二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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薄桜鬼  沖田総司
日時: 2011/01/30 17:20
名前: さくら (ID: w/qk2kZO)


初めて書きます。
下手ですがどうぞ読んでやってください。


こういう方はお断り。
荒らし目当て


沖田好きな方はぜひどうぞ。
基本的沖田ですが、時々他のメンバーも出てくるかも…?


温かい目で読んでやってください。

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Re: 薄桜鬼  沖田総司 ( No.25 )
日時: 2011/04/09 18:34
名前: さくら (ID: Tzn/2JVm)

重いまぶたをゆっくり上げると、輪郭が崩れた世界が広がっていた。
焦点を合わせようとしたとき、目の前に誰かがいることに気付く。
何度か瞬きを繰り返すとようやく視界がはっきりした。

「沖田さん…」

目に飛びこんできたのは千鶴の心配そうな顔だった。
どうしてそんな顔をするの?と聞こうとした途端、咳がこみ上げてきた。

「沖田さんっ」
「雪村君、ちょっとどいてくれるか。前に言わなかったか?ったく安静にするという約束は守れなかったようだな」

低い声が聞こえて視線を動かす。
天井が見えるということは、自分は今横たわっているのだとわかる。千鶴の顔が視界から消えたと思うと、かわって渋い顔が現れた。

「ゆっくり息をして、そうだ。そう、ゆっくりだ」

声の主は総司の肩に腕を回すと、上体を起こさせ背中をゆっくりとさする。そうすることで総司の咳はすぐに止まった。
丸い頭、下がり気味の目じり。太い腕を見て総司は声の主が誰なのかつきとめた。

「…あれ、松本先生じゃないですか…」
「あれ、じゃないぞ。お前さんが倒れたと雪村君に聞いて、走ってきたんだからな。どうやら安静にできなかったようだな」

総司の肩からそっと腕をはなすと、松本は渋面を崩さないまま総司を叱咤した。

「安静にすると約束したから、ここに残ることを許したものを…守れなければ田舎に専念治療してもらうと言ったはずだが?」
「あ、あの。松本先生。沖田さんは本当に安静にしていました。最近は巡察にも参加していらっしゃらなかったので…」

黙ってお叱りを受ける総司が居たたまれなく思ったのか、千鶴が声を上げた。怒気を孕んだ声音が今度は千鶴に向けられた。

「巡察に出ていないだけで、布団の中ではないだろ。安静にとはそういう意味だったんだ」

そう言われた千鶴は言葉を失った。そこまで重度だとは思わなかったのだろう。
それも当然だ。外出は控えて屯所にいた総司の顔色はさほど悪くはなかった。ひょうひょうとしていつもの元気を取り戻したかのようにも見えたほどだ。
だから千鶴は過信していた。総司の病は良い方向に向かっているのではないか、と。

「…松本先生、そんなに彼女を責めないで下さいよ。僕が悪いんだから」

総司から少し離れたところに座る千鶴に、そっと視線を向ける。

「松本先生を呼んでくれたの、君なんだよね?ありがとう」
「いえ、そんな…ただ今朝、沖田さんのお部屋に声をかけても返事がなかったので…悪いとは思ったんですが、部屋に入らせてもらいました」

総司を発見したときそうとう驚いたのだろう。よく見ると顔が蒼白だった。心配そうに見つめ返す千鶴は膝の上で硬く拳を握る。

「とにかく、発見されたのが早くて良かった。すまんが雪村君、白湯を持ってきてくれるか」
「はい」

松本に促され、千鶴はすぐに立ち上がり部屋を出て行った。
彼女の足音が完全に聞こえなくなったときを見計らい、松本は口火を切った。

「お前さんが眠っている間、診察させてもらった。…あまり言いたくはないが…労咳は薬だけではもう抑えられないところまできている」

太い声が部屋の大気に響く。その反響を目を閉じたまま聞いていた総司は、くすりと笑った。

「何がおかしい?お前さんの今の病状は芳しくない」
「いえ、やっぱり治らないんだなぁって思って…もう長くないってことですよね」
「ここを離れて、空気がきれいな場所なら進行は和らぐ」
「それは以前断った話ですよね。僕は屯所から離れるつもりはありませんよ」

笑みを崩さないまま、総司はまぶたを上げた。自分の手に視線を落とし、握ったり開いたりする。

「…お前さんが新選組のために尽力したいという思いは聞いた。けどな、それじゃぁお前さんの命を燃やしていくだけなんだよ」
「それでも構いません。僕は新選組のために命を燃やすと決めましたから」

総司の真摯な言葉にそれ以上何も言えなくなった松本は、苦虫を噛み潰したような表情になる。腕を組みしばらく黙っている。
そんな静寂を打ち破ったのは騒がしい足音だった。
勢いよく障子が開いたと思うと、黒い羽織がはためいた。

「総司、大丈夫か!?雪村君から総司が目覚めたと聞いて…」
「近藤さん、病人の前だ。静かに」

松本に叱責された近藤は大きな体を曲げて、ばつが悪そうに謝った。
そんな近藤をみて、総司は吹きだしてしまう。

「ん?何かおかしいことでもあったか?」
「何でもないですよ、近藤さん」

首を傾げる近藤に、松本は大きく咳払いをした。
総司は笑みをそっと消す。

「近藤さん。沖田君を安静にするよう、以前言ったはずだが?」
「うむ…」
「ちゃんと布団に入り、温かくして、栄養のあるものを摂っていればこんなことにはならなかった」
「すまない」

近藤は縮こまって、深々と頭を下げた。そんな行為に驚いたのは総司だけではなく、松本も一緒だった。あっけにとられていた松本は我に帰ると、長いため息を吐く。

「…これからはわしの言うことだけを聞いてもらう。了解してくれるか、沖田君?」
「わかりましたよ」

肩をすくめて頷く総司を見て、松本はようやく笑顔になった。

「いつまで頭を下げてるんだ、近藤さん。病状が悪化したのは何も近藤さんだけの責任じゃない」
「む。俺に何かできることは…」
「あんたにも協力してもらうことがある。手伝ってほしい」
「うむ。心得た」

顔を上げると、近藤は大きく頷いた。
松本は紙と筆を取り、食事や薬の服用について、普段の生活をこと細かく記す。
それを近藤に預けると松本は立ち上がる。

「明日また診察に来る。今日は安静にするんだぞ」

そう念押しするとゆっくりとした足取りで総司の部屋を後にした。

Re: 薄桜鬼  沖田総司 ( No.26 )
日時: 2011/04/09 19:34
名前: 絆(ほだす) (ID: ugb3drlO)

やっぱ、沖田さんいいですよね!
私は最近、ちー様も好きなんですけどね・・・。

更新頑張ってください!!

Re: 薄桜鬼  沖田総司 ( No.27 )
日時: 2011/04/16 17:14
名前: さくら (ID: Tzn/2JVm)

ありがとうございます^^

私は最近原田さんが沖田の次に好きです


だから登場も多かったりします^^;
更新がんばります

Re: 薄桜鬼  沖田総司 ( No.28 )
日時: 2011/04/16 18:12
名前: さくら (ID: Tzn/2JVm)

松本が去った後、近藤は総司のかたわらににじり寄った。

「総司、体は大丈夫なのか?」

今まで近藤は総司が寝込んだときや、調子が悪い日は必ず見舞いに来た。それも他愛ない話をいくつかして、大事にしろとと言って退出するのが多かった。
けれど今日は珍しく退散する気配もなく、言葉を濁すように問うてくる。総司はまずそれに目を丸くした反面、嬉しくもあった。
これまでずっと問いたかったに違いない。決心したかのような口ぶりだった。

「大丈夫ですよ、近藤さん。ちょっと最近起き上がってばかりいたから疲れただけです」

無論この言葉は嘘だ。大丈夫と言える範囲をとうに超えている。
けれど総司はそれを微塵も見せず、微笑した。
それが作り笑いだと近藤は気付いたのか否か。少し悲しそうに笑った。

「すまんな、総司。もっと早くに気付いてやれば…」
「近藤さんの責任じゃないですよ」
「だが無理をさせた。すまんな。お前の力を頼りにしていたこともあった…それで———」
「頼りにされて喜んで刀を振ったのは僕です。近藤さんが悪いわけじゃないですよ」

視線を畳に落とす近藤はふるふると首を横に振った。

「すまんな、総司」
「近藤さん…」

さっき松本に頭を下げた時と同様、大切に思われているのだと実感する。
優しい兄のような存在で、いつもわがままを言ってもすんなり受け止めてくれる、不器用で情にもろい近藤が大好きだった。
幼い頃から今もその優しさは変わらない。
だが。だから確かめておかなければならないことがる。近藤の優しさに甘えてきたが、それではいけない。胸に渦巻く感情を、一つの不安を近藤に問いただしてみなければ。不安は拭えないままだ。

「近藤さん」

鼓動が早鐘を打ち始める。手が小刻みに震えだした。
この問いの答えを聞いて総司は自分を保てるかわからない。それでも胸にわだかまる不安を取り除きたいという全く逆の自分もいることは確かだった。
すっと息を吸い込んで、できるだけ平静を装った。

「僕は、僕はいつか…新選組にとって邪魔になる時がくるんですか…?」

ずっと。ずっと聞きたくて、けれど答えを聞くのが恐くて今まで逃げてきた。
けれど命の灯火が消えゆくのを実感する今、訊ねない訳にはいかなかった。
近藤が一瞬目を丸くして、やがてすぐにいつもの笑みを浮かべる。

「何を言う。お前が元気になれば、俺は嬉しい!新選組としてではなく、家族として俺はお前の回復を祈っている!」

待ち望んでいた言葉。けれど予測していた台詞。
じゃぁ病が治らなかったらどうなるんですか?ずっと僕は寝たきりで、新選組のお荷物になるんですか?
そんな疑問がふつふつと浮かんで、けれどそれを声にすることはできなかった。
誰もわからない未来を問いただしても、近藤を困らせるだけだった。
治る可能性は低い。自分自身の体はそう訴えている。
新選組で、いつも一番に戦場へと駆けては、県を振るってきた。
そうすることで己の存在意義を示せた。だが裏を返せばそれ以外で新選組に存在を示す方法を知らない。
その事実が総司に現実を叩きつけてくる。

「そう、ですか…」

そう言うのが精一杯だった。近藤を見つめることが出来なくて、総司は俯いた。

「あぁ。だから早く良くなってくれ。あぁ、そのためにも松本先生の言うことをきっちり聞かなくてはな。この紙をトシにも見せてくる」

松本に渡された看病法が書き記された紙を指して、近藤は立ち上がった。
総司は近藤を見送ることなく、ただ自分の手を見つめていた。

「それじゃ、温かくしていろよ、総司」

優しい、気遣うような声。わかっている。近藤に他意はない。
けれど妙に腹が立った。変わらない現実。叩きつけられた事実が明確になるにつれて、苛立ちが膨れ上がる。
静かに襖が閉められ、大きな足音が遠ざかっていく。
近藤が座っていた畳を見つめて、総司は淡く微笑む。

「でもね、近藤さん…」

空虚に消える淡い声。泣き出しそうな気持ちを凌駕するのは、虚しさ。

「新選組の役に立てない僕にとって、刀が振るえなくなったら…死ぬと同じことなんですよ…」

Re: 薄桜鬼  沖田総司 ( No.29 )
日時: 2011/04/17 13:38
名前: ユウ (ID: L4SkEqAF)

はじめまして(^−^)
ユウといいます♪

さくらさんの書く小説ってすごいすてきですね!!
思わず引き込まれちゃいます**

私も薄桜鬼書いてるんですがヘタクソで…。
あこがれちゃいます☆

これからも見に来ますね!
がんばってください☆


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