コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- ブラッド・フレイム-Blood Flame- 第三章開炎
- 日時: 2015/07/18 08:39
- 名前: 竜野翔太 (ID: SDJp1hu/)
はじめまして、ドラゴンとか呼ばれたことないけど、ドラゴンこと竜野翔太です。苗字の読みは『たつの』ですよ〜。『りゅうの』じゃありませんからね。
今回は閲覧いただきありがとうございまーす。
この作品、『ブラッド・フレイム』でございますが、主人公は吸血鬼ちゃんでございます。いや、本当は別の掲示板で上げてたヤツに修正加えていって、いいものに昇華させてるやつなんですけどね。
主人公は吸血鬼、敵は悪魔ということで、いかにも中二病な作者が好きそうな題材でございます。あー恥ずかしい。
吸血鬼ちゃん、とちゃん付けで言ったということは、吸血鬼は女子ということです! ここ重要ですよ!
まあ後々男の吸血鬼も出ますが、大体が女子ですよ。
各キャラのプロフィールなどは、一つのストーリーが終わるごとに書いていきますので、それまでは色々と文章を読んで把握してくださいな♪
ではでは、次のレスから始めていきますよー!
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- Re: ブラッド・フレイム-Blood Flame- ( No.60 )
- 日時: 2014/12/22 02:25
- 名前: 竜野翔太 (ID: KCZsNao/)
6
涙は自分の部屋でパソコンをずっと操作していた。
部屋は明かりをまったく点けず、真っ暗な部屋の中にパソコンの光だけが涙の顔を照らし出している。
彼女が使っている部屋は、朧月家で余っていた部屋だ。涙が来る以前はあまり使わないものを中に詰め込んでいたのだが、涙が来て部屋の中を整理していったところ、いらないものがどんどん出て来て住めるスペースが確保できた。
今では置いてあったものはなくなっており、完全に涙の私物だけとなっている。パソコンもベッドもクローゼットも、すべて涙の所有物である。
無心になってパソコンを捜査していると、急に部屋の明かりが点いた。
驚いて振り返ると、そこには風呂上がりなのかタオルを首にかけている昴がいた。呆れたような顔で電源ボタンに手を触れている。
「……なんだ、昴か。びっくりした」
「何してんだよ、電気も点けずに。目悪くなるぞ」
「あたしは眼鏡が似合うあら平気よ」
意味が分からん、とため息交じりに呟いて、涙がじっとにらめっこしていたパソコンの画面が見れるように、彼女の近くへ歩み寄る。
「何を調べてたんだ?」
「昨日見た『ヴァンパイア』のペアのことよ。あと少しで掴めそうなのよねー」
昴が見た画面には様々なファイルが開かれており、何の意味があるのか分からない数字と文字の羅列ばかりだ。涙はマウスでクリックしたり、すさまじいスピードでキーボードを打ったりと、お得意のハッキング行為をしているのだろうが、素人の昴が見ても何をしているのかよく分からないことだ。
「そんなに急いで調べることでもないんじゃないか?」
「なんでよ」
「あの二人、どっちが『ヴァンパイア』かは知らんが、どっちとも危険性は感じられなかったじゃないか。俺や赤宮たちが襲われる心配なんか、しなくてもいいだろ」
昴の意見に涙は盛大に溜息をついた。
「馬鹿ねぇ。危なく見えないからこそ注意するのよ。隙を突かれることだってないとは言い切れないんだし、真冬と同じように『覚醒型』の可能性だって——お、みぃーつけたっ!」
涙が嬉しそうな声でマウスをダブルクリックすると、顔写真付きのプロフィールみたいなものが出て来た。なんだか履歴書にも似ている。
「ふぃー、これで一段落ね」
昴が画面を覗き込むと、顔写真の方に写っていたのは桃色の髪の幼い雰囲気のある少女の方だった。だが、
「『ヴァンパイア』はこの子の方か。だったら余計心配いらないだろ」
「……そう? 見てて気付かない、昴?」
「……気のせいじゃないのか」
涙はこくりと頷いた。
そう、昴と涙が街で見かけた少女は天真爛漫な女の子だった。にっこりと笑っていて、無邪気という言葉が一番似合いそうな。だが、写真の少女は髪の色や長さ、顔の特徴などは全く同じなのだが、あの少女が絶対にしないであろう凛とした表情をしていた。それだけではなく、彼女がどことなく纏っていた幼さも微塵もない。
「……同一人物……よねぇ?」
「だな。だが、どう見ても別人のように思えてしまうな」
涙はプロフィールの内容を見ていく。名前、生年月日、血液型、さらにはその人物の性格や色々な面も記載されている。
「『可憐な容姿とは裏腹な、思い切った戦闘スタイル。嵐のように敵を薙ぎ払う』……って、人は見かけによらないのねー」
「そういう問題か?」
昴はパソコンの画面をじっと見つめながら涙に問いかける。
「なあ、この子が『覚醒型』かどうか知る術はないのか?」
「それはちょっと難しいかな。でもきっと違うと思う」
「根拠は?」
うーん、と涙は考え込む。
椅子の上であぐらをかいて、考えながら言葉にしていく。
「なんていうか、同じタイプだからかな。分かるっていうか……そういうのあるでしょ? あの人、自分と似てる気がするっていうの」
涙は大半の『ヴァンパイア』と同じ『同一型』の『ヴァンパイア』である。血を吸わなくてもある程度炎を生み出せて、戦う時も姿が変わることがないタイプ。
故に吸った血を爆発的なエネルギーに変える『覚醒型』と能力の差が生まれる。
だからというわけではないが、ほとんどの『ヴァンパイア』が『同一型』なのである。しかしすべてが『同一型』でない以上、この『ヴァンパイア』はこっちのタイプだ、などと言い切れはしないのだ。
「あの子は多分あたしと同じ『同一型』。見た瞬間にそう思ったからって理由なんだけど」
「まあ、それはそれでいいか。赤宮たちにも知らせるんだろ? 明日にするか?」
「そうね。とりあえずこの画像をコピーしないと」
涙は椅子から立ち上がると、表示されている画像のコピー作業に移る。
- Re: ブラッド・フレイム-Blood Flame- ( No.61 )
- 日時: 2015/01/13 19:31
- 名前: 竜野翔太 (ID: KCZsNao/)
7
暗い夜道の中、赤い炎が辺りを照らす。
こんな場を一般人に見られたらまずいなー、と思いながらも真冬は自分の中に僅か残る血を使って、覚醒状態へと変化する。
目の前にいる少女は、普通の真冬では逃げ切る相手ではない。かといって話し合いで済ませられるほど優しい性格もしていないだろう。
逃げるにしても倒すにしても、今この場を切り抜けるためには覚醒状態になるほかなかった。
真冬の周りで渦巻いていた炎が霧散していく。僅か漂う火の粉を払うように顔をぶんぶんと振って火の粉を振り払う。伸びた真紅の髪が顔の動きに合わせて優雅に揺れる。
覚醒した真冬は久しぶりの感覚に鳴らすように、ゆっくりと閉じていた瞼を持ち上げた。赤いが冷たさを感じさせるその瞳で目の前にいる鎌を持った少女を鋭く睨みつける。
——さて、どうしたものか。
覚醒した真冬はその思考を勘繰られないように、鋭い視線を相手に向けたままそう思った。
覚醒したはいいものの、ここからどうするかをまったく決めていなかった。いきなり逃げ出すわけにもいかない。相手が動いてその隙を見て逃げるのが得策だ。少ない血では下手な行動をするわけにはいかない。
真冬が相手を睨みつけながら考えている時だ。
ガラン、という重たさを感じさせる金属の音が真冬の耳に届く。
目の前では黒髪の少女が、真冬を見つめたまま固まっている。彼女の手からは鎌が離れており、今の音は彼女が鎌を落とした音のようだ。
彼女の表情は信じられないものを見たかのような表情をしており、じっと真冬を見つめている。
「……何だ?」
覚醒した姿のあまりの変貌ぶりに驚いているのだろうか。
いやいや、相手も同じ『ヴァンパイア』だ。『ヴァンパイア』の覚醒を見た程度で驚くこともないだろう。
真冬がそう油断した時だった。
「真冬お姉さまぁー!!」
さっきとは比べものにならないくらい可愛らしい、甘えるような声で黒髪の少女が抱きついてきた。
「っ!?」
いきなりの出来事に困惑する真冬。
彼女はそのまま抱きつかれた勢いに負けて地面に押し倒される形になってしまう。自分を押し倒した黒髪の少女はすりすりと顔を胸のあたりに押し付けている。
何が起こったか分からないが、彼女の放った一言に疑問を感じた真冬。その真相を確かめるべく、真冬はくっついている彼女を引き剥がそうとしながら、
「は、な、れ、ろ……! 誰だお前は!? 一体何者だ!?」
足で彼女の顔を押し返しながら問いかける。彼女の身体が有り得ないくらい曲がっているが、彼女は苦痛の表情を一つも見せず尚も真冬にくっつこうとしている。
「いやん、お忘れになったのですか真冬お姉さまー! 『天界』でお世話になった黒曜闇夜(こくようやみよ)ですぅ。冷たいですー」
腰が折れてもかしくないくらい反り返っている彼女の声音は、なおも甘えるような高い声だ。この忍耐力はどこで身に付けたのか気になるが、今はそれどころじゃない。
さっきまでは命の危機と向き合っていたというのに、次は貞操が危うい。色んな意味で危険な相手だ。
「お世話した憶えはない。それにお姉さまと呼ばれる筋合いもない。私の妹は赤宮黄泉(あかみやよみ)ただ一人だ」
何とか相手を引き剥がすことに成功した真冬は立ち上がり、鼻で息を吐きながら自分の髪を払った。
一方で黒曜闇夜と名乗った少女は、落とした鎌を拾いながら話し始める。
「分かってますよ、真冬お姉さま。照れていらっしゃるんですね。久し振りに私に会ったからって嬉しいのは分かりますけど興奮していいんですよむしろ興奮してくださいそして私と禁断の関係へとキャー!!」
「やかましいなお前は!!」
一人で頬を紅潮させて照れはじめる黒曜闇夜に真冬はツッコまずにはいられなかった。
真冬は全く憶えていないが、彼女は個人的に覚醒状態の真冬を知っているらしい。涙が『アンタって色んな「ヴァンパイア」の目標になってるのよー』などと言われたが、おそらく闇夜もその一人なのだろう。
闇夜はまだ興奮しているのか、頬を赤く染めながら、
「うふふ、真冬お姉さま。やっと見つけましたよぉ……。さっきのクソ生意気な小娘は放っておくことにして、さあ真冬お姉さま! 私と一緒に悪魔を撃滅しましょう! 私とお姉さま。二人が組めば怖いものなしです!」
クソ生意気な小娘はおそらく覚醒前の真冬だ。
さっきの女と同一人物だ、などと言っても信じてもらえそうにないから、とりあえずそこは黙っておく。
闇夜は満面の笑みで手を差し伸べている。だが真冬は当然のようにその手を取らない。
「……残念だが、先ほども言ったように私はお前のことを知らない。それに私には信頼できる契血者(バディー)がいる。お前の手は取れんな」
その言葉を聞いた闇夜は大きく目を見開いて、差し伸べた手をゆっくりと下ろしていった。悲壮感漂う彼女の姿に心が痛む真冬だったが仕方がない。夏樹に相談して、彼がいいと言えば手を取ってもいいのだが……。
「……なんですか、それ……」
俯いた彼女が、さっきとは違う——覚醒前の真冬と話していた時の声に戻って呟くように言う。
瞬間、
彼女の鎌に漆黒の炎が纏う。
それもかなり巨大な炎だ。そう簡単に防ぎきれないような漆黒の炎が、彼女の鎌の刃を覆い尽くす。
「なんですか、それ! 『天界』にいる時の自分を信じ、他者は信じない強いあなたは何処に行ったんですか!! あの時の強さを……孤高の強さをお忘れになったんですかッ!?」
彼女は必死になって叫ぶ。
多分彼女が知っている真冬は——『青いヴァンパイア』に友を奪われた時の、『青の惨劇』後の真冬だ。
その後、涙のお蔭で今の真冬に戻れたのだが、一時真冬は一人で戦う孤高の『ヴァンパイア』になっていたことがあった。
彼女が憧れを抱いているのは、自分が自分じゃなかった頃の真冬なのだ。
「……厄介だな。あの時の私に憧れているのか……」
真冬は顔を顰めた。
あの時の自分に憧れていたのなら、今の真冬は認めないだろう。真冬は戦うしかないだろう、と思い構えた瞬間だった。
ドォン! という銃声が響いた。
その銃声は真冬と闇夜の双方に届いたようで、二人は一斉に銃声が聞こえた方向へと視線を向けた。
そこには銀髪のショートカットを夜風に靡かせる、真冬よりも少し背丈の低い少女が銃口を上に向けながら立っていた。発砲した証拠に銃口からは一筋の白い煙が立ち上っている。
「……誰、お前……」
闇夜は鋭い瞳を銀髪の少女へと向ける。
睨まれた少女は怯えるどころか、ニッと笑みを浮かべて銃口から上る煙をふっと息を吹きかけて消す。
「真冬、アンタってそんなヤンキーみたいな奴と知り合いだったっけ?」
銀髪の少女は太腿のホルスターに銃をしまいながら、闇夜の質問を無視して真冬に話しかける。
「涙ちゃんびっくりー」
乱入者は、からかうような笑みを浮かべて言った。
- Re: ブラッド・フレイム-Blood Flame- ( No.62 )
- 日時: 2015/01/24 23:30
- 名前: 竜野翔太 (ID: KCZsNao/)
8
「……涙……?」
乱入者を驚いたような表情で見つめながら、真冬は小さく呟いた。
真冬と闇夜の戦いに乱入した涙は、両手を頭の裏に回す。活発な彼女に良く似合うポーズだ。
そんな涙は真冬の表情をじっと見つめ返すと、むっとした不機嫌そうな顔をする。
「なによ、その腑抜けた顔は! この涙ちゃんが来てやったのよ? もうちょっと嬉しそうな顔をしなさいよ。だったら格好つけ損じゃな——」
彼女の言葉は最後まで続かなかった。
セリフの途中で闇夜が大きな鎌を涙に向かって横に薙いだからだ。しかし涙もそれを食らうことはなく、軽やかな動きでかわして見せた。涙は後ろに数歩下がった位置で着地すると、ニッと笑みを浮かべながら闇夜と睨み合う。
闇夜の表情には一切の笑みがない。それどころか親の仇でも見るような憎しみの籠った目で睨んでいる。
「危ないわねー。怪我したらどうすんのよ。ってか、セリフの途中で攻撃とか、デリカシーなさすぎじゃない?」
「ふんっ、油断しているお前が悪い」
闇夜の持つ鎌には未だに黒い炎が纏っている。
闇夜と涙では涙の方が分が悪い。距離を保てれば涙が優位だが、闇夜は祖の距離さえ保てそうな相手ではない。少しでも離れればすぐに距離を詰めるだろう。
実際に、真冬が覚醒した後に闇夜が抱きついてきたスピードは真冬でもかわせるものではなかった。
「ねー、真冬。こいつなんなのよ? 敵?」
「……敵、といえばいいのか……? 表現が難しいな……」
通常の大人しいイメージである真冬ならおかしくはないが、今の覚醒状態の真冬が歯切れの悪い解答をするのを不思議に思ったのか、涙が首を傾げる。
そこへ闇夜が涙に鎌を向ける。
「お前、真冬お姉さまに気安く話かけるな。殺すぞ」
涙が『お姉さま』というワードに反応する。
「ねー、真冬。アンタの妹ってこんな目つき悪かったっけ?」
「……そいつは私の妹じゃない」
真冬がどう説明しようか頭に軽く手を添えながら、悩ましげな表情で返してくる。
妹じゃないのにお姉さま呼び? と涙が自分なりに考えていると闇夜が再び襲い掛かってくる。涙は次の攻撃も軽やかにかわし、小さく溜息をついた。
涙は真冬のことをよく知っている。
仲が良い、というわけではないが彼女の姉と妹にも何度か会ったことがある。あれから数年経ったわけでもないのに、こんなに容姿が変わるはずがない。それも呼び方だって『お姉さま』じゃなく『真冬姉』だった。
ならば、何故この少女は真冬を『お姉さま』などと呼ぶのだろう——?
涙は考えられる答えを想像して、表情を引きつらせた。
「もしかしてさ、一番面倒なパターン?」
「ああ。……そのとおりだ」
ため息交じりの真冬の答えに涙は心底嫌そうな顔をした。
涙は真冬が『青の惨劇』以降の荒れようを知っている。その当時の真冬は鬼神のような強さで、他者を寄せ付けず暴れ回るその様から『女帝』などと呼ばれていた。
もちろん、そんな真冬に強い憧れを抱く者もいなかったわけではなく——黒曜闇夜はその一人なのだ。真冬が『女帝』と呼ばれていた時代の彼女に憧れてしまった、故に今の真冬を受け入れられないのは、涙にもなんとなく分かる。
たとえば好きなバンドメンバーのボーカルが変わってしまったのと同じような感覚だ。そのボーカルの歌声が好きでファンになった人は、ショックを受けてしまうだろう。
「なるほど、アンタが振り切れないわけだわ。ま、あとはあたしに任せなさい」
「……何をする気だ?」
「アンタじゃ出来ないこと♪」
涙は満面の笑みを浮かべたが、その笑顔に真冬は嫌な予感しかなかった。だがこの状況を切り抜けられるなら、涙の手に乗るしかない。他に自分でもいい手段が思い浮かばないのだ。
以前さっきの籠った瞳で睨みつけてくる闇夜に、涙はびしっと指を差して高らかに宣言する。
「そこのアンタ! 真冬とどういう関係か知らないけど、今更何言っても無駄よ。真冬は一度決心したなら、絶対に揺らがないんだから」
案外まともな方法なのか、と真冬がほっとのも束の間、次の涙の言葉によって真冬の安心は打ち砕かれることになる。
「知るか! お前こそ誰だ! 真冬お姉さまのなんだ!?」
「……あたしの名前は花房仁美(はなぶさひとみ)」
涙の偽名に真冬は思わず誰だ、とツッコんでしまう。
涙は自分の胸元に手を当てて、歌うように言葉を紡いでいく。
「赤宮真冬の、恋人よ」
「「ッ!?」」
涙の爆弾発言に真冬と闇夜の両名が固まった。
涙はそんな二人に気付く様子もなく、言葉を続ける。
「あたしは真冬に一目惚れして、告白し続けたわ。二回も失敗しちゃったけど、三回目でようやくデートに行けたの。今となっては、真冬はあたしの生活の一部……そう、真冬はあたしという女を選んだ! その決心は、もう絶対に揺らがないッ!」
性癖を変える決心はしてない、と項垂れる真冬。
涙としては、狙っていた真冬が誰かのものになっているのなら諦めるだろう、と思っていたらしいが、そもそも闇夜は孤高の強さを持つ真冬に憧れていたのだ。
再び会えた真冬との間に割って入った人物が、真冬の恋人などと言ったら火に油を注ぐことになる。こんなことなら、始めに状況を説明しておくべきだった、と真冬は後悔する。
「……そうか……お姉さまの恋人か……」
闇夜は俯いたまま、鎌を握った手を震わせている。
ショックで震えているのか怒りで震えているのか、真冬は容易に理由が後者であると理解できた。
「——なら」
瞬間、自信満々で油断している涙に闇夜が襲い掛かる。
「お前を消してお姉さまを奪うッ!!」
「……あっれー?」
自分の思惑が外れたことに今更ながらに気付く涙。
今の彼女では闇夜の攻撃はかわせない。真冬は咄嗟に、涙と闇夜の鎌の間に割って入る。
「待て、黒曜闇夜!」
「……っ、お姉さま……?」
「……真冬……?」
闇夜の鎌が真冬に触れる寸前で止まる。自分を闇夜は傷つけない、という賭けに出て正解だった。やはり闇夜は攻撃を途中でキャンセルした。
「……お姉さま、何故……?」
闇夜が呆然とした表情で、真冬を見つめてくる。
嘘をつくのは忍びないが、涙が言ってしまった以上乗るしかない。自分の口から言えば闇夜も納得するだろう。
「……すまんな。こいつが言った通り、私は今こいつを愛している」
「……そんな……!」
闇夜が心底傷ついた表情を浮かべる。
闇夜はまだ諦めない、というような表情で、
「どこまで、どこまで済ませたんですかッ!!」
そこまで聞くか、と真冬はむきになる彼女に若干引いていた。ちらっと後ろの涙を見ると、彼女は親指を立ててウインクをしていた。口パクで『お好きにどうぞ』と言っているのを理解した。
真冬は溜息をついて、闇夜を見つめ返す。
「……他人に教えるのは恥ずかしいが……ファーストキスは済ませた。今では毎日十回以上はキスをしている」
「じ、十回……!?」
「……ちなみに、身体も交わせている」
「そ、そこまで……!?」
真冬は顔を真っ赤にしながら叫ぶように告げる。後ろでは涙が闇夜に気付かれないように、必死に笑いを堪えている。あとで数回殴り飛ばしておこう、と真冬は心に誓った。
闇夜は相当ショックだったのか、頭を抱えながらふらふらと覚束ない後取で真冬から離れていく。
「……そもそも私はもうあの時に戻るつもりはない。今はたくさん仲間もいることだしな」
闇夜は鎌をいっそう強く握りしめると、涙だけではなく真冬にもさっきの籠った視線を向けた。
「……分かりました。でも、私はまだ諦めません。今日は一応引き上げます……。けど必ず、目を覚まさせてあげますよ、お姉さま」
闇夜が向けた怪しげな笑みに、真冬は亜悪寒が走るのを憶えた。
それと、と闇夜は最後に付け足すように、
「……花房仁美、必ず殺す」
そう告げると、闇夜は黒いの炎とともに彼方へと飛んでいった。
彼女が去った後に残された真冬と涙は、二人でほっと安堵の息をついた。
「いやー、最後のはマジでビビったわ、怖かったー。ありゃマジで殺す目だね。ま、何事もなく済んでよかったよかった」
「全然良くないよっ!? 変な誤解与えちゃったじゃん!!」
覚醒状態から元の状態に戻った真冬は涙にそう叫んだ。
敵がいないことに安心して覚醒状態を解いたのだろう。無駄に血を消費するのも良くない、と考えたのだ。
「まーまー、それくらいは許してよ。いい情報あげるからさ」
「むー、そういう問題じゃないよ。そもそも涙ちゃんはどうしてこんなとこに? お夜食買いに来たの?」
アンタと一緒にすんな、という表情を見せたのち、涙は懐から一枚の写真を取り出した。
「これ、創立記念日に偶然昴と街中で見かけた『ヴァンパイア』の子。害はないと思うけど——一応用心して置くように、夏樹くんにも伝えといてね」
涙はそう言って写真を真冬に渡す。
その写真に写っている人物を見て、真冬は驚愕した。
写っていたのは、創立記念日に夏樹と真冬が迷子になっているところを助けてあげた、桃色の髪の少女だったからだ。
- Re: ブラッド・フレイム-Blood Flame- ( No.63 )
- 日時: 2015/07/07 12:50
- 名前: 竜野翔太 (ID: 4/G.K5v4)
第三章 囚われの契約者
1
暗い街に強烈な断末魔が響く。
その声は人が上げた、というよりは人以外の生物が上げた声に聞こえた。それも犬や猫などという可愛らしい動物でもなく、虎や獅子などの全人間が知っているような生物の声でもないような気がした。
聞いたこともない、この世の終わりのような叫び声。その声は漆黒の夜空にこだまし続ける。
「……はぁ……はぁ……はぁ……っ!」
そんな中、一人の少女が漆黒に包まれた空間に立っている。
長い綺麗な黒髪は乱れており、端正である顔には僅かな汗が流れている。そして手に持つ大きな鎌が、今の彼女を死神のように見せていた。
全身から放たれる黒いオーラを押えつけるように、乱れた呼吸を整えるように、黒曜闇夜は胸に手を当てた。
彼女の頭の中には、ある人物の言葉が際限なく繰り返されている。
大好きな人物だったはずだ。憧れ続けていた人物だったはずだ。彼女の強さを求め、がむしゃらに鎌を振るってきたはずだ。
それなのに。
〝私には信頼できる契血者(バディー)がいる〟
闇夜は奥歯が砕けるかと思うほど、強く歯を食いしばる。
一度は下げた鎌を、再び上へと振り上げる。
〝お前の手は取れんな〟
「そんなの……ッ、私の知るお姉さまじゃないッ!!」
闇夜は叫びとともに鎌を振り下ろした。
刃は彼女の足元に転がっている黒い塊へと突き刺さる。その塊は刃が突き刺さると僅かだが、確かに消え入るような声で『ぐぇっ』と鳴く。先ほどの断末魔の正体はこれだ。
闇夜は見つけた悪魔をなぶり、これでもかというくらい痛めつけている。あえてとどめは刺さず、自分の怒りをただぶつけるためだけに生かしている。
「他人なんてっ、邪魔なだけっ! それをっ、知ってるはずなのにっ、なんで……どうして……っ!」
ぐしゃ、ぶしゃ、ぶちっ、とひたすらに黒い塊に刃を突き刺していく。もはや悪魔の息は絶え、ただの黒い塊になってしまっている。それでも闇夜は攻撃を止めない。
肉の潰れる音、筋が切れる音、骨が砕ける音、全てが混ざり合ってグロテスクなハーモニーを奏でていた。
「……はぁ……はぁ……ちっ」
今まで自分が潰していたものの息が絶えていることに気付き、闇夜は低く舌打ちをし、帰ろうかと踵を返す。
闇夜は乱れた黒髪をかき上げて、黒い空を見上げる。
——似ている。
彼女の頭の中に鮮明に残っている光景。あの時は確か、こんな漆黒の闇の中だったはずだ。友達と思っていた人に裏切られ、涙を流し、数体巨大な悪魔に襲われているところを救ってくれた——。
言葉を交わすことも、視線が合うことも、自分の存在に気付くこともなかったが、彼女は一人で数体の巨大悪魔の屍の上に立っていた。傷一つ負うことなく、ただ貪欲に強さと敵を求めているような、猛獣のような瞳とオーラ。
あの時の闇夜はそのすべてに魅せられた。
誰も信じようとしないその強さに。一人でいることの美しさに。
「これはまた、無残な殺し方をしたものだ」
不意に背後から聞こえた声。
闇夜が振り返ると、声の主と思われる人物は、闇夜が執拗に痛めつけていた黒い塊を見下ろしながら、感心するような声で呟いていた。あくまでも闇夜に聞こえるような声で。
振り返り、相手の姿を確認した闇夜は考えるよりも早く鎌を相手に向けていた。その瞳は殺意に満ちている。
右側だけが跳ねた銀髪に、目つきがかなり鋭い男だ。スーツのような黒い服を着ており、見た目は二十代だと思われるが、そう思えない貫禄のようなものを男は持ち合わせていた。
男は怪しげな瞳で闇夜を見つめる。
「これは、君がやったのかな?」
男が下にある黒い塊を指さしながら闇夜に問いかける。
しかし闇夜は答えず、男を睨みつけながら、
「……お前は誰だ? 名乗れ」
「……答えずか。まあ他に人の気配はしないし……君がやったということにしておこうかな」
「……聞こえていないのか? それとも聞こえていないフリか?」
「しかしこれはまた酷いなぁ。やった君からは激しい憤りを感じるよ」
「……私は今虫の居所が非常に悪い。お前もそうなりたくなければ、早々に名乗ってここから立ち去れ」
だが男は、
「一体何に怒っていたのか、聞かせてくれるかい?」
闇夜は男に襲い掛かった。
鎌を振りかぶり、相手に全速力で突進していく。闇夜の鎌の刃は男の首を正確に狙い、鎌を振るうと同時、
「残念だが、君では俺に触れることすら出来ない」
いつの間にか男は闇夜の背後に立ち、彼女の首筋に氷でできたナイフを突きつけている。あと一歩、ほんの一歩だけ進んでいたら氷の刃は闇夜の首に食い込んでいただろう。
始めて感じた死の感触に、闇夜の身体はぶるっと震えた。
男はナイフを闇夜の首筋から引き、力で強引に砕く。砕けたナイフは地面に落ちると、かしゃん、という澄んだ音を響かせるが、すぐに溶けて地面に水の染みを生み出す。
「……お前は、一体……?」
闇夜は冷や汗を浮かばせながら、男の方へと向き直る。警戒は解いていないが、先ほどと違い隙だらけだ。
男は少しやりすぎたかな、という風に肩をすくめると、白い手袋に包まれた手を彼女に向けて差し出す。
「私はフルーレティ。あなたが『ヴァンパイア』であれば、聞き及んでいるはず」
「……フルーレティ、だと……?」
その名前に闇夜は表情を一変させた。何故その名を持つ者がここにいるのか分からない、そしてどこか恐怖のようなものを顔に滲ませている。
「ご安心を。あなたと戦うつもりはない。先ほどの私の見解、あれは合っているでしょうか?」
「……見解?」
闇夜は自分が潰した黒い塊を一瞥した。先ほどあの男は『これをやったのは君か』と『激しい憤りを感じる』という風なことを言っていた。闇夜はフルーレティに視線を戻すと、
「ああ。あれは私がやった。……そして、激しい憤りも感じている」
最後には僅かに怒気をひそませて闇夜は答えた。
答えを聞いたフルーレティは、歯をむき出しにして笑みを浮かべる。
「ならば私の手を取っていただきたい。その憤り……共に晴らしませんか?」
闇夜は差し伸べられた手を見つめる。
フルーレティ、という名前は闇夜でも知っている。彼と組むことは『ヴァンパイア』としてはあってはならないことだ。
だが、この男と組んで邪魔者を排除することが出来れば。あの時の赤宮真冬に出会うことが出来るなら。彼女と一緒にいることが出来るなら——。
あとはこの男を殺せばいいだけ——。
闇夜はフルーレティの手を取る。
「……いいだろう。お前と組んでやる」
「——ありがとうございます」
フルーレティは深々と頭を下げた。
その下に、怪しい笑みを浮かべながら。
- Re: ブラッド・フレイム-Blood Flame- ( No.64 )
- 日時: 2015/02/10 00:05
- 名前: 竜野翔太 (ID: KCZsNao/)
2
翌日の朝、赤宮真冬は昨夜起こったことを全て桐澤夏樹に話した。
夜道でいきなり黒曜闇夜という契血者(バディー)のいない『ヴァンパイア』に襲われたこと。その少女は自暴自棄になっていた頃の自分に憧れ、今の自分を認めていないこと。白波涙の介入により黒曜闇夜は撤退したが、また攻撃してくる可能性があること。
そして、昨日出会った迷子の少女——茨芽瑠が真冬や涙と同じ『ヴァンパイア』だということ。
話の途中、夏樹は一言も発さず黙って真冬の言葉を聞き続けていた。ずっと何かを考えているかのような、そんな表情を見せている。
「——それが、昨日起こったこと。多分黒曜さんはもう一回、といわずに何度も攻撃を仕掛けてくると思う」
真冬は僅かに目を伏せて、
「——わたしが、あの時のわたしに戻るまで」
正直いって、真冬はあの時の——『青の惨劇』後の自分には戻りたくなかった。あの時でさえ周りの色んな人、それこそ涙や自分の姉妹にも迷惑をかけた。思い返せば嫌な記憶しか思い出せないあの頃は、真冬自身にとってもとても辛いことなのだ。
あの頃の自分をひたむきに追い続けている黒曜闇夜にとっては、確かに今の他人に依存している真冬は受け入れがたいだろう。だが、今の自分が本来の自分なんだ、ということを彼女に解らせねばならない。たとえ、その方法が強引で力ずくになってでも。
「……夏樹くん?」
さっきから一言も喋らない夏樹に、真冬が小首を傾げる。それにようやく気付いたのか、夏樹が過剰に驚いたような表情と反応を見せた。
「うおっ!? なんだ、赤宮?」
「……ううん、ずっと黙ってから……どうしたのかなって」
話聞いてた、と問いかける真冬に夏樹は少し曖昧に頷いた。
「……途中までは、かな。あの女の子が『ヴァンパイア』だってあたりまでは……。それ以降は、すまん。正直聞いてなかった」
夏樹は素直に謝る。
話としては、夏樹に知らせなければいけないことはそれが最後の内容だったので、別に問題はない。真冬としても、夏樹に『青の惨劇』後の自分について言及されたくはないので、聞いていなかったのは案外都合が良かったかもしれない。
だが、いつかこのことも話さなきゃいけないな、と思いながら、
「芽瑠ちゃんのこと、気になるの?」
「ああ。赤宮も感じたことだろうけど『ヴァンパイア』には見えなかっったなって思って……。まあ赤宮と同じ『覚醒型』なら納得できるんだけど……」
夏樹の言葉に真冬は少し考えた。
真冬は『ヴァンパイア』だ。一目見てその人が『ヴァンパイア』かどうか判断することはいくらなんでも難易度が高すぎる。だが、すれ違ったり接触すると案外分かったりするものなのだ。『ヴァンパイア』が持つ魔力は時に体外に少し流れ出る場合がある。戦っている時はそれが過剰になるが、戦っていなくても寮の違いはあれそれは同じだ。
「……少なくとも、『ヴァンパイア』同士で感じる気配、的なものは感じなかったかな。だからわたしも全く気にしてなかったし……」
「……そういうことって有り得るのか?」
「うーん、どうだろ? 『天界』じゃ『ヴァンパイア』がいるのが当たり前だし、こっちじゃ『ヴァンパイア』がいないのが当たり前だし……」
どちらの世界も極端すぎて、参考にはなりそうになかった。
そんな風に二人が話していると背後から、
「涙ちゃんドローップッ!!」
などという元気な声が奇抜の技名とともに耳に届いた瞬間、夏樹の身体はくの字に曲がって吹っ飛んでいった。しかも背後からの攻撃だったため、今の彼はエビ反り状態になっているだろう。
「な、夏樹くーん!?」
いきなり吹っ飛んだ少年に、真冬は驚きの声を上げる。
技名と声で犯人が特定できていたが、真冬は一応振り返って犯人を確かめる。
そこには何故か尻餅をついて、しきりにお尻を擦っている白波涙とそんな彼女を呆れながら見降ろしている朧月昴の姿があった。
そんな少女を見て、真冬は噛みつくような勢いで彼女に迫る。
「涙ちゃん! 何してるの!?」
予想だにしなかった真冬の勢いに、涙は驚いた。彼女のこんな強気な態度は覚醒状態に以外にないな、と思いながら、
「い、いやぁー、二人見てるとイラっとしたんで、ちょっとちょっかいを——」
涙の言葉は途中で途切れた。
何故なら彼女の顔に学生鞄が命中したからだ。真冬が再び振り返ると、蹴り飛ばされた背中を擦っている夏樹が投げ終わった体勢で涙を睨み付けていた。
いきなり理不尽な攻撃を受けた涙は、鼻を押えながら夏樹に叫ぶ。
「なにすんのよいきなりー!!」
「お前がそれを言うか」
今まで黙っていた昴が呟いた。その言葉に反応した涙は昴の両頬を思い切り引っ張る。相当痛そうだが、昴の表情はぴくりとも動かず無表情だった。
「こっちのセリフだっつの!! いきなりドロップキック叩き込みやがって! しかも着地失敗で尻餅って、ドジにもほどがあるだろ!!」
「そこをツッコむなよぉ!!」
夏樹と涙が至近距離で睨み合う。
もしかしたらこの二人は仲が悪いのかもしれない。真冬は涙とも昴ともそれなりに友好的に出来ているが、夏樹が二人と仲が悪いのであれば、この先このペアとやっていけるか不安になる。
まあ今のは明らかに涙が悪いのだが。
「つーか用があるんじゃねーのかよ! 用も何もねーのにドロップキックかましたってんなら殴るぞ?」
夏樹はまだまだ文句が言い足りないが、ここで終わらせなければいつまで続くか分からない。涙もそれを理解したようで乱れた呼吸を整え、わざとらしく咳払いをして注目を集めた。
そして、
「忘れたっ☆」
ゴン!! と夏樹の拳骨が涙の頭頂部に鈍い音を立てて落とされた。
頭頂部を押えた涙が涙目になりながら、
「いったぁー!! 何すんのよ、暴力反対!!」
「それもお前が言うか」
昴は再び呟いた。
今度は涙の攻撃はなかったが、用も何もないのにドロップキック(着地失敗)を決め込んだ人のセリフじゃない。
むー、と涙目で睨みつける涙を、昴は引きずるようにして歩く。すれ違う際に涙は小声で、だが確かに二人に聞こえるように言う。さっきまでとは全く違う、鋭い真剣さを帯びた声で。
「——茨芽瑠と、昨夜の黒い女のことで話したいわ。昼休みに屋上に来てちょうだい」
それを言い終わると、昴の手から脱出した涙が彼の隣を歩く。
夏樹と真冬は、涙の言葉にどこか危険な雰囲気を感じ取ったのか、遅れないように学校へと向かって行く。
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