コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 日時: 2011/01/04 22:13
- 名前: ハッチしゃn (ID: ymYDaoPE)
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- Re: ざけんじゃねぇ!! — 起 — ( No.46 )
- 日時: 2010/12/11 10:28
- 名前: ハッチしゃn (ID: ymYDaoPE)
第18話
真奈美は見逃さなかった。田名中光がテレポートなどしていない事を。鏡と鏡の光の反射で消えたようにしただけなのだから。廃墟ビルには鏡製の窓ガラスがある。それを使えば、と。真奈美は警察の知識を使ったのだった。
そのため、走って逃げて行く田名中光を追ったのだ。
(逃がさない! そしてお姉ちゃんごめんなさい。それでも私は・・・・戦場の一番奥深くへと進む!)
その気持ちを曲げずに走る。逃がしてたまるか。その気持ちがあらわになっている。その意思で挑む。
「・・・? あら、だれかと思ったら、妹さんね」
真奈美が、十字路を通ると、そこには探していた田名中が隠れていた。
「へぇ・・・あなたから出てくるなんて、嬉しいですよ。」
真奈美には、恐れる言葉はない。もう逃がさない。真奈美には痛いほど姉の気持ちを味わった。だから、それを覆す事は出来ない。
「あら? あなた雰囲気変ったわね。でもいいの?あなたはレベル6、私はレベル7。勝ち負けはもう決まってんじゃないかしら?」
真奈美は少し、一拍を置いて、呼吸してから言った。
「確かに、貴方を倒すことは出来ないかもしれないです。でも、逃がすつもりはありません」
田名中光は笑って「何言ってるの? あなた私がテレポートして逃げたらそれでおしまいよ?」
そして今度は真奈美が笑い、「じゃぁ、テレポートしてください。」と言った。
田名中が真奈美を睨みつける。それはなぜか? そう、真奈美は彼女の弱点、欠点を見つけたのだ。それはやはり、姉との戦いを見ていたから気付いたことだった。
「あなたは・・・自分をテレポートすることは出来ない。 そして、物ではない・・・人も。」
「・・・なぜ?」と、田名中は首を傾げる。
「だってあなたの能力は”座標”である物からしかテレポートできないからですよ」
「じゃあ、なぜ私は、レベル8の風をかわしたのかしら?」
「ええ。そこは疑問に思って”いました”。でも、分かったんですよ。鏡と鏡での幻想を作り上げているのなら、鏡をずらせば、一瞬動いたことになるって。」
今の真奈美の表情は勝ち誇った顔だった。その隣にいる田名中は、薄気味悪い笑顔を浮かべている。
「へぇ〜、それであなた、これからどうしようと?」
真奈美はゆっくりと閉じた瞳を開け、まっすぐ見つめて。
「あなたを・・・ここで逮捕します」
二人の周りに・・・沈黙が漂った。
- Re: ざけんじゃねぇ!! — 起 — ( No.47 )
- 日時: 2010/12/11 10:28
- 名前: ハッチしゃn (ID: ymYDaoPE)
第19話「これが、坂条真奈美」
二人の周りに長い沈黙が流れたが、それを田名中は滑稽に壊した。
「逮捕・・・? ははっ! やってみるもんならやってみなさい! お前の身の程を教えてやる!!!!」
真奈美も負けじと言う。
「ええ、だから! その第一歩ですッ!」と。
真奈美は目の前にいる田名中に目がけて直径15センチ、縦1メートルの炎を投げつける。
突如、その炎はかわされ、田名中は真奈美の背中へと回っり、右足で蹴り上げた。
「−−−−!?」
「ほらほらぁ、押されてるのではないのかしらぁ!?」
真奈美はその蹴り上げた足を肘で止めて、後ろに下がった。
「へぇ、器用なまねね。」と、田名中は笑う。それをみた真奈美は、不快にしか思えない。だから言った。
「ほら、どうしたんですか?田名中さん。 あなたの力なら、私をすぐ倒せるはずですよね。手加減しないでください! ・・・舐めんなよコラ!」
その言動に田名中は少し驚くが、もう一度笑みを取り戻し、攻撃態勢に入った。
そう彼女は別にいつでも敬語や丁寧語を使うわけではない。やはり姉と似ていて、頭にくると言い方が汚くなるのだ。
それを見た田名中は、さもおかしそうに笑った。
「あっはは! あんたさ〜、そういう言い方出来んのなら、丁寧語なんて使うのは適切ではないわ。」
そう言いながら、田名中は、真奈美に向かってシャーペンを見せつけた。
「あんたさ、まだ傷癒えてないんでしょ? 応急手当てだけって、馬鹿よあなた。 今も・・・脇腹が痛いはずよね。もう一度 右腕もコテンパンにしてやってもいいのよ」
「脅迫・・・ですか? 笑えますね。 もう一度喰らうほどの勇気がなくて、ここに立てるとでも? 立てるわけじゃないですか。・・・貴方を逮捕するとためにこの舞台に戻って来たんだ!! やわなこと考えている暇があんなら、ちゃんと戦え!」と、真奈美は言った直後に炎を左手に起こし、何発も田名中へと向けて放つ。
その攻撃を田名中は器用に交わし、そして炎をテレポートさせる。依然、標準は真奈美本体だ。
「じゃあ、さようなら。こちらの操縦計算できたわ。あなたよりもね。・・・ご臨終」
と、彼女は言った後、散らばっている炎をテレポートさせる。・・・・が。
その炎はテレポート出来なくなっていた。なぜだ?
「なにを・・・したのかしら? こんな事は初めてよ?」
「言ってなかったですね・・・私の能力は炎ですが、それ以前に所有能力者なんですよ。別に、能力を二つ持っているわけではありません。 ただ・・・自分の能力を固定する治療をしただけです。・・・他人に能力を使わせるなんて、反吐が出ますから!」
「・・・そう。・・・・。 ・・・じゃあそのまま殺してやる!!」
と、田名中は、奇声な笑い声をあげると、真奈美にシャーペンを掲げて、テレポートさせた。途中で真奈美の呻き声が上がるが、真奈美は炎を放つ。
「・・・がはっ! また・・・刺さっちゃったか・・・」
(どうしてだろう・・・どうして私はこんな危ない敵に向かって手を出したんだろう。・・・負けるのは見え見えなのに・・・。自分で分かんない事やってるなんて・・・とんだ馬鹿だよ・・・) 真奈美は、逆の脇腹に刺さったシャーペンを見ると、目を閉じて言った。
「・・・だから、せめてここで私の”すべて”を出して頑張ってみるよ。」
その真奈美の光景に腹が立ったのか、田名中は、睨みつけて言った、。
「なぁにさっきからちまちま言ってんだぁ!? この小便臭ぇガキがよぉ! てめぇなんかに、暴力団を止められるとでも思ってんじゃねぇぞぉ? レベル6なんかが調子に乗ってんじゃねぇぞッ!!」
先ほどの顔とはもう別人だった。目の前にいる田名中光は先ほどの面影は全くなくなっている。言葉づかい、目の配り方。すべてが変わっていた。それに真奈美は驚くが、その驚きの前に、もう一つの激痛が彼女を襲った。
「ががっ!ああ!あがぁあッ!」
彼女の背中に二本のシャーペンが突き刺さった。
それが、今の田名中には笑えてしまう。
「きゃははっ! ほらぁほらぁ! なまけてると痛い子ちゃんになっちまうぞぉ!?・・・・・・・・・・・・・ああ?!」
田名中が真奈美に突進しようとしたが、その前に、真奈美はスローモーションのように倒れた。足場を崩したように。その光景が・・・またもや田名中の心をくすぐる。
「ぎゃはははははっ! もう終わりかよぉ!? つっまんねぇ警察さんだなぁオイ! 一分も遊んでねぇじゃねぇか! あぁーつっまんねぇ! ここまでしといてよぉ・・・ここで逝っちまうたぁ・・・しょうもねぇガキアマだな!! 滑稽だぜ! ぎゃはははッ!!」
田名中は、壁に寄りかかりながら大声をあげて笑う。その隣には、無残ながらもまだ息をしている真奈美が倒れている。田名中は彼女を見るたびに、笑い上げている。まるで”ざまぁみろ”と言うように。
だが、倒れてしまった真奈美も、まだ意識はあった。まだ、体も動かせた。・・・ただ彼女の体は今のうちに休んでおけというように感じたのだ。それで崩れた”真似”をする。息を整えようと、吸ったり吐いたりを繰り返す。
(まったく・・・笑っちゃうな。 隣に馬鹿笑いしている女がいるのに、体を優先させるなんて・・・。なんてザマなんだろう・・・。こんな事でポリス・スタデントになっているのが笑えてしまう。 本当、つくづくお姉ちゃんを尊敬しちゃうよ・・・。絶対お姉ちゃんならこんなヘマをしない。・・・・いい加減にしろ真奈美!)と、自分自身に言葉を投げかけると、真奈美は言った。
「・・・確かに・・・しょうもねぇガキアマですよ。・・・でも・・・それを貴方に・・・言われたくはない・・・です」
「なぁにぃ? あらら、まだ話せるのね〜、うふふ、いいわ。お姉さんが、そこまでして意識を保っていられる事を讃えて、この世界の真実を教えてあげるわ!」
突然、田名中は機嫌が良くなったように変わると、もう一度、最初のような口調と雰囲気を変え、倒れている真奈美を見て言った。
それには、真奈美も疑問を抱いていたところだった。なぜ姉はそれを知っているのか。・・・まるで極秘のようなものだったので、考えれば、気になってしまう。
その意思表示として、真奈美は田名中を見上げた。
「・・・真、実・・・・?」と、問いて。
- Re: ざけんじゃねぇ!! — 起 — ( No.48 )
- 日時: 2010/12/11 10:33
- 名前: ハッチしゃn (ID: ymYDaoPE)
第19話「これが、坂条真奈美」
「・・・真、実・・・?」
田名中はその問いに薄笑いをする。そして人差し指を夜空に向けると、口を開いた。
「そう。・・・この世界の真実。・・・私たちがなぜ能力を持ったのか、元々隕石が落ちて地球は生まれ変わったとか言われてるその裏の真実よ。」
その言葉に真奈美は目前とする。疑う前に、そんな”真実”など、”考えた事もなかった”からだ。だから彼女にとっては、分からないの前提で聞かなければいけなくなったのだ。
「その・・・真実って・・・・」
田名中は、髪の乱れた所を直すと、真奈美を見た。
「私たちが能力を持ってしまったのは、2010年にさかのぼるの。私たちは、いえ、今の人類が能力開発されて行ったのは、その年なのよ。2010年前までは、人類は”普通”の人間だった。ところが、その年を境に『イコール』という少年が、研究施設で作られたのよ。あなたも知っているでしょう?」
途中の説明で、少年の名前を真奈美に問う。当然、真奈美は体中が傷つけられているため、苦痛の表情を離すことは出来ない。
「・・・ええ、知っています。 最強のレベル8で、その最強の中で最も強い能力者ですよね・・・」
田名中は、夜空に向けた人差し指を振り戻す。
「・・・そう、その最強能力者が、”最初に作られた能力者”なのよ。・・・意味分かる?」
「つまり・・・私たちは、その少年が誕生したことにより、”能力者”を、この世界に量産させたという事ですか?」
「・・・正解。・・・そしてその”量産”された人間が、この世界にいるすべての人たちな訳よ。」
真奈美は絶句する。考えられなかった事が、こうも単純な事実で、世界を操作された事が信じられなかった。(でも・・・待って。だったら、なんで幼い時の記憶で、私は”能力を使っている”の?)
「少し待ってください。だったら、どうして私が2010年以降の記憶で、能力を使っているんですか?」
田名中はまたも、一拍だけ鼻で笑う。
「・・・そこが、科学の力って奴でしょ。その問いに答える前に言っておくわ。・・・私たちの”普通の体”、つまり、私たちの生まれながらにして出来た”本体”は、隔離されているの。」
真奈美は追い付けない。その説明があまりにも”オカルト”すぎるからだ。
「つまりね、私たちの記憶も、体も、全部”能力者の身体”に植え付けられることで、”偽りの記憶”でリセットされているという事よ。・・・どう?こんなことされたら、今の人類は誰も気付けないでしょう? 自分の本当の体が保管されている事も、頭の中の記憶が嘘で塗り固められている事も。・・・誰かが気付かなければ、どうにもならなかったわ。・・・それで私たちは、能力を使える体を手にしたというわけ。」
真奈美の脳細胞がどんどん減って行く。ここまでの真実がありながら、それを知らないで生きている人類。世界各国の人々がこんな真実を見つけられなかったら、・・・この世界はどうなって行ったんだろうか。・・・・でも、逆から見ると・・・・どうでもいいのではないのだろうか?・・・そんなことも、真奈美の頭の中は駆け巡る。
「・・・それで、あなたはその真実を知って、そこからどうするために”戦争”を起こすなんて言ったんですか?・・・暴力団に入って、戦争を起こして、何をする気なんですか? ・・・あなたの暴力団は。」
意外の真剣なまなざしをされたので、田名中は目をひそめる。本来ならこの真実を知ったら、喚くに決まっていると思ったのだ。だが・・・目の前にいる女はなんなのだろうか?・・・こんな真実を知って、あんな眼差しをこちらに向けるとはどういう神経をしているんだと。
- Re: ざけんじゃねぇ!! — 起 — ( No.49 )
- 日時: 2010/12/11 10:35
- 名前: ハッチしゃn (ID: ymYDaoPE)
「何をするって・・・こんな危なっかしい能力をこの世界にあってはならないと思うのよ普通は。・・・だから、戦争を起こして、見事、私たちが政府に勝てたら、全国、全世界に真実を言い放ち、この世界を”更生”しようとしているだけよ。・・・なにか悪い事かしら?・・・私は今の世界が怖いわ。・・・だから治すのよ。」
真奈美はもうろうしている意識を脳に集中させる。絶対に、意識不明にならないように気をつけながら。
「私ね・・・この能力を持った時、正直恐ろしかったわ。・・・こんな人を殺す事も出来る能力が。・・・凄く怖くて、怯えて、いつか大切な人も殺してしまうのではないか?・・・そう、思ったの。・・・だからこの能力を創った奴を見つけ出して、葬ってやるのよ。」
真奈美は凄い目つきで田名中を見た。
「それで、暴力団に加入して、世界を元の位置に戻そうと?」
田名中も、凄い目つきで真奈美を睨みつける。
「・・・ねぇ、だからあなたも仲間にはならない?こんな世界を壊して、国家を私たちが取り、新たな世界を創るの!・・・ねぇ、なりましょうよ!・・・今の私なら、大歓迎であなたを招待するわ!!」
田名中の言葉は、能力者なら絶対に疑問に思う事かもしれない。
この世界の能力者で喧嘩をした者なら、一度は必ず考える事がある。
どうすれば、自分の力を使って相手を上手く傷つけられるか。
それはどの程度のダメージを与えるものか。
痛いか。苦しいか。壊せるか。止められるか。なぎ倒せるか。吹き飛ばせるか。
そして全部終わった後で、ふと寒気に襲われるのだ。
そもそも自分はどうしてそんなものを持っているのだろう、と。
だから田名中光は言う。
本当に、あの時寒気は覚えなければいけなかったのか、と。
その疑問を後ろ盾にして、暴力団に入り、すべてを終わらせようと。
真奈美は歯を食いしばり、・・・そして。
「そんなもの、断固お断りですよ」
真奈美は、左腕に力を入れて、立ち上がろうと足から腰まで、全力を注ぐ。
「これだけの事態を起こしておいてどんな言い草が出るかと思えば、所詮それだけですか。やはり暴力団なんて、言う事が小さいですね。」
「・・・なんですって・・・?」
「当たり前の事にいちいち反応しないでください。そんな自分に酔っぱらった台詞で、私を丸めこめるとでも思ったんですか?・・・大体、能力? 本体? 実験体? ハッ、 今更それが何なんですか?たとえ今から貴方達の行動により、どれほどの可能性が出てきたところで、すでに私たちが”能力者になっている事”に何の変化があるんですか?・・・って言ってるんですよ、坂条真奈美は。」
田名中はあまりの発言に、困惑する。だから、彼女は反論できない。真奈美は、至って普通の考えから言っただけだ。ただ、”普通”の考えで。
「能力が人を傷つける、なんていう言い草がすでに負け犬ですよ。・・・わたしならこの力を使って、害虫の駆除や、祭りなどの火起こしに役立てて見せます。力を存分にふるいたければ、勝手に振るえばいいんですよ。・・・”振るう方向さえ間違えなければ”」
みしり、と脇腹が悲鳴をあげる。・・・それでも真奈美は田名中の方向へと立ち上がろうと踏ん張る。
「私から見れば、貴方の寝言なんて屁理屈にもならない! 力が怖い? 傷をつけるから欲しくない? 口ではそう言いながら! 人にこんな怪我を負わせたのはどこの馬鹿ですか!? 自分たちの行いが正しいかどうか知りたければ私の傷を見てください! これがその答えです!!」
ぐらぐらと、真奈美の足はふらつく。その状態でも制服の隙間から体の至る所、シャーペンで刺さったところを見せ付ける。
「危険な能力を持っていれば、危険に思われると本気で信じているんですか? 大切な能力を持っていれば、大切に扱われると真剣に考えているんですか?馬鹿ですよ貴方は!! そんな楽な方法でいろんな人々が今の場所を立っていられるなんて思ってんじゃない! みんな努力して、頑張って、自分の持てる力で何ができるのか必死に考えて行動して! それを認めてもらってようやく居場所を作れるんですよ!」
真奈美は田名中の制服の襟もとを掴む。だが、力が入らないため、あげることは出来ない。掴めてやっとな状態だ。
「結局貴方の言い草は、自分が特別な才能を持つ能力者で周りは凡俗なんていう、見下し精神丸出しの汚い逃げでしかありません! 今からその腐った根性を叩き直します! この凡俗なわたしに殴られて、存分に自分の凡俗ぶりを自覚して下さい!」
「さっさと、歯ぁ食いしばれぇぇえぇッッ!!」
これが、彼女の言葉だった。が、それを合図に真奈美は意識が飛ぶ。彼女の限界があったからではない。田名中光が、腹をぶん殴ったのだ。真奈美が殴ろうとした隙を見て、満面な笑みで殴った。
「うるっせぇんだよッ!、”糞ガキ”がッ!!」
「あ・・・ぁ・・・」
田名中は、倒れ込んだ真奈美をもう一度蹴り上げると、真奈美を無視して、イライラした歩きでその場から消えた。
(・・・あ、はは・・何を言っても・・・こうなるん、・・・だよなぁ・・・)
そして、真奈美の意識もそこで完全に途絶えた。
- Re: ざけんじゃねぇ!! — 起 — ( No.50 )
- 日時: 2010/12/11 10:36
- 名前: ハッチしゃn (ID: ymYDaoPE)
第20話「ダークネス暴力団と終局」
尾崎浩太は自分の部屋に戻り、ベッドの上でDSの続きをしていた。ラスボスも近くて、彼にはかかせない時間となる。その隣の床ではポタコンがテレビに夢中になっている。芸人のコラボ漫才が好きらしい。にやにやと笑い続けている。
「なぁポタコン、ハンバーグどうだった?」
さりげない会話を始める。
「うーん、ぶっちゃけ浩太のは塩かけすぎかも。あ、でも奈津美さんのはめっちゃ上手かったかも!」
(かもってなんだよ・・・)と、近頃の言動に疑問を抱く。変な言動で話すなんてアンドロイドらしくもないところが、尾崎は面白かった。
DSへと意識を集中させる。ちなみに彼がやっているのはドラゴンクエストⅨだ。詳しい説明はしないが、すごいハマるのだろう、目を輝かせている。
だが、そんな時間を一通の携帯の音で破られる。
「・・・なんだ?」
尾崎は、通話ボタンを押すと、耳にかざす。
『・・・まな・・・みが・・・』
尾崎は一旦、携帯の通話している名前を読み取る。坂条奈津美だが・・・彼には、あまりの低い声に識別できなかったのだ。
「あ、なんだ奈津美か。・・・どうした?」
電話しているのか分からないくらい、静かだった。その為、冷たい感情が胸を通って行く。
『真奈美が・・・たくさん、シャーペンが刺さった状態で・・・見つかったの・・・・』
冷たい感情はやがて、尾崎浩太を凍らせる。(シャーペンが突き刺さった状態・・・って)
「おい! それって重症じゃねぇか! 病院には!?」
いきなり立ち上がった尾崎にポタコンはテレビから目を離す。場の空気が悪化している事には、二人は分かっている。だからこそ、二人は慎重に奈津美の話を聞く。
『もう病院の中よ・・・命にも別状はないって・・・けど、・・・・わたしは・・・・』
尾崎にとって、奈津美が何を言いたいのか分かっているからこそ、そこを止めた。
「やめろよ。・・・今行くから、そこから動くな。・・・絶対に。・・・・で、病院の場所は?」
『・・・北武市総合病院ってところよ・・・病室は302号室・・・。』
「わかった。ポタコンも連れてそっちに行く。絶対そこの病室から出るなよ。」
と、尾崎は言うと、携帯を閉め、部屋中の電気を消してから急ぎ足でポタコンを連れて、家から出る。そして、北武市総合病院へと急いだ。
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