二次創作小説(新・総合)

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嫁でクロスカプ&クロスコンビSS集
日時: 2024/01/13 12:44
名前: 琴葉姫 ◆KXLt9XXgaQ (ID: MDsdSaXn)

お久しぶり?です。そうでない方は初めまして。琴葉姫(ことはひめ)です。
カキコの治安が今どうなってるかは分かりませんが(治安が悪いというよりは過疎ってる?)リハビリを兼ねてpixivで投稿が憚られるカキコで書いてたネタを不定期に更新したいと思います。
なお、前スレの最終更新までいなかった作品のキャラも登場します(カキコ活動停止中好きになった作品や扱っていた作品で嫁に加わったキャラが多々)。

・キャラ崩壊が多々ある。
・作者の独自設定&解釈が含まれる。
・以前のスレで登場できなかった新しい嫁があり得ない数で増えてる(!?)。
・別作品のキャラ同士の絡みがあるの前提です。というよりほぼカップリングです。
・荒らしや誹謗中傷、特定のキャラ叩きや「私の○○をこんな奴とカプ組ませるな」というコメントは申し訳ありませんがお控えください。

【目次】
「叶わぬ初恋(萩原朔太郎→立花響)」 >>3
「嫁達でコピペ集」 >>5-6
「だざ+榛でサン○ウィ○チ○ンネタパロ」 >>9
「嫁達でコピペ集2」 >>12-13
「夕凪の王子VS三日月提督と凶刃の審神者と刀剣男士と艦娘 前編」 >>14-17
「夕凪の王子VS三日月提督と凶刃の審神者と刀剣男士と艦娘 後編」 >>20-25
「特務司書組で某銀魂ラジオネタ」 >>28
「提督組でIPPONグランプリネタ」 >>32
「FGOマスター組でIPPONグランプリネタ Aブロック戦」>>36-37
「HAPPY LOVEな仲直り(ななアプと見せかけた普通(?)の防衛部話)」 >>45-49
「二月と鬱金花は結ばれる運命(恋クル)」 >>53-59
「FGOマスター組でIPPONグランプリネタ Bブロック戦」 >>63-64
「ウーちゃんのキャラクエ風SSwithハクロウ」 >>68-69
「99人の壁パロ 『アイマス』&『FGO』編」 >>72-73
「99人の壁パロ 桜木霊歌さんとのコラボ『はたらく細胞』編」 >>78-80
「裸の馬鹿いとしごにも愛を(裸族アンチアンチ(?)話)」 >>83
「女王は『鬼』に堕ちない(蜻蛉切(姫ギク)×シュウメイギク)」 >>87-90
「座談会組で腐女子・腐男子について」 >>93
「夢交界放送局・第一回」 >>94
「夢交界放送局・第二回」 >>98
「忘れずの唄 前編(桜さんとのコラボ)」 >>101-102
「忘れずの唄 中編(桜さんとのコラボ)」 >>106-108
「忘れずの唄 後編(桜さんとのコラボ)」 >>112-114
「初恋はいずれ両想いに 飯田天哉視点(飯田×紗代子)」 >>116
「初恋はいずれ両想いに 高山紗代子視点(飯田×紗代子) >>119
「作者・琴葉姫の自己紹介」 >>123
「不定期曜日のクロスタウン 【大阪府民、「Home is a coming now!」で永遠に泣ける説】を検証してみた」 >>129
「タイトルに偽りなきな『嫁でクロスカプ&クロスコンビSS集』」 >>132-133
「オタクが推しキャラで魔王を倒しに行く最強の勇者パーティーを妄想したら楽しすぎた件」 >>137
「『永眠病』なんてぶっ飛ばせ!霊夢とオリオンの約束(タイトル詐欺)(霊夢&アルカレ&チタンの弟達で妖怪退治withオリ霊)」 >>140-143
「仲直りの魔法(水心子正秀&源清麿&MEZZO"の小ネタSS)」 >>146
「『心の扉』を開けてやる(鬼龍×マツバボタンなキャラクエ風SSwith鬼龍紅郎)」 >>147 >>149
「月恋ス紅花(鬼龍×マツバボタンが主な話) 前編」>>154-155
「月恋ス紅花(鬼龍×マツバボタンが主な話) 中編」>>159-160 >>162
「想いを伝える言葉(イデア×エレシュキガルの馴れ初め文通話) 前編」>>165-166
「想いを伝える言葉(イデア×エレシュキガルの馴れ初め文通話) 中編」>>170-172
「想いを伝える言葉(イデア×エレシュキガルの馴れ初め文通話) 後編(終)」>>176-179
「レオナおじたんの食レポだけで野菜の名前を当てるクイズ」 >>183-184
「アザミのキャラクエ風SSwith守沢千秋」 >>187-188
「王子様な淑女と乙女な騎士の輝く世界(白瀬咲耶(シャニマス)×鳴上嵐(あんスタ)」 >>192
「小学一年生の課題図書でNRC生と英霊が読書感想文!どのくらいすごい?」 >>199
「夢交界初!ドキドキハラハラ!!料理対決!!! プロローグ」 >>202
「夢交界初!ドキドキハラハラ!!料理対決!!! 1~5」 >>207-209
「夢交界初!ドキドキハラハラ!!料理対決!!! 6~10」 >>220-222
「夢交界初!ドキドキハラハラ!!料理対決!!! 11~15」 >>229-231
「夢交界初!ドキドキハラハラ!!料理対決!!! 16~20」 >>237-239
「愉快な四人組(仮名)で鬼滅の刃クイズ」 >>252
「夢交界初!ドキドキハラハラ!!料理対決!!! 結果発表」 >>245-247
「テストネタin夢交界 前編」 >>255-256
「テストネタin夢交界 後編」 >>262
「最推し文豪四人で『察しろ!三森すずこクイズ』!」 >>267
「おかしなお届け屋さん~南カカ編~」 >>271
「続・愉快な四人組(仮名)で『Wowに関する知識No.1決定戦、Wow王』」 >>274
「クロスカプでジュンブラネタ」 >>278
「全く違う私と俺!?(並行世界の夢交界の琴葉姫とアーサー(ヘタリア)がやってくる話)」 >>282
審神者ともだちであることとは(新ジャンル加入&太一君が審神者になる話)」 >>288-291
「新ジャンルが加入するぞ!パーティーだ!!!」 >>296-299
「ドキドキハラハラ料理対決Part2!!! プロローグ」 >>303

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・サブタグ
クロスオーバー クロスカプ クロスコンビ キャラ崩壊注意 独自設定 独自解釈 ご都合主義

Re: 嫁でクロスカプ&クロスコンビSS集 ( No.146 )
日時: 2020/05/06 11:24
名前: 琴葉姫 (ID: EnwL6lXi)

※IQを極限まで下げて読むことをお勧めします←

仲直りの魔法



玉響館のとある一室………

水心子(姫ゼク)「清麿のわからず屋!」

清麿(姫ゼク)「はあ?それは君なんじゃないのかい」

ゼクシオンこと審神者名「影井」の本丸所属の「水心子正秀」と「源清麿」が何やら言い争いをしていた。
あわあわとしている蜂須賀虎徹(姫ゼク)のところへ、ゼクシオンがやって来て説明を促す。

ゼクシオン「…何やってるんですかあの二振り。あの二振りが言い争いなんて珍しいですね」

蜂須賀(姫ゼク)「ああ主!いい所に!実は…」

蜂須賀が二振りの言い争いになった原因を解説し始める…。



~回想~

清麿(姫ゼク)「あ、いたいた。水心子ー」

水心子(姫ゼク)「清麿?どうしたんだ?」

清麿(姫ゼク)「さっきエミヤさんと花騎士のアズキさんからお菓子を貰ったんだ。あげる」

水心子(姫ゼク)「ああ、ありがとう。…清麿は?」

清麿(姫ゼク)「僕はいいよ。水心子にあげる」

水心子(姫ゼク)「何を言う。清麿の分もあるのだろう。それは清麿が食べるべきだ」

清麿(姫ゼク)「でも、水心子これ好きだって言ってただろう?」

水心子(姫ゼク)「私を理由にするな。とにかく清麿が食べろ」

清麿(姫ゼク)「いいよ僕は!水心子が食べて」

水心子(姫ゼク)「清麿が食べろ」

清麿(姫ゼク)「水心子が食べて」

水心子(姫ゼク)&清麿(姫ゼク)「…………………」



蜂須賀(姫ゼク)「ということで…」

ゼクシオン「思った以上にしょうもない理由で笑うんですけど」

蜂須賀(姫ゼク)「しょうもなくないよ!もう半時間もあの有様で…!」

ゼクシオン「全く…あの二振り互いのこと好きすぎでは…」

ゼクシオンの目線が今も尚口喧嘩を続けている水心子正秀と源清麿に向けられる。

水心子(姫ゼク)「どうして言うことを聞かないんだ!」

清麿(姫ゼク)「それは水心子の方だろう!?」

水心子(姫ゼク)「ぐぅぅぅぅ………!」

ゼクシオン(姫ゼク)「ちょっと貴方達、そんなくだらない発端で………」

ばんっ!

清麿(姫ゼク)「っ…!?」

ゼクシオン「は?」

蜂須賀(姫ゼク)「あっ…!?」

一瞬の出来事だったが、ゼクシオンと蜂須賀と、当事者である清麿が言葉を失うには充分だった。
水心子正秀が、源清麿を、突き飛ばした。



水心子(姫ゼク)「っ…!清麿の馬鹿者!清麿なんて嫌いだ!!」

そう言って、走り去ってしまった。
数秒唖然としていた蜂須賀だったが、すぐハッとして清麿に駆け寄る。ゼクシオンも後に続いた。

蜂須賀(姫ゼク)「だ、大丈夫か清麿」

清麿(姫ゼク)「…………………」

蜂須賀(姫ゼク)「き、清麿?」

生気のない表情で、水心子が去っていった方向を見つめていた。
そして、やっと発せた言葉は…

清麿(姫ゼク)「水心子…」

蜂須賀(姫ゼク)「ん?」

清麿(姫ゼク)「水心子に嫌われた………どうしよう………!」

真っ青な顔色で蜂須賀とゼクシオンの方を向いた。
この世の終わりかのような絶望した表情をする清麿に、ゼクシオンはため息をついて

ゼクシオン「意固地ですね、貴方も彼も。素直に謝ればいいでしょう?」

清麿(姫ゼク)「で、でも、水心子は僕のこと嫌いって、絶対許してくれないよ…!」

ゼクシオン「本当にそう思ってるんですか?」

清麿(姫ゼク)「だって…!」

蜂須賀(姫ゼク)「清麿、少し落ち着いた方がいい。水心子も本心で言ったつもりはないだろうし…俺達も協力するから」

清麿(姫ゼク)「…………」

清麿の表情は、未だ晴れず…



○●○●○

水心子(姫ゼク)「うっ…ひぐ………」

中庭の池の前で、水心子は座り込んで涙を流していた。

水心子(姫ゼク)「どうしよう…僕はっ、清麿に、なんてことを………絶対に、嫌われた…」

きっかけはとても些細なことだったのに、どうして…
今から謝っても、許してはくれない。だって、自分は彼に酷いことをしてしまった。酷いことを言ってしまった。
今思えば彼は自分を想ってああ言ってくれたのに………

水心子(姫ゼク)「どうしよう…」

池を覗いて、映っている泣いて無様な自分をぼやっと見つめていた。



「誰かいるの?」

突然声が掛けられて、反射的に振り返る。
すると、こちらを心配そうに見つめる白髪の青年がいた。

水心子(姫ゼク)「あ、貴方は…」

壮五「えっと、逢坂壮五です。IDOLiSH7の」

水心子(姫ゼク)「ああ、現世の…」

確か、彼は現世では「あいどる」と呼ばれる芸者?をしていた者だということを思い出した。
おずおずと、壮五が水心子と同じように屈んで手を伸ばす。

壮五「もしかして…泣いてた?」

水心子(姫ゼク)「っ!」

乱暴に袖で涙を拭って、立ち上がりその場を去ろうとする。


壮五「ま、待って!」

水心子(姫ゼク)「…っ!?」

咄嗟に自分の手首を掴む壮五に、唖然としてしまう水心子。
「そこに座ろう?」とベンチを指さし促す壮五に水心子は唖然としながらも「あ、ああ」と頷く。
何を言われるか大体予想がついてしまい、水心子は気まずかった。

壮五「えっと、水心子くん…だよね?」

水心子(姫ゼク)「如何にも。私は新々刀の祖、水心子正秀だ」

壮五「えっと…何か嫌なことでもあった?僕でよければ、相談に乗るけど…」

来た。
本来ならば何も無いと一点張りで黙秘するのだが…
彼の優しい声色が、大好きな彼と似ていて…
頭がもたげてしまって、彼に吐き出した

水心子(姫ゼク)「…………………清麿に」

壮五「清麿さん?いつも水心子くんと一緒にいる刀剣男士さんだっけ?」

水心子(姫ゼク)「………清麿に、酷いことを言ってしまった。酷いことをしてしまった。………嫌われてしまった」

壮五「…………」

水心子(姫ゼク)「清麿は私のことを想ってくれたのに……私、ぼっ、僕はっ………自分のことばかりで…!今も言い訳ばかりが頭に浮かんで…っ!僕は、最低だ………!」

壮五「………水心子くん。僕の話も聞いてくれないかな?」

そう言う壮五に水心子はきょとんとしてしまうが、彼があまりにも優しい表情で、思わずこくんと頷いてしまう。
許可を得た壮五は語り始めた。

壮五「僕にもね、四葉環君って言う相方がいるんだ」

水心子(姫ゼク)「四葉環…貴方の所属する集団にいる背の高い彼か?」

壮五「そう。彼と僕、世間では超超仲良しって言われてるけど、実は喧嘩ばかりなんだ」

水心子の口からえ、と言葉が漏れる。
目の前にいる彼と、四葉環と言う男はいつも一緒にいるイメージで、壮五も喧嘩なんてしなさそうな温厚そうな人物なのに、と。
水心子の思惑など露知らず、壮五は続ける。

壮五「環君は仕事にルーズで敬語も使わないし、僕は僕で自分で色々と溜め込んで、皆に迷惑をかけてる…。でもね、最終的には仲直りするんだよ。…水心子君、1番平和な仲直りの方法って知ってる?」

水心子(姫ゼク)「…いや………」

ゆるゆると首を横に振る水心子に、壮五は優しい声色で教えた。

壮五「それはね、喧嘩した人と会ってすぐに「ごめんなさい」って謝ることなんだ。難しいし上手く言えるか不安って思うかもしれないけど…でも、言えたらもう大丈夫」

水心子(姫ゼク)「でも…僕、私は…」

壮五「水心子君」

ベンチから立ち、水心子と目線を合わせる。

壮五「僕は、君が清麿さんと仲直り出来るって信じてるよ。頑張って、勇気を出して」

そう言う壮五に、水心子は………

水心子(姫ゼク)「私は​─────!」



○●○●○

その頃清麿は………

清麿(姫ゼク)「…………………」

ゼクシオン「生気のない目をしてますね」

蜂須賀(姫ゼク)「うう………どうにかならないものかな………」

ゼクシオン「それは彼と彼次第でしょう。それよりも、僕らがいると邪魔でしょう。行きますよ」

蜂須賀(姫ゼク)「ああ………」

清麿を心配そうに見ながらゼクシオンと共その場を去る蜂須賀。
そんな彼の気持ち等知らず、清麿は悔いていた。

清麿(姫ゼク)「水心子…」

彼もまた、後悔していた。
大切な親友に対して嫌な思いをさせてしまったことを。
そのせいで自分は彼に…嫌われてしまった。
今更謝って彼は許してくれるのだろうか?彼ははっきり言った。「清麿なんて嫌いだ」と。
どうしてあの時意地になってしまったんだと後悔ばかりが頭を支配する。

清麿(姫ゼク)「どうしよう………」

貰った菓子を見下ろして、清麿は呟いた。



「何やってんの?」

頭上から声が聞こえた。
そちらを見ると、自分より背の高い青年が片手に容器とスプーンを持ってこちらを見ていた。
彼は…

清麿(姫ゼク)「えっと、君は」

環(アイナナ)「四葉環。アンタは?」

清麿(姫ゼク)「…源清麿」

環(アイナナ)「じゃあまろまろな」

清麿(姫ゼク)「ま、まろまろ?????」

なんだその呼び方はと清麿が一言言おうとした時

環(アイナナ)「まろまろもお菓子持ってるのに、食わねえの?」

清麿(アイナナ)「………あげないよ」

環(アイナナ)「取らねーよ。で?食わねえの」

清麿(姫ゼク)「…食べたくない」

環(アイナナ)「なんで?美味そうじゃん」

清麿(姫ゼク)「っ…ほっといて!」

環(アイナナ)「うおっ」

突然大声を上げた清麿に流石にビックリしてしまう。
そんな環に構わず清麿は今の思いを吐露する。

清麿(姫ゼク)「っ…水心子にあげようと思ったんだ」

環(アイナナ)「すいしんし?ダチかなんかか?」

清麿(姫ゼク)「親友だよ。でも…僕水心子に嫌われて」

環(アイナナ)「は?なんで?」

清麿(姫ゼク)「…水心子が僕にも食べてって。でも僕は水心子の喜ぶ顔が見たかったから、全部水心子が食べてって言ったんだ。そしたら…」

環(アイナナ)「意味わかんねー」

清麿(姫ゼク)「………………」

環(アイナナ)「なんでお前も食うって言わなかったんだよ」

清麿(アイナナ)「それは………」

視線を落としてしまう清麿に、環は拍車をかける。

環(アイナナ)「俺さ、王様プリン好きだけど、全部一人で食えたら嬉しいけどそのせいで周りがギクシャクするの嫌だ。…前俺のせいでそーちゃんの胃に穴が空いて、辛い目にあって、あれからもそーちゃんと色々喧嘩するけど…でもまたギクシャクすんのはぜってーやだ」

清麿(姫ゼク)「でも、僕…水心子に嫌いって」

環(アイナナ)「仲直りなんて簡単じゃん」

清麿(姫ゼク)「え………」


環(アイナナ)「ごめんって謝れよ。親友なら、それで許してくれんだろ」



○●○●○

水心子(姫ゼク)「清麿、どこ、どこっ…!」

水心子は清麿を探していた。
そして

清麿(姫ゼク)「水心子っ…!」

清麿も水心子を探していた。
広すぎる館内を探しに走り、けれど未だに会えていない。
早く、早く会って…、と思いが通じたのか。

長い廊下の先に、会いたかった人物を見つけた。

水心子(姫ゼク)&清麿(姫ゼク)「っ…!」

相手の姿を視認するや否や廊下を駆け​──────

水心子(姫ゼク)&清麿(姫ゼク)「ごめんなさいっ!!………へ???」

同時に思いっきり頭を下げ謝罪した。
しかし間抜けな声をこぼして相手を見た。

水心子(姫ゼク)「い、いいの?許してくれるの??」

清麿(姫ゼク)「それを言うなら、水心子の方こそ…」

数秒間を開けてきょとんとしてると、ぶはっと吹き出して笑う二振り。

水心子(姫ゼク)「な、なんだ、こんなに簡単に許してくれるんだ、あははっ」

清麿(姫ゼク)「そうだね、ははっ、何だったんだろあの落ち込み具合っ」

ひとしきり笑ったところで、水心子が改めて謝罪する。

水心子(姫ゼク)「…清麿、本当に済まなかった。私は清麿に心無い言葉を…」

清麿(姫ゼク)「ううん。僕の方こそごめんね、意固地になってしまって。だから」

水心子(姫ゼク)「あ………」

清麿が差し出したのは、喧嘩の発端とも言える菓子だ。

清麿(姫ゼク)「ねえ、一緒に食べよう?」

水心子(姫ゼク)「…!うん!あ、じゃない!あ、有難く頂こう」

清麿(姫ゼク)「うん」

そう言って、仲良く手を繋いだ。
それを影で見ていたのは…

ゼクシオン「まあ、そうなりますよね」

蜂須賀(姫ゼク)「本当に良かった…」

やれやれと言った笑みで二振りを見ていたゼクシオンと、ほっと胸をなで下ろしている蜂須賀(姫ゼク)だった…。



 ~後日談~

環(アイナナ)「まろまろー。みっきーが王様プリンくれた。一緒に食おうぜ」
清麿(姫ゼク)「ああ、ありがとう。…これ、水心子の分ってあるかな…?」
環「ある。ひでひでにもやろう」
清麿(姫ゼク)「ありがとう(にこー)」

○●○●○

清麿(姫ゼク)「水心子ー…あれ」
環「ひでひでー…ゲッ」
水心子(姫ゼク)「清麿?と…四葉環?」
壮五「環君?清麿さんと一緒にどうしたの?」
環「…そーちゃんこそひでひでと何やってるんだよ」
壮五「何って、水心子君が僕達MEZZO"の曲が気になるからって、聴いてたんだよ」
水心子(姫ゼク)「現代の勉強にと思って…しかし、時代が変わっても良いものは良いな…」
清麿(姫ゼク)「へぇ。…あ、環がぷりんをくれたんだけど、水心子も食べるかい?」
水心子(姫ゼク)「え、で、でも…(壮五を見やる)」
壮五「ふふふ、どうぞお食べ」
水心子(姫ゼク)「…で、では遠慮なく(ぱくり)…!甘くて美味しい…!」
環「だろ!?王様プリン美味いだろ!」
水心子(姫ゼク)「え、あ、いや…き、清麿も食べて!」
清麿(姫ゼク)「うんうん。僕もいただこうかな」
壮五「清麿さんと水心子君、仲が良くて見ていて微笑ましくなるなぁ。ふふふ」
環「…なーそーちゃん」
壮五「?」
環「やる(王様プリンずずいっ)」
壮五「え、いいの?」
環「おー」
壮五「…あははっ。ありがとう。一緒に食べようか」
環「…おー」

めでたしめでたし

感想OK

Re: 嫁でクロスカプ&クロスコンビSS集 ( No.147 )
日時: 2020/05/06 17:15
名前: 琴葉姫 (ID: EnwL6lXi)

琴葉姫「二連投稿です!!!!!!!!!!!!!!!!(!?)」

アーサー「筆乗ってんなァ!?(驚愕)」

琴葉姫「多分もうすぐ倦怠期に突入します」←←←

アーサー「それでいいのか…?」


今回はあんスタの鬼龍紅郎先輩×花騎士のマツバボタンちゃんの話ですが…この話ウーちゃんとハクロウさんの形式、つまりマツバボタンちゃんのキャラクエを団長を大将(鬼龍さん)に見立てたキャラクエ改変になっております(爆)そういうの無理という方は閲覧をお勧めしません。
また、どうあがいても闇のある話なので(!?)そういうの苦手な人も閲覧非推奨です。
それでもいいよ!という方はよろしくお願い致しますm(_ _)m



『心の扉』を開けてやる

鬼龍「おう。お疲れ『プロデューサー』。また頼むわ」

そう言って鬼龍紅郎きりゅうくろうは自宅の扉を開けて入って行った。
本来なら女であるプロデューサーの方を自宅まで送った方がいいのだろうが…生憎立場が許さずプロデューサーに自宅まで送ってもらった。

鬼龍は芸能事務所RhythmLink(リズムリンク)に所属するアイドルユニット『紅月あかつき』に所属している。
人気ユニットでもある紅月は現在メディアに引っ張りだこで、次々に仕事が舞い込んで来紅郎も中々休む時間が取れずにいる。
明日も午前早くに家を出て朝の情報番組に生出演しなければいけなかった。
忙しいが鬼龍本人は充実していると思っている。ただ、趣味の裁縫が中々出来ずストレスは若干溜まってるが…。

鬼龍「(今日も刺繍は出来そうもねえな…少しでも寝て、明日に備えねえと…)」

ジャージに着替えるなりベットに入って横になる。
瞼を閉じると、意識を失うように眠りについた───。



○●○●○

鬼龍は気が付くと、おかしな空間にいた。
辺りは真っ白で、傍に似つかわしくないちゃぶ台に、急須と湯飲みが置かれていた。
すぐ気づく。これは夢か。それにしては変な夢だな。最近忙しいからか?
夢だと確信する鬼龍だが、すぐそばに人の気配を感じる。
誰がいるんだ…とそちらを見ると。

「ひっ…」

可愛らしい女性の声が聞こえた。声と言うよりかは、悲鳴に近いものだが。
その声の主は、亜麻色の髪の一部をお団子にして、弓を携えている和服の美少女だった。
おどおどしながら、こちらを凝視するように見ている。

鬼龍「大丈夫か?」

和服の美少女の挙動不審具合に、鬼龍は心配して彼女に近づくが…

和服の美少女「っ…!」

顔を真っ青にして後ずさってしまった。
その行動に鬼龍は唖然としてしまう。確かに自分の顔は怖いかもしれないが、そんなに怖がられるとは…いやでもこのお嬢ちゃん臆病な性格っぽいし…。
落ち込んで色々思考を巡らせていると、美少女は慌てて事情を告げた。

和服の美少女「ご、ごめんなさいっ…!わ、私…男の人、が、得意じゃなくて…!」

美少女の言葉に目を見開いた後、「(成る程、男性恐怖症か)」と合点がいった。
しかしこの空間には自分と彼女しかいないようだ。なら自分はあまり彼女に近づくべきではないだろう。
だが、この微妙な距離感をこのまま保ってもいいものだろうか…というか彼女は何者だ…?と、再び思考を巡らせていた。
が───

和服の美少女「………お兄さん?」

美少女が不意に訊ねてきた。
不安を露わにして、こちらの顔色を窺っている。

和服の美少女「お兄さん、急に静かになってしまったので………。私、お兄さんをよくない気持ちにさせていませんか…?」

鬼龍「え?ああ、違ぇよ。お嬢ちゃんに不快な思いなんて一切してねぇ。むしろ俺こそ不安にさせて悪かった。すまねぇ」

どうやらこちらの沈黙を深読みしてしまったようで、鬼龍は慌てて弁解した。すこし大袈裟なくらいに身振り手振りを交えて。
それが功を為したようで、和服の美少女から笑顔が帰ってきた。

和服の美少女「よかった………。あ、あの、これは夢、なんでしょうけど…私、こんな風ですけど…お兄さんには、近づきたい、です……。もっと、お話、したい、です……」

鬼龍「夢?嬢ちゃんも夢を見てるのか?」

和服の美少女「…?はい…お兄さんも、ですか…?」

鬼龍「ああ、こいつぁどういう現象だ…?」

なんでこの嬢ちゃんと俺は夢を共有してるんだ…?
しかしそれは今は良い。不可思議な現象ではあるが、不快ではない。
「そういえば、」と、改めて鬼龍は美少女の方に向き直った。

鬼龍「俺の名前は鬼龍紅郎だ。嬢ちゃんの名前は?」

和服の美少女「名前………」

美少女はその言葉を反芻した後、名乗った。

和服の美少女→マツバボタン「…マツバボタン、です」

鬼龍「マツバの嬢ちゃんか。まぁ、短い間だがよろしく頼む」

マツバボタン「……はい、キリュウさん。頑張っていい子でいますから…これから、仲良くして欲しい、です………」

それが、二人の出会いの始まりだった───。



○●○●○

それから毎日眠って夢を見ると、鬼龍とマツバボタンの交流が続いていた。
話を聞くに、マツバボタンは地球の人間ではなく、「スプリングガーデン」という全く別の世界の住人であることが分かった。
スプリングガーデンでは害虫と言う虫型のモンスターが人々の生活を脅かしていて、花騎士フラワーナイトという存在だけが害虫を倒せるという。
「マツバの嬢ちゃんのフラワーナイトなのか?」と聞くと、落ち込んだ顔をしてしまったので謝るとこちらが申し訳なくなるくらい謝り返して来たので、花騎士の話はしなくなってしまった。
代わりにマツバボタンの師匠であるレウイシアという人物のことを静かながらも熱弁してくれて、本当にその人物が好きなんだな、と鬼龍は微笑ましくなった。
鬼龍も鬼龍でこちら側…地球での歴史や文化などを話したり、自分がアイドルという職業をしていて歌ったり踊ったりする仕事と聞いてマツバボタンは目をキラキラさせていた。
試しに持ち曲を歌って踊ると、目を輝かせて「すごいすごい」と称賛するマツバボタンに照れ臭くも喜ばしい感情を抱いたりもした。

プロデューサーやユニットメンバーから「最近が調子いい」と言われ「そうか?」と濁していたが理由はただ一つ。マツバボタンという存在のおかげだ。
今日も帰ってすぐ眠りにつき、楽しみにしていた夢でマツバボタンとの逢瀬の時。
やはりいつものように一定の距離を保って、それでも和やかに会話していた。…が、鬼龍はずっと疑問に思っていた。

マツバボタンは、よく「よくない」や「好きじゃない」と表現する。
直接的にマイナスな言葉は使わず、それらは遠回しな言い方として矯正する。
それは初めて出会った時もだ。過度に相手の顔色を窺うのは、恐れの感情があるからだろう。
そして何より、彼女が苦手とする対象は男性に限定されている。

鬼龍「………なあ、マツバの嬢ちゃん」

マツバボタン「…?はい、何でしょう…?」

いきなりこんな事を聞いていいのか?
いや、でもこれが悩みを解消するきっかけになるかもしれない。
天使と悪魔が脳内に囁いて、最終的に勝ったのは───

鬼龍「もしかして、親父さんとなんかあったのか?」

マツバボタン「えっ───?」

マツバボタンの表情から感情が消えた。
しまった、また間違えたか、と思いつつもマツバボタンの反応をつぶさに観察する。
もしも心の傷に触れたのなら、すぐにでも謝罪できるように。
しかし、彼女の表情には戸惑いこそあれど、嫌悪感は見受けられなかった。
それどころか───

マツバボタン「ど、どうして、分かったんですか…?……私が、お父さんのこと、悩んでるって………」

鬼龍「…やっぱそうだったのか。いや、明確な根拠はなかったんだが、なんとなくそうなんじゃねえかって…」

マツバボタンの反応は畏敬のそれに近かった。
鬼龍がそう伝えると、ますますその眼差しが尊敬の念を帯びる。



マツバボタン「………キリュウさんになら、いいです」

鬼龍「ッ………」

ついに、彼女の口から知ることになるのか。
無理に言わずとも言いと伝えたが、「キリュウさんに、聞いて欲しいです…」と他ならぬマツバボタンが言い切った。
そう言われては無下にできず、鬼龍は覚悟を決めてマツバボタンの話を聞き入れた。

マツバボタン「悩み……お父さんのこと、です。私、桃源郷…お師匠様の…ところに来る前は、お父さんと暮らしていました。私はお父さんが大好きで、お父さんの自慢の娘になりたくて。でも、私…お父さんのもとから逃げ出してしまったんです」

鬼龍「…逃げ出した?」

鬼龍は間抜けな顔でオウム返しの言葉を溢した。
それに構わず、マツバボタンは更に語った。

マツバボタン「お父さんが見ていない時に、家を飛び出して………走って、走って……桃源郷に辿り着いた頃には、動けなくなってて。お師匠様に助けてもらって、そこから桃源郷に住むことになりました。……どうして逃げ出したのか、わからないんです。私…お父さんのこと、大好きなのに………」

鬼龍は首を傾げた。どうも話が繋がらない。
もしも父親と不仲なら、家を飛び出すのは分かる。
だが彼女は父親のことが大好きと断言している。
男性恐怖症とはまた別の問題なのだろうか…?
探りを入れるべく、鬼龍はマツバボタンの父親について聞いてみた。

鬼龍「マツバの嬢ちゃん、親父さんのこと好きなんだな。親父さんのどういうところが好きなんだ?」

マツバボタン「どういうところ?」

首をかしげるマツバボタンに、鬼龍はきょとんとした表情をしてしまった。

鬼龍「さっきから何回も「大好き」って言ってただろ?それくらいいい親父さんなら、良いところの一つや二つあると思ったんだが」

そう言うと、マツバボタンは再び、ゆっくり語り始めた。

マツバボタン「………それは、お父さんが、言ったから。お父さんが好きな言葉だから、です」



マツバボタン「私はお父さんが大好きです。お父さんの好きな言葉だけ、綺麗な言葉だけ使います。どうかずっとお父さんのそばに置いてください」

マツバボタン「………いつも、何度も、お父さんが満足するまでそう言ってました」

鬼龍「…─────」

言葉が出なかった。返す言葉がなかった。
彼女は…マツバボタンは、父親と良好な関係など築けてなんていない。
いや、表面だけなら良好に聞こえるだろう。
だがこれは───

マツバボタン「キリュウさん………。私、自分が分からないんです」



琴葉姫「いやぁ~マツバボタンちゃんのキャラクエのツイート見た時「やばい(やばい)」って思いましたからねえ(遠い目)」

アーサー「完全にヤバいんだよなぁ…(震え声)」

Re: 嫁でクロスカプ&クロスコンビSS集 ( No.148 )
日時: 2020/05/06 16:25
名前: 桜木 霊歌 (ID: R1HrIXSx)

こんにちは!桜木霊歌です!
霊歌「仲直りできて、本当に良かったね!」
ソニック「仲違いしたとしても、仲直りしたいと思ったからだな」
次回も楽しみに待ってます!

Re: 嫁でクロスカプ&クロスコンビSS集 ( No.149 )
日時: 2020/05/06 16:28
名前: 琴葉姫 (ID: EnwL6lXi)


○●○●○



マツバボタン「大好き。嬉しい。楽しい。美味しい。幸せ。気持ちいい。可愛い。格好良い。綺麗。素敵。優しい。素晴らしい。感動した。おめでたい。頑張る。素直。憧れる。喜ばしい。美しい。大切に思う。とても良い。ありがとう。愛してる」

マツバボタン「………お父さんが好きな言葉、綺麗な言葉。…他にもたくさん。逆に、お父さんが好きじゃない言葉を使った時は、お父さんが好きな言葉に置き換えて……何十回でも、書き取りしました。お父さんが、満足してくれるまで」

マツバボタン「私が、綺麗じゃない言葉を使った時は……。声に出した時は口が、字を書いた時は手が汚れたって言って……私の手や口を、石鹸で繰り返し洗われて………」

マツバボタン「私はお父さんと暮らせて幸せ。お父さんのことが大好き。………そう言い続けてきたのに、どうして逃げ出したのか……。考えるたび、心と体がちぐはぐになった様な……気持ちになるんです」

…頭が痛くなりそうだ。いや、既に痛い。
鬼龍は頭を押さえたかった手、思考を停止したくなるのを必死に抑えて考えていた。
物心ついてからずっとその環境にいた彼女にとって、それは至極当たり前の生活だったのだろう。
否、父親に感謝すらしているに違いない。そう感じるように育てられたのだから。
先程疑問に思っていた遠回しな言い方もそうだ。まさかこんな背景があったからだとは夢にも思わなかった。
そして、檻に似たその世界から抜け出てもなお、マツバボタンは呪縛に囚われている。
『いい子』としての自分以外の、本心を見失ったままでいる。

マツバボタン「……キリュウさんは、分かりますか?私がどうして、逃げ出してしまったのか………」

そう自分に問いかけるマツバボタンに今度は泣きたくなった。
断定はできないが、己を護ろうとする本能が働いたのかもしれない。
しかしこの意見をそのまま伝えてもマツバボタンには理解出来ないだろう。
自分に植え付けられた理想の娘としての固定概念と、より深い、自分にすら整理できない感情との矛盾こそが、今の彼女を苦しめているのだから。

彼女の苦悩を思う程、そして顔も知らない父親とやらのことを憎むあまり、胸を痛くして顔を歪めた。
………するとマツバボタンの顔がさあっと蒼ざめた。

マツバボタン「キリュウ、さん………?ご、ごめんなさい…私………キリュウさんに、そんな、悲しい顔させて…っ」

異様に何かを恐れるように、マツバボタンは声を震わせる。

鬼龍「ああ、謝ることじゃねえよ!何も怒ってるわけじゃねえんだから」

───そう、マツバの嬢ちゃんに怒ってるわけじゃねえ。
咄嗟のことで声が震えないように気を付けて大袈裟に弁解した。
しかし、マツバボタンの顔色と震えた声は戻ることなく更なる爆弾を投下した。

マツバボタン「お、お父さんも、怒りませんでした……。ただ、悲しいって…私がお父さんを悲しませる、良くない子だから、いい子になれるように躾をしなきゃいけないって………」

その言葉に、強く歯軋りをし更に顔を歪めた。
───ふざけんじゃねぇ!テメェに、そんな言葉吐く権利なんざねぇだろ!こいつを、嬢ちゃんを長年悲しませてるのはテメェだろうが!
内心、彼女の父親に対して口汚くなる程憤るが、マツバボタンはそれを別の意味で解釈してしまった。
身体を可哀想なまでに震わせて、鬼龍に駆け寄って涙声で懇願した。

マツバボタン「っ…!ごめんなさい…ごめんなさいっ…!キリュウさん、私、いい子になりますから……!だから、だからお願いします、見捨てないでっ……!」

鬼龍「ッ!!」

───もう、見てらんねえよッ!

半ば錯乱したように繰り返し懇願するマツバボタン。その痛ましい反応に、鬼龍は居ても立っても居られず───



衝動のままに、マツバボタンを抱きしめた。

マツバボタン「っ……!?き、キリュウ…さん………?」

腕の中のマツバボタンの身体が一瞬強張って、少しずつ、その肩から力が抜けていくのが分かる。
それを好機と言わんばかりに、ぽんぽんと、母親が幼子にするように、優しく背中をさする。

マツバボタン「…あったかい、です…。お父さんとは、全然、同じじゃない…安心、します………。あんまり、言葉が見つけられない…ですけど……お父さんとも、桃源郷で見た男の人とも一緒じゃない……です………。私以上に、私の気持ちに気付いてくれて………」

マツバボタンの言葉には、初めて、安らぎの響きがあった。
そっと腕を解いて彼女の様子を窺うと、既に落ち着きを取り戻しているのが分かる。

鬼龍「もう大丈夫か?」

マツバボタン「………あ、ありがとうございます、キリュウさんっ……。私、あの………」

鬼龍「取り乱したことなら問題ねぇよ。それよりも…大丈夫、か?」

マツバボタン「はい……。私、勘違いをしていただけ…だと、思います……。キリュウさんは、キリュウさん……。優しくて、いっぱいあったかい人……です」

鬼龍「…いや、そうじゃなくて…」

マツバボタン「……………?」

鬼龍「…マツバの嬢ちゃんが、男が苦手なの忘れて、無理矢理抱きしめちまっただろ?…大丈夫だったか?」

鬼龍が少々頬を赤らめて、顔を背けながら問うと…。

マツバボタン「……………はい」

頬を赤く染め、少し黙ってから、こくんと小さく頷いた。目もとろんと蕩けている。
…は?????いやいや待て待てなんでそんな顔してんだマツバの嬢ちゃんその顔はやべえ!!!
鬼龍が内心心臓バクバクでいると、マツバボタンは改めてキリュウに告げた。

マツバボタン「少しだけ…分かった気が、します……。私が、どうして男の人が得意じゃないのか……。私が、本当はお父さんにどうして欲しかったのか……。でも、まだ少しだけで……全部、言葉に出来るようになるには………まだ、時間がかかりそう、です………」

その言葉に落ち着きを取り戻し、優しく微笑みかける。

鬼龍「……それなら、ゆっくりと自分と向き合え。俺も嬢ちゃんのお師匠さんも、マツバの嬢ちゃんに何かを強いることはしねえ。余裕のある時に考えりゃいいんだよ」

マツバボタン「………でも。今は、もっと気になることが、できました」

そう言って、じっとこ鬼龍を見つめるマツバボタン。
はた、と再び顔を赤くして固まってしまう。

マツバボタン「私…普段、お師匠様に褒められた時も、今、キリュウさんに抱きしめてもらえた時も。いっぱい嬉しくて、胸の中が、きゅ………ってなります」

鬼龍「ッ…!」

その言葉に、鬼龍は更に顔を赤くして後ずさった。


マツバボタン「この嬉しい気持ちを、大事にしたい……。私の中でいっぱい、育んでいきたい…です。昔のことばっかりじゃ、なくて………」

…それは、マツバボタンの口から聞いた、未来への希望が込められた言葉だった。出会ったばかりの頃とは違い、彼女はもう、こちらと距離を置こうとはしない。

マツバボタン「キリュウさんは、素晴らしい人です。少し言葉を交わしただけで、心の苦しさに気付いてくれて………こんなにも、安心させてくれるんですから」

………彼女が心に負った傷は深い。本人が傷の存在に気付いていないことも含めて重篤だ。
しかし、彼女は今まさにその傷と向き合い、変わろうとしている。



───そこで目が覚めて、あれから彼女と"夢"で会うことはなかった。


○●○●○

鬼龍「よう、創造主の嬢ちゃん」

琴葉姫「その呼び方むず痒いですねぇ…というか鬼龍さん私より年下なのに…」

鬼龍「気にすんな。それよりも俺に用ってなんだ?」

琴葉姫に呼び出された鬼龍。
あれからアイドルを続ける傍ら、「嫁」として自分やユニットメンバー、学生時代の仲間や後輩含めて贔屓にさせてもらっている。
そんな彼を呼び出した理由は───

琴葉姫「ああいや、新しい嫁が加わってな。ほら、そこにいるんだけど」

鬼龍「───」

琴葉姫「懐かしい子がいるだろ?」

そう言ってにやにやと笑いながらこちらを見る琴葉姫など視界にも止めず、鬼龍は「彼女」に駆け寄った。
それは、「彼女」も同様だ。涙を流して、鬼龍に抱き着いたのだ───。

『心の扉』は、もうひらかれていたのだった。



琴葉姫「マツバボタンちゃん幸せになれ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!鬼龍先輩と!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!(爆)」

アーサー「(琴葉姫に対して)4ね!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

色々とすまない…(震え声)
感想OK

Re: 嫁でクロスカプ&クロスコンビSS集 ( No.150 )
日時: 2020/05/06 16:31
名前: 琴葉姫 (ID: EnwL6lXi)

アッー!コメント来てたーッ!!!ウカツ!!!(?)


 ☆コメント返信☆

桜木霊歌さん
→今回もコメントありがとうございますッッッ!!!

蜂須賀(姫ゼク)「本当に、仲直りできてよかった…」

ゼクシオン「寧ろ出来なかったらこっちが困るんですけど…」

琴葉姫「素直じゃないな~このこの~(つんつん)」

ゼクシオン「(バシッ)(無言でレキシコン・ファントムによって払う)」

琴葉姫「ひどくない???????????」

今回もありがとうございます!!!(二回目)


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