二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- {Fate}異端者は槍を構え運命を笑う{短篇集}
- 日時: 2016/01/13 09:18
- 名前: 明星陽炎 (ID: RGCZI60V)
初めましてないしはお久しぶりです!
この作品はFateシリーズの二次創作SS集です。Fate好き増えて下さい。
以下、この作品に登場するオリキャラ達。
無銘/異端者シリーズ/本作メインシリーズキャラ。
ななし(七紙新)/しにたがりのななしさん/無銘の派生キャラ。
リュムール(噂屋)/腐れ外道と厭世作家/腐れ外道な情報屋。
七紙時雨/人間未満と亡霊/鉄パイプ系微少女。
どのキャラもルーを入れ過ぎて溶け残った塊が浮いているカレー並に濃ゆいです。
>>83 「FGO風ステータステンプレート」 ご自由にお使いください
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- Re: 異端者は槍を構え運命を笑う ( No.5 )
- 日時: 2013/03/04 08:51
- 名前: 明星陽炎 (ID: FpNTyiBw)
陽「明星陽炎と!」
異「ランサーヘレシーこと無銘の!」
『ファイヤー相談室!!』
陽「一日もたたないうちに二回目さーせん」
異「反省した素振りはねーけどもね」
陽「さて、そんな訳で今回はこちら!」
〜聖杯戦争ってなに?〜
異「あー、それですかぁ」
陽「まあ、とりあえずシステムから。前回でマスターとサーヴァントの七組のコンビで戦う、ということは言いましたね。まあ、所謂コンビでのバトルロワイアルなんです」
異「サーヴァントにはそれぞれクラスというものがあります。クラスは…そうですね、RPGゲームでいうジョブみたいなものだと思ってください」
陽「で、このクラスというものはそれぞれに、剣士のクラス『セイバー』、槍兵のクラス『ランサー』、弓兵のクラス『アーチャー』、騎馬兵のクラス『ライダー』、魔術師のクラス『キャスター』、狂戦士のクラス『バーサーカー』、暗殺者のクラス『アサシン』の七枠。これに各一人の英霊が割り当てられます」
異「ちなみにこのクラスには英雄により適性があり、場合によってはそのクラスでは召喚出来ない英雄もいます。例外はバーサーカーですが、こちらも適性のあるなしで能力は大きく変化します」
陽「まあ、それは話すと長くなって大幅に議題から反れるんで保留で。さて、このバトルロワイアルでの商品は『万能の願望器』である聖杯だという話はもう済んでいますよね?」
異「聖杯は現世に召喚された英霊達の魂の一部である分霊を取り込み、その存在を維持する魔力を使い使用者の望みを叶えることが可能です」
陽「ただし、これには幾つか注意点があります。まず、願いを叶える事が出来るのはたった一人です。そしてそれには相応の魔力が必要です。叶えられない願いは恐らくないですが、その際は七騎のサーヴァント全ての魔力を捧げなければならない…つまり、自分のサーヴァントを殺さなくてはなりません」
異「ちなみに英霊達も各々に願いがあります。それを叶えるために召喚に応じた英霊が殆どですし、こうなると最早ただのサギですよね」
陽「まあ、聖杯を作ったのも魔術師ですし、自分達に有利なように作るのは当然っちゃ当然ですよね。次に、聖杯は確かにどんな願いも叶えますが『どうやって』願いを叶えるかは問いません。…まあ、望まぬ結果になる可能性もあるという訳です」
異「と、いうと?」
陽「うーん…例えば世界一のお金持ちになりたいって願いを叶えるとするじゃないですか」
異「…うわぁ即物的」
陽「うるせぇですよ。この願い、それで宝くじがあたる…っていう訳じゃないんです」
異「え?そうなんですか??」
陽「はい。例えば国家の予算、使われていないお金、そういうものが『何らかの要因で』自分のものになるようになるんです」
異「…ううん、少し分かりづらい」
陽「まあ、簡単に言ってしまえばとても効力が強くて範囲の広い洗脳みたいなものです。願った事を叶えるために世界中の人の意識を操る、みたいな願いの叶え方になってしまうんです」
異「世界中の人が大迷惑ですね」
陽「いやぁ、それだけじゃないんですけどね。実はこの聖杯、使えないんですよ」
異「え!?…いやまぁ、私原作知ってますけど」
陽「リアクション感謝します。まあ、その話は後日。次は聖杯戦争の勝利・敗北条件について!」
異「ではこれは私が。この戦争での勝利条件はサーヴァント・マスターが共に最後の一人になることです。では、どのようにそれを判断するのかと言いますと…まず一つ目は『マスターないしはサーヴァントの死亡』これは言うまでもありませんね。サーヴァントが死ねばその時点でその陣営は敗北。マスターが死んでしまえば、サーヴァントは自身を維持する魔力の供給を維持できなくなります。そうするとサーヴァントは自然消滅してしまうんです。ただし、場合によってはサーヴァントは他のマスターにつくことが出来ます」
陽「たとえば、あるマスターが令呪を残したままサーヴァントを死なせてしまい敗北したとします。その時にマスターを殺されてマスターがいない状態のサーヴァントがいた場合にはそのサーヴァントと契約を結び直すことが出来るという具合に。また、マスターが死んでしまった時に聖杯が新たにマスターとなる人間を選出し、令呪を宿すことがあります。この場合も再契約が可能です」
異「まあ、とは言えマスターからの供給なしに他のマスターとなれる人間を探しだせるような時間現世に留まっていられるサーヴァントは極々稀です。私のように単独行動のスキルでも持っていないとまず無理ですね。次に『令呪が剥奪される、また返還する』こと。前回の相談室でいった通り令呪というのは聖杯戦争の参加証であり、サーヴァントを使役させるための命令権であるのですが、もう一つ重要な役割があります。それがマスターとサーヴァントとの繋がりであるということです」
陽「このマスターとサーヴァントとの繋がりをパスといいます。マスターとサーヴァントはこのパスを通じて声に出さない会話…念話をしたり、魔力の供給を行っています」
異「なので、令呪を奪われサーヴァントとの繋がりを断たれた時点でそのマスターは敗北となります」
陽「またこの令呪ですが、聖杯戦争に参加する意思がない・参加が不可能であると自分で判断した場合、教会で令呪の返還をすることが出来ます。その場合は不戦敗扱いとなり、それ以上尖塔に巻き込まれることのないよう保護して貰えます」
異「まあ、生死を問わない戦争で確実に生き残れる選択肢ではありますね」
陽「魔術師達は変にプライドが高いのでこの選択肢をとる人は殆どいませんけどね。では、今回はここまでにしておきますか?」
異「ですね。次回は〜サーヴァントについて〜でお送りします!!」
陽「ではでは次回!!」
- Re: 異端者は槍を構え運命を笑う ( No.6 )
- 日時: 2013/03/05 07:55
- 名前: 明星陽炎 (ID: EdfQYbxF)
陽「明星陽炎と!」
異「ランサーヘレシーこと無銘の!」
『ファイアー相談室!!』
陽「あっという間に始まってー」
異「あっという間に第三弾ー」
陽「その名も…あでっ」
異「だからネタいらねーんだよ阿呆」
〜サーヴァントについて〜
異「さておき今回はこちら」
陽「おお、ついにこれか」
異「ちなみにサーヴァント(servant)とは英単語で召使を意味し、俗に従者などを指します。プライドが高いのが多い英霊達にこれは結構な屈辱な気もしますが…?」
陽「まあ、マスターが従えている従者ですからね、立場的には」
異「まあ、いいですけどね。ところで、サーヴァントのステータスについて御存知ですか?」
陽「勿論。ステータスには筋力、耐久、敏捷、魔力、幸運の五つの基礎ステータスがあり、各々A〜Eの五段階で評価されるんですよね」
異「まあこれで分かってなかったら串刺しにするつもりだったんで。ちなみに分かりやすくいうと筋力は攻撃力、耐久は防御力、敏捷は素早さです。魔力と幸運はまあ、そのままの意味ですので。とりあえずサーヴァントのクラスについて詳しく話すとしましょう」
陽「おう」
異「まずは『セイバー』。剣を使う事を得意とするサーヴァントで、このクラスに適性を持つ英雄は剣技における武勇を持つものであったり、或いは宝具と呼ばれる武器が剣の形状をしている英雄達になります。全サーヴァント中尤も攻守のバランスに優れ、比較的高めのステータスを持つ英霊が多いので『最優のサーヴァント』と称されます」
陽「日本人だと宮本武蔵とか当てはまりそうですね。『おれさまさいきょー!』って出てきたりしてww」
異「この話バサラあんま関係ないんですけど。次に、『アーチャー』。弓兵のクラスです。とは言え、弓のみに特化した英霊は該当が少ない為、このクラスの基準は投擲を含めた飛び道具全般として扱われる事が多い様子」
陽「実際に、陽炎が知る限りこの原作でちゃんと弓を使っていたアーチャーはExtraに出てきたキャラ一人しか知りません。あとはぶっちゃけ剣使ってました」
異「ある意味とても盛大なクラス詐欺ですよね。さて、次は『ランサー』…槍兵と呼ばれるクラスです。全体的に素早い英雄が多く、全サーヴァントの中でも飛び抜けて敏捷が高いです。ちなみに私のクラスはイレギュラーなオリジナルクラスですが、このランサーというクラスの派生みたいなものです」
陽「ちなみに敏捷の高さと同じくステータスに特徴があり幸運が阿呆のように低いのも有名です☆よく『ランサーがしんだ!』的な状況になるので不憫キャラ枠でとてもつかいやす…げふんげふん」
異「『この人でなし!!』いや本当に陽炎てめぇ!私の幸運が低いのはそのせいか!!」
陽「いや、それはリアルに陽炎の運が悪いからですけど?友人にランサーと呼ばれるレベルで。ちなみに診断メーカーシリーズのクラス割当てを本名とペンネでやって両方ランサーでステータスも幸運Eでしたけど?」
異「……なんかすみません。さておき、このセイバー・アーチャー・ランサーの三枠を『三大騎士クラス』といいます。基本的に火力や機動力が高く使いやすいサーヴァントである為、一般的に勝ち残りやすいと言われています」
陽「さて、次は少し癖のあるサーヴァントです」
異「まずは『ライダー』。乗り物…戦車や騎馬などを使うことの出来る英霊が適性を持っています。このクラスには固有スキルとして高い騎乗スキルがあり、Bでも殆どの乗り物を乗りこなすことが出来ます。また宝具も豊富です。しかしライダー枠として召喚できる英霊は少なく、宝具の解放には多くの魔力が必要となります」
陽「ちなみに、騎乗スキルはAあると幻想種…つまりペガサスやドラゴンなどにも乗れるそうです…先生、ガン●ムにも乗れますか!?」
異「知りません。次に、『キャスター』。魔術師や呪術師などがこのクラスに適性を持っています。ただしこのクラスは『最弱のクラス』と言われる通り、魔力以外のステータスは限りなく低いです」
陽「キャスタークラスは前線で戦うよりも自分の有利なフィールドを作り上げ、其処に相手を引きずり込むような戦い方の方が得意ですからね。所謂穴熊タイプです」
異「よく意味がわかりませんね。そして『バーサーカー』、狂戦士と言う名の通り彼らには理性がありません。狂化という特殊スキルで無理矢理理性を外すことで能力を底上げしています」
陽「能力は確かにとても強くなるのですが、この狂化にはデメリットもかなり多いのです。まず意思疏通が出来ないので制御がまるで出来ません。次にマスターの魔力をこれでもかと食らいます。そして、宝具やスキルに制限がかかってしまうこともあるようです」
異「諸刃の剣、ということですね。そして最後に『アサシン』。本来このクラスに該当する英霊は「ハサン」と呼ばれる英霊のみなんですよ」
陽「特殊な訓練を受けた暗殺者の一族の総称ですね。ハサンと呼ばれる英霊は複数いて、各々がそれぞれに特殊能力を持っています」
異「まあ、ステータス的にはキャスターよりも低く、アサシンを単独で他のサーヴァントにぶつけても返り討ちにあうほど。ただし、流石に暗殺者と呼ばれるだけあり隠密行動にこれほど特化した英霊もなかなかいません」
陽「つまりマスターの寝首を掻きに行けばあっさり敵を脱落させることも可能って訳です。大体にして魔術師は結界こそしっかりしてますがそれに過信しすぎなんでその気になってアサシン活用すれば聖杯戦争の勝利も見えてくると思うんですよ」
異「いや…まあそうなんですけど…不意討ちとかそういう戦法のことを言いたかったんですけど…やだ、うちの作者外道…?」
陽「え?そうですか?」
異「いえいえ、自覚がないなら私は突っ込みませんよ。さておき、この下からは原作の盛大なネタバレである各サーヴァントの真名になります。自分で調べたい!という方は見ないことをお勧めしますよ」
2に続く
- Re: 異端者は槍を構え運命を笑う ( No.7 )
- 日時: 2013/03/06 09:09
- 名前: 明星陽炎 (ID: SrUKMM4y)
2番目
陽「さて此処は怒濤のネタバレ回ですよ!」
異「各陣営サーヴァント達の真名と伝承を軽く説明します。まあ、がっつり語ると語りきれないですし、何より伝承関連は調べきれてないのも多いので…」
陽「勉強不足で申し訳ない…」
異「まあ悔やんでもしゃーないんで。この狭い部屋で茸栽培しないでくれます?」
陽「へーい。ではまずセイバーからいくとしようか」
異「はい。セイバーは第四次・第五次ともに同じ英霊…騎士王、アーサー・ペンドラゴンです。アーサー王物語における主人公、円卓の騎士を纏めたブリテンの王、聖剣エクスカリバーといえばあまりにも有名ですよね」
陽「ちなみにこの世界のアーサー王は女の子です。アーサーは男装時の偽名、本名はアルトリアといいます。型月キャラでも一二をあらそう人気ですよね」
異「二次創作では腹ペコとか呼ばれてます。恐らく原因はstaynightの続編である hollow ataraxia(ほろうあたらくしあ)で食へのこだわりを全面に押し出していることかと」
陽「…まあ、彼女の食への執着は公式でもネタにされるレベルですからね…」
異「次はアーチャー。第四次は英雄王ギルガメッシュ、第五次は型月のオリジナルキャラクターのエミヤシロウという英霊です」
陽「ギルガメッシュって名前はよく聞きますけど実際どんな英雄か知っていますか?」
異「陽炎はFateで知るまで知らなかったですけどね。ギルガメッシュは神代の英雄で、世界最古の王と呼ばれるウルクの王です。その身には半分神の血が流れており、賢君であったといわれております。が、女神に惚れられたことをきっかけに無二の友を失い失意のうちに死んだ為、型月のギルガメッシュは神嫌いとして有名です」
陽「ちなみに型月のギルガメッシュは世界最古のジャ●アンとも言われています。『この世の宝物は全て我のもの』とか公式で言ってます。我と書いておれとか本当に中二乙wwまた、戦闘用の衣装は金色の鎧で私服はちょっとっていうかかなりセンスが悪いです。まあ陽炎実はこのキャラが一番すきなんですけどね」
異「その割にぼろくそ言ってますよねあんた。さておき次はエミヤシロウ。彼はstaynightの主人公、衛宮士郎の成れの果ての英霊です。衛宮士郎についてはマスターの項目で触れるとして、正義の味方になり損ねた英雄が正義の味方の概念の英霊となったというのは結構な皮肉だと思いませんか?」
陽「まあ、それを言うと正義の味方って結局なんなのかという所まで話が飛びそうな気がするのですが。ちなみに型月人気投票男性部門の不動の第一位、背中で語る男として大人気ですよ」
異「真ヒロインとか言われてますけどね。続いてランサー。第四次はフィオナ騎士団の魅惑の貌を持つ、ディルムッド・オディナ。第五次はクランの猛犬、クー・フーリン。ともにケルト神話の有名な英雄です」
陽「日本ではあまり知られてませんが、アイルランドで知らない人はいないそうですよ。あ、でもア●ラスユーザーは知っているかも知れませんね!クー・フーリンは女●転生シリーズにも登場してますよ」
異「そこ必要ですか?ディルムッドは妖精の王の義理の息子で、祝福として異性を魅了する泣き黒子を授けられました。しかしそれが原因でフィオナ騎士団の団長の婚約者であるグラニア(グラーニャとも)に惚れられ、女性の頼み事を断らないという誓いをたてされられ、半ば強制的に駆け落ちをすることになります」
陽「ちなみにこの誓いはゲシュ(またはゲッシュ)と呼ばれる魔術的な誓いで強い縛りを持ち、破るとその身に不幸がかかると言われています」
異「怖いですねー。続いてクー・フーリン。クランの猛犬、光の御子…呼び名は様々ですが彼もまたギルガメッシュ同様神の血を引くものです」
陽「影の国の女王、女神スカアハの弟子であり、ルーン魔術の使い手でもある彼は戦の女神に愛され妖精の騎士になったそう…こう経歴を見ると凄い英雄なんですが如何せんこの英雄、女癖が悪いこと悪いこと」
異「ディルムッドのようなイケメンではないですが男前ですからねー。その上くるもの拒まず。一族皆殺しにしてまで嫁にした姫もいるというにまあよくやりますよね」
陽「まあそんなこといいつつ俺彼のこと普通に好きなんですけどね。兄貴ー!俺だー!!近所の兄ちゃんになってくれー!!」
異「身内にしないところが安定の陽炎ですね。バサラの時から身内がキャラとかないわと言っているだけあります…次はライダー枠、征服王イスカンダルと魔眼の蛇メデューサです」
陽「あららららららららーい!型月の人気投票男性部門第二位で陽炎的に仕えたい王様第一位のあの方ですね!」
異「…あんたは本当に男の中の男とか器のでかい男とか好きですよね…バサラもお館様とかアニキに仕えたいとか言ってませんでしたっけ?」
陽「まあ、実際仕官したいかというと死にたくないんで嫌ですけど俺にそれだけの実力があるならそこに仕官したいなーくらいの感覚です。征服王といえば主に中東地域で有名ですよね。別の発音ではアレクサンドロスまたはアレキサンダーといい、イスラム教の聖書クルアーンにも『神から力を授かった』と記載されているほどの実力を持っています。またギルガメッシュのように人智を超越した王でもアーサー(アルトリア)のように完璧な王でもなく、あくまで『ひと』のまま君臨者に至った王です」
異「説明が今までより長い件。続いてメデューサ…この方は有名ですよね」
陽「ギリシャ神話の魔女、ゴルゴーン三姉妹の末娘で非常に美しい女性だったといいます。しかしそのあまりの美しさに海神ポセイドンに見初められたため女神に嫉妬され、自慢の髪を蛇に、瞳には見たものを石にする呪いをかけられたという悲劇の女性です」
異「最終的にペルセウスにより首を落とされ、アイギスという楯にその首を嵌め込まれたという…悲惨な最期です」
陽「案外神話の英雄ってえげつないですよね」
3に続け
- Re: 異端者は槍を構え運命を笑う ( No.8 )
- 日時: 2013/04/20 11:01
- 名前: 明星陽炎 (ID: KG6j5ysh)
「本当に、笑っちゃうってんですよ」
微笑んだ銀の異端者は、光のない金色の瞳を三日月型に歪ませてエミヤを見下ろして。射抜かれたエミヤは思わず目を細める。爆風に靡いた銀の髪が、純白の礼装が、ただただ彼女の異質さを際立たせて——美しい/忌まわしい。
彼女の心象風景が再現された宝具、「ファンタズムメーカー」(幻影風景・総合無意識)の本来の姿…この異空間の中の月のない夜空が真っ赤に染まった荒野を照らしている。果たしてこの赤は荒野の砂か、それとも誰かの命の爪痕か。
数多居る英霊達の中で唯一『異端者』のクラスを持つ『人類の守護者』——名も無き誰か——は、『正義の味方』の概念——エミヤシロウ——を振り返った。
The heretic was dropped from the world.
誰でもあり、何者でもない。人であり、人でなく、その存在に意味はないが、その存在はとても大きい。矛盾を孕んだ、しかして矛盾なきその存在は『人類』。そしてそれを一手に背負わされた『誰かだったモノ』。
それが、異端者である。
嘗て、彼女は極一般的な…それこそ路傍の石と同じようにありふれた…極普通に笑い、極普通に泣き、極普通に生きて、極普通に死んだ誰かだった筈で。だがそれを全てなくした今となってはそれすらどうでもいいのか、摩耗して擦りきれた記憶を手繰り寄せ必死になって足掻くエミヤをさも可笑しそうに嘲笑う。滑稽だと、愚かだと。
「どうせ、もう此処から逃れなんて出来ないでしょう?ならこの現実って奴を受け入れやがったらどうです?」
ほら、時間なら無限にある。何せ此処(英雄の座)に時の概念なんて既になく、あるのは名前をなくした永遠という奴だ。へらりと笑った彼女は、そう言ってエミヤに手を伸ばす。
「貴方は【人類の守護者】(アラヤ/わたし)の一部だ」
低い声が甘い。存在の差に、引き込まれそうだ、呑み込まれそうだ。けれどエミヤは立つ。そうしなければ、『誰かだった』彼女は救えない。
「君は、それでいいのかね?」
「繰り返すだけの永遠に組み込まれるだけの」
「どうして、それが幸せだと?」
「君が目指したのは、こんなものだったのか?」
問う。本当に望んだものは何なのか。
けれど笑う。異端者は笑う。
「これでいいんです」
「やっとの事で手に入れた此処が」
「それでも、これが幸せだと」
「なりたかったものなんて、もうないから」
どうやら貴方も、わかっていないようだ。
首を振って肩を竦め、微笑んだ彼女は呟いた。
「だってもう、引き返せなどしないんだ」
溢した涙の持ち主は、『無銘』か。
それとも…
世界の向こう、堕ちていった。
操る武器、異端者達。
- Re: 異端者は槍を構え運命を笑う ( No.9 )
- 日時: 2013/04/24 19:23
- 名前: 明星陽炎 (ID: v2BiiJyf)
※グロ注意です。
流血、殺人、反道徳的表現で構成された話なので閲覧注意で御座います。苦手な方はバックプリーズです!!
「ねえヘレシー」
「どうしました、龍之介」
「ヘレシーはさ、神様って何だと思う?」
問い掛けられた無邪気な問いに、異端者は金色の瞳をゆらりと細めた。
既に『息絶えた』彼の『アート』に精製した刀を突き立てながら。
「…傍観者、ですかねぇ」
快楽殺人者は、笑った。
【殺人鬼と狂人と異端者】
『本物の悪魔だ!』
初めに聞いた声は興奮と歓喜に撃ち震えた声。
目を開いて最初に視界に飛び込んだのは、薄暗い闇より、辺りを染め上げた赤よりも鮮やかに微笑んだ明るい茶髪の青年だった。
『しかも二人も!』
その声にゆらりと首を巡らせば成程、隣で訝しげに此方を睨み付ける背の高い男。そんな男に薄笑いを返し口を開く。そう、確か彼女はあの時こう言った。内に秘めていた狂気が目覚めたその時に。
「 Je serai cela qui beau!」
思わず呟いた声、それを聞き止めたのか龍之介という名の青年はきょとんと首を傾げて異端者の姿を振り返った。明るい色の髪が揺れ、耳に着けたピアスがちゃり、と音を鳴らす。血色のいい顔に飛び散った返り血を拭うことを忘れるほど『作品』作りに熱中していたのか、汗と血が混じりあい溢れ落ちる度に彼の衣服が汚れて。異端者は微笑みながらその頬を拭う。
「服が汚れますよ、我が主」
「あぁ!ごめんヘレシー…ところでさ?」
そこでようやく自分自身の服の汚れに気づいたのか、慌てて顔を拭った龍之介は異端者たるその銀の少女を見下ろした。
「さっきのあれ、確か最初に会ったときも言ってたよね、どういう意味なの?」
「あれ、とは…あぁ、」
暫しきょとんとしたのち、思い当たったらしい異端者は足元で微かに呻き声をあげた『失敗作』の心臓が『あった』場所に刀を降り下ろし、生温い赤と絹を裂くような断末魔を浴びながら瞳を細めた。どうせ価値のない『失敗作』なら精々楽しませてもらうことにしようか、同時に召喚されたあの男…キャスターの呪いによって死ぬことの出来ない『誰かだったもの』に突き立てた刃をぐりぐりと抉り、狂ったように響き続ける声をBGMに彼女は再び「 Je serai cela qui beau」と囁いた。
と、何処に行っていたのか幾人かの虚ろな瞳の子供を連れたキャスターが「懐かしい言葉を聞きましたねぇ」とうっそりと呟いた。
「『あぁ、なんて美しい!』とは。貴女も芸術がわかる方で何よりです」
「えっ?それそういう意味なんだ」
「ふふふ、だって美しいではありませんか。溢れる生命の赤が此処にある」
くすくすと笑いながら血塗れの手で子供達に触れる。頬をなぞった指の軌道を赤が彩るも子供達は何も反応しない。
「私を縛り付ける呪縛が…『人類』(こんなもの)を護るという存在意義が、そんな呪いが全て無くなったようなこの感覚が愛しい」
舌舐めずりをし、そして指を鳴らす。
瞳に生気を取り戻した子供達は目の前の惨状に、恐怖し、泣き叫び…絶望する。
それすら楽しいのか興奮する龍之介と、うっすらと笑うキャスターを背に、異端者は高らかに謳い上げた。
「さあ、反逆は始まった!」
ステータス
筋力:C+
耐久:D-
敏捷:A-
魔力:D
幸運:E
※精神汚染:A
(精神汚染…稀にサーヴァントに付与されるスキル。精神を病み、狂った状態で召還され、場合によってはステータスに著しい制限をかける)
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