二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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とある魔術と科学の十字路
日時: 2010/10/13 02:24
名前: 泉 海斗 (ID: B240tmf4)

こんばんは??おはようございます??泉海斗です。
禁書についての作品を書いていましたが、データが吹っ飛び消えてしまうということで投稿ができなくなっていました。そこで今一度新しく書こうと思いこの作品を投稿します。皆様からのコメントが執筆の力になります。たくさんの閲覧・コメント待ってます。
それではとある魔術と科学の十字路をどうぞ!!
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第1章 朝のやり取り
 ピピピっと目覚まし時計がなる。
「うーん」
この部屋の主である少年がうめき声を上げて起き上がる。しかし少年が眠っていた場所はなぜか風呂場だった。まだ眠いのか目が半開きである。特徴としてはファッション雑誌でも参考にしたのかツンツンヘアーである。身長は170の中であり、中肉中背の少年。彼の名は上条当麻。かつておきた第3次世界大戦を止めた陰の立役者である。しかしそれを知る者は少ない。まあ、彼にとっては誰も死ぬことなく集結したので自分の功績などどうでもよかった。上条は洗面所で顔を洗い、すっきりとした状態で居間へと移動する。そこにはやりかけの宿題の乗ったテーブル、本棚、テレビ等がある。さらに彼のものであるはずのベッドの上には銀髪の少女がすやすやと眠っていた。
「もう食べられない・・・むにゃむにゃ」
「まったくどんだけ食べる夢見てんだか・・・」
上条はあきれながらもほっとしている。彼は記憶喪失である。それも一昨年の夏休み前の記憶がまったくないのである。それは目の前で幸せそうに眠っている少女を悪しき鎖から救うためにとった代償であった。しかし少年はそれを知ってもけして彼女に文句を言わなかった。むしろそれだけで彼女を救えたのなら本望だと思っていた。他人のために自身を投げ出せるくらいの覚悟が彼は常に持っているのだ。今日から新学期。つまり上条当麻最後の高校生活が始まろうとしていたのだ。
「今日はさすがに遅刻できませんよね・・・」
遅刻したくてしているわけではなかった。彼の右手に宿る・・・そう皆には知られているが彼はそうではないと思っている幻想殺し(イマジンブレイカー)のせいで彼は不幸体質なのだった。今のところ何もおきていないが、逆に何もないことが彼を不安にさせていた。
宿題をさっさと終わらせようと座り込む。すでに炊飯器にはスイッチを入れているために適当な時間になったらおかずを作ろうとしていた。昨年は特に大きな事件に巻き込まれることなく過ごすことができた。まあ、魔術関係でいろんなところに飛ばされたことはあったがかつてほどの大きな事件ではなかった。そんなわけでいろんな国を回り、旅行できた。そのときいつもくっついてくるのが今眠っている少女である。彼女の名はインデックスといい、イギリス正教のシスターである。必要悪の教会(ネセサリウス)に所属している。それと同時に上条勢力という一部の者にしか知られていない組織に所属していた。上条勢力・・・それはけして合間見えることのない科学と魔術を扱う人々を合わせた組織だった。その名のとおり上条当麻がその組織のリーダーだった。彼にはまったくそんな組織があることをまだ自覚しているわけではないが、それを知る者たちからは恐れられていた。何とか終わらせ似かかる宿題。順調に進む宿題。これは何とかなると心中喜びに浸っていた。
「にゃー」
突然現れた猫。上条が住んでいる部屋で飼っている猫である。名前はスフィンクスといい、インデックスが拾ってきたのだった。すっかり子の家にいついて早3年。すっかり慣れてしまっていた。そんなスフィンクスが突然テーブルをジャンプでまたいだのだ。そしてテーブルにはコーヒーの入ったコップがあった。そして上条は不幸体質である。結果は自明だった。がっちゃーんっというコップが倒れる音がした。それと同時に。
「ぎゃああぁぁぁぁ!!俺の終了まじかの宿題がああぁぁぁ!!」
頭を抱えて嘆く上条。スフィンクスはしてやったりという顔である。まったく飼い主に申し訳ないという気持ちは持っていなかった。
「不幸だ・・・」
いつもの常套句が飛び出す。仕方なく見えるところをルーズリーフに写すことにした。謝れば担任も許してくれるだろうっとそう思う上条だった。何とか写し終えた上条は早速朝食を作ろうと冷蔵庫を開ける。しかしそこにあったのは調味料だけだった。確かにここにおいていたつくり置きのおかずがなくなっていた。
「なんで何もないんでせう??」
「おはよーとうま。お腹すいたー」
「インデックス・・・お前起きてからの最初の一言がそれなのか??それとお前ここにおいてあった物、どうした??」
「昨日の夜小腹が空いたから食べちゃった」
かわいく舌を出して言う。お前はペコちゃんかと突っ込みたかったがお腹の虫がそれをさえぎる。
「腹減った・・・」
仕方なくご飯だけのチャーハンを作ることとなった。インデックスは文句を言っていたが。
「あなたのせいでおかずがなくなってしまったのですから少しは申し訳ないと思いなさい!!」
「だったらもっと買いだめするべきかも。お金だったらたくさんあるでしょ??当麻だって学園都市からたくさんお金貰ってるし、私だってイギリスから貰ってるもん」
「いくら買いだめしてもあなたがすぐに食べてしまいますから困ってるのですよ。もう少し抑えることを覚えなさい」
「それは私にとって苦行かも」
「それでも少しは上条さんの家計を考えてくださいよ。食事以外にもいろんなことに使いたいだろ??インデックスだって欲しいものあるんだしさ」
「それもそうかも。また新しいマンが欲しいかも」
「だったら今日は入学式だけだからごごはどっかに遊びに行くか??」
「行きたいかも!!」
上条の提案に身を乗り出して賛成するインデックス。帰ってくるまでおとなしくしているようにと言い残し、上条は高校へと向かった。

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Re: とある魔術と科学の十字路 ( No.55 )
日時: 2010/11/13 07:51
名前: 泉 海斗 (ID: B240tmf4)

「バチカンから盗んできたね・・・この世の終わりと始まりをつづった魔道書。それぞれをあなたたちに埋め込んだの。本当はどっちも入れたかったんだろうね。でも私が死んだのはその結果・・・」
ようやく分かった。なぜ姉があんな状態で死んだのか。それは魔道書を受け止め切れなかったための結果だった。この世には完全記憶能力というものが存在するというが、そうでない人間が魔道書を読める量はせいぜい1冊が限度で、読めないものだっている。自分ならまだマシも、出来がそれほどよくなかった弟が受け止められたのは埋め込まれた姉の力のおかげだったのだ。
「その二冊が交わるとき・・・世界は終わり、新たな世界が生まれるの。そんなことをさせないために私はこうして出て着て京介を遠くに逃がそうとしたの。それに京介の記憶にも枷を埋め込んだわ」
「なんだと・・・」
「これからは二冊が近くならなければ記憶は戻らない。あなたのことも忘れているわ。そうしなければ発動しちゃうから」
竜王に再び動きがあった。口を大きく開け、青白い光が集まり始める。
伝説でしか知られていない。
“竜王の息吹(ドラゴン・ブレス)”
そんなものを受けると木っ端微塵に砕かれるだろう。しかし負けることはできなかった。
大切な弟たちを守るために。悲しい人生になんてさせないために。
「ここに現れ、われに力を与えたまえ。すべてを静止させ、永遠の眠りに誘うもの・・・フラウ(氷の精霊)!!」
右腕の光が激しくなる。飛鳥の周りだけではなく、民宿全体の空気が冷たくなる。床には氷が張り始める。
氷の世界。
すべての動きを奪い、眠りに誘う世界。
竜王のからだも凍り始める。まだ完全ではないのだろう。竜王を構成するもの・・・竜王の顎(アギト)・竜王の爪(クロー)・竜王の翼(ウィング)・竜王の足(フット)・竜王の眼(アイ)・竜王の皮膚(ボディー)。取り戻しているのはまだ目だけであった。おそらくほかに人間にそれどれ譲渡されているのだと飛鳥は思った。
しかしいずれは一つに集まるであろう竜王の力。
佑介のからだも凍り始める。
「俺を氷付けにしてどうする!!」
「どこか遠くに行ったとき、それから解放してあげる。それまでは我慢してね」
「ふざけ・・・るな・・・」
口が凍る。もはや意識もなくなってきていた。
最後に見たのは竜王から放たれたわずかな息吹。しかしそれも闇の力によって消し飛ぶ。竜王が完全に凍りつき、闇に飲み込まれる。
そして最後に生まれた感情・・・それは必ずこのふざけた世界を変えてみせるというものだった。
まず両親がそんな実験をしなければ自分たちはこんなに辛い思いはしなかった。姉が死ななければ自分たちはこんなに辛い思いはしなかった。こんな魔道書がなければこんなに辛い思いはしなかった。
「だから・・・俺はこの世界を変える」
悲しそうな顔をする姉を見つめたまま、意識を失った。
それから一体どれくらいの時間が過ぎただろうか。自分が目を覚ましたのはやはり氷が解け始めた民宿でだった。
そこにはすでに飛鳥と京介はいなかった。光を再び取り戻す右腕を床へと打ちつける。そこが粒子となって右腕に集まる。
絶対に奪ってみせる・・・『闇の書』を。そう決意したときだった。

Re: とある魔術と科学の十字路 ( No.56 )
日時: 2010/11/14 07:48
名前: 泉 海斗 (ID: B240tmf4)

「あれからずいぶんたったけど・・・たくましくなって」
しかし悲しそうな表情は変わらない。
考え方が変わっていないことに対するものだった。
「佑介・・・あなたから『光の書』を奪い・・・破壊してもらいます」
奪う・・・それは魔道書を持つ二人ができることだった。
しかし今回それをやるのは飛鳥ではなく自分だと思っていた。そしてこのふざけた世界(げんそう)を終わらせると考えていた。
「それはこっちがすることだ。俺達の望んでいた本当の世界(げんそう)を実現させようぜ。きっと京介もそれを望んでいる」
しかし佑介の前に立ちはだかる少年がいる。
その少年の右腕の前には無限の幻想などないに等しい。
それがどれだけ強固であっても幻想は所詮幻。
それを墓視する力を持つ少年が佑介の前にゆっくりと現れる。
「テメエ・・・何言ってんだ??」
ツンツンヘアーの少年が言う。彼だけではない。
彼の後ろにはたくさんの人々がいた。
彼とともにこの世界を守ろうとしているものたちが。
彼らにもそれぞれの世界がある。
それはかけがえのないものであり、この世界だったからこそ得られたものだ。
それをみすみす壊されてたまるかと思っていた。
それぞれの世界を守るために立ち上がったものたちと正面を切って対峙する。
「お前の都合(げんそう)で俺達の世界を壊されちゃ困るんだよ」
右拳を向けて宣言する。まるで目の前に見えない壁(げんそう)があるかのように・・・それを壊すかのように。
「ほら佑介、ここにいるみんなは『飛鳥ネエはちょっと黙っててくれないかな・・・』京介??」
侵食が進んでいた意識を取り戻しつつある京介。
人格を変わっていた彼が話を聞き、記憶を見てなにを思ったのだろうか。気なる飛鳥だがそれは京介の問題であり、魔道書を宿しているのは紛れもなく京介なのだ。
「分かった、また何かあったら交代するのよ『そんなことないだろけど』」
ガクリと頭を垂れる。おそらく人格が入れ替わったのだろうと思った。
そして再び髪の毛がいつものボサボサ間を取り戻す。青だった光が赤く燃え上がる。
「決着つけようぜ・・・佑介兄さん」

Re: とある魔術と科学の十字路 ( No.57 )
日時: 2010/11/15 07:11
名前: 泉 海斗 (ID: B240tmf4)

おはようぞざいます、泉海斗です。
次話投稿したいと思います。
コメント・閲覧待ってます。
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季節は冬。当たり前のように、現在上条たちが着ているロシアは極寒の真冬だった。
「さみー」
「寒いわね」
「アァン??そうか??」
「あなたは反射使ってるから大丈夫なんだよってミサカはミサカは反則技を使うあなたに文句を言ってみる」
一応は冬服にコートなど防寒対策をしているつもりではあったが、ロシアの厳しい寒さを完全に遮断することはできていなかった。
そんな中でも一方通行は時たま反射を使っては一人だけのうのうと平気な顔をしていた。
打ち止めはそれに対して文句を言うが、指令を出す前に寒さで己を守るので精一杯だった。
上条の幻想殺しもこの寒さという幻想をぶち壊すことはできないらしい。
手袋もすでにカチカチである。
震える中で美琴は2年前のことを思い出していた。

隣で自分以上に震えている少年はあの時自ら救いの手を拒み、そして命をかけて世界を救った。
そして決死の捜索も虚しく見つけることができず、彼女が奇跡的に見つけたのはゲコ太のストラップだけ。
あのときの絶望感は大きかった。
「お姉さま・・・」
同室の黒子も心配するくらいの落ち込みよう。
授業にもほとんど出ていなかった。
まあ、でていなくてもほとんど内容は頭に入っていたのだが・・・。
黒子を始め、親友の佐天や初春に協力を要請して、美琴を何とか外に連れ出すことには成功した。
「お姉さま・・・」
「御坂さん・・・」
「白井さん・・・御坂さん、ずっとこの状態なんですか??」
どこか虚空を見つめている美琴の姿を見て唖然としている佐天と初春。
どこにも明るい彼女はなく、学園都市第3位の姿はなかった。
注文したメニューにもまったく手をつけておらず。
飲み物もまったく変化がなかった。
「お姉さま・・・そんなに落ち込まないでくださいませ。まだあの殿方がなくなったとは決まってないのですわ」
白井がそういうものの、学園都市の調査隊もすでに引き上げていたのだった。
公にはされていないが、上条当麻が死亡したということが決定されていたのだった。
それが美琴に知られるのも時間の問題だろうと思っていた。
かつて機密事項をも読み取った彼女の力なら、学園都市最大機密事項の上条当麻の死をもハッキングする可能性は十分にありえたのだ。
「どこにいるの・・・??」
聞こえてくるのはそればかり。
どうしたものかとお手上げ状態だった。
レストランをでてからも色々なところを回った。
セブンスミスとでは私服コーナーで色々帰着したりもした。
「ここって・・・」
今はきれいになっているがかつて『グラビトン事件』が起きた場所だった。
「ああ、ここで私とあの子が御坂さんに助けてもらったんですよね」
「やっぱり御坂さんはすごいですよ。あの爆発をも吹き飛ばしちゃうんですからね」
佐天と初春はそんな美琴を褒める。
しかし事実を知る美琴はただそこを呆然と見て言うのだった。
「私じゃない・・・私がやったんじゃない・・・」
えっと思う佐天と初春。
「あの時もあいつが私たちを守ってくれたの・・・私はあの時コインを落としてどうしようもなかった」
「でもそんな時あいつが割って入って右手一本で私たちを守ってくれた・・・」
「たった右腕一本で・・・それしか取り柄がないのに・・・」
「まるでヒーローみたいに・・・」
ダンダン声が小さくなり、嗚咽も混じってくる。
泣かれては回りに迷惑になるかもしれないと思い、急いで美琴をつれて外へと急ぐ。
ついたところはとある公園だった。
しかしここもまた、美琴と上条の思い出の場所だった。
そう、あの自動販売機のある公園。
いつもここでばったり出くわし、喧嘩をふっかけたときもここだった。
それをはっと気づいた白井だったが遅かった。
ベンチに座り込み、とうとう泣き出してしまう美琴。
佐天と初春はそんな尊を慰めている。
「ここにいればまた来てくれるかな・・・??」
「あいつ・・・ひょっこり帰ってくるかな??」
きっと来るといいたかったがそれも淡い幻想だとしか三人は思えなかった。
すると後ろでがさがさと草が動いた。
くるりと振り向くと。
「お姉さまが・・・もう1人??ですの??にゃあああぁっぁぁぁぁっぁ!!」
突然美琴と瓜二つの少女が現れた白井は夢を見ているのではないかと思い、興奮に襲われる。
そんな壊れ始めた白井を止めようと初春たちはそっちへと向かう。
現れたのは御坂妹だったのだ。

Re: とある魔術と科学の十字路 ( No.58 )
日時: 2010/11/15 07:11
名前: 泉 海斗 (ID: B240tmf4)

しかし美琴のほうは彼女を見ようともしていない。
「お姉さまが落ち込むのは無理もないと御坂は素直に言います。しかしそれはミサカたちも同じですと御坂はお姉さまに真実を伝えます」
それを聞いた美琴はようやく御坂妹のほうを見た。
涙で眼は真っ赤になっていた。
しかし御坂妹もまた、夜どうし鳴き通したのかまぶたがはれていた。ぎゅっと上条に貰ったペンダントを握り締めて言う。
「これが切れていないということからミサカはまだあの人が生きていると確信しています」
「そうなの・・・??」
それに対してわずかな希望が灯った美琴は聞いてくる。それに対して頷く御坂妹。
「あの人は必死になって戦ってきました。それもお姉さまと周りの世界を守るためにとミサカはあのときのどこぞの御曹司に化けた魔術師とあの人が約束したのを思い出しながら言ってみます」
あの時顔を真っ赤にしながら聞いていた2人の会話。
今も鮮明に思い出せる。
あのときからだろうか・・・否その前からずっと彼は自分と周りの世界を守ってきていた。
自分は彼に何かしてあげられただろうか。
あげられていないではないかと心の中後悔する。
「ミサカは引き続き、ロシアにいる10777号との連絡を継続しますと、ミサカは希望を持って言います。そうやって何もしていないのはお姉さまだけではないですか??とミサカはそんな死んだようなお姉さまに活を入れます」
そういうと両手で頬をぱちんと叩いてきた。
久しぶりに感じた痛み。
なぜかすっきりできた。
なぜかしてやったぜという顔でいる御坂妹。きびすを返して帰っていく。どうやらまだ調整の身らしい。
それから美琴は死んでいた日を取り戻すかのようにはつらつとした生活をしていた。
「お姉さまぁぁ・・・良くぞ立ち直りましたわ。黒子は嬉しいですわァァァ!!」
「そうやって毎度くっついてくるなああぁァァ!!」
「ああぁぁっぁあ!!久しぶりのびりびりですわあぁぁあ!!」
黒焦げになった黒子をそのままに美琴はいつものように公園へと足を運んでいた。
なぜかここにいればひょっこり帰ってくるかと、そんな気がしていた。
どれくらいの日時が立っただろうか。冬が終わり、春が来た。学年が上がり、美琴もいよいよ高校へと進学を考えなくてはいけなくなった。
しかしもう行く高校は決まっていたのだ。
有名高校ではなく、上条が通っていた高校。
教師たちには反対されたが、頑として受け入れなかった。
両親も美琴の気持ちを尊重するといい、了承してくれた。
そして再び冬がやってきた。クリスマスということで多くの人たちは彼氏とデートなどと嬉しそうに寮を出て行く。
美琴はというと黒子たちと一緒に買い物やらレストランでの食事などを楽しんだ。
それからしばらく立った今、美琴は彼女たちと分かれて一人いつもの公園に来ていた。
雪がゆっくりと降ってくる。まさにホワイトクリスマスだった。
「寒い・・・」
一応はコートなどを着てきたが、手袋がないためにポケットに入れて何とかしのいでいたが、さすがに雪が降ってくるとそうもいかなかった。
手をさすって何とか暖める。
今頃あいつは何をしているだろうかと思う。
今みたいな冬にロシアで戦った第3次世界大戦。
たった一人でインデックスともう一人の魔術師を助けるために乗り込んだ上空要塞。
最強の魔術師に右腕一本で挑み・・・そして勝った。
しかし一身に多くの人の不幸を請け負った彼に訪れたのは・・・『死』だった。
そんなことはないと首を振ってそんな幻想を消そうとする。
しかし一度考えるとそれはなかなか消えない。
空を見上げるとあいつも見ているのだろうなと思えてくる。
顔に白い雪が触れ、そして解けていく。
溶けた水なのか、それとも・・・。
「あれ・・・??何で涙なんて・・・」
思わず涙を流していた。
止めようにもダムが崩壊したかのように流れ出てくる。
止めようにも止まらない涙。
会いたいと言う気持ちが湧き上がる。
それを表すかのように流れ出る涙。
後ろのほうから雪を踏む音が聞こえてきた。
ざっくっざっくとゆっくりとした歩調だ。
思わずゆっくりと振り向いてしまう。
帰ってきてくれたんだと期待してしまったからだ。
暗い向こうから人影が1つこちらに向かってきた。
背が意外と高いために男性なのかと思う。
次第にシルエットがはっきりとしてきた。
髪型はツンツンヘアー、学生服にマフラー、手袋と防寒対策は大丈夫なのかと思える格好。手には何やら袋を持っていた。
外灯に照らされたその人物の顔がはっきりと見えた。
思わず美琴は目を見開く。
そこにいる少年は久しぶりにあったかのように、手を軽く上げて挨拶してきた。
悲しみが一気に喜びに変わった。
「よお、御坂。久しぶりだな」
いつものように明るく話しかけてきた少年。
帰りをずっと待っていたその少年の名前を美琴は叫んだ。
「当麻!!」

Re: とある魔術と科学の十字路 ( No.59 )
日時: 2010/11/16 02:18
名前: 泉 海斗 (ID: B240tmf4)

「それにしてもまたここに戻ってくるとはな・・・。あの時は死ぬ思いだったぜ」
「はまづら、あの時はありがとうね」
「ああ、当たり前のことをしてまでだ」
顔を赤らめながらも嬉しそうな浜面。本当に助かってよかったと今でも思っている。
隣にいる彼女のためなら何でもできる。そう思っていた。
ここに来たのも滝壺の能力であるAIM探査能力とそれを感知し、浜面の千里眼を使い、正確な敵の位置・・・神代佑介のいる場所を割り出したのだった。
「こんなところに何を置きやがったんだあいつは」
なにやら防御性がさらに上がった戦闘服を着ている京介が言う。
同じ服装の愛華もいる。しかし佑介との再開後、まったくと言っていいほど京介は愛華と口を聞いていない。
それについては皆も不思議がっていた。
とうの愛華はその理由を知っているのか、話そうとはしないが、どこか悲しそうだった。
「それにしてもこうも寒いとタバコも吸えないな」
ため息をつきながら言うステイル。
「それにしてもあのものは一体何を考えてこんな極寒のロシアなどにわれわれを集めたのでしょうか??」
さすがの神裂も今回ばかりは防寒対策をしていた。
後ろには天草式のメンバーが控えている。
「しかしそんなにもそれらの書は危険なんですかね。私たちもあまり聞いたことのないものなのでよくわからねえですよ」
多くのシスターたちを率いるアニェーゼが尋ねる。
彼女たちがまだ生まれる前にもあまり解読されていなかった魔道書。
しかしそれでも分かっていたのは二つが合わさったときに大いなる災いが起きるということ。
世界の終焉と始まり・・・つまり神の力を行使できるということだった。
「佑介兄さんは・・・あの頃に戻りたいんだ」
「あの頃??」
京介の言葉に聞き返す上条。
戻りたいあの頃・・・それは強大三人で笑って遊んでいたあの頃。もう一度やり直したいのだ。あんな悲劇のないただ平和な日々を・・・兄は求めているのだと京介は思っている。
「だがそれは多くの人の世界を犠牲の上に成り立つことだ・・・そんなことで戻るくらいなら俺はこの世界を守る。飛鳥ネエもそれを願っている」
「俺達には俺達の世界がある。それを壊されるのは納得いかねえ」
「この世界だからこそ出会えたこともあるんだよ」
そうだなとインデックスを見て言う上条。もしかすると別の世界では自分たちは出会っていないかもしれない。今もインデックスはパートナーを変え、そして記憶を失い続けているかもしれない。それに今いる仲間たちとも会えなかったかもしれない。大変だったが、誰かのために戦ってきた日々を体験できなかったかもしれない。この世界だからこそできたこと、会えたこと、たくさんの思い出がある。
そんなすばらしい世界を個人の都合で壊されてたまるか。そう思う上条たち。
すると上空から声が降りてきた。
「ようこそ皆さん・・・天空要塞『アトランティス』へ!!」
上空を見るとそこには何やら光の粒子に乗った佑介がいた。
そして上条たちの足元がごごごっと大きく地鳴りしたと思ったら、突然盛り上がった。
否、上空へと飛び出したのだった。

第19話 天空要塞・アトランティス
上条たちの足場が大きく宙に浮き始める。
一体何が起きているのかすぐには理解できなかった。
徐々に地上と距離が離れ始める。
「これが・・・天空要塞『アトランティス』・・・」
かつてベツヘレムの星に乗った上条は、それと似たような感じをこれから感じ取っていた。
「あれが要塞なのかな??」
インデックスが指差す先には大きな城みたいなものが聳え立っていた。そこからは何やら不穏な感じがかもし出されている。
「こんな馬鹿でかいもの良く運べたのよな。たった一人でできるものかよ」
「そうですね、運ぶとしたら誰かしらが魔力を感じるだろうですし」
あまりのでかさにあきれる天草式メンバー、建宮と五和。しかし誰も魔力を感じていなかった。
つまりこれは。
「この場所で作り出された・・・としか考えられません」
神裂が言う。
そうだとしか考えられないと同じく思う魔術師たち。
何のことだかさっぱり理解できていない、上条と土御門を除く科学側の能力者たち。
上空に行くに従い、さらに気温が下がる。
一箇所にたたずんでいても、ドンドン体力を削られるだけだった。
「中にいかねえか??こんなところに居ても仕方がないしさ」


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