二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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ポケットモンスター 平和の光と恐怖の闇 無事完結!
日時: 2013/02/02 19:35
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: .FDTdicQ)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3a/index.cgi?mode=view&no=10330

はい、どうもご無沙汰しております、パーセンターです
俺の小説もついに二作目(三作目だろ)となりまして、大分ここのシステムにも慣れてきた所です。
今回は、一作目で挫折した、ゲームのような冒険者のリベンジをしたいと思い、この小説を立てました。
まだまだ未熟で、文才も無いですが、読んでくだされば光栄です。

※注意!
・今までで一番のノープランです。7月3日現在、まだ登場人物をちょっとと町の名前しか考えてませんので。
・それ+高校が忙しいので、更新はかなりの低頻度になる事が予想されます。あしからず。
・荒らし…まあ常識のある人はしないでしょう。
・今作は、公式ではないポケモン(ユニサスやドラドーン等)が更に追加されています。URLを>>0に貼っておきますので、ご活用下さい。
・『一応』、前作から七・八年後のストーリーです。
俺の酉は◆sC9ueof0V6と◆AeB9sjffNs の二つです。これ以外は偽者でしょう。

これくらいですね。
後、今回の舞台はオリジナルのウチセト地方です。
ストーリーもほぼオリジナルで進めていきます。

それでは、宜しくお願いします。
登場人物 >>1 プロローグ >>2
ナデシタウン&ミサゴシティ編
>>7 >>12 >>15 >>18前半
アロンジシティ編
>>18後半 >>21 >>23 >>26 >>29
タイメイシティ編
>>30 >>33 >>36 >>37 >>38
ラビリンシティ編
>>41 >>42 >>45 >>46 >>55 >>60
アメジスジティ編
>>65 >>68 >>71 >>74 >>75 >>80 >>85 >>92 >>93 >>94 >>97 >>102 >>105
ブルムシティ編
>>111 >>115 >>118 >>119 >>120 >>123 >>124 >>125 >>129 >>130 >>131 >>132 >>133 >>136 >>139 >>140 >>143
ラビンタウン編
>>146 >>148 >>149 >>152 >>153 >>158 >>160 >>161 >>162 >>163 >>164 >>167 >>168 >>169 >>174 >>179 >>182 >>185 >>186 >>189 >>196 >>197 >>200
フローズンシティ編
>>201 >>204 >>205 >>206 >>209 >>210 >>213 >>216 >>217 >>218 >>219 >>222 >>224 >>227 >>230 >>233
ソルナシティ編
>>234 >>235 >>236 >>238 >>241 >>242 >>243 >>244 >>245 >>246 >>249 >>250 >>251 >>268 >>269 >>271 >>272 >>273 >>276 >>277 >>278 >>279 >>282 >>283 >>285 >>287 >>288 >>289 >>290 >>293 >>294 >>295 >>298 >>299 >>302 >>305 >>307 >>309 >>312 >>313 >>314 >>315 >>316 >>317 >>320 >>322 >>324 >>326 >>327 >>328 >>329
ポケモンリーグ編
>>330 >>331 >>334 >>335 >>340 >>342 >>344 >>345 >>346 >>347 >>350 >>353 >>354 >>355 >>357 >>359 >>360 >>361 >>362 >>363 >>364 >>365 >>366 >>367 >>370 >>371 >>372 >>373 >>374 >>375 >>376 >>377 >>378 >>381 >>384 >>385 >>386 >>387 >>388 >>389 >>392 >>393
エピローグ >>394
あとがき >>395

番外編 最強と無敵の紙一重の差
>>253 >>257 >>259 >>262 >>265

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80



Re: 第百六十話 龍爪と鉄拳 ( No.364 )
日時: 2013/01/16 00:32
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: aUi6IQQT)
参照: 後書きェ……

ティラノスの拳と、テペトラーの拳が交錯する。
競り合うことなく互いの拳が標的へと命中、直後、お互いに大きく吹っ飛ばされる。
だが、今度は確実にティラノスのほうがダメージが大きい。テペトラーは悪技を半減するのに対し、ティラノスは格闘技を抜群で受けてしまうからだ。
しかしそれでも、ティラノスは起き上がる。不屈と憤怒の感情を込め、テペトラーを睨み付ける。
対するテペトラーも、静かに拳を構え直し、ティラノスの目を見据える。
「ティラノス、グランボールダ」
そしてシアンが動いた。
ティラノスが地面に力を撃ち込んだと共に、テペトラーの足元から大量の岩石が飛び出し、テペトラーへと襲い掛かる。
「こいつが厄介だ……! テペトラー、ハイドロポンプ!」
テペトラーは大量の水を薙ぎ払うように噴射し、襲い来る岩を片っ端から破壊していく。
「冷凍パンチ!」
残った岩が降ってくるが、テペトラーは冷気を込めた拳で岩を殴り飛ばし、逆にティラノスへと打ち返す。
「ティラノス、思念の頭突き」
だが、ティラノスとてこの隙をぼーっと見ている訳がない。
水で岩がほとんど薙ぎ払われた時点で、ティラノスは額に思念の力を込め、突撃してくる。
冷気で氷塊と化した岩などお構いなく粉砕し、一気にテペトラーへと迫る。
「冷凍パンチじゃダメだったな……ハイドロポンプだ!」
対してテペトラーは大きく啼き、大量の水を噴射して迎え撃つ。
競り合った末に、テペトラーの水が押し切り、ティラノスを吹っ飛ばした。
「チャンス! 波動弾だ!」
テペトラーは両手を構えて、波動を凝縮した弾を撃ち出す。
「来るよ。ティラノス、ぶち壊す」
競り合っていたので、ダメージはそう多くは無い。
ティラノスはすぐさま体勢を立て直し、爪を振り下ろして波動弾を破壊、さらに、
「ぶち壊す」
猛々しく吼えると、立ち塞がるもの全てを破壊する勢いで突撃する。
「来るぞテペトラー、インファイトで迎え撃て!」
テペトラーも地を蹴って跳び、拳を突き出す。
テペトラーが拳の猛攻を放ち、ティラノスもテペトラーに負けない勢いで拳を連続で撃ち出す。
最後の一撃は、ティラノスは尻尾を思い切り振り下ろし、テペトラーは腰をひねって渾身の回し蹴りを繰り出す。
威力は完全に互角。しばし競り合い、お互いに離れる。
「でも、ティラノスにはまだ龍の舞がある。ティラノス」
「積ませない! テペトラー、波動弾!」
ティラノスが舞おうとした瞬間に、テペトラーは波動弾を放ち、ティラノスの動きを止める。
「くっ、ティラノス、思念の頭突き」
龍の舞を中断し、ティラノスは思念の力を込めた頭突きで波動弾を破壊。
レオとしては、龍の舞だけは絶対に積ませてはならないのだ。もともと攻撃の高いティラノスに、これ以上攻撃力だけではなくスピードによる勢いまで追加されたら手が付けられなくなるのは明らかだ。
「ハイドロポンプ!」
さらにテペトラーは大量の水を噴射し、追撃する。
「ティラノス、躱して思念の頭突き」
ティラノスはハイドロポンプを横に逸れて避けると、額に思念の力を込めて突撃。
「テペトラー、潜り込んで冷凍パンチだ!」
対して、テペトラーも冷気を込めた拳を構え、地を蹴って跳び出す。
ここで正面衝突なら、先ほどのようにテペトラーは勝てない。
だから、ティラノスと激突する寸前、テペトラーは体勢を屈め、ティラノスの顎の下に潜り込む。
そこからアッパーカットの如く上に拳を突き出し、ティラノスの顎に拳を叩き込んだ。
ティラノスが大きく仰け反り、後ろへと下がる。
「ハイドロポンプ!」
そこにすかさずテペトラーが大量の水を噴射。
ティラノスは体勢を崩しており、それでも何とか避けようとしたが、避けきれず、水の一撃を喰らう。
「こうなったら……ティラノス、覚悟を決めるよ」
シアンの言葉に、ティラノスは頷く。

「ティラノス、最強の一撃を。グランボールダ」

ティラノスは大きく跳び、そのままの勢いで地面へと落下、地震にも匹敵する地揺れを起こす。
その反動で、テペトラーの周り一体から大小様々な岩が飛び出す。
ただし、通常の、ではない。
今までとは比にならない、それこそとんでもない量の岩がテペトラーへと飛来し、テペトラーを覆い尽くす。
「テペトラー、脱出するしかない! インファイト!」
岩の中で、テペトラーは怒涛の勢いで拳を撃ち込むが、そう簡単に岩は崩れたりしない。
「これで終わりにしよう。ティラノス、ぶち壊す」
ティラノスは勝ち誇ったような、悪魔のような咆哮を上げる。
二回戦、敵のエースを一撃で粉砕したあの一撃がレオの脳裏をよぎった。
そして、ティラノスはまさにその勢い、いや、それを超える勢いで一直線にテペトラーへと向かう。
その姿はまさに、古代の王者と謳われた、暴君の姿であった。
ティラノスが岩に激突する。
まさにその時だった。

「このチャンスを待ってた! テペトラー、インファイトだ!」

ティラノスが岩を粉砕し、岩の中のテペトラーへと暴虐の手をかざしたその瞬間、岩の割れ目から一陣の青い風が飛び出し、ティラノスに激突した。
レオとテペトラーは、最大の賭けに出たのだ。
現状、テペトラーの力『だけ』ではこの岩は破壊できなかった。
だからこそ、他者の力を借りる必要があったのだ。
テペトラーの拳は、ティラノスの腹部にまともに命中した。
「ティラノス、まだだよ。これで決めよう、ぶち壊す」
「テペトラー、こっちもだ! インファイト!」
今度こそ、ティラノスは憤怒の咆哮を上げ、立ちはだかる全てを破壊しつくす如く突撃する。
立ち向かうは必殺の拳。全ての悪を粉砕する必殺の拳を、テペトラーはただ一心に突き出す。
ティラノスの鋭爪が、テペトラーの剛腕が、交錯する。
両者が背中合わせで、そのまま止まる。どちらも硬直し、全く動く気配すら感じないが、次の瞬間。
テペトラーが片膝を地面へと着き、体勢を崩す。
しかし、その刹那。
ティラノスの体が、声を上げることもなく横へと傾いた。そのまま鈍い地響きを立て、ティラノスは地面へと崩れ落ちた。
「……負けたよ」
シアンが、ぼそりと呟いた。
同時、静寂に包まれていた観客が、一気に歓声を上げる。声援が、激戦を見せた両選手を褒め称える。
シアンはティラノスを戻し、レオへと近づいた。
「頑張ってね。ここまで来たら優勝しかないよ」
「おう、任せろ。シアンの分まで、精一杯頑張るぜ!」
シアンが手を差し出した。レオもその手を握り、握手を交わす。




レオ対シアン、完結です。文字数がピンチなのでもう次回予告に行きます。次回は、準々決勝の前にもう一試合入れます。それでは、次回もお楽しみに!

Re: 第百六十一話 太陽の化身 ( No.365 )
日時: 2013/01/16 21:51
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: CXRVbeOz)

場所は変わり、西方の虎門スタジアム。
「それでは、東側、フウカ選手! 西側、ナシカ選手! 前へ!」
フウカも順調に駒を進め、三回戦まで来た。
対するナシカは、フウカは知らないが、ホウエンのジムを制覇しており、ジムリーダーの誘いを受けたことのある強者でもある。
「さあ、早く始めるよ。正直こんなつまんないところにいたくないし。とっとと上に進みたいよ」
「それは無理ですね。勝つのは私ですから」
その言葉を引き金に、二人はボールを取りだす。
「お願いします、カンカーン!」
「行くよ、サーナイト!」
フウカのポケモンは、太陽を模した赤いエイのようなポケモン。日照りポケモンのカンカーン、炎タイプ。
対するナシカのポケモンは、白い体に、緑の髪の、女性の人型のようなポケモン。
抱擁ポケモンのサーナイト、エスパータイプ。
「それでは、バトル開始!」
審判の声の直後、日差しが一気に強くなる。
「日照りが厄介ね……サーナイト、サイコキネシス!」
サーナイトは強い念力を操作し、カンカーンの動きを封じ、
「そのまま地面へ!」
カンカーンを操り、地面へと叩きつける。
「カンカーン、反撃です。マグマで囲む!」
カンカーンは起き上がると、尻尾を地面へと叩きつける。すると無数の火柱が現れ、サーナイトを取り囲む。
「今です、怒りの炎!」
カンカーンはサーナイトの上を取り、憤怒の感情の如く激しく燃え盛る炎を放つ。
「逃げられないか……サーナイト、気合玉!」
周囲は火柱で遮られ、回避は不可能。サーナイトは気合を凝縮した弾を手に浮かべ、上空のカンカーン目掛けて放つ。
しかし、日照りで強化された怒りの炎を破ることが出来ず、気合玉は破壊され、サーナイトも炎の直撃をあびる。
「ここからよ。サーナイト、サイコキネシス!」
サーナイトは周囲に念力の波を放って火柱を破壊すると、
「十万ボルト!」
すぐさま強い電撃を放ち反撃、カンカーンに正面から電撃を浴びせる。
「その程度! カンカーン、ウッドハンマー!」
カンカーンはサーナイト目掛けて動く。一気に距離を詰め、堅い木のように硬化させた尻尾でサーナイトへと殴りかかる。
「来るよ。サーナイト、サイコキネシス!」
対して、サーナイトは強い念力を波のように発射し、ウッドハンマーを正面から迎え撃つ。
威力は互角。競り合いが続き、やがてカンカーンが身を引くが、同時に念力も消滅する。
「カンカーン、マグマで囲む!」
だが、そのあとの動きはフウカの方が早かった。
カンカーンは尻尾を地面へと叩きつけ、火柱を放つ。
無数の火柱はサーナイトの近くまで迫ると、一気に分裂してサーナイトを取り囲む。
しかし、
「サーナイト、影分身!」
サーナイトの体がふっと光る。
次の瞬間、火柱に包まれたサーナイトは消え、代わりにスタジアムのあちこちに無数のサーナイトが立っている。
「影分身……カンカーン、怒りの炎!」
しかし、そんなものカンカーンの前では関係ない。
カンカーンは憤怒の感情の如く燃え盛る炎を放つ。
広範囲へと放たれる炎は、分身を次々と打ち消し、直に本物を捕らえる。
はずだったのだが。

「残念、全て外れ。気合玉!」

本物のサーナイトがどこにもいない。
次の瞬間、カンカーンの頭上から気合を凝縮した弾が飛来し、カンカーンに直撃した。
「っ!?」
フウカは思わす上を見上げる。
本物のサーナイトが、ゆっくりと下降してきていた。
「サイコキネシスの便利なところは対象を操れるところだけど、だからといってその対象は敵だけじゃない。自分に念力を掛ければ、空中浮遊なんて楽勝だよね。十万ボルト!」
気合玉の直撃をまともに受け、体勢を崩すカンカーンを狙って、サーナイトは強力な電撃を撃ち出す。
「くっ、カンカーン、ウッドハンマー!」
体勢が整っていないながらも、カンカーンは堅い尻尾を振るい、何とか電撃を相殺する。
「カンカーン、一旦立て直しましょう。自己再生!」
カンカーンの傷が光り出す。細胞が修復され、傷が癒えていくが、
「させないけど? サーナイト、サイコキネシス!」
サイコキネシスは念力を操作して、カンカーンを操り、無慈悲にもその傷の回復を止めてしまう。
「そんな、使い方……!」
「サーナイト、そのまま地面へ!」
サーナイトは手を上へと掲げる。その動きに合わせ、カンカーンも操られ、念力によって空中まで持ち上げられる。
そして次の瞬間、サーナイトはその腕を勢いよく振り下ろす。
カンカーンも同じように、目に見えない力によって地面へと叩きつけられる。
「カンカーン! まだ行けます、怒りの炎!」
「悪いけど次で決めちゃうよ。サイコキネシス!」
カンカーンは何とか起き上がり、怒りに任せた灼熱の業火を放つが、サーナイトは再び念力を操作し、カンカーンを術中へと取り込む。
業火が襲い来るが、それでもサーナイトは念力を保ったまま、灼熱の業火を耐え切った。
そして、
「思い切り壁へ!」
サーナイトが全力で腕を横に振ると同時、カンカーンも同じように吹っ飛ばされ、壁に勢いよく激突。
戦闘不能となって、目を回していた。
「ありがとうカンカーン。休んでてください」
フウカはカンカーンを戻し、ナシカを見据える。
「随分と、手荒い戦法ですね」
「これでも加減してる方だよ。その気になればもっとグロテスクに、サイケデリックに彩れるんだけど?」
何気なく、ナシカはとんでもないことを言う。
ナシカの実力云々でなく、その性格に、フウカは不快感を覚えるが、気を引き締め、次のボールを取り出す。




さて、グレイさんのオリキャラ、ナシカが、久々に登場です。対するは霧火さんのオリキャラであるフウカ。オリキャラ同士の対戦、という感じですね。それにしても、ベガをやり始めた頃は(作者はポケットモンスターベガをプレイ済み)、カンカーンの日照りが本家で実装されたら晴れパが強くなると思ってましたが、夢ロコンでまさかの本当に実装されましたよね。あれは驚きました。さて、次回もフウカ対ナシカの続きです。それでは、次回もお楽しみに!

Re: 第百六十二話 太陽下の女と霰下の女 ( No.366 )
日時: 2013/01/17 00:03
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: CXRVbeOz)

「お願いします、セラーナ!」
フウカの二番手は、ピンクの布を被ったぬいぐるみのようにも見えるポケモン。頭には葉が生え、赤い木の実が飛び出している。
セラーナ、果実ポケモン。草タイプだ。
「行きます。セラーナ、地球投げ!」
セラーナがすっと動く。
しかし、次の瞬間、セラーナは既にサーナイトの後ろへと回っていた。
「!? サーナイト、影分身!」
慌ててナシカが影分身の指示を出すが、時すでに遅し。
セラーナはがっちりとサーナイトを両手で掴み、上空へと跳び上がる。
そのまま地球の回転のように数回転し、そのまま急降下、サーナイトを地面へと叩きつける。
カンカーン戦でのダメージもあり、サーナイトは戦闘不能となった。
「サーナイト、ありがとう。休んでおいて」
ナシカはサーナイトを戻し、セラーナを見据える。
「随分と速いわね、そのセラーナ。葉緑素でしょ?」
「ええ。葉緑素です。加えて素早さを特に鍛えていますから」
葉緑素は晴れの時、素早さが二倍になる特性だ。
「私のセラーナは、晴れの時は伝説のポケモン、ライラプスにも劣らないスピードを出すことだって出来ますよ」
「へーえ」
ナシカはそれを聞くと、うっすらと笑い、次のポケモンを繰り出す。
「行くよ、ユキメノコ!」
ナシカの次なるポケモンは、振袖を纏った雪女のようなポケモン。足は無い。
雪国ポケモンのユキメノコ、氷・ゴーストタイプ。
ちなみに、ユキメノコはウチセト図鑑には載っていないポケモンだ。
「セラーナ、ソーラービーム!」
セラーナは強い太陽光を一瞬で吸収し、一気に太陽光線の如きエネルギーを発射する。
「ユキメノコ、躱して」
対してユキメノコは掴み所のない不規則な動きで光線を避ける。
そして、ある意味、フウカにとって最も厄介な技を繰り出す。

「ユキメノコ、霰!」

ユキメノコは天へと氷の力を送る。
次の瞬間、晴天だった空に一気に黒雲がかかり、やがて大粒の霰が降り出す。
「……ッ! 霰……ですか」
天候に頼った戦術のセラーナにとって、これは大きく不利な戦いとなる。
フウカの手持ちには、天候を無視できる特性、エアロックを持つテイルーンがいるが、肝心のテイルーンのタイプがユキメノコには心許ない。
そして、ナシカは不敵な笑みを浮かべる。
「さて、これで状況はひっくり返った訳だけど? ユキメノコ、吹雪!」
ユキメノコは暴風に雪を乗せ、それを撒き散らす。
「くっ、セラーナ、大成長!」
対してセラーナは急激に細胞を成長させて、大量の蔦を地面から突き出させ、何とか吹雪を防ぎきる。
「セラーナ、目覚めるパワー!」
その蔦の上からセラーナは飛び出し、くすんだ茶色のパワーの塊を放つ。
しかし、ユキメノコはまるで雪にまぎれて消える雪女のように姿を消し、目覚めるパワーを避ける。
「ユキメノコの特性、雪隠れ。この霰の中でユキメノコを捕らえるのは難しいよねえ。ユキメノコ、氷の礫!」
ユキメノコはセラーナの正面に現れ、氷を固めた礫を素早く放つ。
咄嗟の先制攻撃には対応できず、セラーナは氷の礫を喰らう。
「くっ、セラーナ、目覚めるパワー!」
体勢を崩しながらも、セラーナは茶色のパワーの塊を放ち反撃。
ユキメノコはパワーの一撃を喰らう。ダメージを見る限り、効果抜群のようだ。
「その色とこのダメージ量、その目覚めるパワーは岩タイプだね」
ナシカの表情は揺るがない。それだけユキメノコやこの戦術に自信があるのだろう。
「ユキメノコ、シャドーボール!」
ユキメノコもナシカと同じように不気味な薄笑いを浮かべると、影の弾を二発発射する。
「セラーナ、躱して!」
セラーナはバックステップで影の弾を避ける。
元々このセラーナは素早さが高いので、普通の攻撃を避けるくらいは簡単だ。
しかし、
「ユキメノコ、吹雪」
ユキメノコは雪を風に乗せ、その吹雪を撒き散らす。
いつもならソーラービームで打ち消すが、肝心の日光が無ければ太陽光線を放つことは出来ない。
「セラーナ、大成長!」
セラーナは細胞を大きく成長させ、地面から大量の蔦を生やして身を守る。
しかし、
「どこを見てるのかなぁ?」
霰に身を隠したユキメノコは、セラーナの真後ろに現れ、
「隙だらけね。吹雪!」
雪を乗せた暴風を放ち、今度こそセラーナを吹っ飛ばす。
「くっ、セラーナ! 大丈夫ですか?」
セラーナはまだ起き上がり、体勢を構えなおすが、ユキメノコは霰にまぎれつつ、確実に接近してくる。
加えて、霰のダメージも地味に痛い。
「ユキメノコ、氷の礫!」
「セラーナ、目覚めるパワー!」
ユキメノコが氷の塊を放つと同時、セラーナは茶色のパワーの塊を放つ。
技はお互いに相殺され、
「セラーナ、大成長!」
セラーナはすかさず細胞を急激に成長させ、無数の蔦をユキメノコに向けて一斉に放つ。
対してユキメノコは霰にまぎれて姿を消し、蔦の攻撃から逃れる。
「目覚めるパワー!」
しかし、今度はフウカも隙を狙っていた。
ユキメノコが現れた直後を狙って、セラーナは茶色のパワーの塊を撃ち出し、ユキメノコを捕らえる。
「やってくれるじゃんか! ユキメノコ、シャドーボール!」
ユキメノコはパワーが命中した頬を押さえてセラーナを睨むと、霰にまぎれて姿を消す。
そしてセラーナの背後に現れると共に影の弾を放ち、セラーナを吹っ飛ばす。
「くっ、セラーナ、立て直して!」
「そんな隙与えないけど? ユキメノコ、吹雪!」
セラーナはまだ起き上がり、体勢を戻すが、それよりも早くユキメノコは風を巻き起こし、雪を乗せて放つ。
雪を乗せた暴風が、セラーナへと襲い掛かる。




久しぶりの一日二話更新です。ユキメノコの特性、雪隠れは、アニメダイヤモンドパールのシンジのユキメノコを意識して書いてみました。書いてましたが、やたら強いですね。これとユキノオー合わせたら無限霰で無敵になるんじゃねえのかこれ……。アニメでもピカチュウが大苦戦していた覚えがあります。さて、次回は、フウカ対ナシカ、決着となります。それでは、次回もお楽しみに!

Re: 第百六十三話 エースの実力差 ( No.367 )
日時: 2013/01/18 00:12
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: CXRVbeOz)

ユキメノコの放つ吹雪が、体勢が戻らないセラーナへと襲い掛かる。
「もらった……!」
小さくナシカは呟く。
しかしその時。バトルフィールドに変化があった。

空の黒雲の隙間から、太陽光が差し込んできたのだ。

「まずっ……霰が!」
先ほどの余裕までとは一変した表情を浮かべるナシカ。
ユキメノコの霰は、カンカーンの特性によるものとは違い、ずっと続くものではない。
しかし、カンカーンの日照りは、バトルが終わるまでずっと続く。
つまり、霰がやんだこの瞬間も。
そして、それが何を意味するか。簡単なことだ。
「セラーナ、躱して!」
突如、セラーナは消えた。いや、消えたように見えるほど速く動いた、が正しい。
太陽光により、セラーナはスピードを取り戻す。
「よくも散々やりたい放題やってくれましたね、今度はこっちの番ですよ!」
勝ち誇ったような笑みを浮かべつつ、フウカは言う。
「な、何てことないけど? 霰がやんだら、もう一回降らせるまで! ユキメノコ、霰!」
「させるもんですか! セラーナ、ソーラービーム!」
ユキメノコが天に力を捧げるために手を上にかざすが、力が送られる前にセラーナが太陽光線の如くエネルギーを発射した。
霰下でなければ雪隠れも機能しない。ユキメノコはソーラービームを躱す術もなく吹っ飛ばされ、戦闘不能となる。
「ありがとう、ユキメノコ。惜しかったね」
ナシカはユキメノコを労い、ボールに戻し、最後のボールを取り出す。
「これで最後。行くよ、ドレディア!」
ナシカの最後のポケモンは、花飾りポケモンのドレディア。
「ドレディアですか……セラーナ、一旦戻ってください」
有効打が無いため、フウカはセラーナを戻す。
「さあ行きましょう、ロップル!」
フウカの最後のポケモンは、エースのロップル。エースで速攻で決めるつもりだ。
また、このナシカが少々苦手だから早く終わらせたい、という理由もある。
「ドレディア、エナジーボール!」
先に動いたのはナシカ。
ドレディアは自然の力を集め、球状にして撃ち出す。
「ロップル、躱してサイコパンチ!」
対して、ロップルは軽やかなステップでそれを避けると、拳を振るって、拳の形をした念力を放つ。
「ドレディア、アクアボルト!」
ドレディアは拳へと電気を含んだ水を放つが、相殺できず、拳の直撃を喰らって吹っ飛ぶ。
「まだまだですよ。ロップル、続いてシグナルビーム!」
ロップルは攻撃の手を緩めない。鮮やかでカラフルな光線を放ち、吹っ飛んでいくドレディアを追撃する。
「ドレディア、花弁の舞!」
宙を舞いながらも、ドレディアは大量の花弁を周囲にまとい、シグナルビームを防ぎきる。
「ここで終わりじゃないよ!」
さらにその花弁はドレディアの元を離れ、全て一気にロップルへと向かってくる。
「ロップル、アイスバーン!」
しかし、ロップルは周囲に氷の衝撃波を放ち、花弁を全て凍りつかせ、地面へと落とす。
だが花弁の舞は一撃では終わらない。
間髪入れずに、第二波、第三派が飛んでくる。
ロップルは二発目も何とか打ち消すものの、三発目には全てに対応することは出来ず、残った花弁がロップルの体を切り裂く。
「でも、ドレディアは反動で混乱するはず。ピンチの後にチャンスあり! ロップル、サイコパンチ!」
ロップルは素早く体勢を立て直し、拳の形をした念動力を撃ち出す。
「ドレディア、来るよ! 躱して!」
しかしドレディアは混乱しており、思うように動けず、拳の直撃を喰らう。
「くうっ、ドレディア、アロマセラピー!」
ドレディアは今度はちゃんと動く。心地よい香りを放ち、自身の混乱状態を回復させる。
「なるほど、ならロップル、ピッカリ玉!」
ロップルは今度は黄色い玉を投げつける。
黄色い玉は空中で破裂し、閃光がスタジアムを包む。
「ロップル、アイスバーン!」
視界を奪われたドレディアの隙を狙い、ロップルはドレディアへと接近し、氷の衝撃波を放ち、近距離からドレディアを吹っ飛ばす。
「くっ、ドレディア、花弁の舞!」
体のところどころを凍らせたドレディアだが、まだ何とか起き上がり、大量の花弁を身にまとうが、
「サイコパンチ!」
ロップルは念力をまとった拳を振るって念動力の拳を放ち、花弁もろともドレディアを吹っ飛ばす。
「とどめです! アイスバーン!」
間髪入れずにロップルは氷の衝撃波を放ち、再びドレディアを吹っ飛ばす。
ドレディアは吹っ飛び、壁に叩きつけられ、加えて体の半分を凍りつかせ、戦闘不能となっていた。
最初の二体はともかく、エースの実力差が違いすぎた。


これで第三回戦までが終了。
舞台は中央スタジアムへと変わり、六対六のフルバトルとなる。
準々決勝へと進んだ八人が、さらなる戦いを繰り広げる。
龍門スタジアムから進んだレオは、シアンたちの思いを受け継ぎ、激戦に身を投じる。
虎門スタジアムからの一人はフウカ。雀門スタジアムからは、キラも突破してきていた。
そして注目すべきは、チヅルを軽々と破り、本戦出場者の中で最短で三回戦までを突破した男、武門スタジアムのシュウヤ。
ここからが正念場。激戦を勝ち抜き、栄光を掴み取るのは、どの選手か。




フウカ対ナシカ、決着です。やはりロップルは強いです。強敵をものともせず、速攻で決めました。そして一番最後は少々かっこよく決めてみたつもりです。……うーん、特に書くこともないので……あ、そう言えば、最近インフルエンザが流行っていますが、皆さん大丈夫ですか?さて、次回はいよいよ準々決勝。それでは、次回もお楽しみに!

Re: ポケットモンスター 平和の光と恐怖の闇 ( No.368 )
日時: 2013/01/18 02:21
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: 0aJKRWW2)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

 水タイプは好きじゃないと公言していたけれど、最近その感覚が変わりつつある白黒です。

 いやー、シアンが格闘タイプ使いの彼に勝つのは大体読めていましたが、まさか直後にレオと当たるとは。
 しかも相当熱いバトルになりましたね、最後のテペトラーvsティラノスなんかは特に。シアンはあんなキャラなのに。
 ちなみに僕は、いつぞやカワラベ贔屓していたので分かるかもしれませんが、レオの手持ちだとテペトラーが一番好きだったりします。大技でねじ伏せるスタイルが好きなんですよね。
 僕の好きなタイプは悪とか鋼とか、二世代から入ったタイプなのですが、それでもバフォットよりもテペトラーなんですよね……最近白黒のタイプ好みが変わりつつある……

 それとこの小説で一番好きなのは、ザント! と声高らかに宣言したいところですが、実際はシャウラかクルサですかね。他はタマナとかカンタロウとかも候補に入るんですが……こうしてみると、訛りキャラ好きですね、僕。

 それにしても、ここでフウカとナシカのバトルが入るとは意外でした。どちらも天候を利用した戦法ですね。
 いつぞやの大会では猛威を振るうはずのカイオーガをグラードンが制したらしいですが、こちらも晴れパを組み込んだフウカの勝利ですか。

 さてこれで、レオ、キラ、フウカ、そしてシュウヤの四人は勝ち上がり確定ですか。確かキラとのフルバトルは前回負けていたと思うので、ここではきっちり勝ってほしいところですね。
 シュウヤの手持ちも新たにユニサスが明かされましたが、残り四体は一体……うち三体は予想がつくとはいえ、どうなるのか。
 それにシュウヤのエースポケモンも気になりますね。前作の彼は、エースポジションのポケモンを一体決めているというより、総合的に強い、って感じでしたし。それでもあえてエースになるなら、あのポケモンかな……?

 ともあれ、決勝までいよいよ大詰め、残る対戦が楽しみです。
 長文失礼しました。それでは。


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