二次創作小説(新・総合)
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- 逃走中#CR06 Welcome to Lapistoria
- 日時: 2020/11/26 22:09
- 名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: okMbZHAS)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7a/index.cgi?mode=view&no=1552
どうもです、灯焔です。
マイペースに6回目の開催を迎えた逃走中#CR06。前回、ゼウスの力で刀が顕現したり天界が大変なことになっていたことが発覚したりとまた新たな天界に巻き込まれそうな予感がするコネクトワールド。
今回の舞台は、ポップンワールドとは別の世界に位置する『ラピストリア』という世界にある学園『ラピストリア学園』。音楽が溢れる学園を舞台に、逃走者とハンターとの6回目の逃走劇が今、幕を開ける―――!
新たな敵の存在が明らかになったコネクトワールド。今だ均衡状態にある最中、ゼウスが刀剣達を顕現させてしまう現象が起きてしまいました。そのうちの一振を近侍に迎え、サクヤも自分なりに世界について考えていくようになるのですが…。
はてさて、今回はどんな物語が彼女達を待ち受けているんでしょうかね。
<ルール>
『ラピストリア学園』 出典:pop'n music ラピストリア
『ラピストリア』という世界に存在する巨大な学園。世界自体はMZDが作成し、現在も『ラピス』に世界の管理を任せている。相変わらず理事長はジェイド、学園長はジェダイト。
今回使用するのは学び屋である学園エリアのみとなる。
学園エリアは円形の形をしており、3階建て。
エリア紹介 >>1
逃走時間:80分
賞金:48万(1秒100円)
ハンター:初期3体or4体(OPゲームの結果に基づき変更)
自首方法:『理科室』or『コンピュータールーム』にある自首用電話から自首する旨を電話する。
<参加者>
【pop'n musicシリーズ】より (3人) 詳細>>2
ヨシオ
おとこマン
鉄男
【ファイアーエムブレムシリーズ】より (3人) 詳細>>3
エフラム
エイリーク
リオン
【ダンガンロンパシリーズ】より (3人) 詳細>>4
朝日奈葵
澪田唯吹
茶柱転子
【白猫プロジェクト】より (3人) 詳細>>5
ツキミ・ヨゾラ
オスクロル・ラス・カサス
レイン・ディアボルス
【ハイキュー!!】より (3人) 詳細>>6
及川徹
弧爪研磨
赤葦京治
【作者枠】 (3人) 詳細>>7
ヤード
konakun.
Ga.c=evo.
【逃走中#05 MVP】 (2人) 詳細>>8
イヤミ
キュベリア
計20名
◎AfterBreakTime
①『心機一転、新章開始』 >>9
②『刀剣の契約、それは―――』 >>21
③『拳は剣よりも強し』 >>31 >>34
④『秋風は優しくそよぐ』 >>46
⑤『ココロネとタマシイ』 >>52
⑥『彼女が青龍になった理由』 >>72 >>75
⑦『生命の輝きは強く、尊いものだ』 >>95
⑧『打ち上げパーティ』 >>138-140 >>144 >>147
Extra『秋の夜長と花火と酒と』 >>150-155
○逃走中#CR07 シード枠争奪アンケート実施中!
※締め切りました
○逃走中#CR07 次回参加者募集中!
※締め切りました
次回参加者 >>119
作者枠発表 >>133
※『お手伝い』として参加してくださる方向けの案内※
※締め切りました
以上、逃走中#CR 運営本部がお送り致します。
- Re: 逃走中#CR06 Welcome to Lapistoria ( No.19 )
- 日時: 2020/10/02 21:59
- 名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: Fm9yu0yh)
クレア「それでは最後のチャレンジャーになります!『超高校級の軽音楽部』、『澪田唯吹』さんの挑戦です!」
澪田「澪田唯吹の『澪』にー、澪田唯吹の『田』にー、澪田唯吹の『唯』にー、澪田唯吹の『吹』でー、澪田唯吹でーす!OPゲームのチャレンジャーに選ばれたからにはバッチリ成功させるっすよー!」
鉄男「こんなテンションで本当に大丈夫なのか?」
唯吹「大丈夫だ、問題ないっす!」
ヨシオ「ネタを言ってる余裕があるなら大丈夫でござるとは思うが…。適当な時間を言ってハンター4体出しそうで怖いでござる…」
イヤミ「今23秒ザンショ?この挑戦者の計測時間によって全部決まるザンスよね」
ツキミ「そうだね~。でも、わたし達はアドバイス出来ないから澪田さんの決断を見守るしかできないよ~」
エフラム「代表者に選ばれても物怖じしない彼女のことだ。きっとやってくれると俺は信じているぞ」
レイン「そんな楽天的な考え方してねーで、万が一失敗した時のことを考えろよ。即ハンター放出だぞ」
及川「まぁ、なるようにしかならないからね~。仮にハンター放出されても、一番に狙われるのは一番近い軽音部ちゃんだし」
茶柱「女子を身代わりにするような発言は慎んでくださいっ!これだから男死は…」
朝日奈「ま、まぁまぁ!とにかく!何が起こっても良いように身構えておかないとね」
エイリーク「はい。…そろそろ澪田さんの決断を聞いても良い頃ではないでしょうか?」
澪田「ふっふっふ。唯吹は最初から秒数を決めてたっす。ビビッと来た数字で行くっすよ」
ヤード「妙な自信が逆に不安なんだが…」
キュベリア「最初から決めてたなら自信あるんだろーよ。私は安心したぞ」
澪田「唯吹は『14秒』に挑戦するっす!一番自信がある数字っすよ!」
Ga.「14秒!これまた微妙な数字で来たな!」
オスクロル「澪田さんが成功すれば、合計秒数が『37秒』…。凄く微妙なラインですね」
リオン「そうだね…。でも、僕達には何も出来ないし、事の顛末を見守ろうよ」
シェリル「よーし。それじゃあ時間も聞いたし、澪田さんはボタンの前に立ってね!さっきの2人と同じように、自分のタイミングでボタンを押したら計測スタート!もう一度ボタンを押したらタイマーがストップするから、目標時間に合わせて頑張ってね!」
澪田さんは14秒を宣言。ツキミよりも長い秒数の宣言ですが…。どうやら先の2人に関わらず最初から決めていたようで。
テンションもそのままにボタンに手をかける澪田さん。そして、彼女は間を置かず勢いよくボタンに手をかけました!
クレア『それでは、OPゲーム挑戦者3人目!『澪田唯吹』さん!笑っても泣いてもこれが最後です。計測をお願いします!』
澪田「テンションバリバリMAXで決めてやるっすーーー!!!えいや!」
澪田さんがボタンを押すと、先程と同じく『カチッ』という音と共にタイマーが動き始めました!
装置は5秒を過ぎるか過ぎないか辺りで表示が消えてしまいます。泣いても笑ってもこれが最後。頑張れ!
澪田「とん、とん、とん……」
エイリーク「独特な数え方をするのですね」
赤葦「軽音楽部だから、それに近い計測の仕方をしているんじゃないかな?」
研磨「ちょっと刻むの早くない…?」
澪田さんは足でリズムを刻みながら14秒を数えているようですね。軽音楽部らしいと感心する逃走者もいれば、普通に数えないことに不安がる逃走者もいました。
……しばらくした後、彼女は足を止めて勢いよくボタンを押しました。『カチッ』という音と共に彼女はニコッと笑ったのでした。
澪田「唯吹のセンスなら14秒くらいバッチリっすー!誤差のハンデが大きいから余裕のよっちゃんっす!」
konakun.「いや、誤差1秒でアウトだからね?!それだけ自信があるって話なんだろうけど…」
朝日奈「とにかく、今は澪田ちゃんを信じるしかないよ!」
リオン「成功してますように…」
シェリル『それじゃあ、計測した時間を発表するよ!澪田さんが測った時間は―――』
『14.28』
澪田唯吹 OPゲームクリア
OPゲーム クリア
ハンター放出まで 残り『37秒』
クレア「……お見事です!計測成功!ということは『OPゲーム』クリアです!初ですよ初!おめでとうございまーす!」
Ga.「おおおおお!!!」
konakun.「いやー、平和にゲームが始められると思うと安心したよー」
キュベリア「だが油断はするなよ。ゲーム始まってからが本番なんだからな。20人で迎えられるのは私も嬉しいが」
オスクロル「この調子で1人でも多く逃走成功者を出しましょう!」
シェリル「それじゃ、これから『37秒後』にハンター『3体』が放出するから、それまでにみんなはエリアに向かってねー!」
クレア「ハンターが放出されたと同時に皆さんのスマホに通知されますので、皆さん!頑張ってください!」
Ga.「クレアたその為に逃げ切りまーす!クレアたそ~♡ ……って、さりげにあっさりハンターの数公開すな!!」
及川「あ、結局3体でゲームスタートな訳だね。良かった~。何となくだけど、もし軽音部ちゃんが15秒宣言してたら4体放出されてた様な気がするんだ及川さん」
研磨「ギリギリ最長の秒数確保出来たってことでいいのかな…?」
澪田「さっすが唯吹っす!えっへん!」
ヤード「さーて、適当に頑張りますか~」
茶柱「ところで…。どのタイミングでその37秒はカウントダウンを開始するのですか?」
シェリル「わたしがこのボタンを押したらだよ!急に始まってもびっくりしちゃうからね!そこは安心して!」
イヤミ「気持ちを切り替える猶予までくれるなんて…。なんて親切な逃走中ザンショ!」
ヨシオ「(怪我する可能性がある逃走中が『親切』でござるか…?)」
お見事、澪田さんも計測成功!ということで、逃走中#CRでは初です。OPゲームクリアー!おめでとうございます!
さーて。次回。シェリルがボタンを押した瞬間、ハンター放出までのカウントダウンが始まります。20人揃ってのゲーム開始は初。皆さん、頑張ってくださいねー!
- Re: 逃走中#CR06 Welcome to Lapistoria ( No.20 )
- 日時: 2020/10/03 22:00
- 名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: jWLR8WQp)
クレア「それでは皆さん!そろそろカウントダウン始めますが、準備はよろしいですかー?!」
Ga.「クレアたそ~~~~~♡♡♡♡♡」
キュベリア「早いとこ学園で寝れそうな場所探そ…ふぁ~あ」
澪田「それじゃー、キュベリアちゃん見つけたら耳元で大爆音で叫ぶっすね!えっへん!」
赤葦「起きる前に鼓膜破壊されない?大丈夫?」
konakun.「仮にも女神だから平気なんじゃ…。というか、過去3回とも前半爆睡してたんだよね?」
キュベリア「おう。うち1回はほとんど牢獄だったけどな!」
イヤミ「自信満々に言う台詞じゃないザンス?!」
ヨシオ「遂に始まるでござるね…。緊張してきたでござる」
朝日奈「忍の格好してるのにビビってどうするの?こんなんじゃ最初に捕まっちゃうよ?」
鉄男「誰が最初に捕まるかはゲームが始まってみないと始まらないからなぁ。流石に三度目の正直を発揮してくれるとは思うけどよ」
ヤード「なんだそれ」
エフラム「4回目、5回目と作者陣が最初の確保者になってしまっているからな。…俺も今回ばかりは避けてくれると信じたいが」
及川「なるようにしかならないからね~。俺は最初の確保者にならないように計画的に逃げるだけだよ☆」
茶柱「貴方の脳に『計画性』という言葉があったのですね」
及川「ちょっと?合気道家ちゃん?なんかさっきから俺に対してのあたり酷くない?」
研磨「軟派な人が嫌なんだと思うよ…。諦めた方がいい…」
レイン「フン。馴れ合わなくてもクソハンターから逃げ切りゃいいんだろ。こんなだだっ広い施設でしかも『3体』。誰かしら成功者は出るだろ」
エイリーク「道中発令されるミッションの難易度にもよりそうですが…。どんなミッションが来ても、皆さんのお役に立てるよう尽力します」
オスクロル「走力と知力には自信がありますので、困ったら私を頼ってくださいね!」
リオン「僕もみんなの力になれるように…。それと、逃走中を楽しめるように。全力で頑張るよ」
おとこマン「学園中に『ますらお』の魅力を説く!それが今回の私のミッションだーーー!!!」
Ga.「(こいつにだけは絡まれたくないなぁ…)」
シェリル「みんな気合じゅーぶんだねー!それじゃあ、カウントダウンいくよー!」
OPゲームをクリアできたこともあって、逃走者は皆気合十分!1人でも逃走成功出来るように頑張ってくださいね!
そのままクレアとシェリルは目の前のボタンに手をかけました!
クレア「それでは参ります!」
シェリル『3!!!』
クレア『2!!!』
シェリル『1!!!』
クレア/シェリル『スタート!!!!!』
ボタンを押したと同時に、エリアへの扉が開きました!それと同時にハンター放出までの時間が背後のパネルに表示されます!
konakun.「お、タイマーが動き出した」
鉄男「おーし!それじゃあラピストリア学園、突貫工事開始ーーー!!」
Ga.「突貫工事すな!!!クレアたその為にも逃走成功目指すぞーーー!!」
各々の思いを背負い、エリアへと一目散にかけていく逃走者達!さぁ、エリア内の様子を見てみましょう!
ゲーム開始まで残り 【00:25】
~校舎エリア 1F~
エイリーク「リオン、しばらく一緒に行動しませんか?逃走中は個人戦でもありますが、仲間との協力が必須ですからね!」
リオン「エイリーク…。勿論だよ。僕で良ければ一緒に逃げよう」
~校舎エリア 2F~
研磨「うまく身を隠せそうな場所探さなきゃ。バレー部だし体力はあると思ってるけど、あんまり走りたくないし…」
茶柱「今のうちにマップを見ておきましょう。確認しているうちにハンターに追われたら意味がありませんからね!」
~校舎エリア 3F~
オスクロル「こちらは狭い通路が多いのですね…。ハンターに見つかってしまったらきついかもしれません。用が無い時は近付かない方が賢明かもしれません」
ヨシオ「忍らしく最初は隠れてるでござる!ドロン!」 ※できません。
各々行動を起こす逃走者達。彼らを待ち受ける運命とは―――?!
ゲーム開始まで残り 【00:10】
キュベリア「あと10秒か。寝れそうな場所は、っと…」
ヤード「学園が舞台だし、ゲームが始まれば賑やかになってくんだろうなぁ。…和一いるかな?」
ゲーム開始まで残り 【00:05】
【00:04】
【00:03】
【00:02】
【00:01】
【80:00】
プシューーーーーーーーーーー
ハンターRE「…………!!」
ハンターFU「…………!!」
ハンターHI「…………!!」
OPゲーム会場にあるハンターボックスからハンターが放出されましたー!3体のハンターはエリアの中へと一直線に走って行きました。
ピリリ ピリリ
ツキミ「おやおや~?え~っと…。『これより逃走中のゲームを開始する。エリア内に3体のハンターを放出した。逃走成功を目指し力を尽くせ。』 おお、遂に始まったんだね~」
おとこマン「ますらお!ますらお!ますらおパワーっ!!!」(ボディービル!)
赤葦「よし…。気合十分。行きましょう」
さぁ、今回はどんな逃走劇を我々に見せてくれるんでしょうかね。怒涛の6回目。逃走中#CR、はじまりはじまり~!
- ABT②『刀剣の契約、それは―――』 ( No.21 )
- 日時: 2020/10/03 22:06
- 名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: jWLR8WQp)
混乱が続く中何とかOPゲームを最後まで導いた運営本部。
唐突に現れた少年の正体は…?!
------------------------
~運営本部 メインサーバ~
『あの…。皆さん固まっているようですが。どうしたのですか?』
マルス「…………。はっ。いや、固まるよ!だって見たことも無い男の子が目の前に急に現れたんだから。きみ、幽霊だったりするのかい?」
ソティス「ゆ、ゆ、ゆゆゆゆゆゆゆ幽霊じゃとぉ~?!わしは!わしはそんなもの信じぬぞ!絶対に!信じぬぞぉ~~~!!!」
ベレス「ソティス、落ち着いて。ちゃんと地面に足付いてるよこの子」
ヴィル「(どこかで見たようなやりとりだ…)」
混乱の最中、何とかOPゲームを終わらせた運営本部は目の前に現れた軍服の少年を囲んで何やら話をしていました。
少年は不思議そうな顔で辺りを見回しています。……しばらくざわざわと話が続く中、ふとぽつりとか細い暗い声が彼の名を口にしたのです。
大典太「……まさかあんた、『前田』か?」
前田「はい!『前田藤四郎』です!大典太さん、お久しぶりです!」
リピカ「前田…藤四郎?どっかで聞いたような…。―――あっ」
サクヤ「……成程。そういうことですか。納得しました」
アクラル「サクヤ1人で納得すんな!!俺にも分かるように説明してくれ!!」
大典太がぽそりとその名前を言った瞬間、前田と呼ばれた少年は明るい顔をして大典太に近付いてきています。彼と会えて嬉しいのでしょうね。その言葉を聞いたリピカとサクヤは少し考え込み、すぐに『成程』と状況を理解したのでした。
ゆめひめ「まえだ…まえだ…あっ!あの顔文字から預かったやつ!!」
リピカ「私が拾った短刀さ!……あれ?ってことはこの子も大典太と同じく『付喪神』?」
リピカ(Y)「この世界には神が沢山いると聞いていたが、付喪神までいるとはなぁ。これは研究のし甲斐があるのさ」
ジャック「研究しないでくれないか」
前田「あぁ。自己紹介が遅れて申し訳ありません。僕は『前田藤四郎』と申します。藤四郎の兄弟の、末席に座すものです。その節は助けていただいてありがとうございました」
サクヤ「いえいえ。実際に助けて下さったのはゆめひめ様とリピカさんですので。お礼を言うなら彼女達にお願いします」
大典太「俺と三日月以外にも顕現が成功していた刀があったなんてな…」
サクヤ「本当に驚きですよ。いや、大典太さんが顕現していることにも驚いているんですけどね」
大典太「(そう言うにしては、主の表情が動いていない様にも見えるが…)」
前田、改めて自己紹介。ゆめひめも自分が拾ったことを思い出し、改めて深く綺麗な礼をされたことに照れていましたとさ。
そういえばサクヤの懐にずっと仕舞われていたんですよね。預かってから。もしかしたらゼウスの力の影響が彼にも及んだのかもしれませんが、決めつけてはなりません。サクヤは前田にそのことを聞いてみることにしました。
サクヤ「前田…くん、でいいですかね。あの…ここは『どこかの異界』のように、刀の付喪神を顕現させる力を持った存在は、この地上には存在しないのです。どういった経緯でお目覚めになったのか、もし知っていたら教えていただけないでしょうか?」
前田「…実は、僕にもよく分からなくて。貴方の懐で大典太さんらしき気配を感じたんです。そうしたら…いつの間にかここにいました」
大典太「……俺の?」
アクラル「類は友を呼ぶ、っていうし、もしかしたら光世の霊力に釣られて顕現したのかもしんねーな?」
マルク「いやいや。そんな芋づる式みたいに顕現って簡単に出来るのサ?」
サクヤ「うーん。大典太さんがゼウス様の影響で顕現したのなら、彼以外の刀がゼウス様の影響を受けて目覚めている可能性も十分あり得ます。全く、彼は何がしたいんでしょう…」
アシッド「全知全能の考えることなど我々の理解の外、さ。とにかく、だ。天下五剣の一振り以外にも顕現に成功した刀が存在した。ということは、だ。
『彼ら以外にも顕現している刀が地上にあるかもしれない』という可能性は考えられないだろうか?」
ヴィル「いや、しかし。彼の言うことを信じるとなると…。『刀剣』とやらは、現在悪神の親玉に奪われているのだろう?顕現が成功してしまっていたらまずくないか?」
リピカ「そーいや、灼熱が『前田は道端に落ちたから拾った』って元々前田を拾った奴から聞いたんだっけな」
ニア「……ふむ。と、いうことは。管理しているのは空の上…。『天界』になりますわね。それならば、数振程『アンラ・マンユ』の影響を受けずに地上に落ちてきていても違和感はないのでは…?」
サクヤ「考えたくないですが、その可能性もあり得ますからね。地上に落ちていたとして、心無い人間が拾っていないことを祈るしかないものです」
大典太「……刀は結局は『物』だ。どう使われるなんて、使う人間に委ねられるからな。俺みたいに蔵に封じられていないといいんだが…」
前田「大典太さん。蔵に封印されていたのは遥か昔の話ですよね?」
大典太「……ふふっ。すぐに分かるさ…。どうせすぐ俺の霊力を怖がって近付かなくなる…。みんなそうだったからな…」
アクラル「仮にも人外だらけの本部でそれ言うか?」
大典太「…………。こいつもそうなのか?」
マルス「ぼくは普通の人間です!!!」
アイク「立ち振る舞いとか放つ雰囲気は完全に神のそれだがな」
マルス「こらー!勘違いを助長させるようなこと言わないでーーー!!」
どうやら前田も何故自分が目覚めたのかはよく分かっていないようです。十中八九ゼウスの力の影響だとは思うんですがね。その言葉を聞いて、ニアは『前田のように他にもアンラ・マンユの影響を避けた刀が地上に落ちているかもしれない』という可能性を提示します。
…確かにあり得るとは思いますが、コネクトワールドは広い。落ちたかもしれないたった数振りを探す手間も暇も本部にはありません。
サクヤ「誰か心優しい方が拾ってこちらに届けてくれればいいのですが」
ジョマンダ「交番じゃないんだから」
ニア「…まぁ、私は唯『可能性』を提示しただけです、わ。どう考えるも皆様の解釈次第で変わります…。物である以上、生きとし生ける者に拾われなければそのまま放置されるのでしょうが…」
前田「天界とやらに封じられていた記憶についてもよく覚えていないのです。どこかから連れ去られたような感触はあったのですが、それを思い出そうとすると…記憶にもやがかかったようになってしまって。有益な情報を渡せず申し訳ありません」
サクヤ「いえ、いいのです。思い出せないのならば無理に思い出さなくても。影響はかなり少ないと思いますが、多少の記憶操作は受けているでしょうね」
大典太「俺と三日月が全ての記憶を覚えていたのも…。『アンラ・マンユ』に連れ去られなかったから、なんだろうか」
ジャック「十中八九そうだろ。コイツの反応見るに」
どうやら前田、天界にいた記憶も少々曖昧になっているようで。重要な情報はアンラによって隠されてしまっているみたいです。無理に思い出させても酷だと判断したのか、サクヤは質問をさっと切り上げてしまいました。
……これから仕事を始めようかと各々解散し動き始めた最中、前田くんがサクヤに向かってこう言いました。
前田「すみません、サクヤ殿。貴方に折り入ってお願いがあるのですが」
サクヤ「私に?出来ることは少ないですが、何なりとお申し付けください」
前田「僕を…『サクヤ殿の刀』にしていただきたいのです」
大典太「………?!」
前田の口から出た言葉は『サクヤの刀になりたい』というものでした。あれ?サクヤって前回『本当の主にはなれない』と、大典太と仮の契約を結んだんですよね。前田はサクヤの懐にいたはずなのでその会話を聞いているはず。…どういうことでしょう?
サクヤも困惑しているようで、答えに戸惑っています。大典太に至っては驚いて目を見開いたまま動いてませんし。
前田「あ、あの。僕、おかしなことを言いましたでしょうか?」
サクヤ「そのお願いなんですが…。私には主になる資格はありません。もっと貴方に相応しい方がいらっしゃ『いえ!僕は貴方がいいのです!』 ……何故?」
前田「僕はサクヤ殿が大典太さんを近侍にする光景を、貴方の懐から見ていました。大典太さんは右も左も分からない世界で目覚めて、相当混乱していたと思うんです。目覚める前の大典太さんに何が起こったか…。僕は懐から話を聞いていただけですので、想像は出来ませんが。相当怖い思いをしたんでしょう。
でも、貴方はそんな大典太さんに優しく接した。恐怖に怯えていた大典太さんの『心』を動かしたんです!そんな貴方だからこそ、僕はお仕えしたいのです。『今の』主君として!」
大典太「前田…」
サクヤ「…………」
大典太「……主。あんた、なんでそんなに『正式に契約』をすることを渋っているんだ?」
サクヤ「そ、それは…。―――すみません。私の口からは、ちょっと」
前田「お願いします!これも何かの縁です。それに、短刀ですので斥候が得意です。情報の入手や偵察等、僕にお任せいただければ!」
サクヤ「え、えと、あの」
大典太「……あんた。まさか、あんなに人間を抱えてそういうのも一人でやっていたのか?」
サクヤ「―――他人の手を煩わす訳にも参りませんし…。それに、ここに集まる方々は各々事情があります。私1人の都合で動かすわけにはいきません。ゲーム外のことは殆ど私が…」
大典太「大将が言う台詞なのかそれは…」
前田「であれば!僕にその仕事、お任せください!きっと役に立てると思うのです。お願いします!」
サクヤ「う、うぅ…」
前田、押す押す。最初は『自分なんかに主は出来ない』と渋っていた彼女でしたが、目の前の少年が説得を続けるのに遂に折れてしまいました。…ところで、大典太も言っていましたが。どうしてサクヤは頑なに『正式な主』になれないと一貫して言っているのでしょうね。不思議です。
深く頭を下げる前田に1つため息をついた彼女は、彼に短刀を出してほしいとお願いをしました。その言葉に素直に自分の短刀を取り出します。
すると、サクヤは目を閉じて静かに前田の短刀に触れました。触れたところから綺麗な青い光が前田の短刀に移り、しばらくしてその光は刀に溶け込みました。
サクヤ「……これで、契約完了です。これから前田くんは私の刀、ということになりますね」
前田「はい。サクヤ殿の優しい霊力が身体に流れ込んでくるようです。…改めて。これからよろしくお願いしますね、『主君』!」
サクヤ「こちらこそ。未熟者ですが、どうかよろしくお願いいたします」
大典太「…………」
嬉しそうに握手を交わす前田と、彼に押されて少し疲れ気味に握手を交わすサクヤ。そんな彼らを見て―――ふと、大典太は一瞬、『ちくん』と胸が痛むのが分かりました。思わず痛んだ場所に手を当てる彼。
大典太「(ここが『痛い』。これは……何だ?)」
大典太がその『痛み』の正体に気付くのには―――もうちょっと時間がかかりそうですね。
それはともかく!頼もしい短刀がサクヤの刀になったことで、運営本部はもっと賑やかになるでしょう。いやはや、ゲームも気になりますが…運営本部もこれからどうなることやら。
- Re: 逃走中#CR06 Welcome to Lapistoria ( No.22 )
- 日時: 2020/10/04 22:00
- 名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: jWLR8WQp)
【79:31】
~校舎エリア 1F 出店付近~
ヤード「これから文化祭なのか?ここら辺出店の準備でごった返してんな」
そう呟きながら歩くのは今回初参戦のヤード。こんな異端な逃走中へのご参加、本当にありがとうございます。
彼女、どうやら『推し』を前にすると人が変わってしまうんだとか。いやはや、天の声も分かりますよ。目の前に推しが現れたら言葉失いますもん。
ヤード「俺の『推し愛』っぷりはそんなもんじゃねえぞ。逃走者側には俺の推しはいなかったが、もしかしたらエキストラ側で和一がいるかもしれねえもんな!会えたら話したいぜ!」
そうですねぇ。今回確か希望ヶ峰学園の面子も多数エキストラとしてラピストリア学園に来ているはずです。左右田くんもソニアさんを追っかけて来ている可能性は充分あるでしょうね。
ゲーム中会えるといいですね。実は彼、前回作者陣のリクエスト枠で参戦していたんですが…言ったら何言われるか分からないので黙っておきましょう。
ヤード「おい!聞こえてんぞ天の声!!」
…………てへっ☆
【78:15】
~校舎エリア 1F~
リオン「一緒に逃げるって決めたのはいいけど、これからどうしよう?エイリークは運営側で今までの回を見守ってきているんだよね?」
エイリーク「はい。兄上よりもゲームの内容を見守ってきた回数は多いのですが、やはり見るのと参加するのでは全然違います。私の経験値はあてにならないかもしれません…」
リオン「いやいや!エイリークにばかり負担をかけさせるわけにはいかないよ!僕も頑張れるところは自分で頑張るから、ハンターを庇って捕まりに行かなくていいからね?」
エイリーク「そう言われてしまうとやりにくいのですが…」
リオン「え?もしかしてやろうとしてた?」
エイリーク「は、はい…。きっと兄上も同じ考えだと思います」
リオン「えええ……」
こちらはヤードがいた場所とは別の1Fのエリア。一緒に逃げることを決めたエイリークとリオンはこれからのことを話し合っていました。
流石に今回は逃走者としての参加なので、運営本部にいる面子の参加でも中身が何なのかは知らされていません。当たり前ですね。どうやらエイリーク、一緒に行動しているのはリオンをハンターから守る為のようで…。早速図星を突かれ困っています。
リオン「エフラムもエイリークもここでは一介の逃走者なんだから、僕のことなんて気にしなくていいんだよ。もし捕まってしまったら、僕の落ち度なんだし…」
エイリーク「で、ですが!その、失礼な言い方になってしまうのですが…。リオンがハンターに見つかった時、逃げ切れる想像が出来ないのです」
リオン「それは僕も分かってるよ。だからこそ、僕は『ハンターに見つからないような逃げ方』を考えながらゲームに参加すると心に決めているんだ」
エイリーク「まあ。リオンらしいですね。その言葉を聞いて少し安心しました」
なんだか仲睦まじい光景を見せつけられていますが…。もし原作であんなことになっていなければ、こういう未来も見えていたんでしょうかねぇ。…って、呑気にそんなことを話してて大丈夫なんですか?!
エイリーク「言われてみれば、何も無いところで話し込んでてもハンターの格好の的ですね…」
リオン「そうだね…。そろそろ隠れ場所を探そうか」
エイリーク「私も手伝います!」
どうやら隠れ場所を探す為移動するようですね。そんな彼女達2人の近くに――――――
ハンターFU「…………!!」
ダッダッダッダッダ!!!!!
ROCK ON【EIRIKA】
ピーーーーーーーーーーーー
リオン「わっ!ハンター?!」
エイリーク「ターゲットは私のようです。リオンはここから離れてください!」
リオン「う、うん!」
うわお!いきなりハンター!空気を読まずにやってきましたねハンター!ターゲットはエイリークです。
彼女はすぐにリオンから離れ、広い廊下を素早く逃げていきます!リオンはその間に彼女とは反対側に旋回しました。
~校舎エリア 1F 体育館付近~
エイリーク「この奥は『体育館』と呼ばれている場所なのですね…。くっ、ハンターが近い…!」
走力には自信があるエイリークですが、体力がエフラムに比べ劣っています。体育館側に逃げ込んできたのはいいものの、体力が既に底をつきかけています。
その間にもハンターは彼女の背中を捉えて追ってきていますよー!
エイリーク「くぅ…!リオンを逃がせただけまだいいと思いましょう…。もう、無理です…」
全力で逃げたのが仇となったのか、走る速度が落ちるエイリーク。そんな彼女をハンターは見逃さなかったのでした…。
ポンッ
【77:03】
エイリーク 確保 残り19名
エイリーク「兄上、リオン。頑張ってください…」
逃走中#CR06、最初の確保者はエイリークとなりました。優しい彼女、自身が捕まっても兄と幼馴染の身を最後まで案じていたんだとか。
ピリリ ピリリ
リオン「通知、かな。『エイリーク 確保 残り19名』 えぇ?!エイリークが捕まっちゃった!」
エフラム「くっ…!俺が傍にいれば守れたのに。すまん、エイリーク!」
ヨシオ「ハンターも動いているという証拠でござるね…。コワイ、コワイでござる」
遂に確保者が出たー!エイリーク、実は今回逃走成功予想が多かった出場者です。意外や意外。今回もどうなるのか全く読めませんね!
次回。ラピストリア学園による『交流祭』スタート!そして、早速ミッション①開始です!
- 交流祭の進捗 ① ( No.23 )
- 日時: 2020/10/05 22:01
- 名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: jWLR8WQp)
―――少年達はやって来た。絆を深めるこの『場所』へ…!
~ラピストリア学園 校門前~
石丸「ここが『ラピストリア学園』…」
翔陽「デッケー!こんな広い場所でバレー出来たらすげーんだろうなぁ…!」
黒尾「こんだけ規模のデッケェ学校なら、体育館関連の設備も一流だろうからなァ。でもねチビちゃん。俺達は今回バレーをしに来たんじゃないのは分かってるよね?」
木兎「え?!違うのか?!仕事が終わったらバレー出来んのかと思ってた!」
天海「流石にバレーは出来ないと思いますけれど」
東条「そういう話は…聞いていないわね」
罪木「東条さんも変に乗らないでくださいよぉ!私達が今回請け負った依頼は『ラピストリア学園主催の交流祭の運営及び管理』なんですからねぇ…!」
西谷「蓋を開けてみればいっつも本部で手伝ってることと同じだとはなー!まぁ、慣れない仕事を押し付けられなさそうでいいけどよ!」
田中「ククク…。未知なるこの大地にて、俺様はまた田中キングダム設立への知恵を蓄えるのだ…」
目の前にそびえ立つ大きな学園。希望ヶ峰学園と同レベルの大きさです。今回学生達にラピストリア学園側から『運営と管理の手伝い』を依頼されて、9人はここに立っていました。
ここの理事長である『ジェイド』直々に執り行いたいと手紙が来た『交流祭』。既にラピストリア学園の外でも祭りの準備が進められています。制服を着た生徒達が飾りつけを行っていますね。
天海「ところで石丸君。俺達はまずどこに行けばいいんですかね?」
石丸「とりあえず、1階の職員室に来てほしいと言われているぞ!恐らく、そこで先生方から今回のことについての説明が入るのだろう」
黒尾「そう?それならちゃっちゃと行かないとね~。先生達待たせたらこっちの立場が悪くなるかもよ?」
西谷「悪くなるって。別に俺ら悪い事しに行くわけじゃないんスから…」
9人、まずは『職員室まで来てほしい』との通達が来ていました。先生達自体は3回目の逃走中に出ていた件もあってか既に顔見知りの間柄です。待たせても悪いので、石丸くん達は急いで職員室へと足を運ぶのでした。
~ラピストリア学園 職員室~
DTO「お~。良く来てくれたな。交流祭の運営を手伝ってくれる面子ころな?」
ハジメ「3回目の逃走中の時は世話になったかんな!今回もこっちの都合で手伝ってもらってワリィな。今日はよろしく頼むぜ!」
まどか「本当は私も参戦する予定だったんだけど、どうも都合がつかなくてねぇ…。あの時は本当にごめんなさい?また機会があれば、その時は是非逃走者として参加させてもらうわ」
罪木「こ、こちらこそ今回は交流祭へのお招きありがとうございますでしゅ!は、はわわぁ…」
職員室に入ると、こちらに気付いた教師3人組が手を振って招いてくれました。お互いに軽く自己紹介をした後、早速今回の交流祭について説明を受けることにしたのでした。
DTO「それじゃ早速説明に入るなー。今回お前らに手伝ってほしいのは、『交流祭を滞りなく終了させる為に、校舎の見回りをしてほしい』こところ。お前らは知らなくて当然だけど、昔この校舎で色々あってなぁ。今は落ち着いているけど、『交流祭』って急だろ?また何か変な事起きないかって心配でな」
ハジメ「あ。勿論皆さんにも楽しんでもらう為の見回り任務なんで、是非色々な場所を周って祭りを楽しんでほしいっすよ!」
まどか「ちなみに、どこで何をやるかってのはこのパンフレットに書いてあるから。渡しておくわね…♪」
そう言ったまどかからパンフレットを受け取った翔陽。そのままパラパラと見てみると、確かに校舎のマップやプログラムが書いてありました。出店を始め、祭りにはかかせないお化け屋敷や色々な体験コーナーもあるみたいですね。
要は、無事に交流祭を終わらせられるよう石丸くん達で見回りをしてほしいとのことですね。
天海「うわぁ。俺達の学園で出来なさそうなプログラムも軽々書いてありますよ」
木兎「『ロボット製作体験』とか…。なんだこれ!面白そうだな!」
黒尾「あのねぇ木兎さんちの光太郎クン?確かに見回り順では体験できるかもだけど、ほぼ無理だと思った方がいいんじゃねェの?」
西谷「それにしてもこれだけ大掛かりだと色々大変じゃねぇか?」
自分の高校じゃ出来ないことを軽々とやってのけてる、と各々反応していると…。西谷のぽろっとこぼした言葉にハジメがうんうんと頷いてからこう返しました。
ハジメ「みんなも知ってるとは思うけど、この企画自体が理事長の発案でな。予算も全部理事長持ちだからみんな遠慮しないで準備進めたんだよなー」
罪木「予算が全部理事長さん持ちなんですか?!負担が凄すぎですよぉ!」
DTO「俺も最初は驚いたんだけどな?理事長が『どうしても』って聞かなくて…。金の話を持ってこられたら俺達ヒラ教師は何も出来ないころ。単にみんなが仲良くなるのが目的ならいいんだけどな」
まどか「まぁセンセ?理事長を疑うなんて…。ちょっと教師としての自覚が足りないんじゃなぁい?」
翔陽「理事長に従うことと疑いを持つことはあんまり関係ないと思いますけど…」
田中「突っ込む程野暮だ。流しておけ橙頭よ」
翔陽「だ、橙頭…」
石丸「ちゃんと名前で呼んであげたまえ田中くん!」
予算が全部理事長…ジェイド持ちとは。なんだかそれを聞いてどんどん不穏になってきたんですが。DTOも一度は疑いを持ったものの、一介のヒラ教師には何も出来ないと結局彼を止めることが出来なかったそうです。
そんな彼らのやりとりを見て、石丸くんに向かって話しかける声が聞こえてきました。案の定彼の腰に携えている刀からですね。
三日月『主よ。ここが『がっこう』とやらなのか。随分と清潔な場所なのだな』
石丸「学び舎が汚くては勉強したいものも出来なくなるからな!…三日月くんは昔、寺子屋にいたことはないのか?」
三日月『刀が幼子に持たれるわけがないだろう。俺が知っているのは平安時代の屋敷と、蔵と、政府くらいものでな。はっはっは』
石丸「そこは笑い飛ばす場面ではないぞ三日月くん!…だが、大典太さんのように人の身で楽しめないというのは…不便ではないのか?」
三日月『まぁそう焦るな。刀の身からでも、きちんと主が俺を持ち歩いてくれているだろう?外に連れ出してくれるだけでも、気分がいいものよ』
石丸「そういうものなのか…」
三日月『うむ、そういうものだ。俺も俺なりに楽しませてもらうぞ。…ところで主よ。少し俺の話を聞いてもらえないだろうか』
石丸「あぁ。あまり長くなると皆に不信感を持たれてしまうから、長話は流石に無理だが…。どうしたんだい?」
三日月『何、長くなることではない。ちと忠告をしておこうと思ってな』
石丸「忠告?」
三日月は学校に来るのが初めて。当然ですが新鮮な景色に喜んでいるようで…。刀の身で色々と不便ではないかと心配する石丸くんに、刀の身でも楽しめることはあると楽観的に返した三日月なのでした。
…そんな彼ですが、ふと真面目な声で石丸くんに話がしたいと続けます。
三日月『主よ。気を付けた方がいい。何やら…この『こうりゅうさい』とやら。裏で不穏な空気が蠢いているような気がしてならんのだ』
石丸「裏で不穏な空気…?DTO先生もそれに近いことを言っていたが。だが、職員室に来るまでも生徒達の賑やかな声が響いていたぞ。少し考えすぎではないのかね?」
三日月『そうであればいいのだが…。はっはっは、じじいの勘は割と当たるのでなぁ。頭の片隅にでも置いてもらえればいい。何も起きなければ俺の思い過ごしだったというわけだからな』
石丸「三日月くん…。分かった。君の言葉を忘れないでおこう」
三日月『主は純粋だな。―――だからこそ、俺はお前を『今の時代の主』として認めることが出来たのかもしれんな』
石丸「???」
三日月『こちらの話だ。気にしないでくれ』
石丸「そう言われると気になってしまうではないかっ!!」
三日月に何やらマイペースに振り回され、大きな声を出してしまう石丸くん。当然三日月の声は彼以外に聞こえていない為、彼の声に不思議そうに反応する周りの人々がいました。中には心配する顔も…。
罪木「あ、あのぉ。石丸さん。急に叫んでどうしたんですか…?」
石丸「あっ!あー、その、だな…。な、何でもないぞ!はっはっはっはっは!!」
西谷「変な清多夏だなー」
木兎「大きな学校だからって緊張してるのかー?」
田中「…………」
場を取り繕うのが大の苦手な石丸くん。何とか誤魔化してその場は収まりましたが、田中くんが未だ不思議そうな目で刀の方を見つめているのに、彼はまだ気付いていませんでした…。
彼らのやり取りが終わったタイミングを見計らって、DTOがパンっ、と一回手を叩きます。
DTO「さてと。それじゃそろそろ『交流祭』開始アナウンス流すぞー。改めて、今回はよろしくな!」
石丸「はい。こちらこそよろしくお願いします!」
翔陽「交流祭、楽しむぞー!」
西谷「うめぇモンも沢山食うぞー!!」
木兎「黒尾!肉の出店あったら食いに行こうぜ!」
黒尾「ザンネン。俺と木兎は別の班でーす」
木兎「なーんーでー!!!」
田中「知能レベルが幼児以下だな」
東条「赤葦くんが苦労するのがよくわかるわ…」
天海「あははは…。でも、俺達の手で交流祭を成功させたいという気持ちはみんな一緒でしょうし。頑張りましょうね」
罪木「はい!私もお役に立てることは頑張りますねぇ!」
石丸くんの合図で円を囲む9人。そして、その中心にそれぞれの手を置きました。そして、石丸くんが言葉を綴ります。
石丸「みんな。今回の『交流祭』、無事に成功させよう!誰も怪我をせず、平和に、だぞ!!」
『成功させるぞ!!おーー!!!』
教師3人は、そんな彼らの青春を優しい眼差しで見守っていたんだとか…。
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進捗が一旦切り替わると共に、『玄関ホール』でとあるものの配布が始まった!
サクヤ「最初のミッションは『とあるアイテム』を手に入れていただきます。手に入れなくても特にペナルティはございませんが、行動に制限がかかってしまいます。動いた方が賢明でしょうね」
大典太「……最初から動かず蔵でじっとしていれば見つかることもない…が、そう簡単には行かないんだろうな」
アクラル「蔵は学園にありません!後々逃げられるエリア確保する為にも頑張れよ逃走者ー!」
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