二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- ポケットモンスター 平和の光と恐怖の闇 無事完結!
- 日時: 2013/02/02 19:35
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: .FDTdicQ)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3a/index.cgi?mode=view&no=10330
はい、どうもご無沙汰しております、パーセンターです
俺の小説もついに二作目(三作目だろ)となりまして、大分ここのシステムにも慣れてきた所です。
今回は、一作目で挫折した、ゲームのような冒険者のリベンジをしたいと思い、この小説を立てました。
まだまだ未熟で、文才も無いですが、読んでくだされば光栄です。
※注意!
・今までで一番のノープランです。7月3日現在、まだ登場人物をちょっとと町の名前しか考えてませんので。
・それ+高校が忙しいので、更新はかなりの低頻度になる事が予想されます。あしからず。
・荒らし…まあ常識のある人はしないでしょう。
・今作は、公式ではないポケモン(ユニサスやドラドーン等)が更に追加されています。URLを>>0に貼っておきますので、ご活用下さい。
・『一応』、前作から七・八年後のストーリーです。
俺の酉は◆sC9ueof0V6と◆AeB9sjffNs の二つです。これ以外は偽者でしょう。
これくらいですね。
後、今回の舞台はオリジナルのウチセト地方です。
ストーリーもほぼオリジナルで進めていきます。
それでは、宜しくお願いします。
登場人物 >>1 プロローグ >>2
ナデシタウン&ミサゴシティ編
>>7 >>12 >>15 >>18前半
アロンジシティ編
>>18後半 >>21 >>23 >>26 >>29
タイメイシティ編
>>30 >>33 >>36 >>37 >>38
ラビリンシティ編
>>41 >>42 >>45 >>46 >>55 >>60
アメジスジティ編
>>65 >>68 >>71 >>74 >>75 >>80 >>85 >>92 >>93 >>94 >>97 >>102 >>105
ブルムシティ編
>>111 >>115 >>118 >>119 >>120 >>123 >>124 >>125 >>129 >>130 >>131 >>132 >>133 >>136 >>139 >>140 >>143
ラビンタウン編
>>146 >>148 >>149 >>152 >>153 >>158 >>160 >>161 >>162 >>163 >>164 >>167 >>168 >>169 >>174 >>179 >>182 >>185 >>186 >>189 >>196 >>197 >>200
フローズンシティ編
>>201 >>204 >>205 >>206 >>209 >>210 >>213 >>216 >>217 >>218 >>219 >>222 >>224 >>227 >>230 >>233
ソルナシティ編
>>234 >>235 >>236 >>238 >>241 >>242 >>243 >>244 >>245 >>246 >>249 >>250 >>251 >>268 >>269 >>271 >>272 >>273 >>276 >>277 >>278 >>279 >>282 >>283 >>285 >>287 >>288 >>289 >>290 >>293 >>294 >>295 >>298 >>299 >>302 >>305 >>307 >>309 >>312 >>313 >>314 >>315 >>316 >>317 >>320 >>322 >>324 >>326 >>327 >>328 >>329
ポケモンリーグ編
>>330 >>331 >>334 >>335 >>340 >>342 >>344 >>345 >>346 >>347 >>350 >>353 >>354 >>355 >>357 >>359 >>360 >>361 >>362 >>363 >>364 >>365 >>366 >>367 >>370 >>371 >>372 >>373 >>374 >>375 >>376 >>377 >>378 >>381 >>384 >>385 >>386 >>387 >>388 >>389 >>392 >>393
エピローグ >>394
あとがき >>395
番外編 最強と無敵の紙一重の差
>>253 >>257 >>259 >>262 >>265
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- Re: 第百三十五話 伝説を斬る刃 ( No.324 )
- 日時: 2012/12/11 00:19
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: kAifypKr)
チヅルはあの後ファマインを一旦戻し、現在は四体目となるリーフィスを出している。
シアンのストータスはガニメデの攻撃を耐え続けたが、ついに体力を使い果たして倒れ、ノコウテイを繰り出す。
「こうなったら…ノコウテイ、蛇睨み」
ノコウテイは鋭い眼光でガニメデを睨み付け、ガニメデを麻痺させる。
「リーフィス、ハイドロポンプ!」
リーフィスはそこを狙い、大量の水を噴射するが、
「くだらん。ガニメデ、サイコバーン」
ガニメデは念動力の衝撃波を放ち、水を相殺。さらに、
「熱風だ」
すかさず熱い風を吹き付けて反撃。
リーフィスもノコウテイも耐久力はそこそこ高いため、致命傷にいたるほどではないが、それでもなかなかのダメージだ。
「ノコウテイ、スピンテール」
ノコウテイはすぐに体勢を取り戻し、地を蹴って跳び、回転させた尻尾を叩き込む。
対して、ガニメデは急上昇して尻尾の一撃を避けるが、
「冷凍ビーム!」
素早くリーフィスが冷気の光線を放ち、ガニメデを捕らえる。効果抜群だ。
「この程度痛くもないわ。ガニメデ、トライアタック」
ガニメデは火・氷・雷の三つの力の込められた光線を放ち反撃する。
「ノコウテイ、火炎放射」
ノコウテイは灼熱の炎を放つが、相殺しきれず、トライアタックを正面から喰らう。
「だったらリーフィス、ギガドレイン!」
リーフィスは瓶の下から蔦を放ち、ガニメデに絡みつかせ、ガニメデの体力を吸い取る。
「シアン君、今よ!」
「分かってる。ノコウテイ、スピンテール」
蔦でガニメデの動きを止めている隙に、ノコウテイは尻尾を回転させ、その尻尾を叩きつけるが、
「これくらいで隙を作ったつもりか。ガニメデ、サイコバーン」
ガニメデは周囲に念動力の衝撃波を放ち、蔦共々リーフィスを吹っ飛ばし、
「トライアタック」
立て続けに三色の光線を放ち、ノコウテイを迎撃する。
ガニメデの長所は、高い特攻から繰り出される数々の強力な特殊技。
耐久型のリーフィスでは、少々相性が悪い。
しかも、ガニメデは麻痺などほとんど気にしていない様子だ。
「うー、リーフィス、宿り木の種!」
「無駄だ。ガニメデ、熱風」
リーフィスは宿り木の種を放つが、ガニメデは熱い風で宿り木の種を吹き飛ばし、
「サイコバーン!」
さらに念動力の衝撃波で追撃。
「ノコウテイ、火炎放射」
「リーフィス、ハイドロポンプ!」
ノコウテイの灼熱の炎と、リーフィスの大量の水で、何とか衝撃波を相殺するが、ガニメデはそこで止まらない。
「吹き飛ばせ。ガニメデ、ハリケーン」
ガニメデは自然災害にも引けを取らないほどの暴風を放ち、ノコウテイとリーフィスをまとめて吹き飛ばす。
204キログラムのノコウテイが、まともに吹っ飛ばされた。
チヅルとシアンは咄嗟に物陰に隠れる。二体は壁に激突し、まだ戦闘不能ではないが、ガニメデの攻撃の手は緩まない。
「これで終わりだ。ガニメデ、ハリケーン」
再びガニメデはけたたましく啼き、
「エルレイド、サイコカッター!」
刹那、腕に刃を備えた、緑と白を基調とする人型のポケモンが飛び出し、念力をまとった刃でガニメデを切り裂いた。
「何奴!」
下っ端は怒声を上げ、チヅルとシアンも振り返る。
そこには、
「ギリギリセーフね。よかった」
巫女の姿をした、エスパータイプ使いのジムリーダー、ヤシロ。
「私が真っ先にイビル七将軍の子…メイサちゃんだったかしら? を倒したから、貴方たちの後を追うことになってね。ザントとタマナがそれぞれ別方向に向かってるから、レオ君たちも大丈夫よ」
サイコカッターは翼を切り裂いたようで、ガニメデは大きく体勢を崩す。
「翼をやられたか。しかし、そのくらいがちょうどいいハンデだ。そいつではガニメデには勝てない。ガニメデ、サイコバーン」
下っ端は冷静を装う。ガニメデは念動力を爆破させ、衝撃波を起こす。
「エルレイド、ストーンエッジ」
対するエルレイドは無数の尖った岩で衝撃波を相殺し、
「波動弾!」
さらに波動を凝縮した弾を撃ち出す。
「ふん、ガニメデ、熱風」
対するガニメデは熱い風を吹き付け、波動弾を吹き飛ばし、
「トライアタック」
すかさずガニメデは三色の光線を放つ。
エルレイドは両腕の刃を交差させて防御の体勢を取り、トライアタックを受け切る。
「まだ終わらんぞ。ハリケーン」
続けてガニメデは、とてつもなく強烈な暴風を放とうと構えるが、
「あら。周りが見えていないわよ」
ヤシロのその言葉の直後、先ほどの波動弾が弧を描いて戻って来、ガニメデに命中。
ガニメデは体勢を崩され、ハリケーンは放てずに終わる。
「波動弾は必中技。油断しちゃだめよ。エルレイド、辻斬り」
エルレイドは地を蹴って跳び、両腕の刃を伸ばし、すれ違いざまにガニメデの両翼を切り裂く。
ついにガニメデは翼のダメージに耐えられず、床に落下する。
「まだよ。ストーンエッジ!」
ヤシロは執拗にガニメデの両翼へ攻撃させる。
エルレイドは無数の鋭い岩をガニメデの両翼へ放ち、その岩で翼を地面へ縫い留め、
「これで終わりよ。サイコカッター」
動けないガニメデ目掛けて、エルレイドは両腕の刃に念力をまとわせ、ガニメデの急所を的確に切り裂いた。
ガニメデの動きが止まる。伝説の鷲ポケモン、ガニメデは、ついに戦闘不能となり、地に倒れた。
- Re: ポケットモンスター 平和の光と恐怖の闇 ( No.325 )
- 日時: 2012/12/11 00:04
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: kAifypKr)
>>白黒さん
あのマターが「もう一人の自分」と称するほどの存在ですからね。
走はともかく、攻守に非常に秀でていますから、ブレイドンはずば抜けて強いです。
いつの間にかタマナがジムリーダーでも上位に位置しています。実は当初はここまで強くする予定はありませんでしたw
ですね。確かにライラプスは動き回ればまず負けませんが、そこが長所である故に、動きを封じられると長所が生かせなくなり、大幅に弱体化してしまいます。
まあ、メイサよりは長く戦えたから…
ありがとうございます。毎日更新することで、少しでも多くの人に読んでもらい、票をもらえるように頑張っていきます。
コメントをもらえたり、参照数が増えているのに気付くと、とても嬉しいです。
これからも頑張っていきます!
- Re: 第百三十六話 暴走 ( No.326 )
- 日時: 2012/12/13 00:22
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Pa6wZ.rX)
- 参照: ギガントブレードは岩タイプの技です。
ブレイドンの鋼の砲撃は、確実にサザンドラを捕らえた。爆風と共に、砂煙が上がる。
「…つまらんな」
ふとマターは呟く。
「バトル前にはあれだけの大口を叩いていた癖に、いざやってみればこの結果。実につまらん」
マターの口調に、再び嘲りが戻ってくる。
「ふ、何が、その程度の力では世界の征服など出来ないだ、笑わせるな。私よりも弱かったくせに、よくあれだけの大口を叩けたものだ」
終始、ザントは黙っていた。
「さて、これで終わりだ。貴様らは全員石化してもらう。そしてソルナのジムリーダー、貴様の体はその後で粉々にしてやる」
不敵に笑い、マターは『リモコン』の操作を始める。
ザントは敗れた。それは、マターが現在ウチセト最強のトレーナーとなったことを意味している。
そして、ガタノアを手にした今のマターは、世界で最強と言っても過言ではないほどの力を得ている。
もはや、誰にもマターを止められることは出来ない。
そう思っていたのは、マターだけでは無かった。
この場にいる全員が、そう思っていた。
ただし。
ただ一人を除いて、の話だが。
刹那、ブレイドンの足元から土砂が噴き出し、ブレイドンを吹っ飛ばす。
「!?」
慌てたのはマターだ。すぐに『リモコン』操作を中断し、前を見る。
マターが前に振り向いた瞬間に、砂煙が吹き飛んだ。
そこにいたのは、
「…馬鹿な。今のメタルブラストで、確実に仕留めたはずだ…!」
赤い瞳に燃え盛るような怒りを浮かべ、腹の切り傷から血を流す、黒いドラゴンポケモンだった。
「なぜサザンドラが倒れていないか教えてやろうか」
ザントの表情はほとんど変わっていないが、口元がわずかに緩んでいる。
「お前が最後の最後で油断したからだ。ブレイドンのメタルブラストは、柱の残骸に威力を削られ、サザンドラを倒すまでの威力に至らなかった。正直にギガントブレードを放っていれば、サザンドラは倒れていたものを」
ポケモンの状態的に考えると、まだブレイドンが有利。
しかし、トレーナーの今の気持ちを考えると、確実にザントの方が有利だった。
「…笑わせるな。確かに私は今サザンドラを仕留めそこなったが、そのダメージの量では、力尽きるのも時間の問題。次で確実にそのサザンドラを倒し、ガタノアの力で世界征服を始める。それだけだ!」
マターの言葉に対し、ザントは先ほどのマターの言葉をそのまま返す。
「足掻く権利くらいは認めてやる。叶える権利があるかどうかは分からんがな」
そして、両者は同時に動く。
「ブレイドン、ギガントブレード!」
「サザンドラ、クリムゾンエイト!」
ブレイドンが刃のような口を振り抜き、全てを切り裂く刃の衝撃波を飛ばす。
対して、サザンドラは両腕の顔から真紅の花弁のような八つの赤い光線を放つ。
真ん中の顔から放たれるものより威力は劣るが、それでも二つの光線は何とか刃の衝撃波を相殺する。
しかし、
「サザンドラ!」
ザントの一声で、最後の——真ん中の顔から、真紅の八つの光線が放たれる。
攻撃直後のブレイドンには、ギガントブレードを再び放つ余裕も、回避する余裕もなかった。
真紅の光線がブレイドンを貫き、遂にブレイドンは地に倒れる。
「ッ、ブレイドン!」
戦闘不能だった。ブレイドンは完全に倒れていた。
「……」
マターは俯き、無言でブレイドンをボールに戻す。
「観念するんだな。やはりお前では、俺には勝てない。敗北を認めろ」
ザントは言い放つが、そこでふと気づく。
マターの体が、小刻みに震えていることに。
怯えではない。怒りでもない。悔しさでもない。
その震えの正体は、
「…フフ」
マターの口から聞こえたのは、不気味な笑い声だった。
「…フフフフ」
小さな笑い声だったが、しかし、次第に力強さを増していく。
そして、突然マターはバッと顔を上げる。天を仰ぎ、高らかに笑う。
「フフ…ハハハハハ! ハハハハハハハハハハ!」
その狂気の笑い声は、聞く者に恐怖の念を与えるほどのものだった。
「何が俺には勝てないだ。何が敗北を認めろだ! 今のは前哨戦にすぎん! 本番はこれからなのだよ! ガタノア!」
マターの呼びかけと共に、ガタノアも吼える。
そして、マターは『リモコン』をかざす。
「終わりだ! ガタノア、こいつらを石化せよ!」
ガタノアの目に、赤い光が宿る。この眼光が最大限に達した時、それを見た者は体が石となってしまうのだ。
「…ッ! まずい、レオ、ウェイガ、絶対に奴の目を見るなよ!」
石化を防ぐには、そうするしかない。だが、ガタノアを見ることができなければ、こちらも完全に無防備となる。いつ攻撃を受けてもおかしくない。
しかし、その時。
マターの高らかな笑い声が、急に止まったのだ。
「…?」
思わず、目を開けてしまったレオ。しかし、レオは石化することは無かった。
ガタノアの視線の先にいたのは。ガタノアの眼光をまともに見ていたのは。
ガタノアを操っていたはずの、マターだったからだ。
ザントもウェイガも、異変に気づき、目を開けていたようだった。
その場にいた全員が驚愕していた。
勿論、マター自身も。
「…は?」
マターはそれだけ呟いて、そして、マターの動きは止まってしまう。
今この場で起こっていることが理解できないレオだが、何とか頭を回転させ、状況を把握する。
「…マターが、裏切られた…?」
そう。
狡猾で悪賢いガタノアは、初めから『リモコン』に操られたふりをしていたのか。
もしくは、『リモコン』の洗脳の力に打ち勝ち、自分を操ろうとしたマターに逆襲したのか。
そんなことはどうでもいい。大事なのは、ただ一つ。
マターは、手駒だったはずのガタノアに牙を剥かれ、石化したのだ。
そして、操り人が失われた今、ガタノアに起こるのは、力の暴走。
「yrsnmvoiagn bnfonv usahweo gnvaosbvhpua!!!」
自分の力を抑えきれず、ガタノアは暴走を始める。
絶望と悪夢が、レオたちに襲い掛かる。
- Re: 第百三十七話 最後の一手 ( No.327 )
- 日時: 2012/12/22 22:01
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: 9Qe5KE35)
ガタノアは狂ったような咆哮を放ち、あたり一面に黒い光線を撒き散らす。
残っているそびえ立つ柱は次々と崩れ、奥に建つ小さな神殿も破壊されていく。
そして当然、余波はレオたちを目掛けても飛んでくる。
「!? 出て来い、バフォット!」
レオは咄嗟に、レオの手持ちの中で一番堅いバフォットを出し、光線の余波を防ぐ。
だが、そのバフォットでさえ大きく後ろへと押し戻されるほどの威力。
「…チッ」
ザントが舌打ちし、口を開く。
「ここにいる今の戦力でガタノアを鎮めるのはほぼ不可能だ。解決策はただ一つ。ガタノアと対をなす、平和を司るポケモン、ロイツァーを呼び出すしかない」
淡々とザントは話を続ける。
「神話によれば、ロイツァーとガタノアは互いの力を抑制する力を持っているようだ。どちらかが暴走すれば、もう片方はその力を鎮める役割を持っているという。つまり、遅かれ早かれロイツァーはこの場に現れるはずだ」
だが、とさらにザントは続ける。
「いつ現れるか、それだけは俺にも分からんのだ。ロイツァーが現れた時には既に、こちらの戦力が尽き、俺達が重傷を負っている可能性だってある。最悪、石化される可能性もな」
悔しいが、もはや打つ手はほとんどない。
今出来ることは、少しでも時間を稼ぎ、ロイツァーを待つこと。ザントはそう告げる。
しかし。
レオには、一つの考えがあった。
ガタノアのすぐ横で石化し、立ち尽くしているマター。そして、その横に投げ捨てられている、『ゲート』。
そして、レオの手には、ロイツァーを呼び出すカギとなる宝石、ピースジュエル。
レオは迷わなかった。
「ザントさん、ウェイガさん。僕に考えがあります」
レオの言葉に、二人は振り向く。
「二人は出来る限りガタノアの注意を引き付けておいてください。その間に、僕がこれを使います」
レオはピースジュエルを取り出し、二人に見せる。
「…まさか、お前」
ザントの表情がわずかに引きつるが、レオは気にせず続ける。
「ええ、そのまさかです」
レオは一拍置き、
「二人がガタノアを引き付けてくれている間に、僕が『ゲート』を使い、ロイツァーを呼び出します!」
レオは、マターが『ゲート』を使っているところを見たことがあるので、電源の位置などは把握している。
加えて、マターのことだ。ガタノアを呼び出した後は、その力に酔いしれ、特に『ゲート』をいじったりはしていないだろう。
つまり、レオの考えはこうだった。
『ゲート』にピースジュエルをはめ込み、電源を入れれば、あとはそのままロイツァーを呼び出せる。
「…分かった。やれることはやってみよう。だが、俺の今の戦力はモアドガスだけだぞ。それでどこまで持ちこたえられるか」
「それなら、私にお任せを」
ザントの言葉にウェイガは応え、懐から何かを取り出す。
「これは、私がジョウト地方で買った秘伝の薬。一体だけだが、どんな傷をも治し、体力も完全回復できる薬。この薬を、サザンドラに使いなされ」
「…すまないな」
ザントはサザンドラを出し、薬を与える。
たちどころにサザンドラの腹の傷口は閉じ、体力も戻っていく。
その時、もう一発光線の余波が飛んでくる。
バフォットは素早く反応し、光線を受け、レオたちを守るが、その光線の威力が尋常ではない。
バフォットでも、もう一撃喰らえば持たないだろう。
「もう時間がない。お願いします! 行きますよ!」
その言葉と共に、レオは地を蹴って跳びだす。
ガタノアの意識がレオに行く。ただちにレオを攻撃しようと動くが、
「ガタノア、俺が相手だ! モアドガス、サザンドラ、大文字!」
ザントの指示で、モアドガスとサザンドラは大の字型の炎を放ち、ガタノアを焼いていく。
それでもガタノアの意識はまだレオに向いている。炎に焼かれながらも、黒い光線を放とうとするが、
「させぬ! マカドゥス、ダイヤブラスト!」
素早くマカドゥスが煌めく爆風を放ち、ガタノアの体勢を崩し、ガタノアがレオを攻撃するのを防ぐ。
ようやくガタノアの意識がザントたちに向き直る。ザントたちを邪魔者だと認識したのだ。
「来たぞ! 全力で迎え撃て! モアドガス、危険な毒素! サザンドラ、龍の波動!」
「分かっておる! マカドゥス、十万ボルト!」
それぞれのポケモンが、強力な技を放つが、ガタノアは黒い光線を放ち、容易く技を破壊し、さらに黒い光線を放つ。
「チッ、サザンドラ、クリムゾンエイト!」
対してサザンドラは花弁のような八つの真紅の光線を放ち、黒い光線を相殺。
その間に、レオはガタノアの脇を走り抜け、石化したマターの元まで接近。
遂に、『ゲート』を掴んだレオは、埋め込まれた黒い宝石、テラージュエルを取出し、そこにピースジュエルをはめ込む。
ピースジュエルは、すっぽりとくぼみに填まった。
「よし、あとは電源を…!」
レオは『ゲート』を手にはめ込み、電源ボタンを押す。
だが、その時。
ガタノアが、急にレオの方を振り向いた。
「…ッ! レオ殿!」
ウェイガの叫びに反応し、レオは振り向いたが、既に遅かった。
ガタノアはレオ目掛けて、まさに黒い光線を放つところだった。
「チッ! サザンドラ、レオを!」
サザンドラは、レオを助けるために飛ぶが、間に合わない。
ガタノアの黒い光線が、口から放たれた。
「うわあああっ!」
レオには避ける余裕はなかった。ただ身を屈め、その場に蹲るしかなかった。
しかし。
奇跡というものは、最後まで諦めなかった者に起こるものである。
「ファマイン、鉄壁!」
突然、モンスターボールが飛び、そのモンスターボールの中から、レオの前に、ポケモンが現れた。
両腕を広げ、ガタノアの黒い光線を一心に受け止めている。
そのポケモンは赤い鋼のボディを持ち、頭と肩から炎を噴き出している。
そして、
「レオ、大丈夫?」
後ろの方から、聞きなれた声が響き渡る。
最高のタイミングで、チヅルが駆け付け、レオに駆け寄る
さらに、
「タテボーシ、ヘドロウェーブ!」
キラのエース、タテボーシが現れ、ヘドロの波を放ち、ガタノアにぶつける。
「だらしねえぞ、レオ! しゃきっとしろよ!」
後ろから聞こえるのは、キラの声。
ガタノアは吼えるが、チヅルとファマインはレオの前から動かずにガタノアを見据え、キラとタテボーシはザントたちに加わる。
「皆、ありがとうな! これでいける!」
今度こそ、レオは『ゲート』を起動させる。モニターから、指示が流れる。
あとはこの指示に従いつつ、『ゲート』で空間の裂け目を作り出すのみ。
そして、
「よし、来た!」
レオは『ゲート』を空間にかざし、爪で空間をひっかいていく。
空間に、少しづつ亀裂が入っていく。
- Re: 第百三十八話 平和の神 ( No.328 )
- 日時: 2012/12/14 23:45
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Pa6wZ.rX)
レオは『ゲート』を使い、少しづつ異次元へとつながる空間の亀裂を開いていく。
その様子は、近くでレオを守るチヅルにはもちろん、ガタノアと戦うザントたちの目にもはっきりと見えた。
「もう少しだ! とにかくガタノアの意識をこちらに引き付けろ!」
ザントの声で、ウェイガやキラもガタノアへの攻撃を続ける。
いつの間にか、フウカもロップルを、シアンもノコウテイを出し、加勢している。
そして、ついに。
「やったぞ!」
レオが叫んだその時、亀裂が最大限に達し、その裂け目が広がり、異次元へのトンネルが出来上がる。
同時に、『ゲート』に填め込まれたピースジュエルが輝きだした。
突然、ガタノアの攻撃がさらに激しさを増す。
ガタノアは異次元トンネルの奥から何かを感じるようだ。その更なる暴走は、トンネルの奥に潜む何かへの憤怒にも見え、かつ、その何かに怯えているようにも見える。
そして、異次元トンネルの中から、何かが姿を現す。
そのポケモンの体は白く、緑の模様が入っている。
体長は二メートル強、人型のドラゴンポケモン。
耳は頭の後ろに長く伸び、緑の尾の先は波打ったような形をしている。
ロイツァー、平和ポケモン。ガタノアと対をなし、平和を司る、伝説のポケモンだ。
そして、ロイツァーを目にした途端、ガタノアの咆哮がさらに大きくなる。
「sndvfipoqwerhgu pvqojn vpjasbvw ibvgpwqehfw!!!」
怒りと暴走に任せ、ガタノアは黒い光線を撃ち出す。
対して、ロイツァーは手をかざし、白い光線を放つ。
二つの光線は互いに競り合い、相殺され、爆風を起こす。
その時、レオの頭の中へ、声が語りかけられる。
“勇気ある人間たちよ、下がっていよ。後はワタシが引き受けよう”
レオはびっくりし、辺りを見回す。
ロイツァーがこちらを向き、頷いたのを見て、何が起こったのか理解した。
ロイツァーは、テレパシーでレオの脳内に語りかけてきたのだ。
そして、声が聞こえたのはレオだけではないようだ。
ザントたちも、声に驚いた様子で、ロイツァーを見ていたからだ。
“さあ、下がるのだ。よくワタシを呼び出してくれた、後はワタシに任せよ”
ロイツァーに言われ、レオとチヅルはザントたちのところまで下がる。
「jbknuasbler!!」
ガタノアは動くレオたちに反応し、黒い光線を放つが、
“させぬ!”
ロイツァーが素早く白い光線を放ち、レオたちを助ける。
そして、レオたちがある程度離れたのを確認すると、ロイツァーはガタノアの正面に立つ。
“さあ、ガタノアよ。遊びの時は終わりだ。力を鎮めよ、ワタシたちが力を振るう場所はここではない”
「vprngurheuge!!」
ガタノアは怒りの咆哮を上げ、黒い光線を放つが、ロイツァーは正面からその光線を受け、耐え切ると、
“暴走を鎮めよ! ガタノア、ワタシたちのいるべき場所へと帰るのだ!”
全てを包み込むような、眩い光を放った。
「うわぁ…っ!」
あまりの眩しさに、レオたちは目を開けていられなかった。全員が、目を瞑り、腕で目を抑える者もいた。
その光は、闇を打ち消すように、この遺跡全体を包み込んだ。
「ggggg…gjrnguabgr!!!!!」
ガタノアの断末魔が響き渡る。その断末魔も、やがて小さく細くなっていき、やがて聞こえなくなった。
そして、その光はだんだんと和らぎ、静かに消えていった。
レオたちはゆっくりと目を開ける。
そこにいたのは、お互いに向き合う、ロイツァーとガタノア。
「お互いの抑制能力、か」
レオの隣にいたザントが、口を開く。
「ロイツァーとガタノアは、互いの力を抑制する能力を持っている。片方が暴走した場合、もう片方がその力を鎮められるようにな」
“よく知っているな、人間よ”
ザントの言葉に、ロイツァーが答える。
「gjrhubarj…trihsj」
ガタノアも落ち着きを取り戻したようだ。その声や動きに、先ほどのような狂ったものは見られない。
そして、
「よくやったぞ、皆」
後ろの方から、声が聞こえた。
レオたちが振り返ると、そこにいたのは、
「グレースさん!」
ガタノアの暴走が止まったことで、チャンピオンのグレースも、元の体を取り戻していた。
「何がよくやっただ。初っ端から戦線を離脱した癖しやがって」
ザントの言葉に、グレースは笑いながら申し訳なさそうに頭を掻く。
“それでは、ワタシたちは元の世界に帰るとしよう。迷惑をかけてすまなかったな”
「hhgrenjnb…buibewrw」
ロイツァーとガタノアが言葉を終えるとともに、異次元への扉が開いた。
平和の神と恐怖の神は、再び異次元の向こうへと帰っていった。
そしてそれは、イビルの壊滅と、ウチセトに平和が戻ったことを意味していた。
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