二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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{Fate}異端者は槍を構え運命を笑う{短篇集}
日時: 2016/01/13 09:18
名前: 明星陽炎 (ID: RGCZI60V)

初めましてないしはお久しぶりです!
この作品はFateシリーズの二次創作SS集です。Fate好き増えて下さい。

以下、この作品に登場するオリキャラ達。


無銘ムメイ/異端者シリーズ/本作メインシリーズキャラ。
ななし(七紙新)/しにたがりのななしさん/無銘の派生キャラ。
リュムール(噂屋)/腐れ外道と厭世作家/腐れ外道な情報屋。
七紙時雨/人間未満と亡霊/鉄パイプ系微少女。


どのキャラもルーを入れ過ぎて溶け残った塊が浮いているカレー並に濃ゆいです。


>>83 「FGO風ステータステンプレート」 ご自由にお使いください

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Re: 異端者は槍を構え運命を笑う ( No.30 )
日時: 2013/11/25 15:28
名前: 明星陽炎 (ID: w/AVokpv)

 唐突だが皆さんは前世の記憶とやらに興味はおありだろうか。
自分が自分に至る以前のお話。自分でありながら決して混じらぬ他人である誰かの記憶を、覗いてみたいと思ってしまったことはあるだろうか。
 ———もしある方がいるのなら、それを手に入れないでいることをお勧めしよう。夢は夢で終わらせるべきだ。
そんなものを手に入れたところで、それは所詮自分ではないし、期待した通りの前世だとは限らない。それに自分ではない誰かの記憶とはいえ、それは強烈だ。今の自分を見失いかねない。

 例えば、私のように。

【死にたがりのななしさん】

 自己紹介は大切なので一応しようと思う。
私の名は七紙。下の名前はいつか話せる時が来たら話そうと思う。
そう言って話したことは一度もないから、知っているのはおとーさんとおかーさん、あとは成り行きで私の保険証を見ることになったこの褐色肌のお兄さん…エミヤだけだ。

「ほら、何をしているのかね。手伝う気がないのなら台所から離れたまえ」
「いやね、じゃがいもの芽って何個食べれば死に至るのかなあって」

 まさか誰に向けてなのかもわからないモノローグに浸っていたとは言えず、その少し前に考えていたことを口にすると途端にエミヤが眉間に皺を寄せる。あ、まずい。怒られる。

「こンの、大戯けがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」

 おお、大絶叫。毎度ながらこのお兄さんはよく喉が持つものだ。

「いいかななし、私たちの目が黒いうちはそのようなことは絶対にさせないからな!!わかったら手を洗って食卓についていろ!」
「はーい」

 ちなみにななしというのは私のニックネームだ。今はいないがエミヤの友人の青い髪のお兄さんが私の名前を読み間違えたことから定着した渾名だが、存外私は気に入っている。
 なんて言ったって、元々私に名前なんてなかったのだから。
まあ、戯言かもしれない。けれど結局、あの運命の始まりと夜の世界で時に手を取り、時に刃を交えた彼らとこうして出逢ってしまっているあたり、私の幸運値は相変わらず低そうだ。

【そんなことを考えながら死にたがりは今日も生きている】

Re: 異端者は槍を構え運命を笑う ( No.31 )
日時: 2013/12/04 15:00
名前: 明星陽炎 (ID: w/AVokpv)

ネタ!

・無銘in月聖杯
参加してたら面白いよねって。主人公のサーヴァントとか?
仮に主人公のサーヴァントだとしたらクラスはまんま『ヘレシー』で呼び方は男女問わず『マスター』かと。
性格というか物語への絡み方は割とキャス狐ちゃんに近いかもしれない。
※なお、宝具使えるようになったらただのチートな模様。

・ななしさんin月聖杯
実はこっちの方が考えやすかったという。
自称用務員NPC、実際は参加者。時間帯で廊下、図書館、食堂を行ったり来たりしてる。
主人公とはあまり関わらないし関わるとしても不可抗力で月の裏側に行ってしまった時くらい。
普段絶対に見せないサーヴァントは主人公がアーチャーである時以外は『アーチャー(エミヤ)』、主人公のサーヴァントがアーチャーだった場合は『キャスター(メディア)』。

Re: 異端者は槍を構え運命を笑う ( No.32 )
日時: 2013/12/05 16:15
名前: 明星陽炎 (ID: w/AVokpv)

EXTRACCC、おしおきタイムinななし
※女主人公(岸波白野)視点。男にする勇気はなかったです流石に。
※本編はこれよりずっと酷い。そこまでにしておけよ奈須きのこ
※これもこれで酷い。そこまでにしておけよ明星

「ほんとにこんなとこまで来ちゃうんだ。暇なの?岸波ちゃん」
薄暗い空間で呆れたような声が響く。
ぐるりと振り返れば腕を組んだナナシがやれやれと言わんばかりに首を振った。
「こんなところにまできて、そんなにわたしを追い詰めたいらしい。呆れかえるね、最低だ」
「大体わたしの秘密なんか大したことないものでしょ?だからおとなしく帰って欲しいのに」
周囲が急に明るくなり心の壁が姿を現す——ああ、やはり彼女も、BBに…
「BBなんて関係ない。言及なんて必要ない。帰ってよ岸波ちゃん、面倒くさいでしょ?こんなの」
「そんでゆっくりご飯食べてしっかり寝なよ。わたしに構ってないで。こっちはこっちでやるからさあ」
————そんなんだからアーチャーに怒られるんだ。
断言する。ナナシ、お前はいつか絶対に駄肉と呼ばれるようになる————!
「いや、わたしジナコさんと違って節制するし。後本人いないのにディスってあげるなよ」
私ジナコとは言ってな…突っ込まれた!?無気力なのに!?
「無気力でもツッコミ位するけど。っつかなんでそんな楽しそうなんですか教えてくださ…聞くまでもないか」
ほら、とナナシは両腕を広げ嗤って見せた。
「きなよ。わたしは自分に興味なんてないんだ。キミが好きに蹂躙して征服感に溺れればいい」
恐れなんかない、今更何にも嘆かない。そう言う割にそうやって精一杯反抗してみせる。
ナナシの一つ目のSG、それは…

“矛盾思考”

「矛盾?どこが矛盾してるって言うんだ」
本当は自覚しているはずだ。だっていつもそうじゃないか。
「は?だから何が?わたしは何も矛盾なんてしてない」
「寝たいから寝る、お腹がすいたからご飯を食べる、生きるのが面倒だからしぬ。ほら、何がおかしいのさ」
その感覚がまず矛盾してる。だって生きるのが面倒なら寝なければいい、食べなければいい。
眠くて眠れるのに、お腹がすいて食べるのに、何故生きるのが面倒なんだ。
「っ、そんなの、そんなの関係ないでしょう」
いいや関係ある。だってそれは生きたいのに死にたいと言っているようなものなのだから。
実際は多分、生きていたいはずだ。アーチャーに叱られるナナシは嫌がってはいたが楽しそうでもあった。
けれどそれを許さぬ矛盾、その矛盾の根底…それが彼女の二つ目のSG。

“『死』の記憶”

「見たのか、あれを」
急にナナシの顔が険しくなる。いつものような倦怠感にまみれた顔ではない。
————記憶を見ては、いない。
そう告げると、今度は怒りから悲しみにその表情が変わる。痛々しいほどくしゃくしゃに歪められた顔。
涙を浮かべていないのが奇跡だと、そう思わせた。
「あれはわたしだ。何度も生まれ堕ちて疎まれ殺され、そして何度も恨み疎み憎み殺した。全部わたしだ」
「エミヤはそうじゃないと言ってくれた。でも違う」
「あれは、あの記憶は、全部わたしだ。憎しみも、哀しみも、怒りも、無感情も」
「胸を穿つ刃も、骨を断ち切る感覚も、誰のものかもわからなくなるほど混じった血の匂いも」
それは違う。アーチャーも言った筈だ。
それは遠い過去に魂が経験した記録であって今のナナシのものではない。
全部受け止める必要はない、それはキミの役目じゃない。それより受け止めなくてはならないものがある。
キミは【今の自分】(キミ)を受け入れるべきだ————!

“新”!!

「やめろ!その名前で呼ぶな!!」
焦ったような声。滅多に声を荒げない彼女の叫び声。
「新なんて、あ、あらた、なんて、呼ぶ、な」
「いや、いやだ。認めない!みとめない!!」
「そんなの、そんなきれいな名前私じゃない、私じゃない、だって私は異端で!殺すのが、と、当然で!」
「もう誰もしあわせに出来ないから棄てられた搾りかすだもの!そんな名前、勿体無い!!」
髪を掻き毟る姿は初めて年齢相応に見えた。今まで感情が無いように死んでいたその瞳が揺らいでいる。
事情が事情…可哀想だが、暴くしかない。そうしなければ、彼女も救えない。

“それでも、それがお前だ!”

「違う!そんなんじゃない!そんなきれいな、きれいなものじゃない!!」
初めてその金色の双眸から雫がこぼれ落ちる。
「わたしは汚いんだ、わたしは、わたしは血で汚れた、怪物ばけものなんだ!」
「誰かのしあわせのためにしななきゃならなくて、誰かの事をころしつづけてきた、怪物、なんだ…!」
「そうだ!怪物だ!だからほら、ころしなよ【主人公】(ヒーロー)!そうしなきゃ物語は!終わらないだろ!?」
こちらを懇願するように見上げる視線が痛い。
だがそれはできない。

“それはお前の甘えだ”

「ち、ちが————————い、ひぁぁあっ!」
「い、いたい…あ、つぃ…や、やだ…!やだやだやだ!やめてよ!こないで!みないで!」
最早駄々っ子のように首を横に振りながらただ喚いているだけだ。
哀れだった。だがしかしそれ以上にその喚きは彼女の押し込められていた本心だった。
「いやだ!いやなんだってば!!もうつかれたんだ!でも、でも!!」
でも?
「だってみんな、生きろって、生きてていいって、わたしが、わたしは」
それはそうだ。こんなところで死なせたいはずがない。
「だけど、だって、わたしは、怪物…で…」
その魂はそうだったかもしれない。何度も生きて何度も死んで何度も殺した。
けれど、いまのナナシは違う。七紙新はただの女の子だ。
たまたまそんな記憶を織ってしまった、普通の、何処にでもいる、女の子なんだ。
「ふ、つう?」
そう。普通。
「みとめて、いいの?」
ああ、勿論。
「みとめられて、いいの?」
それこそ聞かれるまでもない。
「ああ、そっか…そう、なんだ…」
「うん、そっか。エミヤも…そう、言いたかったんだ…」
「有難う、岸波ちゃん。これで、わたしも、変われるかもしれない」
そう言って微笑んだ少女の素顔は、眩しく見えた。


→此処まで書いて疲れた…orz

Re: 異端者は槍を構え運命を笑う ( No.33 )
日時: 2013/12/13 18:41
名前: 明星陽炎 (ID: MGziJzKY)

何度も何度も躓いて、立ち上がる度、きっと強くなってる。どんなに苦しい時だって、心のままに進んでいけばいいから…

口ずさんだ歌は、きみの瞳に涙をつれてきた。

何処で知った歌かと問われても何の事はない、そこそこに有名なゲームのオープニングだったか挿入歌だったかであったもの。シリーズの全てをやるほど好きだった訳でもないが数シリーズに手をつけていて、ただ時間がなくて積み上げていたものも多かったような。実はそのゲーム自体もクリアしたかはあやふやだ。
その歌を口ずさんだのだって偶々で。何となく、ほんとうに何となく口をついて出ただけなのに。
「なんで泣いてるの?」
「…分からないよ」
皮肉やで不器用で世話焼きで何処までも優しいきみの鋼色の瞳が透明な涙で濡れている。
そう言えば、きみはいつも歩き続けてきたんだったね。
何度も何度も立ち止まって、何度も何度も振り返って、何度も何度も躓いて、同じだけ傷付いて、それでも立ち上がって。見失いそうになりながら夢だけを見て。
だからきみには響いたのかも知れない。そう思ったらその歌がとても優しく聞こえたので。

【きみにうたう<はじまりのうた>】
(流した涙はいつの日か)
(あなたの笑顔強く輝かせるから)

Re: 異端者は槍を構え運命を笑う ( No.34 )
日時: 2013/12/17 18:03
名前: 明星陽炎 (ID: Ft4.l7ID)

この世のすべてに絶望したような、そんな表情を少女は浮かべ、消えそうになる紅の男を抱き締めている。気高い銀は最早闇にくすんで、金色の瞳は光をなくして呆然と空を見つめている。
痛々しい。
誰もがそう思った。少女にとって男は友人であり保護者であり子供であり己であった。それを知るもの全員が今の少女の姿を見ていられなかった。その筈だったのだ。

「消えてしまうのか」

呟かれた言葉。それは間違いなく少女のもので、ただそれは常の少女からは全くと言っても構わぬ程想像できぬような低音であった。
どうして、どうしてこうなった。ぶつぶつとひたすら、そう呟き続けているその姿はまるで壊れたラジオであるかのよう。いや、実際に壊れているのだ。ラジオではなく、少女自身が。
「どうして、どうして貴方が消えてしまう。何が悪い?何が間違っている?どうすれば貴方は消えない?」
ゆらり、伏せられた顏が気怠げに持ち上げられ、なにも映さない金色がぐるりと周囲を見回した。
「そうか、この世界が悪いのか」
そして少女は、ひとつの残酷な結論を導き出した。
「世界を脅かす因子が存在するから」
「彼が世界の平和を望むから」
「人類が存続なんて願うから」
「彼に呪いを植え付けた存在がいるから」
「彼に希望を背負わせた者がいるから」
「彼が運命になんて出逢うから」
少女には既に誰の声も聞こえない。
砂を繰り、風を纏い、剣を喚び出し、弓をつがえて。
「それなら私は、世界から彼を守ろう」

濁った金色の瞳は、純粋な愛を映すだけ。


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