二次創作小説(新・総合)

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逃走中#CR06 Welcome to Lapistoria
日時: 2020/11/26 22:09
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: okMbZHAS)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7a/index.cgi?mode=view&no=1552

どうもです、灯焔です。
マイペースに6回目の開催を迎えた逃走中#CR06。前回、ゼウスの力で刀が顕現したり天界が大変なことになっていたことが発覚したりとまた新たな天界に巻き込まれそうな予感がするコネクトワールド。
今回の舞台は、ポップンワールドとは別の世界に位置する『ラピストリア』という世界にある学園『ラピストリア学園』。音楽が溢れる学園を舞台に、逃走者とハンターとの6回目の逃走劇が今、幕を開ける―――!


新たな敵の存在が明らかになったコネクトワールド。今だ均衡状態にある最中、ゼウスが刀剣達を顕現させてしまう現象が起きてしまいました。そのうちの一振を近侍に迎え、サクヤも自分なりに世界について考えていくようになるのですが…。
はてさて、今回はどんな物語が彼女達を待ち受けているんでしょうかね。


<ルール>
『ラピストリア学園』 出典:pop'n music ラピストリア
『ラピストリア』という世界に存在する巨大な学園。世界自体はMZDが作成し、現在も『ラピス』に世界の管理を任せている。相変わらず理事長はジェイド、学園長はジェダイト。
今回使用するのは学び屋である学園エリアのみとなる。
学園エリアは円形の形をしており、3階建て。
エリア紹介 >>1





逃走時間:80分

賞金:48万(1秒100円)

ハンター:初期3体or4体(OPゲームの結果に基づき変更)

自首方法:『理科室』or『コンピュータールーム』にある自首用電話から自首する旨を電話する。


<参加者>

【pop'n musicシリーズ】より (3人) 詳細>>2
ヨシオ
おとこマン
鉄男

【ファイアーエムブレムシリーズ】より (3人) 詳細>>3
エフラム
エイリーク
リオン

【ダンガンロンパシリーズ】より (3人) 詳細>>4
朝日奈葵
澪田唯吹
茶柱転子

【白猫プロジェクト】より (3人) 詳細>>5
ツキミ・ヨゾラ
オスクロル・ラス・カサス
レイン・ディアボルス

【ハイキュー!!】より (3人) 詳細>>6
及川徹
弧爪研磨
赤葦京治

【作者枠】 (3人) 詳細>>7
ヤード
konakun.
Ga.c=evo.

【逃走中#05 MVP】 (2人) 詳細>>8
イヤミ
キュベリア

計20名



◎AfterBreakTime

 ①『心機一転、新章開始』 >>9
 ②『刀剣の契約、それは―――』 >>21
 ③『拳は剣よりも強し』 >>31 >>34
 ④『秋風は優しくそよぐ』 >>46
 ⑤『ココロネとタマシイ』 >>52
 ⑥『彼女が青龍になった理由』 >>72 >>75
 ⑦『生命の輝きは強く、尊いものだ』 >>95
 ⑧『打ち上げパーティ』 >>138-140 >>144 >>147

 Extra『秋の夜長と花火と酒と』 >>150-155



○逃走中#CR07 シード枠争奪アンケート実施中! 
※締め切りました


○逃走中#CR07 次回参加者募集中!
※締め切りました
次回参加者 >>119
作者枠発表 >>133

※『お手伝い』として参加してくださる方向けの案内※
※締め切りました



以上、逃走中#CR 運営本部がお送り致します。

Re: 逃走中#CR06 Welcome to Lapistoria ( No.44 )
日時: 2020/10/12 22:06
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: jWLR8WQp)

【58:23】





~校舎エリア 2F 美術室付近~





朝日奈「あ、いたいた。エフラムー!」

エフラム「朝日奈。俺も今丁度ここに来たところなんだ」

朝日奈「なら丁度良かったよー。先に『扉封鎖阻止装置』ってのを見ておこうと思ってさ」

エフラム「奇遇だな、俺も同じことを考えていたんだ。折角数字が揃ってももたついてミッションクリア出来なくても困るからな」



 さて、こちらは2階で合流して数字を探すことにしたエフラムと朝日奈。お互い近い場所を逃げていたのか、無事合流できたようですね。先に『扉封鎖阻止装置』を見に行こうと思っていたようで、早速行動を開始します。
 ……周りに気を付けながら移動する2人。時間は無いですがハンターにも気を付けなければなりませんからね。



朝日奈「これが15分だったらもうちょっと余裕あったんだろうに。少しずつゲームの難易度も上がってるってことだよね…」

エフラム「前回よりは余程優しいけどな…。現場にいたからよく分からなかったが相当難しかったと聞いているぞ」

朝日奈「あー。前回はまぁMVPばっかりが揃ってたからねー。相当難しくしなきゃ、って思ったんじゃない?」

エフラム「そろそろ美術室だな。……ん?誰かいるみたいだ」



 美術室の手前までやってきた2人。開かれた扉の向こうから何やら気配を感じるとエフラムは言いました。も、もしやハンター?!
 入る前に誰がいるかを確認しようと通路で中をこっそり覗いてみることにしました。そこには……。




















おとこマン「ふん!ふん!ますらおは1日にしてならず!混沌も1日にしてならずなのだーーーっ!!!」

朝日奈「……何やってんのあいつ」

エフラム「ハンターじゃなかったか…。じゃあ普通に入っていいな」

朝日奈「何平然と入ろうとしてるの?!何か変な動きして腹筋してるやつには突っ込まなくていいの?!」

エフラム「どう接していいか分からんから無視しようと…」

朝日奈「あ、その手があった」



 何故か美術室の中では頭をぐるぐる高速で回しながら、これまた高速で腹筋を繰り返しているおとこマンの姿が。貴方何やってるんですか。
 それを見つけた朝日奈が気持ち悪そうな顔をして反応。エフラムは彼を無視して中に入ります。

 おとこマンが腹筋をしている反対方向に銀色の装置があるのを発見しました。モニターには扉が閉まる時間である『50:00』という数字と、その斜め右下にナンバーキーがあります。間違いなく『扉封鎖阻止装置』ですね。



朝日奈「これが『扉封鎖阻止装置』かー。3桁の数字を全部集めたら、ここに入れればいいんだよね」

エフラム「あぁ。場所を忘れないようにしないとな」

朝日奈「でも、この部屋は扉閉まる部屋じゃないし、扉は全部開放してあるから大丈夫だと思うよ?」

エフラム「そうだな。それじゃあ…俺達も数字を探さないとな」

朝日奈「うん!もう既に及川と鉄男さんが探してくれてるはずだし、あの人達と連携取りながら探そう!」



 装置を確認した後、早速数字探しを開始する為部屋から出ようとする2人。しかし、『彼』が黙って部屋から出すわけがありません。
 エフラムと朝日奈を妨害するように、彼らの前におとこマンが立ちふさがります。



おとこマン「待てい!そこのますらおパワーを持ちし者よ!!」

朝日奈「『ますらお』って男って意味だよね?あたし男じゃないんだけど…」

エフラム「そういう意味だったのか?」

朝日奈「たぶん。さくらちゃんが教えてくれたから本当だとは思うけど」

おとこマン「おとこもフィーバー!!おんなもフィーバー!!」

朝日奈「今はフィーバーしてる場合じゃないんだって!そこどいてよ!」

おとこマン「この私を無視し機械を見に行ったのが運の尽きだと思うのだな!私のますらお談義を全てクリアした者のみここを通そうではないかっ!!」

エフラム「ますらお談義とやらはゲームが終わったらいくらでも聞いてやるから今はそこを通してくれ。最悪俺達の動きが遅れたせいでミッションクリアが遠のくんだ」

朝日奈「そうだよ!そんなこと言ってないであんたも手伝ってよミッション!」

おとこマン「混沌の素晴らしさ、即ちますらおの響きと同義ッ!!それを蔑ろにする者に未来はないっ!!」

エフラム「まずいぞ…。もう1つの通路もこいつに遮断されるだろうし、思うように動けない」

朝日奈「及川と鉄男さんに一応連絡した方がいいかな?邪魔立てが入って動けないって」

エフラム「ああ。頼めるか?機械関連は苦手でな…」



 わけのわからないことを言い並べて2人が部屋から出るのを妨害しているおとこマン。どうやら自分を無視されたのが癪に触っているようです。
 このままではただタイムロスするだけ。残る2人にもう少し詮索範囲を広げて貰う為、朝日奈はスマホを取り出し2人にメールを打ち始めました。



朝日奈「これでよしっ…と。及川はともかく、鉄男さんは頼りに出来そうだから大丈夫だと思うよ!」

エフラム「ああ。ありがとう。…俺達も早くここを出ないことにはな」

おとこマン「ここから出たいのならば、私のますらお談義を聞いていきたまえ!」

朝日奈「聞いてたら絶対ミッションの時間過ぎるよー!どうしよう…」



 2人に探してもらうのを伝えたとはいえ、目の前の仁王立ちを何とかしなければ2人共移動が出来ません。
 どうしたものかと思っていた彼らの背後から近づく『影』が…。その正体は―――?!

Re: 逃走中#CR06 Welcome to Lapistoria ( No.45 )
日時: 2020/10/13 22:00
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: jWLR8WQp)

 彼らに近付いてきている『影』の正体は――――――






































ハンターHI「…………!!」





ダッダッダッダッダ!!!!!





エフラム「足音が…。は、ハンターだ!」

朝日奈「通せんぼされてる場合じゃないよ!逃げなきゃ!」

おとこマン「はっ!貴様らまさか逃げる気か?!」



 足音でハンターの接近に気付く3人!狙われたのは―――





























ROCK ON【OTOKO-MAN】





ピーーーーーーーーーーーー





おとこマン「ぬ、ぬわーーーーー!!!」

エフラム「向こうの通路から外に出るぞ!」

朝日奈「う、うんっ!」



 ターゲットはハンター側から見て一番近くにいたおとこマン!エフラムと朝日奈はおとこマンがハンターに怯んだ隙に反対側の通路から廊下へと逃走。逃げ遅れたおとこマンにハンターが迫る…!



おとこマン「ますらお、パワーーーっ!!!」



 『ますらおパワー』なる謎の力を発揮し逃げようとするも既に手遅れ!ハンターの魔の手は彼の背中をしっかりとターゲット。諦めてください…。









ポンッ







【56:43】
おとこマン 確保 残り15名





おとこマン「ますらおの力があっても逃走者には敵わぬということか…無念」



 言っている意味が分かりません。体力自慢のおとこマン、ここで脱落。
 …しかし、今回はここで終わりません。実は同時刻、もう1人ハンターに追われていた逃走者が…!




























~校舎エリア 1F 階段~





ハンターFU「…………!!」





ダッダッダッダッダ!!!!!





ROCK ON【YARD】





ピーーーーーーーーーーーー





ヤード「出会い頭はないだろぉ!!」



 2階に上がろうとしていたヤード、階段でハンターと遭遇!すぐにUターンして逃げるものの、ハンターとの距離が近すぎた為すぐに追いつかれてしまいました…。









ポンッ







【56:38】
ヤード 確保 残り14名





ヤード「あぁ…。こんなところで捕まりたくなかった…」



 今回の作者陣初確保!ただ捕まる前に左右田くんと会えたのは彼女にとって最大の収穫でしょう。お疲れ様でした。








ピリリ ピリリ








Ga.「ん?『おとこマン ヤード 確保 残り14名』 うわ、ここに来て一気に2人も?!」

konakun.「遂に作者から確保者が出たかー」

朝日奈「ある意味ハンターが来てくれて助かったかも…。ここはあたし達も別れて探した方が効率的だよね!数字見つけたらまた合流しよう!」

エフラム「そうだな。朝日奈、健闘を祈っているぞ」



 一気に2人確保され、緊張感が走る逃走者達。ミッションも大事ですがハンターにも気を付けてくださいね。








【55:21】





~校舎エリア 1F 体育館前~





茶柱「多分隠してあるにしても、地味な場所には隠さないと思うんですよね転子。なので、体育館から可能性を潰していきたいと思います!」




 1階で数字を探していた茶柱さん。体育館が怪しいと踏み、侵入を試みます。彼女のその決断は吉と出るのか、凶と出るのか…?

ABT④『秋風は優しくそよぐ』 ( No.46 )
日時: 2020/10/13 22:07
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: jWLR8WQp)

大包平にメガトンパンチでの勝負には勝ったものの、地面にヒビを入れてしまったせいで落ち込む大典太。
サクヤはそんな彼に、『外の世界』を教えることにしました。

------------------------



~運営本部 メインサーバ~



サクヤ「大典太さん、元気出してください…」

前田「誰も貴方のことを責めてないですよ。あの程度のことは大丈夫だと皆さん言っていたではありませんか!」

大典太「いいんだ…。俺のことなんか放っておいてくれ…」



 ゲームの運営管理を続ける為、勝負を終えたサクヤ達はメインサーバへと戻ってきていました。ごくそつくんと大包平も打ち上げまで観戦すると、現在は観客席でゲームを見ています。
 一方の大典太は、メインサーバに戻るなり隅で体育座り。顔を伏せてそのままその場を動きません。地面を割ってしまったことが相当響いているのでしょう。どれだけサクヤと前田が励ましても効果なし。
 これにはその様子を見ていたアクラルも呆れ顔。落ち込む彼を見てこう口にしました。



アクラル「地面割ったくらいで落ち込むなよ…。本部に本気出さなくても地割れ起こせる奴何人いると思ってんだ」

サクヤ「自然の摂理というものは不思議なもので。貴方の割った地面もすぐに元に戻るので大丈夫ですよ大典太さん。現に施設どこも壊れてませんし」

大典太「『現に』だろう?どうせいずれ壊すさ…。今回はたまたま運が良かっただけで…」

アクラル「こりゃ重症だな」

前田「大典太さん、僕の元の主が所持していた際に厳重に封印されていたこともあって、外の世界をあまり知らないんです。恐らく落ち込みやすい性格になってしまったのも、それが大きく影響しているのではないかと」

サクヤ「成程。『鳥止まらずの蔵』の逸話ですね」

大典太「ふふ…。俺が使われたのは誰かが病に倒れた時だけ…。武器として使われていた記憶なんて、足利時代にぼんやりとあるのとあんたに連れ出されてからだよ。……どうせあんたも俺の霊力に耐えられなくなって俺を手放すさ」

サクヤ「全く…。貴方を持ち出して何百年経ったと思っているんですか。現に私がぴんぴんしている以上、貴方の霊力にあてられることはありません」

アクラル「それによ、石丸に三日月を明け渡すまではサクヤ『天下五剣を3本直持ち』してたんだろ?三日月はどうか知らねーけど、数珠丸も相当に法力の高い刀だってこいつ言ってたし…。
     そんな強い力を持ってる刀を何百年も同時に持ち続けてる時点でお前の霊力でおかしくなるなんてないっての」

大典太「…………」

前田「大典太さんがもっと落ち込んでしまわれました」

アクラル「なんで?!」



 3人が精一杯のフォローをするも、大典太は更に落ち込んでしまい顔を伏せてしまいました。
 そういえばサクヤが蔵から3本太刀を持ち出して結構経っていますが、その間ずっとコネクトワールドにいたのですか?コネクトワールドって『新しい世界』だと天の声は認識していたのですが。



サクヤ「異次元で隔たれた世界が『混ぜられ始めた』のはつい1年ほど前です。しかし、『コネクトワールド』自体は1000年単位で存在している世界ですよ」

アクラル「何か昔は神様が住んでいた土地だったとかって話を聞いたことがあるけど、それもジジイの口車だからな…。どこまで信じていいのやら」

前田「僕達を強制的に顕現させるような力があるのに、真実だけを口にするお方ではないのですか?」

サクヤ「いえ。この世界を管理するきっかけを作ってくださったのもゼウス様なので頭が上がらないのは事実なのですが…。正直、私も彼の全てを信用している訳ではありません。―――神様も、本当は信じるべき存在ではないのかもしれません」

アクラル「まぁなー。一言『神』って言っても色々いるからな」

前田「そうなのですか…」

サクヤ「……仕方ない。私もたまには気分を切り替えたいですし。少し大典太さんと共に外出してきます。外の空気を吸ったら落ち込んだ気分も少しは良くなるでしょうし」

大典太「主…。俺なんか連れて行っても邪魔になるだけ『いいから行きましょう。その姿で外に出るのは初めてなんですから。決めつけるのは良くないですよ』 …………」



 ふとサクヤが『外出してくる』とぽつり。勿論大典太の気分を落ち着かせるのも1つの目的ですが、どうやらそれだけではないようで。サクヤが自分から外出したいと言い出すのは珍しいことらしく、アクラルは目をまん丸にして驚いています。
 でもどこに行くのでしょう?ハスノのカフェでしょうか。アクラルがそれとなく聞いてみると、どうやらカフェではないようで。



アクラル「え、カフェじゃねーの?じゃあどこに行くんだよ?」

サクヤ「昔なじみが経営している店がありまして。久しぶりに顔を覗かせようかと。きっと大典太さんも気に入ってくださると思いまして」

大典太「………?」

アクラル「成程な。詳しくは分からんがお前が言うんだから信用できる奴なんだろ。わかった、行って来いよ。ゲームの管理は俺に任せとけ。たまにはお前も休んだ方がいいぜ」

前田「僕もアクラル殿のお手伝いをします。1日でも早く仕事を覚えて主君の助けになりたいので!」

サクヤ「分かりました。では兄貴、前田くんのことよろしくお願いいたしますね」

アクラル「おう、任された!」



 昔馴染みの店…?確かに運営本部を設立する前のサクヤが何をしていたかは天の声も把握しておりませんが。それと関係しているのでしょうか。
 アクラルも事情を理解したようで、仕事を覚えたいと残る宣言をした前田を彼に任せるように話しました。そして、彼女は大典太の肩を優しくポンポンと叩き外出を促しました。それに渋々反応して顔を上げる大典太。眉はないですが、明らかに落ち込んでいる表情でした。



アクラル「ほら!外の空気吸って来い!!その姿では初めてなんだろ、外」

大典太「……その言葉は否定しないが、どうせ…」

アクラル「サクヤが誰かを連れて外に出ること自体が珍しいんだから黙ってついてけ!本当は俺だってサクヤとデートしたいんだからな!!」

前田「兄妹なのに『でぇと』…?」

サクヤ「今の発言は無視して貰っても結構です。兄貴…前田くんに変なこと吹き込んだら首から裂きますからね。大典太さんを使用するわけにはいかないので…爪の方がいいでしょうか」

アクラル「冗談だから!冗談だよ!!光世も怯えんな!!」



 半ば無理矢理サクヤの背を押しエントランスまで送り出すアクラル。大典太もそれについていきます。そして、改めて『行って参ります』とだけ彼らに伝え、大典太の手を優しく掴み2人は本部を出て行ったのでした。



アクラル「…ったく。サクヤも光世も本音を口にするの怖がり過ぎなんだっての!―――これで、少しはお互いのこと知ってもらえればいいんだがな」

前田「? どういうことですか、アクラル殿」

アクラル「うーん…。よく分からんけど、兄貴の『勘』ってやつかな?」



 頭にハテナマークを浮かべっぱなしの前田をよそに、アクラルは2人の背中を見ながらそんなことを呟いたのだとか。











~オオエドストリート~



サクヤ「うーん。晴れて良かったですね、大典太さん」

大典太「……あぁ。太陽は、こんなにも眩しかったんだな…」

サクヤ「刀の目線で何百年も見てきた景色…。やはり、人の姿で見るのとは違いますか?」

大典太「そうだな。目線も、感じ方も、全然違うよ…。肌に感じる温もりは、刀のままでは知ることはなかったな…」



 散歩の如く歩くこと数十分。2人がたどり着いたのは、昔ながらの景色が広がる昔ながらの街でした。名を『オオエドストリート』と言います。江戸時代の町並みの印象が残る、活気のある商店街が売りの街です。
 どうやらこの街にその『古馴染みの店』はあるようで。大典太はサクヤの歩幅に合わせながら、ゆっくりと彼女に付いていくのでした。



サクヤ「どうですか、大典太さん。貴方が活躍なされていた時代に似ていると思いますし、ここなら気分も落ち着くかなと思いまして」

大典太「確かに外の空気を吸って幾らか気分は落ち着いたが…。俺の陰気を直そうとしない方がいい。……俺はずっと蔵に封印されてきたんだ。江戸の街並みの記憶も、罪人を試し斬りした時だけ…。街の賑やかさなど、俺には分からない」

サクヤ「そういえばそうでした…。配慮が足りず申し訳ありません」

大典太「いや、いいんだ…。主が俺の為を思って動いてくれたのは充分伝わったからな…」



 サクヤが口をすぼめて小さくそう言うと、大典太は慌てた表情で口下手なりのフォローをします。遠ざけたくて遠ざける様な性格ではありませんからね、彼。自分に向けられる好意を素直に受け止められないだけであって…。
 しばらく歩いていると、目の前に他とは大きさが少し違う店が見えてきました。看板であろうものには『仁兵衛商店』と書かれており、彼女は看板を指差して「目的地はあちらです」と話したのでした。
 扉の前に立つ2人。しかし、大典太の足が自然に後ろに下がってしまいます。



大典太「俺なんかがいて邪魔じゃないのか。店員や客に悪い影響を与えてしまうかもしれない…」

サクヤ「大丈夫ですよ。ここの店主さんに、私があの運営本部を設立するまでにお世話になったのです。衣・食・住。全ての面で身寄りのない私に快く助力してくださった、心の広いお方です。心配なさらないでください」

大典太「……昔のあんたの面倒を見た、とはいっても…。あの朱雀と『分かれた』後なんだろう?」

サクヤ「昔、と言っても1年程です。人間の1年は大きいものですが、神にとっての1年は些細なもの。大典太さんもそれは理解できますよね?」

大典太「それは、そうだが…」

サクヤ「それに。大典太さんは力強くも優しい刀です。それは私が保証します。きっと彼も貴方のことを気に入ってくれる筈ですよ」

大典太「……わかった。あんたがそこまで言うのなら…信じる」

サクヤ「ありがとうございます」



 やはりそうでした。運営本部を設立する前に世話になっていたんですね。だから『昔馴染みの店』と。柱の1つとはいえ、この世界を管理する神様に衣食住の世話をするなど、とんだ覚悟を持った人物なのでしょうね。この店の店主は。
 口調は優し気ですが、主の表情が殆ど変わらないことに少しの寂しさを覚えた大典太。そんな彼の気持ちをよそに、そろそろ店の中に入ろうとサクヤが黒いシャツの裾を引きます。



サクヤ「さ、入りましょう。店の前に立っていても他のお客様に迷惑ですしね」

大典太「あ、あぁ…」




 サクヤはそのまま木で出来た戸をゆっくりと引いていきます。彼女の面倒を見てくれた『心の強い』店主とは一体何者なのでしょうか。
 それは……もう少し後に見て行きましょうか。

Re: 逃走中#CR06 Welcome to Lapistoria ( No.47 )
日時: 2020/10/14 22:00
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: jWLR8WQp)

【55:10】





~校舎エリア 1F 体育館~





茶柱「ふぅ…。とりあえずハンターはいないみたいなので良かったです。ここで見つかってしまっては逃げ道が無いも同然ですからね」



 茶柱さん、体育館へ突入。幸いイベントの準備をしている学生達を見かけるのみで済んだようです。確かにハンターがここにいた場合、場所によっては即確保なんてこともあり得ますからね。
 彼女は早速数字がありそうな場所を片っ端から漁っていきます。体育館内を歩いていると…ふと、その場には似つかわしくない3つのボックスを見かけました。



茶柱「随分と『ハンターが出てきますよ』って感じのボックスですね…。中が確認できないのがもどかしいです!」



 そう。置いてあったのは正に『ハンターボックス』。何に使うんだか知りませんが、警戒をしておいた方がいいかもしれませんね。ですが、現在は中身を確認することが出来ない為彼女はそのまま横を素通りしていきました。
 ……しばらく探索を続けていると、ボールが種類ごとに入れられている籠を発見しました。近くに誰か別の逃走者もいるようですね!先に探していた人物は…。

















赤葦「あ、茶柱さん」

茶柱「げげっ。こんなところで男死に出くわしてしまうとは…」

赤葦「別に取って食べようとしてないんだけどな…。それに、1階を探すって言ってた面子茶柱さん以外全員男だったと記憶してるけど」

茶柱「それを思い出させないでくださいっ!!今回ただでさえ女子が少ないのに!女子ばかり捕まってるではないですか!!」

赤葦「それを俺に言われても困るんだけど」



 ボールの籠を見ていたのは赤葦。茶柱さんの大嫌いな『男死』と出くわしてしまい苦い顔をする彼女。まぁ仕方ない。女子少ないですからねいつもより。
 赤葦は冷静に彼女の言葉にツッコミを入れ、再びボールの方を見ます。茶柱さんが何か気になることでもあるのかと問うと、彼は少し考えた後こう答えました。



赤葦「今回のテーマって『学校の垣根を超えた交流祭』だから、数字は『参加してるジャンルに纏わる』ものじゃないかと思ってここまで来たんだ。俺の知人が参加してるのは全員『バレー部』だからね」

茶柱「確かにそう考えれば貴方がここに来るのも分からない話ではないですが…。ここに本当に数字なんてあるんですかぁ~?」

赤葦「例えば、バレーボールの入っている籠の底に貼り付けてあったり…」

転子「10分しかないのにそんな回りくどいやりかたをするとは転子思えませんがねっ」

赤葦「そうか。10分か…。なら、ボール自体に書かれてたりしないかな…」



 茶柱さんの言葉で何かを閃いた赤葦。そのまままっすぐバレーボールの入った籠まで一直線。思わぬ行動に慌てて彼女も赤葦を追いかけます。
 そうなんです。実は赤葦のその考え方、かなりいい線を行っています。視聴者の皆様だけに教えますが、3つの数字…『今回交流祭に参加しているジャンル』関係のものに隠されています。
 バレーボールを1つ手に取って見てみる赤葦。そこには何もありません。茶柱さんにも手伝う様要請し、2人でボールを漁り始めます。…茶柱さんはかなり嫌々でしたが。



赤葦「時間ないのは分かってるんだから協力してくれ…」

茶柱「府に落ちませんが言ってることはわかります!ですが見つけた数字は貴方が発信してくださいねっ!責任を持って!」

赤葦「分かった分かった。だから変な顔をしながら探さないでくれ」

茶柱「変な顔で悪かったですねっ!……ん?」



 ボールを半分くらい出したところで、茶柱さんが手に取ったボールの感触がおかしいことに気付きます。
 しっかりと見てみると、そこには…。



茶柱「……あっ!ありました。『3』と書かれてあります!これが数字ではないですか?!」

赤葦「間違いない。ありがとう茶柱さん。写メ取るからそのまま持っててくれないかな?」

茶柱「し、仕方ないですねっ!今回だけですよ」



 褒められた茶柱さん、照れつつ例の顔をしながらボールを持っています。なんて器用な。
 その間に赤葦は素早く『3』の書かれた紙が貼られてあるボールを写真に収めます。無事1階の数字ゲットですね!



赤葦「……よし、撮れた。茶柱さん、もう戻していいよ」

茶柱「これで1階の数字は見つけることが出来ましたが…。この時間で残り2つ、無事に見つかるのでしょうか…」

赤葦「動いている人数が多い上、まとまって動いていないんだ。時間的な余裕が切羽詰まってる訳じゃないと思うから大丈夫」

茶柱「そんな楽観視できる状況じゃないと思うんですけどねぇ?」

赤葦「とにかく。俺はこのまま全員に一斉送信して体育館から出るよ。茶柱さんも気を付けてね」

茶柱「ふん!言われなくとも気を付けますとも。……ですが、貴方は醜い『男死』ではなかったようで安心しました。貴方の逃走成功も祈っています」



 茶柱さん、赤葦のことは少し見直したようですね。OPゲームの功績もありますからね。2人は出したボールを素早く片付け、体育館を後にしたのでした。





【54:05】

茶柱転子
赤葦京治

数字『3』入手





 残りの数字は2つ!動いている人数は多いとはいえもうすぐ4分切りますよー!急いで探してくださいねー!










【54:01】





~校舎エリア 3F~





オスクロル「……あっ。赤葦さんからです!3つの数字のうちの1つは『3』なんですね!時間に余裕も無くなってきましたし、捜索を続けましょう!」



 オスクロル、赤葦が送ったメールをすぐに確認しスマホを仕舞いました。じっくり見ている余裕は無いと判断したようです。
 ……彼女がポーチにスマホを仕舞った瞬間、プルル、プルルと通話音が。誰からでしょう?
 出てみると、慌てた様子の発信者がオスクロルに話しかけてきたのです。



Ga.『オスクロル?大丈夫、繋がってる?じーくんだよっ!』

オスクロル「Ga.さん。どうかしたのですか?」

Ga.『数字見つかりそうだから連絡した!今すぐコンピュータールームまで来てほしいんだ!』

オスクロル「分かりました。近いのですぐ到着すると思います。待っててください」




 電話の相手はGa.!数字に繋がる手掛かりを掴んだようですね!これは行かないわけにはいかない、と彼女は早足でコンピュータールームまで急ぐのでした。

Re: 逃走中#CR06 Welcome to Lapistoria ( No.48 )
日時: 2020/10/15 22:00
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: jWLR8WQp)

【53:49】





~校舎エリア 3F コンピュータールーム付近~





オスクロル「この先がコンピュータールームの筈です。Ga.さんを待たせてはなりませんよね。行きましょう」



 Ga.からの連絡を受け、すぐにコンピュータールーム付近にまで移動したオスクロル。周りを確認しハンターが来ていないのを確認し、彼女は薄暗い部屋の中へと突入しました。
 ゲームセンターのような雰囲気も彼女にとっては『ネオンの島』のようにしか感じ取れません。中々慣れないものなんですね。



オスクロル「周りが薄暗いのでハンターを見つけづらいですね…。早いところ合流しないと」



 そう。薄暗いせいでキュベリアがハンター接近の反応に遅れ捕まっていますからね。警戒しつつもGa.がいそうな場所を探します。
 少し進んだところで、遠目に手が動く影が見えてきました。動き的にハンターではないので、残る可能性といえばGa.でしょう。自然と早足になるオスクロル。数刻もしないうちに彼の元までたどり着いてしまいました。



Ga.「1分もかかってないぞ?!流石陸上部!」

オスクロル「走るだけではなく、競歩についての知識も学んでおりましたので…。足音を立てずに早歩きなどお茶の子さいさいです!」

Ga.「(オスクロルは逃走成功しそうだなぁ…) あ、メールの件だけど。このポップン台が凄い怪しいんだよな」

オスクロル「ポップン台…?この、目の前にあるカラフルなボタンがある機会のことですか?」

Ga.「うん。さっき別の逃走者といた時はこんな画面になってなくてさ」



 そう言ってGa.はポップン台の画面を指差します。そこには『赤ボタンを叩け~!』とポップな文字が映っています。こ、これは怪しい。
 ボタンの方を見てみると、『押してくれ』とでも言わんばかりに赤ボタンが点滅しています。あからさますぎる。



オスクロル「それで、押したのですか?」

Ga.「罠でハンターを呼び寄せても嫌だからな~。頼りになる人が近くにいて貰った方がいいかなと思って。ほら、オスクロル足速いし」

オスクロル「ミッションに必要な行動なのだから、罠ということは無いのでは…?」

Ga.「ほ、保険保険。それじゃ…押しても良い?」

オスクロル「え、ええ」



 困惑するオスクロルに遠慮しながらも、Ga.は赤ボタンを1回叩きました。しかし、画面は変わらずボタンも点滅したまま。どういうことでしょう?



Ga.「あれ?変わらないな?」

オスクロル「押し方がおかしいか、押す回数が足りないのではないでしょうか?」

Ga.「俺今結構勢いよく叩いたけどね?……実際のプレイではやめましょうね?」

(^ω^)<ダイパンダメゼッタイ!

Ga.「お前は違和感なく会話に入ってくるな。…何回くらい叩けばいいのかなー」

オスクロル「半端な回数でもおかしいですし、10回程一気に叩いてみてはどうでしょうか?」

Ga.「その考えあるかも。押してみよう」



 オスクロルのアドバイスを受け、Ga.は改めて赤いボタンを10回程連打。キッチーも近くでぴょんぴょんと飛び跳ねています。こいつは一体何がしたいんだ。
 Ga.がボタンを押し終えたと同時に、ポップン台から愉快な音楽と声が流れてきました。





\フルコンボだドン!/





Ga.「ゲームが違う!!!」

オスクロル「つ、突っ込んでる場合じゃないですよGa.さん!画面を見て下さい!」

Ga.「画面?」



 それポップンではなく太○の達人だドン。それは置いといて、オスクロルが画面を指差します。先程Ga.が見ていたものとは変わっているみたいですね。
 画面を見てみると、そこには『7』という数字がでかでかと映っていました。



Ga.「これって…!」

オスクロル「ミッション②に必要な数字ですね!私、撮影して皆さんにメールします!」

Ga.「うん、お願い。ふぅ。なんとか2つ目見つけられて良かった…。あと2分30秒あればクリアできる可能性はある…かな?」



 2つ目の数字ゲットです!オスクロルがスマホで素早く撮影をし、一斉メールで3階の数字が見つかったことを知らせました。
 …ところでGa.、ずっとここにいたんですか?



Ga.「キュベリア捕まってからオスクロルと合流するまでずっといたよ。というかキッチーに絡まれて出られなかった」

(^ω^)<キッチーノセイジャナイヨ!

Ga.「弐寺で対決しろとか言い出したのはどこのどいつだよ!…そういえばトモダチはどこに行ったんだ?」

(^ω^)<オナカスイタカラッテイッカイニイッタヨ

Ga.「(怪しまれないんだろうか)」

オスクロル「これでよし、と。うん、上手く出来ました。Ga.さん、やりましたね!」

Ga.「一安心だー。このまま隠れてても良いんだけど、そろそろ出た方がいいのかな?ハンター視認しにくいし」

オスクロル「ハンターからは関係ありませんものね…。絶対逃げ切りましょうね、Ga.さん!」

Ga.「じーくんは別の意味でも逃走成功しなきゃいけないので頑張ります!」

(^ω^)<サイシンシキノバリカンツカエルノ タノシミニマッテルカラネ!ガンバッテジークン!

Ga.「捕まる前提で話を進めるな!!」





【52:49】

オスクロル・ラス・カサス
Ga.c=evo.

数字『7』入手





 残る数字は1つ。一番人数がいるであろう2階の数字がまだ見つけられていません。ミッション終了まで3分を切りました。急いでくださーい!





Ga.「やっぱりこの部屋他の部屋より暗いよな」

オスクロル「実際のゲームセンターも少し薄暗いんでしょうかね?」

Ga.「どうなんだろう?デパートのゲーセンとかは割と明るいと思うけど」

オスクロル「……ちょっと待ってください。ここで少し待機しましょう」

Ga.「どうしたの?」

オスクロル「ハンターが向こうに走って行ったのを見ました。このまま出てしまえば巻き込まれて捕まるかもしれません」

Ga.「ひぃ…」



 コンピュータールームの出入り口で少し待とうとGa.を止めるオスクロル。そう、彼女の言う通り、3階にハンターがいました。そして……。
















ハンターRE「…………!!」




 逃走者を見つけて走り出していました!見つかった逃走者は…?!


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