二次創作小説(紙ほか)
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- 艶恋短編集 「艶がーる」
- 日時: 2019/07/30 21:33
- 名前: 徒花桜 (ID: 96w0qmMc)
はじめまして徒花桜といいます。小説は別のサイトをおかりして書かせていただいています。
ここでは幕末の時代に基づいた話を短く区切らせて書いていきます。
話の元になるのは艶がーるという話です。
簡単に艶がーるというものの説明をしていきます。
幕末を舞台にした女性向けのゲームでカメラで写した瞬間幕末にタイムスリップしてしまいそこで様々な幕末の志士たちと出会い恋をするというものです。
ここではタイムスリップしてしまうと言う話はなしにしてただ一人の少女の恋の話を書かせていただきます。物語の主人公はお団子屋の娘になります。
その恋の相手は幕末の志士。古高俊太郎と言う人になります。
ちなみにあくまでも作者の創作になりますので細かい間違いなどあったとしてもスルーをしてください。
- Re: 艶恋短編集 「艶がーる」 ( No.13 )
- 日時: 2019/07/05 22:40
- 名前: 徒花桜 (ID: 96w0qmMc)
本当にこの人は私を甘やかすことにたけていると思う。
窓を開けるため彼は流れるように移動した。季節は廻り桜はもう、終わるごろ。
葉が緑に染まり始めている。そっと切なそうに目を細めている窓の外に咲く桜の残りを眺めていた。
はらはらと残りの花びらは舞散る。たまにこの人はこういう顔をする。
私といるのに悲し気で儚くてなんだか泣きたくなってしまう。消えてしまう。そんな気がした。
小さく唇からもれたのは彼の名前。
「枡屋さん」
窓からこちらに視線を戻してくれた。
「どないしたんや・・・舞華はん」
見惚れるほど綺麗な顔だった。
「言いたいことあるんやったらいうて?」
そういい首を傾げている。愛おしくてたまらないというように私を甘くとろけさす。
「・・・・」
貴方はいつもそうして全てを隠してしまう。
- Re: 艶恋短編集 「艶がーる」 ( No.14 )
- 日時: 2019/07/05 23:17
- 名前: 徒花桜 (ID: 96w0qmMc)
「どうしたん?」
「いいえ。なんでもありません」
上手く笑えているだろうか。貴方がそうしているように。涙はこぼさない。
「舞華はん・・・わては」
何か言おうとしている唇をそっと指でおさえる。ただ首をふる。何も言わないで。
「そないな顔せんといて」
・・・・。
今にも泣いてしまいそうな顔をしていた。舞華を苦しめている。わかっているのに。
いまさら別れることができない。
この恋は結んではいけない。
「いつかこの身は罪に飲まれるんやろか」
誰にも聞こえないほど小さく呟いた。恋などしなければ舞華を泣かせることもなかった。
「何も聞きません」
気が付くと彼女を正面から抱きしめていた。
「枡屋さん?」
不思議そうに名前を呼ばれたがどうしてもはなすことができなかった。許してほしい。
俺にはやらなくてはならないことがあるんだ。
- Re: 艶恋短編集 「艶がーる」 ( No.15 )
- 日時: 2019/07/06 18:28
- 名前: 徒花桜 (ID: 96w0qmMc)
「貴方のことは何も聞きませんし言いません」
だからせめてそばにおいてくださいというと貴方は切ない目ををしていた。
辛いのは同じなのですね。2人で桜の散っていく姿を眺めていた。
「桜は散るから美しい。そして潔く散る命ほど綺麗なものはないぁ」
まるでそれに憧れているような言葉を残す彼に縋り付いていく。
「嫌ですよ。どこにもいかないでください」
その背中に縋り付いていると大丈夫だというように私の手の甲をつつみ込まれる。
「どこにもいかへんよ。こないに泣き虫なあんさんをおいてなんていけません」
よしよしと頭を撫でられた。
「わてはこう思うたんどす。そのあとに残る青い葉も美しいと・・・」
さぁーと風が桜の花びらを舞い上げていく。窓から部屋の中にも桜の花びらが入ってきた。
舞華と別れて店にと帰り自室の窓を開ける。さっきと同じ風が入ってきた。
「なぁ舞華はん・・・今のわてをあんさんはどう思う?」
独り言を呟き憂う瞳のまま外ばかり見ていた。やがてふっと切なく笑い目を閉じる。
全て偽りの中を生きていた。
「ほんまあきまへん。あんさんのことになると自制がきかへんようになる」
- Re: 艶恋短編集 「艶がーる」 ( No.16 )
- 日時: 2019/07/07 13:18
- 名前: 徒花桜 (ID: 96w0qmMc)
俺は知らず口元を緩めていた。仕事に取り掛かるために表情を引き締める。
裏での仕事の文や書状は引き出しの奥にとしまう。誰にも見られないように鍵をかける。
密書の中に宮様の文も入っている。
「なんやろか」
中身を確認して脱力した。
「またですか?」
こういってはなんだが聞き飽きた。
「今は自分の幸せのことなど考えているひまなんてありません。宮さま。全てはこの命貴方のために使うと決めております」
と何度も話をしていたはずなのにまだあきらめていなかったようだ。
「固いことを言うな。人生は一度切りなのだぞ。古高。お前の幸せはどこにあるのだ?」
頑固な人だ。好きで独り身を通しているわけではない。困った。舞華のことは話していない。
「それにだ。このまま独り身を続けていると周りがあやしむぞ」
にやりと唇の端を持ち上げると主はこのままつづけてこういう。
「枡屋の若旦那は男が好きな奇特な趣味の持ち主だと」
はっはっはと声を上げて笑う主が見えた。ついこの間のやりとりのことだった。笑いごとではないと
思う。
「やめてください。私にそのような趣味はございません」
「そんなことは知っているがそう思われても仕方がないぞ」
- Re: 艶恋短編集 「艶がーる」 ( No.17 )
- 日時: 2019/07/07 13:50
- 名前: 徒花桜 (ID: 96w0qmMc)
無茶ぶりをしてくる主だった。女をつくれなどいう。
半分は面白がっていてもう半分は心配をしてそういうのだと。
わかってはいたが俺にそんなつもりはないのだとどういえば伝わるのかとその頃は思案にくれていた。
宮さまとその会話をしたのは彼女と出会う前のことだった。
どうして断ろうかと今は思案にくれていた。
「どうしたらえいやろ」
もうじき日が暮れる。島原に灯りが灯る時刻となっていた。
「宮さま。わては・・・貴方に言われたからではなく・・・情報をえるためにあそこに通っているんです」
独り言を呟いて出かける支度を始めていく。
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