二次創作小説(紙ほか)
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- 艶恋短編集 「艶がーる」
- 日時: 2019/07/30 21:33
- 名前: 徒花桜 (ID: 96w0qmMc)
はじめまして徒花桜といいます。小説は別のサイトをおかりして書かせていただいています。
ここでは幕末の時代に基づいた話を短く区切らせて書いていきます。
話の元になるのは艶がーるという話です。
簡単に艶がーるというものの説明をしていきます。
幕末を舞台にした女性向けのゲームでカメラで写した瞬間幕末にタイムスリップしてしまいそこで様々な幕末の志士たちと出会い恋をするというものです。
ここではタイムスリップしてしまうと言う話はなしにしてただ一人の少女の恋の話を書かせていただきます。物語の主人公はお団子屋の娘になります。
その恋の相手は幕末の志士。古高俊太郎と言う人になります。
ちなみにあくまでも作者の創作になりますので細かい間違いなどあったとしてもスルーをしてください。
- Re: 艶恋短編集 「艶がーる」 ( No.78 )
- 日時: 2019/10/15 22:01
- 名前: 徒花桜 (ID: 96w0qmMc)
彼の両手を持ち上げると私は頬に押し当てる。両手で包み込まれるようにした。こうするとこの人の温もりが伝わる。
「ほら、こうしたら温かいでしょう」
目を閉じて彼は私に手をゆだねてくれる。お互いの温もりをわけあうように。
「ほんまや。あんさんの手も頬も温かい。わてはこの日を忘れまへん」
生きている証だといい腰を引き寄せられた。背中に片手を触れる。私は彼の胸に耳をあてる。
鼓動を確かに感じた。大丈夫。この人はまだ生きている。
「時が過ぎるのはあっという間ですね」
「そやね」
こののち短くても壮絶な人生を歩んでいくことになる。池田屋事件にと続いていくと知らず逢瀬を重ねていた。
「大嘘つきでろくでもない男など・・・捨ててくれはったらえいと思う」
「貴方はろくでもなくなんてない。そんな悲しいこと言わないで」
すぐに後ろ向きなことをいう古高を叱る。半端な気持ちでないと責めるように睨む。
- Re: 艶恋短編集 「艶がーる」 ( No.79 )
- 日時: 2019/10/15 22:16
- 名前: 徒花桜 (ID: 96w0qmMc)
「この紅葉も美しい・・・」
窓の外を眺めながらも古高は言う。舞華も彼と同じように外を見た。燃えるような真っ赤な紅葉がそこに存在していた。
「赤は命の色や・・・貴方を置いて先に死なないと約束しよう」
それさえ嘘になると知らず古高は口にしていた。まぎれもない本心だった。
そこにある紅葉のように舞華の頬染まる。本当は手をはなすべきかも知れない。
これ以上彼女を傷つける前に。
だけどあと少し、もう少しだけと願ってしまう。彼女の優しさに甘えていた。
「いつか地獄に落とされるんやろ」
深い悲しみを込めて語る古高は孤独であった。
- Re: 艶恋短編集 「艶がーる」 ( No.80 )
- 日時: 2019/12/09 14:14
- 名前: 徒花桜 (ID: 96w0qmMc)
「争うことなど誰も望んではいない」【第十七話】
それは誰もが望むことであったはず。しかし男たちの思想はすれ違っていく。
誰もが望むのはこの国の未来。女の子たちはとある場所にて集まる。
「ねぇ。あの人たち何者かな」
楓の素朴な質問だった。皆が楓に視線を集める。
「秋斉さんのこと?」
雪花が口にしたのは島原の楼主のこと。優美であるのにどこか人を寄せ付けない雰囲気があるおとこであった。
舞華はうーんとかわいらしく首を持ち上げている。
「島原の楼主さま・・にしてはどこかすきがないきがする」
紫衣もそれには気が付いていた。楓が采配をふる。声を低め目つきを鋭くさせる。
「彼はただの楼主にはありえないと思う」
妖艶に笑い扇子をひらひらさせ口元を隠す。目つきは冷たく鋭かった。
「そういえば・・・」
雪花が思い出したことがあった。皆が再び雪花を見てきた。
- Re: 艶恋短編集 「艶がーる」 ( No.81 )
- 日時: 2019/12/11 13:15
- 名前: 徒花桜 (ID: 96w0qmMc)
「実は秋斉さんの背中見たことがあって」
えっ?いつの間にそう言う関係になったの私は雪花ちゃんをみた。楓ちゃんたちも同じだったみたい
「あ。ちがっ。そう言う意味じゃなくて偶然みてしまったのよ」
慌てて言い訳をしていた。雪花は羞恥真っ赤になっていた。
その時のことを詳しく話してくれた。でも楼主の部屋に入ることは許されているのね。
声をかけても返事がなくてだから心配で襖を開けてしまった。
どうやら着替えの途中だったらしい。背中が視界にうつり動くことができなかった。じとりと睨まれる。
「のぞきの趣味があったんか」
痛烈な皮肉を言われた。慌てて襖を閉めてその場を去っていった。
「見た目は細いのに腕や背中はしっかりしていたような」
「そこが不思議だね」
楓は思案に暮れる時片方の目を閉じる。
「刀をふるう必要があるのかね」
その体つきは武士のようだ。もしや彼らもまた偽りの姿を演じているのではないか。
「ということは枡屋さんもなのね」
楓の鋭い目つきは私に突き刺さる。ねぇ。どこまで見抜いているの。彼のこと。聞きたくても怖くて聞けない。
「彼はただの商人ではない」
その声は確信だった。私はもう、なんとなく気が付いていた。だけどそれをいうことが怖い。
あの人は命をかけてこの時を駆け抜けていた。そんな志士の一人だった。
- Re: 艶恋短編集 「艶がーる」 ( No.82 )
- 日時: 2019/12/19 18:59
- 名前: 徒花桜 (ID: 96w0qmMc)
楓はうっとりと語る。大久保の着替えをみたことがある。
「それにしてもいい体だった」
肉体美というものだ。皆気が付き始めている。ただものではないと。自分たちと同じように嘘をついていると確信した。
「そういえば佐伯さんも武士だよね」
「うん。間違いないと思う」
彼らにもやらなくてはならないことがある。
「私はね。これからも助けを求めている人がいれば助ける」
楓が言うと皆も同じ意見だとこくり頷く。
「私も。秋斉さんが何者だろうとかまわないの。慶喜さんのことで助けられることあれば助けたいの」
「そうよ。私も同じ・・枡屋さんが何者だろうとかまわないの」
改めてここに誓う。討幕、幕府、そんなこと関係ないのだ。楓たちは強い眼をしていた。
舞華としては枡屋とその仲間を見殺しにはできないただそれだけだった。
しかし楓たちはその上を考えているように見える。運命が少しづつ別れ始めていた。
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