二次創作小説(紙ほか)
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- 艶恋短編集 「艶がーる」
- 日時: 2019/07/30 21:33
- 名前: 徒花桜 (ID: 96w0qmMc)
はじめまして徒花桜といいます。小説は別のサイトをおかりして書かせていただいています。
ここでは幕末の時代に基づいた話を短く区切らせて書いていきます。
話の元になるのは艶がーるという話です。
簡単に艶がーるというものの説明をしていきます。
幕末を舞台にした女性向けのゲームでカメラで写した瞬間幕末にタイムスリップしてしまいそこで様々な幕末の志士たちと出会い恋をするというものです。
ここではタイムスリップしてしまうと言う話はなしにしてただ一人の少女の恋の話を書かせていただきます。物語の主人公はお団子屋の娘になります。
その恋の相手は幕末の志士。古高俊太郎と言う人になります。
ちなみにあくまでも作者の創作になりますので細かい間違いなどあったとしてもスルーをしてください。
- Re: 艶恋短編集 ( No.3 )
- 日時: 2019/07/04 10:02
- 名前: 徒花桜 (ID: 96w0qmMc)
「え?」
慌てて懐をあさるが当然そこにあるものがない。その娘が手にしているのは確かに俺の財布だった。
「どうして?」
「さっき・・・店で・・・」
団子屋の娘だったと思い出した。人見知りで何度も通ってくれた人でなくては顔はみせられないと店の主に言われた。それがこの目の前にいる娘だった。
しかし店に財布を落としたことに気が付き追いかけてきてくれたようだ。
「おおきに」
お礼をいい財布を受け取った。ふと空を見上げれば太陽が沈み始めていた。
空の色は茜色に染まっている。この時刻に外を出歩く人はいない。京の人々は足ばやに帰宅している。
鐘の音が聞こえてきた。
「家まで送りますよ」
「いいえ」
そいうわけにはいかないと断る。いがいと頑固だ。この町は物騒なのだと半分脅すようにいうと大人しくなった。
それにこのことで娘とも知り合いになれる。一石二鳥だ。
この時の出会いこそ全ての始まりだった。人生をかけるほど狂わせる恋となるなんて俺は知らなかった。誰が予想しただろう。
生まれて初めて恋に落ちてしまうだなんて。
- Re: 艶恋短編集 「艶がーる」 ( No.4 )
- 日時: 2019/07/04 10:35
- 名前: 徒花桜 (ID: 96w0qmMc)
くるりと背中を向けて枡屋にと帰っていく。すたすたと歩いていた。
その時肩を叩かれた。バッと振り返り鋭い目をしたが誰かわかり雰囲気を変える。
「高杉はんやったんか?」
「ま・た・枡屋殿の餌食になる娘が増えたか?」
からかいまじりに言う男は長州の高杉だった。
「人聞きの悪いこといわんとってください」
くすりと笑うと高杉はいぶかしげにこちらを覗き込む。
「どうかしはりましたか?」
「珍しいこともあるんだな・・・枡屋殿が・・本気なのか?」
「まさか」
軽口を叩いて高杉から逃げようとした。
「やめとくれやす・・・あないな子供に本気になるわけないやろ」
僅かな動揺を隠してそういう。高杉はふんと鼻を鳴らして次には野生のケモノのような鋭利な目をした。
「我らに志を託し死んでいった者たちは誠の武士だ」
「そうどすね」
俺はその通りだと頷いた。
「死んでいった者たちの想いは生きている我らが引き継ぐ。松陰先生の志を継いだようにな」
高杉に覚悟を問われたとのだと思いしっかり頷く。
「わかっとります」
二人は別々の道に分かれていく。颯爽と歩く姿は一人の志士だった。
- Re: 艶恋短編集 「艶がーる」 ( No.5 )
- 日時: 2019/07/04 15:21
- 名前: 徒花桜 (ID: 96w0qmMc)
「感情も心も捨てたなのに胸が痛むのは何故だろう」【第二話】
橘舞華「たちばな まいか」は見知った人を見つけて思わずその人の後についていった。
彼女が知っていた枡屋喜右衛門という大店の若旦那の姿だった。何も知らずに。実は道に迷い困っていたのだ。
どこを見ても同じように見える町。右を見ても左を見ても同じにしかみえない。
とほうにくれていた。そんな時枡屋と高杉という店の常連客を発見した。
その二人は人がいないことを確認して狭い路地に入っていた。どうしよう。見失ってしまう。
路地に入ることはしなかったのは感のようなものだった。これ以上はいけないと感じてのこと。
- Re: 艶恋短編集 「艶がーる」 ( No.6 )
- 日時: 2019/07/04 13:44
- 名前: 徒花桜 (ID: 96w0qmMc)
ここより視点を枡屋と高杉のものになる。
「もう少しだけまってはくれまへんか」
「ああ。わかっているが・・・あいつらを抑えるには時間がかかる」
難しい顔で2人は内緒の話をしていた。彼らのなそうとしていることはあまりにも無謀なことであった。古高とて心苦しい。
「俺たちが何故こんな目にあわねばならん」
血を吐くような慟哭だった。悔しさのあまり近くにある壁を拳で殴りつけた。がつんと。
古高も同じ気持ちだ。国のために長州のためにしてきたはず・・・なのに気が付けば京より追放されていた。
「八月十八日の政変後市中警備が厳しいなって京に潜伏せん限り入れんようになりました。そうやさかい・・こちらの人数も割れとるんや」
高杉は静かに腕を組み壁に寄りかかって話を聞いていた。ふと人の気配に気が付いた。
「誰だ?」
鋭い声を上げてそこいるのは誰かと問う。
- Re: 艶恋短編集 「艶がーる」 ( No.7 )
- 日時: 2019/07/04 15:19
- 名前: 徒花桜 (ID: 96w0qmMc)
声を出さないように気をつけてそこに立っていると鋭い声を聞いた。
いきなり手首をつかまれて壁に押し付けられた。だんと強い衝撃を受けて思わず目を閉じる。
「ここでなにをしている・・・どうしてここにいた?」
殺気だっているみたいに枡屋は問い詰めてくる。こんな彼を見たのは初めてだった。
優しい京のなまりも捨てて氷のように冷たい目をして私を見ていた。驚き過ぎて何も言えない。
肩をつかむ手の力が強い。それは上から押さえつけるかのようだった。
痛みをともなう。自然と顔をしかめていた。
「そんなに矢継ぎ早に問い詰めたとてこの娘は萎縮して何も言えないだろう」
高杉はあくまでも冷静に枡屋をいさめた。
「何を焦っているんだ?」
その声に私から高杉さんにと凍えた瞳の色を移す。そして低くたんたんという。
「別に焦っていない」
表情を一つも変えずに別人のような枡屋がそこに存在していた。怖いと思った。涙が自然とにじんでくる。
私に気が付いたのか手をはなしてくれた。壁によりかかるようにして立たされていたのでそのまま崩れていく。
ずるりと。
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