二次創作小説(紙ほか)
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 艶恋短編集 「艶がーる」
- 日時: 2019/07/30 21:33
- 名前: 徒花桜 (ID: 96w0qmMc)
はじめまして徒花桜といいます。小説は別のサイトをおかりして書かせていただいています。
ここでは幕末の時代に基づいた話を短く区切らせて書いていきます。
話の元になるのは艶がーるという話です。
簡単に艶がーるというものの説明をしていきます。
幕末を舞台にした女性向けのゲームでカメラで写した瞬間幕末にタイムスリップしてしまいそこで様々な幕末の志士たちと出会い恋をするというものです。
ここではタイムスリップしてしまうと言う話はなしにしてただ一人の少女の恋の話を書かせていただきます。物語の主人公はお団子屋の娘になります。
その恋の相手は幕末の志士。古高俊太郎と言う人になります。
ちなみにあくまでも作者の創作になりますので細かい間違いなどあったとしてもスルーをしてください。
- Re: 艶恋短編集 「艶がーる」 ( No.33 )
- 日時: 2019/07/13 15:18
- 名前: 徒花桜 (ID: 96w0qmMc)
「貴方より始まる物語」【第七話】
視点は慶喜より始まる。慶喜は藍屋の暖簾をくぐる。
「邪魔するよ」
「また来たんか。今は忙しいんや」
帰れしっしと追い払う仕草をされる。しかし調べたことを伝えなくてはならない。
負けてはいけない。ようやくわかったのだ。
「秋斉。枡屋君のことなんだけど・・・」
そういうと真顔になった秋斉はくるりと体を慶喜へ向けてくれた。
「あいつはただの商人ではない」
「大店の若旦那で太夫を呼び花代もいい。置屋にとっては良い客だよ」
「有栖川の宮の近従に古高という男がいるんだ。その男の顔が枡屋君にとてもよく似ている」
「つまりあんさんは枡屋はんと古高いわはる男が同一人物やいうん?」
「だとしてもおかしくなかろう。有栖川の宮の後ろに毛利家がいる・・・長州の間者である」
慶喜はそういえば雪花と枡屋君はどういう関係なのだろう。
「雪花は枡屋君と深い中なのかな」
「どういう意味や?」
- Re: 艶恋短編集 「艶がーる」 ( No.34 )
- 日時: 2019/07/13 20:22
- 名前: 徒花桜 (ID: 96w0qmMc)
扇子の陰で秋斉は笑っていた。冷気を感じた。俺は思わずびくっとなった。
『怖いんだけど』
素直ではない。
「つまりさ。もし・・・雪花が枡屋君と深いん中なら・・・」
慶喜の言葉は頭の隅に寄せていた。秋斉は枡屋ほどの色男なら必要な情報を得るため利用する。
落とすことなど朝飯前だ。だがそうであるならこちらにも利用価値がある。
この時2人は誤解をしていた。枡屋の本命は橘舞華だとは知らなかった。
秋斉の言葉を聞いた慶喜は信じられないという顔をした。
「おまえ正気か?」
「なにもたいしたことは考えてとりまへん。大事な商品どす。手折られたら困ります」
なぁと横目で慶喜を見る。
「長州の動きはあんさんかて気になりますやろ」
あまりなことを言う俺に言葉を失ったようだ。
「素性の知らん娘の一人が消えてもどうってころはないやろ。ここは島原や」
「そんな・・・ひどいことよく言える」
心など感情などとっくに捨てている。そう、あのふんわりとした娘がいなくなっとしても良心は痛むことない。
- Re: 艶恋短編集 「艶がーる」 ( No.35 )
- 日時: 2019/07/13 21:10
- 名前: 徒花桜 (ID: 96w0qmMc)
「秋・・・おまえにはそんなことできないよ。無理をすればお前自身が傷つくだけなんだ」
同じことを長月に言われたがどうでもいいこと。そう、全ては徳川のためだ。
慶喜はまだ気が付いていないのだと思った。秋斉の中にうまれつつあるものがなんであるか。
『俺は2人が幸せになることを祈っているよ』
そのために俺にできることをしようと覚悟を決める。そして置屋を後にした。
・・・・。
枡屋と雪花のいる座敷。雪花はそっとお酒をそそいでいく。
「枡屋さんにとって舞華ちゃんはどんな人ですか?」
うん?と流し目で見られた。自然と頬を赤くしていく。ぶしつけだっただろうか。
「すみません」
謝るとくすりと笑う。その仕草だけでとろけそうになる。いけない。我に返る。彼の目を見て居住まいを正す。
「そうやね。嘘のつけへん人どすね・・・だぁれにも優しい。舞華といると心が温かくなるんです」
優美な指先で酒を喉の奥に流し込む。からにしたのでまたそそぐ。
お膳を挟みそのような話をしていた。それほどに思われる彼女が羨ましい。
「そうや・・あんさんにも似てはる・・やからつい足を運んでしまうんやろか」
うっとりとさせる目をして腕を伸ばして手は頬をするりとなぞる。
- Re: 艶恋短編集 「艶がーる」 ( No.36 )
- 日時: 2019/07/14 14:34
- 名前: 徒花桜 (ID: 96w0qmMc)
もうよくわかっていた。この人は本心で口にしていないと。
私を甘やかすのはきっと訳があるのだ。誰に対してもこうする。
甘くとろかせて何かを探ろうとしていた。欲しいものが他にあるのだ。言葉たくみに操り思うがままに動かしていく。
その奥に光る眼差しはひどく冷めていた。しょせんは彼の戯れ。
『兄上さま。私はどうしたらよいのでしょう』
この人も複雑な事情を抱えているようですよ。
そっと息をついた。つねに警戒をしていて見た目ではわからないが気配をあちこちに飛ばしていた。
懐には刃物が入っているのだろう。腹の中を探り合うのは私にはできない。そんな芸当は無理だ。
「枡屋さん」
そう呼ぶと返事を返してくれた。声を潜めると耳を傾けてくれた。
「舞華ちゃんと友達になりました」
「よかった」
枡屋は妖艶に笑う。
「ですから舞華ちゃんにだけは嘘はなしにしてあげてくださいね」
一瞬瞳が揺れた。それを見てああ。この人は舞華のことだけは本当なのだとわかる。
「そう・・どすね」
こうして島原の夜はふけていく。
古高は動揺してしまう。痛いところをつかれた。古高は・・・瞳を揺らす。嘘だらけの己。
何が真実かわからない。その頃舞華に出会った。この出会いこそ運命だと思った。
- Re: 艶恋短編集 「艶がーる」 ( No.37 )
- 日時: 2019/07/15 18:32
- 名前: 徒花桜 (ID: 96w0qmMc)
「隠された願い」【第八話】
古高は裏の仕事の帰り癒しを求めて舞華と合う約束していた。
文でのやりとり団子屋の旦那に許しを得た。いつもの仕立て屋に来ていた。
遊び人のふりして女の持つ情報が欲しくて女のところに会いに行った。しつこい女だった。
きついおしろいのにおいと真っ赤な紅で腕にからんできた。うんざりしていた。
「こんにちは」
「いらっしゃいませ」
楓は丁寧に挨拶をして出迎えてくれた。そこにすでに到着していた舞華がふんわりと微笑みかけてくれる。不思議そうに首を傾げていた。
「どないしたん?」
いつもと同じようにしているはずなのに敏い彼女何かに気が付いたかもしれない。
「気になるんことあるんやったらいうて?」
ゆるりと口元をさせて舞華に話しかける。
「あの・・・」
ちらりと周りを気にしながら再び古高を見上げている。目を泳がしながらも口を開く。
「今日はいつもとお香が違いますね」
そう舞華の鼻をくすぐるのはいつもと違った。なんというか。沈香と何かがまじった香だったのだ。
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18