二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 薄桜鬼 沖田総司
- 日時: 2011/01/30 17:20
- 名前: さくら (ID: w/qk2kZO)
初めて書きます。
下手ですがどうぞ読んでやってください。
こういう方はお断り。
荒らし目当て
沖田好きな方はぜひどうぞ。
基本的沖田ですが、時々他のメンバーも出てくるかも…?
温かい目で読んでやってください。
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- Re: 薄桜鬼 沖田総司 ( No.55 )
- 日時: 2011/12/10 17:55
- 名前: さくら (ID: mZr6nb5H)
食事を終え、上機嫌で自室に戻ろうとする総司を呼び止める声がした。
冷たい床板は足を止めた総司の足先から温度を奪っていく。背後に立つ影に肩越しに振り返ると、うっそりと微笑んだ。
「あれ?山南さん」
「今、夕食が終わったところですか?」
「そうですよ。山南さんはこれから夕食ですか?」
夕食と言って他の隊士達と時間帯が違う総司は、基本的に一人で食事を取る。それは羅刹となった山南も同じで、これから彼も食事を取りに行くのだろうと総司は思った。
だが山南は総司の予測とは裏腹に、言葉を続けた。
「いいえ、私はもう頂きましたから。それより沖田君。少しよろしいですか?」
「はい?」
山南に導かれてやってきたのは屯所のある一室だった。その部屋の前で総司は立ち止まり、顔をしかめた。
「…部屋に入らないっていう選択肢は?」
「ありません。今夜は私と土方君から君に少し話しておきたいことがあるんですよ」
「別に土方さんがいなくたって山南さんから言ってもらえば…」
「ごちゃごちゃ言ってねぇで入って来い!!」
部屋の中から怒号が飛んでくる。どうやら総司と山南のもめ合いは障子を通り抜け、部屋の主である土方に聞こえていたらしい。土方の怒気が部屋の外にいても伝わってきた。さらに顔をしかめて総司は渋々部屋に入った。
「僕に何か用ですか。こんな時間まで起きていると皺が増えますよ、土方さん」
「ふん、女じゃあるまいし。俺だって好きでてめぇを呼んだんじゃねぇよ。さっさと済ませるからそこに座れ」
土方の真正面を指差され、ひとつため息をつくとそこに腰を下ろした。山南は土方の隣に膝を折った。
「てめぇを呼んだのは他でもねぇ。【身体】についてだ」
「からだ?」
総司が小首をかしげて見せると、言葉の続きを山南が請け負った。
「“変若水”を飲んでもうだいぶ経ちますが、その後身体に変化はありませんか?」
「変化?朝起きるのがつらいことですか?」
「いいえ。朝と夜が反転したこではありません。突然吸血衝動が表れないのか、ということです」
その言葉で脳裏に浮かんだものは、血に狂う隊士達の姿だった。自我を失い本能のまま欲望に従う。我を忘れた隊士達は羅刹化し、最悪手の負えない者は処断する。総司は何度もその役を担い、何度も猛り狂う隊士に刃でもって対処した。
彼らが狂う理由はいくつかある。吸血衝動がそのうちのひとつだ。
突然喉の渇きを覚え、苦悶とも言えるそれは羅刹となった者の定めでもあった。
あとは血を見れば正気を失い、血を求めてしまうこと。昼間活動できないこと。欠陥だらけの劇薬は強大なる力の変わりに、惨たらしい副作用が伴う。
今山南がその欠点の打開案を研究しているところである。
「…いえ、特には」
「そうですか。ですが、羅刹となった以上吸血衝動は必ず襲ってきます。その時には、これを…」
山南が懐から取り出したのは、懐紙に包まれた薬のようだった。
いくつかを総司に手渡すと真摯な口調で続けた。
「と言って、これを飲めば吸血衝動がなくなるわけではありません。その症状を和らげるだけす。羅刹化の時に飲んでも効果はあまり長い間続かないのです。今その症状をなくす薬を研究中ですが、あまり期待しないでください」
言い終えると山南はふっと息をつく。続いて土方が総司に向き合う。
「本当に羅刹化がまだなんだな?」
疑うようなその目は総司の瞳から真意を探っているようだった。二人はしばらく睨み合いを続けたが、それは総司の微笑とともに終わった。
「やだなぁ。嘘ついたって仕方がないでしょ。なってませんよ。ほんとに口うるさいなぁ、土方さんは」
「口うるさいは余計だ。まぁ、おめぇが何もないって言うんなら追求はしねぇが…」
まだ何か拭えない部分があるのか、土方は不承不承総司から視線をはずす。
「じゃぁ、話はこれまでですね。僕もう部屋に戻りますから」
そう言って腰を浮かせた総司は早々に退室した。
総司を見送った土方は苦虫を噛み潰したように渋い顔をする。そうして苛立ったように舌打ちをした。
山南も土方と同様曇った表情だった。
「ありゃ何か隠してやがる」
「隠している…というには少しおかしいですが、あまり関わってほしくないようでしたね」
「くそったれ…人の身にもなりやがれ」
二人は苦々しい表情のまましばらく押し黙っていた。
- Re: 薄桜鬼 沖田総司 ( No.56 )
- 日時: 2011/12/18 21:40
- 名前: さくら (ID: mZr6nb5H)
もうすっかり暗闇に呑まれた廊下を早足で歩く。
吐く息が白いのはもう季節は冬を告げているからだ。
土方の部屋を後にした総司は音を立てないように自分の部屋に戻る。もう今の時分では床に就いている者も多い。大きな音は立てられない。
自分の部屋に戻った総司は、障子を閉めると大きく息を吐いた。
先ほどの会話が思い出される。
土方の呼び出された時点でどのような話の内容かはわかっていた。予想が的中し、その上内容があまり良いものではない故少々機嫌が悪い。
あまり触れてほしくない話だった。だが、いつまでもそうは言っていられないのもわかってた。
暗闇の中、障子からうっすらと漏れる月光を頼りに燭台に火を灯す。
ぼんやりと明るくなった室内の隅、燭台の火が届かないところに腰を下ろす。
「いつまでも…隠せる訳ないか…」
ぽつりと呟いた言葉冷気に呑まれていく。自分の手を見つめてはぁっと溜息を漏らす。
病の進行は落ち着いた。隊務に支障がないほどに。それもこれも変若水のおかげだ。だが、総司はどこか納得できずにいた。完全には病が治っていない、そんな気がするのだ。体の最奥、身体の芯にまだ何かがくすぶっているように思えてならない。疑惑は日々積もっていく。
だが、それを言葉にしても、それが事実かどうかもわからない。立証する術がない今、確認すらできないのだ。
納得できない理由は他にもあった。
先ほどの会話の話題にあがったように、身体に異変が起こった。
それは変若水をのんで数日。急に喉の渇きを覚えたのだ。水をいくら飲んでも喉は潤わない。これが何の兆しなのか、総司はすぐにわかった。変若水の欠陥とも言われる、暴走だ。
人の血を求め、血を口にするまで身体の渇きは収まらない。
脳裏には狂った隊士たちの姿が浮かぶ。
日ごとにその症状は悪化の一途をたどり、耐え難い苦しみが全身を襲うようになった。喉は渇き、血が騒ぐ。心臓は早鐘を打ち、手足は震えだす。髪は白髪に。目は赤色に。体内だけでなく体の外見にまで変化が訪れる。
「…っ……」
どくっと心臓が大きく跳ねる。それを合図に体中の血が騒ぎ出す。息が詰まる。はぁっと苦しさを逃がすために息を吐き出す。
羅刹化が始まったのだ。
最近は発作の頻度を増してきた。苦しさも比例してひどくなる。
胸を押さえても苦しさは変わらない。血が暴走し、全身が小刻みに震える。喉はからからに渇き、唾さえ干上がる。
うずくまり、羅刹化が収まるのをただひたすらに待つ。これまでもそうやってしのいで来た。
朦朧とする意識の中、何かがはじけた。
「っ……薬…!!」
震える手で懐をまさぐり、先ほど手渡された薬を取り出す。急いで包みを開き口に運んだ。渇いた喉で粉薬を飲み下すには苦労するが、なんとか全てを口に入れた。
しばらくの後、早鐘を打っていた心臓は落ち着きを取り戻した。体から苦痛が抜けていくようだった。ほっと息を吐いて、額の汗を拭う。
だが、総司は目を見開いた。
目にかかる前髪がまだ白いのだ。もう発作は収まったのではないのか。そう疑問符を頭に浮かべた刹那、またもや心臓が不穏な音を立てて鼓動を打ち始める。
山南の言葉が唐突に思い出される。
『羅刹化の時に飲んでも、効果はあまり長い時間続かないのです』
「これじゃぁ…労咳のほうがまだましかな…っ」
歪められた口元に笑みが浮かぶ。
息が苦しい。呼吸がままならない。労咳を患っていた時よりさらについらい苦痛が総司を襲う。
ぐっとうずくまって声を殺していた。誰もいない、部屋でただ一人やみに包まれながら苦痛が去るのを待つ。
これまではそうしてきた。だが、今晩だけは違ったようだ。
小さな足音が廊下から聞こえてきた。それが誰のものなのか意識が遠のきかけている総司ははっきりとわかった。
一番知られたくない人物が近づいてきている。
足音は案の定総司の部屋でぴたりとやんだ。視線を巡らせれば月光に照らされた影が、障子にくっきりと映っている。
総司は来るなと虫のような小さな声で叫んだ。来ないで欲しい。今会えば自分を保てる自信がないのだ。
だが影は総司の思いとは裏腹に口火を切った。
「沖田さん。千鶴です。もうお休みですか?」
- Re: 薄桜鬼 沖田総司 ( No.57 )
- 日時: 2011/12/18 22:03
- 名前: カノン (ID: L0v6OTPI)
またきたぞ!!
本当にうまいの。わしも薄桜鬼の小説つくり始めたんじゃがの、
駄文になってしまった・・・
っと、夜一の口調になるとこうなります!!
え〜と!がんばってください!
- Re: 薄桜鬼 沖田総司 ( No.58 )
- 日時: 2011/12/21 20:12
- 名前: さくら (ID: mZr6nb5H)
カノンさん
夜一さんだ〜
薄桜鬼の小説書いてるんですかっ
見てみたいです^^
がんばります
- Re: 薄桜鬼 沖田総司 ( No.59 )
- 日時: 2011/12/21 20:20
- 名前: カノン (ID: L0v6OTPI)
えっと・・・
「薄桜鬼〜新選組の涙〜」というのを書いておるぞ。
全部読みきれていないんじゃが、必ずぜんぶよむからの、
がんばってくれるとうれいいの。
では☆またな。
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