二次創作小説(新・総合)
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- 逃走中#CR07 白猫温泉物語 混沌編【完結】
- 日時: 2021/01/21 23:08
- 名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: 6..SoyUU)
- 参照: https://www.kakiko.cc/novel/novel7a/index.cgi?mode=view&no=1611
どうもです、灯焔です。
のらりくらりと7回目の開催を迎えた逃走中#CR07。ニアの不穏な言葉の裏でグレン達5人は温泉旅行へと旅立つ。彼女の言っていた言葉の真意、そして裏でうごめいている『もう1つの物語』にも遂に決着の火蓋が…?
今回の舞台は、白猫プロジェクトより『アオイの島』。温泉事業で有名な四季折々の景色が見える島を舞台に、逃走者とハンターとの7回目の逃走劇が今、幕を開ける―――!
※注意※
・登場するキャラクターは全て履修済みの作品からの出典です。かつ基本的な性格、口調等は原作準拠を心掛けております。が、表記上分かり易くする為キャラ崩壊にならない程度の改変を入れております。
・原作の設定が薄いキャラクター等、一部の登場人物に関しては自作設定を盛り込んでおります。苦手な方はブラウザバックをお願いいたします。
・誤字、脱字、展開の強引さ等ございますが温かい目でお見守りの方をよろしくお願いいたします。
<ルール>
【逃走エリア】
『アオイの島』 出典:白猫プロジェクト
和風な景色が広がる、情緒豊かな島。
四季のルーンの力によって、変化にとんだ風景を楽しませてくれる。
今回逃走エリアに使用するのは、天守閣周りの『温泉街エリア』と呼ばれる場所となる。
エリア紹介 >>1
逃走時間:85分
賞金:51万(1秒100円)
ハンター:初期3体or4体(OPゲームの結果に基づき変更)
自首方法:『侍の寄合所』にいる侍に『自首届』を記載し、小判を1枚添付した状態で提出する。
<参加者>
【pop'n musicシリーズ】より (3人) 詳細>>2
ウーノ
アン
クアトロ
【ファイアーエムブレムシリーズ】より (3人) 詳細>>3
アルフォンス
シャロン
アンナ
【ダンガンロンパシリーズ】より (3人) 詳細>>4
大和田紋土
弐大猫丸
獄原ゴン太
【スーパーマリオシリーズ】より (3人) 詳細>>5
ワリオ
ヨッシー
ドンキーコング
【光神話 パルテナの鏡】より (3人) 詳細>>6
ピット
パルテナ
ブラックピット
【作者枠】 (3人) 詳細>>7
junris
YUMA
柊
【逃走中#06 MVP】 (2人) 詳細>>8
及川徹
エフラム
計20名
◎AfterBreakTime
①『非日常は唐突に訪れる』 >>9
②『香る赤い松の気配』 >>26
③『溝を乗り越える勇気を持って』 >>36
④『魔族と神と人間の関係』 >>47
⑤『鳥をも落とす霊刀でも』 >>53
⑥『支配から手を伸ばせ!』 >>68
⑦『神と邪神は紙一重』 >>71
⑧『立ち向かえ!悪魔の手の元に』 >>76
⑨『松の絆は永遠に』 >>83
⑩『理は人知を超えて』 >>90
⑪『打ち上げ』 >>112-113 >>116-118
○逃走中#CR09 シード枠争奪アンケート実施中!
※締め切りました
結果発表 >>99
○逃走中#CR08 MVP投票受付中!
※締め切りました
次回参加者 >>103
MVP発表 >>111
以上、逃走中#CR 運営本部がお送り致します。
- 打ち上げ ② ( No.113 )
- 日時: 2021/01/18 22:08
- 名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: 6..SoyUU)
サクヤと別れ、早速この島自慢の温泉ののれんをくぐる3人と二振。
大典太は自分が政府の人間に何をされたのかが身体に染みついている為、頭では分かっていても彼らに近付くことが出来ませんでした。
~城下町・下町 『紅葉の湯』~
チョロ松「十四松。赤塚の風呂じゃないんだから泳いだりすんなよな」
十四松「あい!分かってまっする!」
チョロ松「カラ松も風呂場で歌なんて歌うんじゃないよ?」
カラ松「うっ…。露天風呂もあると聞いているし大声で歌ったっていいじゃないか!」
チョロ松「だから!!ここは赤塚じゃないの!!!僕達だけの貸し切りじゃないんだから静かに入れ!!!」
前田「あ…あの…。番台の方が困ってらっしゃるのですが…」
大典太「……今でも十分騒いでいることに変わりはない」
チョロ松「スミマセン」
主にチョロ松の喧しい声に、温泉を利用していた客も受付の番台も困ったようにこちらを見ています。赤塚の風呂屋じゃないんですから。静かにしましょう。
前田がそれとなく彼に伝えると、自分の状況を知ったチョロ松はまごまごと謝り静かに番台の元へ向かいました。そのまま無言でチケットを5枚渡すと、『賑やかなご家族ですね!』とフォローしてくれました。優しいですね。チョロ松、なんだか傷をえぐられたようにダメージ負ってるみたいなんですが。大丈夫ですか?
チョロ松「変にフォローされるとこんなにも精神的にダメージ喰らうんだね…」
前田「まぁまぁ。道具もいただけましたし、脱衣所へと向かいましょう!」
落ち込むチョロ松を前田がさりげなくフォロー。流石は短刀、縁の下の援護に関しては完璧ですね。カラ松達もそれに続くように『男』と書かれたのれんを潜り、脱衣所へと向かうのでした。
脱衣所は簡易的に棚が区切られており、透明な扉のいくつかに籠が入っています。どうやら温泉に入っている客もぽつぽつといるようですね。
早速服を脱いで温泉に入る準備をしていましたが……。十四松、大典太をガン見。その圧力に気付き後ずさる大典太。何が気になるのでしょうか。
十四松「じーっ」
大典太「……俺の身体を見ても何も出てこないぞ。あるのは陰気な雰囲気だけだ」
十四松「いやー。おおでんたさん鍛えてるなーって。腹筋凄いよねー!にーさーん!すっげーよ!おおでんたさんの腹筋すっげーよ!!」
大典太「……主を守る為に鍛錬は欠かせないからな…。あの後、主に許可を取って稽古場で手合せもするようになった。走り込みや基礎訓練も毎日欠かさずにしている」
カラ松「ぱ、パーフェクトシックスパック……!!ま、眩しすぎるーっ!!」
チョロ松「なんか大典太さんの身体つき見ると僕ら本当貧相で平凡だよね。少し鍛えないと…」
前田「しかし、前線に立って戦うような暮らしをしてこなかったのですし…。最低限太らない身体を作る為の運動だけでいいのでは?」
カラ松「そういわれると何も返せない…が。折角渋谷でみんなを守る力を得たんだ。それを無駄にするようなことはしたくない」
大典太「……だが、無理な鍛錬は身体を痛めかねない。今の自分の体力にあった鍛錬…。あんた達の言葉で言えば『運動』か。それをすべきだ」
チョロ松「なんだか大典太さんってたまにお医者さんみたいな物言いするよね。やっぱり『病気のお姫様を救った』って逸話がそういう考えを引き起こしてるのかな?」
大典太「……俺なんかより知識がある連中なんてごまんといるだろう」
前田「大典太さん、褒められてるんですから素直に喜びましょう!」
大典太「……どうせ空気を読んでいい言葉を選んで言ってるだけだろ…」
チョロ松「オイコラ僕は心からの本音を言ってるだけなんだけど?!」
カラ松「チョロ松の本音…。口が悪くなるところか?」
チョロ松「ケツ毛燃やすぞ」
カラ松「なんで?!」
十四松「にーさん!にーさん!ぼくもうおふろ入りたい!行こう行こう!」
大典太の身体つきについてで話題をここまで膨らませる三つ子。ぽつぽつながらも大典太もちゃんと言葉を返しているので、話が出来ない訳じゃないんですよね彼。ただ陰気なだけで。
チョロ松とカラ松が小競り合いを起こしそうになったところを十四松がすかさず『風呂に入りたい』との一言でぴしゃりと止め、身体が冷えるのも良くないと早速温泉に浸かりに行くのでした。
……余談ですが、大典太の立派な腹筋。イラストレーター様から『霊筋』って呼ばれてるらしいですよ。
ガラス戸を開けると、そこに待っていたのは清潔感溢れる洗い場でした。洗い場内の温泉を挟んで向こうにガラス戸がもう1つあり、その向こうが露天風呂になっているわけですね。
ガラス戸の向こうの紅葉の美麗さに一同は言葉を失います。ここですらこうなのに、直に見たらどうなってしまうんでしょうかね。突っ立っている訳にもいかないと各々洗い場に道具を置き、汚れた身体を洗い始めました。シャワーから出てくるお湯の気持ちよさに、今まで溜まった疲れがどっと消えていくのが分かります。
チョロ松「あー…。シャワーだけでも疲れが取れていく…」
カラ松「自分で言うのもなんだが、オレ達今回本当に頑張ったもんな」
チョロ松「そうそう。自分で言っていいんだよ今回は。それくらい動いたんだから」
十四松「無断で来ちゃったけどね!あはは!」
カラ松「じゅうしまぁ~つ?」
チョロ松「事実だろ。サクヤさんが事情を飲んでくれたことも、おそ松兄さんを救えたことも…。全部彼女達が気付いて、助太刀に来てくれなかったら絶対に無理なことだった。むしろ怒られて職を失うことも覚悟の上だったんだぞ僕」
カラ松「そうだな…。今こうして、風呂に入れてることも…。事実として受け止めていかないとな」
前田「……仲直り、できそうですね。三つ子殿」
大典太「……俺にはよく分からんが、あそこまで繋がりを大事にしているんだから大丈夫だろう」
前田「僕も気持ち、凄く分かりますよ。粟田口の兄弟と接している時を思い出しましたもん」
大典太「……前田。あんた、なんか思い出したのか?」
前田「うーん。思い出したかどうかは分からないんですが…。和室がある城のような建物の中で、仲良くかるた遊びをしたりした思い出は最近ぼんやりと浮かんで来るんです。その中に…僕と同じ服を来た、同じくらいの背丈の少年達がいるんです。だから、兄弟なんだろうとは思うんですけど」
大典太「……そうか」
前田「鬼丸さんのこともそうですが…。大典太さんも、早く仲間と沢山お話しできるようになるといいですよね!それに、もしかしたら大包平さんのように大典太さんと同派の刀も心優しい誰かに拾われてるかもしれませんし」
大典太「……心優しいかは知らないがな」
前田「もう!大典太さんはすぐ後ろ向きに考えるんですから!」
各々積もりに積もった話を零します。前田も靄がかかっていた記憶が少しずつ蘇っているようですね。……と、いうことは。大典太は政府の刀ですが、もしかしたら前田は『どこかの異世界の本丸の刀だった』可能性も否めませんよね。彼に何があって、天界に仕舞われていたかは分かりませんが…。
身体を清めたところで、合流し彼らは早速露天風呂に入りに行きました。折角だからそっちに浸かって帰りたいですからね。十四松が『たのもー!』と言いながら勢いよくガラス戸を開けると、そこには目いっぱいの紅葉と、それに広がる透明なお湯が彼らを待っていたのでした。タイミングよく、誰も入っていない状態のようですね。
感動のあまり飛び込もうとする十四松を兄2人が宥め、静かに入浴することを促します。3人が入ったのを確認した後前田に先を譲り、大典太は静かに足先を湯に浸らせたのち、彼らとは離れた場所に体育座り。これだけ体育座りが似合う190cmも見たことがありませんが。ちょこんと座った彼に『早速離れようとしないで?!』とのツッコミが。
いつの間にか隣に迫られていた十四松に背中をぐいぐいと押され、大典太は渋々近くまで移動するのでした…。
大典太「……俺が近くにいたらあんた達に悪い影響が出かねない。向こうで湯を楽しんでるよ…」
チョロ松「それ散々僕達と一緒に甘味屋で話をした後に言う台詞かな?てか、近くにいてもなんら体調に問題はないしその言葉も無駄だよ。ね、カラ松!」
カラ松「そうさ!オレ達はぴんぴんしてる!だから不安に思うことはないぞ大典太さん!」
前田「それに、十四松殿に背中を押されている時点で影響がないことはもうご自分でも分かってますよね大典太さん」
大典太「…………」
十四松「おおでんたさんは人になれてないのかな?」
カラ松「まぁ…。大典太さんは人慣れしてないというか、オレ達を含めて他人を怖がっている節があるのはオレも分かるからな…。オレも過去に他の人に恐怖を抱いたことがあるから、気持ちは分からんでもない」
大典太「……あんたが?」
チョロ松「この世界に混ぜられるまでに色々あったんだよ。おかげでカラ松は普通の体力じゃなくなっちゃったし、僕は一時的に情緒不安定になって沢山迷惑かけちゃったからね…」
大典太「(青いカーディガンの奴の霊力が、風呂に入る時に一気に下がったのはそのせいだったのか…)」
十四松「でも今はにーさん達すっげーげんき!」
前田「三つ子殿も、過去に色々苦労をしてきたのですね…」
チョロ松「そういえばさ、僕気になってたことがあったんだけど…。折角だから聞いてもいい?大典太さん」
大典太「……あまり答えに期待はするなよ」
チョロ松「大したことじゃないから大丈夫だよ」
どうやらチョロ松、大典太に何か聞きたいことがあったようで。折角の機会だからと聞いてみることにしました。どんな質問が飛んできてもいいように、あらかじめ『良い答えは期待するな』と釘を指す彼。チョロ松はそれに『大したことじゃない』と返し、質問を彼にぶつけるのでした。
チョロ松「大典太さんってサクヤさんと契約して近侍になってるんだよね?……それにしては感情を出し渋っているような気がするんだけど…。僕の気のせいかな?」
大典太「……俺は前田みたいに感情を表に出すような性格じゃないのは自覚しているからな。積極的に出そうとも思っていないが」
チョロ松「そ、そっか。性格的な問題なら仕方がないね。けど…。なんだかね。近侍なのに、たまによそよそしい感じがあるなぁってアオイの島で話してた時に思ってて、さ。大典太さん。サクヤさんに何か思うことでもあるのかな?」
大典太「…………」
カラ松「あ、それはオレも気になっていた。確かに2人の間には絆があるが、サクヤさんも大典太さんもどこかよそよそしいというか…。他人行儀というか。深く入り込まないようにしているようにオレも感じるんだ」
前田「…………。大典太さん。多分、このまま黙って押し切ることは無理だと思いますよ」
大典太「……あぁ」
観察眼が鋭いというか、単に気になる性格なのか。大典太とサクヤがどこかよそよそしいとチョロ松は指摘。それにはカラ松も気付いていたようで、何故かを彼の質問に重ねる形で問いかけてきます。大典太は黙ってその場を乗り切ろうとしましたが、恐らくこのままでは何も進展しない。そう思った前田が助け舟を出しました。大典太は意を決し、彼女との関係をぽつぽつと話し始めたのでした。
大典太「……このことは他言無用にしてほしいんだが。出来るか」
チョロ松「うん。口は堅い自信があるから。……こいつらはどうか知らないけど」
カラ松「お、オレだって約束は守るぞ!」
十四松「だまれっていうならだまるっすよぼく!」
チョロ松「そういう意味じゃねえ」
大典太「……話を戻していいか。―――それで、あんた達が抱いていた『よそよそしさ』だが…。確かに俺と主は主命を果たす契約をしている。だが…。それは『仮』のものだ。前田と違い、本来の契約を俺は果たしていない」
チョロ松「えっ。ええええええっ?!」
カラ松「サクヤさんは良くも悪くも他人に平等だから、なのか?」
大典太「……詳しくは俺も知らない。だが…主は『俺とは本来の契約は果たせない』と言った。本当は前田とも契約をしないつもりだったが、前田の熱に折れて契約したと。言っていた」
前田「そうだったんですか。あの時に渋ったのは、本音だったのですね…」
大典太「……あぁ。だから、俺は主の気持ちを優先して本来の契約は果たさない。仮の契約でも、俺に主を守ることは出来るからな」
十四松「でも…。おおでんたさんはどう思ってるの?サクヤさんと、ほんとうのけいやくをしたいんじゃないの?」
大典太「……俺の気持ち1つで意見が変わるわけがないだろう。主にも、主なりの理由があるんだからな…」
チョロ松「待って。ってことは…大典太さんはサクヤさんと『本来の契約』をしたいって思ってるんじゃない?」
大典太「…………」
チョロ松がその言葉を言った瞬間、大典太の胸が再び『ちくり』と痛みました。以前から感じているこれは何なのだろうか。彼らに告げたら、答えを教えてもらえるのだろうか。確かに……。言われてみれば、サクヤは自分を閉所から連れ出して、大切にしてくれた恩人です。彼女のことは命に変えても守る。そう心に刻んだのはそう遠い話ではありません。
……彼は意を決して、三つ子に胸の痛みについて聞いてみることにしました。
大典太「……以前からなんだが…。主が『契約』に関する話をすると、いつもここが痛むんだ。俺にはその正体が分からない…。だから、どうすればいいのか答えが見えない」
カラ松「胸が痛い…。やっぱり大典太さんはサクヤさんと『本来の契約』を果たしたいんじゃないのか?」
チョロ松「大典太さん、凄い我慢してると思うんだよ。本当はサクヤさんの刀としてもっと活躍したいのに、彼女自身の気持ちを優先して自分の気持ちを抑え込んでしまってる…。その胸の痛みは、そこから来てるんだと僕は思うよ」
前田「大典太さん…。主君の過去に何があって、そのように契約を嫌がるのかは分かりませんが…。大典太さんも今は一人の『心を持つ者』です。刀ではありますが…。主君に、一度その気持ちを伝えてみるのもいいのではないでしょうか?」
大典太「……だが」
十四松「我慢しちゃだめだよ!おおでんたさんもサクヤさんもくるしいままなんて、ぼく悲しいよ!」
大典太「…………」
自分でもわかっていなかった感情。これは自分の『我儘』なのではないか。自分は主の刀なのだから、自分の意見は抑えるべきではないのか。その痛みは、『サクヤの刀になりたい』という気持ちと、『サクヤの気持ちを考えたらそれは出来ない』という気持ちがせめぎ合って出来たものだと彼は解釈をしました。
三つ子に言われたこと…。一度、自分の気持ちを主にぶつけるべきなのか否か。きっと、主の刀になることができれば…。前田のように、言いたいことを素直に言えるのではないか。
しかし、今の彼にはそうする勇気がありませんでした。
カラ松「おそ松に届いたからこそ大典太さんに伝えるが…。本気で話し合ってみて、お互いの気持ちがわかることもある。気持ちがすれ違っているなら猶更だ。……大典太さんの気持ちを、一度サクヤさんに話してみるのも悪くない手だとオレは思うぞ」
カラ松が優しく放ったその言葉。サクヤに自分の気持ちを伝えるべきなのか。否か。きっと伝えても契約は拒否されるとは思うが…。言葉にしなければ伝わらないことも、自分では気付いていました。
答えの見えない問題。そんな彼の頭を素通りするように、そよそよと紅葉の葉は空へと舞ったのでした。
- Re: 逃走中#CR07 白猫温泉物語 混沌編 ( No.114 )
- 日時: 2021/01/19 07:48
- 名前: Ga.c=evo. ◆/3YY/mapGo (ID: g8fOXsqd)
こちらでは、あけましておめでとうございます!Ga.です!
ここ最近あんまり見に行けなくてごめんなさい!夜に自室の布団に入ったら気絶したように眠ってしまいます。多分記憶操作はされてないと思います()
遂におそ松の悪魔との決着!というか今回の騒動もメフィストの仕業だったか……
でも兄弟を思う本気の気持ちが悪魔を追い払った!兄弟がそれぞれ思いをぶつけ合って最良の形にしたら側だけ乗っ取っていた悪魔もイチコロでしたね……!
そして、タケモトェ……メフィストが関わらなかったら普通に共生できたのかも……と思うとね……
グレンさん、クレアたそを守ってくれて本当にありがとうございます!!暴走しても心を失わない姿は本当にカッコよかったです!!
クレアたそも頑張った!!ゆっくり休んでくれ……(なお休息の旅行だった模様)
まぁMIBもSCP財団もびっくりの大規模記憶操作で全ては海の藻屑に……さすが神、いとも容易くはないけどとてつもないことをしやがる……!
サクヤさん、大典太さん、ニアさんとアマリーさん、クレアたそとグレンさんを助けてくれてありがとうございます!!!
思ったけどアマリーさんは何故アマリリスから名前を取ったのか……ニアって名前も気になってきた……
実は誘われてましたね。えへへ。
だからこそ両MVP投票できなかったことを後悔しています……
クレアたそたそたそたそからからからぷぷぷプレゼント!?!?!
クレアたそ〜♡♡(尊死)
クレアたそカウンター実装しちゃうんですか?
壊れるくらいには使い倒してやります(?)
それではGa.でした〜!
- Re: 逃走中#CR07 白猫温泉物語 混沌編 ( No.115 )
- 日時: 2021/01/19 22:49
- 名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: 6..SoyUU)
どうもです。灯焔です。
やっぱり日課じゃこないよね~!と日光さんも見事にオソラキレイしました。い、いいんだ。童子切さんで大勝利出来ればいいんだ。その為に札集め頑張ってるんだから。うん。
大典太「(そもそも童子切が今年来るのかも分からんがな…)」
大包平「(来てくれなければ困る!!!)」
大典太「(脳内でも喧しいなあんた…)」
>>Ga.c=evo. 様
どうもです。あけましておめでとうございます。コメントありがとうございます!
遂におそ松の件が決着し、あとは仲直りだけです。ちゃんと打ち上げ中に仲直りしてくれればいいんですが…。大丈夫でしょう。
タケモト、メフィストに介入されたデビおそとの介入が無ければ唯の狂信者として会社を続けていく選択肢もあったのかもしれません。ですが、それも運命です。
そしてグレンさんが一瞬狂皇子に。そういやコネクトワールドで2度目の記憶喪失を果たしてから全く暴走してませんでしたね!ですが、クレアやチタとの交流を通じて『守る者』が出来た彼。今までとはちょっと違うかもしれませんね。
TRPGのお約束、全部ド忘れしているパターンです。無事に生還できてよかった。SAN0がいたら大変ですからね。SAN0ロスなんて洒落になりませんからね。
改めて、招待を受けてくださりありがとうございます。次回頑張ってくださいね!
クレアたそから貰った懐中時計、是非大切にしてあげてくださいね。カウンターは分かりませんが……もしかしたらついているかもしれません。どんな形になるかは分かりませんが。
- 打ち上げ ③ ( No.116 )
- 日時: 2021/01/19 22:58
- 名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: 6..SoyUU)
お風呂をゆっくり満喫した3人と二振は、遅くならないうちに本部に戻ることにしました。
彼らが帰還する少し前。医務室におそ松を連れてきたサクヤは早速リサに『悪魔の影響が出ていないか』を確認するよう頼みました。
~運営本部 医務室~
リサ「サクヤ。彼が悪魔にされたっていう『おそ松』?」
サクヤ「はい。ご兄弟に許可を取って、一足先に診ていただこうと思いまして。その方が目覚めて、ご兄弟と再会した時に安心して話が出来ると思ったのです」
リサ「成程ね。流石に人外のことを人間の2人に頼むわけにはいかないし。コハクと蜜柑には打ち上げを楽しむよう言ってあるから、一度ベッドに降ろしてもらえるかい?」
サクヤ「了解いたしました」
コハクと罪木さんではなく、珍しくリサが医務室でスタンバイしていました。どうやらたまには打ち上げを楽しんでほしいと自分が医務室の管理を変わったそうなのです。タイミングが良かったですね。サクヤはおそ松のことについて説明。すると、彼は『診るからおそ松をベッドに降ろしてほしい』と告げたのでした。
指示通りおそ松をベッドに横たわらせる彼女。こんなに刺激が起きたのに、おそ松はぐーぐーといびきをかいて寝ています。
リサ「随分と気持ちよさそうに寝ているね…。助けた時からそうなのかい?」
サクヤ「実はそうなのです。三つ子さん達と合流した時からすやすや眠っておりまして。悪魔に乗っ取られていた影響が大きいせいなのかもしれません」
リサ「精神が驚いた影響を受けているのかもしれない。……今彼の中に『人外の魔力』が残っていないか診るから、そこの椅子に掛けて待ってておくれよ」
そう告げると、サクヤを椅子に座らせたリサは早速おそ松が横たわっているベッドへ。そして、彼のお腹辺りを擦って自分の魔力を循環させ、彼の中に不都合なものが残っていないかの確認を始めました。
リサ曰く、彼に悪い影響が出る魔力が体の中に残っている場合…。彼の魔力が赤黒く光るとのことですが。サクヤが目を凝らしておそ松のお腹を巡る魔力を見ますが、キラキラとした透明な渦以外に見えません。―――しばらくした後、彼は静かに頷いておそ松から手を離しました。
リサ「……大丈夫。彼に残っている悪い魔力は無くなっているようだ。完全に悪魔を祓えているみたいだね」
サクヤ「そうですか…。リサさん、お忙しいのにありがとうございました」
リサ「いやいや。私もかつては本部を襲ってしまった身だからね…。こんなことで良ければ、いつでも手を貸すさ」
『うう……ん……』
おそ松の後遺症はなし。良かったですね。その言葉を聞いて安堵した彼女の耳に、ベッドで寝ていた青年の声が聞こえてきます。どうやら長い長い眠りから目覚めたようですね。彼は頭を上げた後、きょろきょろと辺りを見回した後目を見開いて叫びました。
おそ松「どこ!!どこここ?!」
サクヤ「落ち着いてください。ここは運営本部ですよおそ松くん。自分に何が起きたか覚えていますか?」
おそ松「げっ……!―――カラ松に殴られそうになったところまでは覚えてるんだけど…。なんかその前も記憶が曖昧でどう説明すればいいかわかんないんだよな…」
サクヤ「そうですか。……まぁ、貴方にも悪い思い出ですので無理に思い出さなくて大丈夫ですよ。もうじきカラ松くん達が本部に帰還しますし、メインサーバでゆっくりとお話ししましょう」
おそ松「っ……。助けられたのには変わりねーし、分かったよ…」
おそ松はサクヤに気付くなり苦い顔をしますが、自分が何をしたのかは朧気に覚えている為何もいうことが出来ません。そろそろカラ松達が戻ってくるとのことで、今後の話はメインサーバでしようと彼女から提案を持ちかけられました。反論も出来ないので、渋々頷くおそ松。
サクヤはリサに改めてお礼を言って、おそ松を連れてメインサーバへと向かうのでした。
~運営本部 メインサーバ~
アシッド「おやサクヤ。打ち上げはいいのか?」
サクヤ「アシッドさん。お疲れ様です。兄貴達はまだ会場に?」
アシッド「あぁ。物珍しさを感じた作者達に揉まれて戻れなくなっているところだよ」
サクヤ「そうですか…」
おそ松「(あ、こいつ確か…。一松が電話に出てたって奴?)」
メインサーバではアシッドが1人で机に向かいコーヒーを嗜んでいました。やりたいことがあるからと、1人打ち上げ参加を切り上げて戻って来たんだそう。……アクラルとアカギが作者のおもちゃになっているところを見ると、1人逃げてきたようにも思えるのですが気にしないでおきましょう。
アシッドはおそ松を見るなり、じーっと彼の顔を見つめます。何か気にかかることでもあるのでしょうか。
おそ松「……俺の顔見てどしたの?おかしい?」
アシッド「いや。―――完全に悪魔は祓えたのだなと改めて思ってな。この運営本部にいい感情を持っていないことは良いにしても、それをダシにされて兄弟に迷惑をかけたことは許されることではないな」
おそ松「それは、分かってっけど…」
サクヤ「その辺も含めてカラ松くん達が戻ってきてからにしましょう」
おそ松、やはり本部の面子に良い感情を持っていないのは変わらないようで…。まぁ、カラ松達の気持ちを聞いたとはいえ。一度抱いた感情を中々払拭することは難しいことですからね。
そんな話を続けていると、彼女の耳元に声が。どうやら近侍が念話で報告をしに来たようです。
大典太『……主。大典太光世だ。本部に到着したんだが…どこに向かえばいい』
サクヤ「おかえりなさいませ皆様。メインサーバにおそ松くんといますので、真っすぐ来てもらえますか?」
チョロ松『えっ?おそ松兄さん起きたんですか?!』
サクヤ「はい。元気です。ピンピンしてますよ」
カラ松『よ、良かったぁ~~~……』
チョロ松『腰を抜かすなバカラ松!!!そういうのはおそ松兄さんを直に見てからにしろ!!ほら、いくぞ!!!』
大典太『……メインサーバに向かえばいいんだな。承知した』
サクヤ「お待ちしておりますね」
おそ松が起きたことを伝えると、それを聞いた三つ子が安堵したようにため息を着きました。あの後中々起きませんでしたからね彼。そうなるのも無理はない。早めに連れていくと大典太が告げたところで念話は途切れました。とりあえず、今は彼らを待ちましょう。
―――しばらく待っていると、向こうから賑やかな話し声が。その数刻後、3人と二振がメインサーバに顔を出したのでした。
前田「主君。只今戻りました!」
サクヤ「お帰りなさいませ皆様。温泉楽しめました?」
大典太「……温かかった」
前田「温泉なのですから温かいのは当然でしょう!凄く気持ちよくて、紅葉も綺麗で…。楽しかったです!」
サクヤ「それなら良かったです。カラ松くん達も……何よりです」
大典太と前田を迎えたサクヤ。その隣でおそ松に泣きながら抱き着く三つ子を見ながら、そんなことを言ったのだとか。そりゃ本当に心配で心配で、本部の連中に無断でアオイの島まで追いかけるくらいでしたからね。
検査の結果、後遺症もないということを伝えると、3人は腰を抜かしたように各々椅子に座ったのでした。
チョロ松「全く。どこまでも心配かけるなよな…。まぁ、あの後何もなくて本当に良かったよ」
おそ松「……おう」
十四松「にーさんなんか歯切れ悪いね!どうしたの?いつものにーさんらしくないよ?」
おそ松「いや、だって、曲がりなりにもお前らに怪我させようとしたじゃん?」
カラ松「お前の本心を悪魔に利用されてただけだから気にしてないぞ。ちゃんとお前はこうして元に戻ってここにいるんだから。今はそれだけで嬉しいよ」
十四松「うんうん!」
おそ松「……はぁ~~~。1人で悩んで、病んで、バッカみてえ。松代にも迷惑かけたしちゃんと謝らないとな…」
チョロ松「そうだよ!一番心配してたの母さんなんだから。帰ったらちゃんと母さんと話しろよ」
おそ松「……ここに残ったの、お前らが自分で決めたことなんだよな。松野家を見捨てたわけじゃないっての。その言葉が、現実に引き戻してくれたんだよ。―――俺が大きな勘違いしてたんだって、気付かせてくれたんだ」
カラ松「そうか…。―――だが、おそ松」
おそ松「?」
虚空を見つめるようにおそ松がそう呟きます。カラ松はそんな彼を見守りつつ、彼の目の前に仁王立ち。何をするかと思えば……。思いっきり、『ゴチン』と頭をげんこつで殴ったのでした。
あまりの音に近くで見守っていたサクヤと刀剣男士達も驚きを隠せません。
おそ松「いってえ!何するんだよ!!」
カラ松「愛のゲンコツだっ!!本当はチョロ松の分や十四松の分、一松やトド松、母さんの分もやってやりたかったがお前が耐えられないと思うから一発で済ませてやる。
―――お前、自分がどれだけ松野家に愛されてるかこれで分かっただろ?」
大典太「……愛の鞭、というやつなのか」
サクヤ「驚きましたが、美しき兄弟愛ですね」
おそ松「勝手に母さんに迷惑かけて、お前達にも危険晒して…。ごめん。悪かった」
チョロ松「いいよもう気にしてないし。その代わり。もう二度と変な誘いには乗らないでよね。次こんなことがあったら兄さんのケツ毛燃やすだけじゃ済まさないから」
おそ松「チョロちゃんケツ毛は勘弁して~?」
十四松「兄さん?兄さん燃えるの?」
サクヤ「燃やしては駄目です」
前田「主君。それは言葉のあやだと思いますよ」
おそ松もばつが悪そうに謝罪の言葉を述べ、お互いの気持ちが分かったところで仲直り。これで一件落着ですね。
……タイミングのいい頃合いを図ったのか、アシッドがいつの間にか松野家の後ろにスタンバイしてこんなことを告げてきました。流石に背後から急に声がかかったのにはおそ松も驚いた様子。
アシッド「いや。驚かせるつもりはなかったんだ。すまないね」
おそ松「な、何だよ…」
アシッド「そう。君…Mr.オソマツ、だったかな。君に用があって声をかけたんだ。君……これから
どうするんだい?ニートに戻るのかい?」
十四松「おそ松にーさんは多分家に戻るだろうし…。ニートに戻るんじゃない?」
チョロ松「でもなー。母さんに事の顛末話したところで、『そろそろあんたも働いたらどうなの』っていうと思うからなー。そろそろ兄さんも覚悟決めた方がいいかもしれないよ?」
おそ松「えー?!やだやだ働くとか絶対に嫌だ!!!」
カラ松「ある意味わかり切っていた答えが聞けて安心したぞ」
アシッド「そうか…。社交的で他人とのフットワークも軽い君に、是非私の秘書をこれから頼もうと思っていたのだが…」
サクヤ「……ん?」
大典太「………?」
チョロ松「待って。アシッドさんもう一度。ワンモアプリーズ」
アシッド「Mr.オソマツを『私の秘書』として雇おうと言ったのだが」
『…………』
『……えええええええっ?!』
なんとアシッド、おそ松を自分の社長秘書にスカウトする為に声をかけたのです!なんのつもりですか貴方!邪神も神様も腹の内が読めない奴ばっかりだとは思っていましたが。アシッドも例に漏れず、です。
直接その言葉を聞いたおそ松よりも、傍でそれを聞いていた3人の方が驚いているではありませんか。
チョロ松「ちょっと待って?!こいつ小学5年生のまま大人になってんの!!そんな奴が働けるわけないでしょ?!何言ってんのアンタ?!」
おそ松「チョロ松!!俺の悪口を言うなよ!!それに俺は働くつもりなんて毛頭…」
アシッド「完全週休2日、有休も可能な範囲であれば好きに取ってもらって構わない。福利厚生も会社に言ってしっかりと君にも適用しよう。
……サクヤと刀の彼とのやりとりを見ていたらね。少数の人数で会社を立ち上げたことを思い出して、ね。あの時も…。働くことに意欲を見いだせなかった人間を今のように説き伏せて、社員として雇ったな」
おそ松「じゃあ、会社を立ち上げたのもニートだったってわけ…?」
アシッド「あぁ。今でこそ大きな会社として名が知られているネクストコーポレーションではあるが…。その始まりは、唯の人間に興味を持った神と、そんなことも知らない働くのが嫌な『ニート』で始まったのさ。Mr.オソマツ。嫌になったら私の元を去ってもらって構わない。……私は君に、ポテンシャルがあるのを感じているからね」
カラ松「……どうするんだおそ松?」
おそ松を、そしてサクヤと大典太を見て。アシッドは自分が会社を立ち上げた頃を思い出していました。かつて、1人だった自分を支えてくれたのは『ニート』だったということも明かして。その彼…いまどこで何をやっているかは分からないそうなのですが、彼らの助力が無ければ『ネクストコーポレーション』はここまで大きくなっていなかったことを明かしました。
その上で、自分の秘書をやってほしいと頭を下げるアシッド。あまりにも丁寧なお願いに、おそ松もおし黙ってしまっていました。―――しかし。このままニートに戻る選択肢と、目の前に転がって来たチャンスを拾う選択肢。社長秘書ということですから、お金もたんまり貰えそうですよね。
いつでも辞めてもらって構わないという言葉。そして、真摯なアシッドの頼みに…。遂に、おそ松も折れる決心をしたのです。
おそ松「……わかったよ。でも、1日やって嫌だったらすぐにニートに戻るからな!」
チョロ松「それじゃ仕事したってことにならないだろ!!社長秘書だぞ?!覚えること沢山あんだよバカ長男!!」
カラ松「ま、まぁまぁ…。だけど、アシッドさんなら大丈夫だとオレは思うがな?」
アシッド「あぁ。嫌だったらやめてもらって構わない。今まで私1人でやっていたことを少し、君に手伝ってもらうだけだからね」
サクヤ「昔から何でもお1人でこなしてしまってましたからね…。道のりは困難だとは思いますが、我々も助力いたします」
おそ松「それに!ここにいることでなんでカラ松が残る決心をしたのかを知りたい。それもあるし」
大典太「……そうか」
十四松「本部のみんないいひとばっかりだよ!おそ松にーさんもすぐに仲良くなれるよ!」
と、いうことは。アシッドは今本部に住み込みでいるので、実質おそ松も本部に住み込みで働くということになるんですかね。『やる』という返答に三つ子は驚いたものの、彼が自分で決心したことだから応援することを決めてくれました。
そんな彼らの様子を見て、サクヤは満足そうに微笑んでいたんだとか。
こうして、松野家は無事に仲直りをし、今回の打ち上げパーティもつつがなく終了したのでした…。
- 打ち上げ ④ ( No.117 )
- 日時: 2021/01/20 22:01
- 名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: 6..SoyUU)
打ち上げパーティも終了し、後片付けに入った運営本部一同。
家族水入らずの邪魔をしないようにとサクヤ達も素早く会場の片付けに入っていました。MZDからは『参加してないんだからやらなくていい』と言われたのですが、それでも主催している身である為仕事をサボるわけにもいきません。無理を押し通して彼女は片付けに参加していたのでした。
ミミ「あ、そうだ!サクヤさん、そういえば次の逃走中の会場って決まってるの?」
サクヤ「はい。それに関しましてはもう決定しておりますよ。次回の会場は『トリコロシティ』の予定です」
ニャミ「わーっ!キュベリアさんが今管理してるあの街だよねっ!弐寺にお邪魔したのも懐かしいな~」
ミミ「ねーっ!てか、キュベリアさん逃走者として4回も引っ張り出されてたのによく引き受けてくれたよね」
サクヤ「逃走者としては論外だが、場所を提供するくらいならOKを出してくれました。なんだかんだあの方も逃走者達がハンターから逃げ惑うのを『見る』のは好きなんでしょうねぇ」
ミミ「キュベリアさんらしいというか、なんというか…」
ニャミ「あ!ってことは。もしかしたら次もラピストリア学園みたいに音ゲーが関わるミッションが来るかもしれないねミミちゃん!」
ミミ「そーかもー!サクヤさん、わたし達次も楽しみにしてるからね!」
あらら。ここでやっと次の逃走中のエリアのお披露目ですか。そう。某お皿と7つのボタンを押して演奏する音ゲーのシリーズから、次回の逃走エリアは『トリコロシティ』。なんかここ、前にもどこかで話題が出てきたような気がするのですが…。まぁ、今は気にしないでおきましょう。
サクヤからそのことを聞いたミミニャミは、もしかしたら6回目以来の音ゲーにまつわるミッションが来るかもしれないと大興奮。そんな彼女達を優しく宥め、サクヤは片付けへと戻るのでした。
日も傾き、進んでいた片付けもつつがなく終了し。サクヤは私室へと戻ることにしました。ちなみに、付き従っている大典太と前田は一足先に私室へと戻ってくつろいでいます。誰もいない静かな廊下を歩き、彼女は何もない壁に手を当て扉を開きます。
和室の奥の壁かけをどかし、そこに開いている穴を潜ると……。澄んだ空気と、机に向かって座っている大典太と前田と遭遇しました。
前田「主君!おかえりなさいませ」
サクヤ「只今戻りました。あぁ大丈夫ですよわざわざ立たなくても。仕事は全て終わっているのですし、ゆっくりくつろぎましょう」
大典太「……あんたは働きすぎだ。雑用は俺がやるといつも言っているのに…」
前田「もう癖のようなものなのかもしれませんね」
大典太も前田も内番着に着替え、主の帰還を待っていました。まぁ、全て終わったのですから動きやすい服装の方が気持ちも楽というものですものね。
サクヤも開いている場所に座り、アオイの島での出来事を二振に問いかけてみることにしたのでした。
サクヤ「大典太さん。前田くん。アオイの島はどうでしたか?」
前田「色々ありましたが、温泉も気持ち良かったですし。三つ子の皆さんとも仲良くなれましたし。楽しかったです!ですよね、大典太さん!」
大典太「……この世界にもあんな場所があるなんてな。事態が落ち着いている時に、また行きたい…とは思った。どうせ俺なんかが行っても島の士気が下がるだけだろうけどな…」
サクヤ「アオイの島は四季折々の景色が楽しめる島ですからね。今回は紅葉が広がる秋の島でしたが、今度は桜が舞い散る季節にでもお花見がてら行ってみましょう」
大典太「……花見酒というのも、悪くない」
前田「今度は本部の皆さんと行きたいですね!」
大典太も前田もアオイの島が気に入った様子。この季節ですら凄い光景だったのに、桜の季節だとまた違う美しさが見れるのでしょうね。『また行きたい』と口にした二振を見て、サクヤもなんだか嬉しそう。
……そんな彼女を見ながら、大典太は温泉でカラ松達に言われたことをどう彼女に伝えようか悩んでいました。言うべきか。言わざるべきか。彼の中の覚悟は……まだ、決まっていませんでした。
前田も何となく彼の考えていることを察したようで、不思議そうに大典太を見るサクヤに『気にすることではない』と告げたのでした。
前田「主君。今日は色々あって大典太さんも疲れただけだと思います。あまり気になさらなくても大丈夫ですよ」
サクヤ「確かに。今回はいつも以上に大変でしたからねぇ。大典太さんも前田くんもお疲れさまでした」
大典太「……あぁ」
前田「今後、今回のような危険な目に沢山逢うかもしれません。しかし、です。何があっても、主君と大典太さんは僕がお守りします!」
大典太「……主は分かるが、俺まで守らなくていい。……あぁ、そうか。俺は前田から見て頼りない刀なのか…」
前田「違います!大典太さんがとても頼りになる刀なのは知っています!それと同じくらい、大典太さんの背中を守れるように僕も強くなりたいのです。いわば僕なりの『今年の目標』ですよ」
大典太「……そう、なのか。……まぁ、前田なら強くなれると思うがな…」
前田「本当ですか!」
サクヤ「……ふふふ。本当ですよ。何をするにしても、気力が落ちていれば身体がついて行きませんからね」
二振のやり取りがおかしかったのか、彼女はくすくすと目尻を緩めて笑っていました。その表情を……。大典太は見逃しませんでした。『感情を失った』とあの時告げた彼女。しかし、今こうして自分達のやり取りを見て笑った。以前自分の中に出てきた『とある考え』が、また脳内に浮かび上がります。
―――いつまでも押し黙っているわけにはいかない。彼は覚悟を決め、主に告げたのです。
大典太「……主。俺達のやり取り…面白かったのか?」
サクヤ「え?」
大典太「……あんた、今。笑っている」
前田「大典太さん…」
サクヤ「……へ?わら、って?」
前田「主君、とてもいい笑顔でし……主君?!」
大典太が告げた言葉。サクヤは自分が『笑った』ことを自覚していませんでした。言葉としてはっきり伝わり、それまで笑顔だった彼女の表情がぽろぽろと崩れていきます。そして……それがまるで『いけないこと』のように、急に顔を伏せて震えだしました。
急に様子がおかしくなったサクヤの背中をさする前田。すぐに大典太もサクヤに近付きますが、その震えが止まることはありません。
前田「主君!どうかなされたのですか?!主君!!」
サクヤ「ちがう…ちがう…!感情は全部兄貴に渡した筈なのに……!わらっているなんておかしい……!これでは…これではまた壊して……!」
大典太「…………」
前田「大典太さん、主君はどうなってしまったのですか?!」
大典太「……俺のせいだ。すまない。前田、主の布団を向こうの部屋に用意してくれるか。……俺は主を落ち着かせるから」
前田「承知しました。……後でちゃんと説明してくださいね」
大典太「……あぁ」
慌てる前田に大典太は冷静に指示。そもそも自分が引き起こしたことなのだから、自分が事態を納めねばならないと思ったのでしょう。前田はすぐに我に帰り、言われた通り向こうの寝室へサクヤの布団を敷きに向かいました。襖の向こうへと去ったことを確認した大典太は、かつて自分が顕現したばかりに彼女がやってくれたように、彼女を優しく包むように抱きしめたのでした。
大典太「……俺が悪かった。今のあんたに告げるべき言葉じゃなかった。俺も、前田も、この世界も。壊れていない。大丈夫だ。落ち着いてくれ…」
サクヤ「あの時には戻れないんです…。駄目なんです…。絶対に、壊してしまう…」
大典太「……今、前田が布団を敷きに行っている。あんたが壊すというのなら…俺も、三日月も、数珠丸も、前田も。もう既に折れている筈だ。だが…俺達は今こうしてここにいる。だから…落ち着いてくれ…」
サクヤ「おおでんたさん…」
よしよしと、子供をあやすように優しく頭を撫でる大典太。きっと顕現したばかりならば絶対に主に自分から触れようとはしませんでした。サクヤの優しい霊力に触れ、彼も近侍として出来ることをやろうと決心した結果の行動なのでしょう。震えていたサクヤでしたが、しばらく彼がそうしているうちに落ち着きを取り戻し、次第にすぅすぅという静かな寝息が聞こえてきました。疲れて眠ってしまったんでしょうかね。
それを確認した大典太は、彼女を起こさないよう静かに抱きかかえて向こうの部屋まで向かいます。
襖の向こうでは既に前田がサクヤの布団を敷き終わっていました。静かに横たわらせ、布団をゆっくりかけてあげます。青ざめていた彼女の表情は、眠りの中にいるのか安らかなものでした。
―――しばらくその様子を見ていた二振でしたが。しびれを切らした前田が静かに大典太に口を開きました。
前田「大典太さん。主君の表情の起伏が薄いことは何となく察知していましたが…。何か、人為的なものなのですか?」
大典太「……概ね合っている。主は……。感情をあの朱雀に全て渡した、と言っていた。だから、自分が笑ったり泣いたりすることは無いのだと。その感情で、過去…。世界を1つ、破壊したらしい」
前田「世界を…。そう、だったのですか。だから、感情が芽生えてしまうとまた『世界を壊してしまうかもしれない』。主君はそれに恐怖を抱いているのでしょうか」
大典太「……あぁ、そうだ。俺が主と『本来の契約』を果たせない理由だとも言っていた。感情が戻ったことによって、俺や前田を折りたくないんだと」
前田「過ぎてしまったことですが…。僕は主君の何をも知らずに勝手なことをしてしまっていた訳ですね…」
大典太「……それは違う。確実に、前田と契約を果たした時から主の中で何かが変わっている。俺は……『主自身の感情』が芽生え始めているんだと思っている」
前田「僕と契約を果たした時から、ですか?うーん…。なんだかそれは引っかかる言い方ですね大典太さん。まるで自分は蚊帳の外のような…」
大典太「……本来の契約を果たしたのは前田なのだから、そう考えるのが自然なんじゃないか?」
前田「僕達の顕現がきっかけで、主君の感情に何か起こったとしても…。そのきっかけはきっと、僕じゃないと思います」
大典太がサクヤに万屋で言われたことを前田にそのまま話しました。まぁ、彼にはいずれバレたことでしょうしね。前田は告げられた事実を持って、やっと自分の主が感情に怯えている理由について納得することが出来ました。
大典太は『前田と契約した時からサクヤの感情が新たに芽生え始めた』と推測しますが、逆に前田はそうではないと言い切ります。理解が出来ていない大典太に向かって、前田は静かにこう言いました。
前田「僕じゃない。大典太さんの方ですよ」
大典太「……俺が?それはあり得『あり得ますよ!』 …………」
前田「だって。主君がそんなことをわざわざ大典太さんに言うってことは、自分のせいで大典太さんが折れてしまうのが嫌だからではないでしょうか。本当は大典太さんとちゃんと契約をしたいと主君も思っている筈です!そうでなければそんな言葉は出てきません!」
大典太「……それは前田だって同じだろう」
前田「確かにそうですけれど。僕の場合はもう契約してしまったのですから何も言わないんだと思います」
大典太「……駄目だ。やはり本来の契約を持ちかけるべきではない。きっとこの話を持ちかけたら、主はまた震えて我を失ってしまう。俺も、主を壊してしまう」
前田「大典太さん…。でも。今は無理でも。きっといつしか大典太さんの気持ちを伝えられる日は来ます!絶対、です!
主君と大典太さんは似ています。自分の力のせいで、他人が傷つくのを恐れています。そんなことないって、僕は…分かってほしいです」
大典太「…………」
まっすぐな前田の言葉も、今の大典太には眩しすぎました。大典太もまた、自分が関わることで主が壊れてしまうことを恐れていました。だからこそ…『本来の契約』を口に出すことはしない方がいい、と思ったのです。いつか自分が折れても、伝えるべき言葉ではないと。
前田が『いつかチャンスはやってくる』という言葉も。にわかには信じられませんでした。
これ以上話をたどっても平行線が続くばかり。大典太は話を切り上げ、自分達も就寝しようと提言しました。心の中に残る『チクリ』という痛みは…。床についても、大典太の心から去ってはくれませんでした。
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