二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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{Fate}異端者は槍を構え運命を笑う{短篇集}
日時: 2016/01/13 09:18
名前: 明星陽炎 (ID: RGCZI60V)

初めましてないしはお久しぶりです!
この作品はFateシリーズの二次創作SS集です。Fate好き増えて下さい。

以下、この作品に登場するオリキャラ達。


無銘ムメイ/異端者シリーズ/本作メインシリーズキャラ。
ななし(七紙新)/しにたがりのななしさん/無銘の派生キャラ。
リュムール(噂屋)/腐れ外道と厭世作家/腐れ外道な情報屋。
七紙時雨/人間未満と亡霊/鉄パイプ系微少女。


どのキャラもルーを入れ過ぎて溶け残った塊が浮いているカレー並に濃ゆいです。


>>83 「FGO風ステータステンプレート」 ご自由にお使いください

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Re: 異端者は槍を構え運命を笑う ( No.55 )
日時: 2014/05/16 12:10
名前: 明星陽炎 (ID: w/AVokpv)


26.好きな季節は?
無「んー、秋?繰り返されたあの四日間を彷彿とさせてくれて好きですよ」

27.貴方の属性と起源は?
無「それ遠回しに弱点晒せって言ってるようなもんですわよね…」
弓「だな」
無「まあ知ったところでどうも出来ないでしょうから良いですわよ。属性は『無』、起源は『創造』と『贄』ですの」
弓「人間だったら封印指定ものだな、私が言えた義理はないが」

28.ポケモンのタイプだったら?
無「なんでしょう、凄く楽しみ」
弓「作者いわく、『はがね・かくとう』だそうだが」
無「なにその可愛くない組み合わせッ!?」

29.貴方の宝具は?
無「だからそれ遠回しに……」
弓「もう諦めろ、既に真名も明かしているしな」
無「良いですけどね……私の宝具は『造り出された幻想』(ファンタズムメーカー)です」
弓「自身の魔力を糧に創造した通りの物を造り出す、というのが普段の使い方だが、この宝具は本来自身の心象風景を再現する固有結界、『幻想風景・総合無意識』だ。この固有結界の中では彼女の想像が現実であり、故に絶対無敵たるというとんでもないシロモノだ」

30.口癖は?
無「『うにぃ』ですかね?」
弓「口調はあざとさ全開の慇懃無礼だがな」

31.憧れの人は?
無「そうですわねぇ、敢えて言うならばアーチャーですかにぃ?」
弓「なんだそれは」
無「その理想を貫き、歩むのを止めない姿は私だけでなく、この端末が内包する阿頼耶識の欠片の凡てが愛しく思ってますから」
弓「……なんでさ」

32.尊敬する人は?
無「いませんね」

33.現在の仕事は?
無「抑止の守護者? あとは某方のサーヴァントですわね!」

34.それは楽しい?
無「我がマスターの従属たることが楽しくなくてなんなのですか。私のマスターは最高なんだ!」
弓「……確かに主従仲はどうしてだか知りたくなるくらいに良好だな。私としてはいっそお互い嫌悪し合うかと思っていたのだが」

35.どうしても苦手な事は?
無「リア充を大人しく見守ること?」
弓「暖かくみまもってやれ」
無「黙れ元えろげ主人公。爆ぜて、アーチャー(はぁと)」
弓「なんでさ!」

36.お酒飲める?
無「もっちろん!」

37.戦える方?
無「寧ろチートですが、なにか」どやっ
弓「ちゃんと弱点はあるがな」

38.もし戦えるなら、戦う?
無「勿論! 何のための抑止力だと、何のためのサーヴァントだと思ってますの? あとストレス発散ですから!」
弓「最後が真剣に必要ないと思ったのは私だけかね!?」

39.その理由は?
無「抑止力としては、『必要不可欠だから』『そのための存在プログラムだから』ですね。サーヴァントとしてなら、『己のお気に入り』を護りたいと思うのに何か不都合がありまして? それに『サーヴァントがマスターを護る』のは当たり前でしょう?」

40.大切な物は何?
無「『記憶』『感情』。そして『縁』ですわね」

41.今、後悔してる?
無「……どう見えます?」
弓「さてな。後悔し尽くして立ち止まっているようにも、後悔するのを諦めて無心で進んでいるようにも見えるが」
無「じゃあどっちでもなくてどっちでもあるのでしょうね」

42.もし違う未来に変えられるなら、変えたい?
無「無限の可能性を体現する私にそれを訊きますの?」

43.今、幸せ?
無「幸せですわよ、ええ」

44.幸せって何だと思う?
無「偽りでなく生きていて、目指す理想があって、立ち止まらず走り続けられること」
弓「無銘……」
無「そして美味しいご飯があって、悪戯の対しょ…げふげふ遊び相手がいて、敬愛すべきマスターがいれば文句無しですわね!」
弓「数ヶ所突っ込ませろ、私の感慨を返せ」

45.恋愛観って、どんな感じ?
無「令呪を以て命ずる、爆 ぜ よ リ ア 充」

46.恋愛したい?
無「したいですわよ! ええしたいですとも!! 知ってますか目の前できゃわゆいおにゃのこ三人も四人も五人も侍らせて困った顔をしているフラグメーカーを見ている私の気持ちが!!」
弓「お、落ち着け!」
無「お前の事ですわよアーチャァァァァァア!! この腐れアングラーが! ガチムチな変態とか月の裏側で言われてるくせに! 言われてるくせにいいいいいい!!」

47.好きな人はいる?名前は?
無「これが居るように見えますの!?」

48.出演する作品名は?
弓「拗ねるな無銘…」
無「黙れ女難に抱かれて溺死しろ」
弓「それは洒落にならんのだが…! さておきこれは『異端者は槍を構え運命を笑う』という作品らしい」
無「Fateシリーズの二次創作ですの」

49.そのジャンルは? 
無「混沌系、原作破壊夢ですわね」
弓「本編、Fate/staynightは伝記活劇ヴィジュアルノベルゲームだな」
無「まあ本質は同人出発のエロゲーですけどね」
弓「ぐっ…!」

50.お疲れ様でした
無「やっと終わりましたの…」
弓「だな」
無「もう帰りたいですマスターに飛び付いて頭撫でてほしいです金ぴか弄り倒したいです兄貴と戯れたいですアーチャーのご飯食べたいです」
弓「然り気無く要求を混ぜてきたな!? そして君はまたランサーを殺す気か!?」
無「ランサーが死んだ!」
弓「この人でなし……ってそうではなく!」
無「わかってますわよーぅ。良いから帰りましょうよう」
弓「ハァ…致し方あるまい。では最後になったが長々とお付きあい頂き感謝する」
無「にひひ、またの邂逅をお待ちしておりますの。アデュー、もしかしたら私のマスターになり得るかもしれない可能性の誰かさん」

Re: 異端者は槍を構え運命を笑う ( No.56 )
日時: 2014/05/22 10:50
名前: 明星陽炎 (ID: RnkmdEze)

ねたねたー

腐れ外道と厭世作家

腐れ外道さん
本名未定
女性
情報屋
テンションの上下が激しい性格。興味の有無とかノリとかで仕事をしてる。一応魔術師、得意な魔術は使い魔の使役と強化、隠匿。
魔術師としてのスペックは低めだが起源のお陰で情報屋としては非常に優秀。
属性は風、起源は『陰事』。
主に取り扱う情報は俗に言う『ゴシップ』。噂の真偽を確かめたり、依頼によっては噂による嘘を真実に変える(相手を貶める)ことも。
真実よりもより面白い『ゴシップ』を求めており、仕事相手には正しい情報を売るが、それを『面白味に欠けるよね』と称している。
国歴不明、年齢は自称『華のアラサー』。茶髪に翠の瞳、特徴のない、というよりは目についても記憶に残らない顔立ち。
聖杯戦争に興味を抱き訪れた冬木で、キャスターのマスターとして第四次聖杯戦争に巻き込まれる。
「数多のニーズに応えて、利害の一致を売るだけさ」

キャスター
(エクストラCCC青キャスター)
男性
戦闘能力はそもそも皆無、更に低スペックなマスターに偶然の事故で参加したくもない聖杯戦争に召喚されたという中々に運が悪いサーヴァント。
マスターとの相性は標準。嫌いではないし好ましい方ではあるがぶっちゃけ苦手らしい。
「つくづく俺はマスターに恵まれんな!あれか、俺は変人ホイホイか……笑ってもいいぞ一同」

Re: 異端者は槍を構え運命を笑う ( No.57 )
日時: 2014/05/22 20:18
名前: 明星陽炎 (ID: w/AVokpv)

教えて☆アラヤン相談室!

無「うふふ、そんな訳ではじまりますわよ某相談室ノリで座談会!!司会進行、無銘師匠ですの!」
な「さっさと終わらせたい、ななしさん@かえりたいです」
無「弟子X号ー!?はっ、本家本元を鑑みるとこれはえっちゃんと呼ぶべきなんですか!?」
な「なにその理解不能な称号。というかわたしのポジショニングはゼッちゃんなの?」
無「不満でした?」
な「おおいにね」
無「解せぬ。まあさておき、此所アラヤン相
談室では私、無銘ちゃんが作者の裏資料とかネタ元とか裏話とか秘話とかぜーんぶ纏めて吊るしあげて晒してぷぎゃーくすくすするコーナーですの」
な「合言葉は『だって餅だから仕方ない』と『くすくす笑ってごーごー』」
無「そんなわけで!いきますわよ!!」

【無銘について】

無「キャッ☆早速私を赤裸々にひんむいちゃうんですね?!エロ同人みたいに!エロ同人みたいに!!」
な「やっぱりこの話は欠かせないかなって」
無「あれ、スルーですの?」
な「まずは製作理由。いわく『あの絶望に対抗できるレベルのチートキャラが欲しい』。餅は元々ドリーマーだしね。絶望も大好きだけど、大元に救えるキャラを救いたいってのもあったのは否めないんだ。だからこそのチートキャラ。でも此所が餅の面倒なところで、何処にでもあるようなチートも、強すぎるチートも嫌いだし、世界観を逸脱し過ぎるのも嫌いだから、出来たのがあれ」
無「阿頼耶識の端末にして意識の一部、そして自分の宝具でその気になれば世界を変えられるというチート。しかし性格や名前はブレブレ、かつスキル神性を持ってる相手には勝てない誓約付き……えっと、これ地味に敵多いですわよね?」
な「王様と青いランサーさん、大きい方のバーサーカーさんには勝てないね」
無「おふうっ……」
な「そしてこの愉快すぎて普通にウザい性格。コンセプトは『他人に全力で喧嘩を売る』。見知らぬ人に通り様に全力でラリアットかます感じで、あざとウザい言動を意識的にしてる」
無「じ、事実以外の何者でもねーですが面と向かって言われると腹立ちますわね……!」
な「性格のモデルはfate/extraのキャスター(青)……もとい、通称キャス狐とfate/extraCCCのラスボス、BB。この二人を足して二で割りきれなかった感じ。素がキャス狐で更にBBを足したら多分近い」
無「個性派っつーか個性が強すぎて逆に霞みそうな勢いですわね……」
な「まあ全力でウザいよね」
無「くうっ……」

【阿頼耶識について】

な「ところでfateあんまり知らないひとからするとそもそも『阿頼耶識』ってなに?ってことになるのだけども」
無「あぁ、ですわよねー。そも阿頼耶識とは、唯識思想により立てられた心の深層部分の名称であり、大乗仏教を支える根本思想ですの。それに準えて、人間の真相心理にある『死にたくない』という意識から生まれた、人類すべてと繋がっている自己防衛システムを概念としてそう呼んでいるのです。また、阿頼耶識の優先順位が人類の破滅回避なのに対し、人類を破滅させてでも星の存続を願うガイアと呼ばれるものもあります」
な「「人類という種を守る」というアラヤの抑止力の中にあって、英霊がその役目を担っているものを、「守護者」と呼ぶんだ。ただし、全ての英霊が「守護者」ではないの。名のある英霊は神性が高いなどの理由で、アラヤではなくむしろガイアよりの存在になっているそうだよ。逆に言えば「守護者」として該当するのは、「英霊を英霊たらしめている信仰心が薄い(つまり知名度の低い)英霊」、あるいは「生前に世界と契約を交わし、死後の自身を売り渡した元人間」なんだって……エミヤは後者だね。「人類の自滅」が起きるときに現界し、「その場にいるすべての人間を殺戮しつくす」ことで人類すべての破滅という結果を回避させる最終安全装置なんだ。自由意志を持たず、単純な『力』として世界に使役される存在。当該する人物……まあエミヤなんだけど……の言葉を借りれば、「体のいい掃除屋」「道具」であるらしいよ」
無「私はその守護者の概念として形を与えられた、『阿頼耶識』の意思の一部分ですの。そう考えると中々えらーい立場にいるということはお分かりいただけますよね?」
な「まあ中間管理職だけどね」
無「うぐっ」

【ななしについて】

な「そう言われても普通にこまるよね」
無「生年月日未定、年齢は18歳、身長体重その他身体的特徴は私と同じ、性格はひねくれていて卑屈、年齢不相応な達観をしてる引きこもりニート。と、言うのが主なデータですわね」
な「うんまあおおむねその通りだよね」
無「まあ知っての通り私……異端者の生まれ変わり……厳密には『抑止の守護者の概念』として不必要とされた部分を移す器、言わば平行世界のもう一人の私、ないし限りなく=に近い≒ですの。もちろんななしと言うのは渾名で本名は七紙新なながみあらた。ただし、本人がこの名前を名乗るのはあるイベントをクリアしてからになりますの。まあ餅はCCCのネタしかキチンと完成させてませんでしたから、月の裏側にいかない限りはななし呼びですわね」
な「元々、ななしって最初に呼び始めたのは青いランサーさん。七紙を読み間違えたの」
無「で、製作理由なんですが……『折角転生キャラにしたのにその設定をいかせなかったから』って、自分の技量不足棚上げして何してやがりますか!!」
な「バカな餅……」
無「ちなみに性格モデルはZero桜様だそう。なので時々酷く舌ったらずだったりしますの」
な「わたしあんなに無感情的ではないよ?」
無「まあ桜様だけではないんですけど、それ以外はちょっと原典が不明なので……」
な「なにそれ……」

無「と、字数制限が間近に!?残念ながら今回は此所でお別れですの!」
な「随時質問受け付けてます。気軽にお便りしてね?」
無「ではでは、」
無な「ぐっどないと!」

Re: 異端者は槍を構え運命を笑う ( No.58 )
日時: 2014/05/24 23:10
名前: 明星陽炎 (ID: w/AVokpv)

あまり関わらない人達と異端者。
小題は「創作お題Bot」より

【月の仔猫】ディルムッドと
——気紛れに此方を翻弄させて笑うそれのことを、猫のようだと思ったことがある。
本人に告げたら、彼女は月のような瞳を溢れそうなほど見開いて呆然としたようだった。
珍しいものを見たのだと、そう気付いた直後にはもう何時ものような薄笑い。
何だか惜しいような、そんな気迷いを振り切って彼女へ再び視線を向けた。
「バカなこと仰らないで下さいな」
月の光をその小さな背中に受けて、大きな月の瞳をゆるゆると細めた彼女。
しなやかで軽やかなその姿はやはり猫のようだと、柄にもなく口の中でもう一度呟いた。

【崩壊への経路】時臣と
「破滅への道は善意で舗装されている。ならば崩壊への道はどうなんでしょうねぇ」
世間話をするように、眠たそう唐突に投げられた問いに答える言葉を、生憎と私は持ち合わせていなかった。
アーチャーよりは従順、しかしともすればアーチャーよりも尚反抗的な銀色は、元より答えなど求めてはいなかったのだろう。此方を省みもせずに欠伸を溢すと、そのまま銀の粒子と消えた。
「ねえねえ、遠坂の魔術師様。いつぞや私のした質問を覚えています?」
霞み行く視界、遠退く音、しかし刺さるほど確りとこの鼓膜を震わす声に答える術を、生憎と私は持ち合わせていなかった。
アーチャーよりも尚反抗的、そしてともすればアーチャーよりも悪意に満ちた銀色は、元より答えなど求めてはいなかったのだろう。此方を省みもせずにくすくすと笑うと、そのまま黒い影を追い掛けていった。
「崩壊への道はね、悪意が切り裂くのですよ」
その言葉が脳漿にこびりついて離れない。

【別離への喝采】ウェイバーと
零れた涙を白い指先が一度だけ拭った。
俯いた頭をぐしゃりと撫でた武骨な温もりは、ほんの一瞬だけ残ってすぐ消えた。
目の前で翻った赤と銀は、やがて空の空気をかき混ぜるようにして光を放ちながら消えていった。
有り難うと呟いた声はもう届かない。
けれどこの別離に捧げるべきは、哀切ではなくて喝采だから。
僕はもう一度前を向いた。

Re: 異端者は槍を構え運命を笑う ( No.59 )
日時: 2014/07/07 23:28
名前: 明星陽炎 (ID: td1rF6tx)

七夕スペシャル!

笹の葉の揺れるさらさらという音が涼しげに響く。ぼうっとそれを見上げ、記憶の端で微笑んだ、あの壮麗な蒼を思い出す。
——あの天の川を、美しき孤高の王も見ているのだろうか。だなんて戯言を吐き出しそうになって、ゆっくりと頭を振った。
そう、それよりも。
それよりも、だ。

「何で私の座がこんなことになってるのか説明をしろ馬鹿息子」
「私の掠れに掠れまくった記憶と王様の持ってたポケ●ンカレンダーによると今日が七夕だからです!」

赤い空、歯車の音だけが響く乾いた荒野。剣の突き立つ丘。
それは跡形もなく、成りを潜めて。
紺碧の夜空に白く流れる天の川、一際輝く二つ星、広がる草原と流れる川。
——他人の心象風景をも歪める能力をこんなことに使うとは、本格的にこのチート娘は力の使い所を間違えている。
とりあえずその小さな頭に拳骨を叩き落とすと小さく悲鳴が聞こえたが、まあ無視してもいいだろう。

「いってえですのー! か弱い美少女に何しやがりますか!」
「ほう、筋力暫定B以上、耐久暫定C+以上、おまけに他人の心象風景を弄くる程度の能力の持ち主がか弱いと?」
「スミマセンデシタ」

鮮やかな土下座に苦笑。全くもって、彼女がここに来るようになってからの自分は些か強かさが増したような気もする。
緩やかに削れていく己も、同じくらい回復していくようで。もしかしたら其所の銀色と、あのあかいあくまが手を組んで何か仕組んだのやも知れぬ、細かいことを考えたら負けなのかも知れないが。

「始めているか雑種共ー!」
「おいまてギルガメッシュ、ちょま、首が……!」
「はっはっは、久しいな一同」

と、聞こえたのは聞き慣れぬ/聞き慣れた声。
その正体に思い至り思わず顔を歪めた己と、対照的に満面の笑みを浮かべる銀色。

「どうもですの王様、兄貴、神父様!」
「この我に足労を求めたのだ、少しは見れる祭にしたのだろうな、異端者よ?」
「おい馬鹿息子! 幾らなんでもコイツに俺の迎えやらせなくたっていいじゃねぇか! 天の鎖で縛り上げられて死ぬかと思ったんだぞ割と真面目に!!」
「我々は既に生きてはいないだろうが、相変わらず頭の回らぬ駄狗だな。そうだからお前の槍は当たらんのだ。さておき招待に感謝しよう」

ギルガメッシュ、クー・フーリン、そしてコトミネ。そのある意味伝説的な組み合わせの三人が揃って、自らの傍らにいる少女へと口々に言いたい放題を言っている。
元々アラヤ側の英霊である反英霊、コトミネはともかく。

「何故大英霊殿がこんな辺境に来ているのかね」
「あ、それは私がむかぁしに、退屈が過ぎて何気に分霊にゲームとか持ち帰らせてる王様の座とアラヤを結ぶショートカットを作ったからですわね。なので王様の座からなら此所に自由に出入りできると。それもあって王様に兄貴のお迎えを頼んだのですの」
「うむ、存外に便利よ」
「……異端者よぉ、お前本当に無駄にチートだなオイ」

ふんす、とどや顔をして見せる銀色に気概が削がれる。全く、無邪気というか欲望のままにとんでもないことをやらかすこの戯けめは、よくまああのシステムに消されぬものだと思う。まあ実際、知らぬは本人ばかりであのシステムにある限られた人間らしさが、あの銀色を『愛娘』と認識しているうちはあの銀色が消失することなど在りはしないのだが。

「まあまあ、そんなことよりはいどうぞ!」

ふと、掌の中に押し付けられたのは長方形に切られた薄い色紙。青のそれを見つめ首を傾げる光の御子、黄色を渡され不満げな英雄王、薄墨を掲げてにやにやと笑う神父。
そして、己に渡された紅。

「何だぁ、こりゃ」
「何故金色でないのだ!」
「薄墨とは……これは寧ろ私より『彼女』の色な気もするが」
「王様うるせぇですの。兄貴、それに願い事を書いて笹に吊るすのですよ。あと神父様はほら、黒だと文字見えませんし」

にっこりと笑顔。三人にそれぞれ返答をすると、銀色は白い短冊に更々と黒のサインペンを走らせた。
その姿にややあってから光の御子が文字を書き出し、唇を尖らせつつも英雄王も金色のラメペンで文字を書く。神父は時折考え込むようにしながら筆ペンを走らせた。
そして、そこまで見てから己も躊躇いながらペンを取り、文字を書く。
願い事、願い事……。
考えれば出てこないのも必定、己殺しもとうに諦め、世界平和というのも何か違う。
ややあって書き上げたそれを、そっと隠すように笹に吊るしたのは、騒いでいた金銀青には気付かれてはいないであろう。


どんちゃん騒ぎの傍ら、彼らをしてあかいあくまと称される彼女は肩を竦めて見せた。

「全く。人が『セイバー』とアラヤの契約の解除とかアヴァロンからの解放とかで駆け回ってるってのに呑気なものよねぇ。後でガンドでもかましてやろうかしら」

一人で嘯き、はぁと息を吐き出す。

「ま、やったらヘレシーに泣かれそうだし。奴等の願い事を見るだけで勘弁してやりますか……どれどれ?」

長い黒髪と赤いコートを揺らし、笹の葉にかけられた願い事を読み上げていく。
本人たちがいたら『まさにあくま!』と言われかねない所業だが、生憎と当人達は増え始めた人を捌くのとメシウマ二人の本気の料理を貪るのに手一杯な様子で、彼女に気付いてもいない。

「あ、あった。なになに……『愉悦』って、あの糞神父はどの時空でもそれか! 次は……うわ字ぃ汚っな! 『我を愉しませるもの』? あの金ぴかは糞神父とさして考えることは変わらないのね……知ってたけど。あ、これランサーのじゃないかしら……『脱幸運E』って、必死ねぇアイツも」

けらけらと笑いながら彼等のそれぞれの願いを読んでいく。
夫婦円満、王に土下座したい、世界征服、ご主人様が振り向きますように、奏者を余が娶る、主ごめんなさい、聖処女ラヴ、DT言うな……etc。
中には『それ願い事ちゃう』と突っ込みたくなるものもあったが、概ね我欲に忠実なそれらに彼女も苦笑。
やれやれ、と隠されるように吊るされた白と赤の短冊に目を向ける。

「……これ、多分ヘレシーとアーチャーのよね?」

寄り添うように並べられた短冊に書かれた言葉に、今度こそあかいあくまは微笑んだ。

「『みんなの願いが叶いますように』なんて。全くもう、お人好しよねぇ……アイツらも」

ま、私も人のことは言えないか。
そう呟いて、彼女は懐から取り出したルビーを空へと放った。
魔力の込められた赤い宝石は、花火のように一瞬だけ煌めいて、夜空を彩ると砕けて消えた。
其処に込められた願いを知るものは、彼女以外に居はしない。

【流れる美空に星は瞬き】
(願いよ届けと英雄は詠う)

お題提供……創作お題Bot@君は空を知らない


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