二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 作者とオリキャラとカオスな仲間たちの日常【リメイク】
- 日時: 2019/08/01 08:44
- 名前: 葉月 (ID: 9Urj1l4Z)
- 参照: 古いものはこちらに移動します
みなさんどうも葉月です。日常ですけど、古いヤツは打ち切りにして、新たに作り直します。今まで応募した人はこのまま続投しますが、実況とか、完結したものとかもこちらに移します。移す作業は大変ですが、今まで更新したものを移動させますのでよろしくです。
未完のまま更新停止してるものは、途中まで完成してるものをこちらに移して、新たに書きますね。
無論、新しく思いついたネタも書きますのでよろしくお願いします。
また、日常における長編も後日投稿しますのでよろしくです。
【もく〜じ(°∀°)】
目次1 >>
【実況シリーズ】
「単発・中編」
赤ずきんDS(完結) >>1-4
三分間(完結) >>47-50
「長編」
「でっていうストーリー」
part1 >>16-17
part2 >>26-27
「オンドゥルカービィ」
はるかぜ編(完結) >>28-32
ダイナブレイド編 >>55(更新中)
グルメレース編 >>
洞窟大作戦編 >>
メタナイトの逆襲編 >>
銀河に願いを編 >>
格闘王への道 >>
大王の逆襲編 >>
ヘルパーマスターへの道編 >>
メタナイトでGO!編 >>
真・格闘王への道編 >>
「魔女の家」
part1 >>5-9、>>11、>>13
part2 >>18-25
part3 >>159-167
「いちろ少年忌憚」
part1 >>184-187(更新中)
【演じてみた】
スマブラX「亜空の使者」
part1 >>33-34
part2 >>192-193
part3 >>196-197
part4 >>198-199
part5 >>200
part6 >>201
part7 >>202
part8 >>203
part9 >>204
スマブラFor「ForのPV」
ロックマン編 >>205
ロゼッタ&チコ編 >>206
リザードン&ゲッコウガ編 >>207
【TRPGシリーズ】
「ダブルクロス編」
説明 >>74-80
キャラ紹介 >>81-85
「ネクロニカ編」
組み分けと説明とドール作成 >>86-94
@キャラクター紹介@
桃組 >>95-97
赤組 >>98-100
黄色組 >>101-102、>>104
【短編】
「ミリしらシリーズ」
第一回「初音ミク編」 >>149-154
「ゆっくり達の絶対に検索してはいけない言葉」
その1 >>174-175
その2 >>176-179
その3 >>190-191
「没ネタ・NG集」
「モジモジくんシリーズ」
パート1 >>210-215
【中編】
「ドッキリ」
・殺し合え、狂気の果てまで ・
設定 >>35
本編(シリアス) >>36-39
裏側(カオス) >>40-46
「お願いだからここから出してちょんまげwww」※2ちゃんネタ
コテハン >>194
本編 >>188-189
「ループもの」
『繰り返す悲劇』
はじめに >>155
設定 >>156
配役&登場人物紹介 >>157
「料理対決シリーズ」※戦慄とか恐怖とかで察してください
戦慄! 恐怖のクッキングバトル
>>290-292
>>294-299
>>300-305
恐怖再び! 戦慄のクッキングバトル >>
悪夢三度!? 恐怖のクッキングバトル >>
もはや地獄!? 四度目のクッキングバトル >>
ゲストも出るよ! 五度目のクッキングバトル >>
ゲストもいるよ! 六回目のクッキングバトル! >>
ゲテモノ大集結!? 七度目のクッキングバトル! >>
裏も修羅場な七回目のクッキングバトル >>
スマブラファイターズだけのクッキングバトル! >>
料理対決プロトタイプ >>
ポップンキャラ達の料理対決 >>
刀剣男士の男の料理 >>
艦娘の料理対決 >>
眠れる王子が料理対決をするようです。 >>
やる夫が料理対決をするようです。 >>
「着ぐるみ大運動会シリーズ」
*第一回*
*第二回*
*第三回*
【長編】
「君と繋ぐ運命」
・共通・
設定 >>68-69
語り継ぐ物 >>70 NGシーン >>71
プロローグ >>72
・木実編・
動き出す脅威 >>169-172 NGシーン >>173
・純編・
・早希&椎奈編・
「希望の光と絶望の闇」
「逃走中をやるのだよ」
設定 >>56
予告編 >>57
本編1 >>58-63
2 >>64-67
「断章のグリムパロ」※Rー15G
『悪夢の断章 ーおとぎの鎮魂歌ー』
『設定集』
はじめに&用語集 >>16(用語集は全国共通ウサ)
童話一覧 >>107(童話も全国共通ウサ)
登場作品一覧 >>108
『本編』
【灰かぶり編】
プロローグ的な何か >>120-124
『ポップン×ぷよぷよの断章』
『はじめに・登場人物』
登場人物紹介 >>113
『本編』
【赤ずきん編】
プロローグ >>118-119
『やる夫が断章のグリムをやるようです』
『はじめに・登場人物』
登場人物紹介 >>115
『本編』
【赤ずきん編】
プロローグ >>116-117
『スマブラで断章のグリムパロ(仮)』
『はじめに・登場人物』
登場人物紹介 >>114
『本編』
【白雪姫編】
プロローグ >>125-132
『作者達の断章』
『本編』
【眠り姫編】
プロローグ >>133-134
「戦うお正月シリーズ」
1 >>139-146
【小ネタ】
「作者オンリーのお話」
その1 >>51、>>73
その2 >>112、>>195
「室ちんチャレンジシリーズ」
メントスコーラ編 >>109
「LINEネタ」
スマブラのアフレコについて >>208-209
お花見しようず! >>110-111
ある日の日常 >>
「没ネタ・NG集」
「もちもち刀剣男士」
もちんばともちちか >>226
膝丸ともちちか >>227
「リョータくんとショーゴくん」
【TX作・作者と愉快な仲間たち!番外編】
*募集*
逃走中シリーズ >>147
バトロワ >>148
作者メイン >>168
タグ:多重クロスオーバー、オリキャラ、無双シリーズ、戦国BASARA、リリカルなのは、スマブラ、ひぐらし、ダンガンロンパ、千メモ、FF、王国心、ポップン、黒子のバスケ、版権
ギャグ、カオス、シリアス、キャラ崩壊・オリジナル設定あり
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- 断章のグリムパロ ( No.118 )
- 日時: 2016/06/03 19:19
- 名前: 葉月 (ID: kgjUD18D)
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さぁ、今回はこのお話をいたしましょう。
最初の話は『赤ずきん』。
昔、小さなかわいい女の子がいました。その子を見た人は誰でもその子が好きになりました。
でも、その女の子を一番好きだったのはおばあさんで、その子に何をあげたらいいのか
わからないほどでした。
あるときおばあさんは、女の子に赤いビロードでできたずきんをあげました。
そして、そのずきんはとてもよく似合って、女の子はそれしかかぶろうとしなくなったので、
赤ずきんと呼ばれるようになりました。ある日、お母さんが赤ずきんに言いました。
「おいで、赤ずきん。ここにケーキとぶどう酒の入った瓶があるわ。
これを、おばあさんに届けてちょうだい。おばあさんは病気で弱っているの。
これで、おばあさん、元気がでるわ。ちゃんとお行儀よくして、私からよろしく言ってね。
きちんと道を歩いて、横道にそれるんじゃありませんよ。
そうしないと、ころんでビンを割ってしまいますからね。
そうしたら、病気のおばあさんにあげるものがなくなってしまうでしょ」
赤ずきんは、ちゃんと言われたようにする、とお母さんに約束しました。
おばあさんは、遠くの森の中に住んでいました。村からは30分かかりました。
森の奥にはいると、赤ずきんは狼に会いました。
けれども赤ずきんは、それがどんなに悪い動物であるか知らなかったので、狼をこわがりませんでした。
「こんにちは、赤ずきん」−「まあ、こんにちは、狼さん」−
「こんなに朝早く、どこに行くんだい、赤ずきん」−「おばあさんのところよ」−
「前掛けの下に何をもっているんだい?」−「おばさんは病気で身体が弱っているの。
それで、ケーキとぶどう酒を持っていってあげるのよ。昨日うちでケーキを焼いたの。
おばあさんに元気になってもらわなくてはね」−
「赤ずきん、おばあさんはどこに住んでいるんだい?」−
「森のあと15分はたっぷり行ったところよ。3本の大きなぶなの木の下におばあさんの家はあるの。
下には胡桃の茂みがあるから、行けば分かるわ」
と、赤ずきんは言いました。
狼は、こいつの脂ののったいかしたごちそうだぞ、どうやってかかれば、
ものにできるかな、と心の中で思いました。
「ねえ、赤ずきん」狼は言いました。
「森のきれいな花を見なかったのかい。どうして、まわりを眺めてみようとしないんだい。
どんなに小鳥たちが愛らしく歌っているのか、聞こうともしないじゃないか。
わき目もふらずに歩いて、まるで村の学校に行く時みたいだな。森の中はこんなに愉快だっていうのに」
赤ずきんは目を上げて、お日様が木々の間から差し込むのを見ました。
きれいな花がたくさん咲いているのも見ました。
赤ずきんは「まあ!おばあさんに花束を持っていってあげたら、きっと喜ぶわ。
まだ早いから間に合うわね」と思いました。
そして花をさがしに森の中へかけていきました。
そして1本の花を折ると、あそこへ行けばもっときれいなのがあると思って、
花を追ってどんどん森の奥へ走っていきました。
けれども狼は、まっすぐおばあさんの家へ行き、扉をノックしました。
「そこにいるのは誰だい?」−「赤ずきんよ。おばあさんにケーキとぶどう酒
を持ってきたのよ。開けてちょうだい」−「扉のをお下げ」おばあさんは言いました。
「体が弱って起き上がれないんだよ」狼がを下げると、扉はぱっと開きました。
狼は中に入り、まっすぐおばあさんおベッドへ行き、おばあさんを呑みこんでしまいました。
それから狼はおばあさんの服を取り、それを着ると、おばあさんのボンネットをかぶり、
おばあさんのベッドに横になって、ベッドの前のカーテンを閉めました。
一方、赤ずきんは花をさがしてあちこち走り回り、もうそれ以上持ちきれなくなると、
やっとおばあさんの家に向かいました。
やってきてみると、扉が開いていたので、赤ずきんは不思議に思いました。
そして部屋の中へ入ると、なんだかいつもとは違って見えました。
赤ずきんは「どうしたのかしら、今日はとっても恐ろしい気がするわ。
いつもはおばあさんのところに来るのがうれしいのに」と思いました。
それから赤ずきんはベッドのことろに行くと、カーテンを開けました。
するとおばあさんは、ボンネットを深くかぶり、おかしな様子をしていました。
「まあ、おばあさん。なんて大きな耳をしているの!」−「おまえがよく聞こえるようにね」−
「まあ、おばあさん。なんて大きな目をしているの!」−「おまえがよく見えるようにね」−
「まあ、おばあさん。なんて大きな手をしているの!」−「おまえをよく抱けるようにね」−
「でも、おばあさん。なんてものすごく大きな口をしているの!」−「おまえがよく食べられるようにね」
そう言うと、狼はベッドから跳び出て、かわいそうな赤ずきんにとびかかり、呑み込んでしまいました。
狼は脂ののったごちそうを食べてしまうと、またベッドに横になり、
すごいいびきをかき始めました。
ちょうど猟師が通りかかり、どうしておばあさんがあんないびきを
かいているのだろうか、ちょっと様子を見なくては、と思いました。
そこで中に入り、ベッドの前に来ると、そこには猟師が長いことさがしていた
狼が横になっていました。
こいつがおばあさんを食べたにちがいない、ひょっとしたらまだ救け出
せるかもしれない、銃で撃つのはやめよう、と猟師は考えました。
そこで猟師ははさみを取り、狼のお腹を切り開きました。
2、3度チョキチョキとやると、赤いずきんがちらちら見えました。
もうすこし切ると、女の子が跳びだしてきて言いました。
「ああ、びっくりした。狼のおなかの中って、なんて真っ暗なんでしょう」
それから、おばあさんも生きて出てきました。
赤ずきんは、大きな重たい石を拾ってきて、狼のお腹に詰めました。
狼は目を覚ますと、跳んで逃げようとしましたが、石があまり重かったので、倒れて死んでしまいました。
それで3人とも満足しました。猟師は、狼の毛皮をはぎました。
おばあさんは赤ずきんの持ってきたケーキを食べ、ぶどう酒を飲みました。
そして、赤ずきんは心の中で思いました。
「もう一生、お母さんにいけないって言われたときには、ひとりで道からそれて、森に入ったりしないわ」
- 断章のグリムパロ ( No.119 )
- 日時: 2016/06/03 19:24
- 名前: 葉月 (ID: kgjUD18D)
続きですの
こんな話しもあります。あるとき、赤ずきんが、またおばあさんに焼き菓子を
持っていった時、別の狼が赤ずきんに話しかけ、道からそれさせようとしました。
けれども赤ずきんは用心をして、さっさと先へ行きました。
そしておばあさんに、狼に逢ったこと、狼がこんにちはと言ったけれど、
目は意地悪そうだったことを話しました。
「往来の真ん中でなかったら、食べられていたわ」−「おいで」と、おばあさんは言いました。
「狼が入ってこられないように、扉に鍵をかけましょうね」
それから少しして、狼が扉をたたいて、大きな声で言いました。
「開けてちょうだい。おばあさん、赤ずきんよ。おばあさんに焼き菓子を持ってきたわ」
けれども赤ずきんとおばあさんは、黙っていて、扉を開けませんでした。
すると悪い狼は、何度も家のまわりを歩き、とうとうしまいには、屋根に飛び上がりました。
そして、晩になって赤ずきんが家に帰るまで待って、こっそりあとをつけて、暗闇で食べてしまうつもりでした。
けれどもおばあさんには、狼の考えていることがわかりました。家の前には大きな石の桶がありました。
「赤ずきんや、バケツを持っておいで。おばあさんね、きのうソーセージをゆでたんだよ。
そのソーセージをゆでた水を、石の桶に運んでおくれ」
赤ずきんは、大きな大きな石の桶がすっかりいっぱいになるまで水を運びました。
すると、ソーセージの香りが狼の鼻に上がっていきました。
狼はくんくん匂いを嗅ぎ、下を見ました。
そして、首をあまり長く伸ばしたため、とうとう持ちこたえることができなくなり、
ずるずると屋根から滑り落ちて、ちょうどあの大きな桶の中に落ちてしまい、溺れ死んでしまいました。
赤ずきんは喜んで、無事に家に帰りました。
グリム童話参照——
僕たち人間とこの世界は、〈神の悪夢〉によって常に脅かされている。
神は実在する。全ての人間の意識の遥か奥、集合無意識の海の深みに、神は確かに存在している。
この概念上『神』と呼ばれるものに最も近い絶対存在は、僕ら人間の意識の遥か奥底で有史以来ずっと眠り続けている。眠っているから僕たち人間には全くの無関心で、それゆえ無慈悲で公平だ。
あるとき、神は悪夢を見た。
神は全知なので、この世に存在するありとあらゆる恐怖を一度に夢に見てしまった。
そして神は全能なので、眠りの邪魔になる、この人間の小さな意識では見ることすらできないほどの巨大な悪夢を、切り離して捨ててしまった。捨てられた悪夢は集合無意識の海の底から泡となって、いくつもの小さな泡に分かれながら、上へ上へと浮かび上がっていった。
上へ————僕たちの、意識へ向かって。
僕らの意識へと浮かび上がった〈悪夢の泡〉は、その『全知』と称される普遍性ゆえに僕らの意識に溶け出して、個人の抱える固有の恐怖と混じりあう。
そしてその〈悪夢の泡〉が僕らの意識よりも大きかった時、悪夢は器をあふれて現実へと漏れ出すのだ。
かくして神の悪夢と混じりあった僕らの悪夢は、現実のモノとなる。
————————甲田学人「断章のグリム」シリーズより引用
- 断章のグリムパロ ( No.120 )
- 日時: 2016/06/03 19:31
- 名前: 葉月 (ID: kgjUD18D)
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さぁ、今回はこのお話をいたしましょう。
最初の話は『灰かぶり』。
昔、ひとりのお金持ちの男がいました。男は妻と一人娘と幸せに暮らしていましたが、やがて妻は病気になり、死の床に就きました。
最期の時、母は娘を呼んで言いました。
「かわいい子、私はおまえを置いて逝かなければなりません。
でも天国に行ったら、おまえのことを上から見ていますよ。私のお墓の上に小さな木を植えなさい。そして、なにか欲しいものがあったら、その木を揺すりなさい。それにおまえに困ったことがあったら、助けを送りますからね。だから、いい子にしていらっしゃい」
そう話すと、母は目を閉じ、死んでしまいました。子どもは泣いて、小さなハシバミの木を1本、お墓の上に植えました。その木に水をやるのに水を運ぶ必要はありませんでした。なぜなら、子どもの涙で十分でしたから。
雪がお母さんのお墓に白いハンカチをかぶせ、太陽が再びそれをはがし、お墓に植えた木が二度目に緑になったとき、男は別の女を妻にしました。この継母には、最初の夫との間に娘がふたりありました。ふたりは顔は美しかったのですが、心は高慢でうぬぼれが強く意地悪でした。
結婚式がとり行われ、この三人が家にやってくると、子どもにとってつらい時が始まりました。
「ろくでもない役立たずが、居間で何をしているんだい」と、継母は言いました。
「とっとと台所へ行きな。パンが食べたきゃ、まずその分働くんだね。わたしたちの女中になればいいんだ」
それから継姉さんたちは娘の洋服を取り上げ、古い灰色の上着を着せました。
「おまえにはこれがお似合いさ」と言って、ふたりの継姉さんたちはその子をあざ笑い、台所へ連れて行きました。そこでかわいそうな子どもは骨の折れる仕事をしなければなりませんでした。日の出前に起き、水を運び、火を起こし、食事の支度をし、洗濯をしなければなりません。その上継姉さん達は、ありとあらゆる心痛を与えたり、あざけったり、灰の中にえんどう豆やレンズ豆をあけたりしたので、子どもは1日中座り込んで、豆を選り分けなければなりませんでしたし、疲れても、夜、ベッドに入ることはできず、暖炉の脇の灰の中に寝なければなりませんでした。そして、そうやっていつも灰とほこりの中をはいずりまわり、薄汚く見えたので、灰かぶりアッシェンプッテルと呼ばれるようになりました。
ある時、王様が舞踏会を催し、舞踏会はきらびやかに3日間続くことになりました。この舞踏会では王子のお妃を選ぶのです。舞踏会には、ふたりの高慢な姉さん達も招かれました。
「灰かぶり!」
姉さん達は呼びつけました。
「上がっといで。わたしたちの髪をとかして、靴にブラシをかけるのよ。そして、しっかりと靴紐をお結び。あたしたち、舞踏会の王子様のところへ行くのよ」
灰かぶりは一生懸命に、できるだけきれいに姉さんたちをおめかしさせました。けれども継姉さんたちは、灰かぶりを叱りつけてばかりで、支度がすむと、あざけるように聞きました。
「灰かぶり、おまえも一緒に舞踏会に行きたいわよね?」
「ええ、それはもう。でも、どうやって行けばいいのかしら。わたしにはドレスがないのですもの」
「ドレスがなくて良かったのよ」上のお姉さんが言いました。
「お前が舞踏会に行ったら、あたしたち、恥をかくところさ。おまえが私たちの妹だなんて、ほかの人たちに聞かれでもしたらね。
おまえは台所にいればいいんだ。ここに鉢いっぱいのレンズ豆があるから、あたしたちが帰ってくるまでに、これを選り分けておくのよ。悪いのが混ざらないように、よく気をつけてね。さもないと痛い目にあうからね」
そう言うと、姉さん達は出かけてしまいました。灰かぶりは、立ってふたりを見送りました。そして、何も見えなくなると悲しい気持ちで台所に行き、かまどの上にレンズ豆をあけました。豆は大きな山になりました。「ああ」と、灰かぶりはため息をつきました。
「これでは真夜中まで選り分けていなければならないわ。眠ることもできやしない。まだまだ苛められるのかしら。このことをお母さんがご存知だったら!」
灰かぶりがかまどの前の灰の中にひざまずき、豆を選り分けようとした時、白い鳩が2羽、窓から飛び込んできて、かまどの上の豆の横に降り立ちました。
「灰かぶり、レンズ豆を選り分けるのを手伝おうか?」
灰かぶりがうなずくと、鳩は声をそろえて歌い始めました。
悪いお豆はおなかの中へ
良いお豆はお鍋の中へ
そうして、こつ、こつ! とついばみ、悪い豆は食べてしまい、良い豆だけ残しました。15分後にはレンズ豆はすっかりきれいに選り分けられ、ひとつだって悪いのは混じっていなかったのです。灰かぶりはその豆を鍋に入れることができました。更に、鳩達は言いました。
「灰かぶり、姉さんたちが王子様と踊るところが見たいなら、鳩小屋の上にお上がりよ」
灰かぶりは鳩達の後についていき、はしごの最後の段まで登りました。するとお城の大広間が見え、姉さんたちが王子と踊っているのが見えました。何千ものろうそくがきらきら光り輝いています。灰かぶりはじっくり眺めると、鳩小屋から降りました。気持ちが沈んで、灰の中に横になって眠ってしまいました。
- 断章のグリムパロ ( No.121 )
- 日時: 2016/06/03 19:31
- 名前: 葉月 (ID: kgjUD18D)
次の朝、ふたりの姉さんたちは台所に入ってくると、灰かぶりがレンズ豆をすっかりきれいに選り分けてあるのを見て、腹を立てました。姉さんたちは、灰かぶりを叱り飛ばしたかったのです。しかし、そう出来ないので、舞踏会の話を始めました。
「灰かぶり、とても楽しかったわよ。踊りの時、王子様は あたし達をリードなさったのよ。あたし達のどちらかがお妃になるのよ」
「そうね」灰かぶりが言いました。
「わたし、ろうそくが輝いているのを見たわ。さぞかし華やかだったことでしょうね」
「なんですって! おまえ、どうやって見たの」
「わたし、鳩小屋の上に立っていたのよ」
これを聞くと、上の姉さんはすぐに鳩小屋を取り壊させました。
そして灰かぶりはまた姉さんたちの髪をとかし、おめかしさせなければならなくなりました。すると、まだ少しだけ心の中で同情していた下の姉さんが言いました。
「灰かぶり、あんた、暗くなったらお城に来て、窓から見ればいいんだわ!」
「およしったら」上の姉さんが言いました。「そんなことさせたら、灰かぶりが怠け者になるばっかりさ。ここに袋いっぱいのそら豆がある。灰かぶり、これを良い豆と悪い豆に選り分けるんだよ。怠けるんじゃないよ。明日になってもきれいに選り分けていなかったら、この豆を灰の中にぶちまけてやるからね。全部選り分けるまでは、何も食べさせてやらないよ」
灰かぶりはしょんぼりとかまどの上に座り、そら豆を開けました。そこへ、またあの鳩たちが飛び込んできて、親しげに言いました。「灰かぶり、そら豆を選り分けてあげようか」
悪いお豆はおなかの中へ
良いお豆はお鍋の中へ
こつ、こつ! こつ、こつ! まるで、手が十二もあるような速さです。全部片付けてしまうと、鳩達は言いました。
「灰かぶり、あなたも舞踏会に行って踊りたい?」
「まあ、なにを言うの。こんな汚い服で、舞踏会なんて行けないわ」
「お母さんのお墓の木のところへ行って、木を揺すって、素敵なドレスをお願いしてごらん。でも真夜中までには戻ってくるんだよ」
そこで灰かぶりは表へ出て、小さな木を揺すりながら言いました。
ハシバミさん
ゆらゆら、ゆさゆさ、体を揺すって
金銀を落として
灰かぶりがそう言い終えたか終えないうちに、きらびやかな銀のドレスが灰かぶりの前にありました。それに、真珠、銀の飾り縫いのついた絹の靴下、銀の靴、そのほかに必要なものがなにもかもありました。
灰かぶりは、それをみんな家に持って帰りました。そして体を洗い、ドレスを着ると、露に洗われたバラのように美しくなりました。
灰かぶりが玄関の前に出てみると、羽飾りをつけた黒馬六頭立ての馬車があり、青と銀の服を着た召使いもいて、灰かぶりを抱き上げ、馬車に乗せました。そして駆け足で王様とお城へと向いました。
王子は、馬車が門の前に止まるのを見て、知らない姫がやって来た、と思いました。そこで自ら階段を降りて、灰かぶりを馬車から降ろし、大広間へと連れて行きました。そして何千ものろうそくの明かりに照らされると、灰かぶりは誰もが驚くほど美しくなりました。
継姉さんたちもそこにいて、自分達よりも美しい者がいることに腹を立てました。けれどもそれが、家で灰にまみれている灰かぶりだとは決して思いませんでした。
王子は灰かぶりと踊り、お姫様にふさわしくもてなして、心の中で思いました。
——花嫁を選ぶなら、この人以外に考えられない。
長い長い間、灰と悲しみの中にいた灰かぶりは、今や華やかさと喜びの中にいました。けれども真夜中になると、時計が12時を打つ前に、灰かぶりは立ち上がり、お辞儀をして、どんなに王子が頼んでも、もうこれ以上はいられない、と言いました。
そこで王子は、灰かぶりを下まで送りました。下では馬車が待っていて、やってきた時と同じように華やかに走り去りました。
灰かぶりは家に着くと、再びお母さんのお墓の木のところに行きました。
ハシバミさん、
ゆらゆら、ゆさゆさ、体を揺すって!
ドレスをもとに戻しておくれ!
すると木は、再びドレスを取り上げました。灰かぶりは、もとの灰の服を着ました。そして家に戻ると、顔をほこりだらけにして、灰の中に横になりました。
切ります。
- 断章のグリムパロ ( No.122 )
- 日時: 2016/06/03 19:35
- 名前: 葉月 (ID: kgjUD18D)
次の朝、姉さんたちがやってきましたが、機嫌が悪い様子で口もききませんでした。灰かぶりが言いました。
「姉さんたち、昨夜は楽しかったのでしょうね」
「とんでもない。お姫様がひとりやって来て、王子様はそのお姫様とばかり踊っていたのよ。でも誰もそのお姫様を知らなくて、どこから来たのか、誰にも分からないの」
「その方ってひょっとしたら、黒馬6頭立ての立派な馬車に乗ってた方?」
「お前、どうしてそれを知っているの?」
「戸口に立っていたら、その方が通り過ぎていくのが見えたのよ」
「これからは、仕事から離れるんじゃないよ」上の姉さんが怖い顔で灰かぶりを見ました。
「どうして戸口なんかに突っ立ってなきゃならないのさ」
灰かぶりは、三日目もふたりの姉さんたちにおめかしをさせなければなりませんでした。そしてご褒美に、姉さんたちはえんどう豆を一鉢、灰かぶりにくれました。それをきれいに選り分けろ、と言うのです。「ずうずうしく仕事から離れるんじゃないよ」と、上の姉さんはうしろからどなりさえしました。鳩達さえ来てくれたら、と灰かぶりは思いました。そして心臓が少しどきどきしました。すると鳩達が前の晩のようにやってきて、言いました。
「灰かぶり、えんどう豆を選り分けてあげようか?」
悪いお豆はおなかの中へ
良いお豆はお鍋の中へ
鳩達はまた、悪いお豆をついばんでよけ、片付けてしまいました。鳩達は言いました。
「灰かぶり、小さな木を揺すってごらん。もっときれいなドレスを落としてくれるよ。舞踏会にお行き。でも真夜中までには帰るように気をつけるんだよ」
灰かぶりは小さな木のところへ行きました。
ハシバミさん
ゆらゆら、ゆさゆさ、体を揺すって
金銀を落として
すると、この前よりずっと華やかで、ずっときらびやかなドレスが落ちてきました。なにもかも金と宝石でできていました。金の飾り縫いのある靴下と金の靴もありました。灰かぶりがそのドレスを着ると、真昼の太陽のようにきらきら輝きました。
玄関の前には6頭の白馬を引く馬車が止まっていました。馬達は丈の高い白い羽飾りを頭につけており、召使い達は赤と金の服を着ていました。
灰かぶりがお城に着くと、王子がもう階段で待っていて、灰かぶりを大広間に連れて行きました。
昨日、人々はこの姫の美しさに驚きましたが、今日はもっと驚きました。姉さんたちは大広間の隅に立って、嫉妬のあまり青ざめていました。もし姉さんたちが、その姫が家で灰まみれになっている灰かぶりだと知っていたなら、妬ましさのあまり死んでいたでしょう。
王子は、この見知らぬ姫が誰なのか、どこから来てどこへ帰るのか知りたかったので、家来達を通りに立たせて、よく見張っているように命じていました。そして灰かぶりがあまり速く走り去ることができないように、階段にベタベタするチャン(木材を燃やす時に発生するガスが液化した油カスのようなもので、かまどや煙突の内側にくっついている。粘性があり黒い。あるいは接着剤として用いる蜜蝋のこと)を塗らせました。
灰かぶりは王子と踊りに踊って、楽しさのあまり真夜中までに帰らなければならいことを忘れていました。
突然、踊りの真っ最中に灰かぶりは鐘の音に気付きました。そして鳩達の忠告を思い出し、驚いて急いで扉から出て、飛ぶように階段を駆け下りました。ところが、階段にはチャンが塗ってあったため、金の靴の片方がくっついて脱げてしまいました。けれども、灰かぶりはその靴を拾おうとは思いませんでした。
灰かぶりが階段の最後の段まで来た時、鐘が12回鳴り終えました。すると馬車も馬も消え、灰かぶりは自分の灰まみれの服を着て、暗い通りに立っていました。
王子は灰かぶりの後を急いで追いました。階段のところで金の靴を見つけ、はがして拾い上げました。けれども王子が下まで来ると、なにもかも消えてなくなっていました。見張りに立っていた家来達も、何も見なかった、と報告しました。
灰かぶりは、それ以上ひどいことにならずにすんで良かった、と思いました。
そして家に帰ると、自分のほの暗い小さな石油ランプに火をつけ、煙突の中に吊るし、灰の中の横になりました。
まもなく、ふたりの姉さんたちも帰ってきて、「灰かぶり、起きて明かりを持ってきてちょうだい」と、大きな声で言いました。灰かぶりはあくびをし、まるで起きたばかりのようなふりをしました。
けれども明かりを持っていくと、姉さんのひとりが話しているのが聞こえました。
「あのいまいましいお姫様は、誰だか分かったもんじゃないわ。くたばっちまえばいいのに。王子様は、あのお姫様としか踊らなかった。そしてお姫様がいなくなると、王子はもうその場にいる気がなくなって、舞踏会もおしまいになってしまった」
「まるで、ろうそくがみんな、一度に吹き消されたようだったわね」と、もうひとりの姉さんが言いました。
灰かぶりは、その見知らぬ姫が誰なのか知っていましたが、一言も言いませんでした。
切ります。
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