二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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【ポケモン対戦小説】BOHパ対戦記録譚
日時: 2016/12/29 15:48
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: U7ARsfaj)
参照: https://www.youtube.com/watch?v=cSKjiY3FnrQ

 はじめましての方は初めまして、そうでない方はこんにちは、モノクロです。
 本作品は前作『バトル・オブ・ホウエン対戦記』に続く続編作品です。前作ネタなどもあると思いますが、今作だけでも内容は分かるように努めています。
 前作の続編ということで、基本形式は前作と変わりませんが、今作はポケモン対戦をするにあたって、BOH——バトル・オブ・ホウエン縛りで対戦します。
 バトル・オブ・ホウエン縛りというのは、前作品で題材にしたインターネット大会『Battle of Hoenn〜バトル・オブ・ホウエン』に出場可能なポケモンのみを使用する、という意味です。バトル・オブ・ホウエンに出場できるのは、ホウエン図鑑に登録されているポケモンのみ、作中に出て来るのもそれらのポケモンだけです。

 では、次にこの作品の根本について説明しますと、言うなれば『ポケモン対戦小説』です。
 対戦小説とはなにかと言いますと、『ゲームにおけるポケモン対戦そのもの』を題材とした作品で、動画投稿サイトに投稿される『ポケモン対戦実況動画』を小説風に書き起こしたものです。
 なので本作には、種族値、努力値、個体値といった三値、ABCDSVといった略式記号、ガブ、バナ、クレセドラン、ゴキブロス、ドロポン、月光乱舞といった略称愛称蔑称などなどの、ポケモン廃人が多用する専門用語が多発します。できるだけ初心者の方にも分かるような作品を心掛けたいのですが、基本はある程度その手のことを知っている前提なので、ご了承ください。
 作品の向上には全力を尽くすので、分かりにくい、もっとこうしてほしい、などの要望があればいくらでも申し付けてください。

 そして、もしもこの作品で、対人戦やランダムマッチに興味を持った方がいたら幸いです。雑談板にモノクロの雑談スレ『DM第4相談室』というスレッドがあるので、よろしければお立ち寄りください。フレコ交換やフレ戦希望なども受け付けています。
 勿論、普通に雑談したいという方も歓迎しますよ。

 ちなみにこの映像板では同じものを題材としている作品に、モノクロも合作として参加している『俺と携帯獣のシンカ論』。舞台は違えど世界観を共有している、タクさん著の作品『ポケモンバトルM・EVO』があります。よろしければそちらもご覧ください。

 というわけで、自称前置きが長いカキコユーザーのモノクロが、最後に注意書きを残して本編へと移ります。


※注意
・本作における対戦はほぼ“ノンフィクション”です。バトルビデオを見返して文字に起こしています(しんどい)。
・対戦相手の名前は改変して使用しています(物語の都合とプライバシーの問題に配慮)。
・対戦相手への誹謗中傷はおやめください(♂のメガクチートにじゃれつかせます)。
・ポケモンが喋ります(ポケモンしか出ないから仕方ない)。
・擬人化要素(イラストを描いて頂きました。許可を貰えたらそのうち紹介したいです)。
・茶番(前作より増量)。
・メタ発言(特に後語り)。
・にわか発言&下手くそプレイング(モノクロへの批判はOK!)。
・分かりにくい解説と文面(簡潔になるよう努めております)。
・BGMの種類増加(選出画面のURLのリンクからBGMに飛びます。種類はポケモンに限らず)。
・BOH縛り(詳細は冒頭の通り)。
・後語り担当は作者代理(名前はまだない)。



 以上のことを留意して、どうぞ、モノクロのポケモンたちによるポケモン対戦を、お楽しみください——



 オリキャラ募集的なものをしています。詳細は三戦目以降の後語りにて。投稿条件はこの作品が理解できること、ということで。



目次

零戦目「プロローグ」「を装ったあらすじです」
>>1

一戦目「確率世界」「と呼びたくなるほど理不尽です」
>>4 >>5 >>6 >>7 >>8 >>9 >>10

二戦目「ランダム対戦」「はレートもフリーも魔境です」
>>14 >>15 >>16 >>17 >>18 >>19

三戦目「永遠の宿敵」「は旧友にして戦友です」
>>20 >>21 >>22 >>23 >>24 >>25 >>26 >>27 >>28 >>29

四戦目「ポケモンなしで対戦とは笑止千万」「ポケモンなら拾いました」
>>30 >>31 >>32 >>33 >>34 >>35 >>36 >>37 >>38

五戦目「後輩」「私のことですか?」「それは違うよ」
>>39 >>40 >>43 >>44 >>45 >>46 >>47 >>48 >>49

六戦目「先輩」「その中は百合の園でした」
>>52 >>53 >>55 >>58 >>59 >>60 >>61 >>62 >>63 >>76 >>77

七戦目「トンベリ君」「の憂鬱です」
>>91 >>94 >>95 >>96 >>97 >>101 >>104 >>105 >>106 >>107 >>108 >>109 >>110 >>111


バトル・オブ・ホウエンパーティー名簿一覧
>>78



タクさんより『BOHパ対戦記録譚』のタイトルロゴ(または表紙絵)のイラストを頂きました。
>>54

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Re: 【ポケモン対戦小説】BOHパ対戦記録譚 ( No.56 )
日時: 2015/04/14 22:30
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: 0.f9MyDB)

高校卒業おめでとうございます!
最近ずっと忙しかったのですが、ようやくコメントすることが出来ました。

前作から読ませてもらいましたが、普段対戦動画をよく見ている私からすると、ゆっくり実況とか字幕実況の動画を見るような感覚で読むことが出来て、すごく読みやすいです。
私は多分こういう感じの小説は書けないと思うので、読んでいて楽しく感じます。
どのキャラも個性が強いですが、個人的に一番好きなのはやっぱりちーちゃんですね。後はラグナも割とお気に入りです。周りから散々な言われようですが、普通に善人なところとか。
あとこれは小説に対する感想とはずれてしまいますが、実際の対戦を文にされているので、いくつか実戦の参考にしたい部分もありました。

一応オリキャラ募集もされているということで、自分の育成済みのボックスの中を探してみたんですが、ジバコイルとか大丈夫ですかね?
自分も結構主力として使っているポケモンなので。没でもまったく構いません。

Re: 【ポケモン対戦小説】BOHパ対戦記録譚 ( No.57 )
日時: 2015/04/15 21:18
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: RHpGihsX)

パーセンターさん

 お久し振りです、そしてありがとうございます。受験期を終え、モノクロも晴れて大学生になれました。
 まだ大学生活には慣れないところもあるのですが、なんとかやっております。

 前作も読んでくださったのですか……それに、対戦実況動画から着想を得た作品なので、そう言ってくださるとありがたいです。そもそもこの続編ができたのも「実況動画作りたいけど動画作るスキルなんてありません」「なら小説にすればいいじゃん」という発想でできているので、そういったお言葉は本当に嬉しいです。
 ……まあ、かくゆうモノクロは、ここ最近まったく実況動画とか見てないんですけども……
 モノクロもこういった実際の対戦内容を再現して書く作品は初めてで、実況動画のような形にするというのも初めての試みだったので手探りでの出発でしたが、皆様のお陰でなんとかなっております。
 ちーちゃんが好きというのは嬉しいですね。やはり作者の推しキャラのようなものなので。ラグナもなんだかんだ言われてはいますけど、普通に善人ですからね。完全にとばっちりです。
 対戦内容に関しては……まあ、一応そこを売りにしているつもりではあるんですけど、やはりフリー戦なので、レート戦とはかなり勝手が違うと思います。フリー戦だとあまり交換が発生しないので、交換読みの行動がしづらいんですよね。そのせいで単調な試合になったり、あっさり無双してしまったり。逆にそんな生ぬるい思考でいると、たまに出て来るガチな人にフルボッコにされたりします。

 ジバコ……ジバコですか。
 まあ、大丈夫です。使おうかなー、どうしようかなー、と思っていたところですが、まだ設定も固まっていないので採用できます。
 それに、ジバコはスカーフ型を育成しているんですが、めざ炎持ちでもないのに特性が磁力なので、育成し直したかったんですよね。
 では、NNとか性格とかその他の設定とか、なにかありましたらお申し付けください。なにもなければ丸投げしてもらっても構わないので。

選出画面 ( No.58 )
日時: 2015/04/16 15:54
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: RHpGihsX)
参照: https://www.youtube.com/watch?v=QoA-c9VLoOg

「つーわけで、選出画面だ……物理と野郎が多めなパーティーだといいんだが……」
「え? 雷切君ホモだったの? うわー、引くわー」
「そうじゃねーよ……」

 いつもなら声高らかに反論するはずの雷切だが、なぜか今回はげんなりしたように言葉を返す。
 そのことに疑問を感じながら、対戦相手のパーティーが表示される。



【橙PT
 ・メタグロス[—]
 ・ヌオー[♂]
 ・ニョロトノ[♀]
 ・ボルトロス[♂:化身フォルム]
 ・フシギバナ[♂]
 ・ヌメルゴン[♀]
    Analysis end】



「対戦相手は橙さんですね。えっと、パーティーは……」
「……雨パ、か?」
「ニョロトノがいるあたり、そうっぽいわね」

 キングドラやオムスターのような露骨な雨アタッカーがいるわけではないので断定しづらいが、しかし雨パっぽい面子ではある。

「とりあえず、選出を考えるぞ。まずココロは確定だ」
「……即決……」
「まあ、バナの突破を考えるならエスパー技は欲しいわよね。技の通りもそこそこいいし、メタグロスにだけ気を付けましょうか」



【選出確定
 ココロ——[♀:サーナイト]】



「次にココロが相手できないグロスだな」
「今回のあたしは臆病スカーフ型。メインウェポン二つにトリック、サブウェポンには気合玉を搭載しているから、対面ではまず勝てないわね」
「では、そこを補完するんですね。誰が行くのかしら?」
「グロスを相手できる奴は、うちのパーティーでは三人いる」

 そう言って雷切は、ちーちゃん、トンベリ、ラグナロクを順番に見遣る。

「火力で真正面から叩き潰すちーちゃん、鬼火自己再生で封殺するトンベリ、壁になるラグナ……さて、どいつで行くか」
「今更ですけど、僕は壁としか認識されないんですぁ……?」
「私も! 私もグロス倒せるよ!」
「お前は道連れするしかねーだろ。シャドボの威力低すぎて無理だ」
「えぇー……なんかいつもお預け喰らってる気がするんだけど、私……」

 残念ながら、バレパンも持っている可能性があるメタグロスに道連れは使いづらい。他への刺さりも良いとは言えないので、雪姫の選出は見送りだ。

「できればちーちゃんで火力を押し付けて行きたいんだが、相手には特殊アタッカーと物理受けが多めだからな。ちーちゃんは出しづらい」
「メガフシギバナにも有効打がないから倒せません……ごめんなさい」
「バナは絶対いるだろうしなぁ」

 ヌメルゴンと対面した時も、先手で大文字を喰らうと致命傷、ニョロトノの雨ドロポンや化身ボルトの電磁波からの即麻痺バグも怖い。
 下手に削られるとグロスの地震圏内、最悪ではバレパン圏内に入れられ、役割遂行できないままやられてしまう可能性も考えると、軽々に出すのは躊躇われる。

「かと言って、まともな物理アタッカーがグロスだけの相手にトンベリもなぁ……」
「……化身ボルト……挑発、持たれてたら……きつい……」
「タラプメタバ型だからバナには勝てそうなんだがな。つっても、グロスに後出ししづらいし、ココロが拘ってることから、サイクル戦になりそうだ」

 そうなると、受け回して戦えるような駒を選出したいところだ。
 このパーティーで耐久があり、メタグロスに後出しができる気持ちの悪い壁役と言えば、一人しかいない。

「ラグナ、出番だぜ」
「なんだか釈然としないのですが……まぁ、了解ですよぉ!」



【選出確定
 ココロ————[♀:サーナイト]
 ラグナロク——[♂:ラグラージ]】



「さて、これで二体決まったな。最後はちっと危険だが、火力を出せるちーちゃんでもするか……」
「ねぇ、雷切君」
「それか、メタバの反射に賭けてトンベリにするか? そこまで高火力もいねーし、物理アタッカーが少なくても、鬼火は無効化されない。スリップダメにはなる」
「雷切君? もしもーし?」
「いや、やっぱ誰でも一体持って行ける雪姫でもいいかもな。さっき出たいっつってたろ。せっかくの機会だし、たまにはお前も出してやる、喜べ。お前の道連れは飾りじゃないってところをだな——」
「雷切君」
「……っ」

 再三にわたる呼びかけに応答せず、遂に痺れを切らしたのか。
 ギュッ、と。
 みゆりは雷切の背後から——抱きつく。

「え? な、なにを……!?」
「うわー、うらやまけしからんいいぞもっとやれ」
「あぁ、雷切さん……南無です」

 ミスティが見たら発狂死しながら憤死しそうな光景、そして男なら本能的に興奮を覚えるような状態だが。
 当の雷切は、抱きすくめられたまま、なぜか顔が真っ青に青ざめていた。

「雷切君……私のお話、聞いてくれますか?」
「……はい」

 それまでみゆりの発言には無視を決め込んでいた雷切だが、諦めたように頭を垂れた。
 そしてみゆりは、嬉々として口を開く。

「この編成では、相手のニョロトノがアタッカーだった時に辛いですよ」
「い、いや、そん時はココロがなんとか……」
「いいえ、ココロさんは他にお仕事があるので消耗は控えた方が良いです」
「そ、そうっすかね……?」
「そうです。それと……私、出られそうじゃないですか?」

 ビクンッ!
 その言葉を聞いた瞬間、雷切は飛び上がりそうになる。
 背筋になにか冷たいものが通り抜け、悪寒が絶え間なく襲いかかる。
 そんな雷切のことなどお構いなしに、みゆりは続け、

「メタグロス以外になら……勝つ自信、ありますよ?」
「た、確かに先輩は刺さってるかもしれませんけど……」
「なら決定ですね。久々の雷切君たちと一緒の対戦、張り切ってまいりましょう」
「あ……」



【選出確定
 ココロ————[♀:サーナイト]
 ラグナロク——[♂:ラグラージ]
 みゆり————[♀:ユレイドル]
           All select】



「あぁ……恐れていたことが……」
「雷切さん、もう無理です。みゆり先輩、やる気満々ですよぉ」
「あーなっちまったらもう止めらんねーな。せめて、ココロとお前だけでなんとかしたいんだが……」
「僕も頑張りますが、先輩の言うことももっともですからねぇ……」
「くそっ、なんでよりよってこんな時に特殊より雨パなんて出て来るんだよ……!」

 陰でなにやら言い合っている雷切とラグナロク。
 なにか、みゆりが対戦に出ることをかなり渋っているようだが、その真意は不明。
 周囲からしても疑問符が浮かぶばかりだ。

「……ライとラグはなにをそんなに渋ってるのかしらね」
「さーねー、私もよく分かんないや」
「……謎……」

 さて、なにはともあれこれで選出は決まった。
 時間も切迫しているので、そろそろ次の画面へと移る頃合いである。

「はぁ……やっぱもう諦めるしかねーんかね……」
「でしょうねぇ……ともかく、橙さん」



『対戦、よろしくお願いします!』

対戦パート1 ( No.59 )
日時: 2015/04/16 19:43
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: RHpGihsX)

【ポケモントレーナーの橙が勝負を仕掛けてきた!】

【行け、サーナイト!】


「……対戦開始だぜ。先発はココロからだ」
「なんであたしなの?」
「とりあえず技の通りがいいからな。それに、化身ボルトがいたら先発で出て来る可能性が高いと踏んだ」

 化身ボルトはパーティー全体で対応可能と言えば可能だが、まともに殴り合えるのはココロだけだ。
 みゆりは出しても逃げられるだけ、ラグナロクは挑発でステロ欠伸を封じられてしまい厄介。
 なので、面倒な補助技で引っ掻き回される前に、上から殴って倒してしまおうと考えたためである。

「ま、電磁波は怖いが、そん時はそん時だ」
「ちょっと雑すぎやしないかしら……で、お相手は本当に化身ボルトなのかしらね?」


【橙はヌメルゴンを繰り出した!】


 残念ながら出て来たのは雷親父ではなく、R18ドラゴンだった。

「……読み外した……」
「で、でも相手はドラゴンタイプ。ココロさんなら有利ですよっ」
「まあ、タイプ上はな……だが、流石のヌメルゴンでも、ココロのムンフォなら確二にできるか?」
「どうかしらね。たぶん行けると思うけど」

 こういう時にちゃんとダメージ計算をして、裏に退くかどうかをしっかりと考えなくてはならないのだが、しかしこの時、彼らはそこまで思考が働かなかった。


【サーナイトのトレース。ヌメルゴンの潤いボディをトレースした】


「ん? うるボ? ……あぁそうか。雨パならそりゃ、草食やぬめぬめより、うるボだよな」
「潤いボディだからと言って具体的になにをするかは分からないけれど、とりあえずドラゴン相手なら、殴り合えそうかしらね」

 うるボヌメルゴンの型なんて知らないため、こればっかりは正確な分析ができるはずもなく、しかし特に根拠もないまま殴り合えると判断。
 ココロは月の力を吸収し、ヌメルゴンへと解き放つ。


【サーナイトのムーンフォース! 効果は抜群だ!】
[ヌメルゴンHP:約半分(ギリギリ緑ゲージ)]


「かてぇ!」
「ココロさんの攻撃が半分も入ってませんよぉ!」
「……いや、ギリギリ、半分……ないか……」
「無補正とは言えCぶっぱなんだけどね、これでも……」

 一致抜群技でギリギリ半分削れない火力。これはココロが火力不足というより、ヌメルゴンの特殊防御が高いためだろう。
 この耐久から、相手のヌメルゴンがDにも努力値を割いているだろうことが推測される。

「それでも、ヌメルゴンからの有効打はないですよね? 火力に努力値を割いていないなら、このまま押し切れるんじゃ……」
「いや、ちーちゃん。たぶんそうもいかねーぜ」
「ヌメルゴンにはあるもんね、サナへの打点」


【ヌメルゴンのヘドロ爆弾! 効果は抜群だ!】


 直後、ヘドロの塊がココロへとぶつけられ、炸裂する。
 フェアリータイプに毒タイプは効果抜群。さしものココロでも大ダメージは免れない。
 しかも、さらに悪いことは続き、


【サーナイトは毒を浴びた!】

【サーナイトは毒のダメージを受けた!】
[サーナイトHP:50/143]


「う……ただでさえヘド爆が痛いのに、毒なんてついてないわ……」
「確二にはできてねーから突っ張るのは悩むが、退いても毒のせいで長くないか」
「……どうする、ここ……」

 相手のヌメルゴンは、ココロのムーンフォース二発では確実に倒せる保証がない。
 だが相手はヘドロ爆弾を持っているので、そのままココロを落とすことができる。

「ここは悩みどころだな。ムンフォは見た感じ、乱数二発だが……」

 ヌメルゴンを倒せると信じてムンフォで突っ張るか、裏に退くか。
 そして退く場合の交代先となるのは、特殊受け。つまり、

「退く場合は私でしょうか。私ならヌメルゴンを抑えられますけど——」
「よし! ココロ、ムンフォだ! あの粘液ドラゴンを吹き飛ばせ!」

 と、みゆりが最後まで言い切る前に、雷切は結論を出した。
 もう一度ムーンフォースを打ち込めば倒せる可能性も確かにあるので、間違った判断とは言えないが、どこか軽率な気もする。
 というより、よほど裏に退きたくないから押したようにも見える。

「なんだか妙な感じだけど……まあいいわ。ライがそう言うなら、このまま押すわよ」

 相手も裏に軽々には下がれないだろう。こちらが倒せる可能性があるように、向こうもココロの攻撃を耐え、反撃して倒す可能性があるのだ。
 勝てる確率はフィフティフィフティ——五分五分といったところ。
 ヌメルゴンが攻撃を打ち出さんと構えた。それに合わせて、ココロも手中に月の力を込める。

「あたしの力が勝つか、あなたの守りが勝つか……勝負ね」

 そして最大までその力を溜め込むと、一気に開放する。


【サーナイトのムーンフォース! 効果は抜群だ!】

【ヌメルゴンは倒れた!】


 月の力が最大まで凝縮された光球の直撃を受けるヌメルゴン。最初の一撃は余裕で耐えられたその一撃だが、二撃目はそうはいかなかった。
 乱数の悪戯——この世界ではそう呼ばれるものの力により、ヌメルゴンはその場から崩れ落ちるのだった。


【サーナイトは毒のダメージを受けた!】
[サーナイトHP:33/143]


「なんとか突破よ……!」
「さすがですっ、ココロさん!」
「なんだかんだで仕事はきっちりするからな、ココロは」

 場合によってはなにもできない雷切や雪姫とは違うのだ。
 とはいえココロも、毒のダメージも重なり、かなり消耗してしまった。
 この先も戦い続けるのは、少々厳しいだろう。

「恐らくフシギバナはサイキネ一発じゃ落とせないし、少しまずいかしら」
「確かにまずいかもな……」
「? どうかしましたか? 雷切君」
「いえ、別に……」

 と、雷切はみゆりを見遣りつつ呟くように言う。
 この時、ココロのまずいと、雷切のまずいには、大きな隔たりがあるのだが、それは後ほどわかること。
 それよりも、ここまでココロが消耗してしまうと、フシギバナと殴り合えなくなるどころか、後出しすらできない。選出されているかも分からない状況ではあるが、こちらのメガバナへの打点の乏しさを見ればまず出て来るはず。どうにかして突破手段を考えなければならない。

「現実的に考えるなら、誰かで適当に削って、サイキネ圏内に入れて仕留める、ってくらいかね」
「あたしは今ムンフォで拘ってるし、どの道裏に退かないといけないからね」

 ただ、その削り役をどうしようか、と雷切が考えている中。
 相手の二番手が登場する。

対戦パート2 ( No.60 )
日時: 2015/04/16 16:01
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: RHpGihsX)

【橙はニョロトノを繰り出した!】

【ニョロトノの雨降らし!】

【雨が降り始めた】


「二体目はトノか……先発じゃなくてここでトノか」

 ニョロトノが場に出るや否や、暗雲が発生し、フィールドに雨が降り注ぐ。
 特性、雨降らし。数少ない、天候に直接作用する特性であり、登場時に場を雨天にしてしまう特性だ。
 天候にターン制限がかかった第六世代では弱体化したものの、第五世代トップメタの戦術であった雨パには欠かせない起動役。その任を全うするのが、ニョロトノというポケモンだった。

「先発に出ないってことは、少なくとも脱出ボタンではなさそうだな。となると湿った岩かスカーフ、ってところか?」

 そもそも雨始動要員が先発でないという事態が比較的レアケースだ。起点構築の起点作成要員が先発に出てステロを撒いたり壁を張るように、天候始動要員も先発で出ることが多い。

「……たぶん、こっちの、なにかを……先発読み、したんだと、思う……」

 それでもヌメルゴンが特に刺さっていそうなポケモンはいなかったと思うが。
 それはそれとして、とりあえず目の前の敵について考えることにする。

「ニョロトノって、攻める場合は火力指数と耐久指数がいい感じなんだよね」
「あぁ、ニョロトノは雨始動役としての印象が強いが、単体スペックはそこまで高いわけではない。世間ではそう思われているんだろうが、指数的に見ればかなりスペックの良いポケモンだ」
「しすー? なんですか、それ?」
「詳しく説明すると長くなるんだが、要はそのポケモンのある攻撃にはどのくらいの威力があるのか、そのポケモンの耐久力はどの程度なのか、そういうことを数字で表すことだ」
「いつものダメージ計算とは違うんですか?」
「違うな。ダメ計は二体のポケモンの状況——互いの努力値振り、道具による補正、攻撃側の技選択、天候、設置物、その他要因——を細かく設定して、正確なダメージ量を計算するのに対し、指数は一体のポケモンのみを見る」

 つまり、このポケモンがこのポケモンにこの技で攻撃すれば、このくらいのダメージが入る、というのがダメージ計算。
 対して指数は、このポケモンのこの技は、このくらいの威力が出る、ということを数字で表すものだ。

「指数の具体的な基準については、前話の対戦後の茶番を参照してね」
「またお前はわけわからんことを……まあいい。とにかく話を戻すが、ニョロトノは指数的に見れば、大抵の攻撃を一発は耐える耐久力、雨補正も加わり大抵のポケモンなら確定二発圏内に収められる火力、両方を兼ね備えているポケモンだ。とはいえこれは、CSベースで考えた場合だがな」
「つまり、振ってなくとも耐久力はそこそこ高いということね。なら、あたしのムンフォじゃまず倒せないわね」
「そういうこった」

 長々と指数の説明をして分かることはたったそれだけだった。いやしかし、モノクロが指数という考え方を学んだ始まりがニョロトノだったので、説明しておきたかったのだ。雪姫に話を通していたのだが、ちゃんと誘導してくれたようでなにより。
 これが分かれば、どのポケモンがどの攻撃を耐えるのか、このポケモンの攻撃はどのポケモンなら一撃ないしは二撃で倒せるのか、といったことが大雑把に分かるようになり、対戦での目安になる。興味があれば調べてみよう。

「というわけで、一発じゃ落とせないトノ相手にココロで突っ張るか退くかだが——」
「雷切君」

 ここでの押し引きについて雷切が思考を始めようとしたその時。
 みゆりから声がかかった。

「……なんすか、先輩」
「ここは私が出ますよ。今回の私は特殊受け、さらに水タイプには強い種族です。私で相手できます」
「いやでも、先輩じゃ氷技で弱点を……」
「ニョロトノが指数的に強いというのも、それはあくまで雨の恩恵を受けるから火力が上がっているだけ。なので、サブウェポンの冷凍ビームくらいなら、耐えきってみせます」
「しかしですね……」

 出ようとするみゆりを雷切は困りながら、しかし必死で止めようとするが、しかし今度は外野からも声がかかった。

「なにをそんなに渋っているの、ライ。別にいいじゃない。あたしはユリさんに交代するのが最善手だと思うけど」
「ココロちゃん単体じゃメガバナの突破はできないっつっても、まだバナがいるって決まったわけじゃないしねー。スカーフで上は取れるから、残しておいてもいいんじゃない?」
「せっかく来てもらったんですし、みゆりさんにお任せしましょうよ、らいきりさん。わたしもみゆりさんが戦ってるところ見たいです!」
「お前ら……!」

 BOHパの三妖精がみゆりの味方をし始めた。
 それを聞き雷切は、これはお前らのためでもあるってのに……などと胸中で愚痴るように呟く。

「はぁ……仕方ねぇ。確かにグロスもいるかもしんねーし、ラグナは消耗させらんねーか……先輩、お願いします。あんま変なことしないでくださいね」
「はーい。では、行きますよ」


【サーナイト、交代! 戻れ!】

【行けっ、ユレイドル!】



『Information
 みゆり(DM:ユレイドル)

 性格:温和で穏やか、かつ茶目っ気もある人間味に溢れた性格。しかし雷切やラグナロクは苦手としているようで、彼ら曰く“本性”を隠しているらしいが……

 性質:粘り強く居座って定数ダメージや反射技によるダメージの蓄積で相手を消耗させていく耐久型。纏わりつくなどで対面操作などもでき、結構器用。

 攻撃性能[D] 防御性能[A] 機動性能[F] 多様性[A]

 職業:考古学者、政府役人(調査班所属)
                        End』



 ココロに代わり、みゆりが場に出て来る。
 この時ハイドロポンプか熱湯か、なんでもいいが水技が飛んで来れば無償降臨なのだが、しかし、


【ニョロトノの冷凍ビーム!】

【効果は抜群だ! 急所に当たった!】
[ユレイドルHP:115/193]


「ここで冷凍ビームですかぁ!? 交換を読まれたんでしょうかぁ……」
「いや、ドロポン外しを考慮して命中安定を選んだんだろう。あの体力のココロなら、不一致等倍の冷ビ程度でも落ちるからな」
「……というか、硬い……」

 タイプ不一致とはいえ、効果抜群かつ急所に当たった冷凍ビームで半分も削られていないことが、みゆりの特殊耐久の高さを物語っていた。

「今のはちょっと冷たかったわね。寒いのは苦手なのですが……」
「この耐久力は流石としか言いようがありませんよ、先輩。つっても、相手もそんな火力には振ってなさそうだが……」

 どちらにせよこの程度のダメージなら、自己再生で受けきれる。とりあえず再生を連打して体力を確保しつつ、隙を見て削りに入るところだ。
 唯一の懸念材料と言えば、冷凍ビームによる凍りくらいだが、その心配もなかった。


【ニョロトノのハイドロポンプ!】


「え? ドロポンですかぁ?」
「……ユレイドルに、水技……悪手……」
「あー……これは相手、ユレイドルの特性を知らなかったっぽいな」

 ユレイドルはまだまだマイナーなポケモンだ。認知度も低いだろう。
 だからこそ、相手はユレイドルの夢特性を知らなかったのかもしれない。


【ユレイドルの呼び水。ユレイドルの特攻が上がった】


 雨によって増水したニョロトノのハイドロポンプが、みゆりの顔面に叩きつけるようにして噴射される。
 しかし、

「んく、んく……ふぅ。いいお水ですね、美味しいです」
「いやそれトノの体液みたいなもんですし……というか、そんなボトルの水を飲む感覚で雨ドロポンを飲まないでください……」

 無振りだとしても、指数にして27225。火力にまったく割いていなくとも、雨下のドロポンはメガクチートの不意打ちに匹敵する威力なのだ。
 それを飲み水にしてしまうユレイドルの特性が、呼び水。見ての通り、水技を無効、吸収し、特攻を上げる特性だ。


【ユレイドルの自己再生!】
[ユレイドルHP:全回復]


 そして今度は自己再生。恐らく相手はユレイドルへの有効打はないと思われるので、これで封殺できるだろう。

「となると、退いてくるか……? 冷ビ急所で半分も入らねー相手に、タイプで不利なトノが突っ張る道理もねーし、退けるなら退くだろ」

 退き先としては、メタグロス、フシギバナ、後は精々ボルトロスくらいだろうか。

「残念ながら、私は交換読みで使える技がほとんどないんです……ですが、メタグロス以外なら、なんとか相手できると思います」
「グロスはラグナ君で受けられるし、とりあえず普通になんか選んどけばいいんじゃない?」

 などと、有利対面になるとよくあるぬるい思考が生まれ始めたところで、一抹の不安もよぎる。

「……なにか忘れているような気がするのよねぇ」
「あぁ……相手は恐らく火力無振り。つまりは耐久トノだ。そいつが覚えてる技っつったら……」


【ニョロトノの催眠術!】


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