コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 日時: 2011/01/04 22:13
- 名前: ハッチしゃn (ID: ymYDaoPE)
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- Re: ざけんじゃねぇ!! — 起 — ( No.71 )
- 日時: 2010/12/24 12:54
- 名前: ハッチしゃn (ID: ymYDaoPE)
あの嘆きから復活した尾崎浩太は、無事に病院を退院する。彼は病院の出口に荷物の入ったケースを掴むと、出迎えに来ていた坂条奈津美に目をやった。
「出迎え・・・ありがとよ」
「べ、別に? お見舞いにも行けなかったし、せめて退院ぐらいはお迎えしないと・・・さ、」
「・・・ありがと」
「た、大したことないわよ! ほら、もう行こっ!」
奈津美はいきなり見せられた尾崎の笑顔に赤面しながら彼の右手を掴んで病院の前に停止していたタクシーに乗りこむ。遅れを取らないようにポタコンも慌てて乗りこむ。
「で、あんたにまた伝えなくちゃいけない事があるんだけど・・・」
奈津美はタクシーが運転中に尾崎へと呟いた。窓側を向いていた尾崎は、ゆっくりと奈津美に降り向かえると、その真意を知っているかのように口を開けた。
「分かってる。どうせまた俺だけ賞状ないんだろ? もう落ち込まねぇって」
「ち、ちがくて!・・・いや、本当に賞状は私だけだし、あんたにはなんの有利益もないんだけど」
「・・・・・で、?」
「だ、だだ、だから、ね。あの、明日さ、・・・暇?」
奈津美は赤面しながら、途切れ途切れに言葉を放つ。そのちょこまかとした戸惑いある行動に尾崎の疑問は拡大する。
「暇・・・だけど?」
「!!・・・・だったらさ、明日・・・明日わたしと一緒にプール行かない?!」
言いきったといわんばかりの赤面で奈津美は尾崎の真正面から言い放った。だが、尾崎にはそれも気になれば、プールなどという女子と一緒に行く事が有り得なく、
(女と一緒にプール!?)
尾崎浩太、放心状態に陥った。
「えっと・・・何を言っているのですか?」
「〜〜〜〜ッ!! だから、一緒にプール行こうって言ってんのよ!」
「・・・俺と?」
奈津美は大きく頷く。反面の尾崎は夢でも見ているのだろうかと上の空状態に落ちる。そこを見つけた奈津美はもう一度聞いた。タクシーの運転手が赤面している事も知らずに。実の事を言えば、タクシーの運転手の思いはこうだ。
(二人でプールデートぉぉおぉ?!)
これは、赤面せずにはいられないだろう。
「あの〜、奈津美。俺とお前は性別が違うよな。って事はだ。周りからどのように思われるのかの”リスク”を考えた事あんのか?」
「・・・(だからだから、分かってるわよ! 分かってるからこそなのに! 開けよ口〜〜!!)」
「見るからに考えてないか・・・よし、お前も何人かの友達を連れてきて、俺も連れてくればいいかもな。うん、そうしよう。そうすれば疑いも気遣いも何もなく楽しめるしな」
「えっと、えっと! えー・・・・」
(勝手に決めんなーーーッ!!)
「・・・そ、そうね! そうすれば私達がカップルになんて見られるわけないわよね・・・・」
奈津美は炎に燃えていた瞳を覚めさせながら、“嘘”の返事でごまかした。ゆっくりと、落ち込んでいる事に気付かないように彼女は胸の中で呟いた。
(どうして素直になれないのよ・・・)
「よし、じゃあ明日どこで集合すればいいんだ?」
「・・・駅前の切符売り場に、朝9時に集合すればいいわ」
尾崎は頷くと奈津美へと振り向いている顔を変え、窓側へと向いた。すると、携帯を取り出し、メールを打ち始める。奈津美から見れば、明日の連れてくる友人だろうと予測する。
(・・・二人で一緒に行きたかったのに・・・なんで素直じゃないのよわたしは)
奈津美は大きく、自分の正直に出来ない所を悔やんだ。その裏面、明日連れて行かなければいけない友人を想定しておくとする。
(まずはやっぱ・・・凪野よね。レベル8だけど、尾崎なら許してくれるはずだし。はぁ〜、こんなはずじゃなかったのに〜)
やがてタクシーが二人が住んでいるマンションの前に到着すると、尾崎は後部座席から降り、ドアに手を掛けた。そこをなんとか奈津美は呼びとめる。
「ちょっと待って。・・・明日、来てくれるんでしょうね?」
「ああ、絶対行くよ。退院そうそうだけど、近頃無駄に事件ばっか加わって遊んでなかったしさ。」
「・・・、分かったわ。じゃ、先行って・・・」
「おう!」と、尾崎は返事すると、支払いを済ませてまっすぐ自分の部屋へと帰った。
奈津美はその背景を見ながら思った。
(やっぱり、私って・・・尾崎の事・・・)
奈津美は幻をすべてかき消すように首を左右に大きく振り回すと、赤面した頬を両手で押さえて確認する。
(違うに、決まってる。だってあいつは、私のただの幼馴染なだけで、そういう関係になるわけが———ッ)
彼女があれよあれよと考え込んでしまう内に、タクシー運転手が(な〜んだ、恋人同士じゃないのか)という感情を思いながら伺った。
「君、ここで降りるんじゃないの?」
「ふぇっ?!」
突如の質問に混乱しながら、両手を握りしめると、震えながら言う。
「お、降ります降ります! 有難うございました!」
慌てて降り、奈津美もまっすぐに自分の部屋へと戻る。
今の彼女には、尾崎への想いが爆発しそうになり、全身が痺れで支配している。彼女はもう、明日のプールの事だけで頭がいっぱいになった。
- Re: ざけんじゃねぇ!! — 起 — ( No.72 )
- 日時: 2010/12/24 12:55
- 名前: ハッチしゃn (ID: ymYDaoPE)
翌日、とうとう来ましたよと言わんばかりに尾崎浩太は朝7時半にさわやかに起きると、眠気の残っているポタコンを連れ、荷物を持ちながら家を出る。奈津美の約束の時間の前にいちはやく尾崎には待ち合わせしている”友人”がいる。その友人のもとへと早起きしたのだ。
少年がかれこれ朝9時になるその前の時間に、走ってバスに乗っては待ち合わせに到着する。そして、そこには先に待っていた尾崎の一番の友人、”松代浩二”がそこには待っていた。
「いや〜本当に久しぶりだな尾崎」
「いや〜本当ですね〜、一体なにがあって俺等は三週間もの間対面できなかったのかと疑問に思うくらい。」
尾崎は笑い上げると、松代浩二も笑い上げた。久しぶりの友人との会話に尾崎は涙を浮かべそうになる。何せ彼にはここに到達する以前に、さまざまな事件と格闘を繰り広げてきた。正式に主な事件と関わったのは二択なのだが、彼は至る所でツイテいない男なので、成績の影響もあり、遊んでいる事だけか、友人と会う事も簡単ではなかった。
その苦難な時間を乗り越え、彼はこの場で友人と再会できたのだった。
「お前さ、たしか、夏休み終わったら即体育祭だって話、聞いてる?」
「うぇーーー!?、マジかよ。無理だって、特に奈津美と戦ったら即退散しねぇと殺される!!まだレベル2だってのに!」
尾崎は頭を抱えながら混乱する。だが、一方で友人の浩二は目を点へと変えていた。尾崎が発した言葉の中に、一つ引っかかったのだ。
「え? お前レベルUPしたの? どうやって・・・———ッ!」
一瞬、松代浩二はなんて事を口にしてしまったのだろうかと後悔する。こんな事を友人に言うなんて自分はなんていう奴だ、と。だが、進めたからには仕方がない。浩二は気を取り直すと、疑問をしっかりとぶつける。
「浩太は、無属性だろ? そんなんでどうやってお前はレベルを上げたのか、いや、”上げられた”のか、詳しく説明してほしい。この三週間でお前はどうやってレベルを上げたんだよ」
その問いに、浩二は迷いはなかった。まっすぐ、見て、一番の友人として聞くために問う。
それに負けないように、真実だと思わせるように、尾崎もまっすぐ見ながらそれに答えた。
「俺の正式な能力が分かったんだよ。一人じゃ使えねぇンだけどさ、まぁ、そいつがいると能力が使えるってことだ。詳しい説明はしねぇよ? 俺の能力は、あらゆる物体や異能の力、生命のある者の存在をすべて”無”に返す力だ。通称、”無の能力者”、それは俺ってことよ」
「無の能力者? お前が? ってことは、無属性って属性がないっていう意味じゃなくて、無くすっていう攻撃タイプの方に考えられたのかよ・・・」
「ま、そういうことわだな。もういいだろ? 久しぶり会えたんだしよ、今日はとにかく楽しもうぜ」
「そうだな、わりぃな尾崎、なんか変な質問しちまって」
「いいっていいって、それに、このあとプールだしよ、ポロリがみれるかもしんねぇしな!」
二人は男の会話へと戻すと愉快に笑いあった。この笑いで松代の疑い感はなくなり、さっぱりした状態に入ると奈津美がそこにはいた。
「おっそいわよ二人とも。切符売り場にいろって言ったのに、駅前に止まってんじゃないっつの」
「ってまだ10分しか経過してねぇじゃねぇかよ!」
奈津美は「うるさい!」というと、速足で切符売り場のところへ向かい、そこで打ち合わせをしていた 凪野愛奈 という奈津美より少し大人びた女子高校生がいた。胸も大きく、少年二人はその大きな胸へと集中注目していた。その視線を感じ取ると、奈津美は二人を振り向いて睨みつけた。反面、凪野愛奈の反応は。
「うふ。まだ子供ねぇ〜、」
「べ、別にあいつらのことは考えないで楽しもうよ、凪野。ほら、あんたらも見てばっかいないで切符売り場でカード確認してきなさいよ馬鹿!」
奈津美は自分の胸を考えながら、(凪野と比較しながら)赤面を浮かべて言い放った。その言動には尾崎たちも気を取り直し、切符売り場へと移動した。
ちなみにこの国では最先端技術国と記されていてもあり、切符などではこの電車は入車を認められない。この科学技術で作られた切符売り場というのは、身分証明書のカードに、行き先までのデータを送るものだ。送られた行き先までしか電車は進まず、仮にこの法律に逆らうと、電車から違法確認が自動的に行われ、サイレンが鳴り響くというなんとも恐ろしい設定がなされている。料金はカードから。切符もカードから。この現在の日本ではカードが中心として生活が補われている。
やがて尾崎と松代が、カードにデータを送られると、即座に電車へと向かって行った凪野と奈津美を見失わないようにあわてて走りながら大宮方面行きの電車へと乗り移った。そこまでの道のりはとても厳しく、社員や買い物をしてきた大人や子供に遭遇しながら、当たらないように隙間を見つけては通り、と、急がば回れも実行したほどに大変だった。
「はー、はー、俺ここまで電車に乗るのに苦労したことはないぞ」
「同意の意見しか言えない」
(まぁ、浩太もまだ入院して半日もたってないからね〜)
「だよな〜って、いや、なんでもない、独り言だから!」
息を切らして大変な時に、突如ポタコンの接続声明からの質問に思わず大声で答えてしまう。ポタコンがいなかった理由は、尾崎が先に融合接続をしていたからである。ちなみにポタコンは水を浴びることは許されていない。人型アンドロイドであっても極端の水の量を浴びると故障してしまうからだ。それを防ぐために尾崎は奈津美にも一説の(嘘の)説明をしてポタコンは預かられていることになっている。
「ところで、上野の新しくオープンしたプールに行くの?」
「うん、一応そんなところなんだけど、満員かもしれない・・・・」
「大丈夫よ。その時は私の放射原子砲でぶっ放せばいいから」
「今すっごい恐ろしいこと言ったの自覚してる?」
一瞬マジの顔になった凪野に恐ろしさを覚えた奈津美だった。
- Re: ざけんじゃねぇ!! — 起 — ( No.73 )
- 日時: 2010/12/24 12:55
- 名前: ハッチしゃn (ID: ymYDaoPE)
第22話
およそ一時間が経過すると、上野駅にて尾崎達は降りた。
そこで奈津美は指揮をとる。
「え〜っと、たしか上野駅からまっすぐ行って右に行けば・・・」
その道通りに進むと、そこにあったのは新しくできましたと言わんばかりの色合いでできた『サマー・プール』というところだった。東京ドーム1個分のデカさに尾崎と松代は絶句する。その多大な大きさに魅了するしかなかった。
「すごい大きいプールねぇ・・・」
「ここまで来たんだから市民プールになんて行かないわよ」
(本当は尾崎と来る場所だったのに・・・)
奈津美は反面後悔しながら凪野の言葉に答えた。彼女は実のことを言うと、尾崎と来るためだけに新しくできたプール施設を探していたため、かなりの悔しさと悲しさが残っている。それでも奈津美は奥歯を噛みしめ、せめて友達同士で楽しもうという感覚を作り出す。彼女なりの自分への支えだった。
「尾崎・・・ここは天国の入り口か?」
「さすがにそれはねぇだろうけど・・・それなりのご立派さが伝わるよな。奈津美、ありがとな〜誘ってくれて」
「ふぇ、ぇ、?!」
いきなり感謝の言葉をもらった(それも最愛の人にもらった)奈津美は意味のわからない声を発する。赤面全開で笑顔で答えた。誤魔化そうとしたのだろうが、隣にいる凪野にはバレバレだった。
凪野は周りに聞こえないように奈津美の誤魔化し様を見て「くすっ」と心の中と静かな声で笑った。
「で、奈津美。どうやって受付するの? さっさと入らないと満員になっちゃうんじゃない?」
「うっ!・・・そうね、先に越されるわけにはいかないわ。」
奈津美が混乱中の中、一番焦っていた所をうまく凪野は貫いた。
またもや奈津美の幼さに凪野は心の中で笑った。(まだまだね・・・序列第二位のレベル8がこれだと思うと・・・ふふっ)
奈津美がそそくさと受付に向かうと、残りの三人も急いで後ろへと続いた。
やがて受付を済ませ、男女別に更衣室へと向かうと、水着にそれぞれ着替える。やたらとのんきには着てられないので尾崎浩太はたったの5秒でサーフパンツに着替えた。奈津美や凪野、松代もそれぞれ着替え終えると『サマー・プール』の入り口付近にて集合した。
「みんな揃ったわね、じゃ、入りましょうか!」
尾崎ともども頷くと、自動ドアが開き、『サマー・プール』へと入っていく。
だが、全員が中に入った途端に、周りの景色に唖然とする。
「わぁ・・・」
「すご・・・」
意見はそれぞれ別だが、東京ドームぐらいの広さを完璧に使い当たったアトラクションやプールが増大な数で流れている。ましてや尾崎のいる入り口付近は二階にあり、階段から下りて初めてプールと同じ平面の位置に達する。その二階で尾崎達は知ってしまった。彼らの横には数台の長い虹色でできたような水の滑りを活用した滑り台があり、ちょうど中学生のような男の子が歓喜の声を上げて滑っているところを。
「なんか・・・外見だけじゃなくて中身もこんなにすげぇと・・・」
「男っつうのは・・・」
「「はしゃぎたくなっちゃうんですッ!!」」
まるでピストルの合図が鳴ったかのような大声を少年二人はあげると、共に階段を駆け下り、一階にある平面プールにざばぁっと、大きな音を立てさせて突っ込んだ。
「ふぇ・・・・?」
「なーつーみ、さっさと行かないと、あのオス共、あと数分くらいで見失っちゃうぞ?」
ピキーンっと待ってましたばかりのように奈津美が闘争心を抱くと、尾崎と松代が向かったプールへと行くために、横の水流滑り台へと乗り移り、そのまままっすぐ目を輝かせながら流れて行った。
「こらーっ」など、従業員が叫んでいるが、問答無用。奈津美はそのまま尾崎達にダイブし、顔面左右両方キックを食らわした。
凪野はやれやれといわんばかりに、額に人差し指をつけて顔を横に揺らすと、ゆっくりと階段を下り、尾崎達の救出に向かうのだった。
- Re: ざけんじゃねぇ!! — 起 — ( No.74 )
- 日時: 2010/12/24 12:56
- 名前: ハッチしゃn (ID: ymYDaoPE)
第22話
「で? なんでこんな事になってんのよ!!」
少年二人は、先ほど居たサマー・プールから追い出されてしまった。そして今現在、提案し、遊ぼうとしていた奈津美に叱られているところである。
「訳分かんない! なんで追い出されんのよ!! ってか愛奈も愛奈よ!! なんで放射原子砲ぶっ放すのよ!! も〜いやぁぁぁぁ!!」
奈津美も叱りながらも消沈していく。少年二人、つまり、尾崎浩太と松代浩二はあまりのプールの巨大さと完璧な施設管理に圧倒され、はしゃぎ回ってしまったのだが、勝手に行動された奈津美はそれに腹が立ち、戦闘が起こったというわけだ。
それも、彼女だけではなく、序列第二位の坂条奈津美の下にいる、序列第三位の凪野愛奈もそれを止めようとして、能力を発動したということだった。この二人が能力を使えば、どんなに安全だと言われている施設でも破壊されていくであろう。
即座に、従業員が止めに入り、施設から追い出した、という所だった。
「だって、仕方ないじゃない。私だって別に能力を使いたかったわけでもないんだから……うふっ」
「うふっ…じゃねぇよ!!」
奈津美が突っ込んだ。それを流すように愛奈はあくびをして帰りのバスに乗る。
(なんでそんなさわやかに帰ろうとしてんのよ!!)
そう言うつもりだったが、あれやこれやといろんな事があったため奈津美もそこまで気力はなかった。
やがて、愛奈が乗ったバスは出発してどこかへと消えていった。
残るのは、奈津美と少年二人。と、長い沈黙。
「………ッ!!!」
奈津美が奥歯を噛み締め、赤面をして少年二人へ向き直ると。
「あ、あはは、やだな〜そんな赤くならなくても、ほれ、このよう、に、我々男子は、正座をして深く反省しているつもりです!」
尾崎は、隣にいる松代と同様に正座をしている証として、人差し指で膝を指す。だが、そんなものは彼女にとって”どーでもよかった”。
やがて、彼女のこめかみは『ブチッ』と音が鳴り、
「ッッっふざけてぇんじゃねぇぞッ!! この糞野郎ォォォォォォオオオッ!!!」
その場に大きな風が巻き起こった———。
- Re: ざけんじゃねぇ!! — 起 — ( No.75 )
- 日時: 2010/12/24 12:57
- 名前: ハッチしゃn (ID: ymYDaoPE)
「だ〜〜〜〜っ!」
かれこれ夏休みはすでに残り7日となった。
そして、机に座って猛勉強(答え映し)ではかどっている尾崎浩太は数多くの宿題をコンプリートしていくのだった。手に汗を握り、これでもかとまで書き続ける。その極度な早さにポタコンは驚きを隠せなかった。
「……は、はえぇぇ〜」
「っはっは!見たか、この素早さを!?」
だが、その快速な速度で書き続けられていた手はふと止まる。肘あたりに何かが刺さったと思った時には遅かった。
「………ぎゃあああぁぁああああっ!!!」
あまりの暑さに負けないようにと置かれていたコップに入っている水が、肘の物理攻撃によってノートを濡らしたのだ。それも炭酸水のコーラだったため、白い紙は茶色に変わっている。
「ねぇねぇ、浩太浩太、そろそろ一緒にゲームしたい気分なんだけど……」
尾崎反応せず。
「ねぇねぇ、なんでそんなに固まってるの? 宿題ならこのアンドロイドの俺様がやってあげてもいいんだぜ?ってね!」
尾崎反応せず。
そして。
「キィーーーーーーヤァァァーーーー!!!」
奇妙な叫び声が尾崎のいるマンションに響いた。
——————坂条家
「おねぇちゃん…なんかすごい声、ってか悲鳴聞こえたんだけど……」
「ああっもう、待って!話しかけないで! 私も宿題で忙しいのよ!!」
坂条奈津美も尾崎同様に宿題で忙しくしている。彼女も見えない速さで答えを映していた。そこを平凡な顔で真奈美は見る。で、口を開いた。
「なんだか、今日はデパートに行きたい気分☆」
「ぇぇ?なんか言った?!」
「なにもいってな〜〜い!頑張ってね!おねぇちゃん!」
「あったりめぇよ!!」
即答えて、宿題に戻る。
一方、隣にいた真奈美は、宿題を全部終わらせたため、ワンピースに着替えている。はきはきとした感じで、ご機嫌が良いらしい。携帯で友達を呼び、デパートへと出掛けるみたいだった。
—————尾崎家
「オウ、マイガ—————!!」
「Oh,my godだよ、浩太。さっきからなんで血の気引いたみたいな顔になってるの?」
ポタコンはまだ状況を掴めないらしい。音量を低くしたテレビから目を離していない。そのためもあってか、尾崎の現在状況も分からない。(理解しようとしない)
あまりにも尾崎が騒ぐので、ポタコンはまだコップに残っているコーラを、いたずら感情で尾崎の教材(夏休みの宿題)に、目いっぱい掛けた。
————坂条家 玄関先
「じゃ、おねぇちゃんいってきまーす!」
「気を付けてねー」
流し会話を終えると、真奈美は玄関から廊下側に出る。階段で降りようとした時だった。またもや、あの悲鳴が響いたのだ。だが、今の彼女にはどうって事はない。
笑顔で「今日は楽しそうだなぁ☆」と言って『スウィート・デパート』へと出掛けた。
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