔道書であった。
かつてはローマのバチカン展示館の奥に厳重に保管されていたが彼女がセキュリティを掻い潜って盗み出したのだった。
ただ己の野望のために・・・。
楽しい兄弟たちの時間は唐突な実験によってはかなくも崩れ去ったのだった。
「いやあああぁぁぁぁぁぁ!!」
地下室から響きがもれてくる。今姉が地下室で両親に何をされているのか。小さな双子には分からなかった。
ただ分かるのは姉がとても苦しんでいるということ。
姉の次は自分たちだということだった。
何でこんなことされなきゃいけないの??というのが小さな彼らの当たり前のように持つ疑問だった。
朝になるといつものようにある家庭。しかしいつもと違っているのは姉がぐったりと疲れた表情でいることだった。
「早く食べなさいね」
母親に言われるがままに朝食をとる。そして学校へと向かって行くのだった。
父親は日本人、母親はイギリス人。それぞれ科学者と魔術師という裏の顔があった。彼らはお互いに終われる立場どうし引かれあい、そしてお互いの野望が似通っていたために結婚することとなった。
その野望こそ『十字路』だった。
「ねえ、お兄ちゃん・・・。お姉ちゃんの声で眠れないよ・・・」
幼い京介には姉の苦しむ声に耐えられる精神力がなかった。兄もまたそれに苦しんでいた。まるでそれに慣れておけとも行っているみたいだった。
日に日に姉の様子が変わっていった。元気がなく、呼びかけても反応が遅くなってきた。
さらに火が進むと、とうとう起き上がることができなくなった。さらに手足も動かせず、寝たきりとなってしまった。
「お姉ちゃん・・・」
大好きだった姉がもう一緒に遊んでくれない。そう親に言われた。京介が見てもかつての姉の面影は少なくなっていた。
げっそりとやせ細った頬に、色が失われたかつての艶のある髪・・・。
血の気も薄く、青ざめた表情だった。
ドアが開かれ、両親が姉を負ぶって地下室へと向かっていく。やめてと叫ぶも父親の力に勝てるはずもなく、壁まで吹き飛ばされる。
そして再び寝静まる頃に、搾り出したかのような姉の叫び声。もはや京介の精神は限界だった。
それからしばらくは1人で遊ぶようになっていた。ある日川辺で寝転んでいると。
「ねえねえ、何してるの??」
- Re: とある魔術と科学の十字路 ( No.51 )
- 日時: 2010/11/11 06:13
- 名前: 泉 海斗 (ID: B240tmf4)
上から女の子の声が聞こえた。ふと見るとそこには京介と同じくらいの年の女の子がいた。どう見てみ西洋人ではなく、東洋人だった。京介も父親の影響が大きく、東洋人ぽいが。
「私霧崎愛華って言うの。日本人だよ」
どうやら両親の都合でここイギリスに来ているようだった。実際に聞いたわけではないが、それしかないだろうとかつては思っていた。
「俺は神代・アルベルト・京介。変な名前になってるけどな。ハーフなんだ」
苦笑いをしながら話す京介。それから2人は色々なことを話した。どうやら愛華は世界中を回っているらしく、京介にそこで見てきたさまざまなことを教えてくれた。楽しそうに話してくれる藍か、それを聞くのが楽しみになっていた京介。二人はいつも川原で待ち合わせてそこでいろんな話をした。
しかしそんな楽しい時間もすぐに終わりを告げた。
立った一言で脆くも崩れたのだ。
姉が死んだから次はお前たちだ。そう聞かされ、夜手を引っ張られて兄とともにかつて姉が連れてこられた地下室につれてこられた。
からだを固定されて、動けない。
そこにはたくさんの本やら、機械、薬品があった。
おびえる目で周りを見、そして両親を見る。なにやら話し込んでいるようだが、すぐに実験が始められた。
すぐに姉が悲鳴を上げていた理由が分かった。薬品を投与され、機会をつけられ、脳に直接何かを流し込んできた。それは莫大な量の情報であり、到底彼らが処理できる量ではなかった。気絶せずに終えられたのは薬による効果だろうと思った。
一体何を流し込まれたのだろうか。得体の知れないものだということだけは感じ取っていた。心の中にどす黒い生き物が住み着いているのを感じていた。
それから連日連夜それが続けられた。そしてとうとう数ヶ月にも及ぶ実験が終了したのだった。
「成功だ・・・」
喜びに浸る父親・・・神代魔琴。
「成功ね・・・」
同じく満面の笑みを浮かべるクリス=アルベルト。
そして固定をはずされ崩れ落ちる双子の兄弟。瞳にはただ光と闇が映し出されているだけだった。
双子の右手は兄は金色に輝き、京介のほうは漆黒に輝いていた。
『光の書』『闇の書』。
二つで世界を終わらせ、そして創造する力がある危険な魔道書。
そんな危険なものがまだ齢3歳の子供に刻まれたのだ。
「さあ、お前たちの力で私達の望む世界を作り出してくれ」
「さあ、お前たちの力で私たちが嫌う世界を破壊しておくれ」
双子に向かって呼びかける両親。ついに念願がかなったということでまったくの無防備だった。
このとき双子にあったのはただの恨みだった。
なぜ姉を殺したの??なぜこんなに辛いことをするの??どうしてこんな悲しいことをするの??どうしてこんな痛い思いをさせるの??そればかりが双子の心を埋めていた。
「あはっはっはっはっはっはっは!!」
突如として笑い声を上げた兄。いきなりのことに呆けている両親。
「俺達にこんなことをしたのはそんなばかげた私欲のためだったのか・・・??」
ふらふらと立ち上がる兄。金色の輝きはさらに増す。近くにあった本などが光の粒子と変わって腕に集まっていく。
それを見た両親は歓喜とともに恐怖を感じていた。
この子は自分たち以上に最悪を起こそうとしている。そう感じ取った。
それは現実に起きた。
ふらふらと両親に近づくと母親のほうに右手で触れた。すると母親のからだが分解され、光の粒子へと変わっていく。
自分に起きていることに理解が追いつかず、ただ悲鳴を上げるだけだ。父親もやめろと叫ぶ。しかし粒子が爆発し、父親を吹き飛ばした。階段近くに転がった父親は、あまりの恐ろしさに悲鳴を上げて逃げていく。母親は助けてくれと遠くなる父親に向かって叫ぶが、それは叶わなかった。最後の一部分まで光へと変換された母親は恐怖が消えることなく、粒子へと代わり、右腕へと収まった。
兄が振り向くとそこにはまだ何が起きたのか分からないという顔の京介がいた。しかし超能力だろうか、京介の隣には炎の精霊、イフリートが立っていた。それと同化した闇をまとった右腕が、まるで煉獄の炎を持っているようだった。
その瞳には自分とは違って闇が映っていた。すべてを呑み込み、すべてを破壊する。それが闇・・・。
これからどうやって生きていくのか。それは双子だから言葉を話さずとも分かることだった。
「せっかく手に入れたこの力・・・使わない手はないだろう」
「そうだね・・・佑介兄さん」
階段を上り、外に出る。まるで違う世界に見えた。そう・・・自分たちは超能力と魔術を使うというこの世界の小さな欠陥(バグ)。
その欠陥が今後世界にどんな影響を及ぼすのか。まだ彼らは知る由もなかった。
「思い出した・・・俺は・・・相崎京介じゃない神代京介だ」
自分がどうして忘れていたのかは分からない。しかしこれですべて思い出した。自分がどうやって今の力を手に入れたのか、そして目の前の人物が誰なのか。
「あんたを兄だとは思いたくないが・・・久しぶりだな佑介兄さん」
にやりと笑った青年・・・神代佑介は京介の双子の兄だった。
- Re: とある魔術と科学の十字路 ( No.52 )
- 日時: 2010/11/12 06:19
- 名前: 泉 海斗 (ID: B240tmf4)
第18話 堕天使の力と竜王の瞳(ドラゴン・アイ)
街灯の上に立つ2人。佑介と京介。彼らが双子だったというのに驚きを隠せない上条たち。
「その眼・・・どこで手に入れたんだ??」
上条が見ると佑介の瞳に見覚えがあった。それは上級魔術師だったら理解できるものでもあった。
「竜王の・・・瞳(ドラゴン・アイ)」
にやりと笑う佑介。拳を話すと回し蹴りを繰り出し、それが横っ腹に受けた京介は吹き飛ぶ。
聖堂の壁を突きぬけ、中まで吹き飛ばされる。あわててシスターたちがそこへと走って向かう。
敵の登場にそれぞれ武器を構える。聖人や上級魔術師、さらには超能力者が集まるここ。しかし佑介は相変わらず余裕だという表情。
「今日はちょっとした挨拶をしに来たんだよ。かわいい弟と・・・もう1人」
「だめ!!」
佑介に発言を聞いて愛華が叫ぶ。振り向くとそこにはあせりの色が見える愛華がいた。隣にいる美琴は彼女は何かを知っていると直感した。
そんな後ろで爆発音がする。そこには巨大な炎が巻き起こり、周りを飲み込んでいる。
「ごちゃごちゃ話をしていても彼はどうやら聞く耳は持っていないらしいよ」
背中に魔女狩りの王・・・イノケンティウスを従えたステイルがいた。
ガチャリという音がする方向には、フランジュベルを肩に担ぐ教皇代理の建宮率いる天草十字清教たち。
そんな彼らのトップに立つ女教皇(プリンエステス)七天七刀を構える神裂火織。
「貴殿たちとともに戦うのはこれで3度であるな」
巨大なメイスを肩に構え、聖痕(スティグマ)を発動させるアックア。
「カミヤン・・・これはやるしかなさそうだぜい??」
なにやら黒の折鶴を懐から取り出して言う土御門。上条も頷き、格闘スタイルの構えを取る。
「何が始まるかしらネェが。クソガキには手は出させネェゼェ??」
打ち止めを後ろに下がらせる一方通行は首のチョーカーにスイッチを入れる。
「御坂は心配要らないよってミサカはミサカはあなたが守ってくれるって信じてるって真実を言ってみる」
「当たり前だろうガァ。俺は学園都市最強ダァ」
「あんただけが超能力者ってわけじゃないのよ??私だって十分戦えるっての」
バチバチと電気をくりだす美琴。
「解答3、まずはあのものを排除します」
どこから取り出したのかかなづちやらバールなど凶器を取り出すサーシャ。
そうそうたる面子が集まるここ。さらに後ろにはローマ教皇に最大主教も控えている。
「まったく余計な邪魔が入りそうだな・・・。だったら少しじっとしていてもらおう」
その紅蓮の色に染まった瞳がなんなのかは分かるものの、どんな力を秘めているのか。かっと見開かれた瞳。一気に血のように染まる両目。
上条はからだに悪寒を感じた。嫌な感じがざわざわとからだを突き抜ける。
「なんだ??このざわざわとした感じは・・・」
まるで心の中を見られているかのような感じ。
にやりと笑う佑介。まさかと思ったときにはすでに遅かったのだ。
「人は誰も心に秘めている・・・喜び・悲しみ・怒り・憎しみまだまだたくさんの感情というものを。それから眼をそらしてもそれがなくなるわけではない。僕はそれが見える。そして・・・」
上条の頭の中に何かが流れ込んでくる。それは上条が知らない光景だった。しかし頭が覚えていなくても心が覚えている。白い修道服を着た少女がベランダの手すりに引っかかっている光景だ。
「インデックス・・・これが俺達の出会い??」
血だらけでインデックスが上条の部屋の前で倒れている、すぐに赤い髪をした男との戦い。その男がステイルだというのもすぐに分かった。
「俺達の出会いは最悪だったんだな・・・」
倒すとすぐ二個燃えの家に連れて行き、怪我が直ったあとはすぐに暴走した教会を止めるためにステイル神裂との共闘だった。そして暴走したインデックスに右手で触れ、それを止めた。しかし頭上から降り注ぐ、無数の羽を受け、上条は倒れた。
- Re: とある魔術と科学の十字路 ( No.53 )
- 日時: 2010/11/12 06:19
- 名前: 泉 海斗 (ID: B240tmf4)
「これが・・・原因だったのか」
ここまでなら上条が知らないことを知ることができただけでいいのだが、次に流れ込んできたのは上条のさらに小さい頃の光景だった。
「なんだよこれ・・・」
たくさんの子供に袋叩きにされている少年がいた。神は黒く、同じくツンツンヘアーだった。
その子を上条は知らない。しかしいつも鏡で見ている顔とそっくりであるのは感じていた。
いじめられているのは自分だということを知った。
「疫病神疫病神疫病神疫病神疫病神疫病神疫病神疫病神疫病神疫病神疫病神疫病神」
「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね」
心無い言葉がいじめられる上条に浴びせられる。
ぼろぼろの少年の瞳には光はなく、ただ虚空を見つめる虚ろなものだった。
今の自分とはかけ離れた状態だ。それから上条が転校したのは学園都市だった。そこは能力開発を専門とする学校でたくさんの友達に囲まれた上条がいた。そこでは自身の不幸には不幸だーなどと叫びながらもみんなと楽しむ彼がいた。
流れ込んできたのは上条が忘れていた記憶。心から引き出された思い出であった。
まずいと思った上条、何とか打ち消すことはできないかと頭に右手を乗せる。
バギンという何かが壊れる音とともに、流れが収まった。回りでは上条と同じく竜王の力で見たくない過去を見せられた仲間がいた。
その犯人の佑介はというと、ぐったりとしているシスターを蹴散らし、その近くにいた京介の頭をつかんで持ち上げる。
力を止めたのか、苦しんでいたものたちが解放される。
「やめて!!」
同じく解放されたばかりの愛華が叫ぶ。しかしにやりと悪魔の笑みを浮かべる佑介。
京介をつかむ右腕が金色に輝く。
それと呼応するかのように京介の右腕も黒く光り始める。
「まずいありけりね・・・」
ふらふらと上条の前に歩み出る最大主教ローラ=ステュアート。彼女も何かしらの過去を見せられて、疲れた表情をしている。
表情の見えない京介に異変が起きる。ボサボサの髪の毛がさらりと下に降り、荒々しい黒紅色の光が黒青色のものと変わる。そして拳を腹に打ち込みながら下から足を蹴り上げて佑介を吹っ飛ばす。見事な連続技に唖然としてみていることしかできない上条たち。
京介とは雰囲気の違う。
しかし佑介はその雰囲気を持った人物の名を知っている。
京介を一番心配し、いつもべったりでまるで自分が母親だと言わんばかりの過保護を見せていた人物。
その京介の体をのっとった人物がにやりと笑う。久しぶりに会ったことの喜びをかみ締めるとともに、変わってしまったことを悲しんでいるようだった。
「だから止めてって言ったのに・・・」
がっくりと膝をつく愛華。そんな彼女の方に手を置く美琴。
「一体何が起きてるんだにゃー??」
いきなり現れた敵。そして見せ付けられた己の過去。そして凶変した雰囲気の京介。変化が早すぎてほとんどついていけていないようだった。
しかし現れた京介の兄という佑介を倒さなければいけないのは分かっていた。自分たちに牙を向けた以上は無視できない。それに話によれば光と闇の書が交わることは世界の危機だというのも聞いていた。それをなんとしても阻止しなければいけなかった。
- Re: とある魔術と科学の十字路 ( No.54 )
- 日時: 2010/11/13 07:51
- 名前: 泉 海斗 (ID: B240tmf4)
「久しぶりね・・・佑介」
声色は京介だが口調は女性のそれだった。
しかし佑介はその口調の人物を知っている。だからそのものの名を呼ぶ。
「久しぶりだな・・・飛鳥ネエ」
にっこりと柔らかい笑みを作る。
昔から京介は姉に似ていたので笑みもそっくりだった。
いつも一緒にいる京介に嫉妬したときもあった。京介は自分とは違い、自分のできることの半分か悪いときは3分の1しかできなかった。できのいい兄とそうでない弟というレッテルを張られていた。
そんな弟とともに姉が死んだあとに実験を受けるときも、弟は色々といじられていた。からだの臓器を姉のものと変えたり、姉から取り除いていた記憶というのか、思い出というのか、そういうことができたのは母親が大魔術師だからだった。もともと使わない部分まで記憶に犯されるために激痛にさいなまれる弟。
悲鳴が耳にこびりついて離れなくなっていた。
実験成功後、母親を殺して、闇の世界へと足を踏み入れた2人。金色に光る右腕を操り完全殺人を成功させ、あらゆるミッションを成功させる。あらゆる物を駆逐し、飲み込み、破壊する。弟は破壊しかできない力を振るい、闇の世界の階段を上りあがっていた。どちらが上に立つかの競争もした。たいていは兄である自分がトップだったが、その下に幹部として弟を置いた。それから世界の闇の世界に自分たちの名を知らぬものはいなくなっていた。
そんな頂点に君臨していた自分の前から突如弟が忽然と姿を消した。
焦った。
焦って焦って焦って必死で探した。
たった1人の弟。
そしてとうとうイギリス国内のとある民宿で見つけた。しかし見つけたときにはすでに自分といた彼とは違っていた。
「どこ行ってたんだよ・・・探したんだぞ??」
ようやく会えた弟に近づく。しかし。
「もう京介にあんなことはさせられません」
弟の口から理解不能な言葉が発せられた。
「何を言ってるんだ京介・・・俺達はすごい力を持ってるんだぞ??それを使わなければ生きていけないんだ・・・。分かるだろ??」
必死でつなぎとめようとする。しかし弟は首を横に振る。なぜと思う。これまでたくさんの人を殺し、血をすすり、手を血に染め、財力と権力を奪い続けてきたのに、なぜこんなところで止めるというのだろうかと。
「まさか誰かにそそのかされたのか??兄さんについてくれば何も不自由はないんだぞ??」
「その邪まな考えを捨てることはできないの佑介??そんな考えをこれ以上京介に塗り付けないで」
かたくなに拒む京介。否京介に乗り移った何者かが拒んでいる。
「誰だお前・・・。京介から離れろ」
「それはできないわ・・・。京介と私はもう一つだから」
どういうことだと思った。弟と謎のものが一つだということ。まったく理解できない。
言葉でだめなら。
「力で追い出すまでだ・・・。これ以上俺の弟をいじられちゃあ困るんでね」
「佑介・・・あなたこそ京介をこれ以上おかしくしないで。この子はいつも泣いているわ」
意味が分からなかった。京介が泣いている??そんなことはありえないと思った。
金色に輝く右拳を構えて、ここが民宿だと忘れて殴りかかる。
しかし拳が京介に届くことはなかった。拳が届くところで止まっていた。否体が動かなかった。
よく見てみると。
「なんだこりゃ!!」
からだが氷付けにされていた。京介の右腕には黒青色の光がほとばしっていた。いつもとは違う光。
「なにものだお前!!」
その言葉に少し悲しそうな顔をする。
「忘れちゃったの・・・??佑介」
思い出せないあの頃の思い出・・・思い出したくないあの頃。
死と隣り合わせの今とは違い、激しい痛みを伴った毎日など、思い出したくもない。
「お姉ちゃんだよ??佑介は分かるよね」
まさかと思った。あの時弟の京介には姉の記憶など、知識とともに脳に無理やり両親が入れたのだ。それがこのような形となって現れているのかと驚きを隠せない。肉体を失った魂が別の魂の入っている器に入り込んでいる。
そんなことがあるはずがないといいたかったが、事実目の前でそのありえないことが起こっている。
もともと似ているところがあったが、魂が拒絶しあっているようすはない。
「何で飛鳥ネエがいまさらのこのこと出てきてるの??京介は俺の優秀な幹部だ。手放したくない」
「まだ分からないの??京介はこんな世界を望んでないの」
「死んだ飛鳥ネエに何が分かるんだ・・・。俺達が今日まで必死に生きてきたことを」
「分かるよ・・・」
「なに??」
隣にいたわけでもない姉に何を知られているのだろうか。
激しい怒りがわいてきた。
死んだものに何をとやかく言われる筋合いはない。
「分かったような口を利くんじゃねえよ!!死んだならとっとと出て行けよ!!そのからだは京介のものだ!!」
「アーっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!」
いきなり笑い始めた姉・・・が乗り移った京介。
寒いわけじゃないのにからだが震える。
止まれと言い聞かせても止まらない。
闇の世界に入った当初は平静を装っていても怖かったが、今は慣れきっていた。
しかしその時以上の恐ろしさを感じていた。
簡単に自分は殺される。
勝てない??ありえない言葉が頭をよぎる。しかしそれが頭から離れない。そしてそれが大きく膨張する。
金色の光がからだを包む。それを見た姉の表情に焦りが生まれる。何かを感じ取ったようだった。
光が広がりまわりのものを光の粒子へと変えていく。客の多くは悲鳴を上げて逃げ惑う。魔術のことはあまり公にされていないが、それでも知られていることはあった。
店員は止めるようにと佑介に近づこうとする。しかし飛鳥によって蹴り飛ばされる。
「見て分からないの??殺されに行くようなものよ!!」
悲鳴を上げて逃げ出す店員。
光が一つに集まりつつあった。それは小さいながら凶悪な存在を作り出す。
なぜ彼が知っているかは分からないが、このままではこちらがやばいと思う。
負けじと黒青色の光が増す。
まさに光と闇がぶつかり合う形だった。
目の前に現れたのは伝説でしか知られていない竜王。
「負けない・・・負けてたまるか!!俺は誰にも負けない!!」
「それを京介にも押し付けようって言うの??そんなことはさせない。それにあなたたちは一緒にいていい存在じゃないの」
「どういうことだ!!俺達はこれまでずっと一緒だった。一緒に生きてきたんだ。いまさらでてきたやつに言われる筋合いなんてない!!」
確かにそうだろうと飛鳥は思った。今までだって早く出てきたかった。しかしこれ以上の侵食をしなければいけないという罪悪感があった。しかし今はそんなことを考えている暇はないと思い、悪びを入れながら京介の心の半分をのっとった。半分は元の京介のもの、そしてもう半分は飛鳥のものとなっていた。
「あなたたちに埋め込まれたものはね・・・お母さんが盗んできた魔道書なの」
まさかという表情に変わる。それと同時に竜王の動きも鈍る。
「
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