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*14*
慎は状況を理解するために、警備員に詰め寄る
慎
「…………あの、一体何が!?何故映画が止まったんですか!?」
警備員
「この男は法律違反となる行為を犯しました」
詩伍郎
「法律違反………!?」
警備員
「今年度より定まった【音楽法】により、雑音騒音、あるいは大衆の人間にとって迷惑になる音を出した人間は罰せられます」
慎、詩伍郎
「「な、なんだって!?今はそんな法律があるのか!?」」
男
「は、離してくれ!!俺はただジュースを飲んだだけじゃないか!」
警備員
「ジュースをすする音は雑音です、貴方は5万円の罰金となります」
詩伍郎
「5万円!?それだけで5万も取られるのか!?」
警備員
「法律ですから」
男
「嫌だああああああああああああ!!!」
雄吾
「…………」
慎
「………ごめん、2人とも」
慎
「せっかく来てもらったのにこんなことになって」
詩伍郎
「何気にすんな、蒼薔薇が悪いわけじゃないんだ」
雄吾
「そうですよ、法律が絶対ですから」
詩伍郎
「いや、その慰めはないだろう」
雄吾
「ごめんなさい」
慎
「…………法律かぁ」
慎
「なんだか世界中生き辛くなったなぁ、ちょっと誰かが嫌になるような音を出してしまったらそれだけで罰せられる」
慎
「毎日気が抜けないよ、常に綺麗な音を出さないといけないから」
詩伍郎
「ふーん………バイト先でしょっちゅう揉めてるところ見るのはそういうことね」
慎
「こんな時代じゃ………詩伍郎先輩も大変ですよ」
詩伍郎
「どうして?」
慎
「詩伍郎先輩ってまだ歌手を目指してますよね?………でも、この時代じゃ難しいですよ、だって先輩の好きなジャンルは………」
雄吾
「ロックンロール………」
詩伍郎
「大丈夫だ蒼薔薇、ロックだって立派な音楽のジャンルのひとつだろ?」
詩伍郎
「最近はロックを時代遅れと言うやつもいるが、今流行りのクラシックなんてロックよりよっぽど昔だ」
詩伍郎
「ロックが不遇なら、俺の手で再びロックを認めさせる!」
詩伍郎
「それくらいの心構えを持って歌う………それだけさ!」
慎
「………ははは、先輩は相変わらずで安心しましたよ!」
慎
「僕も今度こそは主演になれるように頑張らなくちゃ!」
詩伍郎
「お前なら絶対主役になれるぞ、蒼薔薇!」