二次創作小説(紙ほか)
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- 艶恋短編集 「艶がーる」
- 日時: 2019/07/30 21:33
- 名前: 徒花桜 (ID: 96w0qmMc)
はじめまして徒花桜といいます。小説は別のサイトをおかりして書かせていただいています。
ここでは幕末の時代に基づいた話を短く区切らせて書いていきます。
話の元になるのは艶がーるという話です。
簡単に艶がーるというものの説明をしていきます。
幕末を舞台にした女性向けのゲームでカメラで写した瞬間幕末にタイムスリップしてしまいそこで様々な幕末の志士たちと出会い恋をするというものです。
ここではタイムスリップしてしまうと言う話はなしにしてただ一人の少女の恋の話を書かせていただきます。物語の主人公はお団子屋の娘になります。
その恋の相手は幕末の志士。古高俊太郎と言う人になります。
ちなみにあくまでも作者の創作になりますので細かい間違いなどあったとしてもスルーをしてください。
- Re: 艶恋短編集 「艶がーる」 ( No.53 )
- 日時: 2019/07/29 22:56
- 名前: 徒花桜 (ID: 96w0qmMc)
「あの・・」
「しぃ」
静かにするように佐伯に言われる。
彼は少しも警戒を緩めていない。私は何も見てはいけない。そっと目を閉じた。
男たちは部屋の中をあちこち探し回っている音がする。屏風の裏やら壁に隠し扉がないか調べていく。
「無粋な・・・」
目を閉ざしていても音は拾う。彼の苛立ちと苦悩が嫌と言うほど伝わる。手を伸ばして彼を腕に抱きしめた。
- Re: 艶恋短編集 「艶がーる」 ( No.54 )
- 日時: 2019/07/30 17:40
- 名前: 徒花桜 (ID: 96w0qmMc)
「おい。平助」
藤堂を呼ぶのは原田だった。刀を手に中に踏み込んでいく。
どうみても恋人同士のなれ合いに見える。
永倉はその二人に鋭利な目でいう。
「ここも改める」
奥にと続く襖に手をかける。男は何も言わない。先に襖が開いた。スパーン。
「なんのようや」
不愉快という顔を作り目の前にいる男たちを睨んでいる。
男の奥には布団があり一人の女が横になっていた。
・・・・。
舞華の視点。
「すまない」
小さな声で謝罪をされた。布団の上に転がされてどさりと両手を布団の上におく。
私の上に体重をかけないようにしながら彼はよりそい隣より聞こえてくる音に集中していた。
前の帯をしゅると解かれて着物を脱がされる。はっと息を飲んでしまう。
安心させるように背中をなでられる。ただ無言で優しい目で私を見続ける。むき出しになった肌に唇で触れた。
「ここも改める」
来たときつく目を閉じる。頭を撫でられた。ばっと立ち上がると彼は襖を開け放つ。
「なんのようや」
派手に着物を着崩して片膝を立てて声を張る。いかにも遊女と戯れていたのに邪魔をされて気分を害しているように。
「枡屋さん?」
だから私も演技を続けていく。ゆるりと目を開けていく。不安な気持ちのまま彼を呼ぶ。
くるりとこちらを見て一度優しい目を返される。その顔はなんも心配せんでもえいといっている。
こくりと頷く。
「せっかく落としたとこやったんやけどなぁ」
にやりと唇をなめらかにゆるませる。好色な男に見えただろう。軽蔑な視線が向けられる。
- Re: 艶恋短編集 「艶がーる」 ( No.55 )
- 日時: 2019/07/30 18:09
- 名前: 徒花桜 (ID: 96w0qmMc)
実は布団の中にはもう一人の男が隠れていた。
そこにしか隠れる場がなかった。高杉は大人しくしている。
余計なことはしてくれるなと無言で合図を送る。三味線の中には刀が隠してあるのだ。
「ここを改める」
長身の男が槍を手に中を探る。流石は壬生浪士。
人の気配は敏感なようだ。がたいのいい男も中に視線を鋭く向けている。気が付かれたか。
冷や汗が出てくる。もしみつかれば命はない。俺は舞華を守らなくてはならない。
「何か。あったんどすか?」
はじにより男たちを眺めながらいう。
「なにここにな。不逞な輩がたむろしていると耳にしたもんでな」
「それは大変どすね」
「ああ。そうなんだ」
困ったもんだ。その男は苦笑する。浅黄色の羽織が翻る。
いくつ同士の血がそこに吸われたのだろう。知らずに殺意を向けそうになる。落ち着け。
心とは別に商人のふりを続けていた。しばらく中を探っていたが目的の人物は見つからなかった。慌ただしく帰っていった。
しばらくはその場に残り気配をたどっていた。ぷっはと高杉は顔を出した。
「危ないところだったな」
にやりとしながら胡坐をかく。高杉は懲りずにいたようだ。
「すまなかった」
舞華に乱れた着物を元に戻してやっている。
・・・・・。
後日。苦情が殺到した。桂と古高に文が届けられる。
「紫衣を朝帰りさせるとはどうういうことですか」楓
「舞華ちゃんのことですが枡屋さん。朝帰りならきちんと説明をしておいてください。私のところにお父さんがきていました」楓
「枡屋さん。うちの娘を朝帰りさせるとはどういうことですか?」団子屋の旦那。
「旦那はん。朝帰りどすか。えいご身分どすね」枡屋の番頭。
「朝帰りどすか?きっちり花代いただきますよ」藍屋の楼主。
文をもらった二人は流石に絶句していた。
- Re: 艶恋短編集 「艶がーる」 ( No.56 )
- 日時: 2019/07/31 12:09
- 名前: 徒花桜 (ID: 96w0qmMc)
「夢見た百年後」【第十二話】
それは誰もが願うことだった。誰だって夢見ている。
平和で安全な世を目指していた。桂は佐伯として仕立て屋に来ていた。
この日も役目の仕事だ。女の姿でそこに向かう。
楓が店先に出て佐伯を出迎える。
「今日はどうしたのですか?」
たんたんと聞いてくる。楓は仕立ての仕事を受けている。
「紫衣はいませんか?」
楓はそれにしてもよく化けていると思った。妖艶な大人の女の人に見える。口紅までしている。
楓を見た佐伯は流石と思う。動じていない。
「呼んできます」
佐伯は畳に腰を下ろす。楓は奥にと消えていく。少し早かったかと待つことにした。
しばらくして彼女はやってくる。
彼女は地味な姿をしている。目立つことは嫌いなようだ。
「お待たせしました」
礼儀正しく頭を下げる。身分の下のものが上のものにする挨拶だ。
「いいや」
気にしなくていいというと楓の陰に隠れてしまう。恥ずかしくなってしまったようだ。
- Re: 艶恋短編集 「艶がーる」 ( No.57 )
- 日時: 2019/08/01 21:07
- 名前: 徒花桜 (ID: 96w0qmMc)
佐伯は紫衣と約束をしていた。布と糸を買いに店を訪れていた。
「いつもありがとうございます」
「気にしなくていいよ」
女のふりをしているのだから隣にきていいよと首を振る。遠慮している。
「とんでもないです」
とても隣だなんて歩けないという。可愛い人だ。
すりらと移動をした。びくっと飛び上がった。
それにしても視線が突き刺さる。そのせいかずっと彼女は下を向いていた。佐伯はくすりと笑い着物
袖で口元を隠す。それも計算の上だ。
「あの女の子。かわいい」
「妹かな」
「まさか。似てないよ」
ひそりとささやく声を拾いため息をつく。
「ねぇ。こっちを向いて」
耳にささやくとぱっと面を上げた。戸惑う顔と出会う。
「顔をあげてごらん」
すると目の間には花が咲いていた。野にさく小さな花。それでも力いっぱい咲いている。
いつかこの花も散っていく。我ら長州志士のように。
・・・・・。
「わてらが何をしたというんや」
「古高殿が荒れるとは珍しいことです」
その指摘にはっとして古高は口元を隠し目をそらす。
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