二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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ポケットモンスターBW 混濁の使者 ——完結——
日時: 2013/04/14 15:29
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: H6B.1Ttr)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=21394

 今作品は前作である『ポケットモンスターBW 真実と理想の英雄』の続きです。時間としては前作の一年後となっておりまして、舞台はイッシュの東側がメインとなります。なお、前作は原作通りの進行でしたが、今作は原作でいうクリア後なので、オリジナリティを重視しようと思います。
 今作品ではイッシュ以外のポケモンも登場し、また非公式のポケモンも登場します。

 参照をクリックすれば前作に飛びます。

 では、英雄達の新しい冒険が始まります……

 皆様にお知らせです。
 以前企画した本小説の人気投票の集計が終わったので、早速発表したいと思います。
 投票結果は、
総合部門>>819
味方サイド部門>>820
プラズマ団部門>>821
ポケモン部門>>822
 となっています。
 皆様、投票ありがとうございました。残り僅かですが、これからも本小説をよろしくお願いします。

登場人物紹介等  
味方side>>28  
敵対side>>29
PDOside>>51
他軍勢side>>52
オリ技>>30
用語集>>624

目次

プロローグ
>>1
第一幕 旅路
>>8 >>11 >>15 >>17
第二幕 帰還
>>18 >>22 >>23 >>24 >>25 >>26 >>27
第三幕 組織
>>32 >>36 >>39 >>40 >>42 >>43 >>46 >>49 >>50 >>55 >>56 >>59 >>60
第四幕 勝負
>>61 >>62 >>66 >>67 >>68 >>69 >>70 >>72 >>76 >>77 >>78 >>79 >>80
第五幕 迷宮
>>81 >>82 >>83 >>86 >>87 >>88 >>89 >>90 >>92 >>93 >>95 >>97 >>100 >>101
第六幕 師弟
>>102 >>103 >>106 >>107 >>110 >>111 >>114 >>116 >>121 >>123 >>124 >>125 >>126 >>129
第七幕 攻防
>>131 >>135 >>136 >>139 >>143 >>144 >>149 >>151 >>152 >>153 >>154 >>155 >>157 >>158 >>159 >>161 >>164 >>165 >>168 >>169 >>170 >>171
第八幕 本気
>>174 >>177 >>178 >>180 >>184 >>185 >>188 >>189 >>190 >>191 >>194 >>195 >>196 >>197 >>204 >>205 >>206 >>207 >>211 >>213 >>219 >>223 >>225 >>228
第九幕 感情
>>229 >>233 >>234 >>239 >>244 >>247 >>252 >>256 >>259 >>262 >>263 >>264 >>265 >>266 >>269 >>270 >>281 >>284 >>289 >>290 >>291 >>292 >>293 >>296 >>298
第十幕 強襲
>>302 >>304 >>306 >>307 >>311 >>316 >>319 >>320 >>321 >>324 >>325 >>326 >>328 >>329 >>332 >>334 >>336 >>338 >>340 >>341 >>342 >>343 >>344 >>345 >>346
弟十一幕 奪還
>>348 >>353 >>354 >>357 >>358 >>359 >>360 >>361 >>362 >>363 >>364 >>367 >>368 >>369 >>370 >>371 >>372 >>376 >>377 >>378 >>379 >>380 >>381 >>382 >>383 >>391 >>393 >>394 >>397 >>398 >>399 >>400
第十二幕 救世
>>401 >>402 >>403 >>404 >>405 >>406 >>407 >>408 >>409 >>410 >>412 >>413 >>414 >>417 >>418 >>419 >>420 >>421 >>422 >>433 >>436 >>439 >>440 >>441 >>442 >>443 >>444 >>445 >>446 >>447 >>450 >>451 >>452 >>453 >>454
第十三幕 救出
>>458 >>461 >>462 >>465 >>466 >>467 >>468 >>469 >>472 >>473 >>474 >>480 >>481 >>484 >>490 >>491 >>494 >>498 >>499 >>500 >>501 >>502
第十四幕 挑戦
>>506 >>511 >>513 >>514 >>517 >>520 >>523 >>524 >>525 >>526 >>527 >>528 >>529 >>534 >>535 >>536 >>540 >>541 >>542 >>545 >>548 >>549 >>550 >>551 >>552 >>553 >>556 >>560 >>561 >>562 >>563 >>564 >>565 >>568
第十五幕 依存
>>569 >>572 >>575 >>576 >>577 >>578 >>585 >>587 >>590 >>593 >>597 >>598 >>599 >>600 >>603 >>604 >>609 >>610 >>611 >>614 >>618 >>619 >>623 >>626 >>628 >>629 >>632 >>638 >>642 >>645 >>648 >>649 >>654
>>657 >>658 >>659 >>662 >>663 >>664 >>665 >>666 >>667 >>668 >>671 >>672 >>673 >>676 >>679 >>680 >>683 >>684 >>685 >>690 >>691 >>695

第十六幕 錯綜

一節 英雄
>>696 >>697 >>698 >>699 >>700 >>703 >>704 >>705 >>706 >>707 >>710 >>711
二節 苦難
>>716 >>719 >>720 >>723
三節 忠義
>>728 >>731 >>732 >>733
四節 思慕
>>734 >>735 >>736 >>739
五節 探究
>>742 >>743 >>744 >>747 >>748
六節 継承
>>749 >>750 >>753 >>754 >>755
七節 浮上
>>756

第十七幕 決戦

零節 都市
>>759 >>760 >>761 >>762
一節 毒邪
>>765 >>775 >>781 >>787
二節 焦炎
>>766 >>776 >>782 >>784 >>791 >>794 >>799 >>806
三節 森樹
>>767 >>777 >>783 >>785 >>793 >>807
四節 氷霧
>>768 >>778 >>786 >>790 >>792 >>800 >>808
五節 聖電
>>769 >>779 >>795 >>801 >>804 >>809
六節 神龍
>>772 >>798 >>811
七節 地縛
>>773 >>780 >>805 >>810 >>813 >>814 >>817
八節 黒幕 
>>774 >>812 >>818

最終幕 混濁
>>826 >>827 >>828 >>832 >>833 >>834 >>835 >>836 >>837 >>838 >>839 >>840 >>841 >>842 >>845 >>846 >>847 >>849 >>850 >>851
エピローグ
>>851

2012年冬の小説大会金賞受賞人気投票記念番外
『夢のドリームマッチ ver混濁 イリスvsリオvsフレイ 三者同時バトル』>>825



あとがき
>>852

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171



Re: 335章 三つ子 ( No.404 )
日時: 2011/10/28 21:41
名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

「任務は達成か……」
ガイアは戦闘不能のハサーガをボールに戻すと、通信機から聞こえる下っ端の声に、そう呟いた。
「ともすれば、もうここに用はないな」
ガイアはボールからガルダポケモンのガルラーダを出し、フレイを抱える。
「だがしかし、貴様には言っておいたほうがいいな」
ガイアはすぐに撤退するかと思いきや、イリスには何かあるようだ。
「我らがここに来た理由を、貴様に教えておいてやろう」
「ここに来た、理由……?」
「ああ、我らはここに、エネルギーを採取に来た」
ここ、夢の跡地地下は、もとは夢のエネルギー研究所。なら、どんな形であれ膨大なエネルギーが眠っているだろう。
「貴様らから奪った、境界の水晶。あれは混濁の使者、キュレムを復活、操作する事が出来る代物だが、しかし、復活はともかく操作には膨大なエネルギーが必要で、まだ起動していないのだ」
だからそのためのエネルギーを、プラズマ団はこの研究所に取りに来たようだ。
「アシドの見立てでは、冬が明ける頃にはエネルギーは満ち、キュレムの復活、操作ができるようになるそうだ」
冬明けといえば、まだ先だが、それでも近い。
「我らがここに来た理由はそれで全て……それと、これを返そう」
ガイアは軍服のポケットからモンスターボールを一つ取り出し、イリスに投げる。そのボールは、スポッとイリスの掌に収まる。
「これは……?」
「貴様の弟子のポケモンだ」
「ミキちゃんの?」
ガイア曰く、このボールにはミキが一匹だけ奪われたポケモンが入っているようである。
「それを返す。アシドは興味深かったと言っていたぞ。古生代ポケモンの製造も進み、貴様らのことも少なからず理解した。まあしかし、そのポケモンはその代償を負ったがな」
「っ!お前!」
イリスは激昂するが、ガイアは構わず言葉を発する。
「あまり騒ぐな、英雄。そのポケモンは、もうかのポケモンでなくなっただけだ、別に障害を持ったとか、そういうわけではない。だがしかし、世界に広がる無限の可能性と、ポケモンに秘めたる秘密が、明らかになったとでも言おうか。……ガルラーダ、飛べ」
ガイアは全てを話し終えたらしく、ガルラーダに背を掴ませ、飛び立つ。
「待て!」
イリスとアカリはボールを構えるが

「ストータス、煙幕だよー」

いつの間にかフレイはストータスを出しており、ストータスは鼻や甲羅の穴から黒い煙幕を張って、二人の視界を塞ぐ。
「くっ、前が見えない……!」
煙幕が晴れると、ガイア達はもう既に空の彼方へと消えていた。ストータスも、いつの間にかボールに戻されている。
「……取り逃がしてしまいましたね」
「そう、ですね……」
その後、二人は壮絶に迷いながら、夢の跡地地下に広がる研究所から脱出したのであった。



アカリと別れた後、イリスはサンヨウジムを訪れた。
「やあ、久しぶりだねイリス君」
「再び相見えるとは、思いもしませんでした」
「俺はお前と戦ってないけどよ、見るからに強くなったっぽいな」
ジムで待ち構えていたのは、ウエイターの格好をした三人の少年。
一人は緑色の髪に穏やかな雰囲気を醸し出している少年、デント。
一人は水色の髪で右目を隠している知的な少年、コーン。
一人は赤色の髪で熱く元気な少年、ポッド。
サンヨウジムの、三つ子のジムリーダーだ。
何故ジムリーダーが三人いるかというと、このジムは相手のタイプに合わせ、その弱点を突けるようジムリーダーが三人いるのだ。
イリスが最初に制覇したジムでもあり、イリスは草タイプ使いのデントと戦った。
「御三方、お願いがあります」
「何かな?」
デントがニコニコ顔で訊いてくる。
「噛み砕いて言いますが、僕とバトルしてください。ジム戦ではなく、非公式でもいいので」
イリゼとのバトル条件。イッシュのジムリーダー、四天王、チャンピオンを再び全員倒すこと。
それの、最初の一歩だ。
「まあ、今はチャレンジャーもいないし、それは構わないけど……なら、誰と戦う?」
「全員と、戦わせてください」
『!』
イリスの言葉に、三人は驚いたような顔をする。
「……そうか、遂にこの時が来たようだ……」
デントは顔を伏せ、呟く。なんだか怖い。
「いまだかつて誰も成し得なかった偉業、彼ならもしや、達成できるやもしれませんね」
コーンは落ち着いてはいるものの、しかし興奮を隠しきれていない。
「熱いな……熱いな!」
お前がな、とイリスは心の中でツッコむ。
「イリス君、ちょうど君達が僕らと戦った後、僕らは一つ、とある企画を企てたんだ」
「企てたって……」
悪巧みのようだ。
「名付けて『サンヨウジムトライアルバトルフルコース』。このジムで最も過酷なバトル方式です」
長ったらしい名前である。
「このフルコースは、設立してから誰も成功してねぇ、掛け値なしで難関だ。それをやるからには、覚悟しとけよ」
まだやるとは言っていない。
だがしかし、もう三人はやる気満々だ。
「ルールを説明すると、君は僕ら三人と三連続でバトルをするんだ。方式は二対二を三セット。一度でも君が負ければ、その時点で終了だ」
「へぇ、意外と普通ですね」
つまりは勝ち抜き戦というわけか、とイリスは理解するが、デントの説明は終わらない。
「いや、このフルコースが最も難関なのは、そこじゃない」
デントはさも恐ろしい物を見るかのような目で言う。
そしてそれは、本当に恐ろしかった。

「君は、一体もポケモンを戦闘不能にしてはいけないんだ」



今回はバトルのない回でした。ガイアはプラズマ団が境界の水晶のエネルギーを充填するために動いていることを明かし、去っていきます。さらに今回は、なつかしのあの三つ子が登場です。イリスはサンヨウジム最難関のバトル、『トライアルバトルフルコース』を、半強制的にやることとなります。一体もポケモンを戦闘不能にしてはいけない過酷なルールで、イリスはかの三つ子達と再び(なのはデントだけ。他の二人は初めて)バトルを執り行います。ではそのバトルは次回から、お楽しみに。

Re: 336章 イリスvsポッド ( No.405 )
日時: 2011/10/28 22:26
名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

サンヨウジムトライアルバトルフルコース。
サンヨウジムジムリーダー、ポッド、コーン、デントが考え出した、サンヨウジムで最も過酷なバトル方式。
基本は二対二を三セット行い、挑戦者が三連勝すれば勝利なのだが、挑戦者はそのバトルで一体も、戦闘不能のポケモンを出してはいけないのだ。
つまり、負けることは許されない。
そんなこんなで、イリスはその過酷なバトルを行うこととなってしまった。



「それじゃ、まず最初はこの俺、ポッド様が相手になってやるぜ!」
初戦、最初の相手は、炎タイプ使いのポッドだ。
「過酷過ぎるこのバトル、相手への最大限のハンデとして、俺からポケモンを出すぜ。燃え盛れ、コマレオン!」
ポッドの一番手は、巨大な獅子、鬣ポケモンのコマレオンだ。
「炎・地面タイプのコマレオン。ならこのポケモンで行くしかないな。出て来い、フローゼル!」
イリスの一番手は、水タイプのフローゼルだ。
「それでは、バトル開始!」
審判を務める、デントの声が響く。
「行くぞコマレオン、火炎放射!」
コマレオンはまず、口から灼熱の火炎を放つ。その出力は、相当なものだ。
「フローゼル、かわしてアクアテール!」
だがフローゼルは軽く跳躍して火炎をかわし、コマレオンの頭に水を纏わせた尻尾を叩きつける。
効果は抜群、威力は四倍だ。
「やるな。コマレオン、雷の牙!」
四倍のダメージを負いながらもコマレオンは、牙に電流を流してフローゼルに噛み付く。
「くぅ、フローゼル、氷の牙だ!」
フローゼルは電流を流される中、牙を氷結させて伸ばし、コマレオンに突き刺す。
しかし、コマレオンは離れない。
「だったら、気合パンチ!」
フローゼルは零距離から気合を込めた渾身の拳を繰り出し、コマレオンを殴り飛ばす。流石にこの威力には敵わなかったようだ。
「だが、それくらいじゃあ俺のコマレオンは倒れないぜ。コマレオン、地震だ!」
コマレオンは地面を大きく踏み鳴らし、地震を引き起こす。
「フローゼル、回避の後アクアテール!」
フローゼルはジャンプして地震をかわすと、またもコマレオンの頭に水を纏った尻尾を叩き込む。
だが今度はさっきの二の舞にならぬよう、反動を利用して後ろに跳び退る。
「逃げ腰になるのは感心しねえな、ダイヤブラスト!」
コマレオンは口から宝石のように輝く光線を発射する。
「フローゼル、かわせ!」
直線に放たれる光線はかわすのは容易く、フローゼルは横に体をずらしてその光線を回避した。
「スターフリーズ!」
そして巨大な星型の氷塊を作り出し、コマレオンに向けて放つ。
「コマレオン、火炎放射!」
コマレオンは炎でスターフリーズを溶かそうとしたのだろうが、スターフリーズの威力を多少は弱められても溶かし切るまでは行かず、氷塊はコマレオンに激突する。
「一気に攻め込むぞ、気合パンチ!」
フローゼルは拳を握り、気合を込めてコマレオンに突っ込む。
「ちぃ、コマレオン、雷の牙だ!」
コマレオンは牙に電流を流して突っ込むフローゼルに飛び掛かるが、フローゼルはサッとそれをかわし、コマレオンの胴体に拳を叩き込む。
「氷の牙!」
さらに氷結させた牙を突き刺し、追撃する。
「まだだ、アクアテール!」
そして最後に、水を纏った尻尾を振り、コマレオンに叩きつけて吹っ飛ばす。
「立ち上がれ、コマレオン!」
ポッドのコマレオン相当タフで、タイプ相性により威力が四倍となる水タイプの技をここまで喰らってもなお、倒れない。
「コマレオン、地震攻撃!」
「フローゼル、かわして気合パンチ!」
コマレオンは激しく地面を揺らして攻撃するが、フローゼルは跳躍して回避、コマレオンの額に拳を叩き込む。
「コマレオン、怯むな!雷の牙!」
コマレオンは気合パンチに怯まず、拳を振り抜いた姿勢のフローゼルに電流を流した牙で噛み付く。
「やばい……フローゼル、気合パンチ!」
フローゼルは拳に気合を込め、突き出すが、その前にコマレオンはフローゼルを空中に放る。
「へっ、同じ手は通用しないぜ!コマレオン、ダイヤブラスト!」
コマレオンは宙に浮くフローゼルへと、宝石のように輝く白色の光線を発射する。
「フローゼル、アクアテールだ!」
フローゼルは咄嗟に水を纏った尻尾を前に出してその光線を防ぐが、しかしそんなもので完全に防ぎ切れるはずもなく、フローゼルはダイヤブラストを喰らって吹っ飛ばされた。
「フローゼル!」
フローゼルは地面に落ちるが、まだ戦闘不能ではない。
「コマレオン、そろそろ決めるぞ。地震だ!」
コマレオンは地面を大きく揺らし、地震を引き起こす。
「フローゼル、ジャンプでかわせ!」
流石に地震を喰らうのはまずいので、フローゼルは素早く立ち上がってジャンプし、地震を回避した。
「逃がすかよ、火炎放射!」
そこでコマレオンは灼熱の火炎をフローゼルに放つ。空中にいるため、フローゼルは身動きが取れないが、しかし

「フローゼル、スターフリーズ!」

フローゼルは空中で巨大な星型の氷塊を作り出し、コマレオンへと投げつけるように放つ。
氷塊はフローゼルに向かう火炎放射を打ち破り、コマレオンへと直撃、コマレオンを吹っ飛ばす。
「コマレオン!」
フローゼルの渾身のスターフリーズを喰らい、遂にコマレオンは力尽き、戦闘不能となった。
サンヨウジムトライアルバトルフルコース、まずは一勝である。



今回はなつかしき三つ子のジムリーダーの一人、ポッドとのバトルです。ポッドの一番手はまさかのコマレオン。相性の悪いフローゼルに奮戦しますが、敗れます。前作でイリスと戦ったのはデントでしたので、ポッドとのバトルは初めてですね。というか、あの頃はまだ執筆して間もなかったので話の中身は薄く、描写も不十分で、一戦一戦が短く……まあそんな感じだったので、今回はなかなかよく書けました。……なんだか、たいへんよくできました、みたいですね。では次回はイリス対ポッド、決着です。たぶん一番手の方が種族的には強いですが、次に出るのがポッドの切り札です。では、次回もお楽しみに。

Re: 337章 脂肪 ( No.406 )
日時: 2011/11/04 20:11
名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

「よっしゃ、そんじゃあ次行くぜ、俺のエース!燃え上がれ、バオッキー!」
ポッドの最後のポケモンは、火の粉ポケモンのバオッキー。燃える猿のようなポケモンだ。
「戻れ、フローゼル」
イリスもフローゼルをボールに戻す。
一体も戦闘不能にしてはいけないなら、一戦ごとにポケモンを交代するべきであり、交代禁止のルールもない。なのでイリスは、ポケモンを入れ替える。
「次はお前だ、頼むぞ、チラチーノ!」
イリスが次に繰り出すのは、スカーフポケモンのチラチーノ。チンチラのような姿で、分類通り白いスカーフを首に巻いている。
「なんか女々しいのが来たな……だが!俺は燃えるぜ!バオッキー、気合パンチ!」
バオッキーは拳を握り、気合を込めてチラチーノに突っ込んでくる。
「チラチーノ、正面から向き合うな。スイープビンタ!」
チラチーノはバオッキーの攻撃を受け流し、その体に硬化させた尻尾を連続で叩きつける。
「十万ボルト!」
さらにそこに強力な電撃をぶつけ、追撃。
「くっ、思ったよりやるな!バオッキー、アイアンテール!」
バオッキーは電撃を喰らいながらも尻尾を鋼のように硬化させ、チラチーノに叩きつける。
「気合パンチ!」
「チラチーノ、回避だ!」
バオッキーは拳を握って気合を込めた拳を突き出すが、チラチーノは流れるような動きでそれをかわす。
「奮い立てる!」
そして自身を鼓舞し、奮い立てることで攻撃能力を増加させる。
ちなみにこの技は、サンヨウジムジムリーダーの十八番だったりする。
「よし、これなら……バグノイズ!」
チラチーノは大口を開け、狂ったように大音量の音波を放つ。
「ぐっ、バオッキー、怯むな!穴を掘る!」
バオッキーはチラチーノのバグノイズに耳を塞ぎながらも、穴を掘って地面に潜り、ひとまずノイズからは逃れる。
「逃げられたか……」
イリスは注意深く辺りを探っていると

ボゴッ

という音がした次の瞬間、バオッキーはチラチーノの真下の地面から現れ、チラチーノを殴り飛ばす。
「よっし、バオッキー、次は大文字!」
バオッキーは大きく息を吸い込み、大の字の巨大な炎を放つ。
「避けられるか……? いや、無理か……だったらチラチーノ、バグノイズ!」
チラチーノは狂ったように大音量の音波を発し、大文字にぶつける。こうすることでこの巨大な炎を打ち消そうとしているのだが、これが上手く行かない。どうやらチラチーノの攻撃力不足のようだ。
結果、チラチーノは威力が多少なりとも弱まった大文字を喰らい、体の一部が焼け焦げた。
「チラチーノ、大丈夫か?」
イリスがそう尋ねると、チラチーノは焼け焦げた部分を名残惜しそうな顔で見ていた。
なんだかんだ言って、このチラチーノは♀なのだ。
「チラチーノ、奮い立てる!」
チラチーノは自身を鼓舞し、奮い立たせて攻撃能力を高める。
「十万ボルト!」
そして強力な電撃を放つが
「穴を掘る!」
バオッキーは穴を掘って地面に潜ってしまい、電撃は当たらない。
「行け、バオッキー!」
そして次の瞬間、バオッキーはチラチーノの背後の地面から出て来て、チラチーノを攻撃。
「チラチーノ、反撃だ!スイープビンタ!」
チラチーノはバオッキーの攻撃を受けながらも、振り向き様に硬化させた尻尾をバオッキーに連続で叩き込む。
「もう一度、スイープビンタ!」
「そう何度も喰らうか!アイアンテール!」
チラチーノは再度硬化させた尻尾を振り回すが、それをバオッキーが鋼の尻尾で弾いてしまう。どちらも硬化させた尻尾で攻撃するが、やはりそうなるとバオッキーのアイアンテールの方が強い。
「気合パンチだ!」
バオッキーは気合を込めたこぶしを突き出すが、間一髪、チラチーノはその拳をかわす。
「スイープビンタ!」
そして硬化させた尻尾を連続して叩き込む。
そしてバオッキーの隙ができると
「バグノイズだ!」
チラチーノは狂ったような大音量の音波を発し、バオッキーを攻撃。
ポッドやバオッキーはこういう内面的、精神的な攻撃は辛いのか、苦しそうな顔をしている。
「だー!バオッキー、このやかましい音を焼き尽くせ!大文字!」
イリスはポッドの方がやかましいと思ったが、口には出さない。
バオッキーはチラチーノから一旦離れて、大の字の巨大な炎を放つ。
「チラチーノ、バグノイズ!」
チラチーノは続けて狂乱の音波を放つが、大文字は消せない。奮い立てるで攻撃力は二倍ほど膨れ上がっているだろうが、それでもバオッキーの大文字は掻き消せない。
「バオッキー、気合パンチ!」
チラチーノは大文字に焼かれながらもバグノイズを発し続けるが、そこにバオッキーが気合を込めた拳でチラチーノを殴り飛ばした。
「チラチーノ!」
チラチーノは吹っ飛ばされ、砂煙が舞う。
「ふぅ、なかなか熱いバトルだったぜ。俺のバオッキーもかなり消耗して、攻め疲れちまったが、まあなんとか——」
と、ポッドは言葉を中断した。
それもそうだろう。何故なら
チラチーノが、砂煙の中から飛び出したからだ。
「なっ、嘘だろ!? 俺のバオッキーの気合パンチを喰らって耐えるなんて——」
ちなみにこれは、チラチーノのスカーフのお陰である。
チラチーノのスカーフは、チラチーノの特殊な脂肪がコーティングされており、あらゆる衝撃を受け流せるのだ。
だから効果抜群の気合パンチを喰らっても、全ては受け流せなかったが、威力は大分緩和された。
「くっ、だが、だったらまだバトルは終わっちゃいねえ!バオッキー、大文字!」
ポッドは最後の技を指示するが、しかしバオッキーは動かない。
「バ、バオッキー……!?」
見れば、バオッキーの目はハートマークと化していた。
「こ、これは……」
「チラチーノの特性、メロメロボディですよ」
イリスは言う。
特性、メロメロボディとは、名の通り相手をメロメロ状態にする体である。
この特性を持つポケモンに直接攻撃を仕掛けると、仕掛けたポケモンは稀にメロメロ状態になってしまうのだ。
「チラチーノ、これで終わりだ!スイープビンタ!」
チラチーノの尻尾が、バオッキーに幾度も叩きつけられる。
そしてバオッキーは崩れ落ち、戦闘不能となった。
サンヨウジムトライアルバトルフルコース、vsポッド戦、通称オードブルバトルは、イリスの勝利である。



今回はイリス対ポッド、決着です。本編が長いので、あとがきは短めで行きます。今回は久々のチラチーノ登場で、技も少し変更しています。まあ、ズルズキンほど変わっちゃいないですけど。さて次回はコーンとのバトルになります。お楽しみに。

Re: 338章 イリスvsコーン ( No.407 )
日時: 2011/11/06 14:09
名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

サンヨウジムトライアルバトルフルコース、第二戦。
相手は水タイプ使い、コーンである。
「それでは、お次はこのコーンがお相手します」
コーンは礼儀正しく、そう言った。
「ポッドの火が通り過ぎた熱いバトルは終わり、お次は熱く火照った体を覚ますスープです。じっくり堪能してください」
何気に棘のあるコーンの言葉。というか、ポッドとコーンは波長が合わないようで、デントと比べて仲がよくないように見える。
「では行きますよ。流るる水よ、バクソウオ!」
コーンのポケモンは、一言で言って、骨だった。
カジキマグロのような姿だが、全身の肉がなく、骨だけ。
食べ終わった魚のような、無残な姿だ。
……まあ、れっきとしたポケモンだが。
骨魚ポケモン、バクソウオ。
水・ゴーストタイプのポケモンで、骨だけになることでスピードが格段に上がったらしい。
本当かよ、とイリスは思う。
「ま、でも、ゴーストタイプなら久々のこいつを使ってみるかな。出て来い、デスカーン」
イリスが繰り出すのは、黄金の棺桶に黒い影の腕が四本、触手のように出ているポケモン、デスカーン。
「それでは、バトル開始!」
審判役にシフトしたポッドの号令とともに、バトルが始まる。
「では、まずはこの技。バクソウオ、雨乞い」
バクソウオは天に何かを乞うように祈る。
すると天井が開いたフィールドの空から、ポツリポツリと、雨が降ってくる。
フィールドの天候が、雨天状態となった。
「これで準備は万端。バクソウオ、行きますよ」
コーンは静かに、しかし自信に満ちた声で指示を出す。
「バクソウオ、メガホーン!」
バクソウオは角の様な尖った骨の先端を突き出し

消えた。

「え?」
気がつけばデスカーンが吹っ飛ばされていて、バクソウオは今までデスカーンがいた所にいた。
「な、何が……?」
イリスには何が何だか、全く理解できなかった。
とりあえずデスカーンは起き上がり、次の攻撃に備える。
「バクソウオ、メガホーン!」
また、メガホーン。
バクソウオは消える。しかしデスカーンは吹っ飛ばされない。
今度はしっかりと耐え、反撃に出る。
「サイコキネシス!」
デスカーンは念動力でバクソウオを持ち上げ、地面に叩きつけた。
「ふむ、やりますね。バクソウオ、ドリルライナー!」
バクソウオは錐揉み回転をしながら突っ込んでくる。
しかし、また消えた。
そして流石のイリスも、この辺で気付く。
(これってまさか……)
また、気付けばバクソウオはデスカーンに角の様な骨の先端を押し付け、ドリルのようにその体を削っていく。
「くっ、デスカーン、引き剥がせ!鬼火だ!」
デスカーンは鬼火をちらつかせ、バクソウオを引き剥がす、ついでに火傷状態にもした。
だが
「そのバクソウオ、なんてスピードですか……!」
さっきまでのバクソウオの動き。消えたように見えたのは、速過ぎて視認できなかったから。
バクソウオは体が骨になることで途轍もないスピードを得た。
さらに特性、すいすいにより、雨天時は速度がさらに上昇。
今のバクソウオは、光速だ。
「バクソウオ、シャドーボール!」
バクソウオはまた消える。そしてデスカーンの周囲を旋回しているのか、影の球が次々とデスカーンを襲う。
全く攻撃している所が見えない。バクソウオが影の球を放っているのが分からない。
「デスカーン、シャドーボール!」
デスカーンは試しに影の球を何発か放つ。
しかし、バクソウオには当たらない。
「ふふ、無駄ですよ。ドリルライナー!」
バクソウオはデスカーンの後ろに回りこみ、ドリルのように回転し、デスカーンの体を削っていく。
「サイコキネシスだ!」
デスカーンは念動力でバクソウオを持ち上げるが、バクソウオは自力で念動力から脱した。
「バクソウオ、メガホーン連打!」
バクソウオが消える。
そして次の瞬間、デスカーンの体に刺突を喰らったような衝撃が走る。
一回だけじゃない。二回、三回と、全身にメガホーンの連打を喰らっている。
「やばい……!」
超スピードによる連続攻撃。今までイリスは素早いポケモンを何体も見たが、ここまで速いポケモンは今だかつて見たことがない。
「とりあえず、攻撃力を下げないと……デスカーン、パワーシェア!」
デスカーンはどこにいるのかも分からないバクソウオと、力をシェアする。
パワーシェアは、互いの攻撃力を足して二で割る技。つまり、互いの攻撃力を同じにする技だ。
「バクソウオ、シャドーボールです!」
バクソウオはデスカーンの周囲を旋回し、機関銃のようにシャドーボールを連射する。
「くぅ、デスカーン……」
デスカーンはとにかく堅い。ずば抜けた防御能力が売りだが、しかしこれだけ撃ち込まれれば、そのうち体力も尽きるだろう。
「せめて一発でも当たれば……デスカーン、シャドーボール!」
デスカーンはところ構わず影の球を乱射する。一発でも、マグレでもバクソウオに当たればいいと思ってだ。
そこで、異変は起きた。
いや、異変が収まった、と言うべきか。
「……? 雨が……」
さっきまでザーザーと降っていた雨が、止んでいる。どうやら雨乞いも終わりを迎えたようだ。
そしてその時、イリスはバクソウオの姿を視認した。
雨が上がり、特性、すいすいの効果が消えたのだ。
「デスカーン、シャドーボールだ!」
デスカーンは渾身の力を込め、ようやく見えるようになってきたバクソウオに向かって、影の球を放つ。
影の球はバクソウオに当たり、バクソウオをふっ飛ばし

バクソウオは戦闘不能となった。

「……はい?」
流石のイリスも驚く。バクソウオはまだほとんどダメージを受けていないはずだ。
そりゃ、サイコキネシスやら鬼火やらはあったし、シャドーボールも効果抜群だが、その程度で倒れるとは思わなかった。
「やられてしまいましたか……」
コーンは特に何とも思っていないのか、普通にバクソウオをボールに戻す。
「このバクソウオは、攻撃、素早さ……特に素早さに特化されていましてね、それも異常なまでに。ですから、途轍もなく打たれ弱いのです」
「は、はぁ……」
なんだか釈然としないが、なにはともあれ、イリスの勝利。
サンヨウジムトライアルバトルフルコース、通算成績は、三勝である。



今回は、自分でもビックリするぐらい呆気なく、微妙に終わりました。いや、バクソウオって面白いですね。ちょっと気に入りました。そういえば審判が号令を掛けるのって、サンヨウジムが初めてですよね。さて、またも本編が長くなってしまったので、あとがきはこの辺で。次回はイリス対コーン、決着です。お楽しみに。

Re: 339章 沈溺 ( No.408 )
日時: 2011/10/29 00:48
名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

「では、これで最後、コーンの切り札をお見せしましょう。散りゆく水よ、ヒヤッキー!」
コーンの最後のポケモンは、放水ポケモンのヒヤッキー。流れるような頭をした猿のようなポケモンだ。
「よし、ならこっちはセオリー通り、行くぞデンチュラ!」
イリスはデスカーンをボールに戻し、そして繰り出すのは、蜘蛛のような電気タイプのポケモン、デンチュラだ。
「デンチュラ、速攻で決めるぞ。雷!」
デンチュラは雷鳴っを轟かせ、激しい稲妻をヒヤッキーに落とす——

「ヒヤッキー、泥遊び!」

その時、ヒヤッキーはフィールドに大量の泥を撒き散らし、フィールドを泥だらけにしてしまう。
「!?」
イリスはこの技を見たことがない。なのでその意味が分からず——ヒヤッキーは雷に打たれた。
しかしヒヤッキーは、思いの外平然としている。
「え? あれ……?」
デンチュラの雷は、相当な威力だ。それも効果抜群なら、その威力は二倍。
耐久型でもない水タイプのヒヤッキーに、耐えられるわけがないのだが
「泥遊びは、そのバトルの間、電気タイプの技の威力を半減する技ですよ。水タイプは弱点が少ない、ヒヤッキーは氷技を覚えさせることで草タイプ対策、そして泥遊びで電気タイプタイプ対策は万全です」
用意周到なコーン。この辺りが、力任せのポッドとは違う。
「では、攻めますよ。ヒヤッキー、冷凍ビーム!」
ヒヤッキーは凍てつく氷の光線を発射する。これが、草タイプ対策だろう。
「デンチュラ、シグナルビーム!」
デンチュラもカラフルな光線を発射して冷凍ビームにぶつける。
互いの技はしばし競り合うと、消滅した。威力は互角のようだ。
「デンチュラ、エナジーボールだ!」
「ヒヤッキー、気合球です!」
デンチュラはヒヤッキーの弱点を突こうと草技のエナジーボールを放つが、ヒヤッキーも気合を凝縮した球を放つ。
エナジーボールと気合球では、断然気合球の方が威力が高く、エナジーボールを打ち消してデンチュラにヒットする。
しかし効果はいまひとつ。大したダメージではない。
「まだですよ。ヒヤッキー、ハイドロポンプ!」
ヒヤッキーは息を大きく吸い込み、超高圧の激しい水流を発射する。
「あれは相殺できないな……デンチュラ、かわして辻斬り!」
デンチュラは姿勢を低くし、地面を這ってハイドロポンプをかわしてヒヤッキーに接近。そして隙を見つけては、その部位を爪で切り裂く。
「雷だ!」
さらに雷鳴轟く稲妻を落とし、さらにダメージ。
だが泥遊びで利欲は半減してしまっているため、戦闘不能には至らない。
「ヒヤッキー、冷凍ビームです!」
ヒヤッキーは氷の光線を発射するが、デンチュラは軽く避ける。
「ならばこれでどうでしょう? ヒヤッキー、飛び上がって気合球を連打!」
ヒヤッキーは猿のように軽快に跳躍すると、上空からやや小振りだが無数の気合球を作り出し、連続で放つ。
それはデンチュラを狙っているわけではないようで、気合球の軌道はデタラメだ。デンチュラに当てるというより、フィールド全てに当てているような攻撃だ。
「……どんな意図があったかは知りませんが、そんな攻撃じゃあデンチュラは倒せませんよ。デンチュラ、シグナルビーム!」
デンチュラはカラフルな光線を発射するが、向こうも素早く、軽くかわされる。
「連続でエナジーボール!」
今度はさっきのヒヤッキーのように、自然の力を凝縮した緑色の球を無数作り出し、連続してヒヤッキーへと放つ。
「ヒヤッキー、全て薙ぎ払うのです。ハイドロポンプ!」
ヒヤッキーは超高圧の激しい水流を発射し、鞭のようにしならせて襲い来るエナジーボールを全て薙ぎ払う。
「冷凍ビーム!」
そして凍てつく光線を発射。
「デンチュラ、かわして辻斬りだ!」
デンチュラは飛び上がってその光線をかわし、落下とともにヒヤッキーを切り裂く。
「ヒヤッキー、気合球です!」
ヒヤッキーは掌に気合球を作り出し、デンチュラに押し付けるようにして放つ。
「デンチュラ、辻斬り!」
デンチュラはヒヤッキーの脇をすり抜けてその攻撃をかわし、また擦れ違い様にヒヤッキーを切り裂く。
「エナジーボール!」
「冷凍ビームで相殺です!」
デンチュラの放つ緑色の球を、ヒヤッキーは氷の光線で相殺する。
「ヒヤッキー、ハイドロポンプ!」
ヒヤッキーは超高圧の激しい水流を噴射する。
「デンチュラ、さっきみたいに回避だ!」
と、デンチュラは姿勢を下げるが
「っ、デンチュラ!?」
デンチュラはボコボコになったフィールドに足を取られ、身動きが取れなくなってしまう。
(これは……さっきの気合球か!)
コーンは気合球をフィールドに連打する事で、フィールの起伏を作った。
そうすることで、姿勢を低くした時の移動はぐんと苦しくなる。
そうやってとろとろしている間に、ヒヤッキーはハイドロポンプの軌道を修正、デンチュラにぶち当てて吹っ飛ばす。
「デンチュラ!」
吹っ飛ばされたデンチュラは大ダメージを受け、かなり体力が削られた。あと一発でやられそうな状態だ。
「さあ、これでフィニッシュです!ヒヤッキー、ハイドロポンプ!」
ヒヤッキーは最後に、止めとして超高圧の激しい水流を噴射する。
「くっ、デンチュラ、雷!」
デンチュラも無駄な足掻きとは思いつつ、轟く稲妻を放ち、ハイドロポンプを押し止める。
だがフィールドは泥遊びで電気技の威力が半減している。きっとデンチュラの雷も押し負けてしまうだろうと、イリスはそう思っていた。
しかし、現実は違った。

「!? ヒヤッキー!」

デンチュラの雷はぐんぐんとヒヤッキーのハイドロポンプを押していき、最後には水流を貫いてヒヤッキーに稲妻を突き刺し、戦闘不能にした。
「な、何故……。……はっ」
コーンは気付いた。そしてイリスも。
コーンはフィールドに気合球をぶつけた時、一緒に地面だけ出なく泥も削ってしまった。
ヒヤッキーはフィールド全てに気合球を当てたので、フィールドは余す所なく泥が吹き飛び、泥遊びの効果も消えた。
そして、デンチュラに雷の威力が元に戻り、ヒヤッキーは敗北したのだ。
「やれやれ、策に溺れるというのは正にこの事ですね。このコーン、一生の不覚です」
サンヨウジムトライアルバトルフルコース、vsコーン戦、通称スープバトルも、イリスの勝利である。



さて、今回は本編が長いのであとがきは短く……というのが、最近多い気がします。今回はイリス対コーンのバトルでして、コーンは泥遊びでデンチュラの雷を弱体化させますが、ハイドロポンプを当てるためにフィールドをふっ飛ばし、泥も一緒に吹き飛ばしてしまったために敗北です。次回は最後、デント戦です。デントの一番手は、この流れで行くと分かる人には分かるでしょう。分からない人は、参照をクリック。コマレオンやバクソウオを探してください。では、次回もお楽しみに。


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