二次創作小説(紙ほか)
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 艶恋短編集 「艶がーる」
- 日時: 2019/07/30 21:33
- 名前: 徒花桜 (ID: 96w0qmMc)
はじめまして徒花桜といいます。小説は別のサイトをおかりして書かせていただいています。
ここでは幕末の時代に基づいた話を短く区切らせて書いていきます。
話の元になるのは艶がーるという話です。
簡単に艶がーるというものの説明をしていきます。
幕末を舞台にした女性向けのゲームでカメラで写した瞬間幕末にタイムスリップしてしまいそこで様々な幕末の志士たちと出会い恋をするというものです。
ここではタイムスリップしてしまうと言う話はなしにしてただ一人の少女の恋の話を書かせていただきます。物語の主人公はお団子屋の娘になります。
その恋の相手は幕末の志士。古高俊太郎と言う人になります。
ちなみにあくまでも作者の創作になりますので細かい間違いなどあったとしてもスルーをしてください。
- Re: 艶恋短編集 「艶がーる」 ( No.43 )
- 日時: 2019/07/19 12:53
- 名前: 徒花桜 (ID: 96w0qmMc)
彼女は何もわかっていない。男と言うものを。独占力だろうか。
このこは俺だけのものだというつもりか。どうかしている。偽りだらけのこの俺が。
「そうやったらわてがあんさんに贈り物します」
にっこりという。少しばかり念が込められていた。彼女はこくりと頷いた。
・・・・。
青年が通りを歩いていると彼女を見つけた。思わず声をかけようとした。その時商人風の男がいるのに気が付く。
「いつもありがとうございます」
彼女は丁寧にお辞儀をして笑顔を向けてくれる。しかし気になるのは背の高い男の存在だった。
「紹介します。枡屋さんです」
大店の若旦那だと教えられる。
「どうも・・・えっと俺は・・」
「知っとります。尚五郎はんどすね」
- Re: 艶恋短編集 「艶がーる」 ( No.44 )
- 日時: 2019/07/22 13:48
- 名前: 徒花桜 (ID: 96w0qmMc)
唇の端は持ち上げられているが視線は冷たい。もしかして俺の気持ちに気がついているのか。
俺とその男の間で火花が散る。
「これから船に乗って涼みに行こうと話をしていたところでした。一緒に行きませんか?」
「え?」
「は?」
俺と枡屋の声が揃った。彼女はにこにこしている。
「だめですか?」
しゅんとうなだれて俺たちを上目遣いでみてくる。可愛い。
「あ・・・でも・・俺は・・」
流石に気が付く。逢瀬のさなかだということに。ちらと正面に立つ男を見る。目を泳がせていた。
「わてはかまいまへん」
と言い微笑んでいいるがどことなく空気が冷たい。本当はかまうのではないのか。
「それではいきましょう」
彼女はそんなこと気づかないようで俺と枡屋という男の腕を組んだ。
舞華ちゃんは間に右に俺と左に枡屋がいた。るんるんしながら歩き出してしまう。
やがてあきらめたようで枡屋は舞華には勝てないと言った。
・・・・。
小船に乗って風を感じていた。彼女の髪の毛には別の簪がさしてある。
「それは・・」
「はい。枡屋さんがくださったの」
といいながらも嬉しそうに微笑んだ。俺の考えなどお見通しなのだろう。
- Re: 艶恋短編集 「艶がーる」 ( No.45 )
- 日時: 2019/07/23 14:15
- 名前: 徒花桜 (ID: 96w0qmMc)
彼女は枡屋の髪についた緑の葉をとっている。
どうみても恋人同士のなれ合いにしか見えない。みせつけるように二人は寄り添う。
「舞華ちゃん」
名前を呼ぶ。俺を忘れていないか。むしろ帰るべきではないか。
そう、思い始めていた。そうでしたととあるものを差し出された。
「なんだろう」
「つくってみたのです」
手作りですか?感動した。次の瞬間首を傾げる。蓋の箱を開けた。
どう見てもお団子である。
「新作です」
試食係ですか?俺は・・。内心突っ込みを入れた。心では泣いていた。
さすがの枡屋も何かいいたそうにしていた。同情はよしてくれ。間違いなく彼女は善意なのだ。悪意さえない。
「いただきます」
彼女はにこにこしている。感想を待っている。
「おししい」
俺は笑顔でいいきった。心では泣いていた。これは意地だ。俺は彼女の笑顔を引き出した。
・・・・・。
おまけ。
「舞華。いくらなんでも・・・あれはだめだよ」
意味が分からないというように首を傾げる。その仕草は可愛い。古高は同じ男として同情する。
「あんさんは・・ほんまに鈍い」
小さな声でぼそりといった。本人は聞こえていない。無邪気にはしゃいでいた。
一時一時を大切にするように舞華は忘れないと胸に手を当てていた。
そう、同じ時間は二度とやってはこないのだから。
- Re: 艶恋短編集 「艶がーる」 ( No.46 )
- 日時: 2019/07/23 14:35
- 名前: 徒花桜 (ID: 96w0qmMc)
「未来を信じて今は進めだけ」【第十話】
桂小五郎の視点。
女の姿で京に潜伏するにもだいぶ慣れていた頃。
「ねぇさん。よっていかないか?」
若い男に声をかけられても軽くながせるくらいにはなっていた。
人と会う約束もしていた。そんな時見知った娘が目の前を歩いていた。
確か名前は紫衣という。
人見知りで話すのも苦手で仕立て屋の奥で仕事をしていたはず。近くに行き声をかける。
「こんにちは」
ぱっと振り返る。一度誰と怯えた顔をしてから私だとわかりほっとした。
桂の頭の中では常に計算している。仲間がよくそこに通っているのも知っている。
女のように声を変えてから話しかける。
「なにしてはるん?」
「えっと・・・」
彼女は目をあちこちに動かし答えを探している。わかりやすい娘だ。
「うちはこの先に用事があってな・・・一緒にいきまへんか」
- Re: 艶恋短編集 「艶がーる」 ( No.47 )
- 日時: 2019/07/23 18:56
- 名前: 徒花桜 (ID: 96w0qmMc)
声をかけたのには理由があった。
長州の仲間は皆仕立て屋の娘を気にかけている。それにだ。
男たちの視線が目に付く。本人は気が付いてはいないようだ。
「お店で使う糸がなくなってしまったのです」
話をしながら彼女の背中を押していく。
糸の売っている場所まで案内をして別れた。
「おねぇさんはこの京に住んでいる人ですか?」
「なんで?」
振り向き尋ねるとあっさり答える。
「あの店に来られる人は訳アリの人が多いですから」
鋭いことを言う。その時は適当に誤魔化して歩き出す。侮れないと思った。
ここまで鋭いことを言われたのは初めてだ。待ち合わせをしている男の元に向かう。
店の中には入らずに背中合わせにして座る。
「桂はん」
声をかけられた。その声は小さく唇は開いていない。誰にもきづかれていないだろう。
「へぇ」
枡屋は簡潔にこれまでのことを伝えてくる。最後に頼みごとをされた。
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18