二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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薄桜鬼  沖田総司
日時: 2011/01/30 17:20
名前: さくら (ID: w/qk2kZO)


初めて書きます。
下手ですがどうぞ読んでやってください。


こういう方はお断り。
荒らし目当て


沖田好きな方はぜひどうぞ。
基本的沖田ですが、時々他のメンバーも出てくるかも…?


温かい目で読んでやってください。

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Re: 薄桜鬼  沖田総司 ( No.20 )
日時: 2011/03/27 18:54
名前: さくら (ID: Tzn/2JVm)

屯所に戻ったときには日は完全に暮れ、あたりに闇が訪れる。
うつろな足取りで門をくぐるとある声に呼び止められた。我知らず屯所に戻っていることに驚いた。ぼんやりしていてどこをどう歩いて帰ってきたのか思い出せない。
声の主は玄関から姿を現した。

「沖田さんっ…良かった。どこに行っていたんですか?」

心配する顔を見て、はっと我に返った。

「千鶴ちゃん…」
「心配しました。お薬の時間になってもどこにも沖田さんの姿が見当たらなかったので…」
「あれ…そうなの?」
「そうなのって…沖田さん、どうかしたんですか?顔色が良くないです」

心配顔がさらに色を濃くする。総司の異変に気付いた千鶴は、急に不安になった。

「何も…ちょっと遊び疲れただけ」
「遊び疲れ?近所の子供たちとあそんでいたんですか?」

頷くことも億劫になり、総司は彼女の問いに返答せずに玄関へと向かう。あたりの空気が一気に冷える。

「…あ、お夕飯もうできてます」

いつもなら意地悪さを言葉に含み、面倒くさがらず千鶴の問いにはいつも答えてくれていた。普段の総司とは違う態度に、異変を抱かずにはいられなかった。
総司の心もとない背中を、千鶴は見つめることしかできなかった。


Re: 薄桜鬼  沖田総司 ( No.21 )
日時: 2011/03/27 20:33
名前: さくら (ID: Tzn/2JVm)

夕食を摂ったはずなのに、何を食べたのか、味はどうだったかさえ覚えていない。
総司の脳裏に焼きつくように、ある光景が頭から離れないでいた。
異変を感じた何人かの幹部は総司に声をかけたが、曖昧な返事しかしないことに首を傾げた。
部屋の前に位置する縁側に腰を掛け、総司は闇夜にぽっかり浮かぶ月を眺めていた。
こおろぎの声がどこからか聞こえてくる。
目を閉じ、夕方に見た光景を思い出す。
棺。喪服に身を包んだ人々。むせび泣く親族。
その光景から目が離せなかった。足に根を張ったように動けなかった。
今思い出すと体が震えだす。

「僕が死んだらどれくらいの人が泣いてくれるんだろう…」

どれほどの人が悲しんでくれるだろう。
考えてみたけれど、本当に嘆いてくれるのか。答えは思い浮かばなかった。

「僕は、死ぬのが怖い…?」

死後を気にするなんてそうとしか考えられない。
けれどなぜ?刀を振るい、戦場に立っても死を恐れたことは一度もなかった。むしろ奮い立っていた。新選組のためなら命をも投げ捨てられる。
それなのに、病で死ぬのは怖い?
自分の気持ちがわからない。今までこんなことを考えたことがなかった。ただ胸の最奥にある何かが叫んでいる。それを聞き取ろうとしても、その何かの声は小さすぎてよくわからない。

「沖田さん」

気遣わしげな声。遠慮がちにかけられた声の主に、ゆっくりと振り向いた。
盆を手にしていた千鶴は、総司より少し距離を置いて膝を折る。
床に盆が置かれて自然とそれに視線を移した。
白い湯気を上げるお茶は、鼻腔をくすぐる。その隣には三色団子が添えられている。
夕食をまともに摂らなかったことを思い出し、団子を目にした途端空腹感を覚えた。

「今日巡察の帰りに寄っていただいたんです。沖田さん、お団子好きだっておっしゃていたので。どうぞ」
「ありがとう」

素直にお茶と団子を受け取ると、無言で口にほおばる。空腹を満たすには十分だった。
あっという間にたいらげた総司は、茶をすすってほっと息をついた。
ふとさきほどの震えが止まっていることに気がつく。

「良かった」
「え?」

安堵のため息が聞こえて、横に座る千鶴を一瞥する。

「沖田さん、お夕飯あまり食べていないようだったので…落ち着きましたか?」

総司の空になった湯飲みを取るとお茶を注ぐ。

「参ったなぁ…」
「沖田さん?」

茶のお代わりを受け取ると総司は困ったように笑った。理解できないというように千鶴は小首をかしげる。
その仕草に愛おしさを感じて首を横に振る。

「君は何でもお見通しなんだね。敵わないなぁ…」
「え?え?沖田さん」
「ありがとう」

唐突に告げられた千鶴は目を丸くした。急にそわそわし始めた彼女を見て、逆に総司は首を傾げた。困らせることを言っただろうか?

「心配してくれたんだよね。ありがとう」
「い、いえっ…そんな」

盆を胸に抱いて、千鶴は視線をさまよわせる。総司はその迷える視線を追いかけたくなって、つい目で千鶴の目線を追いかける。
ぱちりと目が合った。追いつかれてしまった千鶴の目線は総司に向く。
頬が赤い。困ったように細められる目が月光を反射して、潤んで見えた。

「ねぇ、千鶴ちゃん」

涼しい夜風が二人の間に抜けていく。しばらくの沈黙のあと、総司は聞かずにはいられなかった。

「僕が死んだら、君は泣いてくれる?」

再び沈黙が降りる。時が止まったかのような永遠のような刹那。
千鶴の顔が陰る。それを見た瞬間、総司はとっさに手を前に突き出す。

「やっぱりなし。ごめん、変なこと聞いて」

聞きたかった。その問いの答えを。
けれど聞く勇気もなしに聞いてしまい、沈黙の瞬間後悔した。
立ち上がり、千鶴の顔を見ずに部屋へと戻る。
彼女が何か言おうとした気配を感じた。けれど総司は振り向かずに部屋の戸を閉めた。
しばらく戸から手を離せなかった。障子の向こうに残された彼女が気になって。
少し間のあと、千鶴が立ち上がる気配を感じた。静かに廊下の奥へ消えた千鶴の気配を感じ取り、総司はずるずるとその場に座り込む。

「あーぁ…何やってるんだろう、僕」

怖いの?
恐いの?
死ぬことが?

外に出たい。刀を振るいたい。
そうすれば自分の存在意義を身をもって実感できる。
急に部屋が暗く感じた。闇が押し迫ってくるようで。
押し潰されそうな感覚がした。
怖い。
恐い。
恐怖が胸を締める。苦しい。息が苦しい。

「っげほ、げほっ!!」

喉に競り上がる感覚を覚える。鉄の味が口いっぱいに広がる。
苦しい。
泣きたくなるほどの、悲しみか恐怖か苦しみか。
その全てが混ざり合って一気に押し寄せてくるようだった。
途切れ行く意識の中、思い浮かべたのはただ一つ。花のように笑うあの子の姿———。

Re: 薄桜鬼  沖田総司 ( No.22 )
日時: 2011/04/02 19:16
名前: さくら (ID: Tzn/2JVm)

体が鉛のように重い。
泥のなかを漂っているような気だるさ。全ての感覚が遠いところに切り離されている気がした。
真っ暗闇の中、誰かに呼ばれた。
すっと意識が浮上する。

「—————……?」

重いまぶたをのろのろと上げる。感覚が麻痺しているのか、四肢が上手く動かない。力が入らず、視線だけを泳がせる。

「沖田さん」

千鶴、かと思った。
声音がよく似ている。けれど総司はすぐにそれを否定した。
視線をさまよわせて総司はここが自分の部屋だと判明するのに、少々時間がかかった。
声の主を視線だけで探す総司は、少し離れた場所で鎮座する影を見止める。

「沖田さん。大丈夫ですか?」

夜のせいで室内が暗い。
人影に目を凝らし、総司はやっと誰なのかわかった。
気遣わしげな声。桃色の袖。月明かりでうっすらと浮かび上がる白い肌。

「ずいぶんつらそうですね」
「………南雲…か、おる……」

少し前。町で出会った少女。千鶴と瓜二つの顔を持つ少女は、何かと新選組に関わりを持つことになった。
どこか怪しい、妖艶な少女は千鶴と似て非なる雰囲気がある。
総司はその違いがわかる。だからそこにいるのが千鶴ではないと判断できた。

「少し、痩せましたか?」
「…な、に…しに来たの?」

体が重く、横たわる自分の体に力が入らない。胸に痛みが広がり、感覚が麻痺から苦痛へと変わる。
喉の痛みが呼吸を阻む。視線だけを薫の方へと向けた。

「ひどい言い草。そんな冷たくしないで下さいな」

ひんやりとした感触が頬を撫でる。それが薫の手だとわかると、体中鳥肌が立った。まるで触れられた部分からただれていくような感覚を覚える。
すると頭上から苦笑が聞こえてきた。

「そんなに構えないで下さい。沖田さんにお話があって来たんです」

どうして、と口を開いたが、声が上手く出ない。
ここは新選組屯所。少女一人が簡単に入れる場所ではない。

「これをお持ちしたんです。今の沖田さんには必要でしょう?」

薫が袂から何かを取り出す。
それを目にした途端、総司は息を呑んだ。
毒々しい、血のような赤い液体———。
小瓶に収まる赤い液体は、暗闇の中でもよく見えた。
総司はそれ——変若水——から目を離せなかった。
これまで何度も考えた。朽ちゆく体。蝕まれていく体力。
今でさえ何もないが、いつ新選組からお払い箱をくらうかもわからない。そんな不安を抱えながら過ごすくらいなら、と何度この液体を飲もうかと迷ったことか。

「これを飲むと力が増すどころか、病も治るそうですよ」

雷に打たれたような衝撃が体中に迸る。
総司は二の句が継げず、薫の顔を凝視した。
薫の口元が歪められる。

「飲むか、飲まないかは沖田さん次第です」

畳に置かれた変若水を指先で撫でると、薫は腰を浮かせた。

「では、今夜はこれで。おやすみなさい。沖田さん」

薫が障子を開ける。月光ではっきりと薫の表情が見えた。
美しく、整えられた顔が悦びでほころんでいる。
薫は音も立てず廊下の向こうへ消えた。
張りつめられていた空気が緩んだ後は、静寂が部屋を満たす。総司は再び苦痛と共に、意識の糸が切れるのを自覚した。


闇が訪れる。真っ暗闇だ。
手を伸ばしても自分の手すら見えない、深い闇。
ここがどこなのかということより、胸を締めたのは焦燥と不安。
意識を無くす前に抱いていた恐怖。
何に対しての恐怖か。目の前の闇か、それとも—————……。
ここから出よう。そうすればこの恐怖からも逃れられるはず。
けれどどんなに手足を動かしても、闇は一向に消える気配を見せない。
それどころかどんどん深みへ進んでいるようで、より強い恐怖が襲う。
鼓動が早くなる。氷塊が背中を滑るようだった。
このまま、ここで一人—————?
そう思ったとき、目の前に人影が現れる。

「ち、づるちゃ…」

悲壮な表情でこちらを見ている。目を細めて、千鶴は踵を返しそのまま歩く。

「千鶴ちゃんっ…!……っ!?」

息を呑んだ。目の前にいるのは千鶴だけではなく、見知った人々。
だんだら模様の羽織を翻し、背を向けて歩く仲間達。

「近藤さん、土方さん、左之さん、平助、新八さん、山南さん…ねぇ、皆どうして…誰も、こっちを見てくれないのさ……っ」

全速力で走っても、前を歩く人々に追いつけない。それどころか距離が広がっていく。
やがて肺が悲鳴を上げ、喉が痛みを訴えて足を止める。

「どう、して……げほっげほっ!!!」

口元を押さえたが、口から溢れた鮮血は闇にべったりと吸い付く。
目の前が真っ赤になる。

「恐いんでしょう?」

ふいに声が聞こえた。視線を上げると薫がうっそりと微笑んでいた。その手には血に劣らず、赤い液体が入った小瓶が握られていた。

「これを飲めば、新選組の方々に捨てられずにすみますよ?ほら、早くしないと、皆さん行ってしまわれます」

再び前を見るとさっきよりも小さくなった背中が並んでいた。
鼓動が早鐘を打つ。震える手が我知らず小瓶を掴んでいた。
ふたを取って、口元へと小瓶を運ぶ。
赤い液体は喉から滑り落ち、体を巡った。
変若水を飲み干すと目の前がさらに暗くなった。
追っていた仲間の背は見当たらない。そのまま身に任せて目を閉じた—————。


Re: 薄桜鬼  沖田総司 ( No.23 )
日時: 2011/04/02 20:12
名前: 絆(ほだす) (ID: ugb3drlO)

初めまして、絆と申します(_^_)
もしよければ、ほだって呼んでください^^

沖田さん、かっこいいですよね!すごい好きです!!
病気っていうのがまた切ないですよね・・・(T_T)

てゆか、さくらサマ小説書くの上手すぎです!!
初・・・なんですよね?
全然そうとは思えない><・・・(^_^;)
凄すぎです!

また、続き読みに来ようと思います!

続き、期待してますね!!頑張ってください!

Re: 薄桜鬼  沖田総司 ( No.24 )
日時: 2011/04/09 17:24
名前: さくら (ID: Tzn/2JVm)

はじめまして、ほださん^^
沖田さん私も大好きです♪

がんばって書いていきますね
また読んであげてください^^ノシ


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