二次創作小説(紙ほか)
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- 艶恋短編集 「艶がーる」
- 日時: 2019/07/30 21:33
- 名前: 徒花桜 (ID: 96w0qmMc)
はじめまして徒花桜といいます。小説は別のサイトをおかりして書かせていただいています。
ここでは幕末の時代に基づいた話を短く区切らせて書いていきます。
話の元になるのは艶がーるという話です。
簡単に艶がーるというものの説明をしていきます。
幕末を舞台にした女性向けのゲームでカメラで写した瞬間幕末にタイムスリップしてしまいそこで様々な幕末の志士たちと出会い恋をするというものです。
ここではタイムスリップしてしまうと言う話はなしにしてただ一人の少女の恋の話を書かせていただきます。物語の主人公はお団子屋の娘になります。
その恋の相手は幕末の志士。古高俊太郎と言う人になります。
ちなみにあくまでも作者の創作になりますので細かい間違いなどあったとしてもスルーをしてください。
- Re: 艶恋短編集 「艶がーる」 ( No.18 )
- 日時: 2019/07/07 14:47
- 名前: 徒花桜 (ID: 96w0qmMc)
誰が想像したのだろう。命をかけた恋をしてしまうなど。
舞華とて考えもしなかったに違いない。
それは世の中の裏側で息を潜めて生きてきた古高にとっても同じだった。
いつだって危険と隣り合わせで恋などしているひまさえない。
仮面を貼りつけて妖艶に笑って女たちを落としていた。いつも仮面の裏では冷めていた。
感情など捨てさり主のためこに国の未来のために全てをかけていた。舞華にあったのはそんな時だった。
いつまでこんなことを続けていけばいいのかと暗闇の中に落ちていた。
一筋の光ともったんだ。こんな感情が自分の中にもあったのかと思うほどだ。
舞華は寂しそうに笑う彼が気になっていた。ただそれだけだった。
私とはつり合いが取れないと思っていた。お父さんは店にやってくる男の人を追い払ってしまう。
桜の終わりにようやく許してもらった。仕立て屋さんの二階をかりた。
「ここは桜の眺めが最高なんです」
緊張しているとそう言い和ませてくれた。
「枡屋さん」
名前を呼ぶとこちらを見つめて甘い言葉をくれた。
「いいたいことがあるんならいうて?」
気が付くと私は泣いていた。
「どないしたん」
「なにもありません」
声に詰まる。その涙を優しく払ってくれた。
「嫌なら振り払って」
- Re: 艶恋短編集 「艶がーる」 ( No.19 )
- 日時: 2019/07/07 15:13
- 名前: 徒花桜 (ID: 96w0qmMc)
この人はなれているのだと思う。きっといろんな人と付き合ってきたのだろう。
なぐさめるしぐさも自然な仕草だった。頬を払い大人の色気があふれていた。
「わかりません。どこかに消えてしまいそうに見えました」
「わては消えたりしまへんよ」
蜜のように甘く私を甘やかす。心が見えなくて不安に感じる。たとえ何かを想っても飲み込んで何も聞かない。
「そうですね。おかしなことをいいました」
謝ると困ったように眉を下げる。
どうしたらいい?俺は貴方にどんどん惹かれていく。この気持ちが恋なのか。他の女たちとはあまりにも違いすぎた。
「なんでもない」とそう言い貴方は無理をして笑う。
嘘に嘘を重ね続けてきた罰だろうか。貴方とは俺と違う世界で生きている。
本当は聞きたいことがあるのだと思う。
「消えてしまいそう」
そう言い泣く貴方に何を言ってやればいいのか。結局誤魔化すしかなかった。
偽りだらけの俺は地獄に落ちていくだけだ。
- Re: 艶恋短編集 「艶がーる」 ( No.20 )
- 日時: 2019/07/08 20:28
- 名前: 徒花桜 (ID: 96w0qmMc)
「不器用な駆け引き」【第四話】
私は一人でお店にと向かい歩いていた。お使いを頼まれてた帰り道だった。
そのお店はいろいろな人たちと交流を深めていた。
帰り道は遅くなるようならそこに泊まりなさいとお父さんに言われていたがそこまで迷惑はかけられないと帰ってきていた。
提灯もかりることが出来たので心配いらない。
その人も心配をしていたが大丈夫だと答えた。
そういえばあのお店には闇の中で生きている人たちも常連となっていた。長州の人や薩摩の人や新選組の人たちもいたのだった。
そんな時道の向こう側から歩いてくる人影を発見した。
思わず体がすくむ。怖い人だったらどうしよう。でも違った。私のよく知るあの人だったの。
でもその人は綺麗な着物をきている女の人と歩いていた。
ねぇ。その人は誰?貴方の大切な人?と聞きたくても聞けない。胸が痛い。私はどうしたらいいの。
女の人は簪を髪の毛にいくつもさしていて唇も紅がさしてあった。
おそらく祇園あたりの遊女だと思った。そのくらい私のわかる。あまりにも住む世界が違った。
「あの女の人がきっと貴方の欲しいものをもたらしてくれる人なのですね」
息を吸い胸に手をあてがい前をみすえる。すれ違って行く。
- Re: 艶恋短編集 「艶がーる」 ( No.21 )
- 日時: 2019/07/07 18:07
- 名前: 徒花桜 (ID: 96w0qmMc)
夜でよかった。きっとあまりよくは見えない。なんとなく振り返ってしまった。
それがいけなかった。女の人と唇を重ねていた。
あっと声が漏れかけて両手で唇をふさいだ。気が付くとついっと涙の雫が流れていった。
・・・・。
すれ違った娘が舞華だと気が付いていた。心を殺すしかない。ここにいる女の情報が欲しかった。
そのためならなんでもした。ここが道ばただろうと構うことはない。商売女だ。
ぐいと女の腕を引き顎を持ち上げて唇を吸う。その時視線を感じた。
女を腕に抱え込んだまま目を前に向けた。はっと大きく見開く。
「舞華」呟きそうになった名前に頬をよせる。古高の動揺が伝わったか女も舞華に視線を向ける。
「あのこ。泣いてはる」
「そう、やね」
ずきずき痛む胸に無視して女を連れていく。
『すまない。貴方を泣かせてばかりだな。俺は』
- Re: 艶恋短編集 「艶がーる」 ( No.22 )
- 日時: 2019/07/08 13:17
- 名前: 徒花桜 (ID: 96w0qmMc)
後悔ばかりしていた。その後女を連れていくのは茶屋だった。
そこに二階は密会するには調度いい。女は初めからそのつもりでついてきていたのだから。
俺はただ情報が得られればそれでいいのだから。耳に息を吹き込む。
ふっとそれだけであっけなく女は落ちる。
「いま・・・おしてはるんは・・・・」
俺の脳裏に一瞬浮かぶ姿を消し去るためにきつく目を閉じた。
後ろから女を抱きこんでいたので俺の顔は見えないはずだ。
「どうしたんや?」
戸惑いが伝わってきたのでもう一度甘い声を聞かせる。そうすればたやすく女は情報をもらす。
「やっぱり・・・うち」
お客さんの秘密をもらすことにためらいがあるようでなかなか口を開かない。
「い・う・て」
そっと耳にささやいていく。すると女は首に手をからませる。一橋慶喜公をおしているのだという。
やはりそうかと。女に望んだものをあたえてやる。着物を肩にはおったまま女を抱く。
何度か体を重ねて女は満足した。ひどく冷めた目になっているのは仕方がない。
やがて面を上げる。乱れた着物を正した。
祇園より島原にと移動していつもの店にたどり着いた。名代の藍屋新造の雪花が酒を注いでくれた。
どこか舞華と似たところのある娘に心は穏やかになる。気配を感じて声をかける。
「いつもおおきに雪花はん」
「いいえ・・・あの・・・」
「うん?」
何か言いかけているなんだろう。時間切れのようだった。
「湯武」
低く小さな声をひろう。それが合図だった。
「下がってえいですよ」
じっとこちらをうかがうそれは猫のようであった。
開きかけた唇は何も発せず綺麗な仕草で座敷を後にした。もう一度合図がきた。
「湯武」
「放伐」
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