二次創作小説(新・総合)
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- 嫁でクロスカプ&クロスコンビSS集
- 日時: 2024/01/13 12:44
- 名前: 琴葉姫 ◆KXLt9XXgaQ (ID: MDsdSaXn)
お久しぶり?です。そうでない方は初めまして。琴葉姫(ことはひめ)です。
カキコの治安が今どうなってるかは分かりませんが(治安が悪いというよりは過疎ってる?)リハビリを兼ねてpixivで投稿が憚られるカキコで書いてたネタを不定期に更新したいと思います。
なお、前スレの最終更新までいなかった作品のキャラも登場します(カキコ活動停止中好きになった作品や扱っていた作品で嫁に加わったキャラが多々)。
・キャラ崩壊が多々ある。
・作者の独自設定&解釈が含まれる。
・以前のスレで登場できなかった新しい嫁があり得ない数で増えてる(!?)。
・別作品のキャラ同士の絡みがあるの前提です。というよりほぼカップリングです。
・荒らしや誹謗中傷、特定のキャラ叩きや「私の○○をこんな奴とカプ組ませるな」というコメントは申し訳ありませんがお控えください。
【目次】
「叶わぬ初恋(萩原朔太郎→立花響)」 >>3
「嫁達でコピペ集」 >>5-6
「だざ+榛でサン○ウィ○チ○ンネタパロ」 >>9
「嫁達でコピペ集2」 >>12-13
「夕凪の王子VS三日月提督と凶刃の審神者と刀剣男士と艦娘 前編」 >>14-17
「夕凪の王子VS三日月提督と凶刃の審神者と刀剣男士と艦娘 後編」 >>20-25
「特務司書組で某銀魂ラジオネタ」 >>28
「提督組でIPPONグランプリネタ」 >>32
「FGOマスター組でIPPONグランプリネタ Aブロック戦」>>36-37
「HAPPY LOVEな仲直り(ななアプと見せかけた普通(?)の防衛部話)」 >>45-49
「二月と鬱金花は結ばれる運命(恋クル)」 >>53-59
「FGOマスター組でIPPONグランプリネタ Bブロック戦」 >>63-64
「ウーちゃんのキャラクエ風SSwithハクロウ」 >>68-69
「99人の壁パロ 『アイマス』&『FGO』編」 >>72-73
「99人の壁パロ 桜木霊歌さんとのコラボ『はたらく細胞』編」 >>78-80
「裸の馬鹿にも愛を(裸族アンチアンチ(?)話)」 >>83
「女王は『鬼』に堕ちない(蜻蛉切(姫ギク)×シュウメイギク)」 >>87-90
「座談会組で腐女子・腐男子について」 >>93
「夢交界放送局・第一回」 >>94
「夢交界放送局・第二回」 >>98
「忘れずの唄 前編(桜さんとのコラボ)」 >>101-102
「忘れずの唄 中編(桜さんとのコラボ)」 >>106-108
「忘れずの唄 後編(桜さんとのコラボ)」 >>112-114
「初恋はいずれ両想いに 飯田天哉視点(飯田×紗代子)」 >>116
「初恋はいずれ両想いに 高山紗代子視点(飯田×紗代子) >>119
「作者・琴葉姫の自己紹介」 >>123
「不定期曜日のクロスタウン 【大阪府民、「Home is a coming now!」で永遠に泣ける説】を検証してみた」 >>129
「タイトルに偽りなきな『嫁でクロスカプ&クロスコンビSS集』」 >>132-133
「オタクが推しキャラで魔王を倒しに行く最強の勇者パーティーを妄想したら楽しすぎた件」 >>137
「『永眠病』なんてぶっ飛ばせ!霊夢とオリオンの約束(タイトル詐欺)(霊夢&アルカレ&チタンの弟達で妖怪退治withオリ霊)」 >>140-143
「仲直りの魔法(水心子正秀&源清麿&MEZZO"の小ネタSS)」 >>146
「『心の扉』を開けてやる(鬼龍×マツバボタンなキャラクエ風SSwith鬼龍紅郎)」 >>147 >>149
「月恋ス紅花(鬼龍×マツバボタンが主な話) 前編」>>154-155
「月恋ス紅花(鬼龍×マツバボタンが主な話) 中編」>>159-160 >>162
「想いを伝える言葉(イデア×エレシュキガルの馴れ初め文通話) 前編」>>165-166
「想いを伝える言葉(イデア×エレシュキガルの馴れ初め文通話) 中編」>>170-172
「想いを伝える言葉(イデア×エレシュキガルの馴れ初め文通話) 後編(終)」>>176-179
「レオナおじたんの食レポだけで野菜の名前を当てるクイズ」 >>183-184
「アザミのキャラクエ風SSwith守沢千秋」 >>187-188
「王子様な淑女と乙女な騎士の輝く世界(白瀬咲耶(シャニマス)×鳴上嵐(あんスタ)」 >>192
「小学一年生の課題図書でNRC生と英霊が読書感想文!どのくらいすごい?」 >>199
「夢交界初!ドキドキハラハラ!!料理対決!!! プロローグ」 >>202
「夢交界初!ドキドキハラハラ!!料理対決!!! 1~5」 >>207-209
「夢交界初!ドキドキハラハラ!!料理対決!!! 6~10」 >>220-222
「夢交界初!ドキドキハラハラ!!料理対決!!! 11~15」 >>229-231
「夢交界初!ドキドキハラハラ!!料理対決!!! 16~20」 >>237-239
「愉快な四人組(仮名)で鬼滅の刃クイズ」 >>252
「夢交界初!ドキドキハラハラ!!料理対決!!! 結果発表」 >>245-247
「テストネタin夢交界 前編」 >>255-256
「テストネタin夢交界 後編」 >>262
「最推し文豪四人で『察しろ!三森すずこクイズ』!」 >>267
「おかしなお届け屋さん~南カカ編~」 >>271
「続・愉快な四人組(仮名)で『Wowに関する知識No.1決定戦、Wow王』」 >>274
「クロスカプでジュンブラネタ」 >>278
「全く違う私と俺!?(並行世界の夢交界の琴葉姫とアーサー(ヘタリア)がやってくる話)」 >>282
「審神者であることとは(新ジャンル加入&太一君が審神者になる話)」 >>288-291
「新ジャンルが加入するぞ!宴だ!!!」 >>296-299
「ドキドキハラハラ料理対決Part2!!! プロローグ」 >>303
・タグ(主な作品だけ)
ヘタリア 黒子のバスケ テニスの王子様 キングダムハーツ カードファイト!!ヴァンガード 艦これ 刀剣乱舞 戦姫絶唱シンフォギア おそ松さん 魔法少女リリカルなのは SHOW BY ROCK!!シリーズ ツキウタ。 あんさんぶるスターズ!! アイドリッシュセブン 美男高校地球防衛部シリーズ フラワーナイトガール 夢王国と眠れる100人の王子様 文豪ストレイドッグス 文豪とアルケミスト Fate/Grand Order ラヴヘブン アズールレーン 東方project 獄都事変 アイドルマスターsideM アイドルマスターミリオンライブ!シアターデイズ アイドルマスターシンデレラガールズ アイドルマスターシャイニーカラーズ ヒプノシスマイク 転生したらスライムだった件 フードファンタジー キュイディメ 千銃士 ドールズフロントライン 僕のヒーローアカデミア ツイステッドワンダーランド 魔法使いの約束 東京ミュウミュウオーレ! ガチャを回して仲間を増やす最強の美少女軍団を作り上げろ 夢職人と忘れじの黒い妖精 ブルーアーカイブ
・サブタグ
クロスオーバー クロスカプ クロスコンビ キャラ崩壊注意 独自設定 独自解釈 ご都合主義
- Re: 嫁でクロスカプ&クロスコンビSS集 ( No.167 )
- 日時: 2020/06/17 23:09
- 名前: 桜木 霊歌 (ID: ToOa8xAk)
こんにちは!桜木霊歌です!
霊歌「ゴチになります!」<●><●>
ソニック「しまった、霊歌がカップル好きなの忘れてた」
霊歌「エレシュキガルとエデアが結ばれますように!」
優衣「あなたは気が早すぎです」
次回も楽しみに待ってます!
PS 私が考案した新しい所属、戦闘狂についてどう思いますか?(戦闘狂の活躍は、『紅魔館できゅっとして鬼ごっこ』を参照にしてください
- Re: 嫁でクロスカプ&クロスコンビSS集 ( No.168 )
- 日時: 2020/06/18 21:31
- 名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: PF4eFA6h)
どうも、柊です!
○月恋ス紅花中編○
柊「無理はいけない!!」
陸奥守「おまんが言うな!!」
柊「うぃっす!!」
柊「にしても…永谷…」
陸奥守「ワシは、それでもえいと思うがのぉ…」
柊「…………」
陸奥守「主?」
柊「ハハッ☆」(かの王様の声真似)
陸奥守「」
柊「やぁ、お前(永谷)の後ろにニコニコ混沌、柊だよ☆」(声真似続行中+真顔で包丁構える画像のような体勢)
陸奥守「やめい!!!!!!」
柊「と、とりあえずマツバボタンはRa*bitsと会って落ち着いて、四葉のクローバーをもらったわけですが、可愛い←」
陸奥守「鬼龍殿の言う通りじゃ、あれは良い進歩ぜよ…!」
柊「で、予想通り永谷が作詞家さんを買収していたわけだが。
夜道には気を付けるんだな、ハハッ☆(また声真似)」
陸奥守「コラぁああ!!」
○思いを伝える言葉○
柊「ぷらいべったーの方で見させていただいたけどイデアさんとエレちゃん可愛いです!!」
イソップ「…なんだろう、イデアさんに親近感が湧くようで湧かないような…微妙な…」
刑部姫「どっちかっていうとこっち側だよね、ソシャゲ周回は基本」
柊「サバフェス原稿」
刑部姫「うぐぅ」(しわしわピカチュウ顔)
黒髭「イデア氏は多分ゲーム関連はコミュできそうですな、今度一狩り行きますぅ〜?」
柊「そもそもイデアさんがそれやってるか分かんねえだろ…アッそういやこいつわりとオンラインゲームやってたわ!!」
柊「最後のエレちゃんには少し同情するが可愛いね!!!!!」
イソップ「うるさっ」(側で叫ばれた)
それでは乱文ですが失礼します!
- Re: 嫁でクロスカプ&クロスコンビSS集 ( No.169 )
- 日時: 2020/06/21 17:40
- 名前: 琴葉姫 (ID: FyzG1Vo4)
琴葉姫「アズール君様可愛い(可愛い)」
アーサー「あっ…(察し)」
☆コメント返信☆
桜木霊歌さん
→あざまーーーす!!!←
イデエレは、いいぞ!(爆)
アーサー「あのさぁ…()」
琴葉姫「良いじゃないか本当にことだし!!!」←←←
それで戦闘狂のことなのですが…
中也(文スト)「バーサーカーと聞いて」←夢交界のカルデアではバーサーカーのマスター
アーサー「知 っ て た」
琴葉姫「桜木サイドでは妹様達、戦闘狂達がえらいことになってましたね()」
中也(文スト)「こっちのバーサーカー達は全てのクラスから受けるダメージが凄まじいけど、あっちにはそういうデメリットはあるのか?」
アーサー「なかったらぶっ壊れも良いところなんだよなぁ…」
琴葉姫「でも桜木サイドだったらそのぶっ壊れでもおかしくないかもなんだよなぁ…(!?)」
中也(文スト)「えっ」
アーサー「えっ」
琴葉姫「ん?()」
まぁ、結論から言えば、「やっちゃえバーサーカー!」は魔法の言葉なんで強いのは当たり前だよなぁ!?(支離滅裂な思考・発言)
色々とすみません…orz
アーサー「桜木さんはFate知らないんですけど???」
琴葉姫「バーサーカーが強いのは世界共通ということで」←
柊さん
→アアアアアアアアアアアアアアありがとうございますッ!。゚(゚^ω^゚)゚。月恋ス紅花の中編にも…!
そうですよ柊さん無理は良くない←←←
アーサー「むしろお前はちょっとは無理した方がいいんだよなぁ…」
琴葉姫「…( ˘ω˘ )」←←←
永谷の憎たらしさが表現されてなくて白目でした(白目)←憎たらしい人物の描写難しい…()
あとRa*bitsはマジ天使なんで(軽率にRa*bitsおばさんになるオタク並感←←←)
あとその声真似の元ネタ(?)はマジで危ないので…いやでももっとやって欲しみも…(は????????????)
アーサー「お前今日のコメ返大丈夫???頭回ってる???」
琴葉姫「多分大丈夫…(震え声)」
そして想いを伝える言葉についてなんですが、イデエレはいいぞ!!!(イデエレ信者並感)←
確かにイデアはどっちかというとおっきー達と同類ですかね。被虐的なのはエレシュキガルに対してだけ(+私の性癖(は???))なので()
琴葉姫「イデア確かにモンハンやってそう…(モンハンやったことない奴並感)」←
杏奈「…イデアさん、誘う?杏奈、オンラインも、出来る…よ?」←琴葉姫サイドのゲーマー
アーサー「お前も参加したら黒髭が…いやそうでもないか()」
杏奈「…?」
琴葉姫「そして最後のエレちゃん可愛いと言ってくれて滅茶苦茶嬉しいです!!!!!!!!!!(急な大声)」
アーサー「うるさっお前もか!」
こちらこそ意味不明かつ支離滅裂なコメ返すみません…!(汗)ありがとうございました!!!
今から更新しますゾ
- Re: 嫁でクロスカプ&クロスコンビSS集 ( No.170 )
- 日時: 2020/06/22 20:39
- 名前: 琴葉姫 (ID: FyzG1Vo4)
イデエレの中編です。
想いを伝える言葉 中編
マーリン「どうして私がこんなこと…」
グリム「ずべこべ言わずにさっさと行くんだゾ」
マーリン「グリムはいいよねぇ、自分で歩かなくても私の頭に乗っかってれば勝手に目的地に着くんだから。てか君私の頭に乗る権利なくない?」
グリム「オマエはオレ様の子分なのに、そんな生意気な口聞く権利ないんだゾ」
マーリン「はーやだやだ、キャスパリーグといい獣に碌なのいないね…っていだだだ髪を引っ張るな!」
ツイステットワンダーランドきっての名門校である学園のメインストリートを歩くのは、ナイトレイブンカレッジの監督生でありキャスターのサーヴァント・別名「花の魔術師」マーリン。
その彼の頭に乗っかり髪の毛を噛んで引っ張るのは、猫なのか狸なのか見分けのつかないモンスター、グリムだ。
二人はナイトレイブンカレッジの二人(一基と一匹?)しか所属していないオンボロ寮の生徒であり、この世界では一心同体で学園に通っている。
そもそもマーリンはこの世界の者ではないのだが、詳細は前作をご覧頂いた方が早いだろう。
そして二人は放課後、「頼まれ事」の為イグニハイド寮へ向かっていた。
その理由は…
グリム「イグニハイド寮の寮長のイデアってヤツに手紙を届けるってことでいいんだよな?」
マーリン「うん。エレシュキガルが渡して欲しいんだって。全く、面倒くさいなぁ。まぁ面白そうでもあるけどね!あのエレシュキガルが…ねぇ?ふふふふふ…」
グリム「…オマエ、本当に性格悪いんだゾ…」
マーリン「褒め言葉だね!」
マーリンの元々の世界の、自分と同じく「カルデア」に召喚されたサーヴァント・エレシュキガルから、イグニハイド寮長のイデア・シュラウドに手紙を渡して欲しいと頼まれたからだ。…エピデンドラムと魔理沙の脅し付きで。
本当に偶然だった。たまたま食堂を通ると、大勢のサーヴァントと職員が端で静かにしている。ひそひそと話している者もいたが。
何事かと彼ら彼女らが見つめる方に目を向けると…何かを話しているランサーのマスターと、そのパートナーと、エレシュキガルが映った。
気配を消して耳を凝らして盗み聞いた内容に、マーリンは絶句した。
あの冥府の女神エレシュキガルが、自分が世話になっている(?)学園の、イグニハイドという寮の寮長に、どう考えても恋慕している、というものだったのだから。
イグニハイド寮…先輩のケイト・ダイヤモンドの話に寄ると、ガードが堅い生徒が多いって言ってたし、同じく先輩のトレイ・クローバーも「根暗が多いってことか?」というグリムの発言に注意したが否定はしなかった。そして魔法エネルギー工学やデジタル系に強い生徒が多いとも言っていた。
あー、類は友を呼ぶ的なことか?とマーリンは思ったが彼女は友ではなく"そういう関係"を望んでいるとしか思えない。友達になりたいだけって本人は言ってるけど、強がりか自分でも自覚してないだけか…全く面倒くさい奴である。
…てか、これ私絶対巻き込まれる奴じゃん。気付かれる前に早く退散しよっと。
話を盗み聞きしておいてマーリンは食堂からそそくさと逃げた。それから時間もかからないうちに例の「エレシュキガル食堂暴走事件」が起こり、二次災害と言わんばかりに案の定巻き込まれたことに、マーリンは自分の不憫さを嘆いた。私そういうキャラじゃないんだけどなぁ…。
まぁそんなわけで、マーリンはエレシュキガルに頼まれて彼女の書いた手紙をイデアに渡すことになった。「お前中身見るなよ。あと他の奴らに言いふらしたらマスパだからな」と自身のマスターに令呪をちらつかされて命令されるのだから何故自分がこんな目に遭うのか、私のハッピーエンドは何処に…と涙を流した。慰める者は誰一人としていなかった。
とは言え、マーリンもグリムもイグニハイド寮の場所を知らないし、知り合いの寮生もいない。学園長に場所を訊くと何の用事だと訊かれまぁ学園長になら…仕方ないよね?と開き直り普通に話してしまったのだが。
それを聞いた学園長のリアクションは大層オーバーなものだった。しかし、学園長の言葉に再び頭を抱える。
寮長のイデア・シュラウドは常に部屋に引きこもり、寮長でありながら式典等では顔を出さずタブレットで対応している。また、外に出る授業どころか座学でも対面式で受ける事を億劫がっているというではないか。
エレシュキガルから聞いた話でもタブレットの音声ソフトで会話していたと聞いたし、「陰キャ」「コミュ障」と言う言葉も出ていた。ライダーのサーヴァント・マンドリカルドも自分を「陰キャ」と自称しているが、根は良く本人も無自覚ながら「イケメンムーヴ」を発揮したり、マスターの陸奥守とは「マイフレンド」と呼び合う仲だ。
だがイデアはどうだ。話を聞いただけでもマンドリカルドとは比べ物にならないレベルの引きこもり気質っぷりが分かる。エレシュキガルとの対談では猫を被っていたのか…?いや、猫を被るくらいにはまだ…?
頭を悩ませているマーリンを余所に「もしそのエレシュキガルさんとの文通が上手く行けばシュラウド君も心を開いて寮長会議に出てくれるかもしれませんねぇ!」と嬉々として喜んでいる様子の学園長を見て力の限り殴りたくなったのは仕方ないことだ。思い留まった自分に褒美が欲しいくらいだ。私、悪くない!
いやーな記憶を思い出して苛々する気分を必死に抑えて、マーリンは歩みを止めた。
マーリン「…ここが、イグニハイド寮?」
辺りを見回すと、そこは近未来的な世界が広がっていた。
多くのフレームに透明感のある床が、鏡のように内装を反射している。
デジタル系に強い生徒の多い寮と聞いていたとはいえ、電子世界のような内装に流石のマーリンも舌を巻いた。
グリム「オオオ~~!なんかカッコイイんだゾ~!」
マーリン「近未来感で言えば、カルデアより遥かに上だね。レオナルドが見たら目を輝かせそうだ。…っと、目的を果たさなきゃね」
グリム「早く渡して夕飯食べるんだゾ」
周囲の生徒…イグニハイド寮の寮生がざわざわとしながらこちらを見ている。
うーん、イデア先輩どんな人か知らないんだよね。まぁ聞けばいいか。寮長なら知らない子はいないでしょ。
適当に目に入った生徒に声を掛けると、その生徒はビクリと身体を震わせおどおどしている。
イグニハイド寮生「あ、あの…何か…?」
マーリン「ごめんごめん、私はオンボロ寮の監督生マーリン。気軽にマーリンさんと呼んでくれ。堅苦しいのは苦手なんだ」
グリム「そして世界一の大魔法士になる男グリム様なんだゾ!」
イグニハイド寮「は、はぁ…」
マーリン「まぁそれはさておき。私イデア・シュラウド先輩に用事があるんだけど、ちょっと呼んできてくれない?」
イグニハイド寮「りょっ寮長に…!?」
マーリンの言葉に、彼だけでなくその場にいる寮生全員が騒ぎ始める。
「あの寮長に用事?」「何故オンボロ寮の監督生が?」「そもそも寮長が知らない奴と顔を合わせられるわけないだろ」
聞き取れるだけでもこの言い草だ。本当にイデアという人物は面倒くさい奴のようだ。まぁエレシュキガルも面倒臭さで言ったら負けてないけどね!もちろん私も!!!
意味の分からない自己主張を心の中で断言したが、今はそれどころではない。早く手紙を渡さなければ。もうこの生徒に押し付けてしまおうか。
そんなことを考えているときだった。
「どうしたの?何を騒いでるの?」
高い少年の声が響くと、先程まで騒がしかったのが嘘のようにシン、と静寂に包まれた。
現れたのは、背の小さい少年だ。炎のような蒼い髪を逆立て、心臓の位置に髪と同じような蒼い炎がゆらゆらと燃えている。第一印象は、アンドロイドやヒューマノイドの少年、だった。
足が地から離れて浮遊し、ふわふわとこちらに近づいてくる。不思議そうな表情で、マーリンとイグニハイド寮生を交互に見やった。
イグニハイド寮生「あ、いや、この人が…」
マーリン「ああ、ごめんね。迷惑かけるつもりじゃないんだ。君は?」
オルト「僕はオルト・シュラウド。貴方は…オンボロ寮の監督生のマーリンさんと、グリムさんだよね?」
マーリン「そうそう。知っててくれて嬉し…シュラウド?」
オルト「?」
マーリン「君、もしかしてイデア・シュラウド先輩の弟か何か?」
オルト「? うん。イデア・シュラウドは僕の兄さんだけど…」
マーリン「なら話は早い!」
オルト「え、ええっ?」
驚くオルトを余所に、マーリンは裾の中から一つの封筒を差し出した。
オルトはそれをきょとんとした表情で見つめた後、マーリンのを見上げた。
マーリン「これ、イデア先輩に渡して欲しいんだけど」
オルト「え、兄さんに!?学園長か、他の寮長の人から?」
マーリン「や、私の元の世界の知り合いだよ」
オルト「…せめて、送り主の名前を聞かせてもらえないかな?」
警戒するように問うオルトに、マーリンは「あー」と気まずそうに言葉を濁す。
うーん、手紙の内容を見るなってことだったし、名前くらい教えてもいいよね。じゃないとイデア先輩も警戒して読む前に捨てられそう。そうなったら何をされるか分かったものじゃない。
苦笑いして、この手紙を送った人物の名前を教える。
マーリン「エレシュキガルっていう、一応私の仲間だよ。イデア先輩が会ったことのある奴だから、名前を教えれば大丈夫」
オルト「えっ…?」
突如、オルトの動作が変わった。驚いたように目を見開き、固まっている。
あれ、どうした?エレシュキガルのこと知ってるのか?イデア先輩、彼に話したのかな。
特に焦らず悠長に考えていたマーリンだったが、次から出たオルトの発言と態度に今度は自分が目を見開く番だった。
オルト「こっこれ!エレシュキガル様から兄さんへの手紙!?」
マーリン「は!?!?!?」
グリム「うわっ!?な、なんなんだゾ急に大声出して!」
グリムの小言など今のマーリンの耳には入ってこなかった。寮生達も再びざわざわし始める。
いや、様付けしてんの!?エレシュキガルの話でもイデア先輩様付けしてたけど!君も!?大丈夫強制させられてない!?
あのマーリンが、珍しく取り乱していることなどどうでもいいように、オルトは嬉々として語り始める。
オルト「兄さんからエレシュキガル様のこと聞いたんだ!監督生さんの世界では、グレート・セブンの死者の国の王と同じくらい凄い人で、すっごく綺麗でお美しいお方だって!兄さんが今まで見たことないって豪語するくらいの絶世の美少女で、そんな容姿からは想像も出来ないとても強力な力を持ってるって!僕も会いたいってずっと思ってたんだ!」
マーリン「え? は? …え???」
オルト「そんなお方から、兄さん宛てにお手紙を頂けるなんて…!兄さんすっごく喜ぶと思う!ありがとう監督生さん!責任を持って兄さんに渡すね!代わりにエレシュキガル様にお礼を言ってもらえると嬉しいな」
マーリン「え、あ、ああ…うん???」
オルト「あ、それとお手紙の返信、ちょっと時間を貰うかもしれないから、それも留意してくれるかな?それじゃあ、僕はこの手紙渡してくるね!ありがとう!」
そう言い残して、オルトは奥へ走っていった。正確には、飛んで行ったのだが。
マーリンの頭の上で、グリムが不思議そうに腕を組んでいる。
グリム「なんだぁ?手紙を貰っただけであんなにはしゃぐなんて。手紙なんて、読んでても腹は膨れないんだゾ。おいマーリン。早くオンボロ寮に帰ってメシにするんだゾ」
マーリン「……………」
グリム「…? お、おい、マーリン?」
マーリン「…どういうことなの…???」
グリム「? オマエ何言って…ってウギャ!?お、オマエなんて顔してるんだゾ!?そんな大好物を食べたと思ったらゴムの味だったみたいな!?」
マーリン「……………」
グリム「…おーい、マーリーンー?」
マーリン「……………」
グリム「…だめだこりゃ」
マーリンェ…(?)
感想まだ
- Re: 嫁でクロスカプ&クロスコンビSS集 ( No.171 )
- 日時: 2020/06/21 17:45
- 名前: 琴葉姫 (ID: FyzG1Vo4)
イデア「…………………………」
ところ変わって、イグニハイド寮・イデアの部屋。
明かりもつけず薄暗い部屋の中で、イデアはパソコンの前に座っている。
パソコンのモニターには電子世界が映っている。今現在、イデアはネトゲのクエストをしている。
…のだが、心ここにあらずと言った感じでチャットにも参加せずただ黙々と敵を狩っていた。
フレンドから心配や煽りのメッセージが届くが、今の彼はそれどころじゃなかった。
フレンド達に断りを入れ、早々にログアウトした。ブラウザを閉じると、大きなため息をついて椅子の背もたれに全体重を預ける。
ずっと忘れられないのだ。"あの尊い存在"を。
運命を。
最初それを聞いた時、イデアは厄としか思わなかった。
夢交界。監督生のマーリンとやらが世話になっているとか言う異世界と、ツイステットワンダーランドの境界が繋がると知らされた。
そして夢交界の創造主とか言う子娘(という歳ではないらしいがどうでもいい)が見返りとして、自分を含めた学園の生徒を「嫁」として招待すると言った時はふざけるなと思った。
嫁!?嫁ですか!!!それはそれは良い趣向ですなぁふざけんなよ!!!
しかもその歓迎としてパーティーを開催して出席しろというのだから死にたくなる。
自寮の部屋のみが世界の自分が、異世界の、社交的な場に参加…無理無理無理無理無理!!!知ってて言ってるとかホントバカ!?アンタバカァ!?しかもオルトは現時点では「嫁」ではないから連れてけないって言われた時は本気で呪おうかと思った。オルトめっちゃ良い子なんですけどぉ!?僕嫁にしといてオルト嫁にしないとか絶ッッッ対あの子娘頭おかしい!!!あ、それは最初の時点で知ってた!!!
憂鬱で憂鬱で仕方なくて、でも時は無常に過ぎて。
歓迎パーティーの当日、創造主とやらと対面して「今日は楽しんでってくれな」とほざく目の前の子娘をタブレットの音声ソフトで煽る。どうせこの世界に興味なんてないのだからどう振る舞おうが勝手だ。
僕の煽りを創造主の子娘は華麗にスルーした。クッソ、こいつ変なところでスルースキル高い。しかし、その直後おぞましい悪寒が身体に降りかかった。
創造主の後ろに控えている数名が、こちらに圧を向けている。笑顔だが目が笑っていない者もいれば、あからさまに敵意を向けて睨んでくる者もいる。
しかも、それらの人物は全員、イケメンあるいは美青年か美女あるいは美少女だ。
あいつら侍らせて優越感に浸ってんだろうなぁ…いやぁ創造主ともあればより取り見取りですね!!!チネ!!!!!
そうこうしている間に、パーティーの時間は進む。
一緒に連れてこられたオクタヴィネル寮のアズール、ジェイド、フロイドは嫁とやらと歓談している。ああ、これはアズール氏あくどいこと考えてますわ…ご愁傷様~くわばらくわばら。
彼らを横目に、イデアはこっそりと会場を抜け出した。こんな陽キャパリピリア充の集会にいられるか!俺は部屋に戻るぜ!…というのは冗談だけど。いや叶うことなら部屋に戻りたいけど!
そんなことを考えていたイデアを、こっそり後をつけている人物がいるとは全く予想だにしなかった。
しばらく歩いて、誰もいない庭園に行きつく。
噴水の囲いに腰かける。先程異常なまでに張り詰めていた緊張感が大きなため息と共に抜けていくのが分かる。
イデア「なんで僕があんな陽キャイベントに参加しなきゃいけないんだ…今頃ならソシャゲの周回頑張ってたのに…てか嫁って奴ら全員イケメン美少女で無理…なんでオルト連れてこられなかったの死ぬ…」
ぼそぼそと呟く自分を咎める奴はここにはいない。
だから、油断していた。不意に、物音が聞こえて心臓が跳ね上がった。
だ、誰か、いる…っ!?
イデア「ヒッ…!だ、誰!?」
思わず立ち上がって辺りを見渡す。悲鳴を上げて怯える自分が最高に無様で、死にたくなる───
「ごごごごごごめんなさい!!お、驚かすつもりはなかったのだわ!」
凛とした、それでいて可憐な女性の声だった。
焦りを含んだ声色で、声の主は姿を現した。
月の灯りが、彼女の姿を照らし、"彼女"を視認した僕は一度息が止まってしまった。
絹のように柔らかい金糸の髪。
王者を連想させる黒い冠と石榴色のローブ。
オウトツのある優れたプロポーションを持つ体躯。
ガーネットのようにキラキラと輝かしい宝石の瞳。
そして───如何なるものもひれ伏さなければという衝動に駆られるほどの、威厳の圧。
目の前の彼女は狼狽えているようだが、そんな仕草でさえ愛おしく感じるほどに彼女の美しさを引き立てている。
言葉が出ない。息を忘れる。瞬きなんてしてられない。
今までに見た二次元の美少女よりも、名家の令嬢でさえも、彼女と比べたら芋も同然。
目の前にいる彼女は…とても尊い存在だ。
初めて会った人物にそんなことを思わせるほどに、彼女は美しい。何よりも。
「ね、ねえ」
意識が現実に戻される。
条件反射で身体を大きく跳ね上げその場を去ろうとする。
が…
「まっ待って!!!!!」
イデア「!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?」
美しい彼女が、自分の腕を掴んでそれを阻止した。
触れている。彼女の手が。自分の腕を。
駄目、僕なんかに触れては、貴方が汚れてしまう!
そんなことをごく自然に思ってしまう自分に、何の疑問も抱かなかった。
ばくばくと心臓が大きな音を立てて動く。彼女に聞こえてしまうから大人しくしていて欲しいと願っても、鎮まってくれない。
「あ、あのっ…!」
彼女から再び美しい声が発せられる。
何を言われてしまうんだ、ガン見していたことの説教か?でもそれでもいい。恐れ多くも彼女の声が、自分に降りかかるのなら。
「私、貴方とお話したいの!」
…………………………。
……………………………………………………。
イデア「………………ぇ」
言葉とも言えないか細い鳴き声が、自分の口からこぼれた。
…彼女は、何と言った?
ワタシ、アナタトオハナシシタイノ。
…私、貴方とお話したいの。
……………はいいいいいいいいいいい!?!?!?
私、貴方とお話したいの!?!?!?
私って、勿論この目の前にいる尊すぎる美少女のことで間違いない、よね!?
そんで…この「貴方」って…誰?
…僕???……………僕ゥ!?!?!?
え、いやいやいやいやいやいやいや!!!?なんで!?なんで僕!?
僕みたいな引きこもりのコミュ障陰キャが!!!
この!ポムフィオーレ寮のヴィル氏ですら嫉妬して敵わないような絶世の美少女が!!!
僕と!!!お話したいですって!!!!!!!!!!???
え、これはギャルゲ!?それともなろう系!?ハーレム系ラノベ!?わけがわからないよ!!!
脳内が動物園みたいに騒がしい。もちつけ、もちつくんだ拙者!…やっぱり無理!!!
この間僅か0.5秒。イデアの脳内の様子だ。
しかし、間もなくしてそんなことは彼にとってどうでもよくなる。
「い、いきなりこんなこと言われてびっくりするかもしれないけど…」
彼女は頬を赤く染め、若干涙目で
「お、お願い…」
イデアを見上げた。
上気した頬+涙目×上目遣い=………
クッッッッッッッッッッッッソカワイイ…………………………(浄化)(昇天)(尊死)(心肺停止)
は?????????なにこの超絶美少女は???????????あんなに王っぽい威厳あってこんなに可愛いとか最の高か?尊いか?神か???神様ですね知ってる!!!
思わず自分も顔が赤くなって、もう片方の腕で自分の顔を隠す。
態度には出さない。だって引かれる!こんなこと考えてるってバレたら嫌われる!!!もうさっき悩んでたことが馬鹿らしい!!!
ポケットからいつものタブレットを取り出す。直接口で伝えなければいけないことだとは思いつつ、これに頼ってしまう自分を呪いたくなる。
彼女がぽかんとした表情で浮遊するたぶれっとを見上る。アックッソ可愛いんですけどヤバイ(ヤバイ)。
『す、すみません。僕あまりうまく話せなくて…失礼だと思いますけど、これを通してでも、いいですか?』
多分この光景を見た各寮の寮長はひっくり返るほどびっくりするだろう。僕がこんな丁寧な言葉を使っていることに。
いや、彼らと目の前にいる彼女を同列にすること自体万死に値するのだが(別にディスってるわけではありませんぞ!目の前の彼女が尊すぎるだけなんで!)
色んな漫画やアニメを見たりゲームしたりしてきても自分が言葉にするとは夢にも思わなかった。
目の前の彼女は、その言葉を聞いて変わらずぽかんとしている。あれ、やっぱり何か粗相を…!?
と不安に思っていたが、しばらしくて彼女の表情が明るくなる。それは自分にとって眩しすぎるものだ。
「いいのっ!?」
イデア「っ…」
はぁ~~~~~~~!!!カワイイ!!!いっぱいちゅき!!!!!(語彙力の死)でもあまりに神々しすぎて直視出来ない!!!
思わず顔を逸らしてしまった。それに彼女はショックを受けたように笑顔から一変、落ち込んでしまう。
ああ、僕は何て重罪を!ひたすら謝り倒すが何故か彼女も必死に謝ってくれた。彼女に気を使わせるとか僕は馬鹿か???????
と、ふと彼女の名前は何というのだろう。訊いていいのだろうか。でも僕みたいな奴が彼女の名前を訊いて、あまつさえ名前を呼んでいいのだろうか。
不安と好奇心がせめぎ合い、最終的に『あの…お名前は』と言ってしまった。
すると彼女は用意していたと言わんばかりのドヤ顔を見せた。アッカワイイシュキ(アイサツ)。
そんなふざけた心の内など、彼女が名乗ったことで頭から吹き飛ぶ。
「サーヴァント・ランサー。冥界の女主人、エレシュキガルよ!」
イデア「えっ」
思わずタブレットからではなく、自分の口から言葉が漏れた。
さーばんと らんさー めいかいのおんなしゅじん えれしゅきがる。
な、長いお名前…いやふざけてる場合じゃねーなコレ!?
サーバント?ランサー?職業的なことか?
メイカイ…って死者の国の別名の冥界?その女主人…?
で、エレシュキガルっていうのが、彼女の…?
そんなことを考えていると、目の前の彼女…エレシュキガルは優しい笑みをイデアに向ける。
それを見たイデアの目が、再び見開かれる。
エレシュキガル「貴方は死者の国の王をリスペクトしているのでしょう?なら、私とも仲良くしてくれると嬉しいのだわ!」
…この時、イデアは確信したのだ。
この出会いは、『運命』なのだと。
そうして、二人は雑談を始めた。
イデアが『そちらの世界の冥界はどういう所なんですか?』と訊くと、彼女は再びドヤ顔で「私の支配する冥界では、そこにいる限り私の法と律には神であろうと逆らえないのよ!」と言った。その言葉にイデアのエレシュキガルに対する尊敬の眼差しが強くなることが分かる。「絶世の美少女な上ラスボス以上のチートな力持ってるとか最高か???いや最高ですわ知ってた」と彼女に悟られないような小声で呟いた。いつもなら「小5が考えたお粗末チート(笑)乙www」と言うところなのだが、彼女は別だ。まぁ実際そうなのだからいいんだが。
今度はエレシュキガルからナイトレイブンカレッジはどういう学校なのだ?ということをイデアに訊かれる。「魔法を習う学校なんて楽しそう!」と目をキラキラさせてこちらを見るエレシュキガルに、後ろめたい気持ちが大きくなる。
自分はどの授業も苦手で出たくないくらいなのに、真っ白で穢れない心を持つ彼女に何て言えばいいか。
『…そんなテーマパークみたいなところじゃないですよ』と言うと、彼女は慌てて話題を変えてくれた。嗚呼、彼女に気を使わせるとか万死に値する!しかし、これ以上困らせてしまったら自分はそれ以下だ!言葉に甘えて、今度は弟であるオルトの話をした。
自分より明るくて賢くて出来た弟の話をすると、彼女は母性を持った笑顔をこちらに向ける。アッ待ってこれはオギャる(確信)。
しかし、一瞬だけ彼女が寂しそうな表情をしたのを見逃さなかった。え、また僕何かやらかした?
不安に思ったが彼女が寂しそうにしたのはほんの一瞬で、すぐさま尊い笑みをこちらに向けた。
エレシュキガル「私もオルト君と会ってみたいわ!きっとイデア君に似て綺麗な子なんでしょうね!」
そういう彼女を見て、何故か心が痛むのが分かった。
確かに、オルトは出来た弟だ。可愛いし、彼女もきっとオルトを気に入るに違いない。もちろんオルトも、彼女を自分と同じように慕うだろう。
…しかし。
もし彼女がオルトと出会って、自分よりコミュニケーションの出来る弟を気に入って、僕なんてどうでもよくなったら。
オルトもイグニハイド寮の生徒だ。しかも僕以上に死者の国の王に対する信仰は深いはず。
そうなったら、僕は…。
俯いてしまった僕を、彼女は不安に思ってしまったのか涙目で
エレシュキガル「だ、ダメかしら?」
と顔を覗いて来た。
アアアアアア!!!彼女を泣かせるとか!でも泣いた顔もやっぱカワユス…じゃねーよ馬鹿!!!
慌ててタブレットで弁解する。
イデア『駄目だなんて!近いうちに絶対会わせます!オルトにも、エレシュキガル様のことお話しますね!!』
うん。だって流石のオルトもエレシュキガル様のこと内緒にしていたら不貞腐れるし、こんな尊い御方は皆に知られるべき!でもそうなったら僕のこと忘れられそう…そうなったら泣く…。
そんなことを思っていると…彼女の表情が再びぽかんとしている。アレ、また間違えた!?
不安に思っていると…彼女の顔がすぐ破顔する。アッその顔も可愛い好き!!(挨拶)じゃない!!!え、やっぱ僕何かした!?
急に彼女が立ち上がって、僕は身構えた。
エレシュキガル「ささささ様付けだなんて!そんなに気を使わないで!め、冥界の女主人という肩書はあるのだけれど!冥界では私の法と律には誰であろうと逆らえないけれど!!そ、そちらの死者の国の王は別にいるのでしょう?そちらとは無関係の私に、そんな仰々しくしなくても…!」
あ、そっち!?
イデア『い、いえ!イグニハイド寮の寮長の僕にとって、死者の国の王はまさしく神そのもの!その同格である存在のエレシュキガル様は尊い存在!死者の国の王同様僕にとって神そのものです!ですからエレシュキガル様を敬うのは当然のこと!!!ちゃん付けとかたん付けは論外、さん付けですら万死に値します!可能ならば様付け以上の敬称を付けたいくらいです!知りませんけど!』
寮長とかやりたくてやってるわけじゃないし、それは今も変わんないし、死者の国の王なんて特別リスペクトしてるわけじゃないのに、調子よすぎでは?拙者…。リドル氏がこの場にいたら首はね(オフウィズ)られそう…。
いやでも仕方ないじゃん!?彼女…エレシュキガル様に対して敬意を表せられそうな呼び方他に思い付かないし!!!…ていうかさっきの僕ちょっと気持ち悪すぎでは???アッーほらー!エレシュキガル様も「え、ええ………」って引いてるし!絶対語尾に(困惑)って付けられてますわ!!!(死亡)アーッ死にてぇ!!!
比較的ギャグ寄りの考え方をしていたが、すぐ血の気がさあっと引く感覚を味わうことになる。
…彼女の表情が
失望したように沈んでいる。
や、やっぱり様付けは良くなかったか…!?ふざけているように思われた?
いやだ、彼女に嫌われるなんて…!
自然と身体が震えてきて、言い訳のように彼女に謝罪する。自分にそんな権利なんてないはずなのに。
イデア『も、もしかして様付けはお気に触ってしまいましたか…?ご、ごめんなさい、僕人付き合いがクソなコミュ障陰キャで、ごめんなさいごめんなさい』
嗚呼、こんな言い草無様すぎる!彼女を失望させておいて、何と愚かな!
しかし、彼女はこんな自分を許す言葉を賜ってくださった。
それどころか…
エレシュキガル「ち、違うの!大丈夫よ。イデア君が呼びやすい呼び方で呼ぶと良いわ。他の呼び方は、もっと仲良くなってからにしましょう」
イデア『…もっと、仲良く?』
もっとなかよく?
モットナカヨク?
もっと仲良く…仲良く?もっと?
誰と誰が?
…僕と、エレシュキガル様が?
混乱している自分に、更に追い打ちをかけたのは目の前の尊い彼女の言葉だ。
エレシュキガル「ええ!あ、マスターやみんなは私のこと、「エレちゃん」って呼んだりするの。イデア君も、その内そう呼んでもいいわ」
えれちゃん。
エレシュキガル様のことを、エレちゃん?
僕がその内…エレシュキガル様のことを「エレちゃん」呼び…。
…………………………なんですくゎそのご褒美のような拷問はああああああああああ!?!?!?
は!?僕がエレシュキガル様のことを「エレちゃん♡」とか呼んでいいわけ!?そんなわけないんだよなぁ!?(迫真)
駄目ですって!!!そんな呼び方しちゃったら理性持ちませんって!!!んな恋人みたいな呼び方…
…恋人。僕と、エレシュキガル様が??????????
…………………………は???????????????????????(所謂「宇宙猫顔」)
エレシュキガル「…って上から目線みたいねごめんなさって汗の舁き方が尋常じゃないのだわ!?!?!?どうしたの!?冷えて熱が出ちゃった!?い、医務室…!」
その後の記憶がなくて、僕は気がついたらパーティーが終わっててイグニハイド寮玄関の前にいた。
イデアのキャラ崩壊パナイ()
感想まだ
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