二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 薄桜鬼 沖田総司
- 日時: 2011/01/30 17:20
- 名前: さくら (ID: w/qk2kZO)
初めて書きます。
下手ですがどうぞ読んでやってください。
こういう方はお断り。
荒らし目当て
沖田好きな方はぜひどうぞ。
基本的沖田ですが、時々他のメンバーも出てくるかも…?
温かい目で読んでやってください。
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- Re: 薄桜鬼 沖田総司 ( No.30 )
- 日時: 2011/04/22 21:08
- 名前: さくら (ID: Tzn/2JVm)
ユウさん、初めまして^^
読んでくださって嬉しいです!感激です!!
まだまだ下手くそで、読んでくださってる方の意見もどんどんききたいです
ユウさんの小説読んでみたいです
ユウさんも頑張って下さいね♪
- Re: 薄桜鬼 沖田総司 ( No.31 )
- 日時: 2011/04/24 19:46
- 名前: さくら (ID: Tzn/2JVm)
近藤が退室してから、総司はぐるぐると考え込んでいた。
もし病が二度と治らず立ち上がれなくなったら、二度と刀を握ることがかなわなくなったら。
そんなことになれば、江戸へ送り返されるか、治療に専念するためと空気のきれいな田舎へ護送されるか。容易な未来ならば予想は出来た。
だが、その先。己が新選組を離れた後。
どんな人生を賭すのだろう。自分の未来の姿がどうしても思い描けなかった。否、思い描きたくなかったというのが妥当かもしれない。未来を考えることは恐ろしい。その先まで生きているとは限らないからだ。
低い可能性。暗い未来。閉ざされた将来。
全てが胸中で渦巻いている。そうして執拗に総司に不安の種を植え付けるのだ。それがたまらなく苛立って、布団のはしを握ることで憤りを鎮めるのが精一杯だった。
この胸に占める恐怖は一体何?何が原因なのか。
はだけた単(ひとえ)から覗く胸をそっと手で押さえる。
双眸を閉じれば闇が迎え出た。辺りは静寂。聞こえてくるのは己の規則正しく脈打つ鼓動だけだ。
不安が波紋を呼び、怒りが胸を焦がし、恐怖へと変貌する。
総司は恐怖の種を自問自答した。
「僕は何を恐れている…?」
答えは己にしか見出せない。じっと考え、不安のさざなみは答えをささやく。脳裏に鮮烈に浮かび上がったのは浅黄色の背中たち。
「…新選組に必要とされなくなる時がくるのが恐い…?」
口にした途端、その言葉が渦巻いていた胸にすとんっと落ちた。言葉は雫となり波紋を鎮め、不安をさらって行く。代わりに残ったのは恐怖の種で、妙に納得したためかそれは強固なものとなり根を生やす。
総司は思わず冷笑をこぼしていた。
「ははっ…結局はそこなんだ…」
夢でも追いかけていた、浅黄色の背中たち。けれど追いつけなくて、追いつきたくて。自分はどんどん置いていかれて。あれは恐怖の表れだったのだと気付く。認めたくなかった。信じたくなかった。
新選組に厄介払いをいつかされてしまうのではないか。それは以前からちらついていた可能性で、総司はそれを気付かないふりをしてきた。認めてしまえばそれがいつか現実になりそうで、恐かったのだ。
戦場で死を覚悟したことは何度もあった。刀を振って果てることができるのなら本望だ。けれど今は死を目前にして、存在意義を示せないまま逝くのは決してしたくない。
病が進行すれば刀を握るのは難しい。今まで新選組に生きてきた総司にとってそれは全てだった。それからお払い箱にされるのはこの身が裂ける思いで、辿ってきた道を失うも同じだった。
「結局は…まだ、僕は死にたくない」
病が進行しなければ、完治してしまえば新選組からそんな扱いを受けることはないだろう。生きたい。生きて新選組に生きていきたい。
このとき総司に生きる気力がふつふつと湧いてくる反面、それが叶わないと冷静に考える自分がいる。
何かないのか。総司は必死に考えあぐねた。
生き延びる術を。生き延びる糧を。全ての可能性を考えた。
一瞬脳裏に紅い火花が散った。総司は弾かれたように伏せていた顔を上げ、ゆるゆると胸に当てていた手を下へ移動させる。
必死に考えていたとき、腹部に“違和感”を感じた。移動させた手で懐を探る。そしてそこから出てきた一物に息を呑んだ。
「これ———っ…」
赤い液体が並々と注がれた、小さな瓶はころりと総司の手を転げ落ち、布団の上で一度跳ねた。ころころと布団から離れ、畳の上に転げるとそこで止まった。小瓶は嘲笑うかのように毒々しい光を放っている。
息をすることも忘れ、総司はそれを凝視した。
昨晩、倒れる前に薫が現れた。あれは悪夢かと思っていたが、どうやら現実だったらしい。薫は変若水を総司に置いていった。
心臓が潰れてしまうのでは。そう思うくらい鼓動が跳ねる。
冷たい汗が背を這い、同時に全身が総毛立った。
総司の耳朶に昨晩の悪魔のささやきがこだまする。
『これを飲むと力が増すどころか、病も治るそうですよ』
昨晩襲った衝撃が再生され、総司の体を駆け抜ける。
震える手で小瓶へと手を伸ばす。拾い上げると小瓶はまるで誘惑するように光を反射して、鮮やかな赤を魅せた。
心臓がうるさい。震えるもう片方の手で総司は小瓶のふたを握った。
- Re: 薄桜鬼 沖田総司 ( No.32 )
- 日時: 2011/04/24 20:51
- 名前: さくら (ID: Tzn/2JVm)
脳裏には仲間が血に狂っていく姿がいくつも思い出された。
そうしてその者達は総司の手で命を絶っていった。その場面にいくつもでくわしてきた。彼らを狂わせる凶器を使用禁止も一度は考えたものだ。
変若水がもたらす脅威は自らが体験している。
目の前で血に飢えた仲間を手にかけてきた。その力が与えるの強さも。その力で目覚める治癒能力も。すべて目にしてきた。
知っているのに、わかっているのに。
それでも目の前に揺れる赤い液体は総司が口をつける瞬間を、嬉々として待っているようだった。
破滅の道しかない変若水がもたらす悲劇。理屈ではわかっていても、小瓶を握る手を緩めることが出来なかった。
かたかたと震える指先でふたを握る。
迷いはあった。変若水を飲めば己がどう狂うか。
けれど、けれど。
狂気を代償にして、生き長らえるのなら———。
ふたを緩めた刹那。
「沖田さん。入りますよ」
凛とした声が総司を常世から連れ戻す。術でもかかっていたかのように、体は強張っていた。心臓が早鐘を打ち、冷や汗がどっと吹き出た。
「ち、づるちゃん…?」
その名を口にした途端、己が今何をしていたのかようやく把握した。
手にしっかりと握り締められた小瓶。
総司は我に返り、急いでそれを懐へと隠した。
ややあって千鶴はそっと襖から顔を覗かせる。不安が混じった目で総司を見つめた。
「もう、大丈夫ですか?」
何ともいえない仕草に、総司は目を瞬いた。襖に両手をかけ、顔だけを覗かせる。子供のような振る舞いに総司は、あぁと吐息をこぼした。
今変若水を飲んでいたら、彼女をこんなふに見れなかっただろう。
総司は苦笑して、彼女を部屋に招きいれる。
「入っておいで。今はだいぶ落ち着いてるから」
総司の手招きに誘われるように、千鶴は盆を手に静かに入室する。
そばまで歩み寄り、そっと腰を下ろした。
盆に乗せられたものに総司は自然と目がいった。盆には松本が彼女に頼んだ白湯と、湯気を立てる粥だった。総司が目を瞬くと千鶴はにこやかに告げる。
「松本先生が帰り際に、喉を通りやすものを食べさせてほしいとおっしゃったので。お粥なんですけど、食べられますか?」
そういえば昨晩からまともに食事を摂っていない。だが、総司の腹は食事を受けつけなかった。気分が少し悪い。鼓動が激しく脈打っていたからか、高揚している今は何も喉を通らない。
総司は首を横に振った。
「…折角だけど、お腹はすいてないから…」
「それなら私が食べさせます」
「え?」
いつもなら食事を断ると渋々引き下がった彼女が、今日は珍しく食い下がってきた。
「近藤さんがさっき教えてくれたんです。沖田さん、大根おろしが入ったお粥なら食べるんですよね。はい、口をあけて下さい」
「ちょ、ちょっと待って」
千鶴が粥をすくい上げ、それを総司の口元に突きつける。
総司は困惑した。積極的すぎる千鶴は一歩も譲る気はないらしい。口を引きつぐんで、総司が口をあけるのを待っている。
「千鶴ちゃん、僕はいらないって…」
「何も食べないと本当に病気は良くなりません。まずは栄養を摂って、ゆっくり休むんです」
「その台詞、どこかで聞いたような…」
医者の娘だけあって、妙に説得力があったのも事実だ。その覇気に気圧されて、総司は戸惑う。
じっと双眸を見つめてくる彼女からは意地にも似たものを感じた。
「…わかった…」
総司が諦めて息をつくと、千鶴の顔が華やいだ。それを見るとどうにも悪い気がしない。若干複雑な気持ちを抱えながら総司は口を開いた。
そっと口に運ばれた粥は、いい具合に塩がきいていて優しい味が口いっぱいに広がる。
ゆっくり噛んでいると、千鶴の熱い視線に気付く。
「おいしいよ。食べやすい味してる」
「良かった…」
安堵の息を漏らすと、総司が飲み込むのを見計らってまた粥を口に運んでやる。合間に白湯を飲ませ、また粥を食べさせる。
少量だったためもあり、粥をすぐにたいらげた。白湯を飲んでいると、千鶴は総司を見つめたまま目を細めた。
「沖田さん…」
さっきとは打って変わって沈んだ声に、総司はすぐさま反応した。
漸(ようよ)う千鶴は言葉を選んで並べる。
「昨晩…沖田さんが質問してくれたよね…僕が死んだら君は泣いてくれる?って…」
どくんと心臓が跳ね上がる。聞きたくて、でも聞けなかった答え。
心の準備が整っていない総司は慌てた。そんな総司を気にも留めず、千鶴は慎重に、言葉を紡ぐ。
「私はたぶん…」
心臓が全身を駆け巡っているようだった。息が苦しくなるほど胸が軋む。総司は動悸で霞む視界から必死に彼女の姿を探す。
千鶴は苦しみを耐えるように、顔を歪ませて呟いた。
「泣き果てて…立つこともできなくなると思います」
しまいには総司を見ていられなくなり、千鶴は俯き、自分の手を睨む始末だった。発せられた言葉は悲哀をたたえ、総司は目を瞬いた。
「なんで…?」
暴走していた心臓は落ち着きを取り戻し、意識がはっきりする。
総司の言葉が以外だったらしく、千鶴も疑問符を浮かべた。言っている意味がわからないと言うように、目を丸くしている。
総司は腹の底から湧き上がる感情を覚えた。
「それは同情?それとも哀れみ?」
死は間近。いつか下されるかもしれない護送の命。それに怯え、恐怖に打ちひしがれいくのであろう未来を今しがた予想していた総司に、千鶴の言葉はどこか他人事に聞こえた。
否、今の総司でなければその言葉は嬉しさを誘うものだっただろう。だがしかし、悲観的になっている総司にその言葉は残虐にしか響かない。
見えない未来への苛立ち。己の処遇の不安。何よりも憤りを感じたのは、死にゆくことしかできない己の身体。
「そういうのが、一番傷つくんだよ」
- Re: 薄桜鬼 沖田総司 ( No.33 )
- 日時: 2011/05/04 22:00
- 名前: さくら (ID: Tzn/2JVm)
千鶴は総司の言葉の意味を理解できずにいた。
何度も目を瞬き、総司を見つめる。ふっと自虐的な笑みを浮かべて、総司は苛立ったように言葉を重ねた。
「聞こえなかったかな?そういう言葉が僕を傷つけるって言うんだよ」
「あの、私そんなつもりは…」
首を振って千鶴は否定した。けれど総司は彼女に耳を傾けずに続けた。
「病人なんてただ厄介なだけだしね。そうだって言ってもいいんだよ」
「沖田さん…」
「刀も振るえないようじゃぁ、新選組ではお荷物だし。君も面倒でしょ?僕の世話するの」
「沖田さん」
「それに、もうこの体は治る見込みなんてないわけだし…いつここを追われるのかなぁ…ねぇ、千鶴ちゃん。病人の介護なんてしなくていいから。医者の娘で気になるのはわかるけど、僕の世話なんかしたっていつかは死———」
「やめて下さい!!!」
部屋に千鶴の叫び声が響く。どこか遠くを見つめていた総司は千鶴にやっと視線を向けた。
すると彼女は細い肩を震わせ、苦痛に耐えるように俯いていた。
白くなるまで握り締められた千鶴の手を見つめて総司は口を閉ざす。
「…やめて下さい…どうしてそんなこと言うんですか?」
小さくつむがれる声はしかし、静寂の部屋によく響く。
総司はじっと千鶴を見つめた。先を促しているのか、黙り続ける。
「どうして……っ…沖田さんは…」
ぱたり。
千鶴の甲の上に雫がしたたる。いくつもの雫が落ち、手を伝い袴の裾へと吸い込まれていく。
「どうして、はこっちの台詞だよ」
総司は千鶴が声を殺して泣いているのだと気付くと、目を細めた。
そして手を伸ばし、千鶴の顔に手を添える。
「どうして君が泣くのさ?」
千鶴の潤んだ双眸を見つめ、理解できないというように首を傾げた。
嗚咽を漏らし、むせび泣く彼女の口からか細い声で唇を動かす。
「沖田さんが…泣かないから…」
「僕が?」
千鶴はこくんと頷くと、目に溜まっていた涙の大粒がこぼれる。
不思議がる総司は心の内で困惑していた。目の前で涙を流す彼女はひどく悲しげに見える。その理由が何なのか、記憶を手繰ってみても泣かせてしまうほど何かをした記憶もない。
「悲しいときは、つらいときは泣いても…いいんです」
涙は溢れて総司の手をぬらす。
まるで総司の分まで泣いているように、はらはらと。
「一人で抱え込まないで下さい…言ったじゃないですか…私はおそばにいますって…沖田さんの苦しみを私にも分けてくれませんか……?」
その台詞に、総司の胸の鼓動が大きく跳ねた。
今まで抱え込んでいた感情がこの瞬間かき混ぜられ、大きな衝動となって総司の胸を打つ。
以前に約束した、些細な契り。
そばにいて欲しいと頼んだ。あの時は彼女を誰にも渡したくなくて。
彼女がそばに居たいといってくれたときはこの上なく歓喜した。
けれど最近は死に追い詰められる日々が続き、良くしてくれる彼女に気も留めず、思い返せばひどいことばかりしてきたように思えた。
総司は今になって気がついた。
彼女は己が知らないところで、いつも気にかけ、思いやってくれていたにだと。ふらっと出かけた日は必ず玄関で出迎えてくれたし、食事を摂らなかったときは決まって何かこしらえてくれた。
自分のことで頭がいっぱいだったことに、今更思い知らされる。
彼女にどれだけの迷惑と心配をかけただろう。
それを思うと胸が軋む。目の前で泣く千鶴が急に愛しく感じられて、総司は目を細めた。
「…ごめんね」
指でそっと千鶴の涙を拭う。
今まで自分がどれほど、わがままで周りが見えていなかったのかがよくわかる。彼女を泣かせるはめになったのもそもそもは自分なのだと自覚した。
「ごめんね…僕は小さくて、醜い人間だから…」
ようやく落ち着きを取り戻した千鶴は総司を見つめた。
さっきとは違う、寂しそうな、叱られた子供のような悲しそうな表情。
「これから君をもっと、こんな風に傷つけるかもしれない…泣かせてしまうと思う…今も、僕を思って泣いてくれたんだよね」
「沖田さん…」
こつっと千鶴の肩に頭をもたげると、総司は小さく唇を動かす。
千鶴が一瞬息を呑むのが伝わった。
「…それでも、君は僕のそばにいてくれる?」
面と向かって返答を聞くのが恐かった。それすらできない自分はどれほど小さき心の持ち主かよくわかる。総司は恐る恐る訪ねると返事を待った。
さっきはひどいことを言った。だからいい返事が返ってくるとは思えなかった。ただ、千鶴がもし、嫌だといったとき。きっと己は地に足を着き、立つことも出来なくなるだろう。今度こそ奈落の孤独の淵へと落ちていくだろう。総司はそう思った。
どれほど彼女が支えてきてくれたか。どれほどその支えが大切であったか。今になってその支えを失いたくなかった。
総司はきゅっと目を瞑った。
「もちろんです」
それはいつもの、優しい声だった。
そっと顔を上げると柔らかな笑みを浮かべた千鶴がいた。
「私だけじゃないです。新選組の皆さんもです。皆沖田さんが大切で、かけがえのない存在なんです。だから、もう一人で何もかも抱え込まないで下さいね」
全てのしがらみから解き放たれた気がした。
死からも、孤独からも、苦しみからも。束縛されたいた心が開放された。
同時にもの凄く泣きたい衝動に駆られた。
「…ありがとう」
再び千鶴の肩に顔を寄せる。優しい芳香。ほっと息をつくと全身の力が抜けて、視界が暗転する。
薄れゆく意識の中、優しく千鶴が頭を撫でているのがわかった。
慈しむように、そっとそっと。
その手の動きに誘われるようにして、意識は眠りの深淵と落ちていった。
その時見えた、浅黄色の背中たち。今はすぐ近くにその背中は並んでいた。
もしかすると、遠ざかっていたのは自分で、いつでも新選組はそばにいたのかもしれない。
そう安心すると温かい闇へと身をゆだねた。
- Re: 薄桜鬼 沖田総司 ( No.34 )
- 日時: 2011/05/05 10:49
- 名前: ユウ (ID: L4SkEqAF)
こんにちは☆
やっぱりいつ見てもすごいですね!!
神文を見て勉強させてもらいますw
お互いがんばりましょう(^o^)/
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