複雑・ファジー小説
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- 獣妖過伝録(7過完結)
- 日時: 2012/09/08 14:53
- 名前: コーダ (ID: hF19FRKd)
どうも〜!私、コーダと申します!
初めましての方は、初めまして!知っている方は、毎度ありがとうございます!
え〜……一応、ここに私の執筆作品がありますが、最近、新しい閃きがありましたので、それを形に表してみようと思って、突然、掛け持ちすることになりました。
そして、このたびは2部になりましたのでタイトルも変えて獣妖過伝録(じゅうようかでんろく)としました。
只今、超ゆっくり更新中……。
コメントもどしどし待っています。
では、長い話をばかりではつまらないと思いますので、これで終わりたいと思います。
※今更すぎますけど、この小説はけっこう、人が死にます。そういったものが苦手な方は、戻るを推奨します。
※この小説は、かなりもふもふでケモケモしています。そういったものが苦手な方は、戻るを推奨します。
秋原かざや様より、素敵な宣伝をさせていただきました!下記に、宣伝文章を載せたいと思います!
————————————————————————
「お腹すいたなぁ……」
輝くような二本の尻尾を揺らし、狐人、詐狐 妖天(さぎつね ようてん)は、今日もまた、腹を空かせて放浪し続ける。
「お狐さん?」
「我は……用事を思い出した……」
ただひとつ。
狐が現れた場所では、奇奇怪怪(ききかいかい)な現象がなくなると言い伝えられていた。
100本の蝋燭。
大量の青い紙。
そして、青い光に二本の角。
————青の光と狐火
恵み豊かな海。
手漕ぎ船。
蛇のような大きな体と、重い油。
————船上の油狐
それは偶然? それとも……。
「我は……鶏ではない……狐だぁ……」
「貴様……あたしをなめてんのかい!?」
星空の下、男女の狐が出会う。
————霊術狐と体術狐
そして、逢魔が時を迎える。
「だから言ったでしょ……早く、帰った方が良いと」
獣人達が暮らす和の世界を舞台に、妖天とアヤカシが織り成す
不思議な放浪記が幕をあげる。
【獣妖記伝録】
現在、複雑・ファジースレッドにて、好評連載中!
竿が反れる。
妖天は突然、その場から立ちあがり、足と手に力を入れて一気に竿を引く。
すると、水の中から出てきたのは四角形の物体。
「むぅ……」
「釣れたかと思えば下駄か! 鶏野郎にお似合いだな!」
————————————————————————
・参照突記伝録
「1800突破しましたね。嬉しいことです」
・読者様記伝録
ステッドラーさん(【★】アーマード・フェアリーズ【★】を執筆している方です。)
玲さん(妖異伝を執筆している方です。)
王翔さん(妖怪を払えない道士を執筆している方です。)
水瀬 うららさん(Quiet Down!!を執筆している方です。)
誰かさん(忘れ者を届けにを執筆している方です。)
ベクトルさん(スピリッツを執筆している方です。)
ナナセさん(現代退魔師を執筆している方です。)
Neonさん(ヒトクイジンシュ!を執筆している方です。)
猫未さん(私の小説を鑑定してくれた方です。)
アゲハさん(黒蝶〜月夜に蝶は飛ぶ〜を執筆している方です。)
水月さん(光の堕天使を執筆している方です。)
狒牙さん(IFを執筆している方です。)
木塚さん(SM不良武士集団を執筆している方です。)
瑠々さん(不思議な放浪記を読む読者様です。)
・感鑑文記伝録
水瀬 うららさん(ご丁寧な評価と嬉しい感想をありがとうございます!)
秋原かざやさん(非常に糧になる鑑定ありがとうございます!)
王翔さん(キャラが個性的と言ってくださり、ありがとうございます!)
紅蓮の流星さん(私の足りない部分を、教えていただきありがとうございます!)
猫未さん(私が夢中になってしまうところを、的確に抑制してくれました!ありがとうございます!)
夜兎さん(私の致命的なミスをズバリ言ってくれました。精進します!そして、ありがとうございます!)
七星 空★さん(新たなる改善点を教えていただきました。楽しいストーリーと言っていただきありがとうございました!)
瑚雲さん(改善する場所を新たに教えてくれました。高評価、ありがとうございました!)
野宮詩織さん(事細かい鑑定をしてくれました!ありがとうございました!)
狒牙さん(とてもうれしい感想をくださり、私が執筆する糧になりました!ありがとうございます!)
及川相木さん(面白い、そしてアドバイスを貰いました!ありがとうございます!)
peachさん(たくさんの意見と、私の課題を見つけてくれました。ありがとうございます!)
・宣伝文記伝録
秋原かざやさん(ドキドキするような宣伝をしてくれました!本当にありがとうございます!)
・絵描様記伝録
王翔さん(とても、可愛い絵を描いてくれました!本当にありがとうございます!)
>>12 >>31 >>37 >>54 >>116 >>132
ナナセさん(リアルタイムで、叫んでしまう絵を描いてくれました!本当にありがとうございます!)
>>20 >>48 >>99
・作成人記伝録
講元(王翔さん投稿!11記にて、登場!「次は、そなたたちである」)
葉月(ナナセさん投稿!12記にて、登場!「大成功!」)
淋蘭(玲さん投稿!13記にて、登場!「ふ〜ん。君、けっこうやるね」)
乘亞(水瀬 うららさん投稿!14記にて、登場!「大嫌いです」)
軒先 風鈴(Neonさん投稿!15記にて、登場!「退屈だ」)
・異作出記伝録
ジュン(玲さんが執筆している小説、妖異伝からゲスト参加しました。本当に、ありがとうございます!)
・妖出現記伝録
青行燈(あおあんどん)
小豆洗い(あずきあらい)
アヤカシ(”イクチ”とも言う)
磯撫(いそなで)
一本ダタラ(いっぽんダタラ)
犬神(いぬがみ)
茨木童子(いばらぎどうじ)
後神(うしろがみ)
産女(うぶめ)
雲外鏡(うんがいきょう)
煙々羅(えんえんら)
大蝦蟇(おおがま)
大天狗(おおてんぐ)
骸骨(がいこつ)
貝児(かいちご)
烏天狗(からすてんぐ)
九尾の狐(きゅうびのきつね)
葛の葉(くずのは)
管狐(くだぎつね)
懸衣翁(けんえおう)
牛頭鬼(ごずき)、馬頭鬼(めずき)
酒呑童子(しゅてんどうじ)
女郎蜘蛛(じょろうぐも)
ダイダラボッチ
奪衣婆(だつえば)
土蜘蛛(つちぐも)
鵺(ぬえ)
猫又(ねこまた)
野鎚(のづち)
波山(ばさん)
雪女(ゆきおんな)
雪ん子(ゆきんこ)
妖刀村正(ようとうむらまさ)
雷獣(らいじゅう)
笑般若(わらいはんにゃ)
・獣妖記伝録
1記:青の光と狐火 >>1
2記:船上の油狐 >>5
例1記:逢魔が時 >>10
3記:霊術狐と体術狐 >>11
4記:蝦蟇と狐と笑般若 >>15
例2記:貝児 >>27
5記:牛馬と犬狼 >>30
6記:産女と雌狐 >>34
例3記:ダイダラボッチ >>38
7記:蜘蛛と獣たち 前 >>43
8記:蜘蛛と獣たち 後 >>51
例4記:小豆洗い >>52
9記:雪の美女と白狐 >>53
10記:墓場の鳥兎 >>55
例5記:葛の葉 >>58
11記:天狗と犬狼 >>64
12記:狐狸と憑依妖 >>74
例6記:日の出 >>75
13記:雷鳥兎犬 >>78
14記:鏡の兎と雌雄狐 >>84
例7記:煙々羅 >>87
15記:櫻月と村汰 >>93
16記:神麗 琶狐 >>96
例8記:奪衣婆と懸衣翁 >>100
17記:天狗と鳥獣 前 >>104
18記:天狗と鳥獣 中 >>105
19記:天狗と鳥獣 後 >>112
例9記:九尾の狐 狐編 >>106
20記:温泉と鼠狐 >>113
21記:犬神 琥市 >>121
例10記:九尾の狐 犬編 >>120
22記:天鳥船 楠崎 >>128
例11記:九尾の狐 鳥編 >>133
23記:鬼と鳥獣 前 >>136
24記:鬼と鳥獣 後 >>140
例最終記:九尾の狐 獣編 >>141
25記:鳥獣と真実 >>151
・獣妖過伝録
1過:8人の鳥獣 >>159
例1現:不埒な者たち >>164
2過:2人の狐 >>163
例2現:禁断の境界線 >>166
3過:修行する者 >>165
例3現:帰りと歴史 >>167
4過:戦闘狼と冷血兎 >>168
例4現:過去の過ち >>169
5過:鳥の監視 前 >>170
例5現:起源、始原、発祥 >>171
6過:鳥の監視 中 >>172
例6現:探し物 >>173
7過:鳥の監視 後 >>174
例7現:箒に掃かれる思い >>175
・獣妖画伝録
>>76
>>119
- Re: 獣妖記伝録(例5記完結)(オリキャラ4人程募集中) ( No.61 )
- 日時: 2011/07/25 08:16
- 名前: コーダ (ID: 3JtB6P.q)
王翔さん>
はい!オリキャラ投稿ありがとうございます!
ふむふむ……戦う事にしか興味がないと……これは、良い話が出来そうです!
村潟班の時に、出したいと思います!
- Re: 獣妖記伝録(例5記完結)(オリキャラ4人程募集中) ( No.62 )
- 日時: 2011/07/25 15:38
- 名前: 玲 ◆PJzDs8Ne6s (ID: ICvI0sBK)
——————————オリキャラ投稿—————————
名前:「淋蘭/りんらん」(名前は漢字のみとさせていただきます。そして、一緒にふりがなもお願いいたします。)
性別:「男」(男か女でお答えください。)
種族:「犬」(犬、猫、狼、狐、鼠、兎、狸、鳥の中から選んでください。)
年齢:「13」(こちらは、人間で見たら何歳くらいか、ということで記入してください。)
見た目:「紅い眼、漆黒の黒髪で前髪の一部、蒼色」(瞳の色、髪の毛の色、など、出来るだけ、詳しくお願いいたします。)
性格:「無口、無感情、冷淡」(出来るだけ、詳しくお願いいたします。)
一人称:「僕」(僕、私、俺など)
二人称:「君、あんた等」(あなた、君、お前など)
得意な戦術:「爪や牙で相手の喉に骨まで砕き食いちぎる」(特にない場合は、記入しなくて大丈夫です。)
サンプルボイス:
「僕は淋蘭、死んでくれるよね」
「黙るという単語をお知りかな」
「」
「」
「」
誰の場面の時に出演して欲しいか:「」(妖天、村潟、琴葉の中から選んでください。特にない場合、記入しなくて大丈夫です。)
その他:「」
- Re: 獣妖記伝録(例5記完結)(オリキャラ3人程募集中) ( No.63 )
- 日時: 2011/07/25 16:18
- 名前: コーダ (ID: 3JtB6P.q)
玲さん>
オリキャラ投稿ありがとうございます!
ふむふむ……無口、無感情、冷淡と来ましたか……
武器に頼らず、己の体に頼った攻撃も良いですねぇ……
誰の班の時に出すか、今はまだ言えませんが気長にお待ちください!
- Re: 獣妖記伝録 ( No.64 )
- 日時: 2011/08/03 10:04
- 名前: コーダ (ID: E29nKoz/)
標高の高い山。
そこは、非常に強い風が吹いていた。
生半可な足腰では、吹き飛ばされてしまうくらいだった。
木々も揺れて、葉と葉の摩擦熱で、山火事でも起きそうな雰囲気を漂わせる。
中には、へし折れてしまう木も少なくない。
この風が、自然的な現象なら仕方ないことだが——————
明らかに、おかしいところがある。
風が吹く方角が不特定なのだ。
酷い時は、自分の足元から風が吹いてくることもある。
これを、自然的な現象という言葉で、片付けて良い物なのか。
ふと、山の中を見てみると、4人くらいの団体が居た。
強い風にも屈せず、のんきに話し合いをしている雰囲気を、漂わせていた。
4人は、共通の黒い着物を着ていて、背中には黒い翼も生えていた。
腰には、立派な刀も持っており、首には数珠(じゅず)もつけていた。
そして、なによりも真っ赤な顔と、尖った鼻が1番印象的だった。
不意に、1人が辺りを見回す。
何かが居る気配を感じ取ったのか、右手を刀の柄へ持っていき、万全な態勢を取る。
近くの草むらが、音を立てて揺れる。
それに気付いた瞬間、もう遅かった——————
草むらからは、風のようなスピードで何者かが現れる。
獰猛(どうもう)で、力強い犬か狼を連想させる動き。
刀を持っていた1人は、鞘から抜くことも出来ず、獰猛な犬か狼に襲われる。
3人は慌てて、この場を逃げるかのように後にする。
一方、襲われた1人は、犬か狼に思いっきり首を斬り裂かれる。
即死だった。
自分の右手についた、大量の赤い液体を見て、体を震わせる犬か狼。
その表情は、どこか楽しげだった。
気がついた時には、山の強い風は何事もなく止んでいた。
犬か狼は、逃げて行く3人の姿を、力強い眼光で見つめる。
——————「次は、そなたたちである」
〜天狗と犬狼〜
太陽の光を遮る程の、木々が目立つ山の中。
非常に凹凸の激しい道と、左右には草むらが生い茂っていた。
とても、不気味な獣道。
風も若干吹いており、葉と葉の触れ合う音が、さらに不気味な雰囲気を漂わせる。
そんな山の中を歩く、男性と少女が居た。
灰色で、とてもさっぱりするくらい短い髪の毛。前髪は、目にかかっていなかった。
頭には、ふさふさした2つの耳と1本の尻尾があり、瞳は青緑色をしていた。
男性用の和服を着て、腰には、立派な刀をつけていた。
そして、鞘にはお札か、お守りか分からない物が、紐で繋がれている。
辺りを警戒するように、瞳を動かし、とても真剣な表情をする。パッと見たイメージは武士みたいな男。
その男性の後ろを、ちょこちょこと子犬のように後をつける少女。
灰色の髪の毛で、肩にかかるくらいの長さだった。前髪は、非常に目にかかっており、四角いメガネをかけていた。
頭には、男性と同じふさふさした2つの耳と1本の尻尾があり、瞳は闇のように黒かった。
巫女服みたいな、神々しい服装で身を包み、とても可愛らしかった。
どことなく、不思議な雰囲気を出す。しかし、獣のような鋭い眼光は全くなかった少女。
左手で鞘の根元部分を握り、親指で刀の鍔(つば)を押さえて、歩く男。
時たま、親指を前に出し、鞘から刀を出して、親指を戻して、刀を鞘に戻す行為をする。
これにより、刀を鞘に戻したときに響く、あの独特な音が鳴る。
おそらく、獣避けの為に行った行為だと思われる。
鞘に刀を入れたあの音は、獣にとって非常に嫌な音。
男と少女は、安全に山を登る。
ふと、男の足が止まる。
凹凸の激しい道に、苦戦していた少女が目に映った。
メガネをずらして、汗をかきながら、若干荒い吐息も洩(も)らす。
度々(たびたび)、少女の履いていた下駄も脱げ落ちる。
男は、その姿を柔和な表情で見守る。
すると、少女はむっとした表情をして、尻尾をぶんぶん振りまわし始めた。
笑っている暇があるなら、早く助けて。と、言わんばかりの表情。
あまり怒らせてしまうと、後が怖いので、男はやれやれと言ったような表情で、少女の傍へ向かう。
そして、荷物のように持ちあげて、小脇に挟む。
もちろん、少女はじたばた暴れる。
そういうことじゃない。と、言わんばかりの暴れっぷり。
しかし、男はそんなこと気にせず、道を歩く。
だんだん少女は、じたばたすることをやめて、むっとした表情だけになる。
険しい道を、登る男。
小脇に挟んだ荷物を、しっかり持ちながら、懸命に足へ力を入れる。
「むっ……?」
また、男の足は止まった。
体を左に90度振り向かせ、深い草むらを見つめる。
——————誰かが居る気配。
刀の根元を左手で握り、親指を鍔に乗せる。
少し親指を前に出して、また戻す。
鞘に刀を閉まった時の音が響く。
だが、それでも気配は消えない。
男は、何かを決心して、深い草むらへ足を踏み入れた。
その際、少女の顔面に丁度草が当たり、くすぐったくなる。
「う〜……」
幼く、透き通った声が響く。
男は、はっとした表情で少女を見つめる。
頬を、これでもかというくらい膨らませていた。
慌てて、その場に荷物を降ろす男。
両手でメガネをくいっと上げて、安堵の表情を浮かべる。
そして、男の右袖をきゅっと握る。
再び、足を進める2人。
深い草むらを、男が足でかきわけていたので、少女は特に苦労せずに歩き進める。
だが、草むらは少女と同じくらい長かったので、傍から見ると、男と少女の耳しか見えなかった。
突然、男は身を低くさせる。
少女もつられて、一緒に身を低くする。
深い草むらの先に、3人くらいの影が見えたのだ。
3人は共通の黒い着物を着ていて、背中には黒い翼も生えていた。
腰には、立派な刀も持っており、首には数珠(じゅず)もつけていた。
そして、なによりも真っ赤な顔と、尖った鼻が1番印象的だった。
眉間にしわを寄せて、男はじっと観察する。
少女は、そんな男の背中を見ているしかなかった。
3人は、話し合いをしているように見えた。
身振りと手ぶりをして、必死に相手に何かを伝えようとする。
男はゆっくり、右手を刀の柄に持ってくる。
——————いつ、襲ってきても良いように。
すると、団体の1人が、辺りを警戒するように見回した。
どうやら、あちらも誰かの気配を感じたらしい。
右手を刀の柄へ持ってきて、いつ襲われても良いように構える。
男は、もっと姿勢を低くする。
だが、不思議なことに、こちらのことは眼中に全く入っていなかった。むしろ、背を向けられていた。
もしかすると、あっちに誰かが居る可能性がある。
男が、足を1歩踏み入れようとした刹那——————
向こうの方から、風のように誰かが草むらから現れる。
獰猛で、力強い動きは、犬か狼を連想させた。
刀の柄を握っていた1人は、結局鞘から抜くことも出来ずに、襲われる。
他の2人は、慌ててこの場から逃げ出した。
一方、襲われた1人は、犬か狼みたいな者に、首を思いっきり斬り裂かれた。
即死である。
右手を、赤い液体で染めながら、空へ一言呟く。
「次は、そなたたちである」
一瞬の出来事に、草むらに隠れていた男は、頭の整理が追いつかない。
すると、後ろにいた少女は、何を思ったのか犬か狼の元へ向かう。
男は、慌てて少女の両肩を掴み、足を止める。
だが、もう遅かった——————
犬か狼は、こちらの姿を捉えていた。
力強い眼光は、気弱な人だと気絶するくらい。
しかし、少女はメガネ越しから、可愛い眼光で対抗する。
全く、勝負にならなかった。
少女は、むっとした表情をして、男の背後へ回り、つんと背中を押す。
びくっと立ち上がり、今度は男と犬か狼のような者が、睨み合いになる。
青色で、それは肩にかかるくらいの長さだった。前髪も、かなり目にかかっていた。
頭には、ふさふさした2つの耳と1本の尻尾があり、瞳はかなり赤かった。
男性用の和服を着ていたが、どこか野生臭さが残る。さらに、その鋭い爪はなんでも斬り裂く雰囲気を漂わせていた。
右頬には、深い傷が入っており、幾度(いくたび)も戦っていたのも分かる。
ふと、男の口元が上がる。
「そなた……何者だ?」
右手を刀の柄へ持って行きながら、尋ねる。
犬か狼の男も、口元を上げて答える。
「ワシは、講元(こうげん)である」
講元と名乗る男は、鋭い犬歯を出していた。
今にも噛みつかれそうな雰囲気。男は、鞘から刀を出す。
「そなたは……一体、何が目的だ?」
恐る恐る尋ねる。後ろに居た少女も、ひょっこり顔を出して講元の姿を見つめる。
「ワシは……ただ、戦う事が好きな犬である。今もこうやって、妖(あやかし)を退治したのである」
妖。
講元の足元に倒れている、黒い翼を持った者を、妖と言う。
少女は、男の背中から出てきて、倒れている者を見る。
「何か思い当たる節(ふし)があるのか?琥市(くいち)」
琥市と呼ばれた少女は、こくりと大きく頷く。
だが、特に何も言わず、また男の後ろに隠れた。
「所で、ワシはそなたたちの名前を聞いていないのである」
この言葉に、男は目を見開く。
そして、刀を鞘に戻して、
「すまぬ。拙者は正狼 村潟(せいろう むらかた)。こちらに居るのは犬神 琥市(いぬがみ くいち)という。」
自分と少女の名前を名乗る。
講元は、口元を上げて、あることを尋ねた。
「村潟……そなたは、見たところ狼であるな」
耳をピクリと動かして、村潟は頷く。
実は、犬と狼は外見が非常に似ているので、すぐに判別することができない。
唯一、見破る方法として、雰囲気を感じとることが挙げられる。
犬の雰囲気は、獰猛でどこか熱い感じがするのに、狼は獰猛でどこか冷たい感じがする。
1匹狼と言われるだけあって、大半の狼は心が冷たい。
それが、雰囲気にも現れるらしい。
「だが、その冷たい雰囲気の中に……そこの少女を守りたいという、温かい感情が伝わるのである」
この言葉に、琥市は顔を真っ赤にさせる。
村潟は、腕組をしながら、
「何、拙者はあくまで主を護衛しているだけだ……従者として、当たり前のことだろう?」
と、力強く言う。
しかし、講元はどこか納得しない表情をする。
「ワシには理解できないのである……狼は、ひたすら血を求めて戦う種族のはず……そなたには、そういう心がないのであるか?その刀は、少女を守るためにあるのであるか?」
この言葉に、村潟は眉間にしわを寄せる。
「な、何を言っている……拙者の刀は琥市を守るために……む?琥市を守るため……?はて……そうだったか……?拙者が……守るために刀を……?いや……そんなわけない……拙者は……拙者は……」
汗を流しながら、その場に膝まつく。
琥市は、慌てた様子で、村潟の右腕をぺしぺし叩く。
「く、琥市……せ、拙者は……血?血を求める……?な、なにを言っているんだ……血だと……?刀に血……?な、何を望んでいるんだ……?」
村潟は、その場に倒れてしまった。
荒い呼吸をしながら、大きく唸る。
講元と琥市は、思わず目を見開く。
——————鞘に付いている、お札かお守りみたいな物は、今だけ不思議な感じだった。
○
「もっと……もっと、拙者に血を……!」
頭の上にふさふさした2つの耳と、1本の尻尾を持つ男。
大量の血が付いた刀を両手で握り、鋭い眼光で叫ぶ。
来ていた和服も、返り血のせいでとても不気味だった。
男の周りには、血を出して倒れる人々。
なぜか、耳も尻尾もついていなかった、普通の人。
不意に、背後から誰かの声が聞こえてきた。
「もう、ここに人は居ないのじゃ。今は我慢せよ」
神々しい巫女服を着て、黄金に輝く9本の尻尾が印象的な女性。
女々しく、おしとやかで、かなり艶めかしい。
男は、不満のそうな表情で、血の付いた刀を、自身の和服の袖で拭う。
「そうじゃ……汝も、ようやく心の制御が出来るようになったのぉ……」
拱手をしながら、この場を後にする女性。
男は、黙って女性の後を追う——————
○
草があまり生えていない地面で、講元と琥市が座っていた。
村潟は、琥市の小さな太股に膝枕されていた。
「ワシが、今退治した妖は烏天狗(からすてんぐ)である」
烏天狗。
人の姿をして、黒い翼と真っ赤な顔に、尖った鼻が印象的な妖。
彼らが通る場所は、強風が吹くと言われる。
その風は、足腰が弱い者だと、遠くに飛ばされてしまうくらいである。
腕を振れば、風の刃。カマイタチも起こすことが出来る。
おまけに、刀の扱いも長(た)けている。
そこら辺に建っている、道場の師範に教えてもらうなら、烏天狗に教えてもらった方が、よっぽど良いと言われるくらい。
そして、恐ろしいことに、烏天狗は1番身分の低い天狗である。
その上には、鼻の長い大天狗(おおてんぐ)も居る。
琥市は、少々険しい表情をする。
「真正面から、烏天狗を倒すのは無謀である……だから、ワシは不意打ちをして退治しているのである」
講元は、腕組をしながら呟く。
真正面から戦えば、たちまち天狗の刀とカマイタチがとんでくるだろう。
戦う事が好きといっていたが、それなりに頭の方も良かったらしい。
すると、琥市は幼い声で小さく呟く。
「報復……天狗は組織で動いている……講元さんは……いつ、大天狗に襲われても……おかしくない……」
そう、講元は烏天狗を退治してしまった。
おそらく、逃げた2人の烏天狗は、上部に報告するだろう。
しかし、講元は口元を上げて、余裕そうな表情をする。
「ワシは、もう烏天狗を2人も退治したのである。今更、報復などを恐れる身ではないのである」
この言葉に、琥市はびくっと尻尾を逆立たせる。
講元は、もう危ない。
山を吹き飛ばすくらいの風を出す、大天狗に殺されてしまう。
なのに、この余裕そうな表情。
琥市は、思わず尋ねる。
「講元さんは……どうして、怖くないの……?」
「強い妖と戦えるからである」
強い妖。つまり、それは大天狗のことだろう。
講元は、報復に来るだろうと思われる、大天狗と戦えることが、とても楽しみだった。
この言葉に、琥市はメガネ越しから可愛い眼光で、睨む。
「世の中には……関わってはいけない妖も居る……大天狗がその例……そんな好奇心は捨てて……」
だが、この忠告は無視される。
講元は、鋭い犬歯を出しながら、ワクワクしていた。
「ワシは、死ぬなら戦って死にたいのである」
もう、何を言っても無理そうだと感じた琥市は、深い溜息をする。
すると、自分の太股の上で寝ていた村潟の目が覚めた。
一瞬、戸惑う表情をするが、すぐに状況を整理する。
「拙者は……琥市に膝枕をされているのか……」
少女の柔らかい太股を、頭で感じながら、村潟はどこか苦笑する。
琥市は、むっとした表情をして、村潟の額(ひたい)をぺちんと叩く。
もう少し、嬉しそうにしても良いでしょ。と、言わんばかりに。
「琥市、何を怒っているんだ?」
もちろん、村潟は少女の繊細な心に、気がつかない。
すると、隣に居た講元は、すっとその場で立ち上がる。
「さて、ワシは残った烏天狗の退治をしてくるのである」
犬歯を出しながら、2人へ言い残す——————
「待つんだ。拙者らも付いて行こう」
村潟は、気が付くと琥市の太股から頭を離して、その場に立っていた。
講元は、口元を上げて、凝視する。
「それでこそ狼である。無謀は心の友」
そう言って、どこかへ足を進める。
村潟も、講元の後を追う——————
だが、その足は止められてしまった。
どうやら、右袖を琥市にきゅっと握られていた。
「琥市……?」
少女の表情は、行かないでという雰囲気を漂わせていた。
自分たちと講元は、乖離(かいり)しなければならない。
そうしないと、大天狗に殺されてしまうから——————
だが、村潟はそんな少女の切実な願いを、払いのける。
「すまぬが。拙者はのんきに指を咥えて、じっとしているのは好まん。講元が、行くと言うなら、拙者も行かなければならない……」
右袖を翻して、村潟は、足を進める。
この場に残った琥市は、じっと2人の背中をメガネ越しから見つめる。
勇ましく、幾度の妖を退治したような猛者(もさ)を連想させる。
すると、琥市はメガネを外して、それを懐にしまう。
大きな深呼吸をして、村潟の後を追う。
その表情は、どこか犬神らしく、神々しい中に禍々しさがあった——————
○
気が付くと、3人は標高の高い山まで足を進めていた。
先の獣道より、さらに凹凸の激しい道。
しかし、3人は懸命に力強く、進んでいく。
あの琥市も、今だけは勇ましかった。
——————突然、強い風が吹いてきた。
村潟、琥市、講元は、一瞬体を風に奪われるが、犬と狼らしい力強さで耐える。
ゆっくりながらも、どんどん山を登っていく。
不意に、鞘から刀を抜く音が聞こえた——————
村潟と講元は、音が聞こえた方向を凝視する。
そこには、刀を構えた2人の烏天狗が居た。
荒れ狂う、風の中を微動だにしないで立っていた。
村潟も自分の刀を鞘から抜き、両手で握って構える。
講元は、自分の鋭い爪を見せて、戦闘態勢に入る。
琥市は、その様子をじっと見つめる。
「ワシは、烏天狗と真正面で戦うのは初めてである」
「むっ?それは、拙者もだ」
お互い、柔和な表情をする。
と、思ったら、すぐに真剣な表情をする。
この切り替えの速さに、琥市は少しびっくりする。
「烏天狗……覚悟するのである!」
「いざ、参る!」
2人がそう言った瞬間だった——————
烏天狗は、目に見えない速さで、2人の懐へ潜り、刀で斬ろうとする。
村潟は、自分の刀で態勢を崩しながらも受ける。
講元も、鋭い爪で刀を受け止める。
「は、速い……」
「むっ……」
苦しい表情をする2人。
烏天狗は、真っ赤な顔をにやりとさせながら、なぜか、手招きをする。
その瞬間、風が村潟と講元の後ろから吹き始める。
向かい風になった烏天狗は、一瞬のうちに、後ろへ50mくらい跳んでいく。
どうやら烏天狗は、風の力を利用して、戦闘を有利に進めていたのだ。
相手に接近する時は、追い風になるように風を操作して、相手から離れる時は、向かい風になるように風を操作する。
そのたびに、背中の黒い翼も上手い具合に調整して、風の抵抗なども意識する。
とても計算された戦法で、風を操る天狗にしかできなかった。
村潟と講元は、心の中で悟った。
——————油断したら、すぐ殺される。
風を意識して戦っていかないと、すぐに烏天狗のペースに乗せられる。
眉間にしわを寄せて、恐ろしい眼光で睨む2人。
風の吹く方向が変わる——————
耳と尻尾で感じ取った結果、方向は左に吹いていた。
向かい風でも追い風でもない。
つまり、烏天狗は、正面ではなく、横から攻めてくるのだろうと予想が出来た。
次に、風は下から吹き始める。
おそらく天狗は、空中に居るだろう。
村潟は目を閉じて、刀を鞘に入れて、精神統一する。
講元は、腕組をしながらじっと待つ。
また、風の方向が変わり、今度は空から吹いてくる。
——————空中から、物凄い勢いで何かが降ってきた。
村潟は目を見開き、降ってきた物を、華麗に居合抜きする。
真っ二つに切れた物は、地面に情けなく落ちる。
それは、下駄だった。
おそらく、烏天狗が履いていた物だろう。
もし、居合抜き出来ず、この下駄に当たったら、気を失っていたことだろう。
まだ風は、空から吹いている。
きっと、烏天狗はこのまま奇襲攻撃してくる。そう予想できた。
「……風を利用している。つまり……普通より早めの行動が……命を救う……」
琥市の透き通る声に、2人は耳をピクリと動かす。
メガネをかけていない少女の姿は、非常に美しかった。
幼いという雰囲気は、全く漂わせておらず、1人の女性に見える。
すると、講元は村潟の前へ出る。
その瞬間、空中から烏天狗が風の速さで刀を振り下ろしてきた。
精神を統一させて、勢いよく手を合わせる——————
「真剣白刃取り(しんけんしらはどり)……である!」
烏天狗が振り下ろした刀は、講元の手によって止められてしまった。
あの速さを、白刃取りできる動体視力。
改めて、講元の強さを実感する村潟。
刀を取られて、一瞬動けなくなった烏天狗を、村潟は自慢の刀で一閃する。
もちろん、即死である。
烏天狗は、刀を手から離して、地面に倒れる。
——————風が突然止んだ。
そして、村潟と講元の目には最後に残った烏天狗が目に映る。
刀は鞘に入れて、いかにもこの場から逃げそうな雰囲気。
村潟は、刀を構えて大きく叫ぶ。
「そなたよ!報復するなら。全て拙者、正狼 村潟が受け持つと上部に伝えておけ!」
烏天狗は、この場から去る。
刀を鞘へしまい、村潟も黙ってこの場を後にする。
烏天狗の報復を、全て自分が受け持つ。
この言葉に、琥市は大きく頷いて、何かを決心する。
「過ぎたことは……もう取り返しがつかない……なら、最後まで悪あがきをする……」
懐からメガネを出して、それを両手でかける。
琥市は、村潟の後を追うように足を進める——————
「待て。ワシも行くのである」
不意に、講元の言葉が響く。
だが、琥市はそんな講元をメガネ越しから睨む。
その目は、どこか神々しく、禍々しかった。
「講元さんが付いてくることを……村潟は望んでいない……そのための言葉……あなたは、今まで通りすごして欲しい……世の中には、関わってはいけない妖も居る……」
そう言い残し、琥市はこの場を後にする。
講元は、腕組をしながら無言を貫く。
今だけ、2人の後ろ姿は非常に大きく映っていた。
「関わってはいけない妖であるか……」
くるっと、180度振り向き、講元は山を下る。
後は2人に任せる。そんな表情だった。
不意に、風が吹く。
それはまるで、大天狗が村潟と琥市を見つめるかのように——————
- Re: 獣妖記伝録(11記完結)(オリキャラ3人程募集中) ( No.65 )
- 日時: 2011/07/26 09:26
- 名前: ナナセ (ID: vokdlDRO)
- 参照: http://loda.jp/kakiko/?id
こんにちは
以前コメントをくださってありがとうございました!
とても面白い話ですね
これから読み進めていこうと思います(*・ω・*)
がんばってください!!
——————————オリキャラ投稿—————————
名前:「葉月」(名前は漢字のみとさせていただきます。そして、一緒にふりがなもお願いいたします。)
性別:「男」(男か女でお答えください。)
種族:「狸」(犬、猫、狼、狐、鼠、兎、狸、鳥の中から選んでください。)
年齢:「14」(こちらは、人間で見たら何歳くらいか、ということで記入してください。)
見た目:「目 こげ茶、髪 こげ茶、ショート」(瞳の色、髪の毛の色、など、出来るだけ、詳しくお願いいたします。)
性格:「ちょっとえらそう、意外と臆病、うるさい」(出来るだけ、詳しくお願いいたします。)
一人称:「俺」(僕、私、俺など)
二人称:「貴様」(あなた、君、お前など)
得意な戦術:「変化」(特にない場合は、記入しなくて大丈夫です。)
サンプルボイス:
「貴様だれだっ!」
「お菓子くれるの?」
「」
「」
「」
誰の場面の時に出演して欲しいか:「妖天」(妖天、村潟、琴葉の中から選んでください。特にない場合、記入しなくて大丈夫です。)
その他:「懐くと可愛いです、よろしくお願いします。」
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