コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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日時: 2011/01/04 22:13
名前: ハッチしゃn (ID: ymYDaoPE)

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Re: ざけんじゃねぇ!! 更新開始! ( No.11 )
日時: 2010/12/10 17:42
名前: ハッチしゃn (ID: ymYDaoPE)

第七「レベル9を生みだす使徒」


「待ちなさいよ。」

坂条は、闇の奥に消えた少年に話しかける。いるかいないかは分からないが、反応は示した。

「ん?」

「あたしを殺すなら、今殺しなさいよ」

少年はくだらないと思ったのか、缶を蹴り上げた音を響かせ、気配が消えた。

「・・・なんで無視すんのよ。ちくしょう!」

坂条はすぐさまに北武市へと走って行った。



「それにしても、まだ帰ってこないのか?」

「・・・・お姉ちゃん、ゲームとか好きだから」

心配をしていたが、ゲームセンターとなるとなんつーか、心配するのが損だと感じる。不良とかには絡まれないだろうか・・・?いや、あいつなら大丈夫だ。

絡んできたら逆にそいつらの命が心配だ。


ほんと、権力が高い奴ほど不良に変わってくんだよな。

時計を見るともう夜の11時だ。女子中学生でもこんな時間まで遊んでいいのだろうか?

「お前もさ、妹として注意したりしねぇのか?」

真奈美は皿洗いを終えたのか、テーブルに戻ってきた。

「別に、お姉ちゃんだって一人になりたい時だってあるし。尾崎君に言われる筋合いはないよ」

なんか怒らしてしまったらしい。

俺はごめんといってテレビへと意識を集中した。


夜十二時へ回った時、奈津美が帰ってきた。

それも疲れた顔をしている。

「あ・・・、あんたまだいたんだ。・・・真奈美、疲れたから・・・もう寝るね」

「お、お姉ちゃん、お風呂とかは?」

「うん・・。入る」

俺はそのあと、二人の就寝に邪魔にならないように自分の部屋へ戻って、眠りに就いた。

Re: ざけんじゃねぇ!! 更新開始! ( No.12 )
日時: 2010/12/10 17:43
名前: ハッチしゃn (ID: ymYDaoPE)

現在時刻、AM7:50

日曜日なのにこんな早く起きてしまった。

もったいない。寝れるなら寝ちゃいたいところなんだが、昨日の坂条の様子を見ているとそうも思えない。

あの眼。疲れ切ったというよりかは・・・あきらめた眼というべきか。表現がしにくいんだが何と言えばいいんだろうか。

放心状態…か。

そうだ。心がないように思えた。ゲームセンターで苛立ったとしてあそこまでなるはずがない。

坂条 奈津美はゲームセンターなんかには行っていない。もし行ったとしてもあいつのマネーカードはちゃぶ台の上に置いてあった。

あいつになにがあったんだろうか?

俺はこういう疑問だらけになった時、直接聞く性格だ。男子学生なんかが、もう一度女子の部屋に行くのは気が引けるが・・・あいつの状態だけは何か引っかかる。

男子にはとか、差別的要素とはあれは全然違う眼だ。

聞かなければいけない予感がする。いやな予感がする。

何なんだ?この胸のざわめきは。ものすごく冷たいんだ。

俺は部屋から出て、このマンションの下にある坂条家の前に着いた。ゆっくりとインターホンを押す。

音は部屋の中だけに少し響いた。・・・だが気配がない。それどころか、誰も出てこない。

確か、妹さんは今日友達と出かけると言っていたが、奈津美はないのだろうか?

ドアノブを回し、引いてみると、鍵がかかっていなかった。ドアの隙間だけを開けて、確認をとる。

「あの〜坂条さん、いますか〜?」

これを三度言ったがまるで反応はない。

俺はドアを開けて、玄関先へと入った。

また同じように口を開いたが、誰もいない。

少しだけ玄関から、居間に移動するとテーブルに置き手紙のような白い紙が敷いてあった。

それを拾い上げると、坂条奈津美から妹への手紙だと分かった。

読むのはよそうと思ったが、気になる一文を見つけた。

‐あと、自分の事は自分で考えなさい。じゃあね‐

・・・これは・・・遺書か?

手紙にはもう一つあった。‐今日は遅くなるから、明日帰るね‐

これは怪しすぎる。昨日のことといい、今日といい、あきらかに何かがこいつに迫っている。

銀行の時みたいに、俺は情けねぇことはしてられねぇ。もう決めた。だから、勘違いでもなんでも今日は坂条奈津美を見つけ出して、窺って見る。

俺は即座に坂条の部屋から出て行った。

Re: ざけんじゃねぇ!! 更新開始! ( No.13 )
日時: 2010/12/10 17:44
名前: ハッチしゃn (ID: ymYDaoPE)

現在時刻、AM11:30

あれから坂条がいつも行っているコンビニを探しまくった。あいつは漫画が好きで、立ち読みしまくるタチだから、居ると思ったんだが、残念だがいなかった。

今のところ、昼食の時間だが、腹は減っていない。

まるでこれじゃストーカーっつぅかとにかくキモいよな。さっきから同じ道を何度も走っている。周りの視線が痛い。

ここまで探していないというのが逆に珍しいと考えるべきか・・・。

「はぁ・・・はぁ・・・・」

息も荒れている。

よ〜くみたら、汗がすごいことになっていた。臭いは異常ないが、汗まみれで動くのも辛い。喉も徐々に渇きを示してきた。

なるべくあまり人通りのない公園で、水を浴びたい気分だ。

おっと失礼。これは不審者と思われるな・・・。だが

俺は人がいないのを見計らって、口を大きく開けた。

訴えたい。男子ならいつもやってることを。

「皆さん!暑かったら水浴びたいでしょ!(公園で)別に不審者ではありませんよ!不審者ならプールに行ってるあなたたちも不審者ですよ!」

つまりそういう事です!といったような顔をして、尾崎浩太は両手を組んだ。(馬鹿か・・・)

尾崎は決心したようにこのくそ暑い中を走り、あまり目立たない公園へと向かうのだった。


ヤバイ・・・非常にヤバイ。

尾崎浩太のワイシャツはほとんど汗で濡れてしまったのだ。別に彼が代謝がいいとか、汗がかきやすい体質なのではなく、この40度を超えているのが原因。

「あっちぃ・・・」

両手で襟を持ち上げ、風が来るように振り続けている。

どうもこの時間は公園で遊んでいる子達が多い。

水浴びするのにも時間がかかる。デパートに行ってエアコンを涼しみたいが、この汗では中には入れない。

適当にふら〜っと歩いていると、知らない公園に着いてしまった。

看板を見ると”北武市区外第七地区 第3公園”と載っている。

う〜ん・・・ここでいいか。子供たちの声も聞こえないし。

尾崎浩太は上半身だけワイシャツを脱ぐと、蛇口を探して、あたりを見回した。そこで一人の影があった。

顔は見えない。眼が悪いのではなく、汗で見えなくなっているのだ。

そこで気づく。この声で。

「あぁっんた!な、なに上半身露出してんのよ〜!」

尾崎はその声を聞いて正気を戻し、本人なのかどうか確認をとるために、坂条奈津美へと全力疾走で前進した。

奈津美視点‐

な、なんなのよあいつ!なんで汗まみれなの!?それも鼻息が荒すぎだっつの!こっちまで聞こえる!

うわぁっ?!なんかこっちに向かって走ってきたぁっ!!

「へっ・・・?い、いやぁああああああっ!!」

‐‐‐

尾崎浩太の眼がマジだったのか、坂条奈津美は怯えて、両手を強く握りしめながら、尾崎が飛び掛かったところで、竜巻を巻き起こした。

「じょっど!待ってく・・・れぇええええええぇぇっ!」

あまりにも殺風景な土地に似合わないような、少年の叫び声が響いた。

だが・・・だれもその声は耳には届かなかった。

Re: ざけんじゃねぇ!! 更新開始! ( No.14 )
日時: 2010/12/10 17:45
名前: ハッチしゃn (ID: ymYDaoPE)

ええと、なんだろうこの状況は。

俺は坂条の竜巻をくらって、後転姿勢で砂場に打ちつけられた。・・・めちゃめちゃ砂がついた。

今は起き上って砂を払ったところだが、坂条はまだ赤面をしている。打ちつけられた背中が痛い・・・。

「あ、あんた・・・なんでこんな人気のない公園にいんのよ」

俺は蛇口に向かい、その質問に答えた。

「・・・紙見たから」

蛇口をひねって水を出す。手で確認すると冷たい。そのまましゃがんで頭から浴びた。

後ろでこの行動に驚いたのか、砂利が靴で後ずさるような音が響いた。

「勝手に・・・人の家に入るって、どういう神経してんのよ。・・・変態じゃない」

その言葉は頭に来たが、俺は無視するように、頭から背中へと水を浴び続けた。

「・・・仕方ないだろ。昨日のお前、おかしかった。なにかあったんだろうか?って思ったら、家の中は誰もいないし、それに鍵あいてるし、・・・鍵を開けたまま出かけたお前が悪い。」

立ちあがって、ベンチに尻をついた。

「・・・それは・・・悪かったわね」

そっぽを向くように坂条は謝った。素直に謝ればいいものを。

俺はベンチによりかかって、太陽の光に体を照らす。
早く乾くことを望んだ。

すると坂条がいきなり俺を指差して言ってきた。

「と、とにかく!人の前で露出すんなっつの!///」

「そんなのどうでもいいだろ。乾くまで待てって」

「だったら私の前にいるなぁぁっ!!」

すっげぇ赤面。なんでだ?

なぜ顔を真っ赤にするのか分からない尾崎。疑問を抱きながらも、坂条の目の前からは移動はしなかった。

「だ、だから・・・」

「お前が後ろ向けばいいことだろ」

平然と答えた尾崎にムカついたのか、坂条が右手を尾崎に向けて構えた。

「なっ?! ・・・お前、何する気だ!」

坂条は震える唇を噛みしめ、口を開いた。

「あんたがどかないってんなら・・・私が自力でどかすしかないんだよね・・・? 馬鹿だったわ私。」

不気味な笑みをし、準備万端だと言った。

それに怯えた尾崎があわててワイシャツに着替えるが、手遅れだった。突風が尾崎に突する。



だが・・・尾崎が言った”言葉”で風は即停止した。

「坂条、俺を頼れ!」

と。

奈津美がその言葉に止まってしまった。「頼れ」という言葉に。

「頼れって・・どういう事?」

俺は、真っ直ぐな目で見つめて答えた。だが、それは奈津美も同じだった。

「お前を助ける。お前が誰かと戦うのは、あの手紙で分かる。あれじゃ、妹さん泣くぜ? 遺書そのまんまだったよ」

「ははっ・・・分かってたんだ。でも頼らないわ。レベル8だもの。あいつ。・・・ねぇ、レベル8はこの国で5人しかいないんだって。あいつはそのうちの一番目なのよ。私は四番目。どんなに強かろうが、あいつは強すぎる。あんたが死ぬだけ」

そう言って、奈津美は一歩ずつ尾崎に向かって歩き始めた。

彼女は、一人で戦おうと決心していた。でもそれは・・・彼女にとっては自殺行為に近かった。

助けてほしかった・・・。彼女の本音。だが、

尾崎だけには言われたくなかった。

「・・・なんであんたに頼らなきゃなんないのよ。なにを頼ればいいのよ。・・・・レベル1のあんたに何を頼ればいいのよ! 何もできないくせに!・・・他人を救うのには、それ相応の力があってから言えるのよ! レベル1のあんたが生意気なこと言ってんじゃないわよ!・・・ざけんじゃないわよッッ!」

坂条 奈津美から竜のごとく竜巻が壮大な力で摩擦し、そこらの土が舞い上がる。

「これで最終通告。もう私には関わらないで。さぁ・・・今のうちに帰って。そうすれば見逃してあげるから」

俺はどかねぇ。あいつが戦う奴なんて知らない。けど、あいつの怯えたあの眼は、助けを求めていた。

無力でもいい。俺はあいつを助ける。銀行の時といい、俺はいつも無力。幼稚園のころから今に至るまで、助けられていたのは俺だった。

けど・・・どんな無力でも、能力は見つかった。こいつにはお世話になりまくった。幼馴染で、いつも助けてくれた。・・・なぁポタコン、遠距離からでもコードナンバーを言えば能力は使えるのだろうか?

(一応、使えます。彼女に見せてください。あなたの能力を。)

俺は、もう覚悟を決めた。あいつに見せてやる。ゆっくりとナンバーを言った。
「1・・092・・47・・#*・・*PQ 」

俺は目の前に風が起きていようと、動じない。
絶対に今回ばかりは負けたくない。・・・これが男に巻き起こる、競争感情というものなのだろうか?

今のおれは、そのレベル8の男を倒したくて仕方がなかった。・・・守りたい。

「なによ!なに独り言言ってんのよ!分からない子供は、一発 歯ぁ食いしばっとけッッ!!」

そういうと、坂条奈津美は尾崎に向かって竜巻を突き通した。

尾崎に風が当たる。・・・その時だった。

Re: ざけんじゃねぇ!! 更新開始! ( No.15 )
日時: 2010/12/10 17:46
名前: ハッチしゃn (ID: ymYDaoPE)

尾崎に風が当たろうとしたとき、両手を構えた瞬間、竜巻は一瞬でかき消えた。

これには奈津美は驚きを隠せなかった。

「なんで・・・?あんた、無属性で・・・レベル1なのに・・・・。なんの・・・・能力よ・・・?」

尾崎はワイシャツのボタンを一つずつ閉めて答えた。

「無の能力。俺の能力は、その存在価値を打ち消す能力。・・・・この前やっと使えたんだ。それと・・・たぶん今ので経験値溜まったから、レベル2だなこりゃ。意識が消えねぇもん」

着替えた後に、両手を伸びあげると、奈津美の肩を掴んだ。

それに奈津美は驚く。

「な、なによ・・・」

真剣な眼差しが、奈津美の心を誘惑する。
何も考えていないのに、また顔が赤くなる。奈津美自身、自分がどうしたのかと心を落ち着かせようと一息漏らす。

そんなことをした瞬間、尾崎は掴んだ奈津美の服を自分に寄せて、奈津美を抱いた。

どうすればいいのか・・・混乱状態の奈津美を考えず、尾崎は誓いを言った。

「俺、・・・お前守るから。絶対守るから。」

その声は、奈津美にはキツすぎた。もう何も考えれない。
ただ分かることは、奈津美の本気を出した力を消されてしまったことだった。それもレベル2に。そして今、抱かれてることだった。

考えてられない・・・でも、「絶対守る」の言葉だけが、考えられた。いや、考えさせられた。

奈津美も同様にゆっくりと両手を尾崎の背中にまわした。震えながら、背中を触る。

本当に守ってくれるの・・・?あたしのこと。

尾崎も顔を赤くした。二人とも赤く染まる。

「・・・守ってよ・・・・。私の事・・・助けて・・。」

太陽の光が照らす。暑いが、二人はもっと熱くなっていく。

尾崎は頷いて、そのまま奈津美を離すことはなかった。奈津美も・・・離さなかった。





あれから俺たちは、レストランへ行って、昼食を食べた。ゲームセンターに行ったり、カラオケにも行った。あいつが歌がうまいことが意外だった。まぁほとんど、あいつが行くようなところは男でも楽しめたからよかった。


それに、あいつが優しくなった。前なんて、すぐ風を飛ばすのに、話を合わせてくれて。

今の時間はもう約束に近い15分前だ。公園にも到着している。あのベンチで今座っている。

「なぁ、お前、なんでこんな優しくなったんだ?」

俺はまじめに疑問に思ったんだが・・・。

また赤面する奈津美。

「・・・そんなこと・・・自分で考えなさいよ・・・」

こいつが赤面すると訳分からん。考えろっつってもなぁ・・・?
考えていると、奈津美が口を開いた。

やはり能力に興味があるようだ。

「なんであんた、レベル2なのに私の風、消せたの?」

ポタコンに言われて通りの説明をしてやった。
これは皆さんも知らないだろう。

「俺の能力は、レベルなんて関係ないんだ。たとえば、もしレベル1の時にお前が竜巻を行っていたら
、俺はぶっ倒れている。」

ここはカンがいい女だった。即座に答えたのだ。
「つまりあんたの能力って、打ち消せる量が多ければその分の体力を吸いとられるってこと?」

「そういうことだ」

俺は笑って答えた。だから・・・。

「もう少しで来る、そのレベル8が来たら、俺はそいつの能力ごと消すつもりだ。だから、ぶっ倒れるかもしれないし、死ぬかもしれない。でもその時は俺にかまわず、倒しておけ」

奈津美が眼を見開いた。

「・・・え?」
俺は笑って、「いいだろ、別に」と答えた。

まっすぐあいつを見て俺は笑った。

でも坂条は、暗い顔をした。

「なんでそんなこと・・・笑って言えるのよ」

坂条は悲しい顔へと変えた。尾崎はよく分からないが、肩に手を乗せた。

「いいじゃん。」

そして坂条も、なんで笑ってられるのかが分からなかった。二人とも、分からなかった。


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