複雑・ファジー小説

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エターナルウィルダネス
日時: 2020/02/13 17:55
名前: 死告少女 (ID: FWNZhYRN)

 乾いた土、枯れた草木、その上に零れ落ちた血の跡・・・・・・復讐の荒野は果てしなく、そして永遠に続いていく・・・・・・

 ディセンバー歴1863年のオリウェール大陸。
西部諸州グリストルと東部諸州ハイペシアとの内戦が勃発。
かつて全盛期だった大陸は平穏の面影を失い、暗黒時代への一途を辿っていた。

 王政派の勢力に従軍し、少尉として小隊を率いていたクリス・ヴァレンタイン。
戦争終結の後、退役軍人となり、両親が残した農場で妹であるリーナと平穏に暮らしていた。
しかし、突如として現れた無法者の集団による略奪に遭い、家は焼かれ、リーナを失ってしまう。
運よく生き残ったクリスは妹を殺した復讐を決意し、再び銃を手にするのだった。

 彼女は頼れる仲間達と共に"ルフェーブル・ファミリー"の最高指導者"カトリーヌ"を追う。


・・・・・・・・・・・・


 初めまして!ある理由でカキコへとやって来ました。"死告少女"と申します(^_^)
本作品は"異世界"を舞台としたギャングの復讐劇及び、その生き様が物語の内容となっております。
私自身、ノベルに関しては素人ですので、温かな目でご覧になって頂けたら幸いです。


・・・・・・・・・・・・

イラストは道化ウサギ様から描いて頂きました!心から感謝いたします!

・・・・・・・・・・・・


・・・・・・お客様・・・・・・

桜木霊歌様

アスカ様

ピノ様

黒猫イズモ様

コッコ様

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Re: エターナルウィルダネス ( No.84 )
日時: 2022/11/13 20:56
名前: 死告少女 (ID: FWNZhYRN)

 シャルロッテの寝室は覗いてみれば、王室の部屋とほぼ変わらない広いく豪華な一室だった。
揃えられた家具、飾られた装飾品など、地味を微塵も許さないと言わんばかりの派手なデザインをした物ばかり。
略奪すれば、一生遊んで暮らせる大金が手に入るほどの高価な物がいくつも置いてある。

「僕とステラ、メルトが部屋を漁る。サクラはその執事さんが変な真似をしないよう見張ってて?」

 サクラ以外のギャングは部屋の物色に取りかかる。
箱やキャビネットを漁っては、外した絵画の裏を見たり、高値がつきそうな小さな貴金属類は欲張らない程度に盗んだ。

 主の部屋で盗みを働くのを指をくわえて眺めていた執事はふと、サクラの視線が自分から外れている事に気づく。
彼はこっそりと右ポケットに手を忍ばせ、素早く彼女の後ろへ回り込んだ。

「・・・・・・あっ!がぁ!」

 抵抗が遅れたサクラは執事の方を見た瞬間、銃のグリップで頭を殴られ、不意を突かれる。
腕で首を挟んで、人間の盾にしたまま、執事は非力な叫びを上げた。

「う、動くな!少しでも動いたら、この女の頭をう、撃ち抜くぞ!」

 執事は上手い作戦を行使したつもりだったのだろう。
しかし、彼のこみかみに何かが当たり、その意味を理解した途端、表情が青ざめる。

「残念。こっちだって銃くらい持ってるんだ」

 クリスが大口径の銃口を突きつけ、にやけながら言った。

「ひっ・・・・・・こ、殺さなっ・・・・・・!」

 自身の愚行が招いた後悔に命乞いしようとした矢先、ステラの拳が老体にめり込む。
腹部を押さえ蹲ったところにメルトの頭突きが命中し、意識を殺された。

「ここが銃を撃つべき場所でなくて、幸運でしたね」

「斧で頭を割ってもよいいんだけど、殺すのは最後の手段って事にされてるからね。つまんいな~」

「サクラ?大丈夫かい?」

 クリスは殴打された後頭部に触れ、フラフラと起き上がろうとサクラを気にかける。
彼女は罪の意識に苛まれながら、何度も頭を下げた。

「私の不注意で皆さんを危険な目に遭わせてしまって・・・・・・本当に申し訳ありません!」

 素直な謝罪にクリス達は失敗を責め立てたりはしなかった。
代わりに一緒に部屋の探索を手伝うよう頼んだ。

 寝室を大分、調べ尽くしたクリス達。
彼らが注目する先には唯一、手を付けていない固く閉ざされた金庫。

「開けられますか?」

 ステラが聞いて、クリスは否定も肯定もしなかった。

「認めたくないけど、金庫破りの経験は浅いんだ。デズモンドの手にかかれば、1分もかからないだろうけど・・・・・・一応、試してみ・・・・・・」

「えいっ!」

 話の最中にメルトがいきなり斧を振り下ろす。
分厚い刀身は金庫の蓋と箱の部分の隙間に当たり、金属の部品が外れる甲高い音がした。
蓋が輪切りにされた食材のように剥がれ落ち、呆気なく中身を曝け出す。

「わーい!金庫が開いた!メルトお姉ちゃん!金庫破りの天才だね!」

 あまりにも手っ取り早い問題解決に単純に喜ぶミシェル以外のギャング達は怪訝な顔をして、唇の端をピクピクと動かしていた。

「開け方が分からなかったら、壊せばいいんだよ♪」

 メルトが斧を担いで親指を突き立てた。
ミシェルに尊敬と喝采の的とされ、もっと褒めてほしいと言わんばかりに自慢げな笑顔を作る。

「まあ・・・・・・金庫の開け方は必ずしも1つじゃないんだけど・・・・・・お手柄だよメルト。お陰で手間省けた。早く、中を確認してみよう」

 金庫は下段にはウォール紙幣の束が詰まれ、上段にはいくつかの書類と見事な金細工が施された高級感溢れる懐中時計が大事に保管されていた。
クリスは紙幣以外を盗み出し、仲間と共に書類の方に焦点を当てる。

「これは・・・・・・何かの配置場所みたいですね?」

 ステラが的確に判断し、真剣に書類の印や文字に目を通していたクリスがやがて呟き始める。

「アニフィス州西部に4つ・・・・・・北東部の位置に3つ・・・・・・医療品や食料が貯蔵された物資の隠し場所。無数の武器や兵器を保管した武器庫。組織の資金源を蓄えた宝物庫・・・・・・これ全部、カトリーヌにとって、失いたくない重要拠点ばかりだ。これを残らず叩かれたら、ルフェーブル・ファミリーは勢力を失い、組織は一気に弱体化する。カトリーヌの政治介入は"夢のまた夢"だろうね」

「それどころか、ハイペシアを散々苦しめてきた獣の群れは狩る立場から狩られる立場になるでしょう。これをこちらの手中に収めない手はない」

 ステラの告知に等しい予想に嬉しくてたまらなくなったメルトが上機嫌にはしゃいだ。

「この1枚の書類でお姉ちゃんの組織を一気に一網打尽にできるって事だよね!?やったー!悪い人達にはきついお仕置きが妥当だよね♪これぞ正しく年貢の納め時~♪」

「早くリチャードさん達のいる所へ戻りましょう!」

 サクラの言葉に賛成し、クリス達が大きく頷く。
満面の笑みでミシェルがドアを開けようと、真っ先にドアノブに手を伸ばした瞬間、いきなり、ドアが向こうから蹴破られた。
分厚い木材の板に強く弾き飛ばされた小柄な体が床を転がり、苦しそうに蹲る。

「・・・・・・ん!?何だ貴様らはっ!!?」

 エリーゼの雷鳴が怒鳴り声が寝室に響き、鼓膜に痛みが走った。
最も望ましくなかった最悪な鉢合わせに全員の表情が凍る。

 修羅そのものと言える威圧にクリス達の体に痺れが走り、足が前に出なかった。
恐怖を無心で押し殺したステラは先手を打とうとガラドボルグを抜き、斬りかかる。
サクラも体当たりをぶつけるが、びくともせずに弾かれた拍子に首を掴まれ、片腕の力だけで軽々と持ち上げられた。
加減なしに床に叩きつけられ、背中を足裏で潰された。

「うわあああ!!」

 メルトががむしゃらに斧を振り回してが斬りこもうとするも、刀身は当たらず、逆に敵の硬い掌が顔面にめり込んだ。
小柄な体は重力などお構いなしに宙を舞い、壁に背中からぶち当たって落ちた絵画の下敷きになった。
クリスは素早い身のこなしで 横に回り込んで死角から急所を突こうとした。
しかし、その腕さえも容易に掴まれ、手首に忍ばせたブレードも喉笛とは程遠い位置で止まってしまう。

 俊敏性を活かした抵抗も空しく、打ち込まれた頭突きが脳震盪を引き起こし、意識が遠のぐ。
額の激痛だけが鮮明に感じる中、胸部に蹴りが入り、強引ベッドに押し倒された。
エリーゼはベッドに飛び乗り、横たわるクリスに馬乗りに被さると容赦なく首を絞めつける。
縄が軋む痛々しい音。その圧迫は機械に挟まれたかのように生身の手で押さえつけられている感覚ではなかった。
白目を剥きながら泡を吹き出し、足掻く力も削られていく。

Re: エターナルウィルダネス ( No.85 )
日時: 2022/11/25 20:29
名前: 死告少女 (ID: FWNZhYRN)

「・・・・・・このっ!クリスを傷つけるなあ!!」

 ふいに幼い子供が精一杯に叫ぶ声がした。
バキッ!と太い枝が折れるような音がして、エリーゼの頭上で細かい破片が飛び散る。
ミシェルが金属製の燭台を振り下ろした直後の姿だった。

「き、貴様ぁ・・・・・・!」

 左の額から血を垂らした女将校の逆鱗がミシェルの方に向けられた。
彼女は拳を掲げるも、苦く表情が歪んでその手が一瞬、暴挙を躊躇った。
クリスが力を振り絞り、ブレードを深々と胸に突き刺していたのだ。
怯んだその隙にステラが床を飛び跳ね、豪快な回し蹴りをかます。
顔半分を潰されたエリーゼはガラス窓を突き破り、最上階から外の最下階へと落下した。

「げほげほっ・・・・・・!!・・・・・・ぉえ・・・・・・!」

 クリスは喉を詰まらせたようにに咳き込んで、平常な呼吸を味わう。

「あ・・・・・・ああ・・・・・・うぐっ!うわあああん!!」

 不慣れな暴力の加虐と被虐に震えていたミシェルだったが、危機が去った安心感が素直な感情を露にした。
泣きつく少女の背中を抱き、クリスが苦し紛れに微笑む。

「・・・・・・ありがとう。ミシェル・・・・・・君がいなかったら、ここが僕の墓場になるところだった・・・・・・」

「うう・・・・・・サクラ・・・・・・サクラ!しっかりして!」

 メルトは押し潰していた芸術品から這い出して、サクラの方へ駆けつけた。
泣き出す寸前の顔で横たわった仲間の体を揺さぶる。

「うう・・・・・・ぐっああ・・・・・・!」

 サクラに返事はなく、苦しそうに目蓋をギュッと閉ざしていた。

「クリス!ステラ!どうしよう!?サクラが!サクラが凄く痛がってるの!」

「まずいですね・・・・・・エリーゼの打撃をまともに喰らったのだから無理はない。恐らく、骨が砕け、臓器が破裂した可能性も・・・・・・彼女は僕が運びます!クリスさん!自力で歩けますか!?」

 そう言って振り返ると、ミシェルと手を繋いでこちらへ来るクリスの健全な姿にひとまずは安堵する。
次にガラスの破片が散乱した割れた窓の外に視線を移し、不安そうに囁いた。

「奴は死んだのか・・・・・・?」

 ステラは自身の発言が現実になればと願ったが

「衛兵!!衛兵!!近くに衛兵はいるか!!?最上階に侵入者だぁ!!至急、捕えろ!!全員殺せ!!1人残らず生きて帰すなぁっ!!」

 すぐさま、下の方からここにいるに等しい怒鳴り声が響いた。
死に至る惨事に遭った直後にも関わらず、息が絶えそうな様子が全く感じられない。

「あれで生きてるなんて・・・・・・化け物か!?」

「どうやら、死神さえもエリーゼを口説けなかったみたいだ。とにかく、綺麗な結果じゃないにしろ、僕達はファミリーの弱みを掴んだんだ。早くリチャード達と合流して、ここから逃げよう!」


 異常事態を知らせるエリーゼの怒号にカジノフロアはピタリと静まり返った。
招待客達は夢中になっていた娯楽を中断し、今度は不安を込めた意味でざわつき始める。

「どうやら、坊や達が派手にやらかしたようね?」

 クリスの仕業を確信したローズがポーカーの途中でトランプを置き、隣にいるリチャードに視線をやる。

「シャルロッテはどうする?ここで仕留めておいた方が後が楽だぜ?」

 アシュレイがあまり乗り気じゃない言い方で、そう提案するが

「いや、エリーゼが護衛についてる以上、下手に手は出せん。ここはとっととずらかるのが賢明だろう」

 ちょうどそこへ、小銃を抱えた護衛達が侵入者の排除に向かうためにカジノフロアを通り過ぎようとしているのが見えた。

「そろそろだな。ファントムの仮面を外す頃合いは・・・・・・」

 リチャードは待っていたと言わんばかりの嬉しそうな顔をして席を立った。
右手をコートの内側に忍ばせ、大きく口を開けたと思うと 

「紳士淑女の皆様!とくとご覧あれ!血生臭い刺激とスリルに溢れたショーの始まりだ!」

 不意に上がった異例の言葉が関心を独占させ、兵士を含めて群衆達の視線が一斉にこちらに注目する。
彼らが目撃したのは、既に銃口を向けていたギャング達の姿だった。

 リチャードが放った1発の直後、アシュレイやデズモンド、ローズとリリアが続け様に発砲した。
鉛の弾幕は衛兵の胴体に何発も撃ち込まれ、丸い傷穴から血飛沫が噴き出す。
数人分の死体が横たわったところで、起きた状況を理解した群衆の悲鳴が盛大に上がった。

「ひゃっほー!やっぱ、俺は紳士でいるよりもよ!荒くれ者の方が似合ってんだよぉ!」

 気品らしさもなく、右往左往と逃げ惑う群衆の様に狂喜に狂ったアシュレイが更に何発か弾を乱射する。

「ひぃぃ!」

 フィオナは銃声と死人が出たショックに耐えられず、耳を塞いで蹲った。
そんな彼女の姿勢を無理にでも正し、片手にピストルを手にしながらデズモンドが叫ぶ。

「僕達も移動しよう!ここにいたら、いい的だ!クリス達の援護に回るんだ!」

「同感です!幸運にも衛兵の数は少ない!手軽な装備だけでも、突破口は容易に開けるはず!」

 ユーリも大口径の狩猟ピストルをコッキングし、出入り口を指差した。


 勢いで段差を駆け上がって来る敵をいち早く捉えたクリスがリボルバーを人数分発砲する。
片方が螺旋階段から転げ落ち、片方が下階へ落下した。

「サクラさん!しっかり!すぐに治療を施しますからね!」

 1階に降りて早々、左の通路から複数の兵士と鉢合わせしてしまう。
しかし、間のない連射音と共に数で勝っていた敵勢は呆気なく一掃された。
連射式の自動小銃を抱えたルイスがクリス達の元に駆け寄って来る。

「皆さん!ご無事ですか!?」

「ルイスさん。あなたのお蔭で命拾いしました」

「ありがとう~!ルイスさんだーい好き!」

 メルトが勢いよく恩人である神父に抱きついた。
しかし、嬉しい再会は束の間の平穏だった事に気づく。

「ルイスさんっ!!後ろですっ!!」

 はっ!としたルイスが後方へ目をやると1人の兵士がいて、散弾銃を構えている。
彼はメルトを庇い、クリスが銃口を向けるが、反撃は間に合いそうにない。
響き渡った1発の銃声。しかし、心臓を的確に撃ち抜かれたのは兵士の方だった。

 誰がどこから撃ったのか把握できない不可思議な現象にギャング達は怪訝な顔を繕う。
数秒が経って、サクラがステラのホルスターから抜いた銃を構えている事をようやく認識した。

「うっ!ぐっ・・・・・・!私なら・・・・・・だいじょう・・・・・・ぶ・・・・・・早く・・・・・・こ・・・・・・こから・・・・・・」

 反対側から情けない悲鳴の直後に数発の銃声が響く。
クリス達は反射的に背中を覆すも撃たなかった。
リリアが頭部の中心にボールほどの穴が空いた衛兵の死体から殺意の形相を逸らし、こちらに視線を移す。

「無事だったのね?こっちとしては、騒ぎを起こさないでほしかったわね。全く。招待客らしく最後までお行儀よくできないものかしら?」

 リリアはクリス達の失態に呆れ果てり一方、ローズは強行を余儀なくされた現状がまんざらでもないらしく

「あら?私はむしろ、満足よ?こんなイカれた連中ばかりが集う晩餐会をめちゃくちゃにしてやれたんだから・・・・・・って、ちょっと?何でステラがサクラをおんぶしてるわけ?」

 クリスが上階で起きた事を説明しようとするも、先にミシェルが早く治療を施すよう深刻に訴える。

「サクラが酷い怪我をしちゃったの!早く手当てしないと死んじゃう!」

「そんな・・・・・・!一体、どこを怪我したんですか!?負傷した箇所は!?」

「分かんない!でも!ステラが骨も内臓もぐちゃぐちゃになってるかも知れないって!」

 ヴェロニカが詳しく聞こうとするが、メルトは曖昧な返事しか返しようがなかった。
流石のアシュレイもジョークを言えるだけの余裕はなく、舌打ちと歯ぎしりを同時に行う。

「おいおい、嘘だろ・・・・・・!だったら、早く治療しねえと、やべぇじゃねえか!つーか、こいつ生きてんのか!?全然、動いてねえぞ!」

 クリス達はサクラの意識が完全に喪失している事に気づく。
安らかに眠った顔がステラの後頭部に寄り添って、微かな身動きさえもしてしいなかった。

「とりあえず、まずは屋敷からの撤退が最優先だ。ここに留まっていれば、敵の増援に包囲されてしまう」

 デズモンドは冷静に賢明な判断を皆に言い聞かせる一方、リチャードはクリスを咎める代わりに皮肉を遠慮なしに吐き捨てた。

「やれやれ・・・・・・お前個人の復讐劇のために大勢が瀕死になるな。敵よりもお前の方が遥かに害悪な存在だ」

Re: エターナルウィルダネス ( No.86 )
日時: 2022/12/04 18:04
名前: 死告少女 (ID: FWNZhYRN)

 3日後・・・・・・

 都会での生活を終えたギャング達は久々に馴染みのある湖付近の林を訪れ、野営地を再建した。
長期に渡る心安らぐ暇もない苦境を味わった分、しばらくは本来の目的を忘れて存分に英気を養う。

「ユーリさん。森からセージを摘んで参りました。これだけの量で足りるでしょうか?」

 ルイスが歩きづらそうに地面の草花を踏んで茂みから声をかけた。
差し出された右手には紫色を花を咲かせる薬草の束を握っている。
ユーリも調理を終えるところでランチの準備は大方整っていた。
肉を煮込んでいる途中で横にはベーコンやニンニクが混ぜ込まれたパスタの盛り付けやポテトのチーズ焼きが置かれている。

「ええ。臭みを取るには十分です。残りはハーブティーとして利用しましょう」

「新鮮な空気と緑に囲まれ、心が豊かになります。自然と触れ合う生活がこんなにも心地よいものとは・・・・・・」

 2人はその意見に共感し、傍で楽しそうに蝶と戯れて向こうへ駆けていくミシェルに穏やかな笑みを零した。

「うわあ・・・・・・これはまた、随分とでかく記事にされてるわね」

 野営地の外れにある木陰に腰を下ろし、ローズが新聞を片手に意地悪そうに破顔していた。

『"シャルロッテ令嬢の前夜祭に武装した集団が潜伏!卑劣な銃弾により死傷者多数!親衛隊隊長を務めていたフランゲル中佐も負傷する!"』

 新聞には先日、クリス達が引き起こした襲撃事件の事が大きく載っていた。
シャルロッテ本人による怒り狂ったコメントや事やエリーゼの犯人の捜索や粛清宣言、現場に居合わせた招待客の証言、犯人達に関する情報提供など、その他の内容の文章が長々と記載されていた。

「しばらくは街に行けないわね・・・・・・まあ、熱りが冷めるまでここでゆったり過ごすのも悪くないけど」

「ラウシュール(オリウェール語で"ごきげんよう")。そこにいたのね?あなたが行く所は大抵、単純な場所で笑っちゃうわ」

 ふいに前から呆れ口調の声をかけられる。
新聞を下ろし、顔半分を覗かせるとリリアが歩いてやって来た。
彼女はローズの隣に腰掛け、仲のいい破顔を重ねる。

「ここ最近は死と隣り合わせの総力戦だったわね。めでたく全員が生き残れたけど、未だにこの世にいる気がしないわ」

「現にあなたは死にかけたんだから、特にそう思いたくなるのも無理はないわね。私もここに来てようやく、元の生活を取り戻した気分よ。当分は銃や殺しの事は考えたくもないわ」

「右に同感。ところで。あの子を見てない?一体、どこに消えちゃったのかしら?」

 ローズがうんと大きく背伸びをして、唐突に話の話題を変える。

「ん?あの子って?」

 リリアが誰を指しているのか把握できず、首を右に傾げると

「ほら。最近ギャングに加わったクリスにゾッコンのルシェフェルのお嬢ちゃんよ」

「ミシェ・・・・・・じゃなくて、フィオナ?さあ?森でも散歩してるんじゃない?あの子相当、病弱な体だから遠くには行ってないはずよ」

「ローズは興味なく、"そう"と生返事し、にんまりと笑い出したかと思うと腰裏に隠していた酒瓶を見せびらかす。

「ん?随分と高そうなウィスキーね?」

「これ?ふふふっ。聞いて驚かないでね?シャルロッテの前夜祭から、くすねてきたの。ここまで上等な代物、ほっとく手はないわ」

「いつの間に・・・・・・全く、あんたのお酒に対する執着心に敵う人なんているのかしら?。ねえ?嫌じゃなかったら、私にも味を堪能してもいい?」

「独り占めはしないから安心して。ウィスキーは親しい人と飲むから美味しいのよ」

 早速、盗んだウイスキーの味見をしようと茶色い液体をグラスに注ぐ。
祝杯の言葉を最初に2人は笑顔で乾杯した。

「こんな時に1番口にしたい名前なんだけど。クリスのバカは?」

 一旦、グラスが唇に触れる寸前で止めてリリアが問いかけた。

「クリス?あの子なら、さっきアシュレイやサクラ達と一緒に出かけたわよ?珍しいわね?心配してるの?」

「とんでもないわ・・・・・・ただ、またあの子のせいで面倒な事が起きなきゃいいと思っただけよ・・・・・・」


 ローズの言う付近の街とは広大な自然地帯に囲まれた小さな集落だった。
農場や商店など在り来たりな設備が点在し、数えられるほどの民家が合間を狭く建ち並ぶ。
建物に挟まれた広い道の中心にクリス達の姿があった。
全員が同じ方向を向き、たまに遠くに目を凝らしたりと、何かが来るのを待っている様子が窺える。

「皆さん!あれを!」

 突如、サクラが嬉しそうな顔で遠くを指差す。
その先に視線を注目させて間もなく、1頭の馬が黒髪を生やすハンサムな男を乗せて現れた。
男は手綱を器用に扱い、馬の速度を徐々に鈍らせていく。
やがて、蹄は土を蹴るのをやめ、高い位置からクリス達を見下ろした。

「デズモンドさん!」 「デズモンド!お帰り!」 「お帰りなさい。ご無事で何よりです」

 サクラとメルト、ヴェロニカに温かいを受ける私立探偵。
異性にチヤホヤされる光景にアシュレイは"憎いぜ色男が"とやや羨ましそうに苦笑する。

「お待たせ。馬を走らせるのが大半の長い道のりだったけど、楽しい旅行だったよ。おっと、大統領からの知らせを伝えなくちゃいけないね」

「んで!?どうだったんだよ!?シャルロッテの屋敷から奪った書類を大統領に渡したんだろ!?」

「リンカーン大統領には僕が直々に書類を渡したよ。予想以上にいい結果だと、彼の喜びようと言ったら・・・・・・あれほどまでに歓喜に踊った大統領の姿を拝めるのは人生これっきりだろうね」

 望んだ末に叶った吉報にギャングの一部は歓喜の声を上げた。
サクラが感激のあまり嬉し涙で拍手し、メルトとヴェロニカが互いを強く抱きしめ合う。

「これでルフェーブル・ファミリーは壊滅的な被害を被るのは間違いないですね。カトリーヌの命日も遠くはないはず。ようやく、暗黒時代のハイペシアに光が差す事でしょう」

 ステラも口調は凛として冷静だが、歓喜を表す黄色い瞳は眩しいほどに輝いていた。

Re: エターナルウィルダネス ( No.87 )
日時: 2023/01/01 20:40
名前: 死告少女 (ID: FWNZhYRN)

「吉報はまだある。リンカーン大統領はハイペシア軍の一部は早急にルフェーブル・ファミリーへの総攻撃を優先させ、全ての重要拠点に強襲を仕掛けるつもりだ。いくら殺し慣れた東部最大の犯罪組織であっても、正規の軍隊の前では歯が立たない事は手に取るように分かる。あと、クリスの狙い通り金塊が手に入り次第、リベリオ帝国とカリスタ帝国に同盟交渉を行うとも。不利な戦争は一気に形勢逆転できるか可能性は十分にある。クリス。常識では考えられられない君の1つのアイディアがオリウェール全体の命運をより良い方向へと変えたんだ」

「っしゃあ!!クリス!!てめぇ、最高だぜ!!信じられるかよ!!?お前が国そのものを動かして、ハイペシアを救うんだぜ!凄ぇなんてもんじゃねえよ!マジで超英雄じゃねえか!」

 アシュレイは興奮を抑えられず、まるで大勢がそこにいるような喝采を響かせた。
社会に影響を与えた自覚がないまま、照れ笑いするクリスに抱きついて髪をクシャクシャに撫で回す。

「僕の故郷であるカリスタ大陸にも正義のための革命を起こさせてくれたね。祖国を代表して礼を言うよ。それとお土産もいくつかあるんだ。旅の帰りには必需品だよね」

 デズモンドは腰裏に身に付けていた大き目の鞄を漁り、クリス達に1枚ずつ気品のあるデザインの封筒を配る。

「これな~に~?感謝状~?」

「謝礼金・・・・・・ってわけじゃなさそうだね?」

 見慣れない代物にメルトが首を右に傾げ、ヴェロニカが人差し指を鼻の下に当て、独自に考察する。

「"恩赦の手紙"。聞いた事がないかい?使えるのは一度きりだけど、これさえあれば、どんな大罪を働いても一切処罰の対象にはならない。 僕達の分を含めて、他のギャングのメンバー全員の分も提供してくれたんだ。これからハイペシア が行う計画が上手くいった暁には謝礼金も提供してくれるそうだよ。政府からの報酬となれば、一生遊んでも余る相当な額になる。王侯貴族の仲間入りも夢じゃない」

「早くリチャードさん達にも知らせに行こう!皆もきっと、喜んでくれるよ!」

 居ても立っても居られなくなったヴェロニカが野営地に向かうよう促すが、そこでサクラの提案が入る。

「その前に、この街にあるカフェに寄って行きませんか?ケーキが美味しいんです。デズモンドさんも長旅で疲れたでしょう?吉報をお届けするのは、その後でのも遅くはないと思いますよ?」

「賛成!私、チョコレートケーキと甘いミルクココアがいい!」

「はっ!甘いもん尽くしじゃねえか!ちったぁ、苦いもんも食え」

「ベーだ!」

 アシュレイにからかわれたメルトが舌を出し、皮肉屋を挑発する。

「クリス。ちょっといいかい?」

「ん?何だい?デズモンド?」

 デズモンドの問いにクリスが軽い笑みを浮かべながら返事を返す。

「君と少し、話がしたくてね。前々からどうしても伝えたかった事があるんだ」

「いいよ。歩きながら話そう」

 ギャング達はガヤガヤと賑わいながら、短い道のりを歩く。
浮かれているアシュレイ達の後方でクリスとデズモンドは2人だけの会話を始めるのだった。

「このギャングに人生を捧げてからというもの、君とは色々な事があったね。過去を振り返ってみれば、いい思い出やそうでない思い出も・・・・・・」

「どうしたんだい急に?デズモンドがそんな事言い出すなんて珍しいな」

 意外な話題を持ち出されたクリスは目を丸くし、デズモンドは作り笑いをして

「政府の攻撃の矛先を向けられれば、ルフェーブル・ファミリーは一気に壊滅へと一路を辿る。ステラの言う通り、カトリーヌの最期も近い将来に訪れるかも知れない。でも、それは同時に僕達ギャングは戦う理由そのものを失ってしまう。僕達の生き甲斐だった復讐劇の幕が閉じて嬉しい反面、不思議と切ないんだ」

「まあ、確かに。そう言われてみれば・・・・・・でも、だからと言って皆と永遠に離れ離れになるわけじゃないよ。皆と過ごした日々を決して忘れたりはしない」

 クリスらしい純粋な発言にデズモンドは一瞬にこっと微笑み、ある事を問いかけた。 

「全てが終わった後、クリスはどう過ごしたいとか予定とかあるのかい?」

「いや、別に。やりたい事は特に決まってないな。妹の仇を討つ事で頭がいっぱいになってて後先の事なんて、一度も考えた事もなかった」

「なら、都合がいい。もし、この件が片付いたら、一緒にオリウェールを発ってカリスタへ行かないかい?」

「カリスタ?君の故郷の?」

 デズモンドは大きく頷いた。
表情は無邪気を繕っているものの、目は限りなく真剣だった。

「カリスタでは飛行機という空飛ぶ機械が一目置かれていてね。それ以外にもオリウェールにはない文化で溢れている。僕は、こことは違う世界を親友である君に見せてあげたいんだ」

「飛行機か・・・・・・新たな旅に出るのも悪くないかも知れないね。いいアイディアだ。今は頷けないけど、考えておく」

「ありがとう。クリス」


「あれ?閉まってるよ・・・・・・?」

 短い話をしていた間にクリス達はカフェの前に辿り着くが、扉には閉店の看板がかけられ、店内には誰もいない。
期待通りにならず、メルトがつまらなそうに言った。

「変ですね?今日は平日のはず。安息日だったけ・・・・・・?」

「いえ。今日は安息日なんかじゃ・・・・・・」

 すると、ヴェロニカが別の異変に気づき、幼馴染に詰め寄った。

「アシュレイ。街に誰もいない・・・・・・何か変じゃない・・・・・・?」

 アシュレイとクリス達は少し真剣になって、集落一帯を見渡した。
彼女の証言通り、昼間である事にも拘わらず、自分達以外の人の姿が見当たらない。
ついさっき、放棄されたばかりのような綺麗な無人地帯が広がっていた。

「ん?言われてみりゃ、妙だな。街の連中が1人も見当たらねえ。いつから廃墟になったんだ?」

 環境にその場にいるギャング達全員が違和感を覚え始める。
同時にだんだんと嫌な予感が募っていていく。

「デズモン・・・・・・」

 クリスが言葉を発した時、1発の轟音が集落全域に響き渡った。
メルトが"ひゃっ!"と情けない声を上げ、他の皆と共に反射的に低い姿勢を取る。
その時、アシュレイの目に映ったのは血塗れの姿で立ち尽くすクリスとそれに対面しているデズモンドの姿だった。

 デズモンドの左目は跡形もなく吹き飛んでいた。 
眼球を無くした目から赤い涙を流し、クリスに笑みを向けたまま地面に崩れ落ちた。

Re: エターナルウィルダネス ( No.88 )
日時: 2023/01/23 19:59
名前: 死告少女 (ID: FWNZhYRN)

「デ・・・・・・ズモンド・・・・・・?」

 メルトは起きた状況を鵜吞みにできず、普段の生きた彼に話かけた・・・・・・つもりだった。

「や、いや・・・・・・いやあああああ!!」

 サクラの絶望的な悲鳴で全員が我に返る。

「隠れろ!スナイパーだ!」

 ステラが大声で知らせたタイミングで建物の扉が窓がバッ!と開かれ、内側から無数の銃口が伸びてきた。
間もなく一斉射撃が始まり、弾幕の光線がクリス達に浴びせられる。

「・・・・・・がっ!ああ!」

 ヴェロニカがその1発に被弾し、彼女は撃たれた腕を押さえて蹲る。
アシュレイは幼馴染を抱き上げ、ステラとサクラと共に近くにあった酒樽や物資が詰まれた積み荷の影に隠れた。
クリスもようやく事態を飲み込めたメルトの手を引き、弾が当たらない死角に連れ込む。

「ア・・・・・・アシュレイ・・・・・・」

「くそっ!おい!大丈夫か!?どこを撃たれた!?傷を見せてみろ!」

「クリスさん・・・・・・アシュレイさん・・・・・・デズモンドさんが・・・・・・」

 サクラが過呼吸を抑え込み、言いたくもない台詞を無意識に漏らそうとしていた。

「何で街の人達が撃ってきてるの!?きゃあ!」

 メルトが頭を抱えながら誰に問うわけでもなく聞いた。
箱の上に置かれていたガラス瓶の破片が砕け散り、頭上に降りかかる。
ステラが伏せた姿勢を取り、敵を観察せずとも確信を持って言った。

「いや!違う!ただの民間人にしては、銃の扱いに長け過ぎている!奴ら、一般人に成り済ましたプロの殺し屋です!」

「街そのものを利用するなんざ、ただの賞金稼ぎがこんな大仕掛けをするはずがねえ!だとしたら、ルフェーブル・ファミリーか!?あのクソ共、この一帯全体に罠を張ってやがったんだ!畜生!もっと早く辺りの違和感に気づいてりゃ、デズモンドは・・・・・・!」

「アシュレイ!自分を責めてる場合じゃない!今はどうにかして、この状況を切り抜けるんだ!」

 すると、散々激しかった一斉射撃がピタリと止んだ。
総攻撃が納まった事でクリス達は強張った表情を緩ませたが、決して死角から顔を出さなかった。

「意外と当たるもんだなぁ?あ、俺が天才だからか。ヘヘっ!」

 敵味方の両陣営を見渡せる場所で自身の腕を自慢する台詞。 
遠距離スコープを覗いたまま、ボルトをコッキングし、空薬莢を弾き出す。
次の標的を即座に仕留められるように指をかけた引き金を僅かに引いた。

「あいつはっ・・・・・・!」

 ステラだけが一瞬だけ顔を覗かせ、狙撃手の存在を把握する。
12時の方向に位置する民家の屋上にデズモンドを撃った張本人らしきルシェフェルの少年がいた。
こちらの正体を把握したのは向こうも同じだった。

「・・・・・・ああ?あいつ、確か・・・・・・いつぞやだったか、スターリック銀行にいたルミエールの部下じゃねえか!まさか、奴らがカトリーヌに楯突いてたクソ蟲だったなんてな・・・・・・俺らの一員に成り済ますなんざ、ナメたマネしてくれるじゃねえか」

 少年のヤクザ口調の台詞を述べた唇の端がニヤリと上に引きつる。

「ディヴイット・バルザリー・・・・・・!ルフェーブル・ファミリーの大幹部の1人です。この殺し屋共は奴に指揮された騎兵連隊だったのか・・・・・・!」

「あの野郎・・・・・・!ぶっ殺してやる・・・・・・!」

 唸る狼のように八重歯を剥き出しにし、殺意を剥き出しにするアシュレイ。
どちらが有利かなど言うまでもなく、多勢に無勢という圧倒的差のあるの状況の中、こちらだけが一方的に圧力がかかった緊迫状態が続く。
1分くらいが経過した頃、音一つなかった集落の遠くから大声が聞こえた。

「おい!聞こえるかクズ共!よくもファミリーをコケにしてくれたじゃねえか!30秒だけ考える時間をくれてやる。武器を捨てて、今すぐ投降しろ!大人しく命令に従えば、少なくとも今よりは長生きさせてやるぜ?まあ、出て来たら出て来たでなぶりになぶって殺してぶっ殺してやるけどな?男は手足切り落として串刺しにして、女は全員丁重に犯してやっからよぉ!」

「どうします!?敵のいない後方に走りますか!?」

 サクラの提案にクリスが首を横に振り、より真剣になって反対した。

「だめだ。身を晒した瞬間、撃たれてしまうだろう。あのディヴイットという幹部は、あれだけ離れた距離からデズモンドの頭を的確に撃ち抜いたんだ。あれは素人の実力じゃない。主戦力になる他の皆もいないし、唯一、狙撃兵への対抗手段であるユーリもいない。おまけにここには怪我人も・・・・・・」

「ア・・・・・・ア・・・・・・シュレ・・・・・・」

「まずいよ!ヴェロニカ、どんどん顔が青ざめてく!呼吸も弱くなってるし!ここでじっとしてたら、この子も死んじゃう!」

 焦りが増し、平常心が崩れいくメルト。
ステラは現時点が実に深刻か言い聞かせるように皆に告げる。

「敵を返り討ちにさせるのは無理がある・・・・・・ここは退却する事を第一に優先するのが賢明でしょうね」

「ですから!それをどうすれば!?」

 アシュレイが無理に余裕を繕った苦笑を浮かべた。

「まあ、この場に俺がいる事を考えると、お前らは運に恵まれてる方だ。だが、生憎 工作道具が詰まったキットは野営地に置いてきちまった。面倒だが、ここにあるもんだけで簡単な玩具を作るしかねぇな。 サクラ。おめぇが杖に取り付ける魔石、1つくんねえか?あとよ。ガキンチョ。お前、相当な甘党で砂糖を持ってたよな?そいつもよこせ。あとは・・・・・・」


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