二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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ポケットモンスター 七つの星と罪【リメイク版】
日時: 2017/01/26 02:02
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: U7ARsfaj)

 どうも、初めましての人は初めまして、白黒です。
 知っている人はしっているかもしれませんが、過去に同じ作品を投稿していたことがあります。その時は、読者の方々にはご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。
 諸事情あって、一度は更新を止めてしまっていましたが、色々思うところがあり、また更新を再開……というか、リメイク。書き直したいと思います。
 また、大変申し訳ありませんが、リメイクにあたって募集したオリキャラは一度リセットさせていただきます。ただ、またオリキャラ募集をする予定です。詳細はその時にまた説明します。
 以前までのような更新速度は保てないと思いますが、どうかよろしくお願いします。

 基本的にはリメイク前と同じシナリオ、キャラクター、設定で進める予定ですが、少し変更点があります。
 前提となる変更点としては、非公式ポケモンと、非公式技の廃止。そして、第六世代、第七世代のポケモン、システムの導入です。基本的なシステム、タイプ相性などは最新の第七世代準拠とします。
 なお本作品内では、ポケモンバトルにおいて超常的な現象が起きます。また、覚えられる技の設定がゲームと少し違います。その設定に関しては、従来通りのままにするつもりです。

 ちなみに、カキコ内でモノクロという名前を見つけたら、それはこのスレの白黒とほぼ同一人物と思っていいです。気軽にお声かけください。

 それでは、白黒の物語が再び始まります——



目次

プロローグ
>>1
序章
[転移する世界] ——■■■■■——
>>2 >>3

シコタン島編
[異世界の旅立] ——ハルビタウン——
>>4 >>5 >>6
[劇場型戦闘] ——シュンセイシティ——
>>7 >>8 >>9 >>10 >>11 >>17 >>18 >>19 >>20 >>21 >>22 >>23 >>24 >>25
[罪の足音] ——砂礫の穴——
>>26 >>27 >>28 
[バトル大会Ⅰ] ——ハルサメタウン——
>>29 >>30 >>31
[特質TSA] ——連絡船ハルサメ号——
>>34 >>35 >>36

クナシル島
[バトル大会Ⅱ]——サミダレタウン——
>>58 >>59 >>60 >>61 >>62 >>63 >>66 >>67 >>68 >>69 >>70 >>71 >>74 >>75 >>76


登場人物目録
>>32

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19



第26話 特異体質 ( No.35 )
日時: 2017/01/09 12:52
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: U7ARsfaj)

 ルゥナとのポケモンバトル。ルールは二対二のシングルバトル。交代はなしとのことだ。
「最初はお願いね、マグマラシ!」
 ルゥナの一番手は、頭と尻尾に炎が噴き出した、胴長のヤマアラシのようなポケモン。

『Information
 マグマラシ 火山ポケモン
 炎の熱風で相手を威嚇する。
 素早い身のこなしで攻撃を
 避けながら炎で敵を焼き焦がす。』

「マグマラシ、ヒノアラシの進化系か」
 つまり、昨日イオンのサンダースと戦ったヒノアラシは、昨日今日で進化したようだ。
「相手は炎タイプ。だったら君しかいないよね、ミズゴロウ!」
 フィアの一番手は水タイプのミズゴロウだ。マグマラシとは相性が良い。
「それじゃあ行くよっ」
 ルゥナの掛け声とともに、マグマラシが駆け出す。それを合図に、フィアとルゥナのバトルが、開始された。
「マグマラシ、火炎車!」
 先手を取ったのはルゥナのマグマラシ。マグマラシは炎を身に纏い、縦方向に回転しながらミズゴロウへと突っ込む。
「ミズゴロウ、岩砕き!」
 ミズゴロウも岩を砕くような勢いでマグマラシへと突進するが、火炎車の方が威力が高く、ミズゴロウは弾き飛ばされてしまった。しかも、
「煙幕!」
 マグマラシは口から大量の黒い煤を吐き出し、ミズゴロウの視界を塞いでしまう。
(うぅ、水鉄砲で反撃しようと思ったのに、これじゃあマグマラシがどこにいるのか分からない……いや)
 視界を遮られて反撃を諦めかけるフィアだったがすぐに首を振る。
 目が見えなくても、ミズゴロウにはレーダーの役割を担うヒレがある。これがあれば、マグマラシが今どこにいるのか把握できるはずだ。
「ミズゴロウ、集中するんだ。マグマラシの居場所を突き止めて」
 ミズゴロウは目を瞑り、ジッと動かずマグマラシの居場所を探る。そして、
「マグマラシ、電光石火!」
 煤の中から猛スピードでマグマラシが飛び出した。だが既にそこからマグマラシが飛び出すことをミズゴロウは知っている。マグマラシが突っ込んでいく先には、マグマラシと向かい合った状態のミズゴロウがおり、
「水鉄砲だ!」
 口から勢いよく水を噴射する。
 マグマラシは自分から水鉄砲に突っ込む形となり、吹っ飛ばされてしまった。
「マグマラシ! 大丈夫?」
 効果抜群の攻撃を間近で喰らったはずだが、マグマラシは力強く炎を燃やし、まだまだやる気十分だ。
「よーし、なら、次はこの手で行くよっ! 煙幕!」
 マグマラシは再び煤を吐き出してミズゴロウの視界を遮ってしまう。
 しかしミズゴロウは視界を塞がれた程度では動けなくなることはない。頭のヒレを揺らしてマグマラシの居場所を探り、その方向を向くが、
「スピードスター!」
「えっ?」
 煙の中から飛び出したのは、無数の星だった。五芒星の星型に圧縮されたエネルギー弾が無数に放たれ、ミズゴロウを切り刻んだ。
「ミ、ミズゴロウ!」
 そこまで高威力の技ではなかったようだが、不意打ちのような攻撃を喰らい、ミズゴロウは思った以上のダメージを受けてしまった。
「畳み掛けるよっ、電光石火!」
 マグマラシはさらに高速でミズゴロウに突撃し、吹っ飛ばす。
 煙幕を張って視界を遮り、その隙に攻撃する。煙などを使う戦術としては初歩の初歩みたいなものだが、それでも有用な戦術だ。だが一度それが破られてしまえば、普通は先ほどルゥナが近接攻撃から遠距離攻撃に切り替えたように違う方向性で攻めてくる。
 フィアはまだトレーナーとしての経験が浅い。それゆえに、対応も遅れがちだ。
「くっ、体当たり!」
「スピードスター!」
 ミズゴロウはなんとか態勢を立て直してマグマラシへと突っ込むが、マグマラシは星型のエネルギー弾を無数に飛ばして動きを止め、
「火炎車だよ!」
 炎を纏って回転しながらミズゴロウに激突し、またも吹っ飛ばす。効果はいまひとつだが、それでもミズゴロウはかなりダメージが蓄積している。そう長くはもたないだろう。
「もう一度、火炎車!」
「み、水鉄砲!」
 マグマラシは再び火炎を纏って車輪のように回転しながらミズゴロウへと突貫。ミズゴロウも口から水を噴射して迎え撃つが、水鉄砲は火炎車の炎を多少削ぎ落すだけで、攻撃を止めることもできずミズゴロウは火炎車の直撃を受けてしまう。
「ミズゴロウ!」
 ミズゴロウは地面を転がりながら吹っ飛ばされていく。それから気力でなんとか立ち上がるが、もう戦闘不能寸前であることは火を見るより明らかだった。
 しかし、その時ミズゴロウに異変が起こる。
「っ、これは……?」
 目には見えないが、フィアは感じた。ミズゴロウからオーラのような、強い気配が漂っていることを。
 そんなフィアとミズゴロウを見て、ルゥナは、
「やっと発動したんだね。それが特性、激流だよ」
「激流……これが」
 ピンチになると水タイプの技の威力が上がる特性、激流。今までは気づかなかったが、こうして意識してみると、はっきりわかる。
「さて、それじゃあ次は、その特性がどのくらいのものか、試してみなよ。マグマラシ、火炎車!」
 マグマラシは炎を身に纏い、車輪のように縦方向に回転しながらミズゴロウへと突撃する。
 普段なら水鉄砲でも押し返せないマグマラシの火炎車。しかし、激流が発動している今ならそれも不可能ではない。
「ミズゴロウ、水鉄砲だ!」
 ミズゴロウは口から勢いよく水を噴射する。その量が通常の水鉄砲の比でなく、大量の水がミズゴロウから放たれ、マグマラシを押し返した。
「凄い……!」
 先ほどまではまったく敵わなかった火炎車だが、それをいとも容易く押し返してしまった。この激流という特性は、かなり強力なものであるようだ。
「思った以上に強力だね……じゃあこっちも、ちょっと本気出しちゃおっかな」
「……?」
 含みのある怪しい笑みを浮かべるルゥナ。
「マグマラシ、火炎車!」
 何事かと身構えてしまったフィアだが、ルゥナは普通にマグマラシに指示を出し、少々肩透かしを食らってしまう。
 だがマグマラシの火炎車は奇妙なものだった。素直にミズゴロウへと突っ込むことはせず、炎を纏いながら真上へと飛び上がっていったのだ。しかも、ルゥナの指示はそこでは止まらなかった。
「+(プラス)!」
 そして、

「スピードスター!」

 次の瞬間、マグマラシは回転しながら炎を纏った星を無数に撃ち出した。
「っ!?」
 空から降り注ぐ炎の星。フィアは驚きを隠せず、驚愕の顔でその様子を呆然と見つめていた。
 その間にも炎の星は全てミズゴロウへと吸い込まれるように向かっていき、切り刻みながらその身を焼いていく。その攻撃にタイプをつけるのなら炎タイプのようだが、威力は圧倒的に火炎車よりも高い。激流が発動するほど体力が減っていたミズゴロウは、その攻撃で戦闘不能となってしまう。
「…………」
 それでもまだ、フィアは唖然としている。何が起こったのか分からない、と言うかのように。
 そんなフィアを見てか、ルゥナは自慢げに胸を張る。
「どう? 驚いた? これが私のTSAだよ」
「てぃー、えすえー……?」
「“特質”って、そのまま言った方がわかりやすいかな?」
 TSA、特質。耳にしたことのない、はたまた本来のそれとはニュアンスの違うように感じられるルゥナの言葉に、フィアは首を傾げる。
「trainer,s special ability……TSA。人体的特殊能力とも呼ばれてるけど、代表が言うには一部の人間のみが発現させられる特異体質……ありていに言えば、トレーナーが持つ特殊な力のことだよ」
 そしてルゥナは、彼女の言う“特質”について説明する。
「フィア君ももっとトレーナーとしての経験を積めば分かると思うんだけど、トレーナーは元々、ポケモンの力を引き出す力を持っているんだ。それの延長線上にあり、トレーナーによって異なる性質を現す力が、特質」
 フィアにはいまいちピンと来ない説明だった。理解がまるで追いつかない。
「今はあまり深く考えなくていいけど、もうちょっと説明するなら、トレーナーがより直接的にバトルに干渉する力、かな」
「より、直接的に干渉する……」
「そしてさっき見せた私の特質は“技合成アルケミア”。技と技を合成することができる力だよ」
「技と技を合成する……? どういうことですか?」
 そのままの意味で捉えれば、二つ以上の技を同時に放つことだろう。 フィアは知らないが、ある程度熟練したトレーナーならポケモンの技と技を掛け合わせることができたりするし、合体技というものも存在する。だが、ルゥナの言う技合成とは、それらとは一線を画すものだった。
「私も感覚でやってるからうまくは言えないけど……こう、二つの技の良いとこ取りをして、新しい技みたいに攻撃する、って感じかな? さっきの火炎車とスピードスターを見たなら分かると思うんだけど、技を合成すれば威力が足し算で高くなるし、効果ももとの技を受け継ぐんだ」
 口で簡単に言うが、それは物凄いことではないのかとフィアは内心思う。
 ポケモンが覚えられる技は最高で四つ。しかしルゥナの技合成とやらは、実質的にその枠を超え、さらには既存の技をパワーアップさせている。
 まだしっくりこないフィアだったが、その能力というものが強力であることだけは理解した。
「さて、ちょっと話が長くなっちゃったね。バトルを再開しようか」
「あ……はい」
 フィアは戦闘不能になったミズゴロウをボールに戻し、最後のボールを手に取った。
「出て来て、ブースター!」
 フィアが繰り出すのは、当然ながらブースターだ。
(特質、か……この世界は、本当に不思議だな)
 この世界は本当におかしなことばかりだ。
「ブースター、アイアンテールだ!」
 ブースターは場に出るなり、尻尾を鋼のように硬化させ、マグマラシへと飛びかかる。
「意外と速いね……マグマラシ、躱してっ」
 ブースターの振り下ろすようなアイアンテールを躱そうとするマグマラシだが、完全に回避することは出来ず、掠めるようにして攻撃を受けてしまった。
「もう一度!」
 攻撃を躱し切れなかったことでマグマラシは態勢を少し崩してしまい、その隙にブースターは追撃の尻尾を放つ。
 今度のアイアンテールはマグマラシのしなやかな体に綺麗に決まり、マグマラシは勢いよく吹っ飛ばされていった。
「っ、マグマラシ……!」
 効果はいまひとつだが、マグマラシもミズゴロウとのバトルで消耗していたため、今のアイアンテールで戦闘不能となってしまった。
「やられちゃったか、戻ってマグマラシ」
 ブースターのフィジカルが思いのほか高かったのか、ルゥナは少々驚きながらマグマラシをボールに戻す。
 これで、ルゥナのポケモンも残り一体。一応イーブンに持ち込めた。
「それじゃ次、行こうか」
 ルゥナは最後のボールを構え、ポケモンを繰り出す。



あとがき。対戦の内容は弄ってませんが、リメイク前にもあった能力……ちょっと名前を変えています。特質、またはTSA。どっちの方がわかりやすいですかね? 一応、作中では人によって呼び方が異なるという設定ですが。ルゥナは特質と呼んでいます。また、技合成も、アルケミア、というルビつき。臆さずグラジオくんにならってみました。いやさ、グラジオはそんなルビふった言い方はしてませんけど。このトレーナーの特殊な力が、今作の大きな特徴ですね。今回はその導入ということで。次回、ルゥナ戦その二です。お楽しみに。

第27話 月光進化 ( No.36 )
日時: 2017/01/09 14:08
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: U7ARsfaj)

「出て来てっ、ブラッキー!」
 繰り出されたのは、黒豹のような体型のポケモン。漆黒の体の各所には黄色い輪っか模様がある。

『Information
 ブラッキー 月光ポケモン
 月の波動を受けると力が増大し
 全身の輪っか模様が光る。その
 輝きは闇を明るく照らす標となる。』

「ブラッキー……このポケモンも、イーブイの進化系なのか」
 電気タイプのサンダース、炎タイプのブースターときて、今度は悪タイプのブラッキー。イーブイは本当に様々な進化をするようだ。
「よし、行くよブースター、ニトロチャージ!」
 ブースターは全身に炎を纏い、ブラッキーへと駆け出す。だがブラッキーはその攻撃を避けようとせず、地に足をしっかり着けて攻撃を受ける姿勢を取った。
 そしてブースターのニトロチャージがブラッキーに炸裂する。しかし、
「っ、踏みとどまった……!?」
 普通のポケモンなら軽々と吹っ飛ばすほどのパワーを持つブースター。そのブースターのニトロチャージの直撃を受けてもなお、ブラッキーは地面に足を着け、しっかりと踏みとどまっている。
 さらに、
「反撃だよっ。ブラッキー、しっぺ返し!」
 ブラッキーはくるりと体を回転させ、細いラグビーボール状の尻尾をブースターに叩き付けた。
「! ブースター!」
 先ほどとは逆に、ブースターはブラッキーの攻撃を耐え切れずに吹っ飛ばされてしまった。ブースターは地面を転がっていき、勢いが止まるとゆっくりと立ち上がる。
 しっぺ返し。イチジクのネッコアラも使っていた技だ。後出しすることで、威力を高める技。
 ブースターのニトロチャージを完全に受け止めるバイタリティに、反撃技のしっぺ返し。このブラッキーというポケモンは、耐久力が高いポケモンのようだ。
「防御が高いなら、とにかく攻める。ブースター、火炎放射!」
 立ち上がったブースターは、今度は炎を放射する。激しい炎をブラッキーに噴きつけ、そのしなやかな体を焼き焦がそうとするが、
「効いてない……?」
 炎が晴れた時、ブラッキーは悠然と佇んでいた。大きなダメージを受けた様子は一切ない。
「根性があるから毒々が使いづらいけど……これならどうかなっ。穴を掘る!」
 ブラッキーは次の瞬間、素早く穴を掘って地中へと身を潜ませてしまった。
「穴を掘る……!? まずい……」
 穴を掘るは地面タイプの技なので、ブースターには効果抜群。攻撃力が低いと言っても、弱点を突けばそれなりのダメージは期待できるはずだ。さらにブースターはミズゴロウのように地中の相手の居場所を探ることが出来ないので、回避も難しい。そして、
「っ、ブースター!」
 ブースターは地中から飛び出したブラッキーに後ろから体当たりされる。効果抜群なので、ダメージは大きい。
「くっ、アイアンテール!」
「踏みとどまって! しっぺ返し!」
 ブースターは反撃に鋼鉄の尻尾をブラッキーへと叩き付けるが、やはりブラッキーは踏ん張って攻撃を耐え、反撃に対する反撃としてこちらも尻尾を振るってブースターに叩き付ける。
 ブースターはブラッキーと違って防御は低い。威力が倍増した攻撃を喰らい、体力も限界を迎えつつある。
「うぅ、だったらこれ……ブースター、起死回生!」
 ブースターは残った力を振り絞り、ブラッキーへと飛びかかる。
 起死回生は残り体力が少ないほど威力を増大させる技。今のブースターの体力は残り僅か、加えて起死回生は格闘技なので悪タイプのブラッキーには効果抜群。上手く行けば、この一撃で戦闘不能まで持ち込めるとフィアは踏んでいたが、
「月の光!」
 刹那、ブラッキーの体の輪っかが淡く発光する。それほど強い光ではないが、その光を受け、ブラッキーが今まで受けてきた傷がすべて癒えていく。
 そして次の瞬間、ブースターの起死回生の一撃がブラッキーに叩き込まれる。だが事前に月の光で体力を回復していたブラッキーの体力を削りきることは出来ず、後ずさったもののブラッキーはまだ戦闘不能ではない。
 そして、
「ブラッキー、しっぺ返し!」
 直後、ブラッキーの反撃の尻尾がブースターに直撃。ブースターは大きく吹っ飛ばされ、地面に叩きつけられた。
「ブースター!」
 その一撃で遂にブースターの体力は限界を迎え、戦闘不能。即ち、フィアとルゥナのバトルは、ルゥナの勝利となった。



 バトル後、フィアとルゥナはポケモンを回復させつつ、軽く歓談していた。
「ルゥ先輩、やっぱり強いですね……ブラッキーなんて、技合成すらされずに負けちゃいました」
 結局ルゥナが技合成を見せたのはマグマラシが戦闘不能間際の時の一回だけ。それだけ、ルゥナのトレーナーとしての技術が高いのだろうと思ってフィアはそう言ったのだが、ルゥナは少し戸惑ったようなそぶりを見せた。
「ん、あー……うん。まあ、ね」
「? どうしました?」
「いや、なんでもないよ。それより、フィア君も思ったより強かったよ? 今はまだ未熟かもしれないけど、ぐんぐん伸びそうな感じ。私もうかうかしてたらすぐに抜かされちゃうかも」
 と言われて、フィアはイオンにも似たようなことを言われたなあ、と思い返していた。自分では分からないが、フィアには何かしら潜在的な資質のようなものがあるらしい。
「それとフィア君、お願いなんだけど……私の能力、技合成については、あんまり人に言わないでね」
「……? 先輩がそう言うならそうしますけど……なんでですか?」
 言ってフィアは、自分の戦術を隠すためだとか、そういうことを思ったが、どうやら違うらしい。
「んーとねー、特質っていうのは今のところわりと世間に浸透してはいるんだけど、否定的な人も結構いるんだよ。中には能力持ってる人の挑戦を受けつけないジムもあるくらいだし……そういう人と諍いを起こしたくないから、私は基本的に自分の力を見せないようにしてるんだ。機関からもそう言われてるし」
「……機関?」
 首を傾げ、ルゥナの言葉を復唱するフィア。どこかで聞いた響きだと思いつつ、ルゥナがする説明に耳を傾ける。
「えーっと、まずアシッド機関って知ってるよね?」
「……ええっと、まあ……」
 知ってると言っても、名前程度だが。確か、ポケモントレーナーについて研究している組織だと、博士か誰かが言っていた気がする。
「私はそのアシッド機関に所属してて、定期的に私の能力についてのレポートを出してるんだ。能力は視覚では分かりにくいものが多いから、私の技合成みたいにはっきりと能力が発動している様子が確認できるのは珍しいんだって。だからちゃんと研究されるまで、あんまり公の場に晒しちゃいけないんだよ」
「そう、ですか……」
 フィアにはやはりよく分からないが、とりあえず他言無用ということだけは理解したので、このことは胸の内にとどめておくことにする。
「ちなみに、特質を発見した第一人者は、アシッド機関の代表なんだよ。ちょっと捻くれた人なんだけど、すっごく頭がいいんだ」
「へぇ、そうなんですか」
 研究者や発明家、過去の偉人で俗に天才と呼ばれる人間は変人が多いとフィアは知っているので、反応は淡泊なものだ。そもそもフィアにとってその人物は限りなく無関係の人物なので、特に何も思わない。
「さて、私は定時報告もあるし、船室に戻るね」
「あ、はい。色々とありがとうございました」
「いいんだよ、別に。それじゃ、頑張って」
 そう言って、ルゥナは船内の奥へと消えて行った。
「……僕も、もう少しバトルしておこうかな」
 もっと、経験を積まなくてはならない。経験を積んで、強くならなければ。
 そう思いながら、フィアはバトルを希望するトレーナーが来るのを、待っていた。



「ふぅ……」
 一息つきながら、ルゥナは割り当てられた船室に戻る。
 船で島々を移動するホッポウ地方は、造船技術が非常に高い。小さな島でもそれなりに大きな船が停泊するので、乗客の人数に対する船の大きさが明らかに大きく、乗客一人に対して一つずつ部屋が割り当てられていた。
 ルゥナは荷物を机の上に置くと、P・ターミナルを取り出す。
 画面を操作して、インストールしてある通信機能を起動。ただし、ただの通信機能ではなく、特定のコミュニティでのみ使用可能、通信傍受対策が徹底して施されている最新鋭の通信機能だ。主に機密情報の保持のために用いられる機能である。
 音が漏れないように、専用のイアホンを接続し、耳に嵌める。しばらくして、真っ白な画面に【GGA】という文字が表示され、イヤホンから音声が聞こえる。
『こちら、アシッド機関エントランスです。お名前とご用件をどうぞ』
「ルゥナです。代表の回線に繋いでください」
『了解です。コード、タイプを肉声で15秒以内に入力してください。どうぞ』
 この徹底した機密保持のセキュリティ。最新鋭の技術を駆使したものから、馬鹿みたいに幼稚なもの、原始的すぎるものまで、様々な種類の防衛線を縦横無尽に使い尽くすセキュリティ。
 ここまで徹底する必要はあるのかとたまに疑問を感じるが、自分の所属する組織が研究しているものの都合上、そうなるのも致し方ないとは思う。
 15秒経過したら自動的に登録している個人情報がすべて削除されてしまうので、ルゥナは急いで、かつ冷静に自分の存在を証明するコード、タイプを、他ならぬ自分の声で入力する。
「LUN154608457。白銀の闇、ルゥナです」
 ほとんど無作為に選ばれた文字と記号と数字の羅列。謎のコードネーム。そして、最後に自分の名を名乗らなければ解錠されない引っかけつき。
 ミスも許されず、ちゃんと発音しなければ即座に弾かれるので、ちゃんと入力できているかいつも不安になる。
『解錠コード、カラータイプ、声紋。すべて認証しました。代表室の回線に接続します』
 しかしそれは杞憂だ。今回も、ちゃんと入力はできたようだ。
 希望した回線に接続され、連絡が可能となる。ここまでしないと連絡ができないというのも手間だが、しかし機密保持のためならば致し方ない。
 少し待つと、すぐにイヤホンの奥から声が聞こえてくる。
『よぅ、ルゥナちゃん! 定時報告まではちょっとはやいぜ? ケヒャハハハ!』
 どこか子供っぽい男の声。人によっては不快感を催すらしいけたたましい笑い声が耳の中で響く。なんだか上機嫌だ。
「ちょうど報告することがあったので。いっしょに定時の方も済ませていいですか?」
『二度も連絡するのは無駄だもんな。合理的なのは悪くないぜ。許可する。で、どうした?』
「ターゲットBFと接触しました。ターゲットGFとはまだですが、すぐに接触可能だと思います」
『そうか。ごくろーさん。んじゃ、引き続き監視、保護を頼むぜ』
 これで定時報告は終わり。基本的に詳細は提出するレポートに記されているので、口頭での連絡はこの程度だ。緊急事態が発生したとか、活動に意見があるとか、そのようなことがなければ一分足らずで終わる。
 しかし今回ルゥナは、それだけで終わらなかった。
 気になっていることがあったのだ。
「……あの、代表」
『なんだ?』 
「どうして私たち……というか私が、こんなことを……? こういうこと、とても代表がやりそうなこととは思えないんですけど……」
 三日前の夜のことだ。
 いつものように自分自身の力について究明するため、ホッポウ地方を巡っていたルゥナは、代表からの連絡を受けた。それは、指令だった。
 内容は、とある人物——ターゲットBF、及びGFの二名の監視、保護だった。
 あまりに急な指令で、内容も自分たちの目的とは外れているように思えたが、他ならぬ代表から直接下された指令だ。受けないわけにはいかなかった。
 もっとも、ルゥナが選ばれたのは、性格的なところもあったが、それ以上にたまたまターゲットの一番近くにいたという、ただそれだけのことなのだが。
『あー……ま、いいか。ルゥナちゃんには言っておくぜ。頼まれたんだよ』
「頼まれた? 誰に、ですか?」
『大昔にやり合った前代英雄……ま、ちょっとした昔馴染みだわな。ちぃっと心配性なところがあってな、不安だから僕んとこの職員使って見といてくれってよ。ったく、あいつの頼みじゃなけりゃ、ぜってーに引き受けなかったぜ。ケヒャハハハ!』
「……なんだか、楽しそうですね」
『どこがだよ。ま、そういうわけだ』
「はぁ。まあ、とりあえずは、大体は理解できました」
『保護っつっても、そんなに手ぇ出さなくていいぞ。あくまで最低限かつ最小限、そしてルゥナちゃんのレポートを優先させてくれ。僕らにとっちゃ、そっちの方が優先事項だからな』
「はい。わかりました」
 誰かに頼まれた、という理由は意外だった。自分で頼む、というか押し付けることはあっても、とても他人の頼みを素直に引き受けるような人だとは思わなかった。
 しかし、結局は自分たちのことを最優先、というのは、如何にも代表らしかったので、少し安心した。
 これ以上連絡することもなく、ルゥナは回線を切った。
 それとほぼ同時に、船内にピーッ! という警笛のような音が鳴り響いた。そして同時に、アナウンスが流れる。

『サミダレタウンに入港しました。船内にいるお客様は、下船の準備をしてください。繰り返します——』



あとがき。今回は語りたいことたくさんありますが、本編が長いのでさっくりと。やっぱりブラッキーはいいですね。以上です。次回、サミダレタウン編をお楽しみに。

オリキャラ募集 ( No.37 )
日時: 2017/01/10 19:22
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: U7ARsfaj)

 タイトル通りのオリキャラ募集です。
 リメイク前のケジメというか、こればっかりはどうしても無視できなかったです。
 オリキャラは扱いが色々難しいので、自分の作品を作る上では、ない方が良かったりもしますけど。
 まあ、稀に自分では到底考えられないような発想のキャラが出て来るので、そういうのを楽しみつつ、募集しようと思います。

 では以下、注意です。長いですが、よく読んでくださいね。不備があると問答無用で不採用になると思うので。



一・まずオリキャラの人数は、まだ決めてはいません。その辺はこちらの都合と気分で決めます。


二・設定が細かすぎてもあれですが、大雑把すぎても中身すかすかになってしまうので、わりと練った設定の方が嬉しいかもしれません。ただし最強設定や、世界観や常識的に無理のある設定はご遠慮ください。


三・オリキャラの手持ちポケモンについてです。使用可能なポケモンは、非公式なし、第一世代から第七世代までのポケモンとします(技や特性なども同じく)。また、伝説(隼伝説)、幻、それから御三家とブイズは原則として禁止です。

四・今作の目玉と自称している特質(TAS)についてですが、これはあっても構いません。よくわからなければない方が無難だと思いますが、付ける場合は名称とそれのルビも一緒に考えといてください。名称は基本的に漢字3〜4文字。ルビはカタカナ。よくわからないときは作者に丸投げしても構いません。こちらについても、仰ってくだされば作者が説明いたします。


五・これは募集した後のことになりますが、後から『新技を覚えた』『手持ちが進化した』などの追加設定などは認めています。なので、最初は未熟だけれども話が進むにつれ成長していく、というキャラクターも投稿可能です。もしも追加設定がある時は、そのたびにご連絡していただけると助かります。


六・今作では、博士が言っていたように、ポケモンに通常では覚えられない技を覚えさせることが可能です。とはいえ、そのポケモンが覚えそうな技で、ある程度の限度は守っていただきますが。


追記・リメイク前に募集かけた時にキャラクターを投稿してくださり、採用された方は、できるだけ優先しようと思います。ただし投稿されるキャラはリメイク前と同じでなくても構いません。同じキャラでも、多少の設定変更や手持ち変更なども構いません。不公平にはなりますが、リメイクに際して、リメイク前の投稿を完全になかったことにはできません。どうかご了承ください。



 以上だけでもかなり長いのに、まだ何か言い足りないような気がします。思い出したら追加するので、そのつもりで。かなり厳しく書きましたが、普通に投稿していれば不備なんてないと思うので、とりあえず投稿してみてください。採用するのは一人につきオリキャラ一人ですが、一度不採用になればまた投稿することはできますので。
 以下の用紙をコピーしてお使いください。





オリキャラ用紙

名前:(カタカナ6文字以内)
年齢:(極端な幼児や500歳の仙人とかじゃなければ)
性別:(男か女。それだけです)
性格:(要はどんなキャラであるか)
容姿:(人によってはただの付属品)
特質:(なしなら空けておいても構いません。ありなら詳細を。ポケモンバトルに関係あるものでお願いします)
備考:(キャラの設定等)



手持ちポケモン(数は決まってませんが三体くらい。名前、技、特性、性別は必須。ニックネームは原則なし。戦術や性格などはご自由に。ただしポケモンが喋るとかは困る)



サンボイ(最低三つ。キャラの口調が分かるようにお願いします。性格よりこっちのが重要)
「」
「」
「」





 なにが疑問、質問などがありましたら、作者まで気軽にどうぞ。

ポケットモンスター 七つの星と罪 ( No.38 )
日時: 2017/01/29 09:43
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

名前:テイル
年齢:17歳
性別:男
性格:活発で、熱血漢な少年。良く言えばフレンドリーだが、悪く言えば慣れ慣れしく、お調子者で向こう見ずが目立つところが欠点。しかし、何よりも誰よりも電気タイプを愛していると自負している。
容姿:フード付きのトレーナーを着ており、髪色は茶。背丈は年にしては高い方。
特質:無し
備考:親が厳しく、勉強漬けの生活に嫌気が差して半ば飛び出す形で旅に出たために、この年でまだトレーナーになったばかり。電気タイプばかりを使うものの、自身の手持ちを特性やタイプで地面技が効かない電気タイプで固めているところや、最初こそ真っ向勝負で相手に突っ込んで行くも、敵わないとみると補助技で厭らしく攻め立てる戦法を得意とするなど、決して一筋縄ではない。目標は、シンオウ最強ジムリーダーのデンジを超える電気タイプのジムリーダーになることらしい。

手持ちポケモン
エモンガ♂
性格:むじゃき
特性:でんきエンジン
技:スパーク、影分身、電磁波、エアスラッシュ
解説:テイルの相棒で、いつもその肩に乗っている。テイルのポケモンの中では、一番素早く、その動きで敵に反撃の隙を与えない。ヒットアンドアウェイを得意とし、ある意味最もテイルのスタイルに一致したポケモン。

シビシラス♂
性格:いじっぱり
特性:ふゆう
技:体当たり、電磁波、チャージビーム、スパーク
解説:特性・浮遊で弱点が無いポケモン。ふわふわと、空中を泳ぐような動きで相手を撹乱し、アウトレンジからチャージビームで特攻を上げつつ、攻撃する戦法を得意とする。また、接近戦もスパークを使えるので油断はできない。ただし、素のスペックはそこまで高くは無い。

ロトム
性格:れいせい
特性:ふゆう
技:電撃波、怪しい風、怪しい光、騒ぐ
解説:いつもケタケタと笑っており、悪戯好き。ゴーストポケモンらしい状態異常やデバフを得意とする。エモンガを超える厭らしい技のラインナップであり、変化技でちょっかいを掛けながらじわじわと削っていくスタイルを取る。エモンガとの違いは、真っ向からの勝負はそこまで得意ではないということ。

サンボイ
「俺はテイル。まー、さっきのバトルは凄かった。痺れてきたよ。久々にバリバリしてきたぜ!」
「電気ポケモンと電気タイプを使う奴に悪い奴はいないからな。お前も電気タイプを使うと良いぜ、いや本当、電気タイプは良いぞ!」
「ビリッ、と来た! 要はその、グリモワールなる連中をぶっ潰せばいーんだろ? 至って簡単!!」
「……悪くはねぇな、やっぱりバトルしてる時のこの感覚ッ! 痺れてきたぜ!」

どうも、タクです。先日DMの方で感想は一先ず送りましたが、今後もそちらの方になると思います。
ただ、やはりリメイク前に比べて設定がはっきりしていたり、グレートアップしてるな、という印象。さて、今回再びリメイク前で投稿していたオリキャラを投稿するにあたって、久々にリメイク前の方を読んでいたのですが、こちらのLife programのカエデとリメイク前の四天王の1人の名前が被ってしまっていたのをお詫びします。展開とかを意識したのをあるにはあるのは、前も述べた通りですがまさかこっちまで被ってるとは……もう1度読み返すまで気づきませんでした、申し訳ない。
というわけで、恐縮ですがリメイク前で投稿していたオリキャラのテイルを上げていきたいと思います。
まあ、もう自分の小説にも何度か出してしまったキャラですが、また不都合などがあればお知らせください。それでは。

ポケットモンスター 七つの星と罪【リメイク版オリキャラ募集】 ( No.39 )
日時: 2017/01/09 23:17
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: U7ARsfaj)

>>38

 コメント及びオリキャラの投稿、ありがとうございます。
 カエデに関しては、気にしなくていいですよ。そもそもあの二人は、ジムリーダーのモミジと四天王のカエデで、いわゆる紅葉の名前の姉妹にするつもりだったのですが……モミジの方が別のお方が先に使用、どころかフレア団幹部に同じ名前のキャラが出てしまい、やむを得ず名前をイロハ(イロハモミジから)に変更したものの、あまり気に入ってなかったので、もういっそ全部変えてやろうって感じでした。
 そもそも、名前しか出ていないキャラでしたし、印象が薄いのは当然ですからね。

 オリキャラの方は、やっぱりテイル君ですね。以前にも採用しているキャラなので、優先的に採用を検討します。まあ、リメイク前に採用しているので、たぶん採用になると思いますけど。
 しかし、手持ちもそのままなんですね。エリキテルとか、メリープ系とかを入れてくると思いましたが。でも技はちょっと変わってますね。
 設定も少し追加されてる……とはいえ、現時点では不備らしい不備は見つからないので、問題ないです。また設定の追加等があったらご連絡ください。

 ありがとうございました。


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